申し上げます。申し上げます、博麗の巫女様。あの人は酷い、酷い。はい。厭な奴です、悪いお人です。ああ! 我慢ならない! もう一度退治されてしまえばいいんだ!
はい?
なんですか霊夢さん? 博麗の巫女様と呼ぶなって?
とんでもない。これから非力な私に変わってあの人を、退治して頂きたいのです。あの地蔵のような優しい笑みの後ろに、醜い欲望を隠し持っていたあの人を!
しかし私は弱いのです。情けない奴なのです。何度あの人を私の手で、やっつけようと思ったことか。どれほど歯をぎりぎり鳴らして手を震わせていたか。ところがあの人の顔を見ていると躊躇するのです。あの人は悪い人だ。でも、私はあの人の事を愛している。どれほど心から慕っていたか、誰にもわからないでしょう。
いえ、違うのです。私はとうとうあの人に見切りをつけて、ここに来たのだ。油断をすると、すぐ未練が口からあふれ出る。いけない。
はい、後悔などしません。思いっきりあの人をやっつけてください。すぐにご案内いたします。あの人は今夜も綺麗な女性たちを傍にはべらしているはずです。まるで成金が使い道のない装飾品を買い込んで、掌に並べてニヤニヤ笑うのと同じだ。趣味の悪い。そうだ。そんなあの人に、私は愛想を尽かせたのだ。
はい、はい。そうです。あの人とは私の師であります。
月の頭脳、とさえ呼ばれるあの人です。あの人は、この幻想郷でもどんな大妖怪にも引けを取らない、力と知識を持っていると思っているでしょうね。
しかしそれは大きな間違いでした。この地上で、あの人は、醜い欲望というものを知ってしまったのだ。なんて可哀そうな。いえ、同情などいたしません。故意ではないとしても、あの人は今まで尽くしてきた私を、踏みにじったのだ。
私が月を逃げ出して、行先を失い彷徨っていたのを拾ってくれたのは、あの人でした。
じっと睨むように私を見つめ、私を月からの、追手だと疑ったようでした。
その顔にどれほど恐怖を抱いたか、今でも忘れません。
私は深々と頭を下げ、あの人と、あの人の主君である姫様に対して、なんの敵意を持っていない事、もし私を受け入れてくださるのなら、このわが身を粉にして働く所存を、必死に訴えたのです。命がけとはこの事かもしれません。笑わないでください。大げさな表現をするつもりなどないのですから、どうか笑わず聞いてください。
何を言ったのか具体的に覚えておりません。あの人の顔に怯え、口の中が乾き、不愉快さを覚えながら、とにかく言葉にしていたはずだ。
するとあの人は、初めて笑ってみせたのだ。
「そうですか。貴女に私たちへ害をなす者ではないと分かり、安心しました。これからは私とともに姫様に仕えなさい」
私に敵意がないことを信じてもらえた嬉しさよりも、その笑顔に、私は心を奪われてしまった。なんて綺麗なお顔なのか。すべて演技だったのだ。全て私を試す演技だったのだ。しかし、本当のあの人のお顔は、全てを優しく包む、慈悲に満ちたもの。突然、振り返って抱きしめられたように思えたのです。
それからは、それこそ身を粉にするように、私はあの人に尽くしてきました。私は自分から願い出て、あの人の助手になったのです。姫様はそれはそれは綺麗な顔立ちで、多くの人間たちを、虜にしてきたという話に納得しました。でも私は、あの人こそが一番美しいと思ったのだ。この際はっきりと言ってしまいましょう。私はあの人のために奉仕してきたのだ。あの人が姫様の幸せを願うように、私はあの人の幸せを想っていたのです。
私が永遠亭に住み始めて、しばらくしてあの人は私を呼びました。
優曇華院。
名前を、くださったのだ。
「今日から優曇華院と名乗りなさい。この汚れた地上で綺麗な花が咲くように、そう生きていきなさい」
あぁ! その時どれほど涙が零れそうになったか、あの人も知らないでしょう。姫様と同じくらい、と恐れ多いことは言いません。しかし、この私めにも気にかけてくださる。その喜びは一晩過ぎても、一週間が過ぎても、一年が過ぎようとも、私の胸の中で跳ね続け、増々忠誠を誓ったのです。
そうして私は、自分の中に感じていた気持ちを、何故あの人に惹かれた理由を、知ることができました。
恋、でした。
笑わないでください。先ほども申しました通り、私は本気で、真剣に打ち明けているのです。そして、あの人への想いが薄くなる、いえ、あの人に心から慕っていたのに、踏みにじられたことを、私は訴えにきたのです。
博麗の巫女様が、異変を疑って、私たちを退治に来られた、その後です。
あの人は、ついに本性を現せたのです。醜い、欲望にまみれた真の姿を!
その朝、私は朝食を作り姫様を呼びに行ったのです。てゐは家事などしないから、私が一人で家事を引き受けているのです。いえ、嫌々しているわけではないのです。あの人に喜んでもらおうと、自分から引き受けたのです。
何も知らない私は、部屋の外から姫様を呼び、すぅーっと障子を開けました。驚愕しました。何故なら姫様と並ぶように、あの人も同じ布団に横になっていたのですから。
「あら、うどんげ。起こしにきてくれたの?」
あの人は眠たい目を擦りながら、にっこりと笑いました。あの人の愛おしい笑顔のはずなのに、私は心の中が曇っていくのを覚えました。
「もう姫様がわがままでね。久しぶりに一緒に寝たいと聞かないのよ」
まるで弁解するように、あの人はそう言うと、傍らで未だ夢の中にいる姫様の体を揺すって、起こそうとされました。
いや、あれは弁解だったのだろう。あの人と姫様は長いお付き合い、月の頃から一緒にいるんですから、そういう関係だったとしても、なんらおかしくはないのです。
私が驚愕したのは、そんなことに気が付かなかった自分自身なのでした。あの人を愛しているのは自分だけだと、信じて疑わなかった浅はかな自分を、恥じたのでした。
朝食が出来ているのを伝えると、私はすぐに部屋を離れました。
いつもと変わらぬ朝食の時間。幸せな日常の一コマ。しかし、私は味がしない朝食を噛みしめながら、情けない自分自身を苦く噛んでいたのです。思えばそうだったのだ。あの人はいつでも姫様のことを気遣ってこられた。姫様もあの人にはとびきり気にかけていた。それをただ主従の関係だと勘違いしていた、この自分の浅はかさを呪いました。そして、自分の恋が終わったことを悟ったのです。
それでもあの人は私にとって、大事な人に変わりはない。
そう心の中で、自分に言い聞かせながら、私は洗濯物を洗うことに集中していました。ただ衣類を洗うことでしか、私の中の気持ちを晴らすことが、できなかったのです。
自分の服を洗い、姫様の服を洗い、てゐの服を洗い、そうして私の指先が捕えたもの。それを見て、私は大きな勘違いをしていたことに気が付いたのです。
それはあの人の、下着でした。
私は両手で掲げ、まじまじと見ました。
あの人の下着を洗うことは、別にその日が初めてではありません。その日までも、何度もあの人が穿いた下着を、洗ってきたのだ。
お日様越しに下着を見つめ、私はふと思ったのです。恋仲でもない相手に、自分の下着を洗わせるでしょうか。いや、そんなことはないはずだ! ご自分の肌にもっとも触れる下着を、対して気にもかけていない者に洗わすなんて。私はそこで自分の勘違いに気が付いたのでした。姫様は家事などしません。いくら恋仲の相手がご自分の従者とはいえ、その者の下着を他の者に洗わせるでしょうか。そんなことはない!
私ははっとしました。自分は大きな勘違いをしていたのだ。あの人は姫様のわがままで一緒に同じ床についたと言ったではないか。なのに私は、一緒に横になるお二人を見て、早とちりとしたのだ。あぁ! どうして自分は愛する者の話す言葉を素直に信じることができないのだ! 私はやはり愚か者だ。
あの人に詫びるつもりで、私はあの人の下着をそっと自分の頬に寄せて、あの人に甘えるように、謝罪するように下着を肌で感じて、そうして丹念に、綺麗に洗ったのです。あの人は私の事を気にかけてくださっている、いや、私の事を特別な者として想っていてくださっている。私は再び元気を取り戻して、あの人に尽くそうと新たに想い直したのです。
霊夢さん。どうして笑い転げるのですか。真面目に聞いてください。私は、真剣なのです。
私はあの人への気持ちを取り戻した。
しかし、その後もあの人は、醜い本性を隠そうとせず、心から慕う私を増々踏みにじるのです。
その日から一週間が過ぎた頃です。
私は人里での薬売りを終え、永遠亭へ帰りました。帰ってからあの人に売り上げを報告して、そして干した洗濯物を取り込み、畳まなければいけません。私はすぐにあの人の部屋へ向かおうとしていました。永遠亭の門をくぐり、玄関に入ろうとして、見てしまったのだ。
縁側であの人が妹紅さんと並んで座っているのを。
妹紅さんは姫様と、長年竹林の中で弾幕勝負を繰り広げていました。しかし、霊夢さんに退治されて以降、妹紅さんと姫様の仲は親しくなり、今では友達と呼べるほどの仲になっているのはご存じでしょう。妹紅さんはよく遊びにこられるので、妹紅さんが永遠亭にいることに驚きはしませんでした。私が驚いたのは姫様ではなく、あの人と並んで座り、そうして親しげに肩を寄せ合うようにしていることでした。
私がその場で佇んでいると、私に気が付かないようなお二人は、何か親しげに言葉を交わして、そして妹紅さんが、あの人の片腕に寄りかかったのです。あの人も笑みを浮かべて、手の伸ばして妹紅さんの頭を撫でたのです。
大きな音がしました。驚愕のあまり、私は背中の薬箱を地面に落としてしまったのでした。その音にあの人と、妹紅さんが私に振り返りました。驚いたような顔をして。私は慌てて薬箱を拾うと、永遠亭の中へと飛び込みました。
あの人の診療室で薬箱を下ろすと、私は手を胸に当てて、鼓動を感じていました。私の心臓は速く、強く鳴っていました。何故、妹紅さんと親しくしているのか、まったくわからなかったのです。たしかに妹紅さんは姫様と仲良くなった。私もてゐも、あの人ですら妹紅さんと親しく言葉を交わすようになりました。でも、その腕に寄りかかり、幸せそうな笑みを浮かべるなんて、妹紅さんはあの人とどういう関係なのだろうか。あの人も、戸惑うわけでもない、妹紅さんに寄りかかられて、優しく頭を撫でるなんて、一体全体、あの人は誰を愛しているのだ。姫様だって、そう思うだろう。同じ床で寝るのを願うほど想う人を、仲良くはなったとはいえ、ついこの間まで憎しみ合っていた者に、取られるなんて許せるものだろうか。私は許せない。
しばらく呆然としていると、あの人が部屋に入ってきました。妹紅さんは帰ったそうだ。私はあの人に訊ねました。どうして妹紅さんと、そんなに親しくできるのかと。あの人は私の問いに、少し驚いたような顔をして、そして悲しむように言うのです。
「うどんげ。もう、私たちと妹紅は争う関係ではないわ。これからは親しく付き合える仲間よ。うどんげ、貴女は妹紅のことが嫌いなの?」
私は驚きました。まるで私が異端者のような口調に、驚き、悲しくなりました。あの人も私を察してか、両手を広げて私を抱きしめようとしました。私はそれを、拒みました。今までも、何度かあの人は私を抱きしめようとしたことがある。しかし、私はあの人の助手なのだ。まだ、まだあの人の伴侶になるには、力が足りない。その度に、私は適当に誤魔化してきたのだ。いつかあの人に認められるほど力をつけて、私からあの人を抱きしめられるように。それまで、私は我慢を続けていたのだ。ほいほいと、軽い気持ちであの人に寄り添う妹紅さんに、私は軽蔑していたのだ。
私は洗濯物があるので、と適当なことを言い、あの人から逃げるように庭へ出た。そしてうさを晴らすように洗濯物を籠に放り込んだ。すると、私の手の中にあの人の下着が入った。愛おしいあの人の下着。あの人が私を想ってくださる証。しかし、姫様に続いて妹紅さんにまで、そのお体を易々と委ねるあの人の下着に、今さらなんの感情が湧きましょうか。あの人は、やはり姫様と関係を持っているのだ。そればかりか妹紅さんとまで、恋仲であろうとするのだ。
私の中で憎しみが、今まで慕ってきた気持ちが憎しみとなりました。あの人の下着を糠床にぶち込んで、茶色に染めて、笑ってやろうかとも思いました。
しかし、どうしても私の頭の中で、あの人の笑顔が、初めて見せた笑顔が、名前を下さったときの顔が浮かんで、私はあの人の下着をやっぱり丁寧に畳んでしまうのでした。
それからさらに一週間が過ぎた頃、つまり今日です。ついに、私はあの人に、愛想を尽かせたのだ。
あの人への想いが、薄らいでいました。すでに私は、あの人の本性を知ってしまったのだ。あの人は姫様も、妹紅さんも、まるで自らの醜い欲望を満たす道具のように、思っているのだ。あの人には寄り添ってくる者が皆、自分を愛してやまない者だと思っているのだ。心の奥から愛しているのは、私だけだというのに。この地上に落ちて、あの人は恋というものを、愛というものを勘違いしているのだ。あぁ、早くその勘違いを正さねばならない。本当の恋心をというものを、私のような者だが、教えなければいけない。
夜の事です。私は覚悟を決めてあの人の部屋へ行ったのだ。
失礼いたします、と部屋の外から声をかけると、中からあの人が「どうぞ」と返事をした。一つ深呼吸をした。私はあの人の従者だ。あの人に説教などと、思い切った事を出来る身分ではない。でも、言わなければならない。どうぞ、ご自身の身の振い方を見直してください。貴女を真に愛しているのは、この私なのだと。
私は意を決して障子を開けた。そして、見てしまったのだ。
部屋の中にいるあの人を。そして、あの人に寄り添う慧音さんを。私は狂気に包まれて、食べたばかりの夕食を、その場で吐いてしまいそうになりました。
私の中で、全てが、あの人への想いが完全に崩壊してしまった時でした。
何用か問いただすあの人に構わず、私は食って掛かるようにあの人に訊ねました。慧音さんとは、どういう関係か。貴女はいったい誰を愛しているというのか。
あの人は平然と答えました。
「誰を愛しているって……慧音は私にとって大事な親友の一人よ。こうして親友と仲良くすることが、どうして貴女をそんな怖い顔にさせるのか、私には理解できないわ。うどんげ、どうしてそんな顔をするの? もう、妹紅と憎しみ合っていた過去は終わったのよ。妹紅も慧音も、姫様と仲良くなり、醜い争いは終わったの。うどんげ、貴女はまるでそれを望まないようにみえるわ」
あぁ。あの人はまるで私が大悪人のように、苦々しい顔で言うのだ。私の想いなど、まるで知らんぷりだ。
あの人の後ろの障子が、音を立てずに静かに開いた。そこにいたのは姫様と妹紅さんだった。永遠亭に遊びに来て、妹紅さんは姫様と囲碁を打っていた。仲良く囲碁で遊ぶ妹紅さんを見て、妹紅さんとあの人の関係など、姫様とあの人の関係も、私の思い過ごしかと思っていたのだ。そう思い込もうとして心の平衡をぎりぎり保っていたのだが、お二人の顔を見て、それすら崩れ去った。姫様と妹紅さんは、私に構わずあの人に近寄ると、妹紅さんは慧音さんと反対の腕に寄り添い、姫様はあの人の背中に甘えるように抱き着いた。
私は知ったのだ。
あの人の本性を。
私は今まであの人に尽くしてきたのだ。奉仕してきたのだ。心から愛してきたのだ。
なのに。あの人はそんな私の気持ちを汲み取ろうとせず、あの人のことを想い、伴侶として相応しいようになるまでこの胸に隠し通してきた私を想うことなく、私の気持ちを踏みにじり、軽い気持ちであの人に近寄るような女性にうつつを抜かす、淫らな、情けない、欲情にまみれたあの人の本性を知ったのだ。
私は永遠亭を飛び出して、こうして博麗の巫女様の前にやってきたのです。
あの人は、酷い。酷い。悪い奴だ。
今まで私は身を粉にして尽くしてきた、奉仕してきたのだ。
私は誰よりもあの人のことを慕っている、愛している。だか、その愛も、報いなければなんてことはないのだ。それが悔しくて堪らない。
あぁ! なんて可哀そうなのだ、あの人は。姫様も、妹紅さんも、慧音さんも、あの人のことを心から愛してはいないはすだ。いや、愛しているとしよう。でも、三人も同時に恋仲でいようと思うなんて、あの人は地上に落ちて、欲情というものを覚えてしまったに違いない。あぁ、助けたいのだ。欲情が自身の身に為になった話はないはずだ。あの人を救いたい。
霊夢さん、どちらへ行こうとされるのですか?
え? あの人の元へ行こうとされるのですか?
はは、待ってください。退治されるべきは私なのだ。醜い嫉妬に包まれた私なのだ。私がいなくなれば、あの人は幸せになるだろう。私に気を遣うことなく、思う存分欲望に身を委ねられるだろう。
聞こえないのですか? あの人を退治するのはやめろ!
いえ、なんでもありません。私は嘘を吐いてしまいました。そうだ。私はあの人を退治して欲しくてここにやってきたのだ。忘れてはいけない。私はあの人に愛想を尽かせたのだ。今までのあの人の奉仕は、結局あの人を楽にさせただけで、それ以外に何もなかったのだ。私はあの人の愛が欲しくて尽くし、とうとうその愛が得られないので、こうして見限って、博麗の巫女様の元に駆け付けたのだ。今夜、見極めがついて、寝返ったのだ。それに違いない。あの人は博麗の巫女様に退治される。ざまあみろ。
え? 落ち着けって?
え? 自分の名前を言ってみろって?
はは! 自分の名前くらいすらすらと言うことは出来ますよ。ええ、私は落ち着き払っている。
私は優曇華院。
へへ、鈴仙・優曇華院・イナバ。
あの人が名づけてくれた名前だ!
※
「と、いうわけなんだけど」
「そう……うどんげの様子がおかしいとは思っていたのだけど」
永遠亭にて。
呆れ顔の霊夢の前に永琳は困った表情を浮かべていた。
そんな永琳の右腕には妹紅が、左腕に慧音が、背中から輝夜が幸せそうな顔をして抱き着いていた。
「永琳」
「えいりん」
「えーりん」
だらけ切った顔で抱き着く三人を気にしない永琳に、霊夢は大きくため息を吐いた。
「本当に好かれているわね」
「だって姫様は私の主だし、妹紅も慧音も今では私にとって大事な仲間よ。本当はうどんげもこうして仲良くありたかったけど、あの子避けるようにするから……うどんげはどうしたの?」
「面倒だから私の神社で気絶してもらっているわ。永琳。向き直って、心の底から話し合ってみたら?」
「そうするわ」
翌日。
永琳に抱き着く輝夜、妹紅、慧音の三人。
そして永琳の膝元に甘える鈴仙の姿があったそうな。
はい?
なんですか霊夢さん? 博麗の巫女様と呼ぶなって?
とんでもない。これから非力な私に変わってあの人を、退治して頂きたいのです。あの地蔵のような優しい笑みの後ろに、醜い欲望を隠し持っていたあの人を!
しかし私は弱いのです。情けない奴なのです。何度あの人を私の手で、やっつけようと思ったことか。どれほど歯をぎりぎり鳴らして手を震わせていたか。ところがあの人の顔を見ていると躊躇するのです。あの人は悪い人だ。でも、私はあの人の事を愛している。どれほど心から慕っていたか、誰にもわからないでしょう。
いえ、違うのです。私はとうとうあの人に見切りをつけて、ここに来たのだ。油断をすると、すぐ未練が口からあふれ出る。いけない。
はい、後悔などしません。思いっきりあの人をやっつけてください。すぐにご案内いたします。あの人は今夜も綺麗な女性たちを傍にはべらしているはずです。まるで成金が使い道のない装飾品を買い込んで、掌に並べてニヤニヤ笑うのと同じだ。趣味の悪い。そうだ。そんなあの人に、私は愛想を尽かせたのだ。
はい、はい。そうです。あの人とは私の師であります。
月の頭脳、とさえ呼ばれるあの人です。あの人は、この幻想郷でもどんな大妖怪にも引けを取らない、力と知識を持っていると思っているでしょうね。
しかしそれは大きな間違いでした。この地上で、あの人は、醜い欲望というものを知ってしまったのだ。なんて可哀そうな。いえ、同情などいたしません。故意ではないとしても、あの人は今まで尽くしてきた私を、踏みにじったのだ。
私が月を逃げ出して、行先を失い彷徨っていたのを拾ってくれたのは、あの人でした。
じっと睨むように私を見つめ、私を月からの、追手だと疑ったようでした。
その顔にどれほど恐怖を抱いたか、今でも忘れません。
私は深々と頭を下げ、あの人と、あの人の主君である姫様に対して、なんの敵意を持っていない事、もし私を受け入れてくださるのなら、このわが身を粉にして働く所存を、必死に訴えたのです。命がけとはこの事かもしれません。笑わないでください。大げさな表現をするつもりなどないのですから、どうか笑わず聞いてください。
何を言ったのか具体的に覚えておりません。あの人の顔に怯え、口の中が乾き、不愉快さを覚えながら、とにかく言葉にしていたはずだ。
するとあの人は、初めて笑ってみせたのだ。
「そうですか。貴女に私たちへ害をなす者ではないと分かり、安心しました。これからは私とともに姫様に仕えなさい」
私に敵意がないことを信じてもらえた嬉しさよりも、その笑顔に、私は心を奪われてしまった。なんて綺麗なお顔なのか。すべて演技だったのだ。全て私を試す演技だったのだ。しかし、本当のあの人のお顔は、全てを優しく包む、慈悲に満ちたもの。突然、振り返って抱きしめられたように思えたのです。
それからは、それこそ身を粉にするように、私はあの人に尽くしてきました。私は自分から願い出て、あの人の助手になったのです。姫様はそれはそれは綺麗な顔立ちで、多くの人間たちを、虜にしてきたという話に納得しました。でも私は、あの人こそが一番美しいと思ったのだ。この際はっきりと言ってしまいましょう。私はあの人のために奉仕してきたのだ。あの人が姫様の幸せを願うように、私はあの人の幸せを想っていたのです。
私が永遠亭に住み始めて、しばらくしてあの人は私を呼びました。
優曇華院。
名前を、くださったのだ。
「今日から優曇華院と名乗りなさい。この汚れた地上で綺麗な花が咲くように、そう生きていきなさい」
あぁ! その時どれほど涙が零れそうになったか、あの人も知らないでしょう。姫様と同じくらい、と恐れ多いことは言いません。しかし、この私めにも気にかけてくださる。その喜びは一晩過ぎても、一週間が過ぎても、一年が過ぎようとも、私の胸の中で跳ね続け、増々忠誠を誓ったのです。
そうして私は、自分の中に感じていた気持ちを、何故あの人に惹かれた理由を、知ることができました。
恋、でした。
笑わないでください。先ほども申しました通り、私は本気で、真剣に打ち明けているのです。そして、あの人への想いが薄くなる、いえ、あの人に心から慕っていたのに、踏みにじられたことを、私は訴えにきたのです。
博麗の巫女様が、異変を疑って、私たちを退治に来られた、その後です。
あの人は、ついに本性を現せたのです。醜い、欲望にまみれた真の姿を!
その朝、私は朝食を作り姫様を呼びに行ったのです。てゐは家事などしないから、私が一人で家事を引き受けているのです。いえ、嫌々しているわけではないのです。あの人に喜んでもらおうと、自分から引き受けたのです。
何も知らない私は、部屋の外から姫様を呼び、すぅーっと障子を開けました。驚愕しました。何故なら姫様と並ぶように、あの人も同じ布団に横になっていたのですから。
「あら、うどんげ。起こしにきてくれたの?」
あの人は眠たい目を擦りながら、にっこりと笑いました。あの人の愛おしい笑顔のはずなのに、私は心の中が曇っていくのを覚えました。
「もう姫様がわがままでね。久しぶりに一緒に寝たいと聞かないのよ」
まるで弁解するように、あの人はそう言うと、傍らで未だ夢の中にいる姫様の体を揺すって、起こそうとされました。
いや、あれは弁解だったのだろう。あの人と姫様は長いお付き合い、月の頃から一緒にいるんですから、そういう関係だったとしても、なんらおかしくはないのです。
私が驚愕したのは、そんなことに気が付かなかった自分自身なのでした。あの人を愛しているのは自分だけだと、信じて疑わなかった浅はかな自分を、恥じたのでした。
朝食が出来ているのを伝えると、私はすぐに部屋を離れました。
いつもと変わらぬ朝食の時間。幸せな日常の一コマ。しかし、私は味がしない朝食を噛みしめながら、情けない自分自身を苦く噛んでいたのです。思えばそうだったのだ。あの人はいつでも姫様のことを気遣ってこられた。姫様もあの人にはとびきり気にかけていた。それをただ主従の関係だと勘違いしていた、この自分の浅はかさを呪いました。そして、自分の恋が終わったことを悟ったのです。
それでもあの人は私にとって、大事な人に変わりはない。
そう心の中で、自分に言い聞かせながら、私は洗濯物を洗うことに集中していました。ただ衣類を洗うことでしか、私の中の気持ちを晴らすことが、できなかったのです。
自分の服を洗い、姫様の服を洗い、てゐの服を洗い、そうして私の指先が捕えたもの。それを見て、私は大きな勘違いをしていたことに気が付いたのです。
それはあの人の、下着でした。
私は両手で掲げ、まじまじと見ました。
あの人の下着を洗うことは、別にその日が初めてではありません。その日までも、何度もあの人が穿いた下着を、洗ってきたのだ。
お日様越しに下着を見つめ、私はふと思ったのです。恋仲でもない相手に、自分の下着を洗わせるでしょうか。いや、そんなことはないはずだ! ご自分の肌にもっとも触れる下着を、対して気にもかけていない者に洗わすなんて。私はそこで自分の勘違いに気が付いたのでした。姫様は家事などしません。いくら恋仲の相手がご自分の従者とはいえ、その者の下着を他の者に洗わせるでしょうか。そんなことはない!
私ははっとしました。自分は大きな勘違いをしていたのだ。あの人は姫様のわがままで一緒に同じ床についたと言ったではないか。なのに私は、一緒に横になるお二人を見て、早とちりとしたのだ。あぁ! どうして自分は愛する者の話す言葉を素直に信じることができないのだ! 私はやはり愚か者だ。
あの人に詫びるつもりで、私はあの人の下着をそっと自分の頬に寄せて、あの人に甘えるように、謝罪するように下着を肌で感じて、そうして丹念に、綺麗に洗ったのです。あの人は私の事を気にかけてくださっている、いや、私の事を特別な者として想っていてくださっている。私は再び元気を取り戻して、あの人に尽くそうと新たに想い直したのです。
霊夢さん。どうして笑い転げるのですか。真面目に聞いてください。私は、真剣なのです。
私はあの人への気持ちを取り戻した。
しかし、その後もあの人は、醜い本性を隠そうとせず、心から慕う私を増々踏みにじるのです。
その日から一週間が過ぎた頃です。
私は人里での薬売りを終え、永遠亭へ帰りました。帰ってからあの人に売り上げを報告して、そして干した洗濯物を取り込み、畳まなければいけません。私はすぐにあの人の部屋へ向かおうとしていました。永遠亭の門をくぐり、玄関に入ろうとして、見てしまったのだ。
縁側であの人が妹紅さんと並んで座っているのを。
妹紅さんは姫様と、長年竹林の中で弾幕勝負を繰り広げていました。しかし、霊夢さんに退治されて以降、妹紅さんと姫様の仲は親しくなり、今では友達と呼べるほどの仲になっているのはご存じでしょう。妹紅さんはよく遊びにこられるので、妹紅さんが永遠亭にいることに驚きはしませんでした。私が驚いたのは姫様ではなく、あの人と並んで座り、そうして親しげに肩を寄せ合うようにしていることでした。
私がその場で佇んでいると、私に気が付かないようなお二人は、何か親しげに言葉を交わして、そして妹紅さんが、あの人の片腕に寄りかかったのです。あの人も笑みを浮かべて、手の伸ばして妹紅さんの頭を撫でたのです。
大きな音がしました。驚愕のあまり、私は背中の薬箱を地面に落としてしまったのでした。その音にあの人と、妹紅さんが私に振り返りました。驚いたような顔をして。私は慌てて薬箱を拾うと、永遠亭の中へと飛び込みました。
あの人の診療室で薬箱を下ろすと、私は手を胸に当てて、鼓動を感じていました。私の心臓は速く、強く鳴っていました。何故、妹紅さんと親しくしているのか、まったくわからなかったのです。たしかに妹紅さんは姫様と仲良くなった。私もてゐも、あの人ですら妹紅さんと親しく言葉を交わすようになりました。でも、その腕に寄りかかり、幸せそうな笑みを浮かべるなんて、妹紅さんはあの人とどういう関係なのだろうか。あの人も、戸惑うわけでもない、妹紅さんに寄りかかられて、優しく頭を撫でるなんて、一体全体、あの人は誰を愛しているのだ。姫様だって、そう思うだろう。同じ床で寝るのを願うほど想う人を、仲良くはなったとはいえ、ついこの間まで憎しみ合っていた者に、取られるなんて許せるものだろうか。私は許せない。
しばらく呆然としていると、あの人が部屋に入ってきました。妹紅さんは帰ったそうだ。私はあの人に訊ねました。どうして妹紅さんと、そんなに親しくできるのかと。あの人は私の問いに、少し驚いたような顔をして、そして悲しむように言うのです。
「うどんげ。もう、私たちと妹紅は争う関係ではないわ。これからは親しく付き合える仲間よ。うどんげ、貴女は妹紅のことが嫌いなの?」
私は驚きました。まるで私が異端者のような口調に、驚き、悲しくなりました。あの人も私を察してか、両手を広げて私を抱きしめようとしました。私はそれを、拒みました。今までも、何度かあの人は私を抱きしめようとしたことがある。しかし、私はあの人の助手なのだ。まだ、まだあの人の伴侶になるには、力が足りない。その度に、私は適当に誤魔化してきたのだ。いつかあの人に認められるほど力をつけて、私からあの人を抱きしめられるように。それまで、私は我慢を続けていたのだ。ほいほいと、軽い気持ちであの人に寄り添う妹紅さんに、私は軽蔑していたのだ。
私は洗濯物があるので、と適当なことを言い、あの人から逃げるように庭へ出た。そしてうさを晴らすように洗濯物を籠に放り込んだ。すると、私の手の中にあの人の下着が入った。愛おしいあの人の下着。あの人が私を想ってくださる証。しかし、姫様に続いて妹紅さんにまで、そのお体を易々と委ねるあの人の下着に、今さらなんの感情が湧きましょうか。あの人は、やはり姫様と関係を持っているのだ。そればかりか妹紅さんとまで、恋仲であろうとするのだ。
私の中で憎しみが、今まで慕ってきた気持ちが憎しみとなりました。あの人の下着を糠床にぶち込んで、茶色に染めて、笑ってやろうかとも思いました。
しかし、どうしても私の頭の中で、あの人の笑顔が、初めて見せた笑顔が、名前を下さったときの顔が浮かんで、私はあの人の下着をやっぱり丁寧に畳んでしまうのでした。
それからさらに一週間が過ぎた頃、つまり今日です。ついに、私はあの人に、愛想を尽かせたのだ。
あの人への想いが、薄らいでいました。すでに私は、あの人の本性を知ってしまったのだ。あの人は姫様も、妹紅さんも、まるで自らの醜い欲望を満たす道具のように、思っているのだ。あの人には寄り添ってくる者が皆、自分を愛してやまない者だと思っているのだ。心の奥から愛しているのは、私だけだというのに。この地上に落ちて、あの人は恋というものを、愛というものを勘違いしているのだ。あぁ、早くその勘違いを正さねばならない。本当の恋心をというものを、私のような者だが、教えなければいけない。
夜の事です。私は覚悟を決めてあの人の部屋へ行ったのだ。
失礼いたします、と部屋の外から声をかけると、中からあの人が「どうぞ」と返事をした。一つ深呼吸をした。私はあの人の従者だ。あの人に説教などと、思い切った事を出来る身分ではない。でも、言わなければならない。どうぞ、ご自身の身の振い方を見直してください。貴女を真に愛しているのは、この私なのだと。
私は意を決して障子を開けた。そして、見てしまったのだ。
部屋の中にいるあの人を。そして、あの人に寄り添う慧音さんを。私は狂気に包まれて、食べたばかりの夕食を、その場で吐いてしまいそうになりました。
私の中で、全てが、あの人への想いが完全に崩壊してしまった時でした。
何用か問いただすあの人に構わず、私は食って掛かるようにあの人に訊ねました。慧音さんとは、どういう関係か。貴女はいったい誰を愛しているというのか。
あの人は平然と答えました。
「誰を愛しているって……慧音は私にとって大事な親友の一人よ。こうして親友と仲良くすることが、どうして貴女をそんな怖い顔にさせるのか、私には理解できないわ。うどんげ、どうしてそんな顔をするの? もう、妹紅と憎しみ合っていた過去は終わったのよ。妹紅も慧音も、姫様と仲良くなり、醜い争いは終わったの。うどんげ、貴女はまるでそれを望まないようにみえるわ」
あぁ。あの人はまるで私が大悪人のように、苦々しい顔で言うのだ。私の想いなど、まるで知らんぷりだ。
あの人の後ろの障子が、音を立てずに静かに開いた。そこにいたのは姫様と妹紅さんだった。永遠亭に遊びに来て、妹紅さんは姫様と囲碁を打っていた。仲良く囲碁で遊ぶ妹紅さんを見て、妹紅さんとあの人の関係など、姫様とあの人の関係も、私の思い過ごしかと思っていたのだ。そう思い込もうとして心の平衡をぎりぎり保っていたのだが、お二人の顔を見て、それすら崩れ去った。姫様と妹紅さんは、私に構わずあの人に近寄ると、妹紅さんは慧音さんと反対の腕に寄り添い、姫様はあの人の背中に甘えるように抱き着いた。
私は知ったのだ。
あの人の本性を。
私は今まであの人に尽くしてきたのだ。奉仕してきたのだ。心から愛してきたのだ。
なのに。あの人はそんな私の気持ちを汲み取ろうとせず、あの人のことを想い、伴侶として相応しいようになるまでこの胸に隠し通してきた私を想うことなく、私の気持ちを踏みにじり、軽い気持ちであの人に近寄るような女性にうつつを抜かす、淫らな、情けない、欲情にまみれたあの人の本性を知ったのだ。
私は永遠亭を飛び出して、こうして博麗の巫女様の前にやってきたのです。
あの人は、酷い。酷い。悪い奴だ。
今まで私は身を粉にして尽くしてきた、奉仕してきたのだ。
私は誰よりもあの人のことを慕っている、愛している。だか、その愛も、報いなければなんてことはないのだ。それが悔しくて堪らない。
あぁ! なんて可哀そうなのだ、あの人は。姫様も、妹紅さんも、慧音さんも、あの人のことを心から愛してはいないはすだ。いや、愛しているとしよう。でも、三人も同時に恋仲でいようと思うなんて、あの人は地上に落ちて、欲情というものを覚えてしまったに違いない。あぁ、助けたいのだ。欲情が自身の身に為になった話はないはずだ。あの人を救いたい。
霊夢さん、どちらへ行こうとされるのですか?
え? あの人の元へ行こうとされるのですか?
はは、待ってください。退治されるべきは私なのだ。醜い嫉妬に包まれた私なのだ。私がいなくなれば、あの人は幸せになるだろう。私に気を遣うことなく、思う存分欲望に身を委ねられるだろう。
聞こえないのですか? あの人を退治するのはやめろ!
いえ、なんでもありません。私は嘘を吐いてしまいました。そうだ。私はあの人を退治して欲しくてここにやってきたのだ。忘れてはいけない。私はあの人に愛想を尽かせたのだ。今までのあの人の奉仕は、結局あの人を楽にさせただけで、それ以外に何もなかったのだ。私はあの人の愛が欲しくて尽くし、とうとうその愛が得られないので、こうして見限って、博麗の巫女様の元に駆け付けたのだ。今夜、見極めがついて、寝返ったのだ。それに違いない。あの人は博麗の巫女様に退治される。ざまあみろ。
え? 落ち着けって?
え? 自分の名前を言ってみろって?
はは! 自分の名前くらいすらすらと言うことは出来ますよ。ええ、私は落ち着き払っている。
私は優曇華院。
へへ、鈴仙・優曇華院・イナバ。
あの人が名づけてくれた名前だ!
※
「と、いうわけなんだけど」
「そう……うどんげの様子がおかしいとは思っていたのだけど」
永遠亭にて。
呆れ顔の霊夢の前に永琳は困った表情を浮かべていた。
そんな永琳の右腕には妹紅が、左腕に慧音が、背中から輝夜が幸せそうな顔をして抱き着いていた。
「永琳」
「えいりん」
「えーりん」
だらけ切った顔で抱き着く三人を気にしない永琳に、霊夢は大きくため息を吐いた。
「本当に好かれているわね」
「だって姫様は私の主だし、妹紅も慧音も今では私にとって大事な仲間よ。本当はうどんげもこうして仲良くありたかったけど、あの子避けるようにするから……うどんげはどうしたの?」
「面倒だから私の神社で気絶してもらっているわ。永琳。向き直って、心の底から話し合ってみたら?」
「そうするわ」
翌日。
永琳に抱き着く輝夜、妹紅、慧音の三人。
そして永琳の膝元に甘える鈴仙の姿があったそうな。
面白いパロディでした。
巻き込まれちまったなw