昼の澄みきった晴天とはうって変わり、黒い雲がひしめいていた。むうっとした谷風が天狗の里に湿気をもたらす。
妖怪の山は中腹の天狗の里から見ても雄大で、頂上付近は雲の上にまで至る。そんな山だから天候急変も茶飯事だ。普段着に着替えた私はかっぱ印の腕時計型湿度計を確認した。雨の予兆を示していない。空気が湿って暑苦しいけど、今日は雨が降らないだけ良い方かもね。天候は問題なし、確認した私はリュックを背負う。リュックのストラップを引き、大きなプロペラを展開した。
目的地は烏天狗の居住区に程近く、少しだけ標高の低い白狼天狗の居住区。この程度の近距離なら私のリュックのプロペラで十分だ。かっぱ印のプロペラは、本気を出せば天狗並みの飛行速度が出るのでとても快適。とはいえ本気のスピードは私の反応速度の限界を超えているため、何かあった時にコントロール不能からの失速は免れない。ゆっくり安全飛行が私には一番いいだろう。そんなゆっくり飛行でも、椛の家にはすぐ着いた。
「椛、居るかなあ」
「明かりがついてるし、きっといるわよ。ほら、カーテンも空いてて……え?」
「どうしたの? はたてちゃん」窓を見たまま動きを止めたはたてちゃん、気になって私も覗いてみた。窓の向こう、私たちが見た光景は――椛とアヤが抱き合っている! しかも椛は頬を赤らめ、ぶんぶん尻尾を振っている。あの仕草は間違いなく、幸せな気分の仕草だ! 私にはわかる!
「あぁ!」
予想だにしない光景に目を疑い、想像以上の声が出た……出してしまった。慌てて手で口を無理やり閉じたが、遅かった。あれだけの大声だ、当然アヤも椛もこちらに気づく。
「うわ! にとり!」
「あやや、見てました?」
ばっと半歩下がり慌てふためく椛と、頭をポリポリ書いて照れ笑いをしているアヤ。目撃した私は、驚きと同時にとても複雑な気分になった。
怒り? 違う。
哀しみ? 違う。
ではなんだろう。私にはよく、わからない。でも、これだけははっきりわかる。さっきまでの椛に謝ろうと決心した気持ちは、ガラスを蹴飛ばしたように粉々に割れてしまった。
「あ、ちが、違うんだよ、にとり」
「何が違うんだい、椛」ひどく狼狽した二人が、わたわたと外に飛び出してきた。椛は慌てているからか、呂律が回らず上手く話せない。そんなに慌てるんだから、なにか言いたい理由があるんだろう? 聞いてあげるから言ってごらんよ、椛。
「そうですよ、誤解してますよ」
今度はアヤが、椛の後ろから口を出す。そうかいそうかい、二人して私を……
「今のを誤解するほど、私は間抜けじゃないよ」
「おぉ、流石にとりさん理解が早い。そうなんです、私たちは……」
「『私たちはにとりなんかと決別して天狗同士仲良くしよう、なんなら友達以上に仲良しこよしになろう』ってことでしょ」咄嗟に出た言葉だが、よくよく考えてみれば非常に筋が通ってる。昨日といい今日といい椛は私と距離を置きたがり、今まで避けていたアヤと急に仲良くなって行動を共にした。私の口がちょっと滑っただけで激怒し突き放す。喧嘩して間もないのに、気にせず普段行かないようなコンサートにアヤと二人で出かけていた。さらにはアヤとお揃いの服で私の前に現れて、私にまた暴言を吐く。果ては、謝ろうと出向いたらこのありさまだ。
「違うって! これは成り行きで、その……なんでもないんだ!」
「なんでもないってことないでしょ。椛、喜んで尻尾振ってたじゃん」
「え!」
椛は顔を真っ赤にして両手で尻尾を隠した。上目遣いで恐る恐る私を見る椛の反応が、私の推測を確信に変えた。
「なんだよ。私なんて、もういらないってことなのか」前に、『色気を出す必要があるかも』とは言ったが、そこまで出せとは言ってない。ましてや、私を仲間はずれにしろだなんて、言ってない。
「そんなことないですよ、椛さんは――」
アヤが空気を読まずに言葉を発した直後。いままで黙っていたはたてちゃんが動き――
バコォッ!
「ぎゃん!」
はたてちゃんは握り拳を振り抜いた。事もあろうにグーだった。派手に吹っ飛び倒れたアヤに、さらに罵倒が降り注ぐ。
「文の、バカーッ!」
「……へ?」
「……え?」私も、椛も、今まで口論していたのが嘘のように、同時に疑問の声が飛び出した。
吹っ飛んだアヤは倒れた拍子に、椛の家の引き戸にぶつかり完全にのびていた。頬に拳の跡が赤く残り痛々しい。
なぜはたてちゃんはアヤを殴ったんだろう? 何か言うだけではなかったのか? 頭に疑問がうずまく中、はたてちゃんは私の方にずんずん向かって歩いてきた。居丈高に勇ましく腕を振っている。よく見ると、先ほどアヤにお見舞いした鉄拳はガッチリと固く握られたまま……ちょっと待った、もしかして私も殴られる?
「にとり、行きましょ!」
「ひゅい!」殴られるかと思いガードしたら、手首を掴んでグイっと引っ張られた。はたてちゃんとは思えないほど強く手首を握られる。はたてちゃんは乱心したわけではなさそうだが、いまいち真意がわからない。とにかく、今のはたてちゃんには逆らわないほうがよさそうだ。
引っ張られながら椛を見る――いや、はたてちゃんに逆らう気なんてさらさらなかった――私だって、こんなところに居たくない。アヤも、椛も、仲良し同士、好きなだけ一緒に居ればいい。私はもう、お払い箱なんだろ? いいさいいさ、こっちから離れてやるもんね。私はプロペラを素早く展開し、はたてちゃんと飛び立った。
しばらく飛んで、大きく息を吐き冷静になる。あぁせいせいした、あいつらとはもう、会ってやるもんか。ずっと仲良くハグしてたらいいさ。ふん。
はたてちゃんは、天狗の里の自宅ではなく河童の里の方に向かう。はたてちゃんは優しいから、きっとウチに来て慰めてくれるんだろうな。あいつらとは大違いだ。私には、はたてちゃんがいてくれるだけでいいもん。
いつのまにか妖怪の山は完全に黒い雲に覆われていた。私はこの時、イライラしていて湿度計の確認を怠っていた。
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残された僕たちは引き戸を直していた。外れただけなのですぐ直ったものの、文さんの頬にはまだ拳の跡が残っている。とりあえず座布団に座り、落ち着くことにした。文さんも僕も、さっきどうすれば良かったのかを考え込む。
「なぜ殴られたのでしょう?」
「さあ……そんなことより僕、どうしよう」
「そんなことってなんですか!」
文さんは自分の頬を撫でながら、慰めない僕をにらんできた。衝撃的な殴られ方だったので同情はするけど、はたてさんの行動はあまりに謎が多すぎるので、とりあえず後回しにしようと思う。
「どうしようって、もしかしてにとりさんのことですか?」
「そうに決まってるだろ。謝ろうとしたのになんでこうなるかなあ……」
「えらいタイミングでしたもんね」
あの瞬間を見られるとは思ってなかった。時間にして何分もたっていないのに、どんぴしゃで見られるんだもの。カーテンが開いていたせいもあり、非常に悪いタイミングだった。なぜあの時、僕は文さんに抱きついてしまったのだろう。今更悔やんでも仕方ないが。
「まさかにとりさんがこっちに来るとは思っても見ませんでした」
それは……確かにその通りだ。なぜ喧嘩したばかりなのに僕の家に来たんだろう。まさか喧嘩の続きというわけでもあるまい。はたてさんとも一緒だったしただの覗きというわけでもなさそうだ。だったら――
「にとりが僕の家に来たってことは、多分仲直りに来たんだと思うんだ」
「多分そうでしょうね。私たちも行こうとしてましたし、はたてが説得したのかもしれません」
やっぱりそうだよな。はたてさんが居たのも納得だ。ただ、文さんが殴られた理由は全然わからないけれど。
「謝りに来てくれたのか。だったら、なんであんな誤解をするかなあ。僕がにとりと決別して天狗同士仲良くしようだなんて、思うわけないじゃないか」
「本当ですよね。そんなこと言い出すなら私と椛さんも、烏天狗と白狼天狗で別種族なんですし」
何を言ってるんだ文さんは。的外れにも程があるぞ。いつもながら文さんと話していると頭が痛くなってくる。
「僕が言ってるのはそういうことじゃない。にとりのことを大切に思ってるのに、決別なんてするわけないじゃないかって言いたいんだ」
「あやや……そう……ですよね」
「……?」文さんが急にしょんぼりしだした。僕が強めに否定したから? だが、拗ねたのではなさそうだ。文さんは座布団の角房をぎゅうぎゅう引っ張り、口を尖らせ何かをブツブツ言っている。
「……にとりさんのこと……ふうん……」
「文さん?」
ボソボソ喋るので何を言ってるのかさっぱり聞こえない。
「あ、いや何でもないです……ところで椛さんは、私のことをどう思ってるんですか?」
「どうって、どういうこと? 今、にとりの話をしてるんだけど」
「その、にとりさんが大切な人ってことは、私のことはどうなのかな~と思いまして」
急に何を言い出すかと思いきや、文さんのことを大切な人だと言って欲しいようだった。そういえば昨日ライブに行くと決めた時、文さんには僕のことが大切と言われたが、僕は文さんに言ってなかったような気がする。にとりの話をしている今、話すようなことではないと思うが、邪険に扱うのは本意じゃない。僕のことを大切に思ってくれているのであれば、僕も気持ちを素直に言うべきだ。
「もちろん大切だよ」
「お、おお! 本当ですかっ! いやあ、ははは」
なにか嬉しくなったようだ。うなだれていた頭を上げ、顔はぱっと明るくなる。天真爛漫な笑顔は太陽の畑のひまわりのように眩しくて、輝く笑顔につられて僕は思わず笑ってしまった。これが、にとりの事で頭を悩ましている時でなければもっと素直に笑えたんだけど。
「椛さん、ひとつ聞きたいことが。《大切な》にとりさんにさっきみたいなハグはしたことありますか?」
「え? いや、ないけど」突然何を言い出すんだ? ハグだって? そんな恥ずかしいこと、いつもしてると思っているのか。
「じゃあ蛍を見た夜に、にとりさんにくっついた以上のスキンシップはしたことないんですね?」
「す、すきんしっぷ! そん、そんな……したことは、ないけど……」なんだかえっちな響きだな。そんなこと聞いて、どうするんだろう? まさか新聞ネタにするわけでもあるまいし。
「そうですか、そうですか。それはそれは」
「なんだよ、もったいぶらずに言いたいことあるなら言いなよ!」にやにや笑ってなんなんだ、もうっ!
「わかりましたよ椛さん、にとりさんは!」
「にとりは?」
「にとりさんは私に嫉妬しているんです!」
「嫉妬!」
『ぱるっ』
嫉妬という言葉に呼応するかのように、地面の奥深くから声が聞こえたが気のせいだろう。
「にとりが、文さんに……ってことは僕にヤキモチ妬いてるのか」考えもしなかった。にとりが僕にヤキモチ、か。でも、それならばさっきのにとりの勘違いにも合点がいく。
急に喧嘩した挙句、文さんに抱きついていたんだもの。にとりが、仲間はずれにされた気分になったのも当然だ。ということは、にとりは僕のことを大切に思ってくれていたのだろうか。
「きっとそうです。私もそうでし……あ、いや、なんでもないです。にとりさんは私たちが抱きあってたのを見て嫉妬が爆発、それに伴って発想が飛躍しちゃったんですよ」
「だったらどうすればいいんだ、早く誤解を解かなきゃ。あ、でも誤解を解こうにも、さっきの剣幕じゃ……」不信に満ちたにとりの目が脳裏に焼き付いて離れない。僕を見放したような氷よりも冷たい目。喧嘩してからというもの、にとりの暖かくて優しい眼差しを思い出せない。思い出すのは嫌悪に満ちた鋭い目つきだけだった。
あぁ、優しいにとりにまた会いたい。僕の弁明次第だということはわかっているのだけれど、どう弁明したらいいのか全くわからない。こんなとき、口が達者だったならこん何も悩まずにいられたろう。いや、そもそも喧嘩にならなかったはず。全ては僕の口下手が招いたことだった。ああ、至らない自分の口が恨めしい。
「私が一緒に誤解を解きに行ったら、もっと話がこじれそうですね。さっきのはたての意味不明なグーパンチもそうですし、私はにとりさんの所に行かないほうが良さそうです」
文さんとハグしてたことにヤキモチを妬いたのに、当人が出てきたら確かに火に油だな。下手なことをしたら文さんみたいに殴られるかも……ん? 文さんみたいに?
「今ふと思ったんだけど、もしかして、はたてさんもヤキモチ妬いてるのかな?」
「え? 誰にですか?」
「文さんにだよ」決まってるだろ。
「ええ~それはないですよ」
大げさに手を振って、それは違うと強調された。まだ詳しく言ってないのに否定するんじゃない。
「なんで? そっちのほうが納得いくだろ? 文さんと僕が、その……抱きあっていたのを見て僕に嫉妬し、文さんにヤキモチ妬いた。だから文さんを殴った。ね?」
「いや~違いますよ。はたては世話好きの説教好きな、お人好しってだけです。多分あの時のグーパンチも、『にとりを説得して椛と仲直りさせようとしたのに、馬鹿なことしてややこしくするんじゃないわよ!』って意味のグーなんだと思います。たまに行き過ぎちゃうんですよ、はたては」
「うーん、そうなのかなあ」文さんの言うはたてさん像は僕の知るはたてさんとはちょっと違うみたい。お洒落で女の子らしく三歩さがる様な感じと思っていたけど、文さんの前では違うのかも。そうなると、付き合いの長い文さんの見解の方が正しいのかもしれない。
「まあ、はたての事はいいですよ、にとりさんの誤解を解く方法を考えましょう」
「そうだよ、どうすればいいんだ」文さんも、はたてさんに負けず劣らず世話好きなのかもな。いつもは空気を読めない困ったところもあるけれど、頼りになる時は心の支えになってくれる。文さんがいるから立ち上がれる。今日の文さんは今までになくかっこいい。さすがにもう、抱きあ……ハグしないけれどね。
しかし、にとりへの弁明や、文さんのかっこよさや、はたてさんのグーパンチがぐるぐると頭の中を駆け巡って考えがまとまらない。疲れた脳を休めるために一息つくことにする。緑茶を文さんに出し、カーテンを閉めようと窓辺に立つ。このカーテンが閉まっていたならば、今とは違っていただろな。先に立たない後悔をして、気分がさらに落ち込んだ。
……そんなどんよりとした気分で外を見る。ことさらどんよりとした空が広がっていた。黒い雲が一面を覆っていて僕の好きな夕暮れは顔を隠したままだった。
この時間ならいつも見える北斗七星は、雲に隠れて見えなくなっている。窓を開ければ谷風に乗った湿気の匂いが入ってきた。どうやら一雨きそうだな。
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私はにとりに扉を開けてもらい、廊下を一人ずんずん進む。
「おじゃまします!」
「あ、そこ散らかってるから右の部屋へ……」
にとりがおどおどしながら私に何かを言いよどむ。
「なに?」
「いや、なんでもない……です」何に怯えているのだろうか。にとりと私しかこの場にいないのに。
「お茶、いる?」
「うん」足の踏み場もない散らかった部屋……いや、工房か。切削機械や作業台、謎の工具がたくさん詰まった大きな箱、金属片や木片がそこかしこに転がっている。見たことのない不思議な形の椅子がある。なんだか座り心地が不思議な感じ。座面や背面がうねっていて、体にぴたりとフィットした。どんな姿勢を取っても椅子が体に沿うように動き、水に包まれたように疲れない。
「どうぞ」
冷たい玉露だ。独特な香りをくいと一呑み、喉に少しの甘さを感じた。
「はたてちゃん……あの、怒ってる?」
「怒ってないわ。にとりこそ、椛のことで怒ってるんじゃないの?」私が怒っているって? にとりにそんな素振り見せたかしら。
「え、まあ、そう、だけど。ただ、アヤを殴ったのはやり過ぎな気が……いや何となくスカッとしたけど」
「やり過ぎかしら。空気が読めない文が悪いのよ」ああ、さっき文を殴ったことに対して言ったのね。なら『怒っている』ではなくて、『怒っていた』よ。うっかりさんね、にとりって。
「なんか怖いよ、はたてちゃん。どうしたの? やっぱり怒ってるの?」
「怒ってないって言ってるじゃない! 私のことなんていいでしょ!」
「ひゅい!」
少しだけ、ほんの少しだけ語調が強くなってしまった。にとりが怯えちゃった。謝らなくちゃ。
「う、うぅ……ぐすっ」
「……ごめんなさい。そんなつもりじゃかったの」
「そんなつもりって、何? なんで自分の家で八つ当たりされなきゃなんないの!?」
にとりが怒り出した。私が八つ当たりなんて、いつしたのだろう。そうか、椛のことで気が動転しているんだわ。こういう時は、なだめて落ち着いてからゆっくり話せばいいのよ。
「八つ当たりなんて……とにかく、ごめんなさい。だから泣かないで、にとり」
「触らないで!」
「あっ」泣いているにとりの涙を拭こうと近づいたら手を跳ね除けられた。手にはじいんと痛みが残る……かける言葉が見当たらなくなった。
「もう、うぐっ、出ていってよ! ひっく、天狗なんて、みんな嫌いだっ!」
「にとり、聞いて!」
「みんな嫌いっ!」
「待って!」にとりはボロボロと涙を落とし、部屋から飛び出る。止めようと手を伸ばすも届かない。走っていったにとりはリュックを手に暗くなった外へ駆け出し――大きなプロペラを勢いよく回し、にとりは宙にふわりと浮かぶ。パラパラ降った小雨の中で私の方に振り返り、わなわなしながら大きく叫んだ。
「椛も、アヤも、……はたてちゃんも大嫌いだーっ!」
「にと――」
呼び止めようとしたその瞬間――なにかが私の声をかき消した。
ピシャア――ッ! ガガァン!
巨大な轟音が体を突き抜け、強烈な光で目の前は真っ白になる。足がすくみ、動けなかった。突然の出来事に、何が起こったのか理解まで数秒かかる。視力が戻り、にとりの方を見てみると、信じられない光景が――私は息を飲み、かすれた声でにとりを呼んだ。
「にと……り……?」
にとりは雷に打たれ、見るも無残に横たわっていた。