おばさん。
なんだい、霊夢。
7月5日はおばさんの日ね。
そうだったのかい。
それで、日頃の感謝の気持で何か贈り物を送りたいの。
その霊夢の気持だけで十分だよ。
いつも世話になっているおばさんに霊夢は何かお礼をしたかったから、7月5日がおばさんの日だとでっちあげた。
ところが、おばさんはそのでっちあげに気がつくことはなく謙遜してきたのである。
「おばさん、でも」
「本当にいいんだよ気持だけで」
気持だけでは良いわけが無い。だって、おばさんは口ではいらないって言って居るがすごく嬉しそうな表情である。
これは、何か送ってあげないと多分気まずい。大いに気まずい。
「本当に日頃の感謝の気持なの、貰ってくれないと私の気持が治まらない」
「霊夢が巫女やかに過ごしてくれればいいんだよ」
「巫女やかって何?」
「巫女やかは巫女やかだよ」
おそらく、巫女やかは健やかの現在進行形だ。霊夢が巫女であることが、おばさんにとっては望みだということであろう。
確かにそれも、おばさんの望みなのであろうがそれは今度の七夕の日にでも短冊に願ってくれれば良い。
とにかくはこうなっては、でっちあげた。おばさんの日に何かおばさんが欲しがる物を霊夢は送りたい。
「それでも、おばさんだって、衣食住が必要でしょ?」
「生憎、衣食住は揃っているよ」
「それじゃあ、にっとうこませんは?」
「生憎、おばさんは大学精にはなる気はないんだよ」※おばさんは妖精ではなくおばさん吸血鬼だ。
「それなら、新しい苗字を与えるっていうのはどう?」
「霊夢や。霊夢は強いけれど苗字を与えるほどの身分じゃないんだよ」
「だったら、この世界の半分っていうのはどう?」
「それは、良いね」
「うん。今のは冗談よ。それは駄目よ。おばさん」
「なんでだい?」
おばさんは世界の半分を欲しがったが霊夢はそれを認めることは出来なかった。だって、それを認めた瞬間におばさんは満身創痍になってしまうだろう。
それでは、おばさんにお礼をするどころか霊夢が自分勝手に世界を統一してしまうかもしれない。現実世界も幻想郷も皆統一それはいいことなのかもしれない。
けれど、それでは幻想郷は東方ではなくなってしまう気がしたのだった。
「駄目なものは駄目なの」
「仕方ないね。それはあきらめるよ」
「おばさんはいがいと野心家なのね」
「……野心っていうのは案外、型がこっていて。肩がこるものなんだよ。霊夢も、気をつけるんだよ」
「ええ、分かったわ」
霊夢はおばさんの野心という型は良く理解できなかった。
けれど、明日のおばさんの日には肩たたき券でも送ってみようかなと思ったのだった。
素敵な感じがして