森に闇が迫っていた。
大妖精――本名:ジルフィード・ドゥ・ミストラル・ドゥ・グラーズ・ブラン――は、思わず頭を抱えた。その原因は、友人である氷の妖精、チルノ――本名:チルノエルパドール・ヴィンターカイゼリン・"シュネーシュトゥルム"・フォン・アイスベルグ――が胸に抱えている黒い物体にある。
「チルノちゃん、それ、どうしたの?」
「拾った」
「拾ったって……それ、何か分かってるの?」
「カラス」
そう。ある日チルノは、見るからに弱っている一羽のカラスを抱いて、二人が住まいにしている大木の洞に帰ってきたのだ。
嫌な予感がする。不安げな顔でチルノを見る大妖精は、それを踏まえてチルノに問いかける。
「その、カラスを……どうするの?」
「育てる」
「止めたほうがいいよ!」
予想通りの、予感通りの返事に、大妖精は思わず叫んでしまった。チルノの顔が少しむくれたので、はっとしたように口を手で塞いで深呼吸。そして続けた。
「ねえチルノちゃん。聞きたいことがあるの」
「何?」
「えーっとね……じゃあ例えばの話ね。チルノちゃん、森でクワガタを見つけたらどうする?」
「アゴをもぐ」
「湖でカエルを見つけたら?」
「尻から息を吹き込む」
「原っぱでバッタを見つけたら?」
「足をもぐ」
「林で小鳥の巣を見つけたら?」
「氷をぶつける」
「川で亀を見つけたら?」
「こうらをはぐ」
「落ちてるカラスを拾ったら?」
「助けて育てる」
「分からないよ! 普通羽根をむしるでしょ! いやむしらないよ! 普通助ける! そりゃそうだ!」
「そうでしょ?」
「そうだけど、なんでチルノちゃんはそう来てそこでそうなるの! わっかんないなぁ!」
大妖精は頭を抱えて唸っているが、チルノは何も考えてなさそうな顔だ。後生大事そうにカラスを抱えている。氷の妖精が熱い抱擁をしているのだから、そろそろ凍傷寸前かもしれない。
その目に秘められた闘志は熱く。そもそもチルノはわがままのためなら自らの命を投げ出して、自分が何をしたかったか忘れたまま翌日目覚めることも辞さない本末転倒野郎だということを、大妖精は思い出した。
大きなため息を吐いた。
「本当に育てられるの?」
チルノは胸を張って答える。
「もろちん!」
「ダメだな……」
大妖精は諦めた顔をした。でもその後すぐに、やや疲れこそあったが、優しい笑顔となる。
「分かった。チルノちゃんがそこまで言うなら私は止めないし、その子を育てるのも手伝うよ。でも多分野生のカラスだから、今は疲れて飛べないみたいだけど、飛べるようになったらすぐにどこか行っちゃうと思うけど、それでもいいの?」
「構わないよ。いつかはどこかへ行っちゃうかもしれないけど、でも、ここで私が助けなかったら、きっとこの子、死んじゃうもん」
「それは……」
真理かもしれなかった。
「そうだね。チルノちゃんは優しいね」
「優しいと弱い! 私は厳しくてサイキョーよ!」
「チルノちゃんは締まらないね……」
今日はもう遅い。
チルノがカラスを抱いたまま、二人は大木の洞に入って、朝が来るのを待つことにした。
翌朝。
大妖精はまだ朝もやが抜け切れない時間に目が覚めた。洞の中は暗い。そしてなんだか妙に狭い。
「んんっ……」
唸りながら洞を這い出て、ふらふらと飛びながら目指すのは湖。服を脱いで、身体ごと飛び込む。数秒沈んで、顔を出した。
顔と、身体の汚れを落として、水から出る。掌で全身の水気をあらかた払うと、そのまま服を着た。もちろん湿るが、気にしない。
そうしているうちに、森には光が差し込み始めた。もやがゆっくりとはけていく。木漏れ日が朝露を濡らして、夜とは違う星の輝きが生まれた。大妖精は朝のこの景色を見れる日が好きだった。
今日はいいことがありそうだと思いながら、洞に戻る。
「チルノちゃーん。朝だよ、起き……て?」
洞の中にも木漏れ日が差し込んでいた。
自分が居なくなってチルノ一人しか居ないはずの洞に――チルノと、見知らぬ一人の子どもが居た。
「ええっ!?」
大妖精は高血圧気味で、朝でも問題なく大声でリアクションが取れる。周辺の小鳥がバサバサと慌てて飛び出した。自分の声の大きさに、大妖精自身も驚いて、口を手で塞ぐが、もう遅い。
「んっ……」
子どもが目覚める。チルノは寝ていた。
「先に起きろ!」
足元にあった枝を、大妖精はチルノの顔めがけて投げる。目に刺さった。ギャアという悲鳴が洞の中に響いたのか、子どもは飛び上がるように洞から出てきた。
「何するの……大ちゃん……殺すぞ……」
「私を殺してる暇なんてないよチルノちゃん、ねえ、カラスが!」
チルノは寝起き。大妖精は混乱で要領を得ぬまま、二人に挟まれた子どももまた、自分がどうなっているのか分からず、身動きが取れていなかった。
「カラス」
「そう、カラスが」
「カラス……って、何?」
「案の定忘れてんじゃねぇか! こっちこそぶっ殺してやろうか!」
「大ちゃん、顔が悪いわ……」
「そ、そうね。確かにちょっと口が悪……アァ!?」
チルノも洞から這い出てきた。大きなあくびをしてから、その目に子どもの姿を認める。その途端、寝ぼけ眼がぱっと開いて、喜色満面の笑みで言った。
「ぶんちゃん! 元気になったんだ!」
「はい、お陰様で……」
ぶんちゃん、と呼ばれた子どもも、チルノのことは承知しているようだった。急に言葉を掛けられても、全く動じずに返事をする。むしろ言葉の荒い大妖精にちょっと引いている風を見せていた。
混乱が続いているのは大妖精だ。首を傾げすぎてそろそろ頚椎を損傷しそうだった。神経が圧迫されたせいで足がガクガクしていることに気づき、慌てて首の位置をゼロ度に戻す。
「チルノちゃん、ぶんちゃんって……?」
「あ、うん。そういえば説明してなかったね」
ぶんちゃんを抱きしめていたチルノだったが、抱擁を止めると大妖精に向き直り、説明を始める。
「ぶんぶん飛び回ってたから、ぶんちゃんだよ」
「名前の由来じゃないよ! 昨日のカラスがどこに行ったのかっていうのと、その子が一体なんなのかを聞いてるの!」
「ああ……大ちゃんもしかして気づいてない? 昨日のカラス――あれが、この子、ぶんちゃんだよ?」
「へ?」
チルノが指を差す。大妖精がそこを見る。ぶんちゃんの背中には、小さいけれど立派で、真っ黒な羽根が生えていた。
「ぶんちゃんは、烏天狗なんだよ」
「たっ……大変なもの拾ってきちゃってるよおおおおおおおお!!!」
今日一番の絶叫。ぶんちゃんも思わず肩を竦める。チルノはシッと人差し指を唇に当てて、大妖精を制した。
「大ちゃん、静かに」
「あっ、ごめん、チルノちゃん」
「ぶんちゃんがここにいるのがバレると危ないかもしれないから」
「……それ、どういう意味?」
「うーん、簡単に言うとね」
顔を赤くしたり青くしたりする大妖精の体調がいよいよ心配だと、優しいチルノが最も重要な説明を始めた。
「なんか、ぶんちゃんが大きな烏天狗から追いかけられてたんだよね。三人くらいから。それでぶんちゃんボロボロになってて、私が割って入って、ひとまずその三人を凍らせて、その隙にぶんちゃんを助けてきたの」
「……は?」
「大変だったんだよね、ねっ、ぶんちゃん」
「はい……チルノさんは命の恩人です」
「えへへ、気にしないでよ。まあ、そういうことだから――大ちゃん? 大ちゃんどうしたの? まだ眠いの?」
全然眠くなかった。
大妖精はもはや微笑みすら浮かべて、立ったまま気を失っていた。
暫く経った。目を覚ますや否や、大妖精は思いっきりチルノを叱りつけた。そして説得を始めた。
「まだ助かるかもしれないよ、チルノちゃん……早くその、ぶんちゃんを妖怪の山に連れて行こう。天狗様にお供えしよう。今ならまだ、神通力で、森羅万象の輪廻の外へ未来永劫弾かれることはないかもしれないから、早く行こう……」
ぼろぼろと大粒の涙を流す大妖精だったが、チルノは聞く耳を持たない。
「ダメ。ぶんちゃんはひどい目にあってたんだよ」
確かに、ぶんちゃんの身体は酷かった。全身が青痣、打撲痕だらけ。明らかに暴力を振るわれた後だった。チルノの冷たい身体は、打撲の痛みで火照るぶんちゃんの身体を、効果的に冷やしていたのだ。
「天狗界には天狗界の掟があるんだよ……私だって一度関わったからにはなんとかしてあげたいけど、いくらそこらの妖精とは次元の違う隔絶した実力を持つ大妖精が二人居たところで、出来ることなんてたかが知れてるよ……」
「大ちゃん、自己評価はめちゃめちゃ高いね……でも、私はこの子を育てるって決めたの」
「チルノちゃん、そもそも烏天狗なんて手に余るっていうか、第一……そう、第一私たち、一回死んじゃったら、生き返る前の記憶をほとんどなくしちゃうじゃん! そんなんで何かを育てるなんて無理だよ、いくら強くても妖精は妖精で、死ぬ時は死ぬよ。私の一番新しい記憶は――多分三週間くらい前で、それは前の死から一回休んで生き返った時、それが記憶の始まりだよ。その前にあったことは、ぜーんぶ忘れてる! チルノちゃんも、死んじゃったら、ぶんちゃんのこと忘れちゃうよ。ぶんちゃんが大きくなるまで死なないなんて、それは多分……無理っていうか……いや、絶対無理! だから、止めたほうがいいよ、一回死んで、全部忘れた時に、きっと、ぶんちゃんを傷つけるだけに決まってるよ……」
大妖精の言葉を静かに、全て聞いてから、チルノは言う。
「無理じゃないよ、大ちゃん」
「人の話全然聞かないね!」
「無理じゃない」
顔を真っ赤にして怒る大妖精を、チルノは制する。冷たい、決意の目で。
「だって私は、大ちゃんと友達だよ」
「……そうだね。それが何?」
「何回死んだって、私と大ちゃんは、ずっと昔から友達だって知ってるよ!」
大妖精は――息を呑んだ。目を見開いて、言葉が詰まった。
「私が最後に死んだのは……先週。大ちゃんから聞いた話だと、なんか落石に潰されたんだっけ。確かに私は、妖精は、簡単に死んじゃうし、私は先週より前のことをほとんど何も覚えてない。……そう、ほとんど何もね。私は何度死んでも、何度目覚めても、私がチルノだってことを覚えているし、大ちゃんが――ジルが私の友達だってことを覚えてる! なんでかな? 簡単なことだよね、きっと。それは……私にとって、私自身が。そしてジルのことが、何度死んでも、何度生き返っても、絶対に覚えておかなきゃならない、本当に、ほんっっとうに大切なものだから。だから、私は覚えているんだよ! ――ぶんちゃんだって同じだもん。ジルと同じくらい、私自身と同じくらい、ぶんちゃんのことは大切に思う。だから忘れない。いつだって忘れない。何度だって忘れない。絶対に忘れない! だから」
「チルノちゃん」
大妖精は泣いていた。
心の底から溢れ出る、きっと枯れることのない涙だった。
「チルノちゃん、私の名前、覚えててくれたんだね」
「……覚えてるよ、ジルフィード」
「えへへ……私ね、実は私ね、自分の名前ね、忘れてたんだ。大妖精であるという誇りだけがあって、自分の名前は忘れてた。チルノちゃん、それを覚えててくれたんだね」
「うん、忘れないよ。ジルが自分の名前より、私の名前を覚えていてくれているように、私はジルの名前、忘れたことはないよ。いつからだか、ジルが自分のことを大妖精って呼ぶようになって、あんまり言わないようにしてたけど。私はいつだって忘れたこと、ないよ」
「……すごいね、チルノちゃんはすごいよ。うん、そうだね。こんなにすごいチルノちゃんが、そんなに大切に思ってるんだもん。だから多分、チルノちゃんは……ぶんちゃんのこと、忘れないと思う」
「へへっ、でしょ?」
「うん」
目から溢れきれない涙は、涙鼻管を通して鼻から出ていた。顔をぐちゃぐちゃにした大妖精は、服で思いっきり顔を拭った。もう涙は出ていなかった。
「なんか今更名前はちょっと恥ずかしいし、これからも大ちゃんって呼んでくれないかな?」
「いいよ。――大ちゃん」
「うん」
「私、ぶんちゃんを育てようと思う。大ちゃんも、手伝ってくれるかな?」
「……いいよ。チルノちゃんが決めたことだもん。私はもう何も言わない。そして私も、全力で、本気でぶんちゃんとチルノちゃんを見守るよ」
そして、護るよ。
水浴びで身体の汚れを落としたぶんちゃんが、湖のほうから何も知らない顔で歩いてきた。
その日、チルノはぶんちゃんにまず読み書きを教えようとして、チルノ自身があまり読み書きを知らなかったから、大妖精が読み書きを教えた。
そして数字の計算を教えようとして、チルノ自身があまり数字の計算を知らなかったから、大妖精が数字の計算を教えた。
それから、今晩のご飯の準備を大妖精に任せて、チルノとぶんちゃんは湖の上を飛んでいた。
「ぶんちゃん、なんか色々ごめんね?」
「ん、何がですか?」
「本当は色んなことを私が教えたかったんだけど、私があんまり何も知らなくて……」
チルノがあまりにも申し訳なさそうな顔をするので、ぶんちゃんは思わず吹き出した。
「あははっ、気にしないでください。チルノさんは私を、しがらみから救い出してくれました。それだけで充分なんです」
「そういえば……ぶんちゃんはなんで追いかけられてたの?」
「あー、話しにくいんですけど……」
「いいよいいよ! 全然話してよ!」
話しにくかったらいいよ、なんて気遣いは存在しなかった。ぶんちゃんは苦笑いをしながらも、経緯を話し始める。きっと何を話しても、チルノはそれを受け入れてくれるだろうと思ったからだった。
「私、天狗のお姫様なんです。なんでも、次の次の……そのまた次の、まあいつになるか分からないんですけど、いつかは山の天狗を統べる、天魔様になる予定らしいんです」
「てんまさま! それ、すごく強いやつじゃない!? ぶんちゃんすごいんだね!」
案の定、チルノは慄きもせず、素直にそれを褒め称える。ぶんちゃんは恥ずかしそうに頬をかいた。
「でも私、それが嫌で嫌で……本当は天魔様になんてなりたくないんです。もっとこの世界を広く飛び回っていたいっていうか。なんならこんな山奥だけじゃなくて、空を駆けてもっと遠くの世界までも飛んでいきたいんです。そのためには、天魔様になるっていうのは、私にとって鎖、ただの枷でしかありませんでした……ほら、私にお姫様って、似合わないじゃないですか?」
「似合わない!」
「ですよね。だから私、逃げ出したんです。お姫様から、天魔様から。全てから逃げ出して、でも力がなくて、ボロボロだったところを……チルノさんが救ってくれて。本当に嬉しかった」
チルノは訳知り顔でうんうんと頷いて、こう言った。
「分かる分かる、お姫様のつらさ!」
ぶんちゃんが笑う。
「本当ですか?」
「本当だよ!」
「あはは、ありがとうございます、分かってくれて。……でも本当に嫌だったんです。これから続いていく何も変わらない、永遠とも言える時間、続いていく……退屈が。そりゃあ天魔様ともなれば色んなお仕事があるんだと思いますけど。でも、わざわざやりたくないことを、永遠に、延々と、やり続けたくはないですよね……」
「うーん。分かる分かる」
やっぱり分かるらしいチルノは、湖の上でぴたりと止まると、両手を大きく広げた。ぶんちゃんも止まって、それを見る。首を傾げるぶんちゃんに、チルノは言った。
「そんなぶんちゃんにね、じゃあ、長生きを楽しむコツを教えてあげるね。――この景色を覚えておいて」
チルノの両手から広がっていく、美しい景色が在る。
「妖精や妖怪の寿命は長いから、これと似た景色は何度も見れる。でもね、今日と全く同じ景色は、やっぱり今日しか見れないの。だから、この一瞬を切り取って覚えておくのよ。私達の命はいつまでもあるけれど、その一日はその一日しかない。そう思うから、毎日を楽しく生きることが出来るのよ。一生は一生で、永遠は永遠だけど、その永遠は、一生は、沢山の一瞬の塊で出来ているの。だからね、永遠を退屈に思うんじゃなくて、その永遠を作っている一瞬を、その一瞬を、新鮮に、鮮明に、最新に感じて、それをさいっこうに楽しむの! ――それがね、永遠に続く『似たような毎日』を、『たった一つしかない大切な瞬間』に変える、魔法なんだよ」
言って、チルノはにこりと笑った。
ぶんちゃんも、今までで一番、最高の笑顔を見せた。
「分かった?」
チルノが聞く。
「はい!」
ぶんちゃんが答える。
「よし! ぶんちゃんはとってもいい生徒ね! ――さ、『この景色』って言って気づいたけど、もう夕方だね。そろそろご飯を食べて寝ないとね。帰ろ!」
「はい!」
二人は、大木の洞に向けて飛んだ。
そこには美しい景色がある。夕焼けと、それを映す鏡のような湖。赤と青。それに生える美しい木々の緑。――天狗たちが住まう山。
また翌日。
「チルノちゃんッ!!!」
今度こそチルノは、大妖精の鋭い叫び声で目を覚ました。
どうしたの、とも、うるさいよ、とも言わずに、チルノは大木の洞を出る。ぶんちゃんを隠すように、慎重に出た。
三体の天狗が居た。チルノはまだその日から死んでいないので、見覚えのある烏天狗だった。
「探したぞ、クソガキが」
烏天狗の一人が、苦味と殺意で彩られた汚い声で言う。それだけで自然が泣いてしまいそうだった。
「要件は分かっているだろうな」
「さあ、分からない。妖精は馬鹿だって知らないの?」
「……大天狗様からのお達しだ」
小馬鹿にするようなチルノの返事を無視して、烏天狗が続ける。
「不意打ちとはいえ、烏天狗三人を討ち、『天姫・射命丸』をさらった手腕、賛美に値する。それに免じて、『抵抗せずに射命丸を即時、使いの天狗へと引き渡すのであれば』、全ての罪を赦した上で、貴様になんの害も与えぬことを約束する――とのことだ」
烏天狗が言い終わるよりも早く、チルノは吐き捨てた。
「ダメ。無理。シャメイマルって何? 私そんなの知らないから、無理。私のぶんちゃんは返さない」
「……俺は優しいからな、聞こえてなかったなら大事なところだけもう一度言ってやる。『なんの抵抗もせずに』だ。クソガキ。貴様はその力を振るうどころか、口答えの一つもせずに、その後ろに隠している天姫を俺達に返すんだ。それだけだ。それ以外に貴様が生きて明日を迎える手段はない。いいな、次の一言はよく考えろ。一言でも口答えを――」
また。チルノは烏天狗の言葉に被るタイミングで、言った。
「無理」
その一言だけだった。すぐに横を向いて、隣に居る大妖精に目で謝った。ごめんね? 大妖精も目で答える。気にしないで、覚悟の上。
「――一瞬だ」
意外にも、自分自身どころか、その上に居る大天狗のことさえコケにされた烏天狗は、怒りに震えることもなく、静かな声で言った。
ただそれは、氷よりも冷たい声だった。
「この間の借りを返させてくれて、助かる」
「いいや、私が返り討ちにしてやるね」
「殺せ」
それ以上のやりとりはなく、大自然を操る三人の烏天狗と、『大自然』そのものである二人の大妖精――その力が、真正面からぶつかった。
チルノの意識があった。
自分はチルノだ。それをまず思い出した。
意識の奔流がある。いまは激しすぎる濁流で、その中で正しい意識を構築して浮かび上がるのは、あまりにも困難だった。
――私はチルノ。
それでもチルノは、普通の妖精より圧倒的に短い時間で意識を構築していった。チルノは他の妖精に比べて『一回休み』から生き返る時間が短い。それでも普段はこれから半日はかかる。調子が良くても三刻は必要だ。
名前は最低限のパーツで、それがなければ構築が始まらない。尤も名前を思い出すことが出来なくても、妖精はそのうち自然に存在のパーツが組み合わさって、また同じ身体で生き返る。その形が『一番自然』だからだ。無重力で水が球体になるように、自然には自然なりの、最も適した形が存在している。
名前は設計図の一ページ目みたいなもので、身体を作る目次であり、フローチャートの先頭だ。名前から順番に下って行くと、自然に身体が出来上がるよりもずっと早く、妖精は生き返る。
――友達はジルフィード。いまの名前は大妖精。
存在は古い部分から新しい部分へ、時系列通りに完成していく。ひとつひとつ、順番通りに、その情報が正しいかどうかを精査しながら組み立てられていく。
但しそれはあくまでも自分自身に関わることであり、他の存在に関わることは無駄な情報でしかない。唯一、その他の存在を思い出すことが自己の形成に深く関わる場合にだけ、妖精はその存在を思い出すことが出来る。
チルノという存在を形作るため、かなり早い段階で大妖精の存在が組成に組み込まれる。
次は自分が何の妖精だったかを思い出したり、自分がどこに生きていたかを思い出していく。その世界がどんなものだったかを思い出して、ようやく、そこで自分がどんな姿をしていたかに取り掛かる。それまでに一日以上が経過する妖精も少なくない。
チルノは意識の奔流の中で、ゆっくりと自分を取り戻していく。
ゆっくりと。
ゆっくりと――。
――ゆっくりと……こんなことをしている暇なんて、ない!
おびただしい数の存在の破片。いまのチルノは大地に混ざった一粒の砂利でしかない。そして身体を作る存在のひとつひとつが、その一粒の砂利。その組み合わせなのだ。
チルノは――チルノの、その存在を思う心が、莫大な砂粒の中から、最新のキーワードを掴み取る。
――私の、私の大切な、ぶんちゃん!
掴み取った最新の情報。フローチャートの終わりまで一気にワープするその行為。世界はそこに生まれる矛盾や齟齬を修正するため、やむを得ず、チルノを形成するのに必要な『その他全て』の存在情報を、一気にそこへ付け足す。
大自然の奔流の中で、一瞬にして、一人の妖精の形が作られた。
烏天狗は、自らの翼の感覚がなくなったのを認識した。
「――馬鹿なッ!」
一瞬で怒りが沸騰した。真っ赤な声で振り返る。凍りついた翼が軋む。
ほんの数十秒前に殺したはずの妖精が、チルノが、ふらつきながらも立っていた。
掌から出した冷気の残滓が、ダイヤモンドダストとなってチルノの辺りできらめいていた。
「ぶんちゃんを……置いていけ……」
「何を……、ぐあっ!?」
気絶しているぶんちゃんの襟首を掴んでいた烏天狗が、苦々しい悲鳴を上げる。ぶんちゃんを掴んでいたその腕が、一瞬にして凍結。いや、壊死して、肩から外れたのだ。黒ずんだ紫色になった腕と共に、ぶんちゃんの身体が地面に落ちる。
「なんだ……ありえねぇ、自然を司る天狗の腕を一瞬で凍らせる――あまつさえ、壊死させてちぎり落とすだァ……?」
肩の切断面からは血も出ない。凍りついてしまっている。思わず、ぶんちゃんを掴んでいた烏天狗はチルノから大きく距離を取ってしまい、結果、ぶんちゃんから離れることになる。
その隙をチルノは見逃さなかった。
「くそっ、しまった!」
別の烏天狗が言う頃にはもう遅い。ぶんちゃんの身体を、丸く分厚い氷の壁が包むように覆った。烏天狗の一人が躊躇わずに、刃のような暴風をその氷にぶつける。だが氷は割れるどころか、欠けることさえもなく、ぶんちゃんの身体を覆ったままだった。
「――なめんなよ妖精風情がァ!!!」
たった一人の妖精が作った氷の壁さえ砕けない。それが烏天狗のプライドを刺激したのか、次の攻撃は先ほどとは比較にならない規模・威力を持って放たれかけた。
それを止めたのは、今度はチルノの攻撃ではなく。
「やめろ」
威厳のある、静かで力強い声。大山そのものが鳴動するような声だった。チルノの冷気に関係なく、背筋が凍りつく三人の烏天狗。
森の闇、その奥から、また一人の天狗が現れる。
「もういい。私がやろう――娘の不始末だ」
紛れもなく、この場に居る誰よりも強い力を持った、大天狗。ぶんちゃん――天姫・射命丸の父。次代天魔。
「……その異常な再生力。そして強力な凍結力。どうやら過去に妖精の国から『氷の王女』が、風を操る一人の近衛兵と逃げ出し、今の今まで行方が知れていないというのは、嘘じゃなさそうだな」
「氷の……?」
次代天魔の言葉に、烏天狗の一人が声を漏らした。次代天魔が睨むと、烏天狗はそのまま息を止めて絶命してしまいそうな顔をした。
「そうだ。我が王・天魔のように、どの世界にも、その世界を統べる王は居る。そしてその王は須く強大な力を持っているんだよ。まあ妖精風情、貴様ら三人の手に余るとは言わんが……手負いの獣だ。常時より遥かに巨大な力を行使しても不思議じゃない。なにせ妖精というのは自然そのものだ。力を正しく使われれば、我々は地球の一角と対峙するようなものだよ」
チルノの力を認め、そして次代天魔はその上で。
嘲笑った。
「地球の一角、その相手か」
突然――チルノの首が撥ねる。
「私には役不足だな」
同時に、チルノの胴体が霧散した。意識の奔流へと『還った』のだ。
だがそれでも、チルノが作り出した氷の檻は溶けない。
「普通、妖精というのは死した時点でそれまでの記憶を失くす。何故なら記憶の引き継ぎには、必要以上の再生力を要してしまうからな。それでもこのチルノとやらが、我が娘の記憶を引き継いで再生したのは、別に娘への強い想いがあったからではない。ただ、この妖精が『妖精としては分相応に強力な力を持っている』からだ。恐らくこの氷の檻は、この妖精が娘の記憶を失ってしまわない限り消えることはないだろう。氷ごと吹き飛ばそうとしてしまえば、我が娘の命が危ない。問題児とはいえいずれ天魔になる存在だ、丁重に扱わなければならないからな。よって私がやることはただ一つ――」
次代天魔が滔々と喋っている間に、その強靭な力を持って、チルノがすぐさま再生を行う。
氷の檻は溶けない。――が。
またしても一瞬で、チルノの首が飛んだ。
「最低限、最小限の力を以って、この妖精の再生力がなくなるまで、わざわざ娘の記憶を保持して再生することが不可能になるまで、そんなことをしようとしたら永遠にその身が再生することのなくなるまで――」
チルノが再生する。
その首が飛ぶ。
「殺し続けるだけだ」
次代天魔は無慈悲に、チルノの首を跳ね続けた。
撥ね続けた。
刎ね続けて――。
どれほどの時間が経っただろうか。
射命丸を匿っていた氷の檻が、ついに溶けた。
「おお、流石、次代天魔様にごさいます」
「……当たり前だ」
次代天魔は、つまらなさそうに吐き捨てる。
「私は先に帰る。射命丸の記憶を浄化する準備をしなければな……後は任せたぞ」
「ハッ!」
残された烏天狗は二人が立ち、一人は地面に倒れこんでいた。
立っている烏天狗の一人が、倒れた烏天狗の身体を起こそうとして、止めた。その烏天狗は、片腕がない。
「マジかよ……死んでるぜ」
チルノに腕を落とされて死んだ。その烏天狗を、生きている烏天狗が冷たい目で見下ろす。軽蔑の目だ。しかしもう一人の烏天狗は違った。その目に浮かんでいたのは一種の畏怖だった。異変に気づいて、軽蔑の目をしていた烏天狗が言う。
「おい、どうかしたのか」
目に畏怖を浮かべていた烏天狗は我に返ったようで、いや、と前置きして。
「次代天魔様がな……仙術の準備をされていた」
「……は? それマジかよ」
「ああ、間違いない。恐らくまたあの妖精が再生したならば、次代天魔様が次に行う攻撃は、霊術ではなくて仙術によるものだっただろう」
軽口の烏天狗も息を呑んだ。
霊術とは神通力のことで、『自らの力』を以ってして行う術のことである。
対して仙術とは――言うなれば自然の力を自らの体内に取り込み、それを以って行う術のこと。
即ち――。
「あの妖精風情に? 次代天魔様が、俺達からすりゃ無限とも言えるその霊力を使い果たした、とでも言うのかよ」
「……」
それから二人は何も言わなかった。
ただ静かに、射命丸を背負い――その場を後にする。
チルノが生き返る様子はなく。
たった三日、実質二日の母を終えた。
静寂だけが音を立てていた。
チルノが目を覚ました。『それ』から何日経ったかは分からない。
「――チルノちゃん!」
「……?」
妖精の場合は目を覚ましたというよりも、その場にまた新たな命で以って出現したと言ったほうが正しい。チルノは自分の身体を見て、不思議そうに呟く。
「チルノ……」
眼の焦点が合っていない。大妖精はチルノの姿を心配そうに見ていた。
「チルノ……チルノ、それは私の名前」
「そう、そうだよチルノちゃん!」
少し、目に光が灯る。チルノが声のするほうを見ると、仲間と思える体格をした少女が居た。
「私、私のこと覚えてる?」
「……えっと」
ぼんやりとしているチルノの頬をぺしぺしと叩いて、顔を掴み、しっかりと目を合わせて、大妖精は言った。
「大・妖・精!」
「……だい、よう、せい……だ、……大ちゃん?」
「そう、大ちゃんだよ! ……良かったぁ」
それからしばらくの間、二人は取り留めのない会話をした。段々とチルノも調子と記憶が戻ってきたらしく、大妖精がちゃんと胸をなでおろすのはそれからだった。
「私、死んじゃったのね」
「そうみたいだね。と言っても、チルノちゃんだけじゃなくて私も死んじゃったんだけど……私は二日前に気がついて、チルノちゃん! って思ったらチルノちゃんが全然居なくて、夢かと思った。チルノちゃんがこんなに再生に時間が掛かるなんて、どうしたの? サムズアップしながら溶鉱炉の中にアイル・ビー・バックしちゃったの?」
「似たようなことはしてたような……?」
死ぬ前のことなんて何も思い出せない。自分の名前と、大切な友達の名前さえ覚えていたら充分。
いつも通りの『一回休み』で、いつも通りの復活だった。
そのはずだった。
「ねえ大ちゃん」
チルノは、心の隅っこに落ちていたわだかまりを拾い上げて、訳も分からないまま声に出す。
「ぶんちゃんって知ってる?」
「……ぶんちゃん? なにそれ」
「知らない」
「知らないの?」
「うん……知らない」
「うーん。チルノちゃんが知らないことを、確かに私が知ってることは多いけど、でも、ぶんちゃんは知らない」
「そっか……」
そのままチルノは黙りこむ。不思議そうに大妖精はチルノの顔を見つめていたが、突然、チルノの目からあまり見覚えのないものが零れ落ちて、大妖精は驚き飛び上がった。
「ち、チルノちゃん?」
「えっ?」
「チルノちゃん……どうして」
チルノの目から零れ落ちる。
大粒の、温かい、温かい涙が。
「どうして、泣いてるの?」
「えっ……私、泣いてるの?」
「チルノちゃん、泣いてるよ」
チルノは涙を止めようとしたが、後から後から溢れてくる。止めようがない。あまり泣かないから、止め方も知らなかった。
「なんでだろ……なんで泣いてるんだろ。……でも、なんだろう。思い当たることがあるの」
「――それって、『ぶんちゃん』?」
大妖精の言葉に、チルノは頷いた。
「私、絶対に忘れちゃいけないことを忘れた気がするの。ぶんちゃんって、すごく……すごく大事なことな気がする。だけど私、忘れてる。すごく悲しい。ぶんちゃんが何なのか分からないのにすごく悲しいんだ。きっと、私、大ちゃんが居なくなっても、そして大ちゃんのことを忘れちゃっても、こんな気持ちになるような気がするの。絶対に忘れたくないって思ったことを忘れちゃって、その忘れちゃったことがなんだったのかも忘れちゃって、もうどうしようもなくて、私、ダメ、泣くことしか出来なくなってる。でも、こんなに泣いても、涙と一緒に、ぶんちゃん、出てこない。ぶんちゃんがなんなのか分からない――」
怒涛のように溢れ出す言葉。それと全く同じ量の涙。滝のように流れ落ちて、チルノの涙はすぐに冷えて、氷の粒となって地面に落ちた。
「やだ……いやだぁ……忘れたくない! 大ちゃん、なんで私、ぶんちゃんのこと、絶対に忘れたくないって思ったの? どうせ死んだら忘れるのになんで、忘れたくないって思ったの! いやだよ! だって忘れちゃった、ねえ、大ちゃん、私が悪いのかな? こんなに悲しいって、思い出せないのが、大切なものを失くすことが、こんなに悲しいって知らなくて、だから私、大ちゃんが居るのに、大切なものを増やそうとしたから。欲張りだから、ダメってことなのかな? ごめん、大ちゃんごめん、私もういやだ、こんなにつらい、こんなに悲しいならもう、私もう、大ちゃんより大切なもの、作らない。何も覚えないよ、ずっと何も考えたくない! 全然悲しいが消えないんだもん、いやだ! いやだやだやだやだやだやだやだ!! 大ちゃん! ぶんちゃんって何! 教えて! ねえ!」
「……私、分からないよ」
チルノの言葉に、大妖精はそう返すのがやっとだった。自分の胸の中で泣きじゃくるチルノをぎゅっと抱きしめて、こう言うだけで精一杯だった。
「でも私、絶対にチルノちゃんから離れない。チルノちゃんのことも忘れないし、私のことも忘れさせないよ、悲しいことなんてないよ、だからチルノちゃん。……いまは、泣いていいと思う。忘れちゃって悲しいことも忘れるまで泣いちゃおう。私たちは、妖精は、きっと……そうすることしか、出来ないんだから」
チルノは泣いた。
次の日も泣いて、その次の日も泣いた。お腹が空いても何も食べず、大木の洞の中で泣き続けていたら、そのまま衰弱して死んだ。
目が覚めるとチルノは、悲しいことも何もかも、もう覚えていなかった。
数百年が経ったある日、妖怪の山で二人の烏天狗が喋っていた。
「文さぁ、写真好きだよね」
「へ? 急にどうしたの」
「いや……なんか文っていつも写真撮ってるし」
「うーん……なんて言うか、長生きの秘訣?」
文の言葉に、はたてが首を傾げる。
「何こいつみたいな目で見ないでよ」
「あっ、ガチでマジなんだ」
「ガチでマジに決まってるでしょ。私たちって寿命長いじゃない? だから毎日を同じように過ごしがちだけど、でも時間はいつも同じじゃなくて、その瞬間はその瞬間でしかないのよね。似たような日々は続くけど、その日と全く同じ日は、その一度しかないの。だからその一瞬を切り取って、その一瞬に出会えた喜びを、楽しさを感じて、似たような日が続く退屈な命に華を添える、みたいな?」
「みたいな? って……曖昧ね」
「うん。私の言葉じゃないしね。受け売りだもん」
「誰の?」
「さぁ」
「は?」
「いや、私って幼い頃の記憶がないのよね。パパに聞いても渋い顔するばっかりだし。予想なんだけど、小さい頃によく分からない仙人みたいな人と師弟関係になって、修行つけたんじゃないかと思うのよね……純血の天狗血族としてパパがそれを許さないっていうか」
「なにそれ」
冗談半分だと思ったのか、はたては聞くのを止めて携帯を見る。かと思えばまた、文のほうを向いて聞いた。
「そういや師弟関係で思い出したんだけど、あんた子ども嫌いよね?」
「脈絡ないし、すっごい人聞き悪いこと言うわね……まあ全然好きじゃないけど」
「でもさ、あんた氷の妖精と仲良いじゃない? なーんかそれこそ師弟みたい。しかも見るからに、あんたが弟子よね。歳は妖精だから分かんないけどさ、あんなの子どもと同然じゃない」
「あー、チルノさんね……私もよく分からないんだけど」
文が見下ろす。天狗の視力で。妖怪の山から霧の湖を。それでもよく見えないが……二つの影が、湖の上で遊んでいるように見えた。
「なんか、逆らえないのよねぇ」
はたては、ふぅんと言ってそれっきり、また携帯に目を落とした。
文はカメラ越しに世界を見た。
明日も似たような日々が続く。
ただ、いまこのファインダーの中に、二度とこれと同じものは映らない。
美しい景色が在る。
とても良かったです
チルノと大ちゃん、チルノと文。誰であっても、どのように強力な力であっても完全には断ち切ることのできない絆。素敵ですね。
満点!
はたてが自然に文と仲が良くていい
ちゃんと受け継がれてて良かった
悲壮な物語だが会話に明るさもあって暗すぎず、好印象。
文チルは受け継がれる意思!
何気にパパって呼んでる射命丸がツボった
チルノと大妖精の掛け合いが面白く引き込まれ、そこからぶんちゃんを交えての話に引き込まれ、あれよあれよというまに最後まで読ませられした。
東方の二次創作ってこんな風に自由でもいいんだな、と思わせられたのもまた良かったです。
しかし何故すぐこう何度も殺したがるのか・・・