今夜はやけに静かだと思ったら、風がまったく吹いていないらしい。
妹紅はふと思い立ち、簡単に髪を結うと上着をつかんで寝床から抜け出した。玄関でブーツを手繰り、砂をこするように履く。立て付けがまた狂ったのか扉が引っかかる。
月が、昨日の雪を照らしていた。
妹紅は息をすぼめて吐き出すと、より静かそうな方へ、竹林の中へと向かって道を歩きだした。
暗闇の竹林の中にひと際まとまった月明かりを見つけると、道を外れてそこへ向かう。新雪は膝より高く積もっている。それを踏みしめ踏みしめ、呼吸に合わせて脚を引き抜き乗り越えてゆく。
身体が暖まりかけてきた頃、その空間へたどりついた。
妹紅は仰向けに未踏の雪原へ倒れこむ。
粉雪が舞い上がり、再び降りてきた。それを感じながら、月を浴びる。
無音の世界を探しに来たのに、なかなか音が途切れない。息は止めたところで鼓動が止まらず耳が鳴る。衣のヨレも気にするたびに雪が鳴る。
遠くで、おそらくは竹から雪が滑り落ちた。しばらくすると、また。そして。また。
妹紅はついには諦め身体を起こす。
「あー、寒ッ」
声は闇に吸い込まれ、響くことなくすぐ消えた。
妹紅はふと思い立ち、簡単に髪を結うと上着をつかんで寝床から抜け出した。玄関でブーツを手繰り、砂をこするように履く。立て付けがまた狂ったのか扉が引っかかる。
月が、昨日の雪を照らしていた。
妹紅は息をすぼめて吐き出すと、より静かそうな方へ、竹林の中へと向かって道を歩きだした。
暗闇の竹林の中にひと際まとまった月明かりを見つけると、道を外れてそこへ向かう。新雪は膝より高く積もっている。それを踏みしめ踏みしめ、呼吸に合わせて脚を引き抜き乗り越えてゆく。
身体が暖まりかけてきた頃、その空間へたどりついた。
妹紅は仰向けに未踏の雪原へ倒れこむ。
粉雪が舞い上がり、再び降りてきた。それを感じながら、月を浴びる。
無音の世界を探しに来たのに、なかなか音が途切れない。息は止めたところで鼓動が止まらず耳が鳴る。衣のヨレも気にするたびに雪が鳴る。
遠くで、おそらくは竹から雪が滑り落ちた。しばらくすると、また。そして。また。
妹紅はついには諦め身体を起こす。
「あー、寒ッ」
声は闇に吸い込まれ、響くことなくすぐ消えた。
ただタイトルを頼りに読んで行かないと妹紅が何をしたかったのかが伝わりにくいかなとも感じました
それでも全体の雰囲気は好きな作品でした