Coolier - 新生・東方創想話

閉じたベッドに麦酒は揺れる

2016/02/16 23:52:49
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 セックスの後のビールはうまい。
 そう書いたのが誰だったのか、今となっては思い出せないのだけれど、少なくともその言葉は真実だ。
 ベッド上でぬるんだビールをゆっくりと飲みながら、私はそう思う。
 隣では全裸の蓮子が無防備に寝息を立てている。
 裸という点なら、私だって同じだけれど。
 彼女の小振りだけれど形の良い胸に片手を伸ばしかけて、やめた。
 こんなに気持ちよさそうに寝てるのに、こちらの都合で起こしてしまうのは、いささか可哀想だ。
 手持ち無沙汰になったので代わりに頭を撫でると、緩んだ表情で笑顔を浮かべた。
 一瞬起きているのかとも思ったが、どうも違うようだ。
 面白くなって、ついあちこち触ってしまう。
 小鳥のようによく囀る唇を指先でつんつんつつくと、あむっと
「あ」
 食べられた。
 私の人差し指が蓮子の口の中に吸い込まれている。
 生温かい舌の感触が、ねっとりと指全体を這いまわる。
 しゃぶられているのだ。
 五分ほどたっぷりと舐られた後、ようやく私の指は開放された。
 蓮子の唾液がたっぷりと付き、糸まで引いている。
「ったく。子どもか、おのれは」
 小声で毒づきながら、蓮子の髪の毛をわしゃわしゃにしてやる。
 これで起きた時に、寝ぐせの酷さに絶望するというわけだ。
 ざまあみろ。
 そんな私の小さな復讐にも未だ気付かず、蓮子は眠り続ける。
 まるで子どもね。
 呟いてから、さっきそれを身を持って思い知らされていたことに気付いた。
 私の指は、まだねっとりと濡れたままだ。
 それを見ているうちにふと湧き出た愛しさと腹立たしさ、少しの寂しさ。
 それらを混ぜて捏ね上げて、私は蓮子にキスをする。
 蓮子の髪の毛からは、共用しているシャンプーの甘い匂いがした。



 蓮子から唇を離し、再びビールを呷る。
 窓の外から発砲音と、かすかな悲鳴が聞こえた。
 何ということもない。
 見ず知らずの「誰か」が殺されようが犯されようが捨てられようが、知ったことではなかった。
 少なくとも、私たちにとっては。
 
「ん……ふわ、おはよ」
 猫のように伸びをして、蓮子は目を覚ました。
「おはよ、蓮子。ご飯にする、お風呂にする?……それとも、もう一回、する?」
「うーん……」
 蓮子は少し考えた後に、私にじゃれつくようにキスをした。
「もいっかい。あとメリー、ビール」
「はいはい」
 二人して口移しでビールを飲んだ後、私たちはもう一度ベッドに沈み込む。
 外で再び発砲音が響き、窓にも血痕が飛び散ったが、気にもとめなかった。
 
 全て世は事もなし、だ。
社会から断絶された二人、その名は秘封倶楽部。
今、【断絶の壁】を乗り越え、二人はセカイへと羽ばたき―――
ません。
くしなな
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コメント



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1.70名前が無い程度の能力削除
どうして二人がロアナプラにいるの?
3.無評価名前が無い程度の能力削除
これはちゅっちゅではない
4.70名前が無い程度の能力削除
雰囲気は好きです。
5.100名前が無い程度の能力削除
いやなやつらなのかそうでもないのか
加害者なのかそうでもないのか
正しいのかそうでもないのかよくわからない
しかしよくいるであろう人たち
6.70名前が無い程度の能力削除
なんとも殺伐とした雰囲気。いや、大好きですよ。