むか~しむかし、あるところに、足の速いウサギがいました。
ウサギはそのことを、自慢気に思っていました。
鈴仙「って、私がウサギ役って言うのも安直過ぎよね。」
そんなウサギとは逆に、大変足の遅い動物がいました。
カメです。
ある日ウサギは、カメをからかってやろうと思ったのです。
鈴仙「う~、何か嫌な予感がする~・・・。」
何故か妙な胸騒ぎを覚えつつ、ウサギはカメの所へ行きました。
鈴仙「もしもしカメよ、カメさんよ。」
輝夜「なに?」
鈴仙「わ~~~!?姫ぇええ!?」
ウサギはびっくりしてしまいました。
鈴仙「な、なな・・・、何で・・・?」
輝夜「それはね。ウサギとカメだからよ。イナバ。」
鈴仙「い、いや・・・。わけが分からないんですけど・・・。」
永琳「姫の名前、それは何だと思う?」
鈴仙「へ?あ、師匠。」
輝夜「あら、動物A。」
鈴仙「・・・A?」
永琳「そう。今の私は、お前の師匠では無い。ただの、動物に森の動物Aよ。」
鈴仙「は、はぁ・・・。」
ウサギがびっくりしているところに、別の動物が現れました。
カメが言うには、動物Aだそうです。
永琳「姫の名前は輝夜。そう、『かぐや』。決して『てるよ』では無い。」
輝夜「『てるよ』は余計よ、動物A。」
永琳「つまり『かぐやひめ』。それを略すと、そう!『かめ』になるのよ!」
鈴仙「そ、そんな滅茶苦茶な理由で~!」
輝夜「まあ、そういうことね。」
その無理矢理さ加減に納得は出来ませんが、ウサギは逆らうことが出来ません。
渋々、『そーなのかー』と思うことにしました。
鈴仙「思わない!思えないってば!」
輝夜「で、ウサギさん。さっきは何て言おうとしたのかしら?」
鈴仙「あ~、いや、何でもないです、さようなら。」
ウサギは怖気づいて、帰ろうとしました。
しかし。
永琳「・・・・・・。」
鈴仙「・・・・もしもし師匠、お師匠さんよ。」
永琳「なあに?」
鈴仙「何ゆえ私の目の前で、弓を構えておられるのでございますでしょうか・・・?」
永琳「何を仰る優曇華院。それはお前が逃げないようにするためよ?」
鈴仙「・・・。」
カメが言うところの動物Aが、ウサギを脅しています。
このままではウサギは、カメが言うところの動物Aに殺されてしまいます。
ウサギは仕方なく、カメに話しかけました。
鈴仙「・・・も、もしもし、カメよ、カメさんよ・・・。」
輝夜「何でしょう?」
鈴仙「き、今日もお美しいですね・・・。」
輝夜「あら、そう?正直なんだから。」
永琳「・・・ふ。」
鈴仙「(びくっ!)」
ウサギの後ろで、ギリギリッ!という音がしました。
カメが言うところの動物Aが、後ろで弓の弦を引いたようです。
鈴仙「そ、それとですね・・・。」
輝夜「なあに?」
鈴仙「な、何ゆえ、そんなに足が遅いので・・・いらっしゃい・・・。」
輝夜「・・・。」
鈴仙「い、いらっしゃいますで・・・ございましょうか・・・?」
ウサギはカメに向かって、足が遅いことを馬鹿したようなことを言いました。
輝夜「ふ、ふふふふふ・・・。」
鈴仙「ひっ・・・!」
輝夜「あは、あははははは!何を仰るウサギさん!何?!何を!何を言ってるの!?あはははは!」
鈴仙「ひええ~!し、ししょお~!」
いつもは大人しいカメも、このウサギの言い草に、遂に怒りが爆発しました。
その怒りは凄まじく、馬鹿にしたウサギも圧倒されてしまいました。
ウサギは、動物Aに泣きつきました。
輝夜「誰がこの世で一番足が遅い、ですって?誰が引き篭もり?誰がニート?
誰がてるよ?てるよって誰?誰なのよ!?てゐよ?何それ?わけがわからないわ!
何を言ってるのウサギさん!!私は『かぐや』、輝く夜と書いて輝夜なのよ!
ふふ、あはは、あははははははははははは!!面白いこと言うわねえ!ウサギさん!」
鈴仙「あわわわわ・・・。そ、そんなことまでは言ってな・・・。」
輝夜「面白い!実に面白いわ!そこまで言うなら、お前とあの小山までかけっこで勝負してやるわ!
どちらが先に力尽き、倒れるか!決着をつけてやる!競争?そんな生温いものじゃないわ。
これは闘争!そう、殺し合いよ!ふ、ふふふ・・・あはははははははははははははははは!!」
鈴仙「かけっこなのに何で殺し合いになるんですか~!!」
怒り狂ったカメは、ウサギに勝負を挑みました。
その内容とは、すぐそこの小山の頂上まで、殺し合いながら競争すると言うものでした。
競争するだけならウサギは自信満々ですが、『殺し合い』と聞いたウサギは、
すっかり腰を抜かしてしまいました。
鈴仙「師匠!何とか言ってください~!」
永琳「ウドンゲ・・・、いえ、ウサギさん。」
鈴仙「は、はい!」
永琳「貴方は姫を怒らせた。」
鈴仙「『オラオラ』を喰らえって言うんですか~!?」
動物Aにも見捨てられ、ウサギの退路は断たれました。
と、言うわけでウサギは、カメとかけっこで競争することにしました。
輝夜「ふ、ふふふ・・・。ふふふふふ・・・・。」
鈴仙「姫がぁ~・・・。何かキャラ違うよぉ・・・。」
永琳「これが姫の本性。そう思い込んでみなさい。全然、不自然じゃなくなるから。」
鈴仙「は、はい。・・・・・・・・わぁあああ!恐いよぉおおお~!!」
永琳「あらあら、想像力豊かね。将来有望だわ。」
ウサギは何か、とんでもないモノを幻視してしまったようです。
ウサギの、身はともかく心はもうボロボロです。
鈴仙「し、師匠・・・私が生き残るには、どーすればいいんですか・・・?」
永琳「何を仰るウサギさん。貴方はウサギなのよ?」
鈴仙「・・・と、言うことは適当な所で寝てればいいんですよね?」
輝夜「この戦いに一切の手加減は無用よ?わかってるわね、ウサギさん?」
鈴仙「・・・・・。」
輝夜「万一、その背中が見えた時には・・・。漏れなくブリリアントドラゴンバレッタをプレゼント。」
鈴仙「・・・・・。」
輝夜「ね・ら・い・う・ち♪」
早速ウサギとカメは、スタート地点に並びました。
永琳「よーい・・・スタート!」
動物Aが、スタートの合図を出しました。
輝夜「えーりんがーくれたーこの身体♪無駄にーしてはー罪になるー♪
鈴仙「うわあああああああ!!」
輝夜「難題解けたー男だけー♪この手に触れてもかまわないー♪・・・あら?」
スタートの合図と同時に、ウサギは全速力で走り出しました。
走るのが速いことが自慢なだけあって、ウサギはあっと言う間に見えなくなってしまいました。
カメは、スタートダッシュで送れてしまいました。
輝夜「あはは~、待て~。こ~いつぅ~。」
永琳「青春ねぇ。若いっていいわ。」
ちょっと遅れて、カメも走り出しました。
でも、物凄く遅いです。
果たしてカメは、無事にゴールできるのでしょうか?
今、血で血を洗うかけっこの火蓋が、切って落とされたのです。
・
・
・
鈴仙「はぁ・・・はぁ・・・。こ、これだけ離せば、大丈夫よね・・・。」
ウサギは後ろを振り向きましたが、カメの姿は見えません。
カメの足の速さを考えれば、今からなら歩いてゴールに向かっても、余裕で勝てます。
鈴仙「あ~、とりあえず休憩しよう・・・。」
とりあえず、ここまで全力で走ったので、ウサギはもうクタクタです。
その場によっこらせと腰を下ろし、あたりを見回しました。
鈴仙「あ~、お花畑が綺麗ね。」
見ると綺麗なお花畑があり、ウサギの心を和ませてくれます。
メディスン「コンパロコンパロ~。毒よ集まれ~。」
鈴仙「ってそこ!何やってんのよ!」
そこに水を差すかのように、森に住む動物Bが現れました。
毒を集めることの出来る、新種の動物です。
メディスン「何って・・・。ん~、命の洗濯?」
鈴仙「何でこんな所でやってるのよ!」
メディスン「何でって言われてもねえ。ここ、スーさんがいっぱいだもの。」
鈴仙「へ?」
よく見ると、そこは何と鈴蘭の畑でした。
鈴蘭は毒の花なので、このままここに居ては、ウサギの身体は毒に侵されてしまいます。
鈴仙「ああああ・・・、気付いたら身体がしびれてきたあ・・・・。」
絶体絶命の大ピンチ、命の危機です。
このままでは、ウサギは死んでしまいます。
と、そのときです。
?「ガスマスクー、ガスマスクは~いらんかね~?」
何やら声が聞こえてきました。
てゐ「毒花の花粉、毒ガス、某妖怪の靴下まで~。毒を未然に防ぐガスマスクはいかがかね~。」
ガスマスクを持った動物が現れました。
鈴仙「て、てゐ・・・。一体何やってんのよ・・・?」
てゐ「あら、今の私は因幡てゐではなく、森に住む動物Cですけど?」
鈴仙「そーなのかー。・・・じゃなくて・・・ああ、痺れるぅ・・・。」
てゐ「大変だねえ。ガスマスクはいかが?」
鈴仙「い、一個頂戴・・・。」
てゐ「へい、毎度~。一個百万で。」
鈴仙「高いわよ!」
てゐ「命が助かるなら、一億でも十億でも安いもんだと思うがね。」
鈴仙「そんな、某闇医者みたいな台詞、何処で覚えたのよ・・・。」
てゐ「で、どうする?死んでも知らないよ~?」
鈴仙「・・・ください。料金は後払いで・・・。」
てゐ「へい、まいど~。」
法外な値段ですが、背に腹は変えられず、命がかかっている状況です。
ウサギは泣く泣く、動物Cからガスマスクを買いました。
鈴仙「う゛~・・・、こんな、安っぽい白いマスクが百万だなんて・・・。」
てゐ「砂漠なら、水でも貴重品。」
鈴仙「わかってるわよぉ・・・」
ガスマスクは、よく台所で使われるような白いやつでした。
それでも効果はあるらしく、ウサギは動けるようになりました。
鈴仙「ふう、ここには長く居られないわね。先を進まなきゃ。」
さっさと進まなければ、カメに追いつかれてしまいます。
ウサギは、先を急ごうとしました。
しかし、
鈴仙「・・・・うあ・・・。」
ばたっ、とその場に倒れてしまいました。
鈴仙「な、なんで・・・。」
てゐ「あら~、手遅れだったみたいだね。毒が回りきってる。」
どうやら、身体に毒が回りきってしまったようです。
鈴仙「ふ、防げるんじゃなかったの・・・?」
てゐ「だから~、手遅れだってば。もっと早く買っておけば、こうはならなかった・・・と思う。」
鈴仙「そ、そんな~・・・。」
てゐ「で、丁度都合よく、ここに解毒剤があるけどぉ?どうする?」
鈴仙「・・・いくら?」
てゐ「五百万。」
鈴仙「・・・・もっと安く。」
てゐ「三百万。」
鈴仙「・・・・もっと。」
てゐ「何だかんだ言って、結構余裕あるね。二百五十万。」
鈴仙「・・・い、いや、もう、む、無理・・・い・・・。でももう一声。」
てゐ「二百万。これ以上は下げれないね。」
鈴仙「・・・・・くらはい(下さい)・・・。」
てゐ「へい、まいど~。」
ウサギは、動物Cから何とか半分以下に値切って、薬を買いました。
これ以上放っておいたら本当に死んでしまうので、ウサギはさっさと薬を飲みました。
すると、あっという間に、ウサギの顔に生気が戻ってきました。
鈴仙「あ~、すっきりした。すっきりした・・・けど・・・。」
料金後払いとは言え、ウサギの財産は残っていません。
鈴仙「うう・・・。老後の貯蓄があ・・・。」
てゐ「金は天下の回り物。使わなきゃ損するってもんよ。」
鈴仙「・・・もういい。私は行くから。」
いい加減休みすぎたようなので、ウサギはさっさと出発することにしました。
カメが相手とは言え、ひょっとしたら追いつかれているかもしれません。
鈴仙「全然休めてないってば。」
てゐ「あ。」
鈴仙「ん?」
走ろうとしたウサギでしたが、何かに気付きました。
輝夜「(シコー・・・、シコー・・・)」
鈴仙「わぁあああ!?あ、暗黒卿がぁあああ!?」
何やら、どっかで見た様な黒い被り物をつけ、手に光る棒を持った動物が現れました。
どっかの世界のどっかの星の、全身真っ黒な騎士様のような格好です。
てゐ「あ~、あれ姫だから。」
鈴仙「へ?ひ、姫・・・?」」
どうやら、カメのようです。
何でカメがそんな格好を出来るのかはわかりません。
きっと動物Aなら、
永琳「だって、『かめ』だし。」
とか、言うことでしょう。
輝夜「(シコー・・・、シコー・・・)」
てゐ「姫が被ってるのは、私が売った特大のガスマスク。」
輝夜「(シコー・・・・。)」
てゐ「マントは飾りだけど、手に持っているライト何とかは香霖堂で。」
鈴仙「そんなもん買うな売るな!」
てゐ「セットで特別価格。何と百ぴったり!こいつぁお買い得だぁ!」
鈴仙「安っ!・・・て、じゃあ何でこんなのが百万とかするのよ!」
てゐ「こちらも慈善事業じゃぁなくてね。損した分は、どっかで取り返さなきゃ・・・。」
鈴仙「私から巻き上げないでよ!!」
どうやら、黒い被り物もガスマスクの一種のようです。
詐欺紛いの商売をする動物Cに、ウサギは抗議します。
しかし、
輝夜「追イツイタワヨ、イナバ。」
鈴仙「うわっ!喋った!?」
カメが、話しかけてきました。
輝夜「サア、約束ドオリ、決着ヲツケルワヨ。」
鈴仙「ひ、姫・・・その、手に持ったライト何とかを振りかざしたりしてどうす・・・。」
輝夜「フンッ!」
鈴仙「!?」
カメは問答無用と言わんばかりに、手に持った何とかセイバーでウサギに斬りかかりました。
しかしウサギは、それを紙一重で避けました。
鈴仙「あ、危なかった・・・。」
輝夜「ナカナカ、ヤルワネ。ナラ、本気デ行クワ。フフフ・・・。」
鈴仙「げっ!」
輝夜「殺(ヤ)ァアアアアア!!」
鈴仙「うわわ~!」
殺る気は充分、カメは全力で、ウサギに斬りかかります。
ウサギはこの一閃も、何とか避けることが出来ました。
輝夜「チッ!」
鈴仙「う、うわぁああああああ!!」
ウサギが避けたので、カメの攻撃は空振りです。
その隙をついてウサギは、全速力でその場を去って行きました。
輝夜「アハハ~、マテ~、コイツ~。」
カメも、急いで後を追います。
てゐ「青春だねえ。」
メディスン「ねえ、ちょっと良い?」
てゐ「何?」
メディスン「私の存在がすっかり忘れさられて居たのは、この際置いておくけど。」
てゐ「ふんふん。」
メディスン「貴方はガスマスク付けなくて大丈夫なの?て言うか、大丈夫じゃないはずなんだけどなぁ。」
てゐ「・・・・・・あ。」
メディスン「ひょっとして、今気付いた?」
てゐ「き、気付いたら苦しい・・・・。ぐう・・・。」
メディスン「やっぱり、気分的な問題で効き加減が違うのかな。」
動物Cは、うっかりガスマスクを付け忘れてしまったため、
毒にやられて倒れてしまいました。
てゐ「私はこのまま死んであの世に逝って、強い魂を集める役目を担う・・・。」
メディスン「あ~あ。身体だけじゃなくて頭もやっちゃったのね、スーさん。ぐっじょぶ。」
てゐ「オー○ィン様、今そちらにぃ~・・・。」
こうして動物Cは、天界みたいな所に逝って、戦乙女として転生した・・・
かどうかは、わかりません。
・
・
・
さて、こちらは逃げるウサギと追うカメです。
ウサギは足が速いはずなのですが、今はカメに追われています。
それもそのはず、先程の鈴蘭の毒の後遺症で、ウサギの足の速さは、
本来のスピードの半分も出ないのです!
鈴仙「あいつのEX攻撃こんなところにも・・・・!」
輝夜「破(ハ)ァァァアアアアア!!」
鈴仙「うわっ!」
もう、何撃避けたかわかりません。
カメは執拗に、ウサギを攻撃してきます。
ウサギの体力は、もう限界です。
輝夜「ドウシタノ?モウオワリカシラ?」
鈴仙「こ、このままでは・・・・・はっ!?」
今にも倒れそうなウサギでしたが、その目にあるモノが映りました。
それは何と・・・!
鈴仙「ゴ、ゴールだ!」
そう、ゴールが見えたのです。
そこにカメより先に辿り着けば、この勝負はウサギの勝ちです。
輝夜「殺ァア!」
鈴仙「しっ!姫!この勝負、私がいただきます!」
輝夜「何・・・?シマッタ!」
ウサギはカメの攻撃を避けると、最後の力を振り絞ってゴールへと駆け出しました。
カメもその後を追いますが、追いつけません。
そして・・・。
鈴仙「・・・・やったぁああああ!」
ウサギは、ついにゴール地点へと到達しました。
妹紅「わ~おめでと~すご~い。」
慧音「あ~、ご苦労様。」
鈴仙「・・・喜びぶち壊しの賞賛はやめてよ。」
ゴールに待っていた動物DとEも、拍手を送ってくれています。
やや乾いているような気もしますが。
妹紅「じゃ、私らは帰るから、あとはごゆっくり。」
鈴仙「へ?ごゆっくりって・・・?」
輝夜「イャアアアア!」
鈴仙「うわったあっ!?」
勝利の喜びも束の間。
カメは再び、ウサギに攻撃を仕掛けました。
鈴仙「ひ、姫!何するんですかっ!」
輝夜「カケッコ?ソンナモノ、何ノ意味ガアルノ?」
鈴仙「え?ええ!?」
輝夜「真ノ勝者ハ、ソウ。最後ニ立ッテイタ者ヨ。」
鈴仙「ええーーーー!!!」
慧音「南無。」
妹紅「ま、頑張りなさい。」
鈴仙「ちょ・・・!た、助けてよおぉ~!ほら、姫がいるよ!?」」
妹紅「あ~、今日は遠慮しとく。」
輝夜「アラ、遠慮シナクテモイイノヨ?一緒ニ楽シマナイ?」
妹紅「殺らないわよ。この変態仮面。」
輝夜「ジャ、マタ後デネ。」
妹紅「殺らないって。」
動物Dと動物Eは、さっさとその場から離れて行きました。
残されたのはウサギとカメだけです。
輝夜「マア、イイワ。ソレジャアイナバ、覚悟シナサイ。」
永琳「これも、自然界の掟。悪く思わないでね、ウサギさん。」
鈴仙「何で師匠までぇえええ!?」
輝夜「ダッテ、ネエ?フフフ・・・。」
永琳「ええ、まったく。ふふふ・・・。」
鈴仙「怖いですよ!お二人とも!」
永琳「覚悟なさい!ウドンゲ!」
輝夜「アハハ~、捕マエタワヨ~、コ~イツゥ~。」
鈴仙「あ~~れぇぇぇえええ・・・・。」
・
・
・
山のてっぺん。
勝負に勝って生存競争に負けたウサギは、無残な姿にされてしまいました。
この物語も、これで幕を閉じる。
誰もが、そう思っていました。
しかし。
?「・・・さん。ウサギさん・・・ウサギさん・・・。」
鈴仙「ん・・・。誰・・・?」
ウサギは、誰かに呼ばれて目を覚ましました。
てゐ「私よ、ウサギさん・・・。」
鈴仙「てゐ・・・、って、あんたもウサギでしょ?」
てゐ「ふ。今の私は、ウサギではないわ。」
鈴仙「じゃあ、動物C?」
てゐ「動物Cは、死んだわ。って、そんなことはどうでもいいわ。行くよ。」
鈴仙「へ?何処に?」
てゐ「貴方は霊体となって、あるお方に仕えるの。私はその案内役・・・のバイトしてるの。」
鈴仙「状況がよく飲み込めないんだけど・・・。」
てゐ「つべこべ言わずに、ついてくる!」
鈴仙「ああ、ちょっと!耳引っ張らないでよ!いたたたた!」
ウサギは動物Cに掴まれて、どっかに連れて行かれました。
そして色々無視していつの間にか、お城の玉座みたいな所に、ウサギはいました。
てゐ「連れて来ました。○ーディン様。」
幽々子「ご苦労。」
そこには、何かと威厳たっぷりの偉そうな人がいました。
とりあえず伏字にしなきゃいけないっぽいです。
鈴仙「・・・ここどこ?」
てゐ「ここはあの世よ。」
鈴仙「はい?」
幽々子「う~ん、なるほど。美味しそうな食材ね。身は引き締まって、特に足なんかが美味しそうね~。」
鈴仙「あ、何となく状況が飲み込めた。」
幽々子「物分りのいい娘は好きよ。じゃ、さっそく料理して頂戴。」
妖夢「かしこまりました。」
鈴仙「やっぱりぃぃいいいい!!」
偉い人がちょいと命令を出すと、でかい包丁持った料理人が出てきました。
料理人は、ウサギを連れてゆこうとします。
幽々子「今回の貴方の働きは・・・すばらしいわ!」
てゐ「へへ~。ありがたき幸せにございます~。で、報酬は・・・。」
鈴仙「こんなオチいやだぁあああああ~~~!!」
妖夢「・・・可哀想に。同情するわ。でも料理はする。」
鈴仙「あ~れぇ~・・・・。」
こうしてウサギはオ○ディン様に食われてしまって、
ヴァル腹という所にに逝ってしまったそうな・・・・。
おしまい
キャスト
ウサギ ・・・ 鈴仙・優曇華院・イナバ
カメ ・・・ 蓬莱山 輝夜
動物A ・・・ 八意 永琳
動物B ・・・ メディスン・メランコリー
動物C ・・・ 因幡 てゐ
動物D ・・・ 藤原 妹紅
動物E ・・・ 上白沢 慧音
オー○ィン様 ・・・ 西行寺 幽々子
料理人 ・・・ 魂魄 妖夢
ウサギはそのことを、自慢気に思っていました。
鈴仙「って、私がウサギ役って言うのも安直過ぎよね。」
そんなウサギとは逆に、大変足の遅い動物がいました。
カメです。
ある日ウサギは、カメをからかってやろうと思ったのです。
鈴仙「う~、何か嫌な予感がする~・・・。」
何故か妙な胸騒ぎを覚えつつ、ウサギはカメの所へ行きました。
鈴仙「もしもしカメよ、カメさんよ。」
輝夜「なに?」
鈴仙「わ~~~!?姫ぇええ!?」
ウサギはびっくりしてしまいました。
鈴仙「な、なな・・・、何で・・・?」
輝夜「それはね。ウサギとカメだからよ。イナバ。」
鈴仙「い、いや・・・。わけが分からないんですけど・・・。」
永琳「姫の名前、それは何だと思う?」
鈴仙「へ?あ、師匠。」
輝夜「あら、動物A。」
鈴仙「・・・A?」
永琳「そう。今の私は、お前の師匠では無い。ただの、動物に森の動物Aよ。」
鈴仙「は、はぁ・・・。」
ウサギがびっくりしているところに、別の動物が現れました。
カメが言うには、動物Aだそうです。
永琳「姫の名前は輝夜。そう、『かぐや』。決して『てるよ』では無い。」
輝夜「『てるよ』は余計よ、動物A。」
永琳「つまり『かぐやひめ』。それを略すと、そう!『かめ』になるのよ!」
鈴仙「そ、そんな滅茶苦茶な理由で~!」
輝夜「まあ、そういうことね。」
その無理矢理さ加減に納得は出来ませんが、ウサギは逆らうことが出来ません。
渋々、『そーなのかー』と思うことにしました。
鈴仙「思わない!思えないってば!」
輝夜「で、ウサギさん。さっきは何て言おうとしたのかしら?」
鈴仙「あ~、いや、何でもないです、さようなら。」
ウサギは怖気づいて、帰ろうとしました。
しかし。
永琳「・・・・・・。」
鈴仙「・・・・もしもし師匠、お師匠さんよ。」
永琳「なあに?」
鈴仙「何ゆえ私の目の前で、弓を構えておられるのでございますでしょうか・・・?」
永琳「何を仰る優曇華院。それはお前が逃げないようにするためよ?」
鈴仙「・・・。」
カメが言うところの動物Aが、ウサギを脅しています。
このままではウサギは、カメが言うところの動物Aに殺されてしまいます。
ウサギは仕方なく、カメに話しかけました。
鈴仙「・・・も、もしもし、カメよ、カメさんよ・・・。」
輝夜「何でしょう?」
鈴仙「き、今日もお美しいですね・・・。」
輝夜「あら、そう?正直なんだから。」
永琳「・・・ふ。」
鈴仙「(びくっ!)」
ウサギの後ろで、ギリギリッ!という音がしました。
カメが言うところの動物Aが、後ろで弓の弦を引いたようです。
鈴仙「そ、それとですね・・・。」
輝夜「なあに?」
鈴仙「な、何ゆえ、そんなに足が遅いので・・・いらっしゃい・・・。」
輝夜「・・・。」
鈴仙「い、いらっしゃいますで・・・ございましょうか・・・?」
ウサギはカメに向かって、足が遅いことを馬鹿したようなことを言いました。
輝夜「ふ、ふふふふふ・・・。」
鈴仙「ひっ・・・!」
輝夜「あは、あははははは!何を仰るウサギさん!何?!何を!何を言ってるの!?あはははは!」
鈴仙「ひええ~!し、ししょお~!」
いつもは大人しいカメも、このウサギの言い草に、遂に怒りが爆発しました。
その怒りは凄まじく、馬鹿にしたウサギも圧倒されてしまいました。
ウサギは、動物Aに泣きつきました。
輝夜「誰がこの世で一番足が遅い、ですって?誰が引き篭もり?誰がニート?
誰がてるよ?てるよって誰?誰なのよ!?てゐよ?何それ?わけがわからないわ!
何を言ってるのウサギさん!!私は『かぐや』、輝く夜と書いて輝夜なのよ!
ふふ、あはは、あははははははははははは!!面白いこと言うわねえ!ウサギさん!」
鈴仙「あわわわわ・・・。そ、そんなことまでは言ってな・・・。」
輝夜「面白い!実に面白いわ!そこまで言うなら、お前とあの小山までかけっこで勝負してやるわ!
どちらが先に力尽き、倒れるか!決着をつけてやる!競争?そんな生温いものじゃないわ。
これは闘争!そう、殺し合いよ!ふ、ふふふ・・・あはははははははははははははははは!!」
鈴仙「かけっこなのに何で殺し合いになるんですか~!!」
怒り狂ったカメは、ウサギに勝負を挑みました。
その内容とは、すぐそこの小山の頂上まで、殺し合いながら競争すると言うものでした。
競争するだけならウサギは自信満々ですが、『殺し合い』と聞いたウサギは、
すっかり腰を抜かしてしまいました。
鈴仙「師匠!何とか言ってください~!」
永琳「ウドンゲ・・・、いえ、ウサギさん。」
鈴仙「は、はい!」
永琳「貴方は姫を怒らせた。」
鈴仙「『オラオラ』を喰らえって言うんですか~!?」
動物Aにも見捨てられ、ウサギの退路は断たれました。
と、言うわけでウサギは、カメとかけっこで競争することにしました。
輝夜「ふ、ふふふ・・・。ふふふふふ・・・・。」
鈴仙「姫がぁ~・・・。何かキャラ違うよぉ・・・。」
永琳「これが姫の本性。そう思い込んでみなさい。全然、不自然じゃなくなるから。」
鈴仙「は、はい。・・・・・・・・わぁあああ!恐いよぉおおお~!!」
永琳「あらあら、想像力豊かね。将来有望だわ。」
ウサギは何か、とんでもないモノを幻視してしまったようです。
ウサギの、身はともかく心はもうボロボロです。
鈴仙「し、師匠・・・私が生き残るには、どーすればいいんですか・・・?」
永琳「何を仰るウサギさん。貴方はウサギなのよ?」
鈴仙「・・・と、言うことは適当な所で寝てればいいんですよね?」
輝夜「この戦いに一切の手加減は無用よ?わかってるわね、ウサギさん?」
鈴仙「・・・・・。」
輝夜「万一、その背中が見えた時には・・・。漏れなくブリリアントドラゴンバレッタをプレゼント。」
鈴仙「・・・・・。」
輝夜「ね・ら・い・う・ち♪」
早速ウサギとカメは、スタート地点に並びました。
永琳「よーい・・・スタート!」
動物Aが、スタートの合図を出しました。
輝夜「えーりんがーくれたーこの身体♪無駄にーしてはー罪になるー♪
鈴仙「うわあああああああ!!」
輝夜「難題解けたー男だけー♪この手に触れてもかまわないー♪・・・あら?」
スタートの合図と同時に、ウサギは全速力で走り出しました。
走るのが速いことが自慢なだけあって、ウサギはあっと言う間に見えなくなってしまいました。
カメは、スタートダッシュで送れてしまいました。
輝夜「あはは~、待て~。こ~いつぅ~。」
永琳「青春ねぇ。若いっていいわ。」
ちょっと遅れて、カメも走り出しました。
でも、物凄く遅いです。
果たしてカメは、無事にゴールできるのでしょうか?
今、血で血を洗うかけっこの火蓋が、切って落とされたのです。
・
・
・
鈴仙「はぁ・・・はぁ・・・。こ、これだけ離せば、大丈夫よね・・・。」
ウサギは後ろを振り向きましたが、カメの姿は見えません。
カメの足の速さを考えれば、今からなら歩いてゴールに向かっても、余裕で勝てます。
鈴仙「あ~、とりあえず休憩しよう・・・。」
とりあえず、ここまで全力で走ったので、ウサギはもうクタクタです。
その場によっこらせと腰を下ろし、あたりを見回しました。
鈴仙「あ~、お花畑が綺麗ね。」
見ると綺麗なお花畑があり、ウサギの心を和ませてくれます。
メディスン「コンパロコンパロ~。毒よ集まれ~。」
鈴仙「ってそこ!何やってんのよ!」
そこに水を差すかのように、森に住む動物Bが現れました。
毒を集めることの出来る、新種の動物です。
メディスン「何って・・・。ん~、命の洗濯?」
鈴仙「何でこんな所でやってるのよ!」
メディスン「何でって言われてもねえ。ここ、スーさんがいっぱいだもの。」
鈴仙「へ?」
よく見ると、そこは何と鈴蘭の畑でした。
鈴蘭は毒の花なので、このままここに居ては、ウサギの身体は毒に侵されてしまいます。
鈴仙「ああああ・・・、気付いたら身体がしびれてきたあ・・・・。」
絶体絶命の大ピンチ、命の危機です。
このままでは、ウサギは死んでしまいます。
と、そのときです。
?「ガスマスクー、ガスマスクは~いらんかね~?」
何やら声が聞こえてきました。
てゐ「毒花の花粉、毒ガス、某妖怪の靴下まで~。毒を未然に防ぐガスマスクはいかがかね~。」
ガスマスクを持った動物が現れました。
鈴仙「て、てゐ・・・。一体何やってんのよ・・・?」
てゐ「あら、今の私は因幡てゐではなく、森に住む動物Cですけど?」
鈴仙「そーなのかー。・・・じゃなくて・・・ああ、痺れるぅ・・・。」
てゐ「大変だねえ。ガスマスクはいかが?」
鈴仙「い、一個頂戴・・・。」
てゐ「へい、毎度~。一個百万で。」
鈴仙「高いわよ!」
てゐ「命が助かるなら、一億でも十億でも安いもんだと思うがね。」
鈴仙「そんな、某闇医者みたいな台詞、何処で覚えたのよ・・・。」
てゐ「で、どうする?死んでも知らないよ~?」
鈴仙「・・・ください。料金は後払いで・・・。」
てゐ「へい、まいど~。」
法外な値段ですが、背に腹は変えられず、命がかかっている状況です。
ウサギは泣く泣く、動物Cからガスマスクを買いました。
鈴仙「う゛~・・・、こんな、安っぽい白いマスクが百万だなんて・・・。」
てゐ「砂漠なら、水でも貴重品。」
鈴仙「わかってるわよぉ・・・」
ガスマスクは、よく台所で使われるような白いやつでした。
それでも効果はあるらしく、ウサギは動けるようになりました。
鈴仙「ふう、ここには長く居られないわね。先を進まなきゃ。」
さっさと進まなければ、カメに追いつかれてしまいます。
ウサギは、先を急ごうとしました。
しかし、
鈴仙「・・・・うあ・・・。」
ばたっ、とその場に倒れてしまいました。
鈴仙「な、なんで・・・。」
てゐ「あら~、手遅れだったみたいだね。毒が回りきってる。」
どうやら、身体に毒が回りきってしまったようです。
鈴仙「ふ、防げるんじゃなかったの・・・?」
てゐ「だから~、手遅れだってば。もっと早く買っておけば、こうはならなかった・・・と思う。」
鈴仙「そ、そんな~・・・。」
てゐ「で、丁度都合よく、ここに解毒剤があるけどぉ?どうする?」
鈴仙「・・・いくら?」
てゐ「五百万。」
鈴仙「・・・・もっと安く。」
てゐ「三百万。」
鈴仙「・・・・もっと。」
てゐ「何だかんだ言って、結構余裕あるね。二百五十万。」
鈴仙「・・・い、いや、もう、む、無理・・・い・・・。でももう一声。」
てゐ「二百万。これ以上は下げれないね。」
鈴仙「・・・・・くらはい(下さい)・・・。」
てゐ「へい、まいど~。」
ウサギは、動物Cから何とか半分以下に値切って、薬を買いました。
これ以上放っておいたら本当に死んでしまうので、ウサギはさっさと薬を飲みました。
すると、あっという間に、ウサギの顔に生気が戻ってきました。
鈴仙「あ~、すっきりした。すっきりした・・・けど・・・。」
料金後払いとは言え、ウサギの財産は残っていません。
鈴仙「うう・・・。老後の貯蓄があ・・・。」
てゐ「金は天下の回り物。使わなきゃ損するってもんよ。」
鈴仙「・・・もういい。私は行くから。」
いい加減休みすぎたようなので、ウサギはさっさと出発することにしました。
カメが相手とは言え、ひょっとしたら追いつかれているかもしれません。
鈴仙「全然休めてないってば。」
てゐ「あ。」
鈴仙「ん?」
走ろうとしたウサギでしたが、何かに気付きました。
輝夜「(シコー・・・、シコー・・・)」
鈴仙「わぁあああ!?あ、暗黒卿がぁあああ!?」
何やら、どっかで見た様な黒い被り物をつけ、手に光る棒を持った動物が現れました。
どっかの世界のどっかの星の、全身真っ黒な騎士様のような格好です。
てゐ「あ~、あれ姫だから。」
鈴仙「へ?ひ、姫・・・?」」
どうやら、カメのようです。
何でカメがそんな格好を出来るのかはわかりません。
きっと動物Aなら、
永琳「だって、『かめ』だし。」
とか、言うことでしょう。
輝夜「(シコー・・・、シコー・・・)」
てゐ「姫が被ってるのは、私が売った特大のガスマスク。」
輝夜「(シコー・・・・。)」
てゐ「マントは飾りだけど、手に持っているライト何とかは香霖堂で。」
鈴仙「そんなもん買うな売るな!」
てゐ「セットで特別価格。何と百ぴったり!こいつぁお買い得だぁ!」
鈴仙「安っ!・・・て、じゃあ何でこんなのが百万とかするのよ!」
てゐ「こちらも慈善事業じゃぁなくてね。損した分は、どっかで取り返さなきゃ・・・。」
鈴仙「私から巻き上げないでよ!!」
どうやら、黒い被り物もガスマスクの一種のようです。
詐欺紛いの商売をする動物Cに、ウサギは抗議します。
しかし、
輝夜「追イツイタワヨ、イナバ。」
鈴仙「うわっ!喋った!?」
カメが、話しかけてきました。
輝夜「サア、約束ドオリ、決着ヲツケルワヨ。」
鈴仙「ひ、姫・・・その、手に持ったライト何とかを振りかざしたりしてどうす・・・。」
輝夜「フンッ!」
鈴仙「!?」
カメは問答無用と言わんばかりに、手に持った何とかセイバーでウサギに斬りかかりました。
しかしウサギは、それを紙一重で避けました。
鈴仙「あ、危なかった・・・。」
輝夜「ナカナカ、ヤルワネ。ナラ、本気デ行クワ。フフフ・・・。」
鈴仙「げっ!」
輝夜「殺(ヤ)ァアアアアア!!」
鈴仙「うわわ~!」
殺る気は充分、カメは全力で、ウサギに斬りかかります。
ウサギはこの一閃も、何とか避けることが出来ました。
輝夜「チッ!」
鈴仙「う、うわぁああああああ!!」
ウサギが避けたので、カメの攻撃は空振りです。
その隙をついてウサギは、全速力でその場を去って行きました。
輝夜「アハハ~、マテ~、コイツ~。」
カメも、急いで後を追います。
てゐ「青春だねえ。」
メディスン「ねえ、ちょっと良い?」
てゐ「何?」
メディスン「私の存在がすっかり忘れさられて居たのは、この際置いておくけど。」
てゐ「ふんふん。」
メディスン「貴方はガスマスク付けなくて大丈夫なの?て言うか、大丈夫じゃないはずなんだけどなぁ。」
てゐ「・・・・・・あ。」
メディスン「ひょっとして、今気付いた?」
てゐ「き、気付いたら苦しい・・・・。ぐう・・・。」
メディスン「やっぱり、気分的な問題で効き加減が違うのかな。」
動物Cは、うっかりガスマスクを付け忘れてしまったため、
毒にやられて倒れてしまいました。
てゐ「私はこのまま死んであの世に逝って、強い魂を集める役目を担う・・・。」
メディスン「あ~あ。身体だけじゃなくて頭もやっちゃったのね、スーさん。ぐっじょぶ。」
てゐ「オー○ィン様、今そちらにぃ~・・・。」
こうして動物Cは、天界みたいな所に逝って、戦乙女として転生した・・・
かどうかは、わかりません。
・
・
・
さて、こちらは逃げるウサギと追うカメです。
ウサギは足が速いはずなのですが、今はカメに追われています。
それもそのはず、先程の鈴蘭の毒の後遺症で、ウサギの足の速さは、
本来のスピードの半分も出ないのです!
鈴仙「あいつのEX攻撃こんなところにも・・・・!」
輝夜「破(ハ)ァァァアアアアア!!」
鈴仙「うわっ!」
もう、何撃避けたかわかりません。
カメは執拗に、ウサギを攻撃してきます。
ウサギの体力は、もう限界です。
輝夜「ドウシタノ?モウオワリカシラ?」
鈴仙「こ、このままでは・・・・・はっ!?」
今にも倒れそうなウサギでしたが、その目にあるモノが映りました。
それは何と・・・!
鈴仙「ゴ、ゴールだ!」
そう、ゴールが見えたのです。
そこにカメより先に辿り着けば、この勝負はウサギの勝ちです。
輝夜「殺ァア!」
鈴仙「しっ!姫!この勝負、私がいただきます!」
輝夜「何・・・?シマッタ!」
ウサギはカメの攻撃を避けると、最後の力を振り絞ってゴールへと駆け出しました。
カメもその後を追いますが、追いつけません。
そして・・・。
鈴仙「・・・・やったぁああああ!」
ウサギは、ついにゴール地点へと到達しました。
妹紅「わ~おめでと~すご~い。」
慧音「あ~、ご苦労様。」
鈴仙「・・・喜びぶち壊しの賞賛はやめてよ。」
ゴールに待っていた動物DとEも、拍手を送ってくれています。
やや乾いているような気もしますが。
妹紅「じゃ、私らは帰るから、あとはごゆっくり。」
鈴仙「へ?ごゆっくりって・・・?」
輝夜「イャアアアア!」
鈴仙「うわったあっ!?」
勝利の喜びも束の間。
カメは再び、ウサギに攻撃を仕掛けました。
鈴仙「ひ、姫!何するんですかっ!」
輝夜「カケッコ?ソンナモノ、何ノ意味ガアルノ?」
鈴仙「え?ええ!?」
輝夜「真ノ勝者ハ、ソウ。最後ニ立ッテイタ者ヨ。」
鈴仙「ええーーーー!!!」
慧音「南無。」
妹紅「ま、頑張りなさい。」
鈴仙「ちょ・・・!た、助けてよおぉ~!ほら、姫がいるよ!?」」
妹紅「あ~、今日は遠慮しとく。」
輝夜「アラ、遠慮シナクテモイイノヨ?一緒ニ楽シマナイ?」
妹紅「殺らないわよ。この変態仮面。」
輝夜「ジャ、マタ後デネ。」
妹紅「殺らないって。」
動物Dと動物Eは、さっさとその場から離れて行きました。
残されたのはウサギとカメだけです。
輝夜「マア、イイワ。ソレジャアイナバ、覚悟シナサイ。」
永琳「これも、自然界の掟。悪く思わないでね、ウサギさん。」
鈴仙「何で師匠までぇえええ!?」
輝夜「ダッテ、ネエ?フフフ・・・。」
永琳「ええ、まったく。ふふふ・・・。」
鈴仙「怖いですよ!お二人とも!」
永琳「覚悟なさい!ウドンゲ!」
輝夜「アハハ~、捕マエタワヨ~、コ~イツゥ~。」
鈴仙「あ~~れぇぇぇえええ・・・・。」
・
・
・
山のてっぺん。
勝負に勝って生存競争に負けたウサギは、無残な姿にされてしまいました。
この物語も、これで幕を閉じる。
誰もが、そう思っていました。
しかし。
?「・・・さん。ウサギさん・・・ウサギさん・・・。」
鈴仙「ん・・・。誰・・・?」
ウサギは、誰かに呼ばれて目を覚ましました。
てゐ「私よ、ウサギさん・・・。」
鈴仙「てゐ・・・、って、あんたもウサギでしょ?」
てゐ「ふ。今の私は、ウサギではないわ。」
鈴仙「じゃあ、動物C?」
てゐ「動物Cは、死んだわ。って、そんなことはどうでもいいわ。行くよ。」
鈴仙「へ?何処に?」
てゐ「貴方は霊体となって、あるお方に仕えるの。私はその案内役・・・のバイトしてるの。」
鈴仙「状況がよく飲み込めないんだけど・・・。」
てゐ「つべこべ言わずに、ついてくる!」
鈴仙「ああ、ちょっと!耳引っ張らないでよ!いたたたた!」
ウサギは動物Cに掴まれて、どっかに連れて行かれました。
そして色々無視していつの間にか、お城の玉座みたいな所に、ウサギはいました。
てゐ「連れて来ました。○ーディン様。」
幽々子「ご苦労。」
そこには、何かと威厳たっぷりの偉そうな人がいました。
とりあえず伏字にしなきゃいけないっぽいです。
鈴仙「・・・ここどこ?」
てゐ「ここはあの世よ。」
鈴仙「はい?」
幽々子「う~ん、なるほど。美味しそうな食材ね。身は引き締まって、特に足なんかが美味しそうね~。」
鈴仙「あ、何となく状況が飲み込めた。」
幽々子「物分りのいい娘は好きよ。じゃ、さっそく料理して頂戴。」
妖夢「かしこまりました。」
鈴仙「やっぱりぃぃいいいい!!」
偉い人がちょいと命令を出すと、でかい包丁持った料理人が出てきました。
料理人は、ウサギを連れてゆこうとします。
幽々子「今回の貴方の働きは・・・すばらしいわ!」
てゐ「へへ~。ありがたき幸せにございます~。で、報酬は・・・。」
鈴仙「こんなオチいやだぁあああああ~~~!!」
妖夢「・・・可哀想に。同情するわ。でも料理はする。」
鈴仙「あ~れぇ~・・・・。」
こうしてウサギはオ○ディン様に食われてしまって、
ヴァル腹という所にに逝ってしまったそうな・・・・。
おしまい
キャスト
ウサギ ・・・ 鈴仙・優曇華院・イナバ
カメ ・・・ 蓬莱山 輝夜
動物A ・・・ 八意 永琳
動物B ・・・ メディスン・メランコリー
動物C ・・・ 因幡 てゐ
動物D ・・・ 藤原 妹紅
動物E ・・・ 上白沢 慧音
オー○ィン様 ・・・ 西行寺 幽々子
料理人 ・・・ 魂魄 妖夢
ただ一言……何で今回いつも裏方さん達が出ないんじゃあっっ!!
輝夜達によるイジメも面白いが、「悪てゐープロファイル」に大笑いw
つまりルシオが鈴仙?そしてレザード=こーりん・・・?見てみたかったかも
『あんた最高のバカだよっ!』!
ああ笑いすぎてお腹痛い…。
次の作品を楽しみにしてます
この国が誇る千年小説を根底から揺るがす大暴言!
それをしれっと思いつくPikoさんに痺れるあこがれるぅ!
悪てゐープロジェクト! 是非!なんとしても実現を! 応援してます!