Coolier - 新生・東方創想話

それはまるで魔法のような

2017/09/20 17:12:00
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「……そしてそのキノコを、三種類の魔法薬に漬け込んで乾燥させるのを繰り返したのがこちらになる」

 と、霧雨魔理沙が差し出した物体に対して、十六夜咲夜が悩んだ事というのは、眉間に刻むシワをどの程度の深さにするべきかという事だった。
 本人に悪気は無いのだという事を思えば、あからさまに汚物を眺めるような渋面を見せるのはためらわれる。そうかといって「まあ、いい色ね」などと皮肉を言ってみせるには、その物体の外観が醸し出す毒気は強烈に過ぎた。

 元は白かったのであろう黄土色の柄に、半球状の傘を持つその物体は、なるほどどう見てもキノコではあった。橙色の傘に紫の斑点模様が浮かび、全体として黒ずんだその佇まいは、およそ毒という毒の全てを注ぎ込んで作られたのだと言わんばかりだ。ほのかに妖気を放ってすらいるそのキノコを、食しても死なずにいられると信じることは、咲夜にはできそうもなかった。

「これを食べる」

「食べる!?」

 しかし、目の前の霧雨魔理沙改め、イカレキノコ馬鹿の見解はそうではないらしい。恐らく、キノコの食べ過ぎで脳までキノコになってしまったのだろう。そう思えばこのキノコも、そこはかとなく脳みそのように見えなくもないと思い、胃の中身がせり上がってきそうな気配を感じて、咲夜は慌てて紅茶を一気に飲み下した。

「食べることによって、身体が縮む」

「どういう理屈よ」

「様々な調合の魔法薬に漬けたからな。見えなくてもいろいろな魔法が刻み込まれているんだ。まず身体が小人サイズまで縮んで、次にキノコの成分によって鼓動が急速に早まる」

「強心作用のあるキノコとか完全にダメなやつじゃないの」

「そもそも鼓動の速さは体重の四分の一乗に比例するから、小さくなる事で鼓動は早くなる。そこにキノコの強心作用が加わる事で、鼓動の速さは数倍になる! その状態を維持すると、どうなると思う?」

「死ぬでしょ」

「ふっ、浅いな……実は人間が生涯で刻む鼓動の回数はおおよそ決まっているんだ。つまりこの状態を維持することで、心臓は急速に鼓動を刻み続け、ついには生涯の限界鼓動回数に達する、つまり寿命を迎えるわけだ」

「やっぱ死ぬんじゃないの」

「ところが、小さくなって鼓動が早くなったからといって、その人間に流れる時間が早まったわけではない。これにより、対外的な時間における寿命と、体内で認識する寿命に齟齬が生じる事になるんだ。寿命という概念におけるエラー、バグみたいなものだな。その結果、心臓の鼓動回数はオーバーフローを起こし「この段階で寿命を迎える」という回数を通り過ぎてしまう。これにより、肉体は迎えた筈の寿命を通り過ぎて活動する事が可能になる。すでに迎えるべき寿命の段階を通り過ぎているから、間接的に不死の状態を実現する事ができるわけだ」

 咲夜は、窓の外より降り注ぐ太陽光に目を細めていた。咲夜の私室として設えられたこの部屋は、太陽の光を取り入れる構造をしている、紅魔館においては数少ない場所だった。
 なぜ窓の外を見るのかといえば、妙に冷静な口調で熱弁を振るうイカレキノコ馬鹿改めスペースサイコキノコ野郎と、その前に鎮座して瘴気を放つキノコのどちらも正視に耐えず、せめて太陽の爽やかな光でも視界に入れねば具合に障ると思ったからである。

「つまりこのキノコは、間接的な不死を実現する妙薬というわけだ。無論実証はこれからだが」

「魔理沙」

 咲夜はスペースマッドサイコキノコ野郎のかつての名前を呼び、怪訝そうなその瞳をじっと見つめ、それから時を止めて空になったカップに紅茶を注ぎ、ついでにストレッチをし、ゆっくりと座り直して時間停止を解除し、注ぎ足した紅茶をゆっくりと口に迎え入れた。心地よい温度が喉を通り抜けていくのを感じ、ほう、と一息つく。そして、カップをゆっくりと下ろし、厳かに告げた。

「馬鹿が」

「そんなに溜めてまで言う事か?」

 冷静に返すその態度が、少しばかり咲夜の癇に障った。咲夜は改めてカップを持ち上げ、香りを味わいながらゆっくりと紅茶を飲む。一息つきカップを置いて、更にもう少し溜めて、口を開く。

「たわけが」

「他に思いつかないんなら言い直すなよ」

 残念ながら、スペースマッドクレイジーサイコキノコ野郎の精神にダメージを与える事はできなかったようだ。

「まったく貴女は……無駄にこんな事ばかり熱心なのは相変わらずね」

「目的はあるんだから、無駄じゃあないだろ」

 キノコを片付け、魔理沙は咲夜の目を見た。
 真っ直ぐなその目つきにはいささかの非難が込められているようでもあり、咲夜は思わず目を背けてしまった。

「限度があるでしょう。毎度毎度トンデモ論を聞かされる身にもなって欲しいものだわ」

 意図せず早口となり、咲夜は非難を投げかける。視線を逸らした事への誤魔化しとしては、少々わざとらしすぎるに思えたが、次に魔理沙の顔を見やると、もう咲夜の目を見てはいなかった。

「霊夢に話すとうるさいってあしらわれるし、パチュリーは聞いてないんだよ」

 ぼやくようにそう言うと、紅茶を飲み干して立ち上がる。

「帰るの?」

「うんにゃ、もう少し図書館を借りていく」

「そう」

 何か、もう少し言わなければ。
 そう咲夜は思って、しかし言葉は何も続かなかった。言うべき事や、言いたい事は、そこには何もなかった。

「……今日は、日が落ちてから雨が降るみたい」

「そうだったか。ま、帰りが遠い訳でもないし、別に問題はないさ」

 ようやく出てきた言葉は、何の意味も持たないと口にした側から思うように、取り留めがなかった。
 それでも返事があった事に、咲夜は胸の奥で安心と、ほのかな熱を感じ取った。

 それと、ほんの少しの痛みを。





 かつて、物欲の赴くままに魔導書や希少本の収集に明け暮れていた頃、霧雨魔理沙の家は本で溢れかえっていたという。加えて本以外にも物欲は他方へ矛先を向け、家の中は足の踏み場もないという状態が続いていたそうだ。
 たまに来る人形遣いが言うには、今も散らかっている事には変わりないが、昔と比べれば遥かに整頓されるようになったそうだ。眼前でペラペラとページをめくる姿に、パチュリー・ノーレッジはその理由を見た気がした。

 霧雨魔理沙という魔法使いは卓上の理論より実地の経験を重んじるタイプだった。それが故なのか、彼女はどうにも読書に不心得なところがあった。
 読むのが苦手という訳ではない。しかし、言葉や文脈、実証と推論を交えて展開される理論を、噛み砕いて吸収しようとし過ぎるきらいがあった。一冊の本を読み込み過ぎるのだ。読書家という観点ならそれは長所であるだろうが、魔法使いとしては明確に短所であるとパチュリーは考えていた。

 魔法とは、結局のところ理論の積み重ねによって成るものだ。すべての結果には原因があり、それに至る理論が存在する。それらの理論を幾多も組み合わせ、望んだ結果をもたらすための方法論を魔法と呼ぶ。魔法の研究とは、結果と原因を筋道立てて法則付ける理論を、一つずつ紐解いて理解する事だ。
 しかしそれらの理論が、絶対的に確定した理論である事というのは、実はあまりない。「Aという条件において、Bという行動がCという結果をもたらす」というテストケースを幾多にも積み重ね、そこから原因と結果の関係を推察したものが理論なのである。それらは未来の事象を予測するために大いに役立てられているが、特定の条件下においてそれらが覆される事というのは、大海に砂粒を投げ込むかの如き小さなものであっても、決してゼロではない。ましてや、それが本に書いてあるというのでは、書いた人物の当て推量がどこまで含まれているのか分かったものではない。さも当然の事のように共通の認識であった事柄が、ある日まったくの間違いであったと判明する事態というのは、珍しい事ではない。
 故に、本を読んで研究を進めるには、その記述の『信頼度』を自分で判断して定義しなければならない。しかし、書き手が正しいと思って書いている事柄の、その理論のどこに齟齬があるのかを見つけ出すのは容易ではない。それを実現する手段として、パチュリーは『複数回読むこと』『時間をおいて読むこと』を徹底している。最低でも三回は読むし、不明瞭なところがある限りは十回でも百回でも読む。その代わり、身を入れて一度読むだけで全てを理解しようとはしない。それをすると、書き手の認識と自分の認識が近くなり過ぎて、理論の穴に気付きにくくなってしまうからだ。過不足ない理解のためには、『本の内容を理解しようとする自分』と、『それを外側から他人事のように眺めている自分』の両方がいなくてはならない。

 今、魔理沙が読んでいる「精霊魔術:火行における緯度と経度の関係」という本は、記憶が確かならば三日前にも読んでいた本である。更に記憶を辿れば、一月以上前にも手にしていたはずだ。あの本は内容こそ限定的だが非常に情報量が多く、ところどころで実証に乏しい飛躍論理を用いているため、過不足無く理解するのにはかなりの労力を必要とする。しかし、独特な着眼点からの考察は画期的であり、後に実証された理論が多く記述されているため、研究者の間では評価の高い本である。
 魔理沙はその本を、スラスラと目を走らせてページをめくってゆく。傍から見れば、本当に読んでいるのか疑わしいと思うだろう。しかし、情報を頭の中に定着させるための時間、理論を噛み砕いて理解する時間、一度それらから離れて頭を冷やす時間、その全てに彼女の中で、最適な配分というものが出来上がっているのだろう。だから、彼女の手つきには迷いがない。ある時は手を休めて一息つき、ある時は捕捉の知識を求めて別の本に手を伸ばす。それらの所作には一切の淀みがなく、気負いの無さが窺えた。自信がある、と言い換えても良いだろう。

 誰しも、自信のない事には必死になる。食事や睡眠の時間も惜しいと言わんばかりに、かじりついて結果を出そうと熱を入れる。
 たった一度の結果を掴むためならば、それも間違いではないだろう。しかし、魔法の研究のように、終わりのない道を延々歩き続けるためには、それは下策である。一つの事柄で良い結果が出たとして、あるいは出なかったとして、それで終わりとする訳にはいかない。そうした場合に精神というのは、いつまでも必死な状態を維持できるものではない。必要以上の力を注ぎ込めば、必ず反動が来る。それは物体に力を加えた時、反作用によって力が返ってくるのと同じ、自然現象のようなものである。
 しかし、自信がない者はそれを得るために早期の結果を求める。故に、自分の費やした労力や時間が適切なものだと信じられず、必要以上の労力を注ぎ込んでしまう。本来なら、たとえ過不足があったとしても、それはテストケースの積み重ねによって様々な結果から判断し、ベストな状態を模索するべきなのだ。早期の結果を求める者、一つの結果にこだわり過ぎる者は、それを見誤る。

 かつての魔理沙はそうであっただろうし、難儀な本をスラスラと読み進める今の魔理沙は、昔よりもずっと自己管理が上手くなったという事なのだろう。
 だから、最近の魔理沙は本を持っていかなくなった。さっと読む。何度も読む。色々読む。それがベストな状態と判断したのなら、逐一持ち帰って溜め込むのは非効率的だからだ。

「ねえ魔理沙、知ってる? 貴女が本を持ち出さなくなったものだから、小悪魔ったら「これはいつか全てを奪い去ってやるぞという宣言に違いありません!」なんて言って、日夜防備の強化に余念がないのよ」

「そうなのか。せっかく準備したのを使えないのも可哀想だし、そのうち仕掛けてやるか」

「史上稀に見る雑な開戦理由ね」

 不思議なものだ、とパチュリーは思う。
 パチュリーが種族魔法使いの典型であるように、魔理沙は職業魔法使いの典型であったと言える。

 魔法使いの在り方として、ある者はすでに数多ある――それこそ無限に等しい程に存在する理論を逐一頭に収めていっては、新たな理論の組み合わせを探して実践する。またある者は、今までに見つかっていない原因と結果を探し、そこから新たな理論を見つけ出して魔法とする。
 多くの場合において、種族としての魔法使いは前者であり、職業としての魔法使いは後者である。捨虫と捨食の魔法で不老長寿を得ている種族魔法使いと比べ、職業魔法使いは研究に費やせる時間の量で決定的に劣る。すでにあるものの勉強だけでは追いつけないから、未知なる理論の探求に希望を見出す。

 それは言い換えれば、職業魔法使いの必死さの現れとも言えた。彼女たちは、自分が先達よりも遅れたスタートを切り、先達よりも前提の知識量で劣り、なおかつ、先達よりも時間に余裕がない事を知っている。そうした時に、彼女たちが何を希望して研究に乗り出すのかと言えば、『ある事柄において多大なる成果を掴み、それに関してのみ誰にも負けない』という事を夢見るのだ。
 だから、既存の理論を学ぶ事にいつまでもかかずらってはいられない。未知なる理論の探求に希望を見出し、そしてその殆どは、道半ばで心折れるか、限界を見て捨虫と捨食の魔法を会得するか、希望と共に死んでいく。

 それは結局のところ、焦りがそうさせるのだ。明確に一つの事柄を求めるが故に、それに届かない自分と、残された時間への焦りが生まれる。生命に限りがあればこそ、人はそれと決して無縁ではいられない。研究者の戦いとは、その焦りをいかに打ち倒すかにかかっていると言っても過言ではない。

「……随分と熱心な割には、脈絡のない本をあれこれと読んでいるのね」

 霧雨魔理沙という少女は、かつて焦っていただろう。そして、少女とは呼べなくなった今、彼女は焦っていないように見える。
 彼女は、今も人間だ。未だにパチュリーと大差ない背丈も、金色を湛える瞳の強さも、緩やかに波打ち、しかしよく見ると対して手入れされていない髪の毛も、いくらか丸みの取れた童顔も、昔とさして変わらないように見える。
 それでも、決して同じではない。そこには、確かな時間の流れが存在する。恐らくはこの世でもっとも絶対的で、残酷なものが。

「どこにヒントが転がっているか判らんからな」

 ちょうど読み終わったところだったらしく、パタンと本を閉じて魔理沙はぐっと伸びをする。そうしてから、次の本を手に取る。
 机の脇にうず高く積まれた本は、身を屈めれば彼女の身体がすっぽりと隠れてしまいそうなほど。けれど、見る間にその高度を低くしてゆき、いつの間にか膝ほどの高さになっていた。

「出来ない事は、どうしたって出来ない事。それを認められない者に、魔法使いは務まらないわよ」

 そんな事を言ってみる。なるべく、嫌味に聞こえるように。
 無理な事にいつまでも腐心している時間は、お前には無いのだぞと、聞こえるように。

「随分とらしくない言い草じゃあないか。咲夜に言われたのか? 諦めさせろって」

「さてね。でも、真実ではある。可能と不可能の区別を明確にしなければ、そこに理は通らない」

「そうだな。つまりお前には出来ない事だ」

「どうして貴女には出来ると思うの?」

「出来ないと信じる理由がない」

「それは希望的観測に過ぎない。理屈ではない」

「だから理屈を見つけるために、こうして勉強しているんだろ」

 魔理沙の返答には淀みがなかった。ページをめくる手を止めさえもしない。
 実際、当たり前の態度ではあるのだろう。もし、パチュリーが彼女の立場であったなら、同じ事を言っただろうと思う。

 それでも、その結果として起こる筈の事柄に対して、何も思わずにはいられない。

「不死の秘術を完成させるのに、どれほどの研鑽があったと思うの? それを、貴女一人で、それも新しい理論として構築しようなどと」

「出来るに決まっている事しかやらないのが魔法使いか? なら、私はそうじゃあないな。これからは普通の大魔法使いとでも名乗ってみるか」

 パチュリーの言葉を遮って放たれたその反論には、明確に意地が込められていた。
 その言葉には齟齬がある。出来るに決まっている事を、出来るに決まっていると証明するのが魔法使いだからだ。しかし誤謬とも言えない。出来ないと証明されていない事は、出来るに決まっている事かもしれないのだから。
 だから、これも意地でしかない。自分に出来ないと――やらないと決めた事柄を、愚直に追い求める相手への、羨望や嫉妬、先達としての矜持が、冷水を浴びせるための言葉を紡がせる。

(これじゃあ、私のほうがワガママを言っているみたい)

 そう自嘲してしまうくらいには、魔理沙の意志は真っ直ぐで迷いがない。見ていて恐怖を感じる程に。

 本当は、必死なはずなのだ。
 彼女が、新たな不死の魔法を構築し、それを与えようとしている相手は、遠からず寿命を迎えると宣言されている。
 残された時間は少なく、成果はようとして掴めない。それでも、倒れそうになるほど死に物狂いになったり、振るわない結果に苛立ちを見せたりはしない。

 必死だけれど、もっとも効率的な行動のために、『必死にならない』事ができる。
 あるはずの焦りも、恐怖も、全て飲みこんで。

 まともではない。

「……あの娘を……」

「ん?」

 ぼそりと漏れ出た声は、それまでに投げかけた言葉よりも強く、魔理沙の興味を引いたらしかった。
 顔を上げる魔理沙の目線を、パチュリーは正面から受け止める事はできなかった。

「……ううん、無理はしないようにね」

「なんだよ、急に優しいこと言いやがって。気持ち悪いな」

 あの娘を、どうかよろしく。
 そう続ける事はできなかった。
 それはきっと呪いになる。

 再び本に目を落とした魔理沙は、もうパチュリーの存在など忘れてしまったかのように、淀み無く視線を走らせ続けた。

 もう充分に呪われているし、そこにあるのは、きっと狂気だろう。
 どのような状況にあっても、なお普通でいられるという狂気。

 その有り様を見ていると、本当に無理な事などは、何もないのではないかと錯覚しそうになる。
 自分に出来ない事も、彼女には出来るのではないか。そう思わされるくらいには。





 十六夜咲夜が、もうすぐ死ぬ。

 パチュリーはそれを、当の咲夜本人から聞かされた。
 寒い時期だった。天気がどうだったかは、外に出なかったから分からない。
 休憩時間だと言って、図書館にやって来た。時間を止めずに休憩を取るのは珍しいから、その事を指摘した。彼女は笑って、穏やかに、自分が遠からず死ぬ事を告げたのだった。

 十六夜咲夜は時間を操る。彼女は止まった時の中で、自分だけが活動する事を可能としている。
 それはすなわち『彼女が活動した時間』と、『実際に流れた時間』の間にズレが生じているという事だ。

 魂が存在し、霊魂が意思を伝え、肉体が行動する。その一連の流れで時間が消費される。
 では、時間を消費する事なくそれを行う時、代わりに何が消費されているのか。

 それを指摘したのは、永遠亭の薬師、八意永琳だった。あの永夜異変のすぐ後、咲夜と個人で会いその話をしたのだという。
 時間の流れを、別のもので代用する事はできない。代わりに消費するものがあるとすれば、それは咲夜自身に流れる時間しかない。
 すなわち、寿命である。

 彼女の肉体は、すでに正常な時間の流れを失っている。
 子供が子供でなくなるくらいの時間が過ぎても、彼女は一見して、まるで老いから開放されたかのように変わっていない。
 だが、それは外見だけの話だ。時間の流れから切り離された分だけ、彼女は肉体に残された時間を消費している。

 その話を聞いて、パチュリーはレミリアと相談して、咲夜の能力を封じる事を検討した。そうすれば少なくとも、これ以上の寿命の消費は抑えられるし、元に近い状態まで戻す手段もあるかもしれない。
 しかし、咲夜はそれを固辞した。「この能力と共に私があり、私はこの能力に生かされてきたのです。だから、最後まで共にありたいと思っています」と告げて。

 紅魔館の皆――特に美鈴などは、強く能力の封印を主張したが、咲夜がうんと言わない以上、それを尊重するより他にはなかった。
 パチュリーは妖怪達の中では年若い方であるが、それでも、人間よりは遥かに長い時を生きている。レミリアとフランも、美鈴も、小悪魔だって皆がそうだ。
 短い時を生きる人間と、ゼロという時間をその身で過ごしている彼女と、一日の重みを共有する事はできない。

 同じ感覚を持てない者として、パチュリー達にできるのは、彼女がその決断を後悔しないよう祈る事だけだった。

「後悔はするでしょうよ、多分」

 日の落ちたテラスでワイングラスを傾けながら、レミリアはつまらなそうに言う。

「僅かな時間の中で育ち、学び、老いながら、己の運命を左右する幾つもの決断を迫られる。違う道を選んだ自分がどうなっていたか、知る術もない。退屈していられる時間も無いほど、人間の一生ってのは忙しない。私にはとても真似できないわね」

「……レミィなら、人間に永遠を与える事もできるでしょう?」

「あいつが拒んだからね。実際、その気持ちはわからなくもない。「人間は早死にだから吸血鬼にしてやろうか」なんて、人間が不幸な生き物だと言われているも同然だろう。そんな哀れみを受けるいわれはない、と、私だったら思う」

「そう。それじゃあ、あの娘はレミィに似たのかもね」

「ふん」

 ぐい、とグラスの中身を干したレミリアに向けて、パチュリーはワインボトルを傾ける。深紅色の液体が、月明かりを受けて輝きを揺らせる。
 本来なら、この役目は咲夜のものだ。けれどレミリアはしばらく前から、パチュリーと晩酌の時には咲夜を下げさせていた。この時間は彼女にとって、忙しい日々にあっての憩いとなっているだろう。特に最近、レミリアはしょっちゅうパチュリーを連れ出していた。

 星空に目を向けながら、レミリアはグラスを何度も傾けた。
 しゃなりと洗練された所作ではあるが、そう頻繁に中身を口に運ぶのは、あまり上品とは言えない。

 この館の中で、彼女はもっとも長く、咲夜と一緒にいた。
 その時間の長さが、咲夜を束縛する事を拒ませるのだろうし、グラスを傾ける手を早くさせるのだろうと、そう思う。

「あと何年かしらね」

「桃の実が成るよりは、短いでしょうね」

 そっけなく交わされるこの会話も、もう何度目か知れない。
 そんなにも深く憂うのならば、いっそ、力づくで彼女から死を奪ってしまえばいいとも思う。
 特に、レミリアにはそれを実現する力がある。

 それでも、やはりそれは出来ないのだった。レミリアにも、パチュリーにも、フランや美鈴にも、誰にも。

 長く一緒にいた。ずっと近くにいた。家族のように、心の奥深くで繋がっていた。
 その全てが、彼女の歩む道に立ちはだかろうとする足を、とても強く、地に縫い付けて、決して離さなかった。

「あいつが羨ましい?」

 パチュリーが向けたその問いは、自らに投げかけたものでもあった。
 咲夜と同じように生きる彼女。咲夜と同じ時間を、共有する事ができる彼女。
 自分たちが知らない事を、知っている彼女。

「どうかな……あいつが結果を出せなかったら、私は安堵するだろうし、きっと後悔もするだろう。結果を出したとしても、やっぱり同じように思うんじゃないかな」

 レミリアの視線を追って、パチュリーは夜空を見上げた。
 深い闇色の空に、幾重にも瞬く星。漆黒から流れる、波打つ金の髪のように。

 星を眺める者は、星を掴むために手を伸ばす者を、狂っていると思うだろう。
 ならば、空の向こうまで手を伸ばし、その星にたどり着けるのは、狂った者だけなのだ。





「いいか? 火加減が重要なんだ。強すぎると成分が壊れるし、弱すぎると抽出が不十分になる」

 真顔でそう告げる魔理沙の額からは、球のような汗が吹き出ては流れ落ちていた。普段の魔女衣装よりかなり薄着で、髪は乱雑にまとめて後ろに放っている。咲夜の方も、自室であるのをこれ幸いにとシャツの前を大きく開けていた。とても客人に見せられる格好ではないと考え、そういえば目の前の黒白も客人だったと思い出した。

 魔理沙は小さな丸テーブルの上に八卦炉を置き、その上に設置した寸胴鍋の中身を慎重にかき混ぜていた。無色透明の液体の中で、キノコやら謎の草やらゲル状のガラスとしか表現しようのない物体やら、様々なよくわからないものが踊っていた。見る限り火加減は相当強いようだが、鍋の液体が沸騰する様子はなく、どうやらあれも水ではないらしい。

「もしこの質問にイエスと答えたら、貴女を殺すけど」

「おう」

「それ、もしかして私に飲ませようとしてる?」

「バカを言うな。飲むわけがないだろう」

 魔理沙は咲夜の方を見ようともしなかった。一時も目を離せないくらい、あの中身は危険に満ちているという事だろうか。

「頭から被るんだよ」

 次の瞬間、鍋は八卦炉の火から降ろされており、魔理沙は腹部を押さえてうずくまっていた。

「殴ることないだろ」

「確かにそうね。刺すべきだったわ」

 言ってから再度時間を止めて、なんとなれば衝撃を加えた瞬間に爆発でもしそうなその鍋を回収し、厳重に密閉しておく。外に捨てたらその場所が不毛の地と化しそうなので、後で魔理沙の家の庭にばらまこうと決意する。

「せっかくの不死の研究成果だったというのに、酷いやつだ」

「どうせ実証はまだなんでしょう?」

「まあな。あれ八百度くらいあるから、全身に被ったあと効果が出るまで生きていられるかが課題だった」

「真っ先に潰すべき課題じゃないの」

 はあ、と息をついて咲夜は席に戻る。
 魔理沙は不満そうな顔でその向かいに座り、瞬時に眼前へと置かれた紅茶のカップを、慣れた手付きで口に運んだ。

 彼女が『研究の成果』を咲夜の部屋に持ち込む時の顛末は、だいたいこの様なものだった。
 どこまで真面目に応対すべきか測りかねるくらいに、彼女の態度は飄々としており、そして真剣でもあった。

 だから、いつも言えずにいたのだ。
 もう止めにしないか、と。

 咲夜の寿命が遠くない事を知ってから、目に見えて魔理沙の訪問が増えた。
 図書館から本を持ち出す事が無くなり、頻繁に通っては数多の本を読み漁るようになった。
 そして、来る度に必ず一度は、咲夜の元に顔を出す。

 もう結構な期間、それが続いている。
 その間、彼女の態度が変わった事は一度もない。容姿に多少の変化はあっても、それこそ時の流れから切り離されているかのように、彼女は変わらなかった。

「貴女は……」

「ん?」

「貴女は、どうしてそこまでするの?」

 今までの理論に依らない、新しい不老不死の秘術。
 彼女がそれを研究し始め、咲夜に逐次その成果――だかなんだか――を見せに来るようになってからも、随分と時間が経ったように思える。

 その意味するところを、理解できないとは言わない。だけど、

「貴女が、私を放っておかない理由はなに?」

 彼女は、明確に咲夜を引き留めようとしている。
 咲夜がその全てを拒んだ事を知っていながら、咲夜のために、新たなる不死の術を作り出そうとしている。

 レミリア・スカーレットという吸血鬼がいる。彼女に血を捧げ眷属となれば、人としての死を超越する事ができる。
 パチュリー・ノーレッジという魔法使いがいる。彼女から捨虫、捨食の魔法を学べば、永遠に老いぬ身体を得る事ができる。

 咲夜がそれを選ばなかった事を知って、考え直すよう訴えた者がいなかった訳ではない。
 だけど誰も、咲夜と、その家族とも言える者たちが選んだ道を、曲げさせようとはしなかったし、できなかっただろう。

 霊夢のように、何も言わなかった者もいる。魔理沙もそうだった。

「私のためさ」

 魔理沙は少し考えるそぶりをしたけれど、返答には淀みがなかった。

「いつここに忍び込んでも、どこからともなくお前が現れる。図書館に先導して、いつの間にか紅茶が出されている。すました顔であくせく働いているが、たまに疲れた顔をして、でも次の瞬間には、たっぷり休んでリフレッシュしたような顔になっている。みんなに恐れられているくせに、感謝され、慕われもしている」

 魔理沙の目線を追って、咲夜は部屋のあちこちに目をやった。美鈴が初めてつけてくれたリボンは、すぐに大きさが合わなくなって、人形の首に巻かれた。給仕の作法を学ぶ本は、小悪魔が探してくれたものだ。他にもあるいくつかの本は、パチュリーからの贈り物。お前と同じ歴史を持つものだ、とレミリアが渡してくれたワインは、今も大切に棚の奥で眠っている。ある時期から増えだした不格好な人形は、フランドールが暇つぶしに始めた趣味の成果だった。
 この、決して大きくはない部屋にも、歴史は紡がれていた。そこには幾つもの顔があった。紅魔館の皆や、妖精メイド達。霊夢やアリスや、他にも沢山の顔が。

「そういうのが、私は良いと思っているんだ。何かが失われるという形で、それがなくなってしまうより、続いていく事の方が」

「……変わらないものはないのよ。どんなものだって」

 それを聞いた魔理沙は、机に肘をついて顎を手にのせた。
 咲夜は行儀の悪さを指摘しようとした。言葉が出なかったのは、その目がにんまりと、睨めつけるように咲夜の目を見たからだった。

「お前って、あんがい情緒的だな。乙女というか」

「なにがよ」

 魔理沙は両手を頭の後ろに回した。体重をかけられた背もたれが、ぎし、と音を立てる。

「確かに、変わらないものはない。永遠亭の奴らを見ると、なおのこと思うな。実際に永遠を生きるあいつらでさえ、いつまでも変わらないままでいられない事を知って、人前に姿を見せるようになった。永遠に生きるって事は、永遠に変わらないって事ではない」

 魔理沙の口調には、自尊と自負が感じられた。まるで、ずっと昔から知っていた事と言わんばかりに。

「魔法使いが不老不死を求めたのは、永遠に変わらないでいたいからじゃあない。数多の学びを得て、万物を解き明かし、あらゆる魔法を編み出す。そういう変化を、ずっと続けるためにだ。
 私達は、指輪を交換し、誓いのキスをしても、変わらぬ愛の誓いが果たされない事を知っている。変わらぬ愛が永遠ではない事を知っている。だけど、昨日と同じではいられなくても、昨日より良くなる事はできる。いつまでも善であり、良いように変わり続ける事を信じるのが、愛の誓いだ」

 愛、という言葉を、咲夜の目を真っ直ぐ見据えて魔理沙は口にする。その目は、咲夜を気恥ずかしい気持ちにさせたけれど、決して逸らせない程に、咲夜の視線を捉えて離さなかった。

「変わらないではいられないから、良くなる努力を怠れば、悪い方に変わるしかなくて、いつかは壊れるだろう。だけどお前は、お前とこの場所は、私にとってはそうじゃあない。私はお前の事が好きだし、明日や、十年後や、百年後、もっと好きになっていると信じられる」

 そこまでで咲夜は耐えきれなくなり、強引に顔をうつむかせた。さまよう視線は向かうべき場所を定められず、頬に灯った熱が外からも見えてしまうであろう事が、余計にその熱を高まらせた。

「……情緒的とか、乙女とか、あんたの方がよっぽどじゃないの」

「今さら何言ってんだ。私は恋の魔法使い、霧雨魔理沙さんだぜ?」

 紅茶をすすって誤魔化そうとしても、熱は全く咲夜の顔から引いていかない。咲夜は所在なく、眼前にたれた自分の前髪をいじり始めた。外見はさておき、自分はこんな仕草が似合う年ではなかったはずなのに。

「だから、お前がそれをどう思うかは、悪いがあまり重要じゃあない。私にとって大切なものを、大切にし続けるためにそうするんだ」

「……それならどうして、あんたは今も人間のままなの?」

 種としての魔法使いへと至る不老長寿の魔法。それらを会得しないまま、彼女は今もここにいる。人間を捨てる事が、より長い変化の道のり、その始まりであるはずなのに。

「私はなにも捨てる気はない」

 ふっと魔理沙は笑った。星が落ちる程に大げさでもなく、夜が明ける程に劇的でもなく、ただ、そうあるのが当然の、普通の事であるかのように。

「知ってるだろ? 私は片付けが苦手なんだ。特に、ものを捨てるってのはどうにもな。お前だって、なにも捨てない事を選んだから、そうしているんだろう」

 魔理沙は咲夜を――というよりは、その向こうにあるたくさんの想いを見ていた。その中の幾つかは形となって、今もこの部屋にある。
 多くのものを必要としない生活を続けてきたが、それでも、この部屋には少しずつものが増えていった。時には壊れてしまったりして、捨て去ったものもあったけれど、望んでそうしたものは、きっと一つも無かった。ずっとそれを続けていれば、やがて部屋の全てを満たして、溢れてしまっただろう。

「強欲なのね」

「人間だからな」

 魔理沙は、溢れてしまう事を恐れていなかったし、きっと気にも留めていない。同じような事をしても、咲夜とは違うものを見て、違う事を想っているだろう。
 それは当たり前の事だった。だから魔理沙は、咲夜が思う通りにしようとはしない。そして、今は違っている事が、明日も、十年後も、百年後も違っているかは、きっと、誰にもわからない。

「でも、だからこそ、私が貴女の思い通りになってあげる理由もない」

「なんだよ、お前は私のこと好きじゃないのか?」

「大好きよ。愛してるわ」

 ようやく目線を上げて、咲夜は真っ直ぐに魔理沙を見た。頬の熱は完全に引いてはいなかったけれど、努めて強くしたその視線は、いくらかは魔理沙を怯ませる事に成功したようだ。

「でも、それはそれ。これはこれ」

「ふん、ようやく調子が出てきたって顔だな。
 まあ良いさ。この魔法が完成した時、頼むから使ってくれなんて言うつもりはない。強引に浴びせてやるさ。マスタースパークみたいに」

「あら、私に当てられると思うの? それこそ、時間を止めてでも避けられるこの私に」

「その時が来たら試してやるよ。避けきればお前の勝ち。お前は死ぬ事ができる。そうでなければ、いつまでもここで紅茶を淹れるお仕事だ」

「メイドの仕事は紅茶を淹れる事だけじゃあないんだけどね」

 言い終わると同時に、咲夜は時を止めて、空になった紅茶のおかわりを用意した。
 もう、すっかり慣れ親しんだ動作だった。ここ数年くらいは、ずっと変わっていないように思える。もしかすると、百年後だって変わってないかもしれない。そう考えると、永遠に変わらないものも、案外その辺にあるのかもしれない。

「貴女は……」

「うん?」

「……貴女の思う通りになったなら、貴女は、私と一緒に生きてくれるの?」

「そうだなぁ……」

 魔理沙は口をつぐんで、紅茶のカップを手に取った。
 季節に合わせて少しぬるめの温度を、柔らかな香りを楽しむように口元で揺らし、それから、ゆっくりと一口。

「百年ぐらいは、この紅茶も飽きずに楽しめるかもな」

「その後は?」

「飽きたら緑茶派に転向するかも」

 その言葉を、さすがに魔理沙は目を見て言ってはこなかった。
 それは気遣いか、気まずさの誤魔化しか、あるいは、からかいの気持ちの現れだろうか。

「……なら、そうなった場合は、世界中のあらゆる紅茶を探さなくちゃあいけないわね。千年だって、万年だって飽きないように」



 ここにある気持ちが、明日も同じである保証はない。一ヶ月後や、一年後ともなれば、なおのこと。
 だけど、良い方に変わり続ける事ができるなら、それはきっと、何も悪くはない。

「愛が永遠じゃないとしても、愛よりもっと良いものに変わっていくと、信じる事はできる。身体が成長するように、学びが知識を増やすように、経験が心を豊かにするように、自分の一部となって、ずっと変わり続ける」

「……まるで呪いみたいね」

「そこは魔法と言って欲しいな。……だがまあ、大した違いはないか。自分の中に深く結びついて、混ざり合って、死ぬまで解けない」

「死ななくなったら、どうなるの?」

「同じだよ。死ぬまで、解けないんだ」

 結果がどうであったとしても、きっと悪くはない。
 いつか失われても、失われずに変わり続けても、きっと。
ご読了に感謝いたします。ご批評をお聞かせ願えれば幸いに存じます。
咲夜さんのこの手のネタは定番でしょうが、本作の原点になったのは、寿命を受け入れようとする人間に対し、同じ人間と、人間でない者が抱く感覚の違いを書きたかったのが二分ほど。残りの九割八分は咲マリを書いてみたかったからです。
それにしても砂糖が足りない。
仲村アペンド
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コメント



0.640簡易評価
1.80奇声を発する程度の能力削除
とても良かったです
4.100怠惰流波削除
とてもいい咲マリでした。好きだぜと言い放ってみせる魔理沙も、大好きよと赤面ながら堂々と言ってみせる咲夜も、お互いの距離感が伝わってくるようで。
二人の掛け合いも心地いい。あくまで結末は見せずに、咲夜の私室で話を終わらせるのも好みでした。
心配をしながらも当人の意思に任せる保護者組も暖かく、とてもいい紅魔館でした。
5.80名前が無い程度の能力削除
咲マリがちょっぴり好きになれる作品でした
6.100名前が無い程度の能力削除
お互い自分の信念を曲げない二人が良いですね。
9.90名前が無い程度の能力削除
いい距離感の咲マリを読ませて頂きました。人間ではない立場から人間を理解しようとする紅魔組も温かかったです。
10.80もなじろう削除
それぞれの相容れぬ信念を見せつつ、干渉させないままに話をまとめていく。とても難しい事だったと思います。
魔理沙やパチュリーの魔法に対する哲学も好きでした
11.100大根屋削除
人間を感じさせる、とても良いお話でした
様々な想像を働かせる文章は素敵なものです……
15.70名前が無い程度の能力削除
句読点に不自然さを感じる気がする
16.80名前が無い程度の能力削除
解釈の表現がよかったと思います。序盤は少々眠くなったけど
17.100名前が無い程度の能力削除
これは良い咲マリです!