こころとお面とすすり泣き
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夜の人間の里は昼間とは別の顔を見せる。妖怪を警戒する人間は家に閉じこもるため、人通りは極端に減るのだ。安全を考慮して夜に営業する飲み屋のほとんどは一か所に集中して営業しているし、どんなに店が混雑していても極端に酔った客を一人で帰すことはしない。連れがいるのなら話は別だが。
「雲居殿、飲みすぎだろう」
「そーねー、怒られるかもしれないから何とかしないと」
物部布都に支えられた雲居一輪はふらつきながら歩いていた。道に点在しているかがり火が明りになって一輪の顔が真っ赤なことがわかる。布都はそこまで赤くない。
時間をかけて用水路近くの腰掛にたどり着き、座り込んだ。風が吹くたびに柳の木が揺れていた。布都があたりを見回しても周囲に人の気配はない。先ほどまで賑やかな店内にいたせいで周囲の小さな物音に不思議なほど敏感になっていた。
「こんなに飲んだのは久しぶりよ。飲み仲間がいるっていいものね」
「早く酔いを醒まして欲しいのう」
「だったらそこの用水路にドボンといっちゃう? 絶対に早いわよ」
「だめに決まっておる」
一輪の熱のこもった息が布都にかかり彼女の顔をゆがませた。抱きしめようとする一輪から離れようと布都がもがく。
「熱い。引っ付くな」
暴れる二人に強風が吹き付ける。風に乗って布都の長い髪が柳の枝のように流れた。
「何か聞こえんか?」
「えー?」
「変な声が聞こえる気がする」
一輪が布都から手を放し耳を傾けた。風に乗って小さい声が聞こえてきた。
よんじゅうごまーい、よんじゅうろくまーい、よんじゅうななまーい
顔を見合わせた二人は無言で立ち上がる。用水路のせせらぎよりも小さな足音で声に近づいていった。
「何かを数えているのかの?」
ささやき声で布都が尋ねる。一輪の顔はまだ赤みを帯びているが眼光は鋭かった。
「あんたの都市伝説じゃないわよね?」
「もう出してない。そもそも皿屋敷は十枚の話じゃ。もう五十枚までいっておるぞ」
ごじゅうよんまーい、ごじゅうごまーい、ごじゅうろくまーい
「まあ、捕まえて聞けばいいか。明らかに怪しいからちょっとは殴ってもいいよね」
建物の角から一輪が顔を覗いて辺りを見回す。呼吸を抑えて無駄を排除した彼女の動きはその経験の豊富さを物語っていた。布都はそんな彼女の動きを見るたびに彼女の過去について思いをはせるのだ。
一輪が手招きをして布都を引き寄せる。
「あいつかな」
布都が覗き込んだ路地の先にうずくまっている人影があった。暗闇でも浮かび上がる桃色の頭髪とその周囲に人魂のように光る何かが漂っている。
「なんだ。こころではないか」
布都の声に気づいて秦こころが振り向いた。いつも通りのポーカーフェイスであったが、姥の面を頭に掲げていた。面の表情とお面を握りしめた姿勢から何が起こったのか容易に想像がつく。
「まさか、また面を無くしたのか?」
こころはうなづく。
「何度数えても六十五枚しかないの……」
布都は小さくため息をつく。「またか、今度は何を無くしたのだ?」
そう言われたとたん、こころは目をそらしてしまった。のどに餅を詰まらせたかのように口を閉ざす。
よく見てみるとこころの耳が桜色に色づいていることに布都は気付いた。目を細めてこころに詰め寄る。
「まさか、何の面を無くしたかわからないのか?」
「だって、普段使わないお面なんて覚えてられないもん……」
「おぬしの一部じゃろう」
「こんなに数が多いと存在感の薄いだってできるよ……」
夜の闇に溶けてしまいそうな、小さな声が布都の耳に届いた。彼女の不注意が原因とはいえ、普段無邪気な言動をしている分こんなに落ち込んでいるとつい同情してしまう。
「まあ、大丈夫でしょ。神子さんに頼めば新しいのを用意してくれるでしょ」
暗闇にも鮮やかな白と青の衣装を着た一輪が強い口調で励まそうとした。
豊聡耳神子の名前が出るとこころは頭を抱えてしまった。表情がないため細かなニュアンスがわかりにくい。
「今、ちょっと頼みづらいの」
驚いた顔で前のめりになった一輪が尋ねる。「何かあったの?」
「この前、新しい希望の面の具合はどうって聞かれたの。私は馴染んでると思うけど里の人間が希望の面を見ると妙に笑ってしまうから頑張りが足りないのかなって答えたら、あの人変な顔したの」
一輪は合点がいったようで苦笑した。「あのお面か。笑っちゃうのも無理ないわ」
「何を言うか。素晴らしい意匠だと我は思うぞ。理解できぬ者の意見など気にしなくてよい」と、布都は横やりを入れる。
こころは話を戻そうとした。「私もそう思うから言ったのよ。昼だと笑われたり、夜だと子供が泣くことはあるけど、それはお面として完璧だからって。普通の人にはわからなくても私はどれだけ立派かわかってるからって。そしたら泣きそうな顔しちゃった」
一輪と布都は苦い顔で見合わせた。二人の間で見えない糸がつながったかのようだった。
「それフォローになってないわ」
「最近、妙に落ち込んでたのはそのせいか」
無表情でこころが首をかしげる。「やっぱりそうなの?」
-2-
「じゃあ、とりあえず無くした時のことを聞いてもいい? どこで無くしたの?」
「たぶんここ」
「ここ?」
一輪と布都は辺りを見渡す。よくある路地裏でうず高く積み上げられた荷物が所々にあるだけだった。通り過ぎるだけの裏道のようにしか見えなかった。
「この辺りは探した?」
「探したけど見つからなかった」
「じゃあ、なぜここで無くしたとわかるのだ?」
布都の質問に再び顔をそらす。こんどは桜色を通り越して顔が桃色になっていた。
「……寝てた」
予測から遠く離れた一言に二人は目をぱちくりさせた。二人のこころへの視線が痛いほどに突き刺さる。
「ごめん。もう一回言って」ようやく一輪が口を開く。
「お酒を飲みすぎて、ここで倒れて、寝ちゃった」
うつむきながら、途切れ途切れに話すこころの姿は失敗を親に告白する子供のようだった。叱られるのを恐れているようだった。二人は親ではないし、そのつもりもなかったので怒らずにいた。どちらかといえば、先輩や悪友のつもりでいるのだ。
「で、目が覚めたらお面を無くしたのに気付いた」
こころは首を振る。「気づくのはもうちょっと先」
布都の眉がいびつに歪み、眉間にしわを寄せた。
「まだ何かあるのか」
小さくこころがうなづく。
「起きたら、ふらつきながら用水路まで行ったの。そしたら足を滑らせて落ちちゃった」
二人はリアクションするのも煩わしくなり、曖昧な返事で済ませるようになっていた。表情は安物のお面のように抜けた表情をしていた。
「だったら用水路は調べた? たしか所々に網が張ってあったわよね」
用水路に落としたものが里の外に流れてしまうのを防ぐためである。
こころは首を振る。「調べたけど、結局何もなかったの」
「何も? 無くしたのはお面だけではないのか?」布都の口調は尋問のようになっていた。
もしこころに表情があったら自分のうかつさに顔を歪めていたことだろう。代わりにその気持ちを表現するかのように顔色が桃色からリンゴのような赤色に変わっていった。
「金庫の……鍵。舞台の小道具とか入れてたんだけど」
「鍵も無くして、そっちはどうなったの?」
「結局見つからなくて、鍵ごと壊して金庫を無理やり開けた。お面に気づいたのは鍵を開けた後」
三人の間を沈黙が埋め尽くす。こころの赤い顔は桃色の髪と相まって暗闇の中で周囲のお面の一つのように浮かび上がっていた。
「こころ……」一輪がこころの両肩をつかむ。「もう少し頻繁に顔を出して。寺でも道場でもどっちでもいいから」
「同感じゃ」
顔を真っ赤にしたこころは何度もうなずいた。
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間もなく沈みそうな太陽の光を用水路が反射していた。反射した光が布都の目元に届いて目を細めた。
あの話の後、朝が近かったのでその場は解散となった。一輪と布都はいったん帰宅し、こころはお面を探すとのことだった。布都は待ち合わせの時間よりも先に里を歩き手掛かりを探している。なにしろ時間が限られているのだ。放っておけば里の人間の感情に影響が出て博麗の巫女が介入することになる。こころの話では無くしてから四日が経過しているらしい。
「見つからないとなると、誰かが拾った可能性が高いからのう。やはり太子様に言うべきではないか」
一番確実なのはそれである。こころが頼みたくないと言うからここまで面倒くさくなっているのだ。おかげで察しの良い神子に黙るのが大変だった。そもそもこころは無邪気を通り越して幼さを見せる時がある。そのうち良くなると布都は思っていたが、一度道場に入れて集中して鍛えた方がいいのかもしれない。
「ん……?」
用水路にかけられた橋の中央でうなだれる人影が目についた。まだ日は沈みきっていないのに彼女の周りだけ暗くなっているようにすら見えた。
「ろくろ首ではないか。大丈夫か?」
赤蛮奇はゆっくりと布都に顔を向けた。目を真っ赤に泣きはらして疲れているように見えた。
ものすごい勢いで布都の両肩をがっしりと掴む。あまりにも強いものだから痛みで布都の顔がゆがんだ。
「あんた!! 私の頭知らない!? 予備の頭が一つ見つからないの」
「知らんが、肩が痛い。放してくれ」
放した手でそのまま自分の顔を覆った赤蛮奇は声を上げて泣き始めた。周囲を歩く人間が横目でじろじろと見つめてくる。
なだめるように布都が赤蛮奇の背中をなでる。
「頭を無くしたのがそんなにショックなのか?」
泣きながら赤蛮奇は頭を振った。
「わかんないのよ。見つからないなんて時々あったし、その時もこんなに泣いたことないの。なのにタチの悪い魔法にかかったみたいに悲しくて仕方がないのよ。夜中に散歩なんてしなきゃよかった」
こころも赤蛮奇も物を無くしてばかりのようだ。なにか悪い流れでもあるのだろうか。
「……おぬし、その頭を無くしたのはいつのことじゃ」
「三日、いや四日前かな」
赤蛮奇の背中を撫でながら布都は話を詳しく聞くことにした。
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「聞いてみたら、こころが寝た路地の近くを通ったらしい。偶然にしては一致しすぎではないか?」
一輪とこころを目の前に布都が話す。
その次に一輪が口を開いた。
「こっちも変な噂を聞いたんだけど、夜な夜な泣きながら皿を数える女の霊がいる話があったのよ。皿を数えたのはこころだとしても、別に泣いてなかったし。なにか関係がないかしら」
一輪の話が終わるか終わらないかの内にこころが自分のお面を手に取り始めた。右へ左へとお面をどんどん積み上げていった。
「わかった!! 深井(ふかい)がない」
「お面のことか?」
「そうそう。悲しみを表す面だけど、おもに子供を失った女性を表現するときの面。普段そこまで悲しむことがないから気づかなかったんだ」
無くしたお面がわかったせいかこころは小さくガッツポーズをした。まだまだこれからだというのにと二人は内心呆れていた。
「赤蛮奇の頭の件は関係してるの?」と、一輪。
こころはうなずく。「たぶん今その面を被ってるんだと思う。で、その影響が本体にまで及んで泣いてるんじゃないかな。悲しみの面だし」
そこからは議論となった。確証もなく、精神的に不安定な赤蛮奇の協力は期待できない。夜の里でお面を被ってフラフラする赤蛮奇の頭を探し回っていたら何日もかかってしまう。目立たずに、短時間で、確実に捕まえる方法を見つけなければいけなかった。
「何かないかなぁ。あと一歩なのに」こころは頭を抱えながらうなっていた。
「お面を引き寄せるとかできないのか? 種類はわかったんだからできるじゃろう」
「期待できない。お面の感情と赤蛮奇さんの頭の自我が混ざって私から半ば独立した状態になってると思う。もうひと押ししないと」
一輪は顎に手をやってつぶやいた。「そのお面って子供を無くして泣いてるんだっけ?」
「そうだよ」
「じゃあ、子供がいれば寄ってくるんじゃない?」
布都がうなづく。「なるほど。して、子供はどうやって用意する?」
一輪とこころが顔を見合わせ。示し合わせたように同じタイミングで布都を見下ろした。
己の運命を悟った布都は短くため息をついた。
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「ぐす、ぐす、うえ~ん。……違う、今訳あって泣いたふりをしておるのじゃ。大丈夫だから、さっさと行ってくれ」
たびたび心配してくる通行人をあしらいながら、布都のウソ泣きが通りに響いた。壁際でうずくまりながら、どこか遠くでこの光景を見ているであろう二人を考えて腹が立ち始めていた。さきほどの一輪の馬鹿にしたような笑顔が忘れられない。
夜の訪れとともに静寂が辺りを包み込んでいるのが肌で感じられて、どことなく肌寒さを覚えた。
早く来てほしいと願っていると、すすり泣きの声が小さく聞こえた。ようやくかと思って振り返る。
頬のこけた女が鼻先にいた。
目の前に、波に揺れているかのように落ち着きなく浮かんでいる。額にかかった赤い髪、わずかに開いた瞳の穴から赤い眼差しが光を放っていた。
後ずさりしようと足を動かすが、すぐに壁にぶつかってこれ以上は下がれない。
わずかに開いた空白を埋めようと女の顔が揺れながら目の前に迫ってくる。
無音の世界の中にそよ風のような声が布都の耳に届く。それ以外の音が聞こえなかった。
イタ、イタ、ミツケタ。
「ヒッ……!!」
それでも目を閉じなかったのは彼女の意志の強さ、矜持によるものだった。失うことになっても、死の間際になっても目を開いて自分の力で未来を決めるのが彼女だった。
「とう!!」
布都の全身を網が覆いかぶさった。目の前のお面が抜け出そうと暴れるところを一輪とこころが押さえつける。
「よし捕まえた。こころはお面を持って、私は頭を持つから。せーのっ!……とれた!!」
呆然としている布都を横に置いて、一輪とこころがハイタッチしていた。二人の楽しそうな声が通りに響いて、近所迷惑になりそうなほどだった。こころは何やら扇子をもって踊ろうとしている。
「雲居殿、網を外してくれ」
「ああ、ごめん。今行くわ」
こぼれそうな笑顔を浮かべて一輪は布都に絡まった網をほどこうとする。
「聞こえたわよ。あんたの悲鳴」
「忘れてくれ」
網の中の布都は対照的な仏頂面で何か言いたげな様子だった。
「……もうちょっと、しっかりしてほしいのう」
「こころのこと?」
網から抜け出して、砂を落としながら布都がつぶやく。
「前の都市伝説のときも役にはまりすぎて、面倒だったんじゃ。もう少し自我を確立したほうがいい気がする」
「けど、あの子は演じるのがアイデンティティの一つでしょう。まだまだ浅いところがあるけど、経験と失敗を繰り返していくしかないでしょ」
「しかしのう、こう何度も巻き込まれるのはご免こうむりたい。違ったやり方もあっていいだろう」
取り戻したお面を胸にこころは踊っている。頭に掲げた希望の面は闇夜の中で白い彼女の顔と共に浮かび上がっていた。泣いてしまった子供の気持ちが今の布都にはなんとなくわかるような気がした。希望の面ではなく表情のない彼女の顔を怖がったのではないだろうか。
「さっきのでビビったの?」
「気を引き締めようと思っただけじゃ」
こころの足元には赤蛮奇の頭が転がっていた。さっきまで被っていたお面が外れて気絶してしまったのだろう。
突拍子もない考えが思い浮かんだ。悲しみの面を被った赤蛮奇の頭が本体を悲しませてしまったのなら、そのお面を己の一部として被っているこころの感情はどうなっているのだろう。人間のように自分の内側から感情が発生して、それに合わせてお面を選んでいるのだろうか。あるいはその逆で、被っているお面に合わせて感情があるように演技しているだけでそもそも彼女は感情を持っていないのではないか。
布都は頭を振ってそれ以上考えないようにした。きっとそれは、卵が先か鶏が先かの議論なのだろうし、人間に感情はあるのかといった哲学的な問いになるのだろう。すでに人間でない自分自身がそんなことを考えるのは滑稽なように思えた。
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「かんぱーい」
飲み屋で一輪、布都、こころの三人が一斉に酒に口をつけた。周りのざわめきにも負けないくらい大きな声で騒いでいた。
「おぬしはいいのか。本体が待っているじゃろ」
首だけの赤蛮奇はテーブルの上で青い顔をしていた。
「まだ気持ち悪いから無理。もう少ししたら本体も気づいて迎えに来てくれると思うし」
目をつぶって唸り続ける。しばらくそっとしておいた方がよさそうだ。
こころが向き直って一輪と布都に頭を下げた。
「ありがとうございました」
「もう無くさないように気を付けるんじゃぞ」
「うん。迷惑ばっかりでごめんなさい」
「いいの、いいの。神子さんに言いづらかったら寺に来なさい」
「誰に言いづらかったらですか?」
唐突に割り込んできた声の主を赤蛮奇を除く全員が一瞬で気づく。表情が氷漬けになったままゆっくりと顔を向けた。
「神子さん……」
「太子様、なぜここに?」
神子は簡単だと言わんばかりの口調で語った。
「怪しい噂と、身投げしそうなろくろ首から話を聞けば何かあると思いますよ。聞き込みをして全体像もすでに知っています」
周囲から凍り付いた場を神子があっという間に支配する。誰も声を発することができなくなった。
神子はこころをにらみつける。
「こころ、何をやっているのですか」
「はい……」
「もう少し自己管理をしっかりしなさい。そんなことばっかりしていたら周りから笑われますよ」
神子の説教に、こころはうつむきながら沈みそうな声で返事を繰り返した。せっかく秘密のままで終わりそうだったのにここで知られるのはもったいないと布都は残念に思った。
「そもそもこころ。私が何に怒っているかわかりますか」
「……お面を無くしたことですか」
姿勢を直し、生徒を導く教師のような表情で神子が言う。
「違います。道で倒れて眠るんじゃありません。レディにあるまじき行いです」
一輪が何度か瞬きをする。「あの、そっちですか?」
「そっちです。お面を無くすなんて大したことではない。そのくらいならいくらでも対応できますし、もみ消すこともできます。寝るのはそれ以前の問題で、品性を無くしたらおしまいです」
神子がこころの手首をつかんで引っ張ろうとする。
「しばらく道場で鍛えますよ。みっちりやりましょう。ところで雲居殿」
「は、はい!!」
「今日のお酒はあの住職に黙っておきますから、こころに何かあったら私に伝えるようお願いします」
「わかりました」
神子がこころを連れ去って店から連れ出す。あ~れ~というこころの声が二人の耳に届いた。
姿が消えたところで一輪はテーブルにうなだれた。
「弱み握られたわ」
「まあ、毒を食らわば皿までじゃ。今日はたっぷり飲もうではないか。連れていかれたこころの分もな」
「昨日もたっぷり飲んだけどね」
二人そろって笑い合うと追加の酒を注文した。
>「雲井殿、網を外してくれ」
>「しばらく道場で鍛えますよ。みっちりやりましょう。ところで雲井殿」
→雲居
飲み友って良いですね
布都と一輪の悪友っぷりやその他のキャラの引き立て方が上手く、とても面白かったです
話がとても分かりやすく、スルスルと読めてしまいました
笑いながら飲酒に勤しむいちふとが良かったです
構成や文章などは丁寧で文句のつけようがありませんでした。