Coolier - 新生・東方創想話

下の緩い庭師のありふれた一日

2016/03/26 00:57:32
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魂魄妖夢の朝は早い。
夜明けごろ、時間にして午前五時半には目を覚まし布団を畳む。そしてその布団には
「・・・いつもの事だけどなあ」
見事な水跡がついていた。シーツを布団から剥ぎ取り、素早く洗濯場へ。慣れた手つきでシーツと下着を洗うと、敷布団と一緒に物干しざおにぶら下げた。その後そのすぐそばで妖夢は据え置きの大きな桶に水をくむ。寝巻を脱ぎ捨てサラシも取り、完全な全裸で乾布摩擦を行う。ずっと続けている習慣だ。この時妖夢は水をくんだ桶の上に座っているのだが、その理由というのが
ジワァ・・・・・・
朝の寒さ故に漏らすのだ。それを防ぐためにいつも水をくんだ桶の上で行っているのである。桶の中身をひっくり返し、水で軽くすすぐと主人である西行寺幽々子を起こすべく、妖夢は服を着てまた白玉楼へと入っていくのであった。

午前七時。白玉楼の朝食の時間である。ここの主である西行寺幽々子もすでに目を覚まし、朝食を食べている。今日も朝から既にご飯三杯を平らげる健啖っぷりだ。
ところで、妖夢は生まれつき膀胱がとても緩い。昔は可愛いものだと幽々子も思っていたが、少し前まで幽々子もこのままじゃ不味いんじゃと思っていた。そして現在は
「あら妖夢、今日もやっちゃったの?」
「はい・・・お恥ずかしい限りで」
「良いのよ、いつもの事だから」
完全に諦めていた。というかそんな妖夢がかわいく思えてきたのだ。この亡霊も大体従者バカである。
「そうだ、妖夢。今日ちょっとお使いを頼まれてくれないかしら?」
「お使いですか?もちろんお受けしますが・・・どこに何を?」
「命蓮寺にお菓子をね。前に美味しい料理を教えてくれたお礼よ」
「かしこまりました。それではすぐに支度を・・・」
「そんなに慌てなくてもいいわ。お昼を過ぎてからで十分よ」
「は、はあ」

午前九時。台所仕事担当の幽霊に洗い物を任せ、妖夢は剣の修行に打ち込む。その内容は巻いた茣蓙を切るものから素振り、基礎的な体力をつけるランニングまで多岐にわたる。それらを繰り返し、何時間も行うのだ。余談だが妖夢は物事に熱中すると我を忘れて打ち込む傾向にある。もう予想通りかもしれないが
ジョロロロ・・・
「あ、ああ、ああー・・・」
トイレに行くのも忘れてしまうほどに打ち込めるのは凄いのやらダメなのやら。そして何を思ったか妖夢はその場でドロワを脱ぎ捨てた。中庭の砂利を濡らしながら白玉楼の洗濯場へ向かう。鞘に刀を収め履いていた下着も含めて手早く洗濯、物干しざおに二つ目の下着をぶら下げると自室へと戻った。
妖夢の部屋は簡素なもので、服をしまう箪笥と少し物書きをする程度の机、刀を置くためのやたら大きな台くらいしか物が無い。が、一つだけ異質な点があった。もちろんただ見ただけではわからないが。
「よいしょ・・・っと」
六段ある箪笥の内、四段が下着で埋まっているのだ。そこから下着を取り出そうとして妖夢の手が止まった。
「そうだ、今日の昼ご飯は私が作るんだった」
基本的に白玉楼は仕事ごとに幽霊が振り分けられており、妖夢が白玉楼で雑用をすることはあまり無い。だが時折、転生待ちの幽霊が転生に行ってしまって手が足りない場合は、妖夢も人手として駆り出されるのだ。今日はまさにそれで、昼ご飯担当の手が足りないので妖夢が作ることになったのだ。
「風呂場から桶を持ってこなきゃ」
早朝の乾布摩擦の時のように桶の上で食事の用意を行う。ただ水を入れておくと万が一こぼしたときに大惨事に陥るので、基本的に空だ。その時の光景は白玉楼の幽霊から『釣瓶落としの様だ』と言われている。この時妖夢が大体ノーパンなのは幽々子以外知りえぬ事実であること、また多分に漏れず漏らしたことを追記しておく。

午後一時。昼食を終え妖夢は冥界から現世へ降りてきていた。いつものブラウスとスカートに長いドロワがスカートからはみ出ている。命蓮寺と言う事で人里を通るのだが、人里は盛りのついた男どもでいっぱいだ。しかし大体通りすがる男どもはまず妖夢の顔を見る。そしてかわいいと認識して視線を落とすと、スカートからはみ出たドロワが目に入る。大体このコースで男どもの興味は妖夢からそれる。それだけで妖夢は割と盛りの男どもの群れを抜ける事が出来るのだ。そもそも大の大人でも妖夢を組み伏せるのは難しいのだが(基礎パワーが全然違う)。そして辿り着いた命蓮寺。
「ごめんくださーい!」
「こんにちわー!!!!!」
門前で掃除をしていた幽谷響子が挨拶を返した。真正面とはいえ目の前の木々を揺らすような挨拶。思わず妖夢はその場で痙攣した。しかし特に何の変化はない。普段ならここで漏らしていてもおかしくはないのだが。
「こ、こんにちは。今日はここの住職に御用が・・・」
「はーい!こっちにどうぞー!」
本堂へと案内される。そこで待っていると上から
「驚けー!」
「ひゃああああああああ!!!!!!!」
ぐちゃぐちゃに顔からいろいろ垂れ流した小傘が落ちてきた。その様子に思わずビックリ仰天、見事な後方一回転を披露した。
「よっし大成功!やるじゃん小傘も」
「ぬえちゃんのおかげだよ!」
「こら二人とも!何やってんの!」
「「逃げろー!」」
悲鳴を聞きつけて雲居一輪がやってきたが、ぬえと小傘にはあっという間に逃げられてしまった。完全に腰を抜かし、地面に座り込んでいる妖夢に一輪は手を差し出す。
「大丈夫ですか?すいません、うちの者が・・・」
「だ、大丈夫でしゅ。ひゃい・・・」
涙目になりながらどうにか姿勢を立て直した。彼女、半人半霊でありながらお化けの類が大の苦手なのだ。しかしそれでも何とか立ち上がって姿勢を整えた。
「すいません、うちのぬえと小傘が失礼を・・・」
「い、いえ、今日は、この間の料理のお礼に来ました」
置いていた包みを遅れてやってきた白蓮に渡す。中にはいくつもの餡子餅が入っていた。
「幽々子様からのお礼です。お布施でも肉の類は不味いとのことでしたので・・・」
「あらあら、お気遣いありがとうございます。ところで・・・」
ちら、と白蓮は妖夢の膝に目を落とした。
「・・・それ出てるのはわざとなんですか?」
「ああ、そうです。わざとです」
あまりにさらっと。思わず白蓮は突っ込んで聞いてしまった。
「よければどうしてか教えていただけますか?気になるもので・・・」
「うーん・・・周りに誰もいませんか?」
「一輪」
「ご心配なく。あらゆる方向から雲山が見張っています。あ、雲山には聞こえないのでご安心を」
「そ、それでは・・・誰にも言わないでくださいね?」
「勿論ですよ。秘密をばらす様な真似は致しません。一輪も、このことは他の子にも内緒よ」
「勿論です、聖様」
「えっと、お恥ずかしいのですが、私よく漏らすんです」
「「・・・えっ」」
二人は耳を疑った。聖人が出てきた異変の時に颯爽と邪魔者を蹴散らし、解決したこの子が?
「白玉楼には着替えがあるからいいんですけど・・・こうやって外出の時はそういう訳にはいかないので」
「じゃあそれはいわゆる・・・」
「オムツ代わり・・・?」
二人の問いに恥ずかしげに妖夢が頷く。それを聞いて一輪は思わず噴き出した。
「こ、こら一輪・・・失礼ですよ・・・」
そういう白蓮も肩が震えている。妖夢はあきれたような顔をしていた。
「まあそうなりますよね・・・」
「ごめんなさい、そんな事情があったとは露知らず・・・」
「いいですよ。ちなみにここに来て二回、既に漏れてます」
山彦の大声とさっきのいたずらと、とカウントするとついに堪えきれなくなったのか、二人とも派手に噴き出した。
「で、でも、どうして私たちに話してくれたんですか?」
未だに笑いのツボから抜け出せぬまま一輪が問う。それに妖夢は
「お二人ならまあ大丈夫かな、と思って。これが鴉天狗とか魔理沙とか霊夢とかなら絶対に話しませんよ」
それでも聞くようなら切ってあげますよ、と何故か恍惚とした笑みを浮かべながら妖夢が刀をわずかに抜いた。
「暴力はいけませんよ」
「まあ、理由もなく切りかかるような真似はしません」
そういいながら刀を収める。どこからか「嘘つけ!」という声が聞こえた気がするが気にしない。と、妖夢が小さく痙攣した。
「あ、あの、トイレお借りしてもいいですか?」
「まだ出るんですか!?」
思わず一輪が突っ込んだ。それに妖夢が小さく頷く。
「それ水分とかどうなってるんですか?」
「私食べても太らないから・・・きっとそれで出るんだと思います。まあ幽々子様の三分の一も食べてないですけど」
「ちょっと待って幽々子さんってどれぐらい食べるの」
まさかと思いながら一輪が尋ねる。それに妖夢は
「一番少ない朝食でもお茶碗七杯のご飯を召し上がりますからね。私なんて全然食べてないですよ」
「それ貴女食べすぎよ!もう少し食べる量押さえたら大丈夫だって!」
「そうですかねえ・・・?」
「それが直接の原因でないにせよ、妖夢さんは食べすぎですよ」
「うう、今日の夕食から考え直します・・・それより今は」
「ああ、トイレはここを出てすぐ左よ」
「ありがとうございます。失礼します」
小走りでトイレに駆け込むと何故かそのまま座り込む。そして次の瞬間、目にもとまらぬ速さでドロワと下着を脱ぎ捨てた。地面に落ちたドロワはゴト、と明らかにおかしな音を立てて転がる。その一方で妖夢は恍惚とした表情で用を足していた。
妖夢はこんなお漏らし生活を長年続けていたため、普通の格好ではトイレに行けなくなってしまっていた。なので敢えてそのまま座り込んで尿意を促し、出る直前に職人技と見まがうスピードでドロワと下着を脱ぎ捨てて用を足すのだ。これもまた幽々子以外は知りえぬ事実である。

午後七時。命蓮寺での用を(二重の意味で)済ませた妖夢は、白玉楼にて幽々子と夕食を取っていた。もちろん今日貰ったアドバイス通り、量は控えめ。幽々子は少ないのを心配していたが、これもこのお漏らし生活の脱出のためだ。余りのお漏らしに普通に手に入るドロワではまずいと思い、藍や紫に交渉して水に強い布地を入手。それを自力で縫いあらゆる工夫を施した『妖夢特製こだわりドロワ』に頼らない生活を送りたいと思いながら夕食を食べる。
余談だがその日の白玉楼の夕食は筍と白菜の煮物、大根と葱の味噌汁、豚肉の紫蘇巻き天であった。

午後九時。電気の無い幻想郷ではすでに真っ暗だが、白玉楼は幽霊たちが放つほのかな明かりで夜も薄明るい。妖夢は幽々子が眠ったのを確認すると最後の見回り。無事を確認すると、妖夢も寝巻に着替えて布団に入る。明日こそは漏らさないように、と思いながら妖夢は床に就くのだった。

そして翌日、おしっこの出やすい物ばかりが晩御飯だった妖夢は例にもれず漏らした。勿論それは幽々子にばっちり目撃され、あろうことかブン屋にまで漏れて幻想郷中をニュースが駆け巡ることになるが、それはまた別のお話。
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コメント



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4.60名前が無い程度の能力削除
ちょっとだけ?←困惑

一癖二癖ある連中だとは思っていたけど
ありすぎなんだよなあ