「小傘さん。話ってなんすか?」
「戸隠さんチョコあげます。バレンタインですから」
「え? 戸隠にっすか?」
「義理ですけどね。義理ですよ」
「あ、ありがとうっす! 戸隠にチョコくれるの小傘さんだけっすよ!!!!!」
「……ご馳走様でした。もう帰って良いですよ」
戸隠はじぶんでもクズってことわかっていたっすからチョコもらえたことに非常に驚いていたっす。
それが小傘さんへの糧になっていたことに気がついたのは随分と月日が流れたときだったっす。
「うわーい! やったっす!!」
戸隠は驚きに後に込み上げて来た嬉しさのあまりから意味も無く走り出したっす。
そのときはその事実も知らずに郷じゅう走り回るような気分だったすが。日頃、運動不足のせいですぐに息切れしてその場に座り込んでしまったっす。
「ぜぇ。ぜぇ。っす。うえっす」
「貴様は戸隠。そんなところで何をしている! ここは貴様のような汚物が呼吸しては良い所ではないぞ!!」
道端で汚く呼吸して居るところを、慧音先生に見つかってしまったっす。
慧音先生は蔑んだ眼をしながら何か問題を起こすのではないのかとこちらを警戒しているようっす。
「ちが、っすっすう。戸隠は何もしてないっすう」
「じゃあ何だ! 貴様がその手に持っている物は!!」
それは、さっき小傘さんからチョコだったっす。5cm×10cm×1cmだったっすから。目立っていたっす。
「これは、チョコっすよ」
「何? チョコだと。今日はバレンタインデーだ。貴様のような作者がそれを単純所持しているだけで罪に問われる可能性が有るんだぞ」
そんな罪なんか戸隠は知らないっす。まるで、児○法みたいな法律っす。
「トゲェ」
「悪いことは言わない。そのチョコを置いて此処から立ち去るんだ。そうすれば、このことは私の心の中で止めてやろう」
まるで、銃口でも突きつけられている気分だったっす。底辺の戸隠がチョコもらえるなんてこの先ありえないことなのに。
なのにそのチョコを棄てろとなんて酷いっす。
「慧音先生。後生っす。見逃して欲しいっす」
「駄目だ」
「お願いっす」
「これ以上。私を失望させないでくれ。望みなんて最初から貴様には無いが。借望してまで貴様の願いを聞き入れる道理は無い」
蔑みでは無く。今度は悲しい眼で戸隠のことを慧音先生は諭したっす。なぜっす?
「とげげ。今此処でチョコ食べるっす! 食べてしまえば消化されてチョコを所持していることにはならないっすよね」
「ば! ばか者! 貴様!」
パチーン!と戸隠はビンタされたっす。
「痛いっす!」
「なんで、分からないんだ貴様!!!」
慧音先生のビンタはメチャメチャ痛くて後でほっぺた全体を痣にするかもしれない程だったっす。
「とげへぇ」
「貴様のほっぺた以上に私の心は痛いんだ!!!」
戸隠は最低だったっす。慧音先生の気持も考えず戸隠はわがままにチョコ貰ったことに喜んでいたっす。
「ごめんなさいっす。チョコは棄てるっす」
「やっと、わかってくれたか」
「……せめてチョコのお墓ぐらい作ってもいいっすか?」
「名も無きチョコに罪は無い墓標位は作ることは許そう」
それから戸隠は地面に浅く穴を堀りそこにチョコを埋葬したっす。道端で道具も何も持って居なかったっすから。
小さなお墓しか作ってあげられなかったっす。
「チョコさんごめんなさいっす。今はこれだけしか出来なくて」
戸隠の心は喪失感からぽっかり穴があいてしまったようだったっす。
「……チョコを失い貴様の罪に気がついたか? このチョコは誰にも食べられることも無く逝ったんだ大いに後悔し生きろ」
「チョコさん」
震える手で戸隠はチョコさんのお墓に墓標を立てたっす。
「まあ、気を落とすな。貴様にこれをやろう」
「これは?」
「……現場で余ったからな。お前にくれてやる」
綺麗に包装されたビー玉位の大きさの物を戸隠に慧音先生は戸隠に渡したっす。多分これはまんまるのチョコっす。もしかして、慧音先生は戸隠のことを?
慧音先生はそれから何も言わず戸隠の肩をぽんぽんと叩き去って行ったっす。
暫くその場に立ちつくしていた戸隠は慧音先生がくれた物の包み紙を丁寧に開けてみたっす。
まんまるチョコだと思って開けた包み紙から出てきたのはナットだったっす。あのスパナで回すナットっす。
どうすればいいっすか?
「戸隠さんチョコあげます。バレンタインですから」
「え? 戸隠にっすか?」
「義理ですけどね。義理ですよ」
「あ、ありがとうっす! 戸隠にチョコくれるの小傘さんだけっすよ!!!!!」
「……ご馳走様でした。もう帰って良いですよ」
戸隠はじぶんでもクズってことわかっていたっすからチョコもらえたことに非常に驚いていたっす。
それが小傘さんへの糧になっていたことに気がついたのは随分と月日が流れたときだったっす。
「うわーい! やったっす!!」
戸隠は驚きに後に込み上げて来た嬉しさのあまりから意味も無く走り出したっす。
そのときはその事実も知らずに郷じゅう走り回るような気分だったすが。日頃、運動不足のせいですぐに息切れしてその場に座り込んでしまったっす。
「ぜぇ。ぜぇ。っす。うえっす」
「貴様は戸隠。そんなところで何をしている! ここは貴様のような汚物が呼吸しては良い所ではないぞ!!」
道端で汚く呼吸して居るところを、慧音先生に見つかってしまったっす。
慧音先生は蔑んだ眼をしながら何か問題を起こすのではないのかとこちらを警戒しているようっす。
「ちが、っすっすう。戸隠は何もしてないっすう」
「じゃあ何だ! 貴様がその手に持っている物は!!」
それは、さっき小傘さんからチョコだったっす。5cm×10cm×1cmだったっすから。目立っていたっす。
「これは、チョコっすよ」
「何? チョコだと。今日はバレンタインデーだ。貴様のような作者がそれを単純所持しているだけで罪に問われる可能性が有るんだぞ」
そんな罪なんか戸隠は知らないっす。まるで、児○法みたいな法律っす。
「トゲェ」
「悪いことは言わない。そのチョコを置いて此処から立ち去るんだ。そうすれば、このことは私の心の中で止めてやろう」
まるで、銃口でも突きつけられている気分だったっす。底辺の戸隠がチョコもらえるなんてこの先ありえないことなのに。
なのにそのチョコを棄てろとなんて酷いっす。
「慧音先生。後生っす。見逃して欲しいっす」
「駄目だ」
「お願いっす」
「これ以上。私を失望させないでくれ。望みなんて最初から貴様には無いが。借望してまで貴様の願いを聞き入れる道理は無い」
蔑みでは無く。今度は悲しい眼で戸隠のことを慧音先生は諭したっす。なぜっす?
「とげげ。今此処でチョコ食べるっす! 食べてしまえば消化されてチョコを所持していることにはならないっすよね」
「ば! ばか者! 貴様!」
パチーン!と戸隠はビンタされたっす。
「痛いっす!」
「なんで、分からないんだ貴様!!!」
慧音先生のビンタはメチャメチャ痛くて後でほっぺた全体を痣にするかもしれない程だったっす。
「とげへぇ」
「貴様のほっぺた以上に私の心は痛いんだ!!!」
戸隠は最低だったっす。慧音先生の気持も考えず戸隠はわがままにチョコ貰ったことに喜んでいたっす。
「ごめんなさいっす。チョコは棄てるっす」
「やっと、わかってくれたか」
「……せめてチョコのお墓ぐらい作ってもいいっすか?」
「名も無きチョコに罪は無い墓標位は作ることは許そう」
それから戸隠は地面に浅く穴を堀りそこにチョコを埋葬したっす。道端で道具も何も持って居なかったっすから。
小さなお墓しか作ってあげられなかったっす。
「チョコさんごめんなさいっす。今はこれだけしか出来なくて」
戸隠の心は喪失感からぽっかり穴があいてしまったようだったっす。
「……チョコを失い貴様の罪に気がついたか? このチョコは誰にも食べられることも無く逝ったんだ大いに後悔し生きろ」
「チョコさん」
震える手で戸隠はチョコさんのお墓に墓標を立てたっす。
「まあ、気を落とすな。貴様にこれをやろう」
「これは?」
「……現場で余ったからな。お前にくれてやる」
綺麗に包装されたビー玉位の大きさの物を戸隠に慧音先生は戸隠に渡したっす。多分これはまんまるのチョコっす。もしかして、慧音先生は戸隠のことを?
慧音先生はそれから何も言わず戸隠の肩をぽんぽんと叩き去って行ったっす。
暫くその場に立ちつくしていた戸隠は慧音先生がくれた物の包み紙を丁寧に開けてみたっす。
まんまるチョコだと思って開けた包み紙から出てきたのはナットだったっす。あのスパナで回すナットっす。
どうすればいいっすか?
バレンタインなんて大嫌いだ。