Coolier - 新生・東方創想話

お楽しみはまだまだ、これからじゃないか。

2017/02/19 04:09:00
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「あの本見せてくれるかい?」
「あ、いらっしゃいませ。あの本ですね?」

小鈴は本棚から黒い分厚い表紙の如何にも風格のありそうな本を持ってくる。客はそれをとる。少し埃を被っているようで客が息を吹き掛けるとふわりと、空に舞い上がる。

「あまり使われてないようだね」
「ここのところ大してお話も増えてませんし……」

客ははらりと本を開き数ページ眺めると本を閉じた。

「残念だね」
「これも時の流れと言うのでしょうか」

小鈴は困ったような笑みを見せる。

「まぁ、いいさ。それもまた一つの宿命というものだ」
「あれだけ楽しい物語が湯水のように記されていたのですけどね」
「昔を懐かしむのはいいが、現実も受け止めないといけない。それに薄々感じてはいたんだよ。このところ徐々に物語が更新される頻度が減っていってるってね。無理もないさ。もう何年更新され続けていたんだいこの本は。どんなに支持を受けていたとしてもいずれ飽きられてしまうものさ」

客は本棚から笛のようなマークが施された本を取り出す。

「こっちは順調に物語が増えているようだね」
「確かに人気あるようですね」
「誰だって新しいものを欲しがるものさ。流行りにしても何にしても
。流れに取り残されたものは忘れ去られるだけなんだよ」

客の言葉に小鈴はうつむいていたが、ふと顔を上げて客に向かって言った。

「あの……そんなことはないと思うんです。確かにこの世の中は栄枯盛衰ですけど本に関してはそんなことないと思うんですよ。だって現に過去の本もこうやって消えずに残ってるじゃないですか。それに本は単に需要と供給の問題じゃないんです。本には文献的な役割があります。その時代その時代を写し出しているんです。例え、誰も手に取らなくなったとしてもその本が残っていることに価値があるんです。だから……」
「君の言いたいことは大体わかったよ。もちろんそれは承知の上さ。しかしそれは求める意味合いの問題でもあるだろう。客はあくまで楽しい本、面白い本を求めているんだ。多くの人にとって本は娯楽なんだ。だから常に新しい娯楽を求めているに過ぎないんだよ」

客はそう言うと先ほどの笛の本を手に取る。

「これ、借りていくよ」
「あ、ありがとうございます……」

小鈴がお辞儀をすると客は足早に出ていった。


ため息を一つつくと小鈴は黒い表紙の本を手に取りめくる。その本の表紙にはこう書いてあった。





―――東方創想話、と。
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コメント



0.簡易評価なし
1.無評価名前が無い程度の能力削除
現状を嘆いているのか過疎化を進めたいのかわかりま千円
これを機会に書き手へのクラスチェンジしてみてはいかが?
もちろん起承転結がなされた最低でも10kb以上の作品で
2.無評価名前が無い程度の能力削除
正義感のつもりかもしれないが笛何某への誘導になってる。
3.無評価名前が無い程度の能力削除
これでも作者があたま撫でられて無鉄砲に褒められる「 」や「 」よりはマシな現状。
4.無評価名前が無い程度の能力削除
まるで笛が面白いとでもいってるようだが、冗談
作者とキャラがイチャイチャするだけの話が好きならそっちでいいんじゃん?
住み分けてな
5.無評価ほうじ茶削除
最近、ちょっと前までたくさんあった「第一話」のような続き物が一向に出てこない気がする(完結してくれるのも少なかったけどね)。俺的には単品作品よりも好みなのだけれど……
6.50桜野はる削除
タイトルに希望がある感じがします。
7.90名前が無い程度の能力削除
やりたいことがはっきりしていて良いと思います