「レミィ、クジラを狩るのよ」
知識の魔女の言動には不可解な点が多い。
無論最終的に行き着く先を確認すればそれはレミリアにとって利益となることが多いのだが、この魔女はとかく自分の頭の中で話を完結しがちなのである。
軽い頭痛に顔をしかめた後、レミリアは優雅にティーカップをソーサーの上へ、ティーセットをティーテーブルの上に戻して深呼吸をし、数十年来の親友を見やった。
「パチェ。私にも理解できるように話を進めて頂戴」
「十分分かりやすく説明したはずよ。五歳児だってわかるわ。……ああ、ルーマニアは捕鯨反対国ですものね。レミィの気持ちはよくわかるわ。でもね、イルカに人権を与える? ハッ、本気で言っているのかしら? だったら賃金のないイルカに生活保護を支給し、役所で住民登録し、選挙権を与えるというのかしら? ちゃんちゃら可笑しいわ。それでイルカが選挙に立候補して当選したらルーマニアはイルカに統治されるのかしらね?」
「パチェ、ここは幻想郷よ。ルーマニアのことはどうでもいいの。……で、クジラって?」
「霧の湖にクジラが現れたそうよ」
ほう。レミリアは若干の興味を惹かれたことを隠せなかった。
レミリアのこれまでの人生は海とは程遠いものだった。なにせ吸血鬼は流水を渡れぬ。そして海とは巨大な流水である。
人類の母なる海は、既に人外の存在と成り果てたレミリアにとっては毒でしかないのだ。
だからレミリアは己の手の届かぬものとして、海に住まう者たちへ向けて、愛しき空想の翼を羽ばたかせるのであるが……。
「クジラか」
「そう、クジラよ。人類の発展はクジラと共にあった。これは語る必要もないことではあるのでしょうが――」
「いや、それはパチェにとってだけに過ぎぬ話だよ。説明を頼む」
そうことわられたパチュリーの顔には一瞬侮蔑の色が浮かび、その後に恥じるように顔を赤らめた。
これだ。
こういうところがレミリアは好きなのである。
己が秘めた知識は他者の比ではないという絶対の自信を持ち、それが事実であるがゆえに感情的に他者を見下し、しかし他者を見下すという行為を理性で恥じるなんてアンバランスさはまさしく人間のそれだ。
一端の魔女を気取ったとて、パチュリー・ノーレッジはいまだ人間という殻を脱ぎ捨てるには至らない。そんなパチュリーがレミリアにとってはたまらなく愛しいのである。
「クジラという素材は万能です。無論、外界では代替素材が数多開発されてはいますが、幻想郷――とりわけ人里の科学力は未だそこまでの水準に達していません」
ティールームに突如現れたホワイトボードにクジラの絵を描き、ここはこう使う、あれはこう使うと図解入りで解説するパチュリーによれば、なるほど。クジラという素材には捨てるところが見当たらない。巨大なエナメル質である歯、エステルとして工業的に有用である脳油。これだけに焦点を当ててみても、クジラが幻想郷で稀有な素材であることは一目瞭然であった。
レミリアはホワイトボードに踊るクジラに眼をやった。パチュリーの無駄に上手いクジラのイラストはレミリアを不機嫌にさせる。
レミリアには芸術的な感性はまったくのゼロである。
「ミス・スカーレット。いくら貴女が強大な力を持つ吸血鬼だとて、力だけで安寧を維持することはできません。健全な社会――いえ、家庭を維持するには富が必要です」
パチュリーが解説を社会から家庭に絞ったのはレミリアの現在の権力を揶揄したものか、それとも今の紅魔館の姿を讃えたものか、レミリアには区別がつかない。
なにせ説明モードに入ったパチュリーは莫大な知識をこれは説明する、しないのふるいにかけることに没頭してしまい周囲に注意を払えなくなるため、口調そのものを魔術で丁寧語に変えてしまうのである。
「現在の紅魔館の統治領域は霧の湖一帯。吸血鬼異変によってそう定められました。ですが吸血鬼が水中に対して支配力を広げられないのは周知の事実。故に庇護を訴えて年貢を納めさせるというこれまでの貴族のやり方は通じません。これはあなた自身もよく理解しているでしょうが」
「ああ、嫌というほどね」
故に紅魔館には農耕メイドや採集、採掘といった任務に着く遠征メイドなどがローテで組まれている。のだが……これらからの収入は実のところかなり心許ない。
まあ、実働が実質一名である以上、採算が取れないのは当たり前なのだが。
息を吐くレミリアを前に、パチュリーはホワイトボードに描かれたクジラの腹にキュッと紅い矢印を一本描き加えた。
「なので別の手段で貴女は富を得る必要があります。他人にはできない手段、すなわち競争相手がいない商品は武器になりますね。捕鯨は幻想郷にはない文化。クジラの商品としての有用性を鑑みれば、十分とは言わないまでもそれなりの利益をはじき出すことができるでしょう」
そこでほう、と一息ついたパチュリーは、いつの間にか自分の為に用意されていた紅茶を一気にあおった。
早口の説明で喉が渇いていたのである。
「兵は神速を尊ぶ。ぐずぐずしていたら外界を知る守矢に油揚げを攫われかねません。いえ、彼女たちならばクジラを山の湖に攫っていくぐらい平気でやるでしょう。そして彼女たちがクジラを狩り、捕鯨文化の魁となるでしょう。そんなものを指を咥えて見守るお心算ですか? ミス・スカーレット」
「馬鹿を言うな。文化の魁は常にこの紅魔館、レミリア・スカーレットでなくてはならない。そうだろう?」
「そう、社交界で華を失った貴族は哀れなもの。貴女がやるのよ、レミィ」
華を、失っただと?
冗談じゃないとレミリアはいきり立った。
「……いいだろう。やってやるさ」
「そう、そうこなくては私のレミィではないわ」
これだ。
こういうところがパチュリーは好きなのである。
安楽椅子で胡坐をかいている王など不要。それは己の任だ。故に真逆。己が力を貸す相手、押し上げるべき相手は自らが先頭に立って道を切り開くことができる鋭鋒でなくてはならない。
時に稚拙にして盲目。安い挑発に自ら進んで乗るようなレミリアにはしかし突撃槍の如き鋭さがある。そんなレミリアがパチュリーにとってはたまらなく愛しいのである。
「状況を説明しましょう。現在霧の湖に展開しているクジラは十三匹。このうち十二匹はまだ幼体。狩るには値しません。故に全長20mのこの成体、ただ一体がミス・スカーレットの相手となります」
「一体だけ、か」
いささか落胆の意が篭った相槌に、パチュリーは険のある視線を返した。
咎めるように口を開く。
「ですが相手は海の王。現在この一体は湖のわかさぎびとたちをまとめ、独自の勢力範囲を築きつつあります。油断は禁物ですよ、夜の王」
「分かっている。水中の相手でもあるしな」
「よろしい。船はこちらで用意します。準備が完了したら連絡を入れますので、それまでに心身のストレッチを済ませておくといいでしょう」
真っ向クジラ ――あなたとわたしのミゼラブルフェイト――
「パチェ! あれは一体どういうつもりだ!?」
バンと紅魔館地下大図書館の扉を蹴破ったレミリアの形相たるや、まさしく鬼のそれである。
荒々しく紅の絨毯を踏みつけて迫るレミリアを前に、しかし図書館の主は微塵も動じない。
「どういうつもり、とは?」
「目が節穴になったか? それともついに脳みそがカビと埃に汚染されて灰色になったか? ……ええい、来い!」
怒りに顔を染めた吸血鬼は颯爽と書生をお姫様抱っこすると、かつてのロケット発射口だった天井をぶち抜いて地上へと帰還する。
その蛮行に胸中の書生が顔をしかめたが、そんなことなど知ったことか。
なにせ、
「説明してもらおう! あの小舟はどういうことだ?」
「何かおかしい点があるかしら?」
「おかしいも可笑しいだろう!? あんな3m程度のボートで、どうやってクジラを狩れと言うのだ!」
そう、紅魔館上に浮遊するレミリアの眼下、湖の桟橋に佇む咲夜の横に係留されているのは――どう見ても手漕ぎボートである。
それを捕鯨船と呼称できるなら死神の船だってタイタニックであろう。道士の磐舟だって戦艦に成ろうや。
巨大な船で威風堂々と討伐に乗り出すと思っていたレミリアからすればこんなもの、可笑しさの集大成でしかないではないか。
「こちらには貴女という最強の銛があるから武装は不要。青鮫がいるわけでもなし、討伐後は曳航してくればいいでしょうに」
「それは……そうだけど、しかしボートはないでしょ? もう少しマシな船を用意してくれてもいいじゃない」
「貴女一人で操船できる船なんて、せいぜいボートくらいでしょう? ……レミィ、いったい何が不満だというの」
レミリアは頭を掻き毟る代わりに、パチュリーを抱く手にギュウッと力を込めた。
「パチェ、貴女は私を勝たせる気があるの?」
「正直なところ、そこは完全に貴女次第ね」
「なぜだ!? なぜ必勝を期さぬ! お前らしくもない!」
「落ち着きなさいレミィ。羽が焦げているわ。まずは一旦地上に降りましょう」
相手の沈着ぶりは気に食わなかったが、確かに今はお日様燃ゆる霜月の昼。
不承不承ながらも桟橋前に着地すると、パチュリーが魔法で熱帯植物をするりと生やし、傘と広がった巨大な葉を一枚茎ごと切断してレミリアに手渡してくる。
「今後のことを考えてみなさいな、レミィ。確かに数多の人数を投入すれば捕鯨は確実に成功する。しかしそれでは同時に人間が数でクジラを狩ることを覚えてしまう」
「……それで?」
「つまり、次の捕鯨は人間にも可能となる。捕鯨をおおっぴらに禁じるのはクジラの有用性を知った里人の反感を招く。特権は妬みを生む。だから貴女は里人の捕鯨を許可せざるを得ない。そして彼らは巨大な船を用意し、クジラを狩りに来るでしょう。そして抗議する貴女にこう言い放つでしょう。『当主、御自身は巨大な捕鯨船でクジラを狩りながら、我らがそれを成すのを非と仰せられるか?』と」
「……」
「それを防ぐには貴女は一対一でクジラに勝利しなければならない。そうすることで貴女は『これは狩りではない、管理者が取り決めた決闘なのだ。クジラとの決闘に勝利したものこそがクジラを制することができるのだ』と言い放つことができる。決闘は幻想郷においてもっとも広く同意を得られている問題解決手段。故に捕鯨における優位性を紅魔館が維持することができる。先駆者が、規格を作るのよ。分かって?」
レミリアは押し黙った。パチュリーの言うことはあまりにもっともであったからだ。
『誰でも捕鯨ができる』状況を作り上げてしまっては意味が無い。
紅魔館こそが唯一捕鯨を成せなくては、紅魔館はただ新たな素材を人里に知らしめただけで終わってしまう。
ならばレミリアは単独であれと相対しなくてはならない。そしてレミリア一人で挑む以上、船はレミリア一人で操船できるものでなくてはならない。
アヒルさんの足漕ぎボートでなかっただけまだマシだと言わざるを得ないだろう。咲夜なら絶対あれを用意したはずだ。
「やめる? 嫌ならやめて、捕鯨を守矢に譲ってもよろしいのよ? 紅魔館の主は間違いなく貴女。紅魔館の行く末を決めるのも貴女なのだから」
チラ、とレミリアはボートを見やった。
その横で所在無さげに佇むメイドがやや困ったように目を伏せる。
それが主を危険にさらす己を恥じたものか、それとも別の感情を隠すためなのか、レミリアには見当がつかぬ。
だが、
「いいや、やるとも」
レミリアは決断した。
紅魔館の台所事情が厳しいのは事実なのだ。咲夜はなにも言わないが、僅かな収入でやりくりしている咲夜にとってそれは大きな負担となっているに違いない。
部下に負担を強いて何が貴族か。領地の安定を維持できずして何が王か。
ほかの誰が許したとしても、レミリア自身が無様な自分を許すことができない。吸血鬼の業はカリスマの具現化なのだ。
それを失った時、吸血鬼は――レミリアは死して灰燼と還るのである。
そして、レミリアには塵芥と成り果てるつもりなど毛頭ないのだから。
「天候操作、開始するわね。湖を文字通り霧の湖へと変える。視界は悪くなるけどこれなら日光を気にせずにすむでしょう」
「任せる」
親友に一言残して、桟橋へ歩みを進める。
桟橋では従者が恭しげに頭を下げ、次いで足元に置いてあった小包みをレミリアに手渡してきた。
軽く中身を確認する。防水の為にビニールに包まれていてよくわからぬが、それが食料の類であることだけは辛うじて把握できた。
「ご武運を」
「うむ」
ボートの上に腰を下ろして櫂を手に取り、それを櫂杭にあてがって二三、軽く位置取りを確認する。
レミリアの身長、腕の長さにあわせて作られたであろうそれは――それが頼りない小舟であることを除けば――申し分なく、レミリアはまるで腕の延長のように櫂を操ることができた。
それを確認した咲夜がボートを桟橋に繋ぎとめていたロープを解いて、繋船柱から開放する。咲夜はロープを引き上げた。
レミリアが戻ってくる場所はここしかないのだし、舟内にも一応、予備のロープがある。
レミリアがぐるりとオールを動かすと自由を得たボートがゆらり、と霧の湖へと漕ぎ出していく。
レミリアは咲夜を見た。まるで今生の別れのような表情を浮かべている。
ばかめ。そのような顔をする奴があるか。レミリアはそう言って笑い、オールで水をかきわける。
夜の王を乗せた小舟はあまりにも、そう。
海の王を相手にするにはあまりにも頼りなく見えた。
「お嬢様、どうか、どうかご無事で」
そんな呟きは知識の魔女が展開した霧の微粒子と揺れる水面に阻まれ、主の元へと届くことはなかった。
◆
霧の湖の上に一人、レミリアは耳をそばだてながらオールをゆっくりと漕いでいた。
水面はひっそりと平らだった。ただレミリアが進んだ後に、小さな航跡が残るのみで、それ以外はただただ平らな、白い世界だった。
この濃霧では目視など何の役にも立たぬ。だから耳だけが、レミリアの安全を確保してくれる。
無音だった。だから世界はレミリア一人のものだった。世界にはレミリア一人しかいなかった。
それに気がついたとき、レミリアのオールを操る手が制止した。
真っ白な世界にただ一滴だけ落とされた赤は、周囲を染め上げることなくただただ圧倒的な白に呑まれて消えていく。
何を馬鹿な。レミリア・スカーレットはコールタールを塗りたくったような暗闇の中にあってなお紅く燃え上がる夜の王だ。黒をも紅く染め上げる紅がどうして、無垢なる白になど呑み込まれようか?
そう胸中で呟いてみても、レミリアは自らの身体を駆け上がる悪寒を抑えることができなかった。
レミリアは海を知らなかった。レミリアは船を知らなかった。
大洋の中にただ一枚の木っ端のように揺れる体験を、レミリアは知らなかった。
吸血鬼は夜の王ではあったが、海の王ではない。
ひょう、と冷たい風がレミリアの背中をさすった。
オールを漕いでいる時は心地よかった風は今、冷たくレミリアの背中を濡らしている。
ばしゃり。
背後で響いた水音にレミリアは過敏に反応した。慌てて振り向いた為に舟がぐらりと揺れ、その揺れを抑えるためにレミリアはその音源に視線を向けることができなかった。
なんという迂闊、本末転倒。舌打ちして、レミリアはオールの柄を強く握り締めた。
今の水音は何だ? 敵の斥候か? それとも通りすがりのわかさぎびとか? チルノが氷塊を投げ込んだ音?
「ええい、ままよ」
レミリアは大声を発した。いや、正確には声ならぬ声を発した。
レミリアが作り上げた波、世界を揺るがす波は周囲へと拡散し、水面にて反射し、その一部が水中へと伝播していく。
レミリアは落胆した。反響がないということは、既に先ほどの音の主はもうレミリアの近くにはいないということだ。
レミリアの反響定位は失敗に終わった。小さくかぶりを振って再度オールを手に取った、その、瞬間。
『こんにちわ』
危うくレミリアはオールを取り落としそうになった。
声ならぬ声。水底から響いてきたそれは人の可聴域をはるかに超えた超音波。
敵もまた反響定位にて相手の位置を捕捉する生物であったのだ。
己の位置を迂闊に敵に知らせてしまった愚かさに歯噛みし――そして、レミリアはもはや隠すは不要と魔力を開放した。
『ハーレムに加わりに来た、わけではないようですね』
私は貴様を狩りに来たのだ。
そう返したレミリアは小舟の上に立ち上がると、右手に魔力を集め始める。
血の色を思わせる濃厚な朱が渦を巻いてその密度を増し、やがて細長い真紅の殺意へと姿を変える。
それは必中の運命。スピア・ザ・グングニル。狙った獲物は、必ず貫く。
『何か、気に障ることをしましたでしょうか?』
貴様は何も悪くない。
ただ、私たちが生きるために貴様には死んでもらわなければならない。それだけだ。
『なるほど、理解いたしました』
ならば大人しく肉になれ。
大人しく私たちの血肉となれ。
大人しく私たちの生活を彩る材料となれ!
『しかし……そのような小舟では流石に危ないのではないでしょうか?』
気遣いと忠告、いたみいる。
だがこちらにも都合というものがあるのだ。
遠慮は不要。さあ、奥義の限りを尽くして抵抗するがいい!
『……では、全身全霊でお相手しましょう、狩猟者よ』
吸血鬼、レミリア・スカーレットだ。名乗れ。
『マッコウクジラ、名前はまだないので――ああ、そういえば霊夢様が私を「でかぶつ」と呼んでいたので、ではそれで』
『そう思います。さて、そろそろ始めましょうか。海の藻屑となりなさい、紅い悪魔よ』
海の藻屑だ?
笑わせる。
勝つのは私、レミリア・スカーレットだ。
そして、
「散るのは貴様のほうだ! G.T.!!」
◆
分厚い水の絨毯を押し退けるかのように水上に姿を現した巨体に、レミリアは一瞬にして心を奪われた。
湖面に突き出された真っ黒な体躯。どこかの黒い魔女とは比較にもならぬ、曇りなき黒一色に染め上げられた闘志、気迫。
全長二十mを超える天然の潜水艦艇。自然が生み出した最強の海戦力はただただ圧倒的なまでに力強く、そして美しい。
これこそが敵だ。これこそが紛う事なき海の王だ。
これと相対することに歓喜を超え、狂喜を超えて抱いた感情、その感情を、
「うっおぉぉおおおおおおッ!!」
叩きつける。
右手から放たれたレミリアの殺意は一直線に宙を切り裂いて走り、湖上に躍り出たクジラの横っ腹に突き刺さった。
だが、
「一撃では駄目か!」
相手は全長二十mを超える巨体だ。それを前にしてはレミリアが放つ槍など、針とは言わぬまでも釘の一刺しに過ぎぬ。
クジラは苦悶の声を上げなかった。ただ湖上で揺れる小舟とレミリアを一瞥すると、再び無言で湖中へと戻っていく。
「! 逃がすか!!」
じゃらり、とレミリアは鎖を引き絞る。グングニルの石突きに連結された鎖だ。
グングニルには返しがついているから、どれだけ力強くそれを引っ張っても槍が抜けることはない。
そしてレミリアは幼女の外見にして、大人数十人が束になっても敵わないほどの怪力を誇るのである。
「捕らえた」。そう確信し、笑みを零したレミリアは――
「……おのれ」
自身の読みの浅さに舌打ちせざるを得なかった。
ここはレミリアが堅と足を踏ん張って力を込められる地上ではない。水上。木っ端のように揺れる小舟の上だ。
こうも頼りない足場であの巨体と綱引きなどと。しかも相手は船上のレミリアとは異なり、自分がもっとも得意とする戦場にいるのだ。
あまりにも甘い目論見、楽観視が過ぎた。
流水を渡れない吸血鬼は一度舟がひっくり返ったら最後、湖底へと沈んでいくしかない。
そして水中で吸血鬼があんな生物進化が作り上げた戦艦に敵うはずもない。
パキンと魔力で構成していた鎖が割れて、千切れた。両者の怪力に耐えかねた、それだけではない。
吸血鬼は流水を苦手とする。当然、吸血鬼の魔力もそうだ。鎖を構成していた魔力が水中で崩壊し始めて強度を失ったのである。
手綱を断ち切った巨体が再び潜水していく。それをレミリアは手を拱いて見ていることしかできない。
「相手が湖上に上がって来ないと勝負にならないか……クソッ!!」
千切れた鎖を魔力へと還し、レミリアは唇を引きつらせる。
相手は舟をひっくり返すだけでレミリアに勝利できる。
一方でレミリアのほうはあと数本はあの巨体に槍をぶち込まねば勝利は得がたいだろう。
なのに吸血鬼の魔力は流水に非常に弱いから、相手が湖面まで浮上してこなければレミリアの槍は敵を穿つことができない。
「迎撃戦になるな、これは」
空に舞い上がろうとして、それが不可能であると――予想はしていたが――理解し、落胆したレミリアは低く、そう呟いた。
吸血鬼は招かれなければ相手の領地を訪れることができない。
これまで自身の領地だったからこそ自在に空を往くことができた湖上。そこで王たるレミリアが舞い上がることもできない。
それ即ちこの湖がレミリアではなく、G.T.の領地になりつつある証である。
「調子に乗るなよ……というのは驕りよね、流石に」
レミリアは苦笑した。
斯様な湖上の一葉たるザマで吠えるなど無様もいいところ。
それに言葉で語る時間など、もうとうに過ぎたはずだ。
生き残ったほうが好き勝手に罵倒すればいい。殺し合いとはそういうものだ。
レミリアは手桶を手に取ると、先ほどのクジラのダイブで巻き上げられ、小舟に流れ込んできた水を汲み出しはじめた。
そしてあらかた排水が終わると、今度は足下からロープを取り出し、それを四等分に切断した。
それの端をオールと手桶、咲夜からの小包に結わえ、もう一方の端を櫂杭に結わえ付ける。
万が一転覆した時にこれら――特に手桶を失っては、沈没からの敗北という失態に繋がる可能性があるからだ。
最悪に備えての準備を終えたレミリアは舟縁から身を乗り出して湖面を覗き込む。
「どうしたG.T.、攻めてこないのか? 私はここにいるぞ」
返事はない。
もしかしたら敵方はレミリアからの追撃がない事から、レミリアが対水中攻撃を苦手としていることを察したのかもしれない。
無駄でも、威嚇の意を込めて槍を放っておくべきだったか? そう己に問うてみても、答えなど返ってきやしない。
正しい勝ち方というのを最初から知っていれば楽なものだ。
そうレミリアは嘆息し、咲夜が手渡してきた包みの中を漁り始めた。やがてそこにウィスキーボトルが梱包されているのを確認すると、迷うことなくその封を切ってグビリと中身を喉に流し込んだ。
◆
次なるG.T.の攻撃は熾烈を極めた。
レミリアがウィスキーボトルを小包に戻してから10分後のことである。
何が起きたのか。それを理解する前にレミリアは上下左右も分からなくなるほどの勢いで虚空に投げ出されていた。
「くそっ!?」
一瞬の自失に陥っていたレミリアの目に映ったのは、宙を舞う小舟。
そして何より海面と垂直にそそり立つ、G.T.の黒い勇姿であった。
勢い余って尾びれまでもが湖上に姿を見せるほどの跳躍。
G.T.は湖底からレミリアの小舟目掛けて一直線に最大戦速で垂直浮上し、そのままレミリアを小舟ごと空へ跳ね上げたのだ。
レミリアは自失から立ち直った。だが空を飛べない以上、このまま落下することしかできる事などない。
いや、馬鹿な。
何を言っているのだ。敵の胴体が無防備に目の前にあるではないか! あれを今撃たずしていつ撃つというのか!?
即座に両手に魔力を集中し始めるが、なにぶん咄嗟の事。魔力の収束が遅い。
神槍に至らず、心槍止まり。だが撃たぬより撃つほうが何十倍もマシだ。
「……っかぁああああ!!」
右から一発、左から一発。
二本のハートブレイクがG.T.の背中に突き刺さり、鮮血が珠となって宙を舞う。有効打。手ごたえはあった。
だが、レミリアには喜んでいる暇などなかった。
歯を食いしばり来るべき衝撃に備えるが、
「!ッ!!」
ゴバリ、と苦悶の声の代わりに泡が零れる。
流水――流れる水に叩き付けられた時の衝撃は、幻想郷に来てから長らく遠ざかっていた死への恐怖を再びレミリアの内に喚起してくれた。
目も眩むような苦痛。弱点以外では傷つくこともないレミリアの肉体はしかし、だから弱点に対しては酷く敏感だ。
とは言え、痛みに竦んでいるわけにはいかない。早く水上に戻らなければ。だが――
――どっちが湖面だ!?
高高度から勢いよく落下したせいでかなりの水深まで沈んだらしく、どこへ向かって泳げば湖面にたどり着くのかがわからない。
上か? 下か? それとも左右に湖面があるのか?
それすらも分からずにただもがいていたレミリアはしかし、次の瞬間には激しい衝撃と共に再び水上へと戻っていた。
――助けられた?
それが勘違いであることに気がつくまでに大した時間はかからなかった。
胸元に凄まじい激痛を感じてチラリと視線を落としてみると、なぜかレミリアの胸から下が丸々失われている。
先の衝撃。G.T.が繰り出した尾びれの一撃で胴を真っ二つに引き千切られ、そのまま勢い余って吹き飛ばされたのだ。
「……だが、助かった」
G.T.は失態を犯した。
レミリアからすれば胴を引き千切られるよりも水中に押し込められているほうがはるかに痛手。湖中から弾き出されるなんて幸運すぎるくらいだ。
さあ、同じ失敗を二度繰り返すわけにもいかないだろう。レミリアは雄叫びを上げて反響から己の位置を確認する。湖面は頭上にあった。
即座に上に視線を走らせ、その先に転覆した小舟を捕らえると即座にチェーンを射出。
小舟に突き立ったそれを一気に巻き上げて、何とか小舟の底へと取り付く。
「ガハッ……ハァ……ハァ、なんとか、戻って、これたか……」
即座に胸から下と服を再生し、舟底から飛び降りる。
またしてもの流水に眩暈を覚えるが、いつまでも舟底にいては舟をひっくり返せない。
ざばんと舟を戻して腕一本で身体を舟上へと引き上げる。見れば結び付けておいたのが功を奏したようで、備品はどれも失われてはいないようだ。
『頑丈なのですね』
湖中から響いてきた声に――多分相手には見えないのだろうが――皮肉げな表情で肩をすくめてみせる。
「親友の作でね、魔法で補強されているんだよ。小舟と言えど破壊できると思わないことだ」
『いえ、貴女が。想像以上の化物のようだ』
レミリアは笑った。
相手は強大ではあるが自然の生き物なのだ。幻想郷には化物しかいないから、つい自分が自然からみれば化物であることを失念してしまう。
だが、ならばその化物と互角に相対しているこのでかぶつも十分に化物である。
なるほど、だからレミリアは笑っているのだ。
これはただの野生生物に過ぎない一個体が鬼と相対する、言わば鬼退治の英雄譚に違いないのだから。
久しく忘れていた昂揚。あの土着の小鬼、酔っ払いのジャリが聞いたら嫉妬に狂って顔を歪めるに違いあるまいよ。
「さあ、」
いいぞG.T.、貴様に人権をくれてやる。
だから私の願いを叶えてくれ。
真っ向勝負。鬼が恋焦がれてやまない願い。人と鬼との生死をかけた正面決戦を続けようじゃないか!
「撃ち抜くッ!」
ハートブレイク、眼前に五本展開。それらを遊弋する影に向けて順次投擲していく。
黒影が視認できる程度まで浮上している今なら、辛うじて痛痒を与えられる程度の効果は見込めるはず。
だろうにその黒影は心槍に怯まない。速度を落とすことなく水面すれすれで弧を描き、そのまま小舟の横っ腹目掛けて一直線に突っ込んでくる。
それが全速力であるのは湖水を切り進む頭部が半ば水上へ浮かび上がっている様からも明らかである。
レミリアが深遠を狙い打つことができないのと同様に、G.T.もまた一野生生物であるが故に己が体による打撃以外の武器を持っていない。
両者共にすれ違い様の一撃を叩き込むことしかできない、正面からの殴り合いなのだ。
そう思っていたのはしかし、レミリアだけ。
「!? ッガァアアアアアァァッ!!」
神槍を振りかぶり、正面から相手をぶち抜こうとしていたレミリアが突如、頭を押さえて悶絶し始めた。
音、音が聞こえるのだ。頭の中に凄まじい音が延々と木霊している。耳を塞ごうとうずくまろうと逃れられないその不協和音に集中を乱され、せっかく構築した神槍が消滅する。
メロン砲である。
一抹も冗談足り得ず、メロン砲である。
マッコウクジラの巨大な頭部に搭載されたメロンが気嚢から発された音波を偏向、一点に向けて収束することで強力な音波兵器とするマッコウクジラの遠距離武装がそれだ。
水中よりも音が伝わりにくい大気中での砲撃の為に半ば以上減衰されてはいるのだが、音響定位を用いる吸血鬼であるが故に、音響には過敏に反応してしまう。
吸血鬼の特性を逆手に取ったわけではないだろうが、それはレミリアに対してもっとも有効な攻撃手段足りえたのだ。
そして、遅れて衝撃。
一直線に突っ込んできたG.T.渾身の体当たり。
受身を取ることもできず小舟から跳ね飛ばされたレミリアは再び、暗い暗い湖の底へと沈んでいった。
◆
血走った目を躍らせながら何とか湖中から顔を覗かせたレミリアは、年老いた物乞いのごとくよろよろとした動作で小舟の縁を掴んだ。やっとのことでその小さな体を湖面から引き剥がして力なく小舟の上に横たわる。
ごほ、と吐息を吐くとなぜか、小舟の底に溜まっていた僅かな湖水に朱が混じる。レミリアの胸元には牙が生えていた。巨大な口に捕縛され、湖底を引きずり回される悪夢から逃れた際にへし折ってやった敵の歯牙である。売却すればいくらの値がつくか分からぬ巨大なエナメル質を引き抜いたレミリアは、それを惜しげもなく小舟の外へと投げ捨てた。どうせ転覆すれば沈むのだから後生大事に確保しておいたって仕方が無い。
見るからに、もうレミリアは限界だった。荒い呼吸、せわしなく震える喉からは悲鳴にも近い擦れた響きが絶え間なく漏れつづけ、胸に空いた穴は吸血鬼の肉体であるのに塞がるそぶりも見せない。くたりと投げ出された四肢はよもや疲労に塗れて微塵も働きたくなどないくせに、小刻みに震えるという矛盾に溢れた形で超過勤務を訴えてくる。
八度神槍を撃ち込み、九度水中に投げ出された。その度にレミリアの魔力はまるで紅茶に落とした角砂糖のように湖に溶け落ちてゆき、今やあと一撃放つことができるかどうかも怪しいものだ。
仰向けになって天を仰いだレミリアの目に映ったのは、満天の星空。気付けばもうとっくに日が沈んでいて、故にパチュリーが天候操作を解除したのだろう。
静かな夜だった。ただ、咽ぶレミリアの声だけが響き渡る静寂の夜だった。
いつもは群れを成して姦しい妖精の声も、豊かな歌声を響かせるわかさぎびとたちも今は誰一人としてレミリアの前に姿を見せることはない。
誰もが固唾を飲んでこの死闘の行く手を見守っているのかもしれないし、もしくはただ単に血生臭い殺し合いに嫌気が差したのかもしれない。レミリアには分からない。
ああ、天空からオリオンがこちらを見下ろしている。神の子、狩人であったか? 我が物顔で海上を闊歩すると言われるあの偉丈夫ならば、クジラをもいとも簡単に狩るのであろうか? だからこのように我らを上から見下しているのだろうか?
冗談じゃないオリオンめ。求婚の為に無造作に獣を殺す貴様なんぞ我らの足下にも及ばぬ。
なあ、そうだろうG.T.――我が強敵よ。
静かな夜、しかし朱で彩られた血生臭い夜だ。
レミリアの血。G.T.の血。両者が流した血は混じりあい、涙よりも熱く戦場を濡らし、この湖のそこかしこに拡散して散っていった。
湖は二人のものだった。余すところなく両者の血に染まった湖は今やそれ自身が両者の体であるかのように、両者の意識もまた一つになって解け合っていた。
なんでこんなことをしているのか? 無論、生きていくために。
なんで殺しあわなきゃいけないのか? 無論、生きていくために。
殺しあわなくちゃ生きていけないのか? 無論、生きていくために。
殺したいわけではないのだ。
分かっております。
ただ養わなくてはいけない家族がいるのだ。
分かっておりますとも。
だが、私が贅を尽くさねば、貴族であることをやめれば殺さなくてすむのではないか?
そうかもしれません。しかしクジラもまたハーレムを築きますゆえ。
欲張りなのか、私たちは?
欲張りなのです、私たちは。
欲張りで、あってよいのか?
神に問うたならば、否と。悪魔よ。
唇が、いびつに歪む。
「……そうだな」
『そうですとも』
レミリアは小舟の上に立ち上がった。
レミリアの血をこれでもかと吸ったこの湖はレミリアの世界である。その世界が戦慄きに揺れているのだ。
敵が来る。敵を倒せ。己こそが王なのだと。
G.T.が来る。
G.T.の血を貪欲に吸い続けたこの湖はG.T.の世界である。その世界が野獣の咆哮をあげているのだ。
敵を討つ。敵を倒せ。私こそが王なのだと。
ゆらり、陸風が濡れそぼったレミリアの首筋をいらっていく。前髪から雫が垂れる。
右手に魔力を集中する。今日何度も何度も繰り返してきた作業だ。
真紅の槍、神繰の槍。
神槍『スピア・ザ・グングニル』。
泣いても笑ってもこれが最後。これ以上の余力はない。
さあどう来る? どこから来る? どのように来る?
どうだって良いさ。次に貴様が姿を見せた瞬間が貴様か私の最後だ!
暗澹たる雲影が三日月を覆いつくし、世界が黒一色に染め上げられた瞬間に、それは来た。
水飛沫を上げて現れたその姿をレミリアは恐らく忘れることなどできやしないだろう。
写真機なんて不粋な物を用いずとも、その姿は峻烈に克明にレミリアの脳裏へと焼きついた。
宙を舞う、漆黒に朱を纏いし海の王。
高い穹窿を描いて虚空に躍り出て、その自重で以ってレミリアを圧殺せんと迫るその一撃はもう躱すことができない。
故に、
「相打ちか。まぁよい。戦の果てに果てるが鬼よ」
一言、苦笑と共に呟いて。
そして――
◆
肌を焼くような激しい痛みに、レミリアは目を開いた。
気付けば夜も白み、薄い朝日を反射する湖面はさながらびろうどをまぶしたかのようにキラキラと容赦なくレミリアの肌を焼いていた。
パチュリーは何をやっている? 恐らくは寝ているか、読書に夢中になっているに違いない。本当、友達甲斐のない奴だ。
なあ、G.T.?
「情けか? おい」
返事はなかった。
クジラは既にこと切れていたのだ。
紅い悪魔をその背に乗せたクジラはただ無言のまま、傷だらけの朱に染まった巨体を湖面に漂わせていた。
勝ったのか、負けたのか。
いずれにせよ己の死を悟ったG.T.は相打ちを好しとはしなかったのだろう。
だから最後の力で意識を失ったレミリアを水中から掬い上げたのだ。
なぜ、助けた。
そう問おうとして、やめた。
両者はお互いが生きるために戦ったのだ。ならば一方の死が回避できなくなった時点でもう、決着はついていた。
あえて言うならば、双方死に至ることこそがこの両者にとっての敗北。
生き残ったほうが、喰らい、そして生きていく。
それこそが自然な世界で、そんな世界からこのクジラはやってきたのだ。
遠方から、なにやら銀色で紺色の何かが近づいてくる。
はて、彼女にしては遅いじゃないか。まあ、多分入浴の準備やらクジラを解体するスペースやらを確保していたのだろう。
だが、いい。来るな。
手振りで、従者を押しとどめる。片方の腕で顔を隠し、あっちで待ってろと追い払うようにもう一方の腕を振る。
生きて帰るまでが、クジラ漁だ。
どこぞで天狗やら妖精やらが見ているかもわからんし、最後まで一人でやり遂げるべきだ。
そうとも。
鬼が勝ったのだ。攫っていくのは、鬼の役目だ。人間じゃない。
いや、そうじゃない。人とか鬼は関係ないのだ。
――私が捕った、私の獲物だ。
「私の手で、連れて帰るさ」
近くを漂っていた小舟をチェーンで引き寄せたレミリアは、その上にふわりと優雅に舞い戻った。
その後、未だクジラに突き刺さったままのグングニルの石突にチェーンを連結して具合を確かめると、小舟にそっと腰を下ろす。
太陽が山の頂から緩やかに顔を覗かせ始めた白銀の世界。
小さな小さな舟を重そうに操る影が、己だけのものとなった世界を、一人。
湖面に白い航跡を描きながらゆっくりゆっくり、陸を目指して進んでいった。
捕鯨だけに。
そうかグングニルは銛だったのか
しかしある意味切ないな、幻想郷まで流れてきて即狩られるとは
それとも野生のクジラはそれで本望だったのか。オス、いや漢だしなぁ
……ところでクジラハーレムルートはないんですか?(真顔)
テーマがぶっ飛んでるのに笑いの要素を全部排除してあるのもすごい。
夢中になるくらい面白かったです。
こういう熱いバトルはレミリアが一番合うね。
前提がぶっ飛んでいるのにひたすらに熱い話と、G.T.とレミリアの生き様の交差が胸を打つSSでした。
14〜15世紀くらいか?
約500年前…貴族…イギリス…あっ(察し)
誤字。
>己の位置を迂闊に適に知らせてしまった
これで本望なんでしょうなぁ
素晴らしいです。
これは熱い