ここは、どこにでもありそうな風景でありながら、しかし、どこにもない場所。その理由はと言うと、現実と非現実が混ざり合うためである。現実がどこにでもあるというのなら、非現実は、現実と現実の境目に存在する、切り離された日常であると言える。
だから、それは、どこにもない『現実』なのである。
――もっとも、
「今日こそ、決着をつけてやる! この万年引きこもり!」
「それはこっちのセリフよ、友達なしの性悪娘!」
と、お互いを罵りあいながら、人知を超えた戦いを展開している人間が二人もいるのが、その理由の大半を占めてしまっているのだろうが。
「……最近、私、思うんです」
「あら、何?」
その様子を遠巻きに観賞しながら、一人の少女が口を開いた。頭の上にぴょこんと生えた、二本のウサギの耳が風に吹かれて――実際は爆風だが――揺れている。
「あのお二人が、もう少し仲良くしてくれたら、この辺りももっと平和になるのかな、って」
「何を今さら」
その隣に座るのは、大人びた印象を持った――実際、大人であるが――女性。両手で包み込んだ湯飲みを見つめながら、喉を小さく鳴らす。
「あら、美味しい」
「そうだろう? この前、人間の里からもらってきた、今年の一番茶なんだ」
さらにその隣には、頭の上に、今度は角を生やした少女が座って、横手に添えられている厚焼きせんべいをかじっている。
「ええ、本当。とても美味しいわ。ありがとう、こんな美味しいお茶をごちそうしてくれるなんて」
「いや、お互い、苦労しているだろう?」
そう言いながら、彼女は視線を、戦いを繰り広げている二人に向ける。
「……竹林も、本当に、いつまで傷つけばいいんだ、って内心では思ってるだろうな」
「あ、また灰が増えた」
いつまでも続く凄まじいバトル。それは、永遠に繰り返される時間の流れのように、傍目には止まっているようにすら見えてしまうほど、延々と続き続ける。恐らく、これからも、ずっと。
「何とかしたいですね……」
「何とか、ねぇ」
「何とか、かぁ……」
ぼやく彼女たち。
その間、響き渡るのは爆音というのが、何とも素敵なBGMである。慌てふためく、この竹林の居住者の声も混じっているのだが、轟音に遮られてほとんど彼女たちの耳には届かなかった。
――と、
「そうだ」
ぽん、と女性が手を打った。肩から下げている、大きな三つ編みを揺らしながら、
「ねぇ、こんなのはどうかしら?」
「ん?」
「あのお二人の戦いを、少しでも、平和的に鎮めるための策なのだけれど」
「ほう、それはそれは。月の頭脳であるあなたのご意見、拝聴しよう」
「ええ、実はね――」
何やら盛り上がる二人を尻目に。
「……みんな、ちゃんと逃げてるといいけど」
爆音と共に、自分たちの家が吹っ飛んだのを見て、ウサギ耳の少女は、沈鬱なため息をついたのだった。
「何だって?」
戦い終わって日が暮れて――というわけでもないのだが――、自分の住まいに帰ってきた、先の戦いの当事者の一人、藤原妹紅は、その提案をしてきた人物を見やった。
「リザレクションの使いすぎで、ずいぶんと疲れているんだろう?」
そのコメントをのたまったのは、包帯片手に彼女の傷の手当てをしている上白沢慧音である。
「……別に……」
「そこでだ、妹紅。お前達の戦いに、終止符を打つ方法を、私は考えたんだ。どうだ?」
「どうだって……。別に、私は今のままでも構わないんだが」
「いやそれ困るから」
即答。
コンマ何秒の世界で返されて、ぐっと彼女は言葉に詰まった。
「……で?」
どうやら、話を聞くつもりになったらしい。板敷きの床に、ごろりと横になる。そんな彼女を「だらしないぞ」と諫めてから、
「実はな――」
「……戦い以外のことで決着を?」
「はい」
目の前にかしずく女性を見ながら、戦いの当事者の片割れ二号、蓬莱山輝夜は眉をひそめる。
「姫も、永らく続いた諍いの日々に、心身共に疲れ切っていると存じます」
「別にそんなことは……」
「存じ上げます!」
「……そ、そう……」
やたらでかい声で一喝されて、少々身を後ろに引きながら答える。
「そこで、わたくし、一計を案じまして、確実に姫に勝利をもたらすべく、策を練りました」
「それは面白い。聞かせてちょうだい」
「はい。実は――」
――と、いうわけで。
「………………」
「………………」
その『戦いの場』に呼び出されたのは、はた迷惑な争いを続けている日々から、ちょうど一週間が過ぎた頃。今日も今日とて顔をつきあわせれば殺し合い、の二人は、自分の周りにいる人たちに連れられて、いつもの戦場からはちょっと外れたこの地へとやってきて。
そして、一様に沈黙していた。
「……ねぇ……永琳……」
「なぁ……慧音……」
『……何、これ……』
もろに声が重なったりする。
彼女たちが見つめているのは、赤い屋敷。不自然なくらいに赤いそれは、この世界にあって、ひときわ目立つ場所だった。
そこの名前は、紅魔館。
「あら、遅かったのね」
その様子を、興味深そうに見つめていた、館の主が、二人の方を見て声をかけてくる。
「今宵は、こちらからの申し出を受けて頂き、誠に感謝しています」
「そちらに全ての手間を取らせてしまって、申し訳ない」
「構わないわ。わたしも、長い間生きていると、楽しいことがあると心が浮かれてしまうの」
頭を下げる永琳と慧音に、彼女は寛容に微笑んで返した。
「えーっと……」
「……えーっと」
「……イナバ、これはどういうこと?」
「はい」
そして、彼女たちの後ろにひっそりと付き従うウサギ耳の少女、鈴仙優曇華院・イナバが輝夜の言葉に叩頭しつつ、
「姫と妹紅様の、あまりにもアレっぷり……じゃなかった、終わりの来ない、無間地獄に、師匠も慧音さまも、いたく心をお痛めでして。
そこで、お二方共に一計を講じ、もって、あなた様方の戦いに終止符を打とうと」
「そこでどうしてここなの?」
「お二方は、悠久の刻持つお方。故に、双方、戦いにけりをつけることは、物理的に不可能と判断致します」
それは、と両者が言葉に詰まる。
「そこで、戦い以外のことで勝負を決めてしまえば、それは明確な勝ち負け。故に、完全な勝者と敗者が決定される、と。それでしたら、お互い、以後はもう少しアレ……じゃなくて、大人しくなるんじゃないかなー、と」
「最後の一言はあなたの本音ね」
「いい度胸しているな」
「あ、いや、その……」
ジト目でにらみつけてくる二人に、彼女はじりっと一歩下がった。
あわや、ウサギの丸焼きできあがりか? というところで、
「何しているの、あなた達。勝負の舞台は整ったわよ」
後ろからかかる、紅魔館の主、レミリアの声。
振り返れば、そこに、何だかわからないステージが出来ていた。席が二つ、これは輝夜と妹紅の分だろう。そして、その前には、豪勢なキッチン。どうでもいいのだが、場所は紅魔館の中庭だ。一体どうして、これほど豪勢な設備のキッチンを野外に運び出さないといけないのかは、謎である。そして、甲斐甲斐しく働くメイド達。
「ほら、座りなさい」
「いや……」
「座れって……」
「さあ、姫。永きに亘る戦いに終止符を打つときですよ」
「妹紅、この戦いに勝利すれば、お前は絶対の勝者だぞ」
と、渋る二人の背中を押す永琳と慧音。絶対こいつら結託してる、と誰もがわかるほどの連携ぶりである。
渋々、二人は、用意された椅子についた。そして、不満そうな顔つきで、辺りを見回している。
「お嬢様、司会と解説をお連れ致しました」
「ご苦労」
その時になって、悠然と、その場に歩み出てくる人影がある。
十六夜咲夜。この紅魔館でメイド長を勤める人物である。その後ろには、いつも通りと言えばいつも通り、
「一体何なのよ、この騒ぎは」
めんどくさそうに、やりたくなさそうに、渋る博麗霊夢女史と、
「面白そうなことには違いないが……何するんだ? これから」
興味津々といった瞳にうさんくさそうな眼差しを乗せるという器用な真似をしている霧雨魔理沙女史の姿。
「えー、それでは」
こほん、と咳払いなどしつつ、永琳がその場に出てくる。
霊夢と魔理沙には、専用の席が用意され、とりあえず、二人はそこへ。レミリアはそのすぐそばに、豪勢な椅子を引き出してきて座り、咲夜が影のように、ひっそりとその横に佇んだ。
「これより、第一回、蓬莱食い倒れ選手権を開始します!」
『ちょっと待てーっ!』
やっぱりというか何というか、全力でツッコミ入れてくる当事者の二人。
「ちょっと、永琳!? 何よ、食い倒れ、って!」
「そうだ! 何にも戦いと関係ないだろうが!」
「果たしてそうかな?」
どこから持ってきたのか、メガネなどをかけながら、慧音がきらりんっとレンズを光らせる。
「いかに蓬莱人とはいえ、肉体強度は普通の人間と同じ。そもそも、二人の決着がつかないのは、戦っても倒れないという、そこにある。故に、人間と同じ戦い方ならば、必ず決着はつく」
「そういうもんかしら?」
「そういうもんなんだろ」
首をかしげる司会と解説。
「何か異論でも?」
「う……」
「……くっ」
めちゃくちゃ屁理屈なのだが、その圧倒的な雰囲気に気圧されて、抗議をした二人は、渋々、椅子に腰を戻した。こっそりと、慧音が永琳に向かってウインク。彼女はそれを受けて、
「食材と場所の提供は、紅魔館代表、レミリア・スカーレットさんです。
さて、ルールは簡単。ただひたすら、食って食って食いまくるのみ。多くの料理を食べられた方が勝者となります」
「……私、まだ晩ご飯食べてないのよね」
「私だってそうだぜ」
「あ、司会者の皆様方にも、あとでお料理が振る舞われます」
「あ、それならいいかも」
「何が食えるんだ?」
ふっ、と永琳が笑った。
そして、ばっ、とオーバーアクションで紅魔館の入り口を示し、
「では、料理人に登場してもらいましょう!
今回、魅惑の料理を提供してくれるのは――」
「あれ? 咲夜さんじゃないの?」
「私は今回は、観戦でございます」
「へぇ」
この建物の中、何かと、物事を決める立場にいる人間である。咲夜は。てっきり、彼女が瀟洒な料理をごちそうしてくれるのだと思っていた霊夢は、ちょっぴりがっかりしたような表情になる。
「炎の中華料理人、紅美鈴さんです!」
「ちょっと待ってください、今、『くれないみすず』って言いませんでした!?」
「あら、美鈴さん」
「おー、中国だ」
「誰が中国ですか! 名前で呼んでください!」
ばたん、とドアが開いて(ちなみに、ドアを開けたのは、フランドールお嬢様とメイド二名)姿を現した彼女は、あまりにもご無体な言葉にツッコミを入れた後、一応、即席のキッチンに立った。
「っていうか、美鈴さん、料理できるの?」
「確かに。私はてっきり、やられ役のみかと」
「だから、やられ役じゃないってのに……」
ぶつくさ文句をつぶやく彼女。
「ねぇねぇ、レミリアお姉さま。何するの?」
「楽しい事よ」
ちょこまかと歩み寄ってきたフランドールが、ふぅん、とレミリアの言葉にうなずく。
「けれど、咲夜。勢いで決めてしまったのだけど、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫です。と言うか、あの見た目で料理が出来なければ、あれは紅美鈴ではありません。偽中国です」
「……ひどい……」
冷徹非常な一言に涙する美鈴。
しかし、それでも何とか気を取り直したのか、
「では、行きます」
中華鍋片手に、ぎらりと目を光らせる。
「それでは、スタートー!」
ノリノリの永琳が、かーん、とどこかから取り出した鐘を叩いた。
その瞬間、
「おお……」
「……本当に料理が出来てる……」
何か違うところで驚いている司会者二人。
まぁ、確かに、信じられないだろう。いっつもいっつも門番の役割を中途半端にしかこなせなくて咲夜に叱られている彼女の姿を見れば。
だが、今は違う。
今の彼女は背中に炎を背負い、その中に、燃えさかる虎すら浮かび上がらせるほどに、料理人だった。
「では、まずは前菜から」
とん、と最初に出されたのは、飲茶の定番、餃子だった。皮はかりっと香ばしく仕上がっていて、見ているだけでよだれがあふれてくるような代物である。
「お、美味しそう……」
ぐぅ~、とお腹の虫をならす霊夢。
仕上がったそれを、メイド二人が、選手の元へ。
「……何だかよくわからんが」
「これも勝負とあれば、負けるわけにはいかないわね」
二人は目をぎらりと輝かせ、瞬く間にそれを食べてしまうと、
『お代わり!』
全く同時に皿を突き出してきた。
「あら……早い……」
ちなみに出された餃子は、およそ5人前。それを一瞬で平らげてしまう二人に、美鈴は刹那の間、惚けてしまったが、それならば、と逆に料理人魂に火をつけたらしい。
「はい!」
続けて出されるのは、シューマイ。これまたふっくらと仕上がっており、匂いも見た目も格別だ。
「……う、うまそうだ……。っていうか、こんなの作れたのか……中国……」
「美鈴です!」
料理に没頭していても、その辺りはきちんと聞きとがめているらしい。魔理沙にツッコミを入れつつ、次の料理へと取りかかる。
「なかなかやるものね」
「ええ。少々、意外です」
「ねぇ、お姉さま。お腹空いたー」
くいくいと、フランドールがレミリアの服の袖を引っ張る。目の前で出来上がっていく、美味しそうな料理に目が釘付けである。
「けれど、どうして中華料理なんでしょう?」
「ああ、それはな」
戦いの様子を眺めている鈴仙が、隣に座っている慧音に訊ねる。彼女は苦笑しながら、
「中華料理というのは、油を多く使うだろう?」
「そうですね」
中華鍋から炎が噴き上がっている。まさに、火力を命とする中華料理の製作風景ならではの光景とも言えるだろうか。大きな鍋をいともたやすく操る傍ら、蒸し器などにも冷静に目を配る美鈴の姿は、微妙にかっこいい。メイド一同も『美鈴さま、素敵……』などと、ちょっとイっちゃった瞳をしていた。
「その分だけ、胃にもたれるからな。あの二人は、最初にも言ったけれど、不老不死であるという以外は普通の人間だ。そんなに食べないうちに、音を上げるだろうさ」
「でも、音を上げてしまうと、それはそれでまずいと思うんですよ。
結局、戦いは終わらないんじゃないかな、って」
「あの二人の戦いが継続するのには、ひとえに、勝敗がついてないというのがあるだろう? 倒しても倒しても、お互い、立ち上がるんだから」
確かに、とうなずく。
「それなら、絶対に立ち上がれない負け方をすればいい」
食べ過ぎって結構きついんだ、と苦笑する慧音。
なるほど。山ほどの料理でノックダウンしたら、それこそ、完膚無きまでの敗北となるのは間違いない。どちらが勝つにせよ、明確な形での勝敗が決するわけだ。それならば、その結果が、彼女たちの中には苦い思い出になるだろうと、慧音も永琳も読んだわけである。
その恥を削ぐために、なおさら、戦いが激化する可能性もないわけではないのだが、あの二人の性質からいって、意外とその辺はさっぱりしそうな感じもする。
「はいーっ!」
次に仕上がる、巨大な肉まん。軽く10人前はありそうなそれを、二人は鬼気迫る形相で口にしている。一方、フランドールは、いい加減我慢が出来なくなったのか、美鈴が料理を作っている横で、こっそり、出来上がったのをかすめ取ったりしている。
「……うまくいくといいですね」
「そうだな。
だが、遠からず限界は来る」
慧音は希望的観測を口にして、やれやれ、と肩をすくめた。
「負けんぞ、てるよーっ!」
「誰がてるよよ、このもこたんがーっ!」
「たんって言うなー!」
「……不安」
しかし、その様子を見ている鈴仙にとっては、やっぱりなんか安心できないようだった。
戦いは、続く。
「あいつら、いつまで食べてるつもりよー」
「……いい加減、我慢できないな。
おーい、中国~。私にも何か料理をくれー」
「中国って言うなー!
これでも食べてろっ!」
「お、きたきた」
飛んでくる皿を受け取り、早速、それに箸を付ける魔理沙。ちなみに飛んできたのはエビチリである。
美味しそうに炒められた、ぷりぷりのエビにフォークを突き刺し、ぱくりと一口。
その瞬間、
「なっ……!?」
目を、かっ、と見開き、声を失う。震える手から、フォークが、かちん、という音を立てて落ちた。
「ちょっと、魔理沙!?」
その異様な光景に、霊夢が声を上げる。
「ば……バカな……」
「どうしたの!? 毒でも入ってたの!? あ、そうか、永琳だものね! やりかねないわ!」
「……めちゃくちゃ言ってくれるわね」
顔を引きつらせ、ツッコミを入れる永琳。心なしか、こめかみの辺りに青筋が浮かんでいるような気もする。
だが、
「この……エビの絶妙な風味……。チリソースの中に隠された、甘く、繊細な……! こ……これは……これは……!」
「……魔理沙?」
「うーまーいーぜー!!」
どかーん。
叫びつつ、ブレイジングスターで夜空にかっ飛んでいく魔理沙。あきれつつも、霊夢は魔理沙が残したエビチリを一口。
「あ、ほんと。美味しい……」
「ねぇねぇ、めいりーん。おかわりおかわりー」
「こら、フランドール。食器をかちゃかちゃ言わせるのはマナー違反よ」
「它是繁忙的ーっ!(忙しいーっ!)」
美鈴は現在、輝夜と妹紅の料理を作りつつ、フランドールのオーダーに応え、さらにはなぜか、霊夢や魔理沙といった見物人の分にも手を回している。しかも、それをやっているのは彼女一人だ。ものすごい量の料理を作っているためか、会話にも余裕がなくなってしまっている。
「美鈴、手伝いましょうか?」
「お願いしますっ!」
今、彼女が手がけているのはかに玉である。それも、輝夜と妹紅の分だけで、軽く10人前。超巨大かに玉なのである。
「咲夜さんは、お嬢様達のを」
「ええ」
さすがに見かねたのか、咲夜がそれに助っ人で入り、料理に手を出す。
二人の料理人の姿に、目をきらきらと輝かせる、食べてる一同。なお、激しく炎を散らす約二名ほどは「早くしろー!」だのとさっきから喚いている。
ちなみに魔理沙だが、つい先ほど、戻ってきて、今は平然と解説者の席に座って水を飲んでいた。
「完成!」
美鈴が、それを手に、輝夜達の所に向かおうとして、
「……咲夜さん、何ですか? それ」
「は? かに玉でしょう?」
そう、かに玉である。
誰がどう見てもかに玉である。見事なくらいに彩られた、美しいそれは、まさに瀟洒な料理。しかし、美鈴の顔はと言うと、
「こんなものがかに玉であってたまりますかーっ!」
というものだった。
「なっ……!?」
「たまごに全然、ふっくら感がないっ! こんなに固くてどうするんですか! 中に入れてある具にだって、中途半端にしか火が通ってないし! 何より……この料理の命とも言える、あんかけの味が濃すぎるっ!」
「な、何を……!」
「没! 咲夜さんに頼った私がバカでした!」
その一言に。
「何ですって!?」
さっと顔に朱が差した咲夜が怒鳴る。まぁ、これだけ言われれば当たり前だが。
しかし、美鈴は、いつもなら萎縮して震え上がるしか出来ないのだが、今回は違った。きっと相手をにらみつけると、自分が作ったかに玉を突き出して、
「食べてみてください」
「……な、何よ……。いやに本気ね……」
「咲夜さんの未熟っぷりを思い知らせてあげます」
「……面白いじゃない」
まず、自分の分を一口。
まずくない。むしろ、うまい。これほどうまい料理が作れるとは、さすが自分、とちょっと自画自賛してから、美鈴のものへ。
刹那。
「そっ……!」
声が固まり、目が大きく、驚愕に見開かれた。
「ば……! 嘘!? あなた、私と違う食材を使ったんじゃ……!」
「いいえ。私が使ったのは、咲夜さんが使ったものと同じです。
すなわち、これが、料理人としての技量の違いですっ!」
どぉぉぉぉぉん、という書き文字が料理の上に現れたのが、その場にいた一同全員に見えたような気がした。
がっくりと、咲夜がその場に膝を落とす。
「そんな……バカな……。私が……私が……美鈴に……」
「……一体何があったのかしら」
「触れちゃならない心の琴線に触れたんだろうな……」
「……なるほど。プライドが傷つけられた、ってやつね」
「ああ」
その、咲夜をノックアウトした『驚愕のかに玉』は一瞬の間に蓬莱人の胃袋へと消えていく。
「ねぇねぇ、めいりーん。デザートはー?」
そして、こちらはどうやら、お腹一杯になったらしいフランドールが美鈴にデザートを注文する。しかし、またしても、
「ダメです」
「えー?」
「えー、じゃありません。
いいですか? フランドール様。デザートというのは、料理の最後を締めくくる、重大なファクターです。そのために、それまでの料理全てを統合して、最もふさわしいデザートを作らなければなりません。
私はまだ、作らないといけないものがあります。しばしお待ちを」
「ケチー! 作ってよー!」
「いけません!」
「……うぅ~!」
強い口調できっぱり否定されて、フランドールがレミリアを見る。
「美鈴」
「何ですか、お嬢様」
「……いえ、何でも」
何か言おうとしたのだろう。しかし、美鈴の目を見て、彼女もまた、何も言えなくなって沈黙する。
――今日の美鈴は、何かが違う。
その場にいる全員が、それを感じ取り、戦慄した。
「次の料理を持ってこーい!」
「早くなさいっ!」
「はーい、ただいまー」
ころっと笑顔になって、美鈴が、再びキッチンに立つ。
「おねえさま~……」
「……我慢なさい、フラン。今の彼女は、料理人よ……。キッチンを戦場とする、千年の兵よ……。あれには、さすがのわたしでも……!」
「……何か妙な展開になってますけど。どうするんですか? 師匠」
「……ちょっと意外だったわねー」
「っていうか、あいつら、いつまで食べ続けるつもりだ……」
この戦いを提供した仕掛け人達も、顔を引きつらせている。それほどまでに場が混沌としてきているのである。
この勝負、先に気を抜いた奴が負ける!
誰もがそれを感じ、同時に、思う。
『何に負けるのよ?』
――と。
「……ふっ……ふふっ……。そろそろ……苦しそうだな、輝夜……」
「うふ……うふふ……あなたも……うっぷ……ね……」
二人とも、限界が近づいてきている。苦しそうに顔を青ざめさせ、それでも、先にダウンするわけにはいかないと、必死にスプーンや箸を動かしているのだ。
司会者も解説者も、今では普通に美鈴の料理を楽しみ、フランドールは、ついさっき投入されたあんみつ豆腐にご満悦して、現在はお姉さまのお膝の上でおねむである。ちなみに咲夜は、舞台の片隅で膝を抱えて落ち込んでいる。
「そろそろギブアップしたら……ぐぅっ……どうだ?」
「それは……うぇっ……こっちのセリフよ……!」
中華というのは油っぽく、胃にもたれる。計らずとも、慧音の言った通りになっている。ちょっとでも刺激を加えればリバースしそうな状況になっているのに一歩も引かない辺り、まさにあっぱれといったところだが。
『お代わりぃっ!』
巨大ココナッツゼリーを食べ終えた二人が、さらに声を上げた。
「ええ~……?」
いい加減、美鈴も疲れてきたのか。それとも、単に食材がないのか。
困惑の声を上げる。はっきり言って、あの二人が平らげてきた食事は、常識を遙かに超えている。胃袋も永遠なのか、と思うほどに。
「……わかりました。
私、紅美鈴、最後にして究極の料理をお出しします」
何かを覚悟したかのように。
彼女は、決意の声を上げると、その料理に取りかかった。それまでよりも数段、手つきが厳しく、素早くなり――そして、出来上がったのは。
「……餃子ね」
「餃子だな」
たった一切れの餃子だった。ちなみに、全員に配られたものと、輝夜と妹紅に出されたものは、量も見た目も同じ。完全な、ただの一口餃子だった。
ただの焼き餃子にしか見えない。
「……んじゃ、一口」
魔理沙が、箸でそれを掴み、口にぽいっと放り込む。
「……んなっ……!」
「どうしたの? またブレイジングスター?」
あきれつつも、霊夢が続き。
「フランにも食べさせてあげたかったわね」
レミリアが続き。
「師匠、頂きます」
「ええ」
永遠亭組、そして、
「やれやれ」
作戦は失敗か、と諦めつつある慧音が続いて。
『……これは……』
全員の声が唱和した。
「それこそ、真の餃子……。私が、師匠より受け継いだ、至高の一品です!」
師匠って誰だ、とは誰もツッコミを入れなかった。
「嘘……」
「こんな……皮のうすぎぬの一枚まで味がしみていて……」
「食材の味が、信じられないほどに生きているわ……」
「口の中に広がる……この……味の世界……」
「食材一つ一つに至るまで、味がわかります……」
「……うまい」
もはや、それ以外の言葉はいらない。
誰もが沈黙し、誰もが驚愕し、そして、誰もが感動した。
「……うぅっ……!」
あの魔理沙すら、泣いている。
あまりにも美味しい、この食事に。それを提供してくれた、真の料理人に。
「私は……私は……感動したぜ……!
中国! お前は……お前は、中国じゃなかった! お前こそ、真の紅美鈴だっ!」
「最初っから美鈴ですっ! っていうか、名前で呼んでくださいっ!」
よけいな一言にツッコミ入れる美鈴。
「……驚いたわね。まさか、これほどまでとは。
美鈴、あなたのお給料と待遇、今一度、考えてあげるわ」
レミリアも、普段は浮かべない純粋な笑みを浮かべる。
「こんな戦いを企画した方がバカだったのかもしれないわね」
「ああ……。今度、美味しい食事を、じっくり味わいたい。いいかな? 美鈴さん」
「師匠……涙で……涙で前が見えません……」
何やら無意味に感動し、悟っている三人。
そして、
「……ま、これならいいか」
最後に、美味しいとどめを受けたことで、今までの理不尽を全部水に流した霊夢。
何やら、場がにこやかに、そして和やかに終わりそうなところで。
『……ぐはっ』
その一口が限界だったのか。
そろって仲良く、ダブルノックアウトした輝夜と妹紅の姿があったのだった。
「う……」
「目が覚めましたか、姫」
「……ここは?」
目を開ければ、天井が見えた。そして、覗き込む永琳の顔も。
身を起こそうとして、輝夜は、顔をしかめて倒れ込む。柔らかい布団が、彼女を受け止める。
「永遠亭です。あの後、姫を連れて撤収したんですよ」
「……そう。私は負けたの?」
「相打ちだ」
その声に、振り向けば。
枕を並べて、妹紅がいた。そのそばには慧音が付き従っている。
「なっ……!?」
「お互い、そろってダウンしたんだとさ。全く……情けない」
「何であなたが……!」
「同じ苦しみを分かち合うのも、また、粋でしょう」
にっこりと笑う永琳の一言に。
さっと、輝夜の顔が青くなる。
「食べ過ぎって辛いんだ」
慧音のその一言が、極めつけになったのか。もはや怒鳴る気力もなくした輝夜は、妹紅と一緒になって、布団にくるまったのだった。
ちなみに。
その後、しばらくの間、両者の恒例の『仲がいいほどケンカする』は行われなかったという。
めでたしめでたし。
さらに余談であるが。
「この私が……十六夜咲夜が、美鈴に負けたままでいいというの……? いいえ、そんなことはないわ! 完全で瀟洒なメイドたるこの私のアイデンティティを取り戻すために!」
厨房のドアを開き、
「美鈴、勝負よ!」
「……ほえ?」
「あなたの土俵で、今再び、戦いを挑む! それに勝利してこそ、私は自分を取り戻すことが出来るのよ!」
「あ、あの、咲夜さん? 何をトランスして……」
「さあ、武器を手に取りなさい。勝負よ、美鈴!」
「……あの~」
と言う戦いが、しばらくの間、紅魔館で繰り広げられることになるのであった。
めでたしめでたし?
だから、それは、どこにもない『現実』なのである。
――もっとも、
「今日こそ、決着をつけてやる! この万年引きこもり!」
「それはこっちのセリフよ、友達なしの性悪娘!」
と、お互いを罵りあいながら、人知を超えた戦いを展開している人間が二人もいるのが、その理由の大半を占めてしまっているのだろうが。
「……最近、私、思うんです」
「あら、何?」
その様子を遠巻きに観賞しながら、一人の少女が口を開いた。頭の上にぴょこんと生えた、二本のウサギの耳が風に吹かれて――実際は爆風だが――揺れている。
「あのお二人が、もう少し仲良くしてくれたら、この辺りももっと平和になるのかな、って」
「何を今さら」
その隣に座るのは、大人びた印象を持った――実際、大人であるが――女性。両手で包み込んだ湯飲みを見つめながら、喉を小さく鳴らす。
「あら、美味しい」
「そうだろう? この前、人間の里からもらってきた、今年の一番茶なんだ」
さらにその隣には、頭の上に、今度は角を生やした少女が座って、横手に添えられている厚焼きせんべいをかじっている。
「ええ、本当。とても美味しいわ。ありがとう、こんな美味しいお茶をごちそうしてくれるなんて」
「いや、お互い、苦労しているだろう?」
そう言いながら、彼女は視線を、戦いを繰り広げている二人に向ける。
「……竹林も、本当に、いつまで傷つけばいいんだ、って内心では思ってるだろうな」
「あ、また灰が増えた」
いつまでも続く凄まじいバトル。それは、永遠に繰り返される時間の流れのように、傍目には止まっているようにすら見えてしまうほど、延々と続き続ける。恐らく、これからも、ずっと。
「何とかしたいですね……」
「何とか、ねぇ」
「何とか、かぁ……」
ぼやく彼女たち。
その間、響き渡るのは爆音というのが、何とも素敵なBGMである。慌てふためく、この竹林の居住者の声も混じっているのだが、轟音に遮られてほとんど彼女たちの耳には届かなかった。
――と、
「そうだ」
ぽん、と女性が手を打った。肩から下げている、大きな三つ編みを揺らしながら、
「ねぇ、こんなのはどうかしら?」
「ん?」
「あのお二人の戦いを、少しでも、平和的に鎮めるための策なのだけれど」
「ほう、それはそれは。月の頭脳であるあなたのご意見、拝聴しよう」
「ええ、実はね――」
何やら盛り上がる二人を尻目に。
「……みんな、ちゃんと逃げてるといいけど」
爆音と共に、自分たちの家が吹っ飛んだのを見て、ウサギ耳の少女は、沈鬱なため息をついたのだった。
「何だって?」
戦い終わって日が暮れて――というわけでもないのだが――、自分の住まいに帰ってきた、先の戦いの当事者の一人、藤原妹紅は、その提案をしてきた人物を見やった。
「リザレクションの使いすぎで、ずいぶんと疲れているんだろう?」
そのコメントをのたまったのは、包帯片手に彼女の傷の手当てをしている上白沢慧音である。
「……別に……」
「そこでだ、妹紅。お前達の戦いに、終止符を打つ方法を、私は考えたんだ。どうだ?」
「どうだって……。別に、私は今のままでも構わないんだが」
「いやそれ困るから」
即答。
コンマ何秒の世界で返されて、ぐっと彼女は言葉に詰まった。
「……で?」
どうやら、話を聞くつもりになったらしい。板敷きの床に、ごろりと横になる。そんな彼女を「だらしないぞ」と諫めてから、
「実はな――」
「……戦い以外のことで決着を?」
「はい」
目の前にかしずく女性を見ながら、戦いの当事者の片割れ二号、蓬莱山輝夜は眉をひそめる。
「姫も、永らく続いた諍いの日々に、心身共に疲れ切っていると存じます」
「別にそんなことは……」
「存じ上げます!」
「……そ、そう……」
やたらでかい声で一喝されて、少々身を後ろに引きながら答える。
「そこで、わたくし、一計を案じまして、確実に姫に勝利をもたらすべく、策を練りました」
「それは面白い。聞かせてちょうだい」
「はい。実は――」
――と、いうわけで。
「………………」
「………………」
その『戦いの場』に呼び出されたのは、はた迷惑な争いを続けている日々から、ちょうど一週間が過ぎた頃。今日も今日とて顔をつきあわせれば殺し合い、の二人は、自分の周りにいる人たちに連れられて、いつもの戦場からはちょっと外れたこの地へとやってきて。
そして、一様に沈黙していた。
「……ねぇ……永琳……」
「なぁ……慧音……」
『……何、これ……』
もろに声が重なったりする。
彼女たちが見つめているのは、赤い屋敷。不自然なくらいに赤いそれは、この世界にあって、ひときわ目立つ場所だった。
そこの名前は、紅魔館。
「あら、遅かったのね」
その様子を、興味深そうに見つめていた、館の主が、二人の方を見て声をかけてくる。
「今宵は、こちらからの申し出を受けて頂き、誠に感謝しています」
「そちらに全ての手間を取らせてしまって、申し訳ない」
「構わないわ。わたしも、長い間生きていると、楽しいことがあると心が浮かれてしまうの」
頭を下げる永琳と慧音に、彼女は寛容に微笑んで返した。
「えーっと……」
「……えーっと」
「……イナバ、これはどういうこと?」
「はい」
そして、彼女たちの後ろにひっそりと付き従うウサギ耳の少女、鈴仙優曇華院・イナバが輝夜の言葉に叩頭しつつ、
「姫と妹紅様の、あまりにもアレっぷり……じゃなかった、終わりの来ない、無間地獄に、師匠も慧音さまも、いたく心をお痛めでして。
そこで、お二方共に一計を講じ、もって、あなた様方の戦いに終止符を打とうと」
「そこでどうしてここなの?」
「お二方は、悠久の刻持つお方。故に、双方、戦いにけりをつけることは、物理的に不可能と判断致します」
それは、と両者が言葉に詰まる。
「そこで、戦い以外のことで勝負を決めてしまえば、それは明確な勝ち負け。故に、完全な勝者と敗者が決定される、と。それでしたら、お互い、以後はもう少しアレ……じゃなくて、大人しくなるんじゃないかなー、と」
「最後の一言はあなたの本音ね」
「いい度胸しているな」
「あ、いや、その……」
ジト目でにらみつけてくる二人に、彼女はじりっと一歩下がった。
あわや、ウサギの丸焼きできあがりか? というところで、
「何しているの、あなた達。勝負の舞台は整ったわよ」
後ろからかかる、紅魔館の主、レミリアの声。
振り返れば、そこに、何だかわからないステージが出来ていた。席が二つ、これは輝夜と妹紅の分だろう。そして、その前には、豪勢なキッチン。どうでもいいのだが、場所は紅魔館の中庭だ。一体どうして、これほど豪勢な設備のキッチンを野外に運び出さないといけないのかは、謎である。そして、甲斐甲斐しく働くメイド達。
「ほら、座りなさい」
「いや……」
「座れって……」
「さあ、姫。永きに亘る戦いに終止符を打つときですよ」
「妹紅、この戦いに勝利すれば、お前は絶対の勝者だぞ」
と、渋る二人の背中を押す永琳と慧音。絶対こいつら結託してる、と誰もがわかるほどの連携ぶりである。
渋々、二人は、用意された椅子についた。そして、不満そうな顔つきで、辺りを見回している。
「お嬢様、司会と解説をお連れ致しました」
「ご苦労」
その時になって、悠然と、その場に歩み出てくる人影がある。
十六夜咲夜。この紅魔館でメイド長を勤める人物である。その後ろには、いつも通りと言えばいつも通り、
「一体何なのよ、この騒ぎは」
めんどくさそうに、やりたくなさそうに、渋る博麗霊夢女史と、
「面白そうなことには違いないが……何するんだ? これから」
興味津々といった瞳にうさんくさそうな眼差しを乗せるという器用な真似をしている霧雨魔理沙女史の姿。
「えー、それでは」
こほん、と咳払いなどしつつ、永琳がその場に出てくる。
霊夢と魔理沙には、専用の席が用意され、とりあえず、二人はそこへ。レミリアはそのすぐそばに、豪勢な椅子を引き出してきて座り、咲夜が影のように、ひっそりとその横に佇んだ。
「これより、第一回、蓬莱食い倒れ選手権を開始します!」
『ちょっと待てーっ!』
やっぱりというか何というか、全力でツッコミ入れてくる当事者の二人。
「ちょっと、永琳!? 何よ、食い倒れ、って!」
「そうだ! 何にも戦いと関係ないだろうが!」
「果たしてそうかな?」
どこから持ってきたのか、メガネなどをかけながら、慧音がきらりんっとレンズを光らせる。
「いかに蓬莱人とはいえ、肉体強度は普通の人間と同じ。そもそも、二人の決着がつかないのは、戦っても倒れないという、そこにある。故に、人間と同じ戦い方ならば、必ず決着はつく」
「そういうもんかしら?」
「そういうもんなんだろ」
首をかしげる司会と解説。
「何か異論でも?」
「う……」
「……くっ」
めちゃくちゃ屁理屈なのだが、その圧倒的な雰囲気に気圧されて、抗議をした二人は、渋々、椅子に腰を戻した。こっそりと、慧音が永琳に向かってウインク。彼女はそれを受けて、
「食材と場所の提供は、紅魔館代表、レミリア・スカーレットさんです。
さて、ルールは簡単。ただひたすら、食って食って食いまくるのみ。多くの料理を食べられた方が勝者となります」
「……私、まだ晩ご飯食べてないのよね」
「私だってそうだぜ」
「あ、司会者の皆様方にも、あとでお料理が振る舞われます」
「あ、それならいいかも」
「何が食えるんだ?」
ふっ、と永琳が笑った。
そして、ばっ、とオーバーアクションで紅魔館の入り口を示し、
「では、料理人に登場してもらいましょう!
今回、魅惑の料理を提供してくれるのは――」
「あれ? 咲夜さんじゃないの?」
「私は今回は、観戦でございます」
「へぇ」
この建物の中、何かと、物事を決める立場にいる人間である。咲夜は。てっきり、彼女が瀟洒な料理をごちそうしてくれるのだと思っていた霊夢は、ちょっぴりがっかりしたような表情になる。
「炎の中華料理人、紅美鈴さんです!」
「ちょっと待ってください、今、『くれないみすず』って言いませんでした!?」
「あら、美鈴さん」
「おー、中国だ」
「誰が中国ですか! 名前で呼んでください!」
ばたん、とドアが開いて(ちなみに、ドアを開けたのは、フランドールお嬢様とメイド二名)姿を現した彼女は、あまりにもご無体な言葉にツッコミを入れた後、一応、即席のキッチンに立った。
「っていうか、美鈴さん、料理できるの?」
「確かに。私はてっきり、やられ役のみかと」
「だから、やられ役じゃないってのに……」
ぶつくさ文句をつぶやく彼女。
「ねぇねぇ、レミリアお姉さま。何するの?」
「楽しい事よ」
ちょこまかと歩み寄ってきたフランドールが、ふぅん、とレミリアの言葉にうなずく。
「けれど、咲夜。勢いで決めてしまったのだけど、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫です。と言うか、あの見た目で料理が出来なければ、あれは紅美鈴ではありません。偽中国です」
「……ひどい……」
冷徹非常な一言に涙する美鈴。
しかし、それでも何とか気を取り直したのか、
「では、行きます」
中華鍋片手に、ぎらりと目を光らせる。
「それでは、スタートー!」
ノリノリの永琳が、かーん、とどこかから取り出した鐘を叩いた。
その瞬間、
「おお……」
「……本当に料理が出来てる……」
何か違うところで驚いている司会者二人。
まぁ、確かに、信じられないだろう。いっつもいっつも門番の役割を中途半端にしかこなせなくて咲夜に叱られている彼女の姿を見れば。
だが、今は違う。
今の彼女は背中に炎を背負い、その中に、燃えさかる虎すら浮かび上がらせるほどに、料理人だった。
「では、まずは前菜から」
とん、と最初に出されたのは、飲茶の定番、餃子だった。皮はかりっと香ばしく仕上がっていて、見ているだけでよだれがあふれてくるような代物である。
「お、美味しそう……」
ぐぅ~、とお腹の虫をならす霊夢。
仕上がったそれを、メイド二人が、選手の元へ。
「……何だかよくわからんが」
「これも勝負とあれば、負けるわけにはいかないわね」
二人は目をぎらりと輝かせ、瞬く間にそれを食べてしまうと、
『お代わり!』
全く同時に皿を突き出してきた。
「あら……早い……」
ちなみに出された餃子は、およそ5人前。それを一瞬で平らげてしまう二人に、美鈴は刹那の間、惚けてしまったが、それならば、と逆に料理人魂に火をつけたらしい。
「はい!」
続けて出されるのは、シューマイ。これまたふっくらと仕上がっており、匂いも見た目も格別だ。
「……う、うまそうだ……。っていうか、こんなの作れたのか……中国……」
「美鈴です!」
料理に没頭していても、その辺りはきちんと聞きとがめているらしい。魔理沙にツッコミを入れつつ、次の料理へと取りかかる。
「なかなかやるものね」
「ええ。少々、意外です」
「ねぇ、お姉さま。お腹空いたー」
くいくいと、フランドールがレミリアの服の袖を引っ張る。目の前で出来上がっていく、美味しそうな料理に目が釘付けである。
「けれど、どうして中華料理なんでしょう?」
「ああ、それはな」
戦いの様子を眺めている鈴仙が、隣に座っている慧音に訊ねる。彼女は苦笑しながら、
「中華料理というのは、油を多く使うだろう?」
「そうですね」
中華鍋から炎が噴き上がっている。まさに、火力を命とする中華料理の製作風景ならではの光景とも言えるだろうか。大きな鍋をいともたやすく操る傍ら、蒸し器などにも冷静に目を配る美鈴の姿は、微妙にかっこいい。メイド一同も『美鈴さま、素敵……』などと、ちょっとイっちゃった瞳をしていた。
「その分だけ、胃にもたれるからな。あの二人は、最初にも言ったけれど、不老不死であるという以外は普通の人間だ。そんなに食べないうちに、音を上げるだろうさ」
「でも、音を上げてしまうと、それはそれでまずいと思うんですよ。
結局、戦いは終わらないんじゃないかな、って」
「あの二人の戦いが継続するのには、ひとえに、勝敗がついてないというのがあるだろう? 倒しても倒しても、お互い、立ち上がるんだから」
確かに、とうなずく。
「それなら、絶対に立ち上がれない負け方をすればいい」
食べ過ぎって結構きついんだ、と苦笑する慧音。
なるほど。山ほどの料理でノックダウンしたら、それこそ、完膚無きまでの敗北となるのは間違いない。どちらが勝つにせよ、明確な形での勝敗が決するわけだ。それならば、その結果が、彼女たちの中には苦い思い出になるだろうと、慧音も永琳も読んだわけである。
その恥を削ぐために、なおさら、戦いが激化する可能性もないわけではないのだが、あの二人の性質からいって、意外とその辺はさっぱりしそうな感じもする。
「はいーっ!」
次に仕上がる、巨大な肉まん。軽く10人前はありそうなそれを、二人は鬼気迫る形相で口にしている。一方、フランドールは、いい加減我慢が出来なくなったのか、美鈴が料理を作っている横で、こっそり、出来上がったのをかすめ取ったりしている。
「……うまくいくといいですね」
「そうだな。
だが、遠からず限界は来る」
慧音は希望的観測を口にして、やれやれ、と肩をすくめた。
「負けんぞ、てるよーっ!」
「誰がてるよよ、このもこたんがーっ!」
「たんって言うなー!」
「……不安」
しかし、その様子を見ている鈴仙にとっては、やっぱりなんか安心できないようだった。
戦いは、続く。
「あいつら、いつまで食べてるつもりよー」
「……いい加減、我慢できないな。
おーい、中国~。私にも何か料理をくれー」
「中国って言うなー!
これでも食べてろっ!」
「お、きたきた」
飛んでくる皿を受け取り、早速、それに箸を付ける魔理沙。ちなみに飛んできたのはエビチリである。
美味しそうに炒められた、ぷりぷりのエビにフォークを突き刺し、ぱくりと一口。
その瞬間、
「なっ……!?」
目を、かっ、と見開き、声を失う。震える手から、フォークが、かちん、という音を立てて落ちた。
「ちょっと、魔理沙!?」
その異様な光景に、霊夢が声を上げる。
「ば……バカな……」
「どうしたの!? 毒でも入ってたの!? あ、そうか、永琳だものね! やりかねないわ!」
「……めちゃくちゃ言ってくれるわね」
顔を引きつらせ、ツッコミを入れる永琳。心なしか、こめかみの辺りに青筋が浮かんでいるような気もする。
だが、
「この……エビの絶妙な風味……。チリソースの中に隠された、甘く、繊細な……! こ……これは……これは……!」
「……魔理沙?」
「うーまーいーぜー!!」
どかーん。
叫びつつ、ブレイジングスターで夜空にかっ飛んでいく魔理沙。あきれつつも、霊夢は魔理沙が残したエビチリを一口。
「あ、ほんと。美味しい……」
「ねぇねぇ、めいりーん。おかわりおかわりー」
「こら、フランドール。食器をかちゃかちゃ言わせるのはマナー違反よ」
「它是繁忙的ーっ!(忙しいーっ!)」
美鈴は現在、輝夜と妹紅の料理を作りつつ、フランドールのオーダーに応え、さらにはなぜか、霊夢や魔理沙といった見物人の分にも手を回している。しかも、それをやっているのは彼女一人だ。ものすごい量の料理を作っているためか、会話にも余裕がなくなってしまっている。
「美鈴、手伝いましょうか?」
「お願いしますっ!」
今、彼女が手がけているのはかに玉である。それも、輝夜と妹紅の分だけで、軽く10人前。超巨大かに玉なのである。
「咲夜さんは、お嬢様達のを」
「ええ」
さすがに見かねたのか、咲夜がそれに助っ人で入り、料理に手を出す。
二人の料理人の姿に、目をきらきらと輝かせる、食べてる一同。なお、激しく炎を散らす約二名ほどは「早くしろー!」だのとさっきから喚いている。
ちなみに魔理沙だが、つい先ほど、戻ってきて、今は平然と解説者の席に座って水を飲んでいた。
「完成!」
美鈴が、それを手に、輝夜達の所に向かおうとして、
「……咲夜さん、何ですか? それ」
「は? かに玉でしょう?」
そう、かに玉である。
誰がどう見てもかに玉である。見事なくらいに彩られた、美しいそれは、まさに瀟洒な料理。しかし、美鈴の顔はと言うと、
「こんなものがかに玉であってたまりますかーっ!」
というものだった。
「なっ……!?」
「たまごに全然、ふっくら感がないっ! こんなに固くてどうするんですか! 中に入れてある具にだって、中途半端にしか火が通ってないし! 何より……この料理の命とも言える、あんかけの味が濃すぎるっ!」
「な、何を……!」
「没! 咲夜さんに頼った私がバカでした!」
その一言に。
「何ですって!?」
さっと顔に朱が差した咲夜が怒鳴る。まぁ、これだけ言われれば当たり前だが。
しかし、美鈴は、いつもなら萎縮して震え上がるしか出来ないのだが、今回は違った。きっと相手をにらみつけると、自分が作ったかに玉を突き出して、
「食べてみてください」
「……な、何よ……。いやに本気ね……」
「咲夜さんの未熟っぷりを思い知らせてあげます」
「……面白いじゃない」
まず、自分の分を一口。
まずくない。むしろ、うまい。これほどうまい料理が作れるとは、さすが自分、とちょっと自画自賛してから、美鈴のものへ。
刹那。
「そっ……!」
声が固まり、目が大きく、驚愕に見開かれた。
「ば……! 嘘!? あなた、私と違う食材を使ったんじゃ……!」
「いいえ。私が使ったのは、咲夜さんが使ったものと同じです。
すなわち、これが、料理人としての技量の違いですっ!」
どぉぉぉぉぉん、という書き文字が料理の上に現れたのが、その場にいた一同全員に見えたような気がした。
がっくりと、咲夜がその場に膝を落とす。
「そんな……バカな……。私が……私が……美鈴に……」
「……一体何があったのかしら」
「触れちゃならない心の琴線に触れたんだろうな……」
「……なるほど。プライドが傷つけられた、ってやつね」
「ああ」
その、咲夜をノックアウトした『驚愕のかに玉』は一瞬の間に蓬莱人の胃袋へと消えていく。
「ねぇねぇ、めいりーん。デザートはー?」
そして、こちらはどうやら、お腹一杯になったらしいフランドールが美鈴にデザートを注文する。しかし、またしても、
「ダメです」
「えー?」
「えー、じゃありません。
いいですか? フランドール様。デザートというのは、料理の最後を締めくくる、重大なファクターです。そのために、それまでの料理全てを統合して、最もふさわしいデザートを作らなければなりません。
私はまだ、作らないといけないものがあります。しばしお待ちを」
「ケチー! 作ってよー!」
「いけません!」
「……うぅ~!」
強い口調できっぱり否定されて、フランドールがレミリアを見る。
「美鈴」
「何ですか、お嬢様」
「……いえ、何でも」
何か言おうとしたのだろう。しかし、美鈴の目を見て、彼女もまた、何も言えなくなって沈黙する。
――今日の美鈴は、何かが違う。
その場にいる全員が、それを感じ取り、戦慄した。
「次の料理を持ってこーい!」
「早くなさいっ!」
「はーい、ただいまー」
ころっと笑顔になって、美鈴が、再びキッチンに立つ。
「おねえさま~……」
「……我慢なさい、フラン。今の彼女は、料理人よ……。キッチンを戦場とする、千年の兵よ……。あれには、さすがのわたしでも……!」
「……何か妙な展開になってますけど。どうするんですか? 師匠」
「……ちょっと意外だったわねー」
「っていうか、あいつら、いつまで食べ続けるつもりだ……」
この戦いを提供した仕掛け人達も、顔を引きつらせている。それほどまでに場が混沌としてきているのである。
この勝負、先に気を抜いた奴が負ける!
誰もがそれを感じ、同時に、思う。
『何に負けるのよ?』
――と。
「……ふっ……ふふっ……。そろそろ……苦しそうだな、輝夜……」
「うふ……うふふ……あなたも……うっぷ……ね……」
二人とも、限界が近づいてきている。苦しそうに顔を青ざめさせ、それでも、先にダウンするわけにはいかないと、必死にスプーンや箸を動かしているのだ。
司会者も解説者も、今では普通に美鈴の料理を楽しみ、フランドールは、ついさっき投入されたあんみつ豆腐にご満悦して、現在はお姉さまのお膝の上でおねむである。ちなみに咲夜は、舞台の片隅で膝を抱えて落ち込んでいる。
「そろそろギブアップしたら……ぐぅっ……どうだ?」
「それは……うぇっ……こっちのセリフよ……!」
中華というのは油っぽく、胃にもたれる。計らずとも、慧音の言った通りになっている。ちょっとでも刺激を加えればリバースしそうな状況になっているのに一歩も引かない辺り、まさにあっぱれといったところだが。
『お代わりぃっ!』
巨大ココナッツゼリーを食べ終えた二人が、さらに声を上げた。
「ええ~……?」
いい加減、美鈴も疲れてきたのか。それとも、単に食材がないのか。
困惑の声を上げる。はっきり言って、あの二人が平らげてきた食事は、常識を遙かに超えている。胃袋も永遠なのか、と思うほどに。
「……わかりました。
私、紅美鈴、最後にして究極の料理をお出しします」
何かを覚悟したかのように。
彼女は、決意の声を上げると、その料理に取りかかった。それまでよりも数段、手つきが厳しく、素早くなり――そして、出来上がったのは。
「……餃子ね」
「餃子だな」
たった一切れの餃子だった。ちなみに、全員に配られたものと、輝夜と妹紅に出されたものは、量も見た目も同じ。完全な、ただの一口餃子だった。
ただの焼き餃子にしか見えない。
「……んじゃ、一口」
魔理沙が、箸でそれを掴み、口にぽいっと放り込む。
「……んなっ……!」
「どうしたの? またブレイジングスター?」
あきれつつも、霊夢が続き。
「フランにも食べさせてあげたかったわね」
レミリアが続き。
「師匠、頂きます」
「ええ」
永遠亭組、そして、
「やれやれ」
作戦は失敗か、と諦めつつある慧音が続いて。
『……これは……』
全員の声が唱和した。
「それこそ、真の餃子……。私が、師匠より受け継いだ、至高の一品です!」
師匠って誰だ、とは誰もツッコミを入れなかった。
「嘘……」
「こんな……皮のうすぎぬの一枚まで味がしみていて……」
「食材の味が、信じられないほどに生きているわ……」
「口の中に広がる……この……味の世界……」
「食材一つ一つに至るまで、味がわかります……」
「……うまい」
もはや、それ以外の言葉はいらない。
誰もが沈黙し、誰もが驚愕し、そして、誰もが感動した。
「……うぅっ……!」
あの魔理沙すら、泣いている。
あまりにも美味しい、この食事に。それを提供してくれた、真の料理人に。
「私は……私は……感動したぜ……!
中国! お前は……お前は、中国じゃなかった! お前こそ、真の紅美鈴だっ!」
「最初っから美鈴ですっ! っていうか、名前で呼んでくださいっ!」
よけいな一言にツッコミ入れる美鈴。
「……驚いたわね。まさか、これほどまでとは。
美鈴、あなたのお給料と待遇、今一度、考えてあげるわ」
レミリアも、普段は浮かべない純粋な笑みを浮かべる。
「こんな戦いを企画した方がバカだったのかもしれないわね」
「ああ……。今度、美味しい食事を、じっくり味わいたい。いいかな? 美鈴さん」
「師匠……涙で……涙で前が見えません……」
何やら無意味に感動し、悟っている三人。
そして、
「……ま、これならいいか」
最後に、美味しいとどめを受けたことで、今までの理不尽を全部水に流した霊夢。
何やら、場がにこやかに、そして和やかに終わりそうなところで。
『……ぐはっ』
その一口が限界だったのか。
そろって仲良く、ダブルノックアウトした輝夜と妹紅の姿があったのだった。
「う……」
「目が覚めましたか、姫」
「……ここは?」
目を開ければ、天井が見えた。そして、覗き込む永琳の顔も。
身を起こそうとして、輝夜は、顔をしかめて倒れ込む。柔らかい布団が、彼女を受け止める。
「永遠亭です。あの後、姫を連れて撤収したんですよ」
「……そう。私は負けたの?」
「相打ちだ」
その声に、振り向けば。
枕を並べて、妹紅がいた。そのそばには慧音が付き従っている。
「なっ……!?」
「お互い、そろってダウンしたんだとさ。全く……情けない」
「何であなたが……!」
「同じ苦しみを分かち合うのも、また、粋でしょう」
にっこりと笑う永琳の一言に。
さっと、輝夜の顔が青くなる。
「食べ過ぎって辛いんだ」
慧音のその一言が、極めつけになったのか。もはや怒鳴る気力もなくした輝夜は、妹紅と一緒になって、布団にくるまったのだった。
ちなみに。
その後、しばらくの間、両者の恒例の『仲がいいほどケンカする』は行われなかったという。
めでたしめでたし。
さらに余談であるが。
「この私が……十六夜咲夜が、美鈴に負けたままでいいというの……? いいえ、そんなことはないわ! 完全で瀟洒なメイドたるこの私のアイデンティティを取り戻すために!」
厨房のドアを開き、
「美鈴、勝負よ!」
「……ほえ?」
「あなたの土俵で、今再び、戦いを挑む! それに勝利してこそ、私は自分を取り戻すことが出来るのよ!」
「あ、あの、咲夜さん? 何をトランスして……」
「さあ、武器を手に取りなさい。勝負よ、美鈴!」
「……あの~」
と言う戦いが、しばらくの間、紅魔館で繰り広げられることになるのであった。
めでたしめでたし?
それとレミリアのお膝の上でおねむするフランとそれを見るレミリアを想像して(*´Д`)ポッ
中国、恐ろしい子!
そして、笑った! 咲夜さんまでもが敗北するなんて…素敵すぎ!
ハイテンションで繰り広げられる大食いバトル、そしてそこに見え隠れする紅魔館の従者たちの交錯……最初から最後まで、しっかりと楽しませていただきました。ありがとうございました。
ただし。フランやレミリアに『餃子』食べさせましたね。
餃子は確かにんにくを使いませんでしたか? それとも美鈴は当然にそこまで配慮して吸血姫姉妹の分からにんにくを抜いたのでしょうか。
そういった簡単な点ですが気になりました。
それにしても、弄られないで主役を喰った美鈴って珍しいかも。
っていうか、絶対進むべき道を間違ったな美鈴(笑
タレに入れます。
しかし美鈴の作った餃子は日本の餃子っぽいが・・・
けどそんなこと関係なく面白かった。ナイス!
中国の料理、ぜひ食べてみたいよ!
にしても妹様かわいすぎ・・・。
料理漫画の味噌は、このような無駄に激しいオーディエンスのリアクションだと思いますw うーまーいーぞー!!!
ところで咲夜さんのかに玉を美鈴が「何それ」って言ったときに某タイガーのかに玉(仮)を思い出したのは私だけだろうか。
中華料理を作ってる間は全ての者を一喝できる美鈴最高~~!!!
美鈴カッコイイヨ!
で、咲夜さんとの料理バトル編まーだー?
さすが中国。
⊂彡
・・・勝者、美鈴。'▽')
これぞ炎の料理人!ですね
続編やら番外編やらを期待しても良いですか?w
そんなことはどうでもいい。ディアッカ・・・もとい美鈴、チャーハン一丁!! グゥレイトぉ!!
あー中華くいてえ。
うお!夜中なのに腹すいた。こんな美鈴はIlike です!
中国かっこいいよ中国
フランちゃん可愛いなぁ
おいしい中華が食べたい~・・・
美鈴が咲夜に勝った!!
もうそれだけでお腹いっぱい
ちょっと幻想郷いってきます
結婚してくれー!!