独りぼっちの女の子 望まぬ力を手に入れて
壊れて行く世界に絶望?
甘い罠にもはまってしまえば 心を捕らえて離さない
独りぼっちの女の子 冷たい部屋に囚われて
愛しいお姉様達は、どこ?
人肌恋しく悶えていって 炎の剣に焦がされて
独りぼっちの女の子 涙をこらえて嗚咽をこぼす
誰か助けて王子様?
貴方とトランプ白黒ポーカー 分離していく感情よっつ
独りぼっちの女の子 声を荒げて悲鳴を叫ぶ
頬を流れる液体は何?
捕らえた心は炎の籠へ 押し込め鍵でしまいこむ
独りぼっちの女の子 紅い瞳は狂気の証
生きるのにさえ疲れたの?
思考は恋色永久迷走 恋しい貴方で染め上げて
独りぼっちの女の子 一人で絵本を読み上げる
Ten Little Indians
虹色の光流れて飛んで それが幻と知り得ない
独りぼっちの女の子 虹色の羽を光らせる
全部全部壊れちゃった
画面の端で反射屈折 誰か見つけて悲鳴も反射
独りぼっちの女の子 紅い霧にも気付かない
そして誰もいなくなった
忌まわしき過去を巻き戻し もう一度だけやり直し
独りぼっちの女の子 魔法使いと遊んでる
最後の一人は首を吊るの
十人全員殺された U.N.owenは彼女なのか?
独りぼっちの女の子 お姉様とも仲直り
最後の一人は結婚するの
私の無罪も証明終了 波紋は太陽大っ嫌い
◇◇◇
紅い月が浮かぶ夜。紅い館のテラスで、紅い姉妹がお茶会を開いていた。
フランドールが紅茶を淹れて、姉に評価してもらう。月に一度、開かれるお茶会。従者の作ったお菓子と一緒に、月を眺めながら。
「だから、お姉様もそんなに幽閉したことを後悔しないでいいわよ」
月明かりの下で、フランドールはそう笑う。グロテスクな笑顔なんかじゃない、蕩けるような笑顔だった。
「お前が無罪だったら私は有罪だろう」
姉――レミリアは複雑そうに呟くと、紅茶を口に含んだ。うまくなったものだなぁ、と零して。
「じゃあ、それは何の罪?」
「さぁな。……妹を幽閉した罪、とか」
ひとつ、間をあけて紅い瞳が交わる。
フランドールは笑った。いいことを思いついた、と。まるで子供のように。
「じゃあさ、お姉様は有罪で良いよ。罰は私が決めてあげるわっ」
「一体何の罰だ? 死刑でもなんでも受け入れるよ」
見当違いな事を言うレミリアに、フランドールはずいっと詰め寄る。顔と顔、その距離二十センチ程。
「もう、そんなの幻想郷には似合わないわ」
「ただの例えだ。本気で言ってるわけないだろ」
不満そうに唇を尖らせるフランドール。レミリアは呆れながら首を横に振った。青みを含んだ銀色の髪が、ゆらゆらと揺れる。
「うん、でね。お姉様、えーっと妹を幽閉した罪で、一生妹に優しくするの刑よっ!」
また笑顔に戻って妹が発した言葉に、拍子抜けしたように瞬きすると不思議そうに首を傾ける。
「……私はいつも優しいだろ」
「えぇー? お姉様ぁ、あれじゃ足りないのよ。そう、もっと甘やかしてよ」
「お前の要望をもう少し、具体的に言って欲しいんだが」
「えっ? っそう、ね。……キスしてくれちゃったり、とかかしら」
予想していない返答だったのか、一瞬悩んだ後にすこし赤くなって呟いた。心なしか距離も離れていく。
それを見たレミリアは、髪をかき上げ溜息を吐いた。そして、フランドールの顔を見据えると、深紅の瞳を光らせた。
「そんなものでいいのか?」
「――っ!」
驚いて肩を震わせる。椅子に戻りかけた体を、優しく肩を掴まれて引き寄せられる。顔の距離は先ほどよりも近い。ほんの数センチ。
勢いよく近づいた顔に、思わずフランドールは目を閉じる。
「ん……」
唇が触れるだけの短いキス。ほんの数秒。唇の感触が無くなって、恐る恐る目をあける。目の前にはまだ姉の顔があり、体が震えた。
「これで、満足するわけないよな?」
「あ、当たり前でしょっ!?」
焦ったような表情で、そう叫ぶ。
「今日は、寝かしてやれそうにないな」
「え、お姉様それどういう意味よ。お姉様ぁ!? 顔近いわよっ、おねえさま――っ?」
(明日もきっと幸せ過ぎて寝れない)
壊れて行く世界に絶望?
甘い罠にもはまってしまえば 心を捕らえて離さない
独りぼっちの女の子 冷たい部屋に囚われて
愛しいお姉様達は、どこ?
人肌恋しく悶えていって 炎の剣に焦がされて
独りぼっちの女の子 涙をこらえて嗚咽をこぼす
誰か助けて王子様?
貴方とトランプ白黒ポーカー 分離していく感情よっつ
独りぼっちの女の子 声を荒げて悲鳴を叫ぶ
頬を流れる液体は何?
捕らえた心は炎の籠へ 押し込め鍵でしまいこむ
独りぼっちの女の子 紅い瞳は狂気の証
生きるのにさえ疲れたの?
思考は恋色永久迷走 恋しい貴方で染め上げて
独りぼっちの女の子 一人で絵本を読み上げる
Ten Little Indians
虹色の光流れて飛んで それが幻と知り得ない
独りぼっちの女の子 虹色の羽を光らせる
全部全部壊れちゃった
画面の端で反射屈折 誰か見つけて悲鳴も反射
独りぼっちの女の子 紅い霧にも気付かない
そして誰もいなくなった
忌まわしき過去を巻き戻し もう一度だけやり直し
独りぼっちの女の子 魔法使いと遊んでる
最後の一人は首を吊るの
十人全員殺された U.N.owenは彼女なのか?
独りぼっちの女の子 お姉様とも仲直り
最後の一人は結婚するの
私の無罪も証明終了 波紋は太陽大っ嫌い
◇◇◇
紅い月が浮かぶ夜。紅い館のテラスで、紅い姉妹がお茶会を開いていた。
フランドールが紅茶を淹れて、姉に評価してもらう。月に一度、開かれるお茶会。従者の作ったお菓子と一緒に、月を眺めながら。
「だから、お姉様もそんなに幽閉したことを後悔しないでいいわよ」
月明かりの下で、フランドールはそう笑う。グロテスクな笑顔なんかじゃない、蕩けるような笑顔だった。
「お前が無罪だったら私は有罪だろう」
姉――レミリアは複雑そうに呟くと、紅茶を口に含んだ。うまくなったものだなぁ、と零して。
「じゃあ、それは何の罪?」
「さぁな。……妹を幽閉した罪、とか」
ひとつ、間をあけて紅い瞳が交わる。
フランドールは笑った。いいことを思いついた、と。まるで子供のように。
「じゃあさ、お姉様は有罪で良いよ。罰は私が決めてあげるわっ」
「一体何の罰だ? 死刑でもなんでも受け入れるよ」
見当違いな事を言うレミリアに、フランドールはずいっと詰め寄る。顔と顔、その距離二十センチ程。
「もう、そんなの幻想郷には似合わないわ」
「ただの例えだ。本気で言ってるわけないだろ」
不満そうに唇を尖らせるフランドール。レミリアは呆れながら首を横に振った。青みを含んだ銀色の髪が、ゆらゆらと揺れる。
「うん、でね。お姉様、えーっと妹を幽閉した罪で、一生妹に優しくするの刑よっ!」
また笑顔に戻って妹が発した言葉に、拍子抜けしたように瞬きすると不思議そうに首を傾ける。
「……私はいつも優しいだろ」
「えぇー? お姉様ぁ、あれじゃ足りないのよ。そう、もっと甘やかしてよ」
「お前の要望をもう少し、具体的に言って欲しいんだが」
「えっ? っそう、ね。……キスしてくれちゃったり、とかかしら」
予想していない返答だったのか、一瞬悩んだ後にすこし赤くなって呟いた。心なしか距離も離れていく。
それを見たレミリアは、髪をかき上げ溜息を吐いた。そして、フランドールの顔を見据えると、深紅の瞳を光らせた。
「そんなものでいいのか?」
「――っ!」
驚いて肩を震わせる。椅子に戻りかけた体を、優しく肩を掴まれて引き寄せられる。顔の距離は先ほどよりも近い。ほんの数センチ。
勢いよく近づいた顔に、思わずフランドールは目を閉じる。
「ん……」
唇が触れるだけの短いキス。ほんの数秒。唇の感触が無くなって、恐る恐る目をあける。目の前にはまだ姉の顔があり、体が震えた。
「これで、満足するわけないよな?」
「あ、当たり前でしょっ!?」
焦ったような表情で、そう叫ぶ。
「今日は、寝かしてやれそうにないな」
「え、お姉様それどういう意味よ。お姉様ぁ!? 顔近いわよっ、おねえさま――っ?」
(明日もきっと幸せ過ぎて寝れない)
詩的な作品でした。まる。
少しハラハラしましたが、とても可愛いお話でした。
次回作も楽しみにしております!