Coolier - 新生・東方創想話

△ → ―

2016/11/08 01:46:02
最終更新
サイズ
3.79KB
ページ数
1
閲覧数
1386
評価数
4/12
POINT
670
Rate
10.69

分類タグ

太陽が天頂に差し掛かる頃、博麗神社の裏の大木の住処で、光の三妖精は思い思いに過ごしていた。

具体的には、サニーは窓際のベッドから博麗神社の方を睨み、ルナは窓際のベッドから博麗神社の方を睨み、スターは窓際のベッドから博麗神社の方を睨んでいた。

三人は、すっかり脱力しきって積み重なっていた。サニーとルナが並んで頬をくっつけている上にスターが乗っている形である。

「スターの髪がかかってうっとおしいわ」

サニーが不満の声を上げると、隣のルナも声を上げた。

「私はサニーのほっぺが柔らかくてうっとおしい」
「なんだとーこれならどうだ」

サニーは自分の頬の内側から舌でルナの頬を押した。

「うわ、なにこれおもしろい感覚がする」
「え?ほんと?ちょっとルナもやってみてよ」
「ん」

サニーが催促すると、ルナは自分の頬を内側から押した。

「ほんとだ面白い。ほっぺに餅がじゃれついてるみたいな感覚がする」
「なにそのたとえ」
「ほんとなにやってるのかしら……」

スターがけだるげに呆れた。

「ふと思ったんだけどさー」
「「なに?」」

サニーは窓に微かに反射する自分たちを眺めながら言った。

「もし私たちが家族になったら、苗字はスカイかしら」
「いきなり何を言い出すのよ」
「だってサニー、スター、ルナときたら苗字はスカイじゃない」
「ああー、たしかに」

ルナが気の抜けた相槌を打つ。

「うーんでも、私たち別に結婚とかしてないし」

スターは二人の首筋の間に顔を埋めて二人の耳元で答えた。

「夫婦以外でも、ほら義姉妹とかあるじゃい」
「私達が姉妹になったら誰が姉なのかしら」

スターは言った。

「サニーは落ち着きがなさ過ぎるわ、末っ子ね」

サニーは言った。

「ルナはドジが過ぎるわ、末っ子ね」

ルナはは言った。

「スターは美味しい思いしてばっかりだわ、末っ子ね」

ふと、ルナが疑問を呈した。

「というか姉妹の契りってどうやるの」
「神に誓う?」

スターが脊髄反射で答えると、ルナは迷いながら答えた。

「……キス?」
「ああそれっぽい」

サニーが気の抜けた納得をすると、スターは提案した。

「やってみたら?」
「ちゅっ」

サニーはすぐさま傍らのルナの頬に接吻した。

「どう?」
「や、やわい……」
「そうじゃなくて、姉妹になった?」
「さ、さあ……よくわからないけど特に変化はないわね」
「わからないかーじゃあスターにもやってみよう……あーん届かない」
「そもそも何をしたら、家族なのかしら」

スターは透き通る羽をぱたぱたとなびかせた。下にいる二人を、心地よい風が撫でる。

「やっぱり結婚とかじゃない?」
「結婚ってどうやるの」

サニーの問いにルナは得意げに答えた。

「なんか男の人を略奪すればいいらしいわ。昨日読んだ本に書いてあった」

サニーは胡散臭げな顔をした。

「どうせいつもみたいに訳分からない本でしょ」

しかし、スターが二人の耳元で思い出した。

「私も聞いたことあるかも。どこで聞いたか忘れたけど」

ルナから聞いた話である。

「私たちには略奪する男なんかいないわね」
「じゃあチルノならいるかしら」
「「ないない」」
「じゃあ霊夢さんたちは?」
「どうだろう」
「意外といたりして?」
「博麗の巫女は昼の顔。その本性は夜の姿……」
「二人きりになると、魔女の本性が露わに……」
「なんだかわくわくしてきた」
「これは調査が必要ね」
「じゃ、調査開始」

サニーが号令をかける。

しかし、三人は微動だにしなかった。
窓の外には、博麗神社の屋根が見える。

しばらく、時間が過ぎてからルナが口を開いた。

「思ったんだけど、神社の屋根なんか見てたってしょうがないわ」

もっともである。
幻想郷らしからぬ生産的意見であった
サニーがこれに答える。

「タイムアタックよ」
「タイムアタック?」
「どれだけ長く神社をみていられるかって言う競技」
「なるほど負けられない戦いね」

ルナはけだるい頭でなんとなく納得した。

「それにしても今日は魔理沙さん一匹来ないわ」
「暇ねえ」

ルナのぼやきが窓に跳ね返る。

すると、サニーが耐えかねたように声を張った。

「ああひま!眠い!寝る!グー!」

「ずいぶん元気よく寝るわね」

スターは苦笑した。

釣られてか、もとから半目だったルナがあくびをする。

「ふわあ……私も昼寝しようかな」
「じゃあ私も……」

ルナが目を閉じると、スターは、ルナとサニーの隙間の空間にずるずると沈んで、ささやくような寝息を上げ始めた。

こうして、三人は日が暮れるまで眠り続けた。
眠りながら書きました
緞靚
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.340簡易評価
2.70とーなす削除
いつもの、ゆるーい感じの三妖精でした。
タイトルは、ピラミッド型になってた三匹が、最後には崩れて……っていうことでいいのかな
7.100南条削除
なにもかもがひたすら可愛らしかったです
9.80絶望を司る程度の能力削除
ゆる~い作品で読んでいて和みました。魔理沙の扱いェ……。
10.80名前が無い程度の能力削除
らしさがありました。ずっと眺めていられる