Coolier - 新生・東方創想話

the lyrics

2005/11/03 11:37:52
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ー覚え書きー スコアより抜粋


lin lin lin lin lin lin
私たちは音を奏でる
一輪一輪 strings wire 澄んだ音のする lyric lyre
we are lilies of the vally
refrain refrain 繰り返す

長い長い時をかけ あなたの物語を聴きましょう
遥かなる繰り返しの中 ただひとたび頷いた そう あなたの物語を





『序奏(第二主題からなる小さなロンド)』 in tempo sostenuto


lin lin lin lyre liric lyre
lin lin lin we are lilies of the vally
refrain refrain refrain

季節のタクトで繰り返す 花が咲き 花が散る
refrain in tempo sostenuto

一輪一輪高く鳴り 響いて消える 繰り返す
lin lin lin lyre liric lyre
lin lin lin we are lilies of the vally
refrain refrain refrain

自然は繰り返す 命を繰り返す 花が咲き 花が散る
何処までも広がる鈴蘭の丘
いつからか いつまでも 自然の営みは変わらない
生まれることの繰り返し 白い小さな花が咲く それは気高くもの憂げに
死に行くことの繰り返し 音を奏でて花が散る 自然のままに美しく

そしてまた はじめから 全てが 世界が どこまでも

どこまでも どこまでも どこまでも変わることなく続く 一面の鈴蘭たちの世界
いつからか いつまでも 果てしなく悠久に 繰り返されていく
lin lin lin lyre liric lyre
lin lin lin we are lilies of the vally
refrain refrain refrain

ここは鈴蘭の丘 風が吹く鈴蘭の海がうねりゆく 
メゾフォルテ 押し寄せる波に揺らされて  
奏でた音が広がっていく 遠くまで そして風は雲を呼ぶ
雨が降る 花弁をたたく 雨粒の音がしっとりと 
ささやきがあたりを包むピアニッシモ 
sotto voce ひそやかに 
ひそやかに 日が落ちて 月の光にも濡らされる 
花から茎へ つたい流れる雫から 小さく丸い星空を覗く 
セレナーデ 音を届けて語り合う

一日が終り 季節が過ぎ行く 巡る 繰り返す
鈴蘭の丘 refrain 命が巡る 繰り返す 音を奏でて繰り返す

lin lin lin lyre liric lyre
lin lin lin we are lilies of the vally
refrain refrain refrain





『人形と鈴蘭のソナタ』 第一楽章 第一主題の提示 poco animato ma non troppo


鈴蘭の丘にいつの間に ひとつの人形置かれてた

lin lin lin lyre liric lyre
lin lin lin I am a lily of the vally

私は鈴蘭 生まれたばかり すぐに散り行く短い命 繰り返し行く私には
それの違いはわからない ただ一度 風で花弁が触れたのみ

長い時が繰り返す
 
私は鈴蘭 生まれたばかり 生まれたばかりに見えないそれが 本当かどうか知る由もなく
私は音を奏でゆく ただ一度 落ちて散り舞う花びらが それの頭に触れたのみ

ずっとそこに在り続け たびたび鈴蘭に触れられた

私は鈴蘭 気がついた 古い私の香りのついた これは私たちとは違うもの 
繰り返さずにここにある そして一番違うのは これは音を奏でない

私は鈴蘭 生まれたばかり あなたに興味を持ちました あなたの音を聴いてみたい
繰り返さずに積み重なった あなたの中の物語 私たちにない あなたの曲を




しかし 人形が答えるはずもなく




lin lin lin refrain refrain refrain
lin lin lin refrain refrain refrain




そして遥かな時の後 それはただただ偶然に
風のいたずら あるいは時が 関節を劣化させたのか
人形の頭 コクンとたれた 


これは ただそれだけの物語 偶然生まれた物語
同じ命を繰り返す 鈴蘭たちの問いかけに 
長い長い時間をかけて 意志をもたない人形が 頷いたように見えただけ
 


でも 物語を持たない鈴蘭は それだけで強く 心乱された 惹かれていった

 

私は鈴蘭 生まれたばかり だけどあなたは頷いた 
だから私はもっと聴きたい 過去の私の望んだ音を 私の知らないあなたの音を
繰り返される鈴蘭が 知ることのできぬ物語
どんなに風が吹こうとも 雨と月に濡れようと 知れない変わりゆく物語

あなたは自在に物語を語れない 
それならば 私の命を分けましょう

あなたの中に 聴いた物語と私の力 音をずっと残します
次の私が知り得るように あなたがもっと 奏でやすく なるように

lin lin lin it is lyrics of your story
lin lin lin it is sound of our sonata

私は鈴蘭 生まれたばかり なるほどあなたは生物じゃない でも生物って何のこと
私は鈴蘭 生まれたばかり なるほどあなたは人間の形(かた) でも人間なんて知らないわ
私は鈴蘭 生まれたばかり なるほどあなたは捨てられた それはどんな気持ちなの

あなたの日陰に生まれた私 あなたが少し動いたならば 
大きく育ってパッチリと 開くあなたのきれいな瞳に 口づけをすることもできるの!

lin lin lin it is lyrics of your story
lin lin lin it is sound of our sonata

長い繰り返しの時の中 少しずつ積もりゆく 鈴蘭と人形の物語
poco a poco animato ma non troppo
少しずつ 少しずつ

やがて人形は自由に 物語を語りだす
自分で考え 自在に動く
鈴蘭の命と音を積み重ね 物語を積み重ね
鈴蘭はとても喜んだ 人形もいつも素敵な笑顔 

けれど同時に鈴蘭は 自分が動けないことが 
季節とともにはじめから 繰り返すことが寂しくて

lin lin lin it is lyrics of your story
lin lin lin it is sound of our sonata


”coda”  tempo rubato


「それでね、私スーさんの力をもっと強くする方法を覚えちゃいました。スーさんにはいっぱいいっぱいお礼したいから」

鈴蘭の丘。
五月の淡く澄んだ真っ青な空の下、一面が真っ白広がる鈴蘭の花のなかで人形が鈴蘭に話しかけている。
いつも純粋に楽しそうに笑う きれいな表情の人形と、静かに揺れることで優しく声を聞く鈴蘭。
けれどその後、その人形には珍しい、真剣に何かを決意したような少し難しい顔をした。

「実はね、今日初めて外の人形を見たの。私みたいに自由に動けないんだね、やっぱり。あの子たちにも、私のように自由をあげたい、そしていっぱい新しいお話を聴きたいわ。でも、そうなるとここにいれないことも多くなる。スーさんも一緒に行けたらいいのに」

自由になりたいと思ったのは鈴蘭も一緒だった。
今まで、永遠とも言える時を繰り返してきた中で、初めて覚えたこの感情。
理由はこの人形。人形の語った物語。
自分も人形と一緒にいろいろな物を感じたい、新しく変わりたい、物語の主人公になりたい。

その時、ふと鈴蘭は気がついた。
自分が人形を通して、本来生まれて咲いて散ってゆくだけでは知り得なかった、繰り返されてきた鈴蘭たちの人形とのやり取りを、気持ちを、物語を得ていることに。
鈴蘭はもう、以前の零から全てを繰り返す存在ではなくなっていた。
それは、人形の力と鈴蘭の力の結晶、鈴蘭と人形の二人の奏鳴曲。


tempo rubato  自由に 自在に 決められたテンポ、リズムはもう盗まれた 大胆に 思うままに


「あれ、スーさんどうしたの? もしかして怒っちゃった? スーさん、返事してよー」

鈴蘭からの返事がないことに戸惑う人形の背中を、トントンと何かが叩いた。
驚いて振り返った人形の、パッチリ開いた大きな瞳に小さな妖精がキスをした

”私は鈴蘭 生まれたばかり 今、自由に気がついたばかり あなたがたくさんの物語を分けてくれたから これからは一緒に何処までも行けるわ!”

「スーさん!!」

人形は鈴蘭の精をぎゅっと抱きしめた。


これからもずっと一緒に
lin lin lin this is lyrics of their story
lin lin lin this is sound of their sonata




fine






『人形と鈴蘭のソナタ』 第二楽章 brillante









lin   鈴蘭の音 (造語)
lyric 叙情的な lyrics 歌詞 lyre 竪琴 
lily of the vally 鈴蘭
in tempo 一定のリズムを保って sostenuto  音を保って
poco animato ma non troppo 徐々に活発に けれど速すぎずに

これからのメディスンと鈴蘭の新しい曲がこうあることを祈って

brillante  華やかに 輝かしく



あとがき
メディスンと一緒に映っている小さい方に決まった設定はなかったと思います
あれが鈴蘭の精だと仮定してそれを題材にした二人の関係を歌にしました
今後私の作品で小さい方が必ずしもこれと同じ設定であるとは限りません。

二楽章以降は皆さんの心の中で奏でられますことを夢見て。

英文法や音楽用語は所々意識して崩してるところもありますが
それでもおかしいところがありましたらご指摘いただけるとありがたいです。

2005.11.3 綴りのミス修正
MIM.E
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コメント



0.430簡易評価
16.80たまゆめ削除
個人的にこういうの好きだなぁ・・・・。
良き調べ、ありがとうございます。
17.無評価MIM.E削除
こういった作品でも楽しんでもらえたなら本当に幸いです。
こちらこそ読んでいただけて本当にありがとうございました。