*はじめに色々ごめんなさい
改善してはいるつもりですがやっぱりたぶん駄文かもしれません
指摘すべき点を見つけたらいくらでもお願いします
晴れ渡った青空の中に虹川家を目指す飛行物体が何体かあった。
それぞれの個体名を
十六夜咲夜、八雲紫、八雲藍、西行寺幽々子、魂魄妖夢と言う。
十六夜咲夜は思考する、飛行しながら思考する。
プリズムリバーの次女と言ったらアレしかないわ・・・
でも躁病って感染するものだっけ?
たぶん違うと思いつつ、プリズムリバー家に急ぐ。
・・・到着、開けた場所に紅魔館程ではないが立派な家がある。
ここにはあまり来たことがない。
死人嬢の先導がなければたどり着けなかっただろう。
「あ~、いぬにくなメイドだ~」
自分が狗と呼ばれる元凶(の一人)発見、個体名:リリカ・プリズムリバー
手を後ろに回し大量のナイフを握って・・・・・
「やめておきなさい、これから話を聞かなくてはならないのだから
面倒は起こさない方がいいわ」
止められた・・・・・死人嬢の言うことは確かに正論である。
ここはナイフを収めておこう。何かあればすぐに抜くが・・・
「ん~? 一体どうしたんだ? こんなところに来て」
まともに話の出来そうな長女登場、他は相手にしないことにした。
「・・・・・・・・・ということがあって、何か知らないかと思って」
「そうか・・・厄介だな。とりあえず、上がって」
通されたのは、プルズムリバー家食卓。
ルナサ曰く、最も大きなテーブルがあるらしい。
フローリングで、よく片付けられたきれいな食卓で、日当たりもいい。
ちなみに今は次女も三女も面倒ごとを長女に押し付け引っ込んでいる。
「座って・・・しかし珍しいですね」
と言いつつルナサが紫と幽々子を見やる、同時に自分も他の連中も座る。
(ユニゾン)『確かにそうですよねぇ』
(こっちもユニゾン)『何のことかしら?』
『普段自分では動かない幽々子(紫)様が自分から動くことですぅっ!(鉄扇)』
頭を抱える従者二人組み、本当に痛そうだ、スナップが効いている。
幽々子と紫は一応自分の従者の心配をしてきているのだ、
紫に至っては昼なのに行動している。
こんなことを言えばこれくらいの粛清は当たり前である・・・たぶん。
息ぴったりな四人組みから目を離し、咲夜は思考を戻した。
「それで、話から何か心当たりは出てこない?」
「あ~、それはアレだ。運が悪かったんだ」
「それはどういうことかしら?」
居住まいをただすルナサ、肘を突いて拳の上に顎を乗せついでになんか目が細い。
「これから説明する。
まずはうちの次女、メルランだが、躁病の気があるのは知っての通りだ。
それが、躁の音を操る能力と共鳴でも起こしたのか、
たまに周囲に「躁」を撒き散らすことがある。
この「躁」はメルランから離れても有効みたいだから菌のようなものだと
考えている。「躁」を少し浴びただけなら気分の高揚程度で済むんだが
それをほんの少しオーバーすると、体内で増殖を始める。
そしてどんどん暴走したい気持ちが蓄積されていくんだ。
このとき、「躁」が脳内に無理やり陣取るため、体調不良が起こる。
ちなみにネタキャラである者はそのネタの強化、
そうでないものはめるぽ化が進む」
「・・・えらく、くわしいわね」
「すぐそこにある脅威だからね。手ごろな相手で実験した」
たぶん氷精とか蟲姫とかだろう。
「なるほどね。ところでまさか感染したりはしないでしょうね?」
浮かんだ相手に心の中で合掌しつつ質問を続ける咲夜。
もし感染するようなもので紅魔館が狂気に覆われたら手の打ち様がない。
「それは大丈夫。どうやら「躁」を放出できるのはメルランだけみたいだ」
「ならよかった。で、肝心の治療法は?」
「確認している中で最も有力なのは後頭部を強打して気絶させること」
メイド達はともかくパチュリー様が暴走したら難しそうだ。
「後は私の鬱の音を耳元で大音量で聞かすこと、
遠くからでも少しは落ち着くけど治すにはここまでする必要がある」
はて、どうしたものか・・・治し方も原因も分かったことだし、
ここは紅魔館に一度戻ろう、報告もしたいし間に合えば簡単に終わる。
「とりあえず紅魔館に戻ることにするわ。あなたも一緒に来て」
「ん、分かった。他の四人はどうするつもりかな?」
幽々子と紫は原因を探りに来ただけである。もう目的は果たしたはずだ。
「おもしろそうだから一緒に行くわ」
「紅魔館のおいしいご馳走を頂きに行くわ」
同時に返答しかも即答ついでに笑顔。
どっちも理由が理由なだけに付いてくるなと言ってやりたいが
頭の痛いことに、もしもの時の戦力としてはかなりのものである。
・・・・・最悪の場合を想定することにした。
片方は実害はなさそうだからよしとしよう。
食料は・・・支障のない程度に出せばあとは庭師が押さえ込んでくれるだろう。
そんなこんなで一行は六人に増え、紅魔館へと向かった。
ちなみにルナサのゲン○ウスタイルは最後まで崩れなかった。
ところ変わって真っ紅な館、紅魔館。その中のレミリアの私室。部屋の主はそこにいた。
昼過ぎだが光は差し込まない。そこでレミリアは徹夜ならぬ徹昼していた。
・・・例のメイド達はもしものために幽閉したから良いとして、問題はパチェね。
恐らく発狂すれば戒めを破ることくらい容易でしょうね。
・・・・・咲夜はまだかしら?
メイドへの指示と心配事で眠れなかったらしい、少し疲れている。
そこへ待ち望んだ伝令。
「全隊への非常時通達が終わりました」
待っていたものとは違った。
「分かったわ、下がって頂戴」
返事と重なりまた伝令。
「門番隊から十六夜メイド長帰還の報告です」
今度こそ本当に待っていた報告だった。
「待っていたわ。ありがとう、下がって良いわよ」
「はい」
咲夜は戻ったらしい、すぐにでも報告にここへ来るだろう。
ちゃんと目的のものを見つけていると良いのだけど・・・。
「ただいま戻りました」
ほどなくして、十六夜咲夜はレミリアの私室に来た
「・・・・・・・ということです」
「分かったわ、すぐにでも始めましょう」
十六夜咲夜は安心していた。戻ったらもう暴走していたら、
いや、それだけでなく手遅れになっていたらどうしよう、と
道中不安で仕方なかったのだ。
真紅の廊下を図書館目指して急ぐ一行。図書館はもう目前だ。
ドゴォォォン
図書館の扉を目の前にして、一行は派手な音と鈍い振動を捉えた。
と、扉から飛び出してくる小悪魔。なにやら傷を負っている。
「パチュリー様が、パチュリー様が・・・・」
「暴走したのね、分かったわ。とりあえず休みなさい」
「でも、でも・・・・」
「いいから。あなた、ボロボロよ」
なにやらうろたえている。それを諭して抑えるレミリア。
紅魔館の主は伊達じゃない。
「しかし拙いぞ、「躁」により暴走した者の体調は全快になる。
いや、むしろ限界を超えていると言ってもいい。
暴走中は喘息も治っているかもしれない」
重い口をルナサが開いた。
辛い経験でもあるのか、眉間にしわが寄っている。
「それくらい時を止めればどうってことないわ」
「あ・・それは駄目です。効きません」
「え? どういうこと?」
気合を入れる咲夜、だいぶ落ち着いたらしく方策を否定する小悪魔。
「パチュリー様は暴れ始める少し前から
様子がおかしくなっていらっしゃいました。
そのときに対時止め用の護符を一つ作り上げたようでした」
「そう、じゃあ仕様がないわね。
あの紅白の所に行きましょう。お嬢様はそこでお休みください」
「なんでよ? 紅魔館の主としてこの件には決着をつけるわ」
「いけませんお嬢様。言わせてもらいますが目に見えてお疲れになっています。
ここはお下がりください」
「・・・分かったわ。咲夜はいつも心配してくれているものね・・・」
「話が決まったらこの隙間に。場所はもう覚えているの」
隙間を通り、博麗神社へ急ぐ一行。
この隙間、便利なようで知らない場所にはいけないなど色々面倒な代物らしい。
こいつが紅魔館の場所を覚えていたら間に合ったかも知れないと
後の祭りなことを考えつつ咲夜は指示を与える。
「・・・そこのメイド! 紅魔館の全員に伝えて! 何かあったら迎撃はせず、
回避すること。暫くしたら事態を収めに来るからそれまで待つこと。いいわね!」
ブゥヲンッ
最後の咲夜が入って閉じる隙間。
指示を与えられたメイドは暫く呆然としていたが、
すぐに我に帰って紅魔館中を駆け巡った。
隙間を抜けるとそこは和室だった。畳部屋だし間違いない。
日の光を浴びて縁側で茶を飲む紅白と、遊びに来ていたらしい白黒が見える。
「紫?突然来ないでよ・・・って、ずいぶんな大人数ね」
「これには訳があって・・・」
「どうでも良いけど土足で畳の上に立つのやめてくれない?」
咲夜が事情を説明しようとするが文句により一蹴される。
「あら? 急いでいたから室内の方に出てしまったわ」
微妙ににやけている紫、
反応を見るためにわざと間違えたんじゃないかと疑う霊夢。
「で? 何だ? 宴会か? それにしても珍しい面子だな、黒いのもいるし」
「あんたも黒いだろう? 色々と・・・」
色々言い合う黒い者同士。
そんな光景を繰り広げつつも外に出る一行。
「で、本当に何があったのよ。話くらいなら聞くわよ」
「実は・・・・・・・」
状況説明をする咲夜。
このあたりは本当にあの騒動が現実なのか疑いたくなるくらい静かである。
「・・・ということがあったの」
「はぁ、なんで早く知らせてくれなかったの?
幻想郷の異変の原因を沈めるのは私の役目よ」
「パチュリーの一大事とあれば動かないわけにはいかないな。本が借りれなくなる」
「それとお嬢様をここで休ませてもらえないかしら。あと小悪魔も」
「いいわよそれくらい、どこの部屋でも使って頂戴」
交渉成立、ついでに思わぬ収穫。
この巫女は幻想郷最強といっても過言ではない。
魔理沙も指折りの実力者だ。
「ありがとう。では早速紅魔館へ行きましょう。場所は覚えた?」
「どうなっているか分からないのだから、飛んでいった方が良いんじゃないかしら」
「・・・それもそうね。では行きましょう」
八人に増えた一行は紅魔館を目指す。
紅魔館が見えてきた。まだ明るいが日は傾き始めている。
急ぐ一行に向かってくる者がいた。
「咲夜さぁぁぁん、大変ですよう」
「あら中国、どうしたの?」
「なんだ中国、何があった?」
真顔で返答する咲夜と魔理沙。
「こんなときまで中国なんて呼ばないでください!
しかも真顔って本気で忘れてるんですか!?」
「それは良いから、状況を報告しなさい、隣の妹様のことも含めてね」
向かってきたのは門番とフランドールだった。
「うう・・よくないのに。ええと、館内に幽閉されていたメイド達が暴走し、
牢を破ってパチュリー様の護衛に勝手についていました。
パチュリー様はパチュリー様で暴れています。
騒ぎを聞きつけて妹様が出てきたのですが危険そうでしたので命令に従って
なるべく事態を回避しながら連れ出してきました」
「でかしたわ、今度までに本名を思い出しといてあげる。
それと妹様を博麗神社に連れて行っておいて」
「はい。って、やっぱり忘れてたんですかぁ! 我的名字紅美鈴!」
「え~なんで~? 私も戦えるよ~」
不満なのか名前を主張する門番。
暴れたいのか参加を主張するフランドール。
そこで咲夜の頭にあるヴィジョンが浮かんだ。
・・・妹様の拳に頭を砕かれるパチュリー様・・・
ぶるんっぶるんっ
怖い考えを頭を振って振り払う咲夜。
「いえいえ駄目でございまする妹様。日も高く、危のうございますです」
適当な理由をひねり出して、参戦を拒否する。
さっきのヴィジョンが頭から離れないのか、少し口調がおかしい
「ふ~ん、分かった。じゃあ今度遊んでね」
フランドールは気にしない。どころか代わりの注文が飛んできた。
更なる動揺を隠し、平静を取り戻して受け答える。
「分かりました、ではまた今度に。
事態が収束したらお迎えにあがりますので、
それまでお嬢様と一緒にお待ちになってください」
面倒な約束をしてしまった。手加減を覚えたとはいえ、きつい。
そんなことを考えつつ十六夜咲夜は先へ進む。
紅魔館入り口付近、ここまで来ると紅魔館がぼろぼろになっているのが分かる。
煙を吹いている箇所も見受けられる。一体どんな暴れ方をしたと言うのか。
咲夜が後片付けに思いを馳せていると、
ドォォォン
屋根に大穴が開いた、そこから出てくるパチュリー&メイド隊。
パチュリーを真ん中に六人のメイドが周りを等間隔に囲んでいる。
しかも強化されているのか、魔方陣が付いている。
「厄介ね、どうしたものかしら」
「とりあえず私が鬱の音で相手の弱体化を図ろう」
「それって私たちまで鬱になるんじゃない?」
「そこも既に試した。「躁」の者に対しては
正常な者に比べてかなり効きやすいようだ。
だから、ここでは相手の方がより弱体化するから大丈夫。
それでも、きついとは思うが・・・」
「分かったわ。じゃあそれでお願い。私が引きこもり魔女を狙うから
他のを頼むわね」
いつの間にか場を仕切ってる霊夢、騒動を前にすると力を発揮するのか?
「パチュリーは私がやりたかったんだがな。まぁいいか、頼むぜ」
他にも特には異論はないようだ。そんな訳で、作戦開始!!
鳴り響くルナサソロライブ。その中で
魔理沙がメイドAを跳ね飛ばし
妖夢がメイドBに一閃を放ち
咲夜がメイドCをナイフで埋め
藍がメイドDに忍び寄り
幽々子はメイドEのクナイを避けつつ一撃を放ち
紫は隙間移動でメイドFの背後に立つ
しかし
メイドAは後頭部へのダメージを避け
メイドBは手にした剣で一閃を受け流し
メイドCはダメージを最小にして脱出し
メイドDは藍を感知、回避し
メイドEは一撃を腕で受け
メイドFは流れ弾に隠れる
そして一斉に
『めるぽぉーー!』
・・・精神点にたぶんダメージ20%くらい・・・
それでもめげずに一行は頑張る。決着は暫く見えそうもない。
そのころ霊夢は・・・
霊夢対パチュリー戦はいきなり序盤から激しかった。
パチュリーが当たり構わず弾を散らせば、霊夢は目の前で針を放つ。
パチュリーが霊夢を狙い始めれば、霊夢は避けつつホーミング兵器を放つ。
パチュリーが弾を膜状に張り巡らせれば、霊夢は瞬間移動して近くに迫る。
霊夢が近づけばまたパチュリーは弾を撒き散らす。時には収束させる。
進退窮まる攻防に、終わりはまだまだ見えてこない。
馬鹿みたいに晴れた空が恨めしく思えるほど気の長い攻防が続いた。
そしてまだまだ続くと思われた、その時!!
パチュリー軍団全員の体勢が一気に崩れた。
ルナサの演奏が佳境に入り激しくなったためだ。
好機と見た一行は一斉に攻めかかる。
魔理沙は突撃、急転回して箒を相手の後頭部に叩き付け
妖夢は避けられた体勢から返す刀で峰打ちし
咲夜は瞬間移動して掌底を打ち込み
藍は大きく回りこんで体当たりをし
幽々子は通り過ぎざま手刀を放ち
紫は腕だけ隙間移動して後ろから殴る
パチュリーだけは体勢が少し崩れても影響がないようにも見えたが、
霊夢の捕らえることを許さぬ瞬間移動に翻弄され、
ついには霊夢の膝が後頭部を捉え、パチュリーは見事に沈んだ。
・・・こうして紅魔館で起きた、幻想郷中を巻き込みかねない異変は収まった。
この後、紅魔館は食糧難と復旧作業で大忙しだったそうだが、
それはまた別の話である。
「って何であんた達はまだうちにいるのよ」
「紅魔館が穴だらけで過ごしにくいからよ」
「霊夢~あそぼ~」
「ここではやめて。神社が壊れる」
・・・博麗神社もいつもより騒がしかったとか・・・
余談ではあるがこの話を聞いた八意永琳により対「躁」ワクチンが生み出され、
二度と似たようなことが起きることはなかった。
この功績を讃え、博麗神社で宴会が執り行われた。
「結局そこに行き着くのかー!」
「こちらも景気づけが必要なのよ、復旧って結構重労働だし」
改善してはいるつもりですがやっぱりたぶん駄文かもしれません
指摘すべき点を見つけたらいくらでもお願いします
晴れ渡った青空の中に虹川家を目指す飛行物体が何体かあった。
それぞれの個体名を
十六夜咲夜、八雲紫、八雲藍、西行寺幽々子、魂魄妖夢と言う。
十六夜咲夜は思考する、飛行しながら思考する。
プリズムリバーの次女と言ったらアレしかないわ・・・
でも躁病って感染するものだっけ?
たぶん違うと思いつつ、プリズムリバー家に急ぐ。
・・・到着、開けた場所に紅魔館程ではないが立派な家がある。
ここにはあまり来たことがない。
死人嬢の先導がなければたどり着けなかっただろう。
「あ~、いぬにくなメイドだ~」
自分が狗と呼ばれる元凶(の一人)発見、個体名:リリカ・プリズムリバー
手を後ろに回し大量のナイフを握って・・・・・
「やめておきなさい、これから話を聞かなくてはならないのだから
面倒は起こさない方がいいわ」
止められた・・・・・死人嬢の言うことは確かに正論である。
ここはナイフを収めておこう。何かあればすぐに抜くが・・・
「ん~? 一体どうしたんだ? こんなところに来て」
まともに話の出来そうな長女登場、他は相手にしないことにした。
「・・・・・・・・・ということがあって、何か知らないかと思って」
「そうか・・・厄介だな。とりあえず、上がって」
通されたのは、プルズムリバー家食卓。
ルナサ曰く、最も大きなテーブルがあるらしい。
フローリングで、よく片付けられたきれいな食卓で、日当たりもいい。
ちなみに今は次女も三女も面倒ごとを長女に押し付け引っ込んでいる。
「座って・・・しかし珍しいですね」
と言いつつルナサが紫と幽々子を見やる、同時に自分も他の連中も座る。
(ユニゾン)『確かにそうですよねぇ』
(こっちもユニゾン)『何のことかしら?』
『普段自分では動かない幽々子(紫)様が自分から動くことですぅっ!(鉄扇)』
頭を抱える従者二人組み、本当に痛そうだ、スナップが効いている。
幽々子と紫は一応自分の従者の心配をしてきているのだ、
紫に至っては昼なのに行動している。
こんなことを言えばこれくらいの粛清は当たり前である・・・たぶん。
息ぴったりな四人組みから目を離し、咲夜は思考を戻した。
「それで、話から何か心当たりは出てこない?」
「あ~、それはアレだ。運が悪かったんだ」
「それはどういうことかしら?」
居住まいをただすルナサ、肘を突いて拳の上に顎を乗せついでになんか目が細い。
「これから説明する。
まずはうちの次女、メルランだが、躁病の気があるのは知っての通りだ。
それが、躁の音を操る能力と共鳴でも起こしたのか、
たまに周囲に「躁」を撒き散らすことがある。
この「躁」はメルランから離れても有効みたいだから菌のようなものだと
考えている。「躁」を少し浴びただけなら気分の高揚程度で済むんだが
それをほんの少しオーバーすると、体内で増殖を始める。
そしてどんどん暴走したい気持ちが蓄積されていくんだ。
このとき、「躁」が脳内に無理やり陣取るため、体調不良が起こる。
ちなみにネタキャラである者はそのネタの強化、
そうでないものはめるぽ化が進む」
「・・・えらく、くわしいわね」
「すぐそこにある脅威だからね。手ごろな相手で実験した」
たぶん氷精とか蟲姫とかだろう。
「なるほどね。ところでまさか感染したりはしないでしょうね?」
浮かんだ相手に心の中で合掌しつつ質問を続ける咲夜。
もし感染するようなもので紅魔館が狂気に覆われたら手の打ち様がない。
「それは大丈夫。どうやら「躁」を放出できるのはメルランだけみたいだ」
「ならよかった。で、肝心の治療法は?」
「確認している中で最も有力なのは後頭部を強打して気絶させること」
メイド達はともかくパチュリー様が暴走したら難しそうだ。
「後は私の鬱の音を耳元で大音量で聞かすこと、
遠くからでも少しは落ち着くけど治すにはここまでする必要がある」
はて、どうしたものか・・・治し方も原因も分かったことだし、
ここは紅魔館に一度戻ろう、報告もしたいし間に合えば簡単に終わる。
「とりあえず紅魔館に戻ることにするわ。あなたも一緒に来て」
「ん、分かった。他の四人はどうするつもりかな?」
幽々子と紫は原因を探りに来ただけである。もう目的は果たしたはずだ。
「おもしろそうだから一緒に行くわ」
「紅魔館のおいしいご馳走を頂きに行くわ」
同時に返答しかも即答ついでに笑顔。
どっちも理由が理由なだけに付いてくるなと言ってやりたいが
頭の痛いことに、もしもの時の戦力としてはかなりのものである。
・・・・・最悪の場合を想定することにした。
片方は実害はなさそうだからよしとしよう。
食料は・・・支障のない程度に出せばあとは庭師が押さえ込んでくれるだろう。
そんなこんなで一行は六人に増え、紅魔館へと向かった。
ちなみにルナサのゲン○ウスタイルは最後まで崩れなかった。
ところ変わって真っ紅な館、紅魔館。その中のレミリアの私室。部屋の主はそこにいた。
昼過ぎだが光は差し込まない。そこでレミリアは徹夜ならぬ徹昼していた。
・・・例のメイド達はもしものために幽閉したから良いとして、問題はパチェね。
恐らく発狂すれば戒めを破ることくらい容易でしょうね。
・・・・・咲夜はまだかしら?
メイドへの指示と心配事で眠れなかったらしい、少し疲れている。
そこへ待ち望んだ伝令。
「全隊への非常時通達が終わりました」
待っていたものとは違った。
「分かったわ、下がって頂戴」
返事と重なりまた伝令。
「門番隊から十六夜メイド長帰還の報告です」
今度こそ本当に待っていた報告だった。
「待っていたわ。ありがとう、下がって良いわよ」
「はい」
咲夜は戻ったらしい、すぐにでも報告にここへ来るだろう。
ちゃんと目的のものを見つけていると良いのだけど・・・。
「ただいま戻りました」
ほどなくして、十六夜咲夜はレミリアの私室に来た
「・・・・・・・ということです」
「分かったわ、すぐにでも始めましょう」
十六夜咲夜は安心していた。戻ったらもう暴走していたら、
いや、それだけでなく手遅れになっていたらどうしよう、と
道中不安で仕方なかったのだ。
真紅の廊下を図書館目指して急ぐ一行。図書館はもう目前だ。
ドゴォォォン
図書館の扉を目の前にして、一行は派手な音と鈍い振動を捉えた。
と、扉から飛び出してくる小悪魔。なにやら傷を負っている。
「パチュリー様が、パチュリー様が・・・・」
「暴走したのね、分かったわ。とりあえず休みなさい」
「でも、でも・・・・」
「いいから。あなた、ボロボロよ」
なにやらうろたえている。それを諭して抑えるレミリア。
紅魔館の主は伊達じゃない。
「しかし拙いぞ、「躁」により暴走した者の体調は全快になる。
いや、むしろ限界を超えていると言ってもいい。
暴走中は喘息も治っているかもしれない」
重い口をルナサが開いた。
辛い経験でもあるのか、眉間にしわが寄っている。
「それくらい時を止めればどうってことないわ」
「あ・・それは駄目です。効きません」
「え? どういうこと?」
気合を入れる咲夜、だいぶ落ち着いたらしく方策を否定する小悪魔。
「パチュリー様は暴れ始める少し前から
様子がおかしくなっていらっしゃいました。
そのときに対時止め用の護符を一つ作り上げたようでした」
「そう、じゃあ仕様がないわね。
あの紅白の所に行きましょう。お嬢様はそこでお休みください」
「なんでよ? 紅魔館の主としてこの件には決着をつけるわ」
「いけませんお嬢様。言わせてもらいますが目に見えてお疲れになっています。
ここはお下がりください」
「・・・分かったわ。咲夜はいつも心配してくれているものね・・・」
「話が決まったらこの隙間に。場所はもう覚えているの」
隙間を通り、博麗神社へ急ぐ一行。
この隙間、便利なようで知らない場所にはいけないなど色々面倒な代物らしい。
こいつが紅魔館の場所を覚えていたら間に合ったかも知れないと
後の祭りなことを考えつつ咲夜は指示を与える。
「・・・そこのメイド! 紅魔館の全員に伝えて! 何かあったら迎撃はせず、
回避すること。暫くしたら事態を収めに来るからそれまで待つこと。いいわね!」
ブゥヲンッ
最後の咲夜が入って閉じる隙間。
指示を与えられたメイドは暫く呆然としていたが、
すぐに我に帰って紅魔館中を駆け巡った。
隙間を抜けるとそこは和室だった。畳部屋だし間違いない。
日の光を浴びて縁側で茶を飲む紅白と、遊びに来ていたらしい白黒が見える。
「紫?突然来ないでよ・・・って、ずいぶんな大人数ね」
「これには訳があって・・・」
「どうでも良いけど土足で畳の上に立つのやめてくれない?」
咲夜が事情を説明しようとするが文句により一蹴される。
「あら? 急いでいたから室内の方に出てしまったわ」
微妙ににやけている紫、
反応を見るためにわざと間違えたんじゃないかと疑う霊夢。
「で? 何だ? 宴会か? それにしても珍しい面子だな、黒いのもいるし」
「あんたも黒いだろう? 色々と・・・」
色々言い合う黒い者同士。
そんな光景を繰り広げつつも外に出る一行。
「で、本当に何があったのよ。話くらいなら聞くわよ」
「実は・・・・・・・」
状況説明をする咲夜。
このあたりは本当にあの騒動が現実なのか疑いたくなるくらい静かである。
「・・・ということがあったの」
「はぁ、なんで早く知らせてくれなかったの?
幻想郷の異変の原因を沈めるのは私の役目よ」
「パチュリーの一大事とあれば動かないわけにはいかないな。本が借りれなくなる」
「それとお嬢様をここで休ませてもらえないかしら。あと小悪魔も」
「いいわよそれくらい、どこの部屋でも使って頂戴」
交渉成立、ついでに思わぬ収穫。
この巫女は幻想郷最強といっても過言ではない。
魔理沙も指折りの実力者だ。
「ありがとう。では早速紅魔館へ行きましょう。場所は覚えた?」
「どうなっているか分からないのだから、飛んでいった方が良いんじゃないかしら」
「・・・それもそうね。では行きましょう」
八人に増えた一行は紅魔館を目指す。
紅魔館が見えてきた。まだ明るいが日は傾き始めている。
急ぐ一行に向かってくる者がいた。
「咲夜さぁぁぁん、大変ですよう」
「あら中国、どうしたの?」
「なんだ中国、何があった?」
真顔で返答する咲夜と魔理沙。
「こんなときまで中国なんて呼ばないでください!
しかも真顔って本気で忘れてるんですか!?」
「それは良いから、状況を報告しなさい、隣の妹様のことも含めてね」
向かってきたのは門番とフランドールだった。
「うう・・よくないのに。ええと、館内に幽閉されていたメイド達が暴走し、
牢を破ってパチュリー様の護衛に勝手についていました。
パチュリー様はパチュリー様で暴れています。
騒ぎを聞きつけて妹様が出てきたのですが危険そうでしたので命令に従って
なるべく事態を回避しながら連れ出してきました」
「でかしたわ、今度までに本名を思い出しといてあげる。
それと妹様を博麗神社に連れて行っておいて」
「はい。って、やっぱり忘れてたんですかぁ! 我的名字紅美鈴!」
「え~なんで~? 私も戦えるよ~」
不満なのか名前を主張する門番。
暴れたいのか参加を主張するフランドール。
そこで咲夜の頭にあるヴィジョンが浮かんだ。
・・・妹様の拳に頭を砕かれるパチュリー様・・・
ぶるんっぶるんっ
怖い考えを頭を振って振り払う咲夜。
「いえいえ駄目でございまする妹様。日も高く、危のうございますです」
適当な理由をひねり出して、参戦を拒否する。
さっきのヴィジョンが頭から離れないのか、少し口調がおかしい
「ふ~ん、分かった。じゃあ今度遊んでね」
フランドールは気にしない。どころか代わりの注文が飛んできた。
更なる動揺を隠し、平静を取り戻して受け答える。
「分かりました、ではまた今度に。
事態が収束したらお迎えにあがりますので、
それまでお嬢様と一緒にお待ちになってください」
面倒な約束をしてしまった。手加減を覚えたとはいえ、きつい。
そんなことを考えつつ十六夜咲夜は先へ進む。
紅魔館入り口付近、ここまで来ると紅魔館がぼろぼろになっているのが分かる。
煙を吹いている箇所も見受けられる。一体どんな暴れ方をしたと言うのか。
咲夜が後片付けに思いを馳せていると、
ドォォォン
屋根に大穴が開いた、そこから出てくるパチュリー&メイド隊。
パチュリーを真ん中に六人のメイドが周りを等間隔に囲んでいる。
しかも強化されているのか、魔方陣が付いている。
「厄介ね、どうしたものかしら」
「とりあえず私が鬱の音で相手の弱体化を図ろう」
「それって私たちまで鬱になるんじゃない?」
「そこも既に試した。「躁」の者に対しては
正常な者に比べてかなり効きやすいようだ。
だから、ここでは相手の方がより弱体化するから大丈夫。
それでも、きついとは思うが・・・」
「分かったわ。じゃあそれでお願い。私が引きこもり魔女を狙うから
他のを頼むわね」
いつの間にか場を仕切ってる霊夢、騒動を前にすると力を発揮するのか?
「パチュリーは私がやりたかったんだがな。まぁいいか、頼むぜ」
他にも特には異論はないようだ。そんな訳で、作戦開始!!
鳴り響くルナサソロライブ。その中で
魔理沙がメイドAを跳ね飛ばし
妖夢がメイドBに一閃を放ち
咲夜がメイドCをナイフで埋め
藍がメイドDに忍び寄り
幽々子はメイドEのクナイを避けつつ一撃を放ち
紫は隙間移動でメイドFの背後に立つ
しかし
メイドAは後頭部へのダメージを避け
メイドBは手にした剣で一閃を受け流し
メイドCはダメージを最小にして脱出し
メイドDは藍を感知、回避し
メイドEは一撃を腕で受け
メイドFは流れ弾に隠れる
そして一斉に
『めるぽぉーー!』
・・・精神点にたぶんダメージ20%くらい・・・
それでもめげずに一行は頑張る。決着は暫く見えそうもない。
そのころ霊夢は・・・
霊夢対パチュリー戦はいきなり序盤から激しかった。
パチュリーが当たり構わず弾を散らせば、霊夢は目の前で針を放つ。
パチュリーが霊夢を狙い始めれば、霊夢は避けつつホーミング兵器を放つ。
パチュリーが弾を膜状に張り巡らせれば、霊夢は瞬間移動して近くに迫る。
霊夢が近づけばまたパチュリーは弾を撒き散らす。時には収束させる。
進退窮まる攻防に、終わりはまだまだ見えてこない。
馬鹿みたいに晴れた空が恨めしく思えるほど気の長い攻防が続いた。
そしてまだまだ続くと思われた、その時!!
パチュリー軍団全員の体勢が一気に崩れた。
ルナサの演奏が佳境に入り激しくなったためだ。
好機と見た一行は一斉に攻めかかる。
魔理沙は突撃、急転回して箒を相手の後頭部に叩き付け
妖夢は避けられた体勢から返す刀で峰打ちし
咲夜は瞬間移動して掌底を打ち込み
藍は大きく回りこんで体当たりをし
幽々子は通り過ぎざま手刀を放ち
紫は腕だけ隙間移動して後ろから殴る
パチュリーだけは体勢が少し崩れても影響がないようにも見えたが、
霊夢の捕らえることを許さぬ瞬間移動に翻弄され、
ついには霊夢の膝が後頭部を捉え、パチュリーは見事に沈んだ。
・・・こうして紅魔館で起きた、幻想郷中を巻き込みかねない異変は収まった。
この後、紅魔館は食糧難と復旧作業で大忙しだったそうだが、
それはまた別の話である。
「って何であんた達はまだうちにいるのよ」
「紅魔館が穴だらけで過ごしにくいからよ」
「霊夢~あそぼ~」
「ここではやめて。神社が壊れる」
・・・博麗神社もいつもより騒がしかったとか・・・
余談ではあるがこの話を聞いた八意永琳により対「躁」ワクチンが生み出され、
二度と似たようなことが起きることはなかった。
この功績を讃え、博麗神社で宴会が執り行われた。
「結局そこに行き着くのかー!」
「こちらも景気づけが必要なのよ、復旧って結構重労働だし」
ご自慢の止まらない妄想とやら、全く以って羨ましい限りです。
ただ、それをうまく纏め上げることが出来ていないようにも感じました。
こちらが手前勝手に脳内補完しながら楽しむ分には良いのですが、腰を吸えて読みにかかるには辛い部分が多く見受けられました。
特に活劇部分に難があるようです。
全体として、キャラを多く出しすぎて収拾が取れなくなっているように見えます。
大勢のキャラをそれぞれの個性を曇らせずに同時に無駄なく動かすには相当な技量が求められると思います。
そのせいか、キャラを調理し切れてない、薄い印象が拭えません。
キャラの動かし方を理解するためにも、まずは少数のキャラ、もしくは一人のキャラに的を絞って書いてみてはいかがでしょうか。
風呂敷は大きく広げられた方が良いに越した事はありませんが、それをきちんと畳めなければ逆効果ですので。
長々とすみませんが、最後に、努力は必ず実を結びます。その暴れ馬のような才能に実力が追いつけば、きっと化けるに違いありません。頑張ってください。
はい、確かに一人ひとりが薄くなってしまったのは反省点でした。
要練習ですね。頑張ります。