やあ、珍しいお客さんだ。待ってろ、今お茶を……
何?結構?ならいいか、それなりの茶葉なのだが。まあいい。よく来てくれた。寛いでいてくれ。
相談?らしくないじゃないか。博麗の巫女ともあろう人が。何物にもとらわれないなら、悩みなど無いはずだがね。
ああ、ごめんごめん。あんまり思い詰めていたからな、ついついからかってしまった。だから腰を落ち着かせてくれ。最近雨続きで、妹紅も遊びに来てくれないんだ。ありていに言って退屈なんだよ、私も。
しかし、面倒臭がりのお前がこの雨の中来るなんて、明日は槍が降るのかな。
わわわ、すまないすまない。もう余計な事は言わないよ。約束する。
らしくないのはそっち?かもな。退屈は、人を諧謔的にさせるのかもしれないな。確かにらしくないな。こんな皮肉がスルスル出るなんて。
で、何だ?
何となく寂しい、か。まあ、お前の神社は物寂しいからな。いや冗談でなく。
わざわざ人里の私の家に来るなんて、何かあったのか?こういう時は魔法使いのところか、人形使いの方に行くものだと思っていたよ。私の寺子屋は遠いしな。
……ははあ、よめたぞ。お前喧嘩したな、どっちかと。
隠せん隠せん。慌てて否定したら、まるわかりだ。うちの子供たちも似たようなものだよ。ただ、子供たちの方が上手く誤魔化すがね。
……ああ、成程。どっちかと喧嘩したけど、相談しようにも向うと相談先がかち合いそうだから、私のところに来たってわけか。
まあ、選択肢としては間違っていないな。特に今日みたいな雨の日に客なんて来ないからな。寺子屋も休みだし、まあゆっくりしていけ。
……何が発端だ?
なんだって?魔法使いが、弾幕で賽銭箱を壊した?穏やかじゃないな。もっとこう、茶壺をひっくり返した程度かと思っていたが。
ああ、もちろん。賽銭箱の修繕は私から大工にお願いしておくよ。格好つかないものな。
ついでに他も頼む?勘弁してくれ。頭を下げる趣味は無いからな。
で、どうしたいんだ?魔法使いが来なくなって寂しいのか?
うわっ!やめろ、刺さりかけたぞ!
……ああ、もう。図星なんだろう?
もう来るなって言っちゃった?おいおい、あいつがそんなことで……そんなこんなで二週間来ない?そりゃ珍しいな。
うーん、でも大丈夫だろう。
なんで?いやいや、あっちだってそろそろ限界じゃないか?ネアカなあいつが、そうそう気に病んでたりしない。悪い悪いなんて言いながら、また来てくれるんじゃないか?
ああ……そんなこんなで二週間か。すまんすまん。軽率だった。
でもな、こんな時は、あっちだって同じような事を考えているぞ。ああ、なんてことをしちゃったんだろう、って具合に。案外簡単に仲直り出来るさ。
おや、どうした?帰るのか。なら傘を貸そう、今日も雨だからな。風邪、引くなよ。
じゃあな、早く仲直りしろよ。
かと思ったが別にそんなことはなかったぜ!
二人共普通の少女なのですから、このように普通に喧嘩して、普通に仲直りして、
ということもありそうですよね。中々書かれないですが。