「ねえ、聞いてよ。メリーったら本当に酷いの。え? まあね、確かにいつもの事って言えばいつもの事だけど。何か、ねえ、最近苛苛する事が多いのよね。更年期障害? 違うって。まだそんな歳じゃないから。阿呆。それは先週済ませたばっかりだって、あんたが一番良く知っているでしょう? っていうか、セクハラ。幾らあんたと私の仲でも、訴えたら勝てるよ?
「そんな事はどうでも良くて、とにかく、無神経に人を傷付ける事を言うのは、止めた方が良いと思うのよ。幾ら、メリーに悪気は無いって言ってもね。傷付く人は居るんだし、実際私も傷ついたし。あんたから言ってくれない? もうちょっと考えて話せって。私から? 無理無理。今まで何度も言ってきたけど、聞いてくれやしない。最後は甘やかしてくれるって分かってるのね、メリーは。そういうずるいところあるから。
「分かってるわよ。無神経な事を言うのは私にだけ。それだけ私に心を許してくれているって事は分かってる。うん、だから分かってるって。メリーには悪気が無くて、私が傷付く言葉だって傍から見たら、何て事の無い言葉で、もしかしたら私の単なる被害妄想かも知れない。自意識過剰なのかもしれない。
「でもさ、メリーは綺麗で、可愛くて、性格ものんきで悩みとか無さそうで、あの笑顔ずるいよね、あのへらっとした笑顔、あんなの見せられたらどんな事でも許したくなっちゃう。優しくてさ、甘え上手で。もてるよね、この前の合コンでさ、男共がみんなメリーの方に行っちゃってさ、しかも全員振られてやんの。メリーは覚えてない何て言っているけど、絶対覚えてるよね。話振ったら赤くなるし。覚えてないって言っているのは、その時誰にも言い寄られなかった私に気を使っているのかな。そういう事されると余計惨めになるって分かってないんだよね。そういう所が、一一私の自尊心を傷付ける訳よ。メリーが悪いんじゃない。ただ私が勝手に惨めに思っているだけ。知ってる知ってる。ただそれを知っていたって、分かっていたって、苦しくなる事ってあるでしょ?
「分かってるって。だから。何も私の全てがメリーに劣っている訳じゃない。学力はきっと私の方が上だし、運動神経だってね、私の方が足速いし。は? 胸の差? 死ねぇい。とう!
「あはは、本当に殴った訳じゃないじゃん。痛くない痛くない。まあ、とにかく、確かに私の方が優れている部分だってある。でもさ、違うじゃん? そういう事じゃなくて、総合的? なんていうか、私の理想があるとすれば、それに近いのがメリーな訳よ。
「僻みだ僻み。そうだよ、僻み。文句ある? 羨ましいよ。本当に。私もメリーになりたいよ。私は私にしかなれない。それが辛い。
「眼だってさ。私のは、時間と場所が分かるだけって、しょぼいよね。え? まあね。役立つ事が無い訳じゃないけど。でも要らないよ。メリーの、結界の境目を見る眼が欲しい。私も自分で境界の向こう側が見たい。メリーの後ろにくっついていなくちゃいけないのが嫌なの。メリーが居なくちゃ私は境界の向こう側に触れる事が出来無い。それが、悔しい。ずるいんだよ。私だって、こんなにも境界の向こう側に憧れているのに。メリーばっかりそれが見える。
「そうね。こつとかあるかも知れない。だからさ、私だって聞いたんだよ。メリーに、結界の境目を見るにはどうしたら良いのって。メリーは、冗談だと思ったんでしょ、笑ってた。あの時だって、傷付いた。メリーにとっては冗談かもしれないけど、私にとっては本気だったんだから。
「それで、あれも結局冗談だったのかな、毎日鏡に話し掛けていればいずれ見える様になるとか適当な事を言ってさ。試したよ。藁にもすがる思いでね。でも毎日鏡に話しかけても一向に結界の境目は見えない。それどころか、日に日に頭がおかしくなっていく気がするのよ。結界の境目を見たいって欲求だけが際限無く膨らんでいくの。本当に、このままだとおかしくなりそうで。
「あ、ごめん。大丈夫だけどね。まあ、鏡を前にすると、頭に砂嵐が吹いているみたいな、変な感覚があるけど、鏡を前にしていなければ、ほらこうして、まともでしょ? ちょっと変? それはお酒の所為。久久に愚痴っちゃったよ。ごめんね。何か嫌な気分にさせちゃってる? もうこの話はここで終わりにしましょう。終わり終わり」
「何してるの、蓮子?」
「メリー! どうしたの?」
「どうしたのって、混雑してて遅れるって連絡したでしょ?」
「ああ、そうね。そうだったわ。でも鍵は?」
「え? だって合鍵貰ってるし。ごめんなさい、勝手に入って悪かった? でもいつもそうしていたから」
「ううん、全然。ただ鍵の開く音がしなかったからさ」
「ねえ、蓮子、さっきから何してるの?」
「何って? 別に」
「何に話し掛けてるの? 蓮子には何が見えてたの?」
「いや、何言ってるの? 誰も居ないでしょ? メリーが来るのを一人寂しく待っていて」
「話し声がしたから誰か他に居るのかと思ってたのに、蓮子、ずっと誰も居ないのに、テーブルの向かいに対して喋ってた。蓮子は誰と喋っていたの?」
「誰友喋ってないって。何か勘違いしてるんじゃない?」
「勘違いじゃない。蓮子、どうしちゃったの? 最近おかしいよ。もしかして鏡に話し掛けるっていう冗談、本当にやっちゃったの?」
「やってないよ」
「そう? なら良いんだけど。あれは冗談だからね? 蓮子だって知ってるでしょ? あれは自分の中に別の人格を作っちゃうって話。頭がおかしくなっちゃうって」
「大袈裟な。確かに鏡に話し掛けてると変な気分になるけど。今は鏡無いでしょ? 例えおかしくなっていたとしても、今は大丈夫」
「まさか本当にやってたの?」
「だから、何?」
「止めて! 今すぐ! ねえ、蓮子、自分じゃ気付いてないの? 蓮子、最近おかしいよ。いっつも上の空で、苛苛してて」
「お願いだから、変な事を言わないで。私はまとも。おかしくなんてなってない」
「でもね、蓮子、本当に、最近の蓮子は気味が悪いの。以前なら、そんな鏡の事だって、本気にしたりしなかったでしょ? うん、きっと、疲れているんだと思う。悩みがあるなら聞くわ」
「大丈夫だって言ってるでしょ!」
「痛」
「あ、ごめん」
「ほら、やっぱり怒ってる。絶対、今の蓮子はおかしい」
「ごめんて。叩いちゃったのは悪いけど、でも、メリーがあんまりしつこいから」
「今日はもう帰るね」
「そんな来たばっかりなのに。ちょっとお茶淹れてくるから」
「帰る。今は蓮子も興奮しているみたいだし、明日もう一度会って話し合いましょう。落ち着いて話し合えば、きっと、ね? 悩みだとか話すだけでも気が楽になる事ってあるし。蓮子ってあんまり悩みとか話さないでしょ? そういうのも必要だと思うの。蓮子はいつも私の相談に乗ってくれるて、私は凄く助かってる。いつも聞いてもらってばかりじゃ悪いし、私だって聞いてあげたい。もしかしたら解決策だって浮かぶかもしれない。だから明日また」
「ちょっと待ってよ!」
「鏡にだけは絶対に話し掛けないで。お願い。じゃあ明日、いつもの喫茶店で」
「待って! お願いだから! 今日じゃなくちゃ駄目なの! 待って!
「蓮子、酷い顔。大丈夫、居てあげるから。
「お願い。
「悩み、聞いてあげる。
「ごめん。
「じゃあ、もう一回、お邪魔します。
「居らっしゃい。ごめんね、本当に。
「ううん。でも、蓮子、苛苛するのは、止めた方が良いと思う。
「確かに苛苛していたかもね。でも、それは、ほら、テストがあるから苛苛していて。
「テストは終わったでしょ?
「うん、そう、そうだよね、だから、もうこれで大丈夫。もう苛苛しないから。
「信用出来ないけど。まあ良いわ。蓮子がそう言っているんだし、許してあげる。
「ありがとう。何だか釈然としないけど。
「とにかく、本当に、鏡に話し掛けるのは止めて。そんな事をしたら、蓮子にだけ見える新しい存在が生まれちゃうの。前にも言ったでしょ? そんな事してたら、みんなあなたから離れていくわ。
「分かった。もう止める。でも最初に勧めてきたのはメリーなんだけど。
「そんな事関係無い。止めた方が良いんだから止める。これ以上生まれたらどうするの?
「止めるよ。止めるから。ただ私はメリーが羨ましくて。冗談でも、もしかしたらって思ったら。
「分かってる。でも、そう信じちゃった蓮子はやっぱりおかしい。鏡に話し掛ける前から変になってたって事よ。ねえ、蓮子。あまり思い詰めないで。羨ましいって蓮子はいっつも言っているけど。それはお互いでしょう? お互いが羨ましがっている。
「そうかな?
「そうよ。眼だって、結局蓮子が居なければ意味が無いの。蓮子が居なくちゃ幾ら結界を暴いたって面白さが半減。
「前に、メリー、言ってたね。でも、それは、方便でしょう?
「そんな事無いわ。結局ね、何をしたって相手が居なくちゃ面白くなんて無いの。例えば、蓮子、あなた、結界の境目を見る眼が欲しいって言っていたけど、その代わりに一人ぼっちになっちゃったらどう?
「嫌だよ。メリーと離れたくない。
「そうでしょ? そういう事よ。結界の境目を見る眼を持っていたって蓮子が居なくちゃ意味が無い。二人は一緒に居ないと駄目。一心同体って奴ね。蓮子もそうなんでしょう? 今日、この日に家へ呼んだのはどうして? どうして今日じゃなくちゃいけないの?
「何でも無い。
「顔が赤くなってるわよ、蓮子。それじゃあ、台所にあるのは? あの可愛くラッピングされのは何?
「そんなの無い。
「あるわよね? 今から台所に見に行きましょうか? あれは何?
「知らない。
「何? 言ってごらん。
「ああ! もう! チョコレートよ。
「ん?
「チョコレート!
「何だ。てっきり、指輪かと思った。
「んな訳無いでしょ! まだ早い!
「まだ? あら? じゃあ、プロポーズはいつ?
「うるさい!
「でも愛しているんでしょう?
「うーるーさーいー!
「否定になってないわよ、蓮子。ほら試しに、メリー愛してるって言ってみてよ。
「嫌。
「その抑圧がおかしくなった原因だと思うのよね。それを口にすれば、悩みなんて吹き飛ぶんじゃない? だから、ね?
「無理。
「ほーら。
「いーや!
「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははあはははあはははははははははあはははあはははははははあははははははあはははははははあははははははあはははははははははあははははあははははははははははあはははははははははははははははははははあははははははははははあはははははははははあははははあはははははははははははははあはははははははははははあははははははははあはははははははあはははははははははははははあははははは
「あはははははははははははははあははははははあははははははははははははははあははははははははははははあははははははははあははははははははははははははははははははははははあはははははははははははははははははははあはははははははははははははははあははははははあはははははあはははははははははははははははあははははははははははははははははははあははははははははははあはははははははははあははははははあはははははははあははははははははははははははあははははははははははあははははははははは」
「そんな事はどうでも良くて、とにかく、無神経に人を傷付ける事を言うのは、止めた方が良いと思うのよ。幾ら、メリーに悪気は無いって言ってもね。傷付く人は居るんだし、実際私も傷ついたし。あんたから言ってくれない? もうちょっと考えて話せって。私から? 無理無理。今まで何度も言ってきたけど、聞いてくれやしない。最後は甘やかしてくれるって分かってるのね、メリーは。そういうずるいところあるから。
「分かってるわよ。無神経な事を言うのは私にだけ。それだけ私に心を許してくれているって事は分かってる。うん、だから分かってるって。メリーには悪気が無くて、私が傷付く言葉だって傍から見たら、何て事の無い言葉で、もしかしたら私の単なる被害妄想かも知れない。自意識過剰なのかもしれない。
「でもさ、メリーは綺麗で、可愛くて、性格ものんきで悩みとか無さそうで、あの笑顔ずるいよね、あのへらっとした笑顔、あんなの見せられたらどんな事でも許したくなっちゃう。優しくてさ、甘え上手で。もてるよね、この前の合コンでさ、男共がみんなメリーの方に行っちゃってさ、しかも全員振られてやんの。メリーは覚えてない何て言っているけど、絶対覚えてるよね。話振ったら赤くなるし。覚えてないって言っているのは、その時誰にも言い寄られなかった私に気を使っているのかな。そういう事されると余計惨めになるって分かってないんだよね。そういう所が、一一私の自尊心を傷付ける訳よ。メリーが悪いんじゃない。ただ私が勝手に惨めに思っているだけ。知ってる知ってる。ただそれを知っていたって、分かっていたって、苦しくなる事ってあるでしょ?
「分かってるって。だから。何も私の全てがメリーに劣っている訳じゃない。学力はきっと私の方が上だし、運動神経だってね、私の方が足速いし。は? 胸の差? 死ねぇい。とう!
「あはは、本当に殴った訳じゃないじゃん。痛くない痛くない。まあ、とにかく、確かに私の方が優れている部分だってある。でもさ、違うじゃん? そういう事じゃなくて、総合的? なんていうか、私の理想があるとすれば、それに近いのがメリーな訳よ。
「僻みだ僻み。そうだよ、僻み。文句ある? 羨ましいよ。本当に。私もメリーになりたいよ。私は私にしかなれない。それが辛い。
「眼だってさ。私のは、時間と場所が分かるだけって、しょぼいよね。え? まあね。役立つ事が無い訳じゃないけど。でも要らないよ。メリーの、結界の境目を見る眼が欲しい。私も自分で境界の向こう側が見たい。メリーの後ろにくっついていなくちゃいけないのが嫌なの。メリーが居なくちゃ私は境界の向こう側に触れる事が出来無い。それが、悔しい。ずるいんだよ。私だって、こんなにも境界の向こう側に憧れているのに。メリーばっかりそれが見える。
「そうね。こつとかあるかも知れない。だからさ、私だって聞いたんだよ。メリーに、結界の境目を見るにはどうしたら良いのって。メリーは、冗談だと思ったんでしょ、笑ってた。あの時だって、傷付いた。メリーにとっては冗談かもしれないけど、私にとっては本気だったんだから。
「それで、あれも結局冗談だったのかな、毎日鏡に話し掛けていればいずれ見える様になるとか適当な事を言ってさ。試したよ。藁にもすがる思いでね。でも毎日鏡に話しかけても一向に結界の境目は見えない。それどころか、日に日に頭がおかしくなっていく気がするのよ。結界の境目を見たいって欲求だけが際限無く膨らんでいくの。本当に、このままだとおかしくなりそうで。
「あ、ごめん。大丈夫だけどね。まあ、鏡を前にすると、頭に砂嵐が吹いているみたいな、変な感覚があるけど、鏡を前にしていなければ、ほらこうして、まともでしょ? ちょっと変? それはお酒の所為。久久に愚痴っちゃったよ。ごめんね。何か嫌な気分にさせちゃってる? もうこの話はここで終わりにしましょう。終わり終わり」
「何してるの、蓮子?」
「メリー! どうしたの?」
「どうしたのって、混雑してて遅れるって連絡したでしょ?」
「ああ、そうね。そうだったわ。でも鍵は?」
「え? だって合鍵貰ってるし。ごめんなさい、勝手に入って悪かった? でもいつもそうしていたから」
「ううん、全然。ただ鍵の開く音がしなかったからさ」
「ねえ、蓮子、さっきから何してるの?」
「何って? 別に」
「何に話し掛けてるの? 蓮子には何が見えてたの?」
「いや、何言ってるの? 誰も居ないでしょ? メリーが来るのを一人寂しく待っていて」
「話し声がしたから誰か他に居るのかと思ってたのに、蓮子、ずっと誰も居ないのに、テーブルの向かいに対して喋ってた。蓮子は誰と喋っていたの?」
「誰友喋ってないって。何か勘違いしてるんじゃない?」
「勘違いじゃない。蓮子、どうしちゃったの? 最近おかしいよ。もしかして鏡に話し掛けるっていう冗談、本当にやっちゃったの?」
「やってないよ」
「そう? なら良いんだけど。あれは冗談だからね? 蓮子だって知ってるでしょ? あれは自分の中に別の人格を作っちゃうって話。頭がおかしくなっちゃうって」
「大袈裟な。確かに鏡に話し掛けてると変な気分になるけど。今は鏡無いでしょ? 例えおかしくなっていたとしても、今は大丈夫」
「まさか本当にやってたの?」
「だから、何?」
「止めて! 今すぐ! ねえ、蓮子、自分じゃ気付いてないの? 蓮子、最近おかしいよ。いっつも上の空で、苛苛してて」
「お願いだから、変な事を言わないで。私はまとも。おかしくなんてなってない」
「でもね、蓮子、本当に、最近の蓮子は気味が悪いの。以前なら、そんな鏡の事だって、本気にしたりしなかったでしょ? うん、きっと、疲れているんだと思う。悩みがあるなら聞くわ」
「大丈夫だって言ってるでしょ!」
「痛」
「あ、ごめん」
「ほら、やっぱり怒ってる。絶対、今の蓮子はおかしい」
「ごめんて。叩いちゃったのは悪いけど、でも、メリーがあんまりしつこいから」
「今日はもう帰るね」
「そんな来たばっかりなのに。ちょっとお茶淹れてくるから」
「帰る。今は蓮子も興奮しているみたいだし、明日もう一度会って話し合いましょう。落ち着いて話し合えば、きっと、ね? 悩みだとか話すだけでも気が楽になる事ってあるし。蓮子ってあんまり悩みとか話さないでしょ? そういうのも必要だと思うの。蓮子はいつも私の相談に乗ってくれるて、私は凄く助かってる。いつも聞いてもらってばかりじゃ悪いし、私だって聞いてあげたい。もしかしたら解決策だって浮かぶかもしれない。だから明日また」
「ちょっと待ってよ!」
「鏡にだけは絶対に話し掛けないで。お願い。じゃあ明日、いつもの喫茶店で」
「待って! お願いだから! 今日じゃなくちゃ駄目なの! 待って!
「蓮子、酷い顔。大丈夫、居てあげるから。
「お願い。
「悩み、聞いてあげる。
「ごめん。
「じゃあ、もう一回、お邪魔します。
「居らっしゃい。ごめんね、本当に。
「ううん。でも、蓮子、苛苛するのは、止めた方が良いと思う。
「確かに苛苛していたかもね。でも、それは、ほら、テストがあるから苛苛していて。
「テストは終わったでしょ?
「うん、そう、そうだよね、だから、もうこれで大丈夫。もう苛苛しないから。
「信用出来ないけど。まあ良いわ。蓮子がそう言っているんだし、許してあげる。
「ありがとう。何だか釈然としないけど。
「とにかく、本当に、鏡に話し掛けるのは止めて。そんな事をしたら、蓮子にだけ見える新しい存在が生まれちゃうの。前にも言ったでしょ? そんな事してたら、みんなあなたから離れていくわ。
「分かった。もう止める。でも最初に勧めてきたのはメリーなんだけど。
「そんな事関係無い。止めた方が良いんだから止める。これ以上生まれたらどうするの?
「止めるよ。止めるから。ただ私はメリーが羨ましくて。冗談でも、もしかしたらって思ったら。
「分かってる。でも、そう信じちゃった蓮子はやっぱりおかしい。鏡に話し掛ける前から変になってたって事よ。ねえ、蓮子。あまり思い詰めないで。羨ましいって蓮子はいっつも言っているけど。それはお互いでしょう? お互いが羨ましがっている。
「そうかな?
「そうよ。眼だって、結局蓮子が居なければ意味が無いの。蓮子が居なくちゃ幾ら結界を暴いたって面白さが半減。
「前に、メリー、言ってたね。でも、それは、方便でしょう?
「そんな事無いわ。結局ね、何をしたって相手が居なくちゃ面白くなんて無いの。例えば、蓮子、あなた、結界の境目を見る眼が欲しいって言っていたけど、その代わりに一人ぼっちになっちゃったらどう?
「嫌だよ。メリーと離れたくない。
「そうでしょ? そういう事よ。結界の境目を見る眼を持っていたって蓮子が居なくちゃ意味が無い。二人は一緒に居ないと駄目。一心同体って奴ね。蓮子もそうなんでしょう? 今日、この日に家へ呼んだのはどうして? どうして今日じゃなくちゃいけないの?
「何でも無い。
「顔が赤くなってるわよ、蓮子。それじゃあ、台所にあるのは? あの可愛くラッピングされのは何?
「そんなの無い。
「あるわよね? 今から台所に見に行きましょうか? あれは何?
「知らない。
「何? 言ってごらん。
「ああ! もう! チョコレートよ。
「ん?
「チョコレート!
「何だ。てっきり、指輪かと思った。
「んな訳無いでしょ! まだ早い!
「まだ? あら? じゃあ、プロポーズはいつ?
「うるさい!
「でも愛しているんでしょう?
「うーるーさーいー!
「否定になってないわよ、蓮子。ほら試しに、メリー愛してるって言ってみてよ。
「嫌。
「その抑圧がおかしくなった原因だと思うのよね。それを口にすれば、悩みなんて吹き飛ぶんじゃない? だから、ね?
「無理。
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「あはははははははははははははあははははははあははははははははははははははあははははははははははははあははははははははあははははははははははははははははははははははははあはははははははははははははははははははあはははははははははははははははあははははははあはははははあはははははははははははははははあははははははははははははははははははあははははははははははあはははははははははあははははははあはははははははあははははははははははははははあははははははははははあははははははははは」
あまり面白くなかったです
んでわかった。
」はあれか、最初から最後まで蓮子のセリフがおわってないのか
ホラー系の話を作るのがお上手ですね。これからも頑張ってください。