「……月の侵略は終わったはずよね? なんであんたたちが今私の目の前にいるのよ」
「私たちは地上に住むことにしたの!」
「どうしてそうなったのかが分からないのよ……」
「んー……私も鈴瑚から聞かされただけだからね、下っ端は辛いわ~」
「……どうやら我々は地上で穢れすぎてしまったみたいでね、月に戻る訳にはいかなくなってしまったのさ。とはいえこちらも侵略した身。こちらじゃ肩身が狭いだろう?だから顔見知りのところへ来たってわけさ」
「肩身なんて幻想郷では気にしなくていいと思うけどねぇ…お師匠様はいいんですか?」
「いいんじゃない?今更兎が数匹増えようがこちらに支障はないでしょう」
「やったー!レイセン!これからよろしくね!」
「は、はぁ……」
「………月に戻れない件、それって貴女の自己判断でしょ?」
「……流石ですね。まぁああいうことにしといてくれませんか?私達も幻想郷が気に入ったんだ、清蘭には余計なことを考えさせてしまう必要はない」
「最初からそのつもり、ただの確認ってとこね。」
「改めてようこそ。幻想郷、そして永遠亭へ。歓迎するわ、地上にもあなたと気の合いそうな兎がいるわよ」
「ええ、歓迎感謝します」
「……鈴瑚もこっちへ来なよー!」
「ああ、うん。すぐに行くさ」
※ ※ ※
「すまなかったわね、この間はこっちにまで迷惑かけちゃって」
「まったくですよ。月の民が侵略を受けていることは分かりますが、遷都計画のせいでこちらにまで地上の人間がやって来ましたからね」
「ええ、二度と起こさないようにしないとね」
「あなたが言うと起こりそうで怖いんですよ」
「……しまった」
「洒落になりませんよ!?」
※ ※ ※
「……あ!ねぇねぇあんたも妖精?」
「え?そうだけどあんたはだれ?」
「あたいは地獄の妖精クラウンピースよ!」
「地獄?よく分からないけど妖精ならあたいの敵じゃないわね!どう?あたいをししょーと呼んでもいいのよ?」
「あたいにはご主人様がいるから呼ばないわ!それに、純化された私には妖精なんて勝てないんだから!ねぇ、試してみる?」
「やめなさいよ、これから月の賢者に会いに行くんだから」
「はーい……」
「ふふーん、やっぱりあたいには敵わないみたいね!」
「っ上等よ!あたいの力を見せてあげるわ!」
「やめろっての……」
※ ※ ※
「さて、私が訪れる話はちゃんと伝わっていましたか?」
「ええ、もちろんよ。……ただもう一人来ると思っていたのだけど」
「私もですよ。大方配下の妖精に手を焼いているといったところでしょう、始めてしまっても構いません。」
「私はいつでも大丈夫よ。あなたのほうに聞きたいことがあるのでしょう?」
「鋭いですね。内容のほうももう察しがついてるわね?」
「ええ、そして答えはnoよ。貴女があらゆる手を尽くしても蓬来の薬を飲んだ者は生き続けるでしょう」
「私の能力を持ってしても?」
「もちろん」
「……試してみますか?」
「ぼぼっ、暴力反対!!」
「あらウドンゲ。聞いてたのね」
「聞いてましたよ!!なんでこんな危ない話になってるんですか!?」
「なってないわよ、ただの冗談冗談」
「冗談に聞こえませんよ……」
「……そういえばここには月の兎が増えたようですね」
「なんでこのタイミングで言うわけ!?」
※ ※ ※
「今日は平和ね」
「幻想郷に平和な時なんてあるのか?」
内容は実に良かった。鈴仙に同じ月の兎仲間が増えて安心したよ。