「ゆーきやこんこ」
からころとお嬢様が歌う。
「少し早くないですか?」
「あーられやこんこ」
私の意見はスルーされたが、お嬢様は何を思ったのか唇の動きを止める。
「時期的には、深まってきた秋というところでしょうか」
「あわてんぼうのー」
ぷかぷかお嬢様が笑うので、私は季節なんてどうでもよくなってしまう。
お嬢様の歌声には、あどけない子どもが、楽しい気持ちをいっぱい胸にあふれさせて、わーっと叫ぶような、そんな愛おしさがある。
「さーんたくろーすー。……あ!」
てってってっ、とお嬢様が走り出した。枯れ葉をしきしきと踏みしめて、何かを拾う。
「みて、咲夜! 今年はじめて拾ったどんぐり!」
お嬢様はまん丸で、笠の大きなどんぐりをひとつ、その小さな手につまんでいた。
「やじろべえでも作りますか?」
木の実で遊ぶ方法をもっと勉強しておけばよかったとも思ったけれど、秋はまだ始まったばかりだ。お嬢様と一緒に、今年の秋もめいっぱい楽しもう。
「フランにもっていってあげたいな。あ、そーだ!」
お嬢様が葉っぱの絨毯に手を伸ばす。そして、可愛らしい顔をむーっと難しそうにしかめて、ぱっと一枚の赤い葉を手に取った。
「これは美鈴っぽい」
真面目なトーンでそんなことを言うものだから、あまりのお嬢様の可憐さにくらりとめまいがしそうになった。
「これはパチェ。こっちは小悪魔で、これなんかフランにぴったり! それでこれは咲夜」
落ち葉を抱えて、お嬢様はご満悦だ。
「ありがとうございます。みんなも喜びます」
「そうだよね、ふふ」
嬉しそうなお嬢様に、私まで心がほころぶ。
「素敵な秋の日ということで、今日は栗ご飯にいたしましょう」
「さんせい!」
日が傾き出した夕暮れ、橙色に濡れた庭で私たちは笑いあった。
整然たる日本語で的確に描写するべし
冬も始まりそうなのに温かい思いがしました
とても可愛らしく幸せな作品でした