「新しい妖怪が出たってよ。封獣ぬえだとさ」
「新しい妖怪が出たんですって。何とか……獣、ぬえ、とか言ったかなあ」
「寺に妖怪だよ。う~ん獣ぬえだって」
「新しい妖怪だよ。淫獣だって」
「淫獣?」
「淫獣」
「淫獣」
「あ、淫獣ぬえだ」
「はぁぁ?」
ある日、お使いに出かけていたぬえは子供にそう呼びかけられて、びっくりしてしまった。他人に遠慮をしないぬえは、外に出かける時も羽根をしまったりはしない。それで、大人たちは避けていたのだが、物怖じしない子供は指をさしてそう言ったのだ。むしろ、ぬえの方が驚いてしまった。子供は、大人にすぐさま連れられて逃げていってしまったので、そのことをそれ以上聞くことはできなかった。ぬえは、不思議に思いながらも、その場はそのままにしておく他はなかった。
そうこうしているうちに、伝言ゲーム状態で風聞が広がり、寺にいる鵺という妖怪の名前は、淫獣ぬえで覚えられていった。どうしてこんなことに。
広まってしまったものは仕方がないが、ぬえは寺にいる妖怪たちの他にはあまり顔を見せず、あまり知られていない妖怪だから、間違った名前で呼んでも訂正する者がいない。それに、当人も知らないままで過ごしていたから、気付けば広まりきってしまった後なのだった。ぬえという生き物のことを知っている者が少なかったのも原因の一つだ。
知らず知らずのうちに、「あれ? ぬえって封獣だっけ。淫獣だっけ」と、寺の内部の妖怪達でも、間違ってしまう者が出るのは仕方ないことだった。
そして……
「あ、淫獣じゃん」
「淫獣ー」
「おお淫獣、元気にしとったか」
「あ、淫獣さん。おはよーございます」
庭先でぼーっとしているマミゾウの所へぬえが現れ、「おー、淫獣、まあここへ来て座れ」と言うに及んで、ついにぬえはぶち切れてしまったのだった。
「いい加減にしてよ! マミゾウ、あんたは知ってるでしょ! 悪ふざけするのやめてよ」
かっかっか、とマミゾウは笑うばかりだった。庭では焚き火が焚かれていて、ぼうーっとマミゾウは足を軒下に投げ出して、火を眺めていた。マミゾウが黙っていたので、仕方なく、ぬえは話を繰り返した。
「そもそもさ、淫獣って何なのさ。何なのかも分からないんだけど」
「おお、その話は続いておったのか」
「あのさあ……」
「お茶ですよー」
村紗が割り込んできた。お茶を一つ置いて、あら、とぬえを見る。
「あんたもいたの、淫獣」
「ほら!また言う! あんたも知ってるでしょ、私は封獣! 他の連中なら付き合いも浅いからさぁ、仕方ないかなって思うけどさぁ……」
くっくっと村紗も笑った。そう言って夢中になるぬえが、おかしくて仕方ないらしい。
「もう、淫獣にしたらいいんじゃない、名前。封獣だって適当につけたんでしょ。封じられてた獣だから封獣、単純よね。もう知れ渡ってるんだから、淫獣ってことにした方が通りが良いわよ」
「良くない! 封獣だと、封じられる必要があったほど力の強い獣だって一言で分かるでしょ。淫獣だと、なんか違うものになっちゃうじゃん」
「何のお話ですか?」
たまたまそこを通りがかったのは、聖白蓮だった。白蓮が現れると、村紗は膝を揃えて居住まいを正した。
「あら、淫獣さん」
「淫獣じゃないって。ていうかさ、これイジメだよね? 白蓮、あんたが訂正しないから……」
「淫獣さんではなかったのですか? それはそれは……では、淫棒珍棒おまん棒というのはどうですか」
「何? どういう意味? マミゾウ?」
「儂の口からは言えんのう」
「淫棒魔羅棒レイン棒」
「それはどうかな。こういうのはどうじゃ、ボボ獣ぬえというのは」
「それはちょっと……直接的ですわ。では……ぼぼちょ豆にだだちゃ豆……獣」
「おっぱい好きな左官屋がおってな、その名もおっぱい盛んだ左官太夫乳麻呂と申してな」
「おい!」
「ポンチョにマンチョにズベリンチョ」
「なるほど、ポンチョは下半身を隠せないからの。ポンチョを捲りあげる仕草が目に見えるようじゃの」
「でしょう。ではマミゾウさん次を……」
「ちょっと待て!」
ストップ、ストップ、と、ぬえは物理的に間に割って入って、会話を中断させた。このまま会話を発展させるとどういうところに行き着くか見当もつかない。村紗は顔を赤くして、吹き出しそうになりながら、俯いて笑いを堪えていた。
「そもそもさ、そもそものことなんだけど、繰り返しになるけど、淫獣って何よ。何なのかも分からないんだけど」
「ぬえのことでしょ?」村紗が混ぜっ返し、「だから!」とぬえは大声を上げる。
白蓮がそれに答えた。
「私にも分かりませんけど」
「分からないのかよ!」
「ちょうど、長老が来ているから、聞いてみます?」
長老って何だよ。と、ぬえも村紗も、マミゾウも思った。だけど、特につっこみを入れることもなかった。それをしていると話が長くなって終わらない気がしたのだ。
「淫獣とはな……」
長老が語り始めた。長老のビジュアルは、読者諸君の思っている通りでよいと思われる。だいたい髭と眉の毛が多く、古びた服を着ている。なぜ寺にいて、なぜこのような話をしているかは謎であるが、そもそも長老というものの存在からして謎なので、あまり気にしないでよい。
「人里近くに住み、家々を渡り歩いては、言葉巧みに誘っては女色を漁り、一度食らいつけば数夜に渡って食らいついて離さないという。精力絶倫で、性欲のままに振る舞う、畜生のような獣のことじゃ」
「ちょっと待って! 違う違う! 私はそんなんじゃない!」
長老の前に、横一列に並んで座る四人。村紗とマミゾウと白蓮が、顔をそれぞれずらしてぬえを覗き見て、ぬえは慌てて手を振った。村紗が長老に視線を戻して質問した。
「そもそも、それって雄のことでしょ。女色を漁るんだから」
「そう! それ! 村紗良いこと言った。私、女だから! 淫獣は男なんでしょ?」
「ぬえの正体は不明じゃからな。分からんがのう」
「マミゾウうるさい!」
さよう、と長老は続けた。
「さよう……。わしが聞いたことのある淫獣とは雄のことだが、雄がおるということはおそらく雌がおるのだろう。雌の淫獣は、つまり夜毎に雄を漁る獣のことじゃ」
「ぬえ……」
「違うってば! そういう目で見るのやめろ!」
ほわわわん、と、三人の頭に、雲形の吹き出しが浮かんで、三者三様のぬえの淫獣の様子が浮かんだ……。
「わー! わー! やめろ!」
ぬえは慌てて両手を振り回して、それらを振り払った。消える間際の絵面を一瞬で説明するならば、マミゾウの想像は着物をはだけ、裸の男の胸に指を添わせる好色な表情のぬえを、白蓮のは着物姿の女たちを中心に、おぼんで大切なところを隠して裸踊りをするぬえを、そして村紗は夕暮れの寺、雨が降り出して、人気のない一室でなんとも言えないムードの中、二人で隣りあって座っていると指先がこつんと当たり、自然と視線を交わす、一瞬交わった視線は村紗がふいとそらすと途切れ、ぬえが手を伸ばして村紗の肩に触れ、「何、目そらしてんの」と囁く。やだ、と村紗が振り払おうとすると、ぬえはその手を掴み、肩を押してぬえは村紗を畳に倒し、村紗の上へ覆い被さる。二人の距離がごく近くなり、視線はすぐ目の前で重なり合って……。
「ぬえ、お主、案外やる女だったんじゃの」
「何考えたの!?」
「ヤリチン」
「白蓮! あんたさっきから何言ってんの?」
「や……や、やだ、ぬえったら、そんな」
「村紗! ちょっと村紗!」
一人は意識を飛ばして妄想を続けていたが、想像を終えた二人は、じろりとぬえを見た。ぬえはひるまず、言葉を続けた。
「ていうかさあ、そんなの広めないでよね! ただでさえ間違って覚えられてんのに、淫獣なんて言葉を広められたら……」
「ほほう?」
「うーん……」
「私は言わないわよ。淫獣なんて人前で言うの嫌だし」
「村紗はいいとしてそこの二人!」
「淫獣を悪い言葉のように言うのはどうでしょうか。淫獣差別はよくありません。淫獣だって胸を張って生きているんですよ」
「淫獣は淫獣でいいけど私は淫獣じゃない! というかそういう話でもない!」
「儂は自分から広めようとは思わんが……何か得になることがあれば別じゃが……」
「マミさん、新聞屋に売ったら高く売れるのでは?」
「お、それじゃ白蓮、売り上げでどうじゃ一杯」
「その居酒屋さんノンアルはあります?」
「ちょっと待ってってば! お前らほんとやめろ! 長老、あんたも分かってるでしょうね、喋ったら……っていねぇし!」
長老は忽然と消えていた。まるで最初からいなかったかのように。長老を探してバタバタしているうちにマミゾウと白蓮は飲み屋に行ってしまって、村紗は恥ずかしがってぬえの前から消えていた。
「でもさ、スペカっぽくて良くない? ほら、芥川龍之介の河童ってスペルカード使う河童がいたでしょう。江戸川乱歩の淫獣」
「江戸川乱歩に謝れ! しかも漢字違うし。あっちは『陰獣』。そもそも、あっちは河童だから河童って言ってもいいけど、私淫獣じゃないし!」
と、後になって、村紗に慰められたけど、微妙に慰めにはなっていなかった。淫獣という名前は広まってしまった。
それで、ぬえは泣き寝入りをし、しばらく能力を使って、影に潜み、人から見られないように生活することにした。畜生め。マミゾウめ。白蓮め。村紗が妙に優しくなって、時々会いに来てくれるので、それが慰めだった。
やがて、時が経った。
「寺にいた、淫獣ぬえって奴、最近見ねぇな」
「ん……獣、なんだって」
「なんだっけな、んー獣……ぬえだよ」
「ぬえのお姉ちゃん?」
「封獣ぬえでしょ。間違えたらだめよ」
「封獣ぬえ、近頃見ないなー」
「封獣ぬえ」
「封獣ぬえ」
……そういうわけで、次第に封獣ぬえに呼び名が戻って、一件落着したのだった。
「新しい妖怪が出たんですって。何とか……獣、ぬえ、とか言ったかなあ」
「寺に妖怪だよ。う~ん獣ぬえだって」
「新しい妖怪だよ。淫獣だって」
「淫獣?」
「淫獣」
「淫獣」
「あ、淫獣ぬえだ」
「はぁぁ?」
ある日、お使いに出かけていたぬえは子供にそう呼びかけられて、びっくりしてしまった。他人に遠慮をしないぬえは、外に出かける時も羽根をしまったりはしない。それで、大人たちは避けていたのだが、物怖じしない子供は指をさしてそう言ったのだ。むしろ、ぬえの方が驚いてしまった。子供は、大人にすぐさま連れられて逃げていってしまったので、そのことをそれ以上聞くことはできなかった。ぬえは、不思議に思いながらも、その場はそのままにしておく他はなかった。
そうこうしているうちに、伝言ゲーム状態で風聞が広がり、寺にいる鵺という妖怪の名前は、淫獣ぬえで覚えられていった。どうしてこんなことに。
広まってしまったものは仕方がないが、ぬえは寺にいる妖怪たちの他にはあまり顔を見せず、あまり知られていない妖怪だから、間違った名前で呼んでも訂正する者がいない。それに、当人も知らないままで過ごしていたから、気付けば広まりきってしまった後なのだった。ぬえという生き物のことを知っている者が少なかったのも原因の一つだ。
知らず知らずのうちに、「あれ? ぬえって封獣だっけ。淫獣だっけ」と、寺の内部の妖怪達でも、間違ってしまう者が出るのは仕方ないことだった。
そして……
「あ、淫獣じゃん」
「淫獣ー」
「おお淫獣、元気にしとったか」
「あ、淫獣さん。おはよーございます」
庭先でぼーっとしているマミゾウの所へぬえが現れ、「おー、淫獣、まあここへ来て座れ」と言うに及んで、ついにぬえはぶち切れてしまったのだった。
「いい加減にしてよ! マミゾウ、あんたは知ってるでしょ! 悪ふざけするのやめてよ」
かっかっか、とマミゾウは笑うばかりだった。庭では焚き火が焚かれていて、ぼうーっとマミゾウは足を軒下に投げ出して、火を眺めていた。マミゾウが黙っていたので、仕方なく、ぬえは話を繰り返した。
「そもそもさ、淫獣って何なのさ。何なのかも分からないんだけど」
「おお、その話は続いておったのか」
「あのさあ……」
「お茶ですよー」
村紗が割り込んできた。お茶を一つ置いて、あら、とぬえを見る。
「あんたもいたの、淫獣」
「ほら!また言う! あんたも知ってるでしょ、私は封獣! 他の連中なら付き合いも浅いからさぁ、仕方ないかなって思うけどさぁ……」
くっくっと村紗も笑った。そう言って夢中になるぬえが、おかしくて仕方ないらしい。
「もう、淫獣にしたらいいんじゃない、名前。封獣だって適当につけたんでしょ。封じられてた獣だから封獣、単純よね。もう知れ渡ってるんだから、淫獣ってことにした方が通りが良いわよ」
「良くない! 封獣だと、封じられる必要があったほど力の強い獣だって一言で分かるでしょ。淫獣だと、なんか違うものになっちゃうじゃん」
「何のお話ですか?」
たまたまそこを通りがかったのは、聖白蓮だった。白蓮が現れると、村紗は膝を揃えて居住まいを正した。
「あら、淫獣さん」
「淫獣じゃないって。ていうかさ、これイジメだよね? 白蓮、あんたが訂正しないから……」
「淫獣さんではなかったのですか? それはそれは……では、淫棒珍棒おまん棒というのはどうですか」
「何? どういう意味? マミゾウ?」
「儂の口からは言えんのう」
「淫棒魔羅棒レイン棒」
「それはどうかな。こういうのはどうじゃ、ボボ獣ぬえというのは」
「それはちょっと……直接的ですわ。では……ぼぼちょ豆にだだちゃ豆……獣」
「おっぱい好きな左官屋がおってな、その名もおっぱい盛んだ左官太夫乳麻呂と申してな」
「おい!」
「ポンチョにマンチョにズベリンチョ」
「なるほど、ポンチョは下半身を隠せないからの。ポンチョを捲りあげる仕草が目に見えるようじゃの」
「でしょう。ではマミゾウさん次を……」
「ちょっと待て!」
ストップ、ストップ、と、ぬえは物理的に間に割って入って、会話を中断させた。このまま会話を発展させるとどういうところに行き着くか見当もつかない。村紗は顔を赤くして、吹き出しそうになりながら、俯いて笑いを堪えていた。
「そもそもさ、そもそものことなんだけど、繰り返しになるけど、淫獣って何よ。何なのかも分からないんだけど」
「ぬえのことでしょ?」村紗が混ぜっ返し、「だから!」とぬえは大声を上げる。
白蓮がそれに答えた。
「私にも分かりませんけど」
「分からないのかよ!」
「ちょうど、長老が来ているから、聞いてみます?」
長老って何だよ。と、ぬえも村紗も、マミゾウも思った。だけど、特につっこみを入れることもなかった。それをしていると話が長くなって終わらない気がしたのだ。
「淫獣とはな……」
長老が語り始めた。長老のビジュアルは、読者諸君の思っている通りでよいと思われる。だいたい髭と眉の毛が多く、古びた服を着ている。なぜ寺にいて、なぜこのような話をしているかは謎であるが、そもそも長老というものの存在からして謎なので、あまり気にしないでよい。
「人里近くに住み、家々を渡り歩いては、言葉巧みに誘っては女色を漁り、一度食らいつけば数夜に渡って食らいついて離さないという。精力絶倫で、性欲のままに振る舞う、畜生のような獣のことじゃ」
「ちょっと待って! 違う違う! 私はそんなんじゃない!」
長老の前に、横一列に並んで座る四人。村紗とマミゾウと白蓮が、顔をそれぞれずらしてぬえを覗き見て、ぬえは慌てて手を振った。村紗が長老に視線を戻して質問した。
「そもそも、それって雄のことでしょ。女色を漁るんだから」
「そう! それ! 村紗良いこと言った。私、女だから! 淫獣は男なんでしょ?」
「ぬえの正体は不明じゃからな。分からんがのう」
「マミゾウうるさい!」
さよう、と長老は続けた。
「さよう……。わしが聞いたことのある淫獣とは雄のことだが、雄がおるということはおそらく雌がおるのだろう。雌の淫獣は、つまり夜毎に雄を漁る獣のことじゃ」
「ぬえ……」
「違うってば! そういう目で見るのやめろ!」
ほわわわん、と、三人の頭に、雲形の吹き出しが浮かんで、三者三様のぬえの淫獣の様子が浮かんだ……。
「わー! わー! やめろ!」
ぬえは慌てて両手を振り回して、それらを振り払った。消える間際の絵面を一瞬で説明するならば、マミゾウの想像は着物をはだけ、裸の男の胸に指を添わせる好色な表情のぬえを、白蓮のは着物姿の女たちを中心に、おぼんで大切なところを隠して裸踊りをするぬえを、そして村紗は夕暮れの寺、雨が降り出して、人気のない一室でなんとも言えないムードの中、二人で隣りあって座っていると指先がこつんと当たり、自然と視線を交わす、一瞬交わった視線は村紗がふいとそらすと途切れ、ぬえが手を伸ばして村紗の肩に触れ、「何、目そらしてんの」と囁く。やだ、と村紗が振り払おうとすると、ぬえはその手を掴み、肩を押してぬえは村紗を畳に倒し、村紗の上へ覆い被さる。二人の距離がごく近くなり、視線はすぐ目の前で重なり合って……。
「ぬえ、お主、案外やる女だったんじゃの」
「何考えたの!?」
「ヤリチン」
「白蓮! あんたさっきから何言ってんの?」
「や……や、やだ、ぬえったら、そんな」
「村紗! ちょっと村紗!」
一人は意識を飛ばして妄想を続けていたが、想像を終えた二人は、じろりとぬえを見た。ぬえはひるまず、言葉を続けた。
「ていうかさあ、そんなの広めないでよね! ただでさえ間違って覚えられてんのに、淫獣なんて言葉を広められたら……」
「ほほう?」
「うーん……」
「私は言わないわよ。淫獣なんて人前で言うの嫌だし」
「村紗はいいとしてそこの二人!」
「淫獣を悪い言葉のように言うのはどうでしょうか。淫獣差別はよくありません。淫獣だって胸を張って生きているんですよ」
「淫獣は淫獣でいいけど私は淫獣じゃない! というかそういう話でもない!」
「儂は自分から広めようとは思わんが……何か得になることがあれば別じゃが……」
「マミさん、新聞屋に売ったら高く売れるのでは?」
「お、それじゃ白蓮、売り上げでどうじゃ一杯」
「その居酒屋さんノンアルはあります?」
「ちょっと待ってってば! お前らほんとやめろ! 長老、あんたも分かってるでしょうね、喋ったら……っていねぇし!」
長老は忽然と消えていた。まるで最初からいなかったかのように。長老を探してバタバタしているうちにマミゾウと白蓮は飲み屋に行ってしまって、村紗は恥ずかしがってぬえの前から消えていた。
「でもさ、スペカっぽくて良くない? ほら、芥川龍之介の河童ってスペルカード使う河童がいたでしょう。江戸川乱歩の淫獣」
「江戸川乱歩に謝れ! しかも漢字違うし。あっちは『陰獣』。そもそも、あっちは河童だから河童って言ってもいいけど、私淫獣じゃないし!」
と、後になって、村紗に慰められたけど、微妙に慰めにはなっていなかった。淫獣という名前は広まってしまった。
それで、ぬえは泣き寝入りをし、しばらく能力を使って、影に潜み、人から見られないように生活することにした。畜生め。マミゾウめ。白蓮め。村紗が妙に優しくなって、時々会いに来てくれるので、それが慰めだった。
やがて、時が経った。
「寺にいた、淫獣ぬえって奴、最近見ねぇな」
「ん……獣、なんだって」
「なんだっけな、んー獣……ぬえだよ」
「ぬえのお姉ちゃん?」
「封獣ぬえでしょ。間違えたらだめよ」
「封獣ぬえ、近頃見ないなー」
「封獣ぬえ」
「封獣ぬえ」
……そういうわけで、次第に封獣ぬえに呼び名が戻って、一件落着したのだった。
勢いだけで最後まで読んでしまった
思い付きをだーっと勢いで流し込まれたようなうんぬん
なんにせよ面白かったです
特に唐突な長老の出現が面白かったです
後書きの知識は「へーそーなのかー」と思いましたがダメです。ギルティ
おもしろかったです。
ただただ下品
白蓮が性格悪すぎてひくわ
この手の二次設定の下らないところを切り口に執筆された作品はよくあるけども、この文章は言わせたいだけならまだしもキャラの扱い起承転結全てが粗雑、てか考えてないよねこれ
一切の展開も無ければ見所なぞもっと無い
作品として昇華されてない稚拙な勢いだけの文章 Twitterにでも上げてろ
正直なぜこんなものが二桁ものレート値を獲得しているのか分からない