涙、さとり様、私のせいで泣いているのですか?
そうね
私はあなたを傷つけてしまったのですか?
いいえ、むしろ私があなたを傷つけているわ
『お姉ちゃんは玉ねぎを切りながらそんな事を言っています。……正直怖いです』
でも、その玉ねぎはハンバーグの一部になって私の糧になるので、止めることも出来ません。
「さあ、牛肉。幼いあの頃を思い出させてあげるわ」
物言わぬ、ひき肉はあの日の牧場を思い出してどうやら心の中で泣いているようです。
幼い日、いかれた牧場主にむりやり母牛と引き裂かれて南の街にドナドナされて肉牛として育ちその短い命を終えたようです。
「胡椒、あなたはいつまで銀と同じ価値だと思って居るの?」
どうやら、胡椒はうぬぼれ屋のようです。その場で、挽きながらお姉ちゃんは叱責しています。
「……嫌ね。塩はいまいち何が言いたいのか分からない。……うるさい」
多分、お塩に含まれている微生物が一斉に思いをお姉ちゃんにぶつけて居るのだと思います。
お姉ちゃんは、食塩だけにニガムシをかみ砕いたような顔をしながらそんなことを言っていました。
「次に産まれる時は、ヒヨコに成りたかった? 無理ね。あなたは無精卵だもの。一生卵のままよ」
なぜか、卵を割るときお姉ちゃんはニタニタしながらそんなことを言います。なぜか、サディスティックです。
そんなだから、仕返しされて殻が混じっちゃうんです。……本当は割るのが下手なだけです。
「駄目ね。まったく駄目。パン粉、君は今日は全然ダメ」
今日はお肉の量が多かったので、かさましのパン粉は加えられないようです。
次に会うその日まで、カビず腐らず頑張って欲しいです。
「ごめんね。みんな、ごめんね」
それら混ぜた者に謝りながらお姉ちゃんはフライパンでハンバーグを焼きます。
お姉ちゃんは多分、混ぜた物がハンバーグに変わっていくさなかに生じる怨唆の思いを感じて居るのでしょう。
……心がわかるのなんて嫌だ。だから、私は眼を閉ざしてしまったのかもしれません。
お姉ちゃんと、お料理すると毎回こんな感じだから食べ物を無駄にしちゃいけないんだってことがわかるんです。
「さ、こいし、ハンバーグできたわ。食べましょう」
ライスとお野菜に彩られたハンバーグは美味しそうにお皿に盛られています。
「ねえ、お姉ちゃん。ハンバーグは何か言っている?」
「……美味しく食べてねだって」
私の質問に、お姉ちゃんは少し複雑な表情をしてからそう答えました。
この後、ハンバーグはスタッフのお空が食べたそうにこっち見てましたが。
でも私が、独占して食べました。
そうね
私はあなたを傷つけてしまったのですか?
いいえ、むしろ私があなたを傷つけているわ
『お姉ちゃんは玉ねぎを切りながらそんな事を言っています。……正直怖いです』
でも、その玉ねぎはハンバーグの一部になって私の糧になるので、止めることも出来ません。
「さあ、牛肉。幼いあの頃を思い出させてあげるわ」
物言わぬ、ひき肉はあの日の牧場を思い出してどうやら心の中で泣いているようです。
幼い日、いかれた牧場主にむりやり母牛と引き裂かれて南の街にドナドナされて肉牛として育ちその短い命を終えたようです。
「胡椒、あなたはいつまで銀と同じ価値だと思って居るの?」
どうやら、胡椒はうぬぼれ屋のようです。その場で、挽きながらお姉ちゃんは叱責しています。
「……嫌ね。塩はいまいち何が言いたいのか分からない。……うるさい」
多分、お塩に含まれている微生物が一斉に思いをお姉ちゃんにぶつけて居るのだと思います。
お姉ちゃんは、食塩だけにニガムシをかみ砕いたような顔をしながらそんなことを言っていました。
「次に産まれる時は、ヒヨコに成りたかった? 無理ね。あなたは無精卵だもの。一生卵のままよ」
なぜか、卵を割るときお姉ちゃんはニタニタしながらそんなことを言います。なぜか、サディスティックです。
そんなだから、仕返しされて殻が混じっちゃうんです。……本当は割るのが下手なだけです。
「駄目ね。まったく駄目。パン粉、君は今日は全然ダメ」
今日はお肉の量が多かったので、かさましのパン粉は加えられないようです。
次に会うその日まで、カビず腐らず頑張って欲しいです。
「ごめんね。みんな、ごめんね」
それら混ぜた者に謝りながらお姉ちゃんはフライパンでハンバーグを焼きます。
お姉ちゃんは多分、混ぜた物がハンバーグに変わっていくさなかに生じる怨唆の思いを感じて居るのでしょう。
……心がわかるのなんて嫌だ。だから、私は眼を閉ざしてしまったのかもしれません。
お姉ちゃんと、お料理すると毎回こんな感じだから食べ物を無駄にしちゃいけないんだってことがわかるんです。
「さ、こいし、ハンバーグできたわ。食べましょう」
ライスとお野菜に彩られたハンバーグは美味しそうにお皿に盛られています。
「ねえ、お姉ちゃん。ハンバーグは何か言っている?」
「……美味しく食べてねだって」
私の質問に、お姉ちゃんは少し複雑な表情をしてからそう答えました。
この後、ハンバーグはスタッフのお空が食べたそうにこっち見てましたが。
でも私が、独占して食べました。
胡椒に対するセリフが特にツボ
ごっちゃんです!
全く関係ないですけど「フライパンでハンバーグを焼きます。」の部分を
「フライパンでハンバーグを混ぜます」に空目して笑っていました。
お姉ちゃんおちゃめ