Coolier - 新生・東方創想話

なのかのお団子

2015/07/07 23:45:27
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 ――昼は暗く、夜は明るい。
 一見矛盾した言葉の並びだが、この『迷いの竹林』のことをよく表した言葉だと私は思う。
 この静かな場所では、お天道さまの烈しすぎる光は鬱蒼と茂る竹の山に遮られ、逆に控えめに輝く月明かりは竹の葉を透き通るように通りぬけ、湿り気を帯びた土の元まで優しく降り注ぐのだ。
 だから実は、ここは夜になると驚くほど明るい。竹林に魅入られて迷うことさえなければ、夜の散歩にはうってつけの場所だと私は思う。
「うーさぎうさぎ、なに見てはねる」
 そんな唄を口ずさみながら、私は気分よく立ち並ぶ竹の間を歩いていた。
 長生きの秘訣は、面倒なことをしないことと美味しい食事、そして適度な運動だ。こうして夜に竹林を散歩することは、縄張りの見回りということもあるが、一番の目的はそれだ。
 そういえば、世界のどこかには人間の首を跳ねるような凶暴な兎もいると聞いたことがある。
 兎がそんなことをしたところで人間を食べることもできないし、無用な争いは寿命を短くするだけでしかないというのが私の持論なのだが――まあ、彼らにはそうせざるを得ない事情というのがあるのだろう。
 もしくは、今日日兎といえどもその程度の殺る気を持っていなければやっていけないという寓話か何かだろうか。うーむ、これは中々深い問題になりそうだ。
 そんな風に、ゆるゆると頭の歯車を回していた時のことだった。
「――おや? お前たち、そんなに慌ててどうしたんだい?」
 傍の茂みから、私の配下である妖怪兎が飛び出してきたのだ。妖怪と名がつくとはいえ、こいつらは人に化けることもできない力の弱い者どもだ。この頭のおかしい竹林に住み着いていたら、それらしい力を持ってしまったというだけにすぎない。
 どういうわけか、そいつらは随分慌てた様子でこっちに駆け寄ってくると、私の後ろに回ってうずくまり、ぷるぷると震えるではないか。
 これはただごとではない。さては、何者かに追われていたか? しかし、里の猟師がこんなところまで出張ってくるとは考えにくい。何せ、この辺りは私の――ひいては、永遠亭の縄張りだ。うかつに配下である兎を仕留めた日には、手痛い仕返しが待っていることは重々承知のはずである。
 となれば――相手は妖怪か。
「……どこのどいつかは知らんけど、出てきなよ。それとも、怖気づいて逃げちまうかい?」
 大方、そこらの野良妖怪がちょっとした腹ごしらえに兎でも腹に収めようってとこだろう。私もそれほど戦うのは得意ではないが、配下が狙われているとあれば黙ってはいられない。
 とはいえ流石に、雑魚に負けるほど私だってヤワじゃないし、もし話の通じる相手であれば後ろに永遠亭がついてることを仄めかしてやってもいいだろう。
 さあて、糸瓜が出るか茄子が出るか――そんな心持ちで待ち受けていると、茂みががさがさと大きく揺れる。
 いよいよ腹の底にぐっと力を入れると……次に見えたのは、真っ金金の髪の毛だった。
「ぷはー」
「……あん?」
 そんな気の抜けるような声に、ずる、と思わず肩を落としてしまいそうになる。
 柔らかな月明かりの下で、その髪はきらきらとどこか幻想的な光を放っている。まるで絹の糸のようにふわりと舞うそれには、茂みの中でくっついたらしき葉っぱと、金色の中にあってよく映える、朱い髪飾りが括りつけられていた。
 全身を現したそいつは、髪だけでなく肌も信じられないほど白い。身につけた黒いワンピースと相まってか、あまりの白さに薄気味悪さすら感じられるほどだった。
「――やっぱり妖怪か」
「そういうあなたも、妖怪でしょー?」
 飛び出してきたそいつは、なんとも馴れ馴れしく話しかけてくる。その態度に私が感じたのは、無礼さへの憤懣ではなく、底知れない相手への警戒心だけだ。
 とはいえ、どうやら相手は話が通じる――会話のできる手合いのようだ。これなら、なんとか腕尽くでの対処は避けられるかもしれない。
「一応聞くけど、ウチのもんに何か用でもあるのかい?」
「よう? よう、ってなーに?」
 がく――
 今度こそ、私は力が抜けて肩を落とした。前言撤回……こいつ、別の意味で話が通じやしないヤツだ。
 どうする、ヤるか? いや、こいつがどれほど強いのかまだ全くわかっちゃいない。ヤるにしたって、少しくらいは相手の手の内を知っておかなきゃ話にならん。私は力押しでなんでも解決できるほど強くもなければ、戦いながら弱点を見つけられるほど賢くもないんだ。
 私一人で逃げるだけならどうってことはないが、今は後ろに守ってやらにゃならん奴らがいる。考えろ、こいつらの身を守りつつコイツをどうにかする方法を――
「あ、忘れてたー」
「……何をだい?」
 突然相手が発した言葉に、私は律儀に返答する。少しでも考える時間が稼げれば御の字、ここから打破する可能性が見えれば僥倖。そんな淡い願いを込めてのことだった。
 一挙手一投足を見逃さぬよう目を皿にする私の目の前で、そいつは両腕を水平に掲げて言う。
「あなたは、食べてもいい兎?」
「……はン、兎を舐めてんじゃないよ」
「舐める……? 味見?」
「あんたはそれしか頭に無いのかい……」
 いかん、またついつい力が抜けちまった。
 何をしてるんだ、私は。いつコイツが痺れを切らして襲ってくるかわからないってのに。
 というか、やっぱり目的は食べることか。そりゃ確かに、兎といえばそういう獲物として格好の的なんだろうがなあ……。
「待てよ……。なあ、アンタ腹減ってんの?」
「うん、おなかぺこぺこー。だからあなたを食べてもいい?」
「待て待て。その前に一つ聞きたいんだけど、腹さえいっぱいになりゃいいんでしょ?」
「……? うん、そうだけど」
 ニヤ、と私は口を歪める。この状況を好転させる糸口が、ようやく見えたのだ。
「じゃあさ。これから私の住んでるところへ行かないかい? あんたに分けてやれる食べ物も少しはあると思うんだけど」
「兎の住んでるところ? 穴蔵はやだよ、服が汚れちゃう」
「いちいち失礼なヤツだね……。心配無用、ちゃんとした家だよ。自慢じゃないが、それなりに大きい」
「おおー。じゃあ、いくー」
 交渉成立。何か余り物でもあったかどうかは覚えちゃいないが、何もなくともあそこには私なんかよりずっと強いお方がいる。もしコイツが兎を餌食にしようとしても、ボロ雑巾にしてやるには十分すぎるだろう。
「んじゃ、決まりだ……っと、その前にアンタ、名前はなんていうんだい?」
「なまえー? そういう時って、そっちが先に言うんじゃないのー?」
「アンタ、妙なことばっかり知ってるねえ……。ま、いいや。私の名前は因幡てゐ。てゐ、とだけ呼んでくれればいいよ」
「て…い? ゐ? あはは、へんななまえー」
「うっさい、昔はこれが流行りだったんだよ。あんたの名前はどうなのさ」
「わたし? わたしの名前はルーミアだよー」
 ルーミア……ああ、宵闇の妖怪って言われてたヤツか。確か、自分の周りを暗くするけど自分自身も何も見えなくなるっていう。うーん、他人事ながらショボすぎて哀れに思える能力だなあ。
「なるほど、ルーミアね。んじゃ、行こうか」
「おおー! ごっはん、ごっはんー」
 唄だかなんだかよくわからない節回しで口ずさむ妖怪を傍らに、未だぷるぷると震える兎を手に抱えて歩き出す。
 なんだか、妙な連れ合いになったなあ……そんなことを、ぼんやりと月を見上げながら胸中で呟いた。

    ◇

 永遠亭。それが、この見るも大きなお屋敷の名前だ。竹林のど真ん中にぽつんと建っているというのはなんとも情緒が感じられるが、とても私のような一介の妖怪が持てる家ではない。
 それもそのはず、このお屋敷は私の持ち物というわけではなく、私は単に居候させてもらっているだけなのだ。まあ、私の竹林にお屋敷を居候させてやってる、という見方もできなくはないのだが。
「ただいま帰りましたー」
「あら、てゐ。おかえりなさい、そちらはお客様かしら?」
 いつ見てもご立派な門を抜けるとすぐ傍らに縁側が見える。そこには、このお屋敷のお姫様がいつも通りののんびりとした風情で座っていた。
「ああ、まあ……客と言ったら客なのかな?」
「はっきりしないわねえ。何かわけありなのかしら」
 そう言って首を傾げるお姫様に、これまでの顛末を話してやる。ちなみにその間、ルーミアはなんとも珍しそうな顔をしてお屋敷を見回していた。まあ、それは放っておこう。そんじょそこらの野良がこんなお屋敷をお目にかかる機会などそうそうあることではないだろうし。
「なるほどねえ……。兎を見逃す代わりに何か食べさせてあげる、と」
「そういうことなんだ、何か残り物でもなかったかな?」
「残り物、と言ってもねえ……。私にはわからないわ」
「まあ、そうだろうと思ってたよ」
 何せ、相手はお姫様だ。食糧の備蓄だの飯の余り物だの、そんな煩わしいこととは無縁な世界で生きている。
 さて、どうしたものか……。そう考えて頭を捻ろうとした瞬間のことだった。
「残り物なら、確かあったわよ」
「んひゅっ!?」
 突然背後から声をかけられ、驚いて妙な声を上げてしまう。咄嗟に振り向くと、そこには私と同じような兎耳をつけた、私よりずっと背の高い奴がいた。
「鈴仙か……もう、おどかさないでよ」
「普通に声かけただけじゃない。で、残り物でしょ? 確かまだあれがあったじゃない」
「鈴仙……あれとかそれとか、指示語をよく使うのは老けた証拠だよ。もう少し、私みたいに気を遣った方がいいんじゃない?」
「はぁ!? 折角人が教えてあげようとしてんのに……もう知らない、勝手にすれば!」
「わー! ごめん、ごめんってば鈴仙! 謝るから教えてよー!」
 背を向けて立ち去ろうとする鈴仙のスカートを両手でつかみ、ぐいぐいと引っ張る。
「ちょっ……脱げる、脱げる!」などと喚くが、どうあってもここで行かせてしまうわけにはいかない。何せ、ルーミアときたらそこらでぴょんぴょん跳ねる兎を涎でも垂らしそうな目つきでじーっと見つめているのだ。このまま放っておいたら、私の目の前で兎を無残に食い散らかしてしまうことは時間の問題だろう。
「ああもうっ……! この間の月見で作ったお団子が、確かまだ残ってたでしょ! それでもくれてやればいいじゃない!」
「お団子……そっか、そういえばそんなのがあったね! さっすが鈴仙、愛してる!」
 そう言いながら、私はばっと諸手を上げて走り出す。「ぎゃー!」などという雑音が聞こえたような気がしたが、きっと気のせいだろう。うん、そうに違いない。
 ちなみに、今日は薄い水色だった。

     ◇

 お盆に山盛りの団子を抱えてえっちらおっちら縁側へ戻ると、相変わらずお姫様がお淑やかに鎮座ましまし、鈴仙がその傍らに突っ立っている。それだけならいつものことだが、その隣にルーミアが大人しく座っているのには流石に驚いた。
 あいつのことだから、もしかしたら勝手にお屋敷をうろついているかもしれないと思ったのだが……いやまあ、例え野良妖怪とはいえ、ついさっき出会ったばかりで性格を判断するのは早計がすぎたということだろう。
「お待たー。お望みの食べ物、てんこ盛りで持ってきたよ」
 そう声をかけながらお盆を置いてやると、途端にルーミアの目が輝き出す。
「ほわー! こんなにいっぱい、いいの?」
「構わんよ。どうせ残りもんだし、それで兎たちを見逃してくれるなら安いもんさ」
「わーい! てゐ大好き、いただきまー!」
「す」を言い終わらないうちに団子をいくつも鷲掴み、ぽいぽいと口の中へ放り込んでいく。
 予想はしていたが、大した食欲だこと……見てるこっちが胸焼けしそうだよ。持ってきた私が言うのも何だが、水もなしによくそんなに食えるもんだ。口の中パッサパサになるだろうに。
「あらあら……本当によく食べるのねえ」
「ふん、野良だから意地汚いだけですよ」
 食欲の権化と化したルーミアを、お姫様と鈴仙がめいめいに評する。だが、当の本人はもう既に団子しか目に入っていないといった様子だった。
 ま、これならもう兎を食べようなんて思いやしないだろう。そう私はほっと胸を撫で下ろすと、お姫様の隣にちょこんと座る。
「……それで、人里がどうしたのかしら」
「ああ、そうでした。今日は何だか賑やかで何かと思ったら七夕だったんですよ」
 そう鈴仙が語るのは、人里へ薬売りに言った時の話だろう。
 七夕か。そういえば、もうそんな時期になっていたのか。まったく、この歳になると一年が過ぎるのが早い早い……。
「もうそんな時期なのねえ。私はずっとここにいるから、一年なんてあっという間だわ」
「あはは、私も年越しがつい先日のように感じられます」
「鈴仙の場合は、餅搗きと団子作りがごっちゃになってるだけなんじゃないのー?」
「てーゐー? それどういう意味よ」
「さーねー? どういう意味かねー」
 半眼で睨みつける鈴仙の視線を私が口笛混じりに受け流し、それを見たお姫様がくすくすと笑う。このお屋敷における、いつもと変わらないごく日常的な風景だ。
 だが、今日はそこにちょっとした異分子がある。他でもない、黙々と団子を頬張るルーミアのことだ。団子以外目に入っておらず、眼球が団子になってしまったのではないかというくらい一心不乱に団子を食っていたのだが、どうやらその割にこっちの話は聞いていたらしい。
「わわふぃうぉひふぉふぁふぉみふぁおー」
「うん、まず口ん中空っぽにしてからにしような。待っててやるから」
「うぃ」
 律儀に声を出して頷いてから数秒間、猛烈な勢いで咀嚼すると、ごくん、という音を辺りに響き渡らせて口に詰め込んだものを胃の腑に収めた。
 今の、私だったら絶対喉に詰まってるな…いや、真似しようとは微塵も思わないが。
「わたしも人里見てきたよー。なんか、竹に変な色の葉っぱがついてた」
「葉っぱ……? もしかして短冊のこと?」
「たんざく? っていうの、あれ」
 鈴仙の言葉に、ルーミアはきょとんとした顔で聞き返す。どうやら、七夕の行事についてすら知らないらしい。なんというか、本当に「らしい」野良妖怪だなあ。
 そう私がまたぼんやりと思っていると、鈴仙がここぞとばかりに鼻を鳴らして解説を始めた。
「ふふん、知らないなら教えてあげるわ。あれは『七夕』っていう人間の行事で――」
「たなぼた?」
「た・な・ば・た! なんで食べ物の言葉は知ってるのよ! ……こほん。とにかくそういう行事で、一年に一度、7月7日に行うものなのよ。天の川を挟んで離れ離れになった織姫と彦星が、唯一その日だけ会うことが許されたっていう由来が……」
「そーなのかー」
「鈴仙、こいつ興味ないって言ってるよ」
「こんのっ……どいつもこいつも……っ!」
 額に青筋を浮かべて握り拳を作る鈴仙を完全に無視し、ルーミアはまた団子の山にとりかかる。気付けば、あれほどあった団子がもう半分ほどしかなくなっていた。
「それで、あの葉っぱ……たんざく? ってのは何なの?」
「ああ。あれはな、さっき言った織姫だか彦星だかに『文字が上手くなりますように』って願いを込めて色々書いて飾るものなんだ。一応、色にも意味はあるらしいが……忘れた」
「文字ー? そんなのお願いしてどうするの?」
「んー……まあ、文字が上手いと自慢できるんじゃない?」
「ふーん……」
 そんな生返事をしつつ、ルーミアは団子を口に運ぶ。するとその場に妙な沈黙が満ちて、聞こえる音は団子を咀嚼する音と、風に煽られて揺れる竹の葉が擦れ合う音だけが耳に届いた。
「――ごちそうさま!」
「え――って、もう全部食ったのか!? あれだけあったのに……!」
「くすくす……よく食べたわねえ。どう、うちのお団子は美味しかったかしら?」
「うん、すっごくおいしかった! また来てもいい?」
「ええ、いいわよ。いつでもいらっしゃい」
「はぁ!?」「ひ、姫様!?」
 そう軽く言うお姫様に反応したのは、私と鈴仙だ。正直な話、こんな奴にいつもいつも来られたんじゃこっちの身がもたない。何より、もしも腹を空かせたまま気付かずに放置でもした日には、兎たちの何匹かがいつの間にか消えてしまっているだろう。
「あら、何か問題でもあるかしら?」
 ――だが、ああ、哀しいかな。所詮下っ端である私達には、お姫様のお言葉を取下げさせることなど到底できはしない。ただ一つ、できることがあるならば。
「……仰せのままに…………」
 そう呟き、がっくりと肩を落とす他にないのだった。
「それじゃーてゐ、またねー!」
 哀しき下っ端の私達に、そうルーミアが明るく言ってふわりと身を宙に躍らせる。
「あ、ちょっと待て! 案内がないとここからは――」
「いいわ、てゐ。そのまま行かせなさい」
 慌てて後を追おうとする私をお姫様が制する。
『迷いの竹林』と呼ばれるだけあって、この竹林は生半可な知識で入ればたちまちのうちに迷ってしまう、恐ろしい場所だ。ここを迷わずに抜けられるとすれば、大昔からここの地形を熟知しているか、道に迷わないような能力を持っているか――はたまた、類稀なる幸運で運良く出口を見つけるかのいずれかしかない。
 そのどれをも持っていないルーミアが一人で竹林を抜けるなど、到底不可能なはずだ。なのに、お姫様が私を引き止めたのはどうしてか。
 よもや、不届き者の妖怪を困らせてやろうという意地悪な理由なのだろうか。一瞬そんな考えが私の脳裏をよぎったが、お姫様の表情はそんな腹黒さからは全くかけ離れたものだった。
「心配せずとも、あの子ならあなたの案内などなくとも大丈夫よ」
「そ、そんなこと言ったって……!」
 全く根拠のないその言葉に思わず反論しようとするが、お姫様の言葉には、それを許さない迫力が感じられた。
 この人がそう言うのなら、そうなんだろう――そんな、信頼と呼ぶには些か不十分かつ不条理な迫力だ。だが、どうしてかこの人のそんな言葉を聞くと、不思議とそう思わせられるのだ。
「……ま、大丈夫じゃない? あいつ、殺しても死ななそうな顔してるし」
「鈴仙まで……。まあ、二人がそう言うなら別にいいけどさ……」
 はあ、と一つため息をつき、ぽりぽりと頭をかきながら中空を見やる。
 すると、そこには黒い衣装に身を包み、およそ人間のそれとは思えないほどに白く美しい肌と、月明かりを浴びてきらきらと輝く金の髪を持った妖怪がふわふわと浮かんでいる。
 そいつは更待月の浮かぶ夜空を背景に、なんとも楽しそうな笑い声をあげるのだった。
今日が七夕だということに今日気づいて、2、3時間でばーっと書きました。
なので色々と粗があるかもしれませんが、そこはご愛嬌ということでひとつ…。
七夕あんまり関係ない内容になってしまいましたが、この日にルーミアの話を投稿できたので満足です。
プリン
http://twitter.com/pudding_mode
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コメント



0.50簡易評価
3.100名前が無い程度の能力削除
うさぎを食べるかも知れない相手を気遣うてゐはいいやつなのかやなやつなのか?
てゐがなんか良かったです
4.80名前が無い程度の能力削除
雰囲気もんだね、こりゃあ
オチ無しにも思えるが、文字通り散歩や夜歩きに意味なんか無いと思うんで、夏の夜の雰囲気を楽しませるのに一役買ってる、かな?