「春ですよー」
「うるせー!春なんか終わっちまえ!」
暖かな春の陽気の中、鬼人正邪は通り過ぎるリリーホワイトに向かって叫んだ。
(まったく、異変が解決したからってどいつもこいつものんのんと過ごしやがって、せっかく私が幻想郷の頂点に立てるはずだったのに)
正邪は自分たちが起こした異変が解決されてから何もしないまま日々をすごしていた。
(何か私が幻想郷を掌握することの出来る異変でも起きないかなぁ…)
と一人考えながら霧の湖の周辺を歩いていた。
(人間どもを使うか?いや、結局八雲の大妖怪に止められるしな…ん?)
考えながら歩いていると水際にとあるものを見つけた
「これは…亀?」
そこにはひっくり返った亀がいた。
大方、里の子供か妖精辺りにひっくり返されたのであろう。
短い手足をじたばたさせていた。
「ははっ、情けない亀だなぁ」
正邪は亀のそばに近寄りしゃがんで亀を眺めた。
「ひっくり返ったら水で泳ぐどころか陸さえまともに動けないのか、弱い奴だなぁ」
亀は正邪の言葉を理解したのかしてないのか、必死に足をじたばたさせている。
「自分のことが情けなく思わないのか?所詮亀だな…」
亀はまだじたばたしている。
「………」
突然正邪は亀を持ち上げ、元の状態に戻した。
逆さまから開放された亀は湖に向かって一歩一歩歩き出した。
「…もう逆さまになるなよ」
正邪はそっぽを向きながらそう呟いた。
「正邪ー、なにしてるのー?」
突如後ろから声をかけられてあわてて振り向くとそこには少名針妙丸がいた。
「なんだお前か、…ま、まさかさっきの見てたのか?」
「さっき?なにかあったの?」
「いや、なんでもない」
(どうやら見られてなかったようだな)
「で、私に何か用か?」
「あ、そうそう霊夢さん家でクッキー作ってみたんだけど試食してみない?」
「な、何で私が」
「いや、異変で一時期は協力してたじゃない?まぁそのときの成り行きで私と正邪は友達みたいなものじゃない?」
「誰がお前となんかと!」
「まぁまぁどぅどぅ、それより食べるの?食べないの?」
「じゃ、じゃあ一枚だけなら…」
「そう言ってくれると思ったよ、どうぞ」
正邪は針妙丸からクッキーを一枚受け取るとそれを口の中に入れた。
「…全然美味くないな」
「そうー?うまくできたと思ったんだけどなぁ…それじゃ私は帰るね、じゃあね~」
そう言って針妙丸は嵐のように去っていった。
「…本当に美味くないな…」
そう呟きながら正邪は帰路につく。
その口の中にはわずかにクッキーの甘さが残っていた。
「うるせー!春なんか終わっちまえ!」
暖かな春の陽気の中、鬼人正邪は通り過ぎるリリーホワイトに向かって叫んだ。
(まったく、異変が解決したからってどいつもこいつものんのんと過ごしやがって、せっかく私が幻想郷の頂点に立てるはずだったのに)
正邪は自分たちが起こした異変が解決されてから何もしないまま日々をすごしていた。
(何か私が幻想郷を掌握することの出来る異変でも起きないかなぁ…)
と一人考えながら霧の湖の周辺を歩いていた。
(人間どもを使うか?いや、結局八雲の大妖怪に止められるしな…ん?)
考えながら歩いていると水際にとあるものを見つけた
「これは…亀?」
そこにはひっくり返った亀がいた。
大方、里の子供か妖精辺りにひっくり返されたのであろう。
短い手足をじたばたさせていた。
「ははっ、情けない亀だなぁ」
正邪は亀のそばに近寄りしゃがんで亀を眺めた。
「ひっくり返ったら水で泳ぐどころか陸さえまともに動けないのか、弱い奴だなぁ」
亀は正邪の言葉を理解したのかしてないのか、必死に足をじたばたさせている。
「自分のことが情けなく思わないのか?所詮亀だな…」
亀はまだじたばたしている。
「………」
突然正邪は亀を持ち上げ、元の状態に戻した。
逆さまから開放された亀は湖に向かって一歩一歩歩き出した。
「…もう逆さまになるなよ」
正邪はそっぽを向きながらそう呟いた。
「正邪ー、なにしてるのー?」
突如後ろから声をかけられてあわてて振り向くとそこには少名針妙丸がいた。
「なんだお前か、…ま、まさかさっきの見てたのか?」
「さっき?なにかあったの?」
「いや、なんでもない」
(どうやら見られてなかったようだな)
「で、私に何か用か?」
「あ、そうそう霊夢さん家でクッキー作ってみたんだけど試食してみない?」
「な、何で私が」
「いや、異変で一時期は協力してたじゃない?まぁそのときの成り行きで私と正邪は友達みたいなものじゃない?」
「誰がお前となんかと!」
「まぁまぁどぅどぅ、それより食べるの?食べないの?」
「じゃ、じゃあ一枚だけなら…」
「そう言ってくれると思ったよ、どうぞ」
正邪は針妙丸からクッキーを一枚受け取るとそれを口の中に入れた。
「…全然美味くないな」
「そうー?うまくできたと思ったんだけどなぁ…それじゃ私は帰るね、じゃあね~」
そう言って針妙丸は嵐のように去っていった。
「…本当に美味くないな…」
そう呟きながら正邪は帰路につく。
その口の中にはわずかにクッキーの甘さが残っていた。
でもこういうキャラは好きですね爽やかで
反逆するってことは逆に言えば寛大なのかも
でもいろいろと活かせていない気が致します
亀のくだりとクッキーのくだりに関連が欲しかったです
構成的にはふつうのヤオイなんだろうけれど、
正邪が一人ぽつりと亀ひっくり返すシーンが、なんかすっごく心にきます! 良い!