放送を聞いていた、博麗 霊夢とその一行。
霊夢「気にするほどのことでもないわね。」
レミリア「パチェはやられちゃったのね。誘ったらこっちにつくと思ったのにな~。」
魔理沙「ま、済んだことを気にしても、仕方ないぜ。」
レミリア「ところで、お腹すいたわ。」
魔理沙「我慢しな。」
レミリア「腹が減っては戦はできないわ。」
魔理沙「・・・・それもそうだな。」
霊夢「でも、この辺で血なんて置いてるとこ、あるの?」
魔理沙「さあ?」
とりあえず腹ごしらえのために、家を探した。
・
・
・
ある場所にて
?「首尾は?」
?「上々だ。」
?「よろしい。では、早速・・・。」
?「何するつもりだ?」
?「まあ、楽しみにしてなさい。うふふふ・・・・。」
?「(ロクなこと考えちゃいないな、こりゃ)。」
?「何か言った?」
?「いや、別に。」
・
・
・
庭師『魂魄 妖夢』は、ゲームが始まってからずっと、とある人物を探していた。
妖夢「幽々子様、どこいったのかなあ・・・・・。」
そんな折、一件の民家を見つける。
妖夢「ここに隠れてたり、しないかな。」
少しばかりの期待をよせ、妖夢は民家に入る。
しかし、そこで見た物は、
妖夢「・・・・・キョンシー?」
ではなく、頭にナイフを立てられた、中国っぽい妖怪の死体。
妖夢「このナイフ・・・・。あの犬ね。」
とりあえず、探している人物でないことを確認した妖夢は、民家を後にする。
妖夢「幽々子様、私が参るまで、どうかご無事で・・・・・。」
・
・
・
ルナサ「・・・・・・・・・・。」
『ルナサ・プリズムリバー』は、目的がないので、とりあえず歩いていた。
ルナサ「・・・・・・・・・二人を見つけても、きっとロクなことにならない。」
そうつぶやいてみた矢先
リリカ「あ、姉さんみ~つけた!」
ルナサ「リリカ・・・。」
ルナサの妹にして、見つけるとロクでもないことになると言わしめる『リリカ・プリズムリバー』が現われた。
リリカは、姉に向かって走りよる。
リリカ「ねえさ~ん!会いたかったよ~!」
ルナサ「(!殺気)。」
ブン!
リリカは、持っていたキーボードで、姉に攻撃を仕掛けた。
それを避けるルナサ。
ルナサ「・・・・・・危なかった。」
リリカ「姉さん、何で避けるの~?」
ルナサ「キーボードで直接攻撃だなんて、避けたくもなるよ。」
リリカ「残念。」
ルナサ「残念じゃない。で、殺る気?」
(BGM:幽霊楽団 ~ Phantom Ensemble)
リリカ「えへへ~。」
ルナサ「えへへ~、じゃない。・・・・本気、らしいね。」
お互いに臨戦態勢をとる。
そして
リリカ「じゃ~んけ~ん!」
ルナサ「!!」
ぽん
リリカ「(グー)。」
ルナサ「(パー)。」
何故かジャンケン。
そして
バキィ!
ルナサ「ぐ・・・・・。」
グーで姉をぶん殴る妹。
リリカ「わ~い。試合に負けて勝負に勝った~!」
ルナサ「・・・・・・・・遺言は、しかと聞いたよ。」
リリカ「ん?」
(BGM:ボーダーオブライフ)
リリカ「あれ?音楽が・・・・・。」
ルナサは、手に持っていたヴァイオリンを握り締めた。
そして
ドガァ!!
リリカ「あう・・・・・・。」
ルナサ「・・・・・・・・。」
一発。
ドガァ!!
リリカ「おう・・・・・・。」
ルナサ「・・・・・・・・。」
もう一発。
そして
バキィ! ドガァ! バキィ! ズガァ! ドカァ!・・・・・・
もう数十発
リリカ「ばたんきゅ~・・・・。」
ルナサ「・・・・・・・・・・。」
ぱた・・・
ヴァイオリンで、思いっきり、無言で、しかも繰り返し妹を殴る姉。
その攻撃に、成す術なく妹は倒れる。
(BGM:停止)
ルナサ「さようなら、リリカ。あなたはいい妹だったけど・・・・。」
?「けど?」
ルナサ「グーで殴ったのがいけなかったのだよ!」
?「そりゃ、痛いわね。でも、妹を殺るなんて、いただけないわねえ。」
ルナサ「って、あなたは・・・・?」
と、次の瞬間、ルナサの周囲に大量のナイフが出現した。
咲夜「だから、おしおきよ。」
ドドドドドドドド!!!
ナイフは全て、ルナサに刺さった。
ルナサ「・・・・・・・・・。」
咲夜「まあ、同僚殺った私も、人のこと言えないかもしれないけどね。」
ルナサ「それは、言えない。」
咲夜「そういうわけで、恨みっこは無しよ。」
ルナサ「どういう理屈なのやら。」
咲夜「・・・・・・・。」
ルナサ「・・・・・・・。」
しばし沈黙。
咲夜「・・・・・・・・・・ちょっと。」
ルナサ「ん?」
咲夜「全身ナイフが刺さってハリネズミ状態なのに、なんで死なないかな?あんたは。」
ルナサ「あ~、それは、ほら、あれだ。」
咲夜「どれよ?」
ルナサ「ギャグキャラは、死なない。」
咲夜「・・・・・・・・・・。」
ルナサ「まあ、そういうわけだけど、私自身をギャグキャラと位置付けるのもあれなので・・・。」
パタ
ルナサ「大人しく倒れておく。」
咲夜「・・・・そうしていて。」
ルナサを倒したのを確認すると、咲夜はその場を去った。
咲夜「・・・・・・・・なんか、納得いかない。」
・
・
・
妖夢は、主人を探していた。
妖夢「どこに隠れておられるのやら・・・・・。」
半分うんざりしている模様。
と、そのとき
妖夢「ん・・・・?」
何かを見つけた。
妖夢「誰かと思えば、ハリネズミ・・・・。」
ルナサ「微妙に違う。」
全身ナイフまみれのルナサだった。
妖夢「もとい、プリズムリバーの。このナイフは、もしや・・・。」
ルナサ「犬肉。」
妖夢「やっぱり。」
ルナサ「殺る気満々みたい。」
妖夢「そう。ところで、うちのお嬢様、見なかった?」
ルナサ「見てない。」
妖夢「そう。それじゃ、お大事に。」
ルナサ「うん。」
妖夢は、去っていった。
妖夢「・・・・・・・・・・ん?」
何かに気付いた。
妖夢「何で、生きてるのかなあ?」
それは、ほら、あれだ。
ギャグキャラは、死なない。
・
・
・
こちらは霊夢一行。
とりあえず家を見つけたので、そこで休憩中。
魔理沙「ほい、お茶だ。人間用だけどな。」
霊夢「ありがと。」
レミリア「さすがに、血は無かったのね。」
霊夢「・・・・・あげないわよ。」
レミリア「大丈夫よ。安心して。」
霊夢「そう?」
レミリア「あなた達の飲んだりなんかしたら、どうなるかわからないし。」
霊夢「何か言った?」
レミリア「いえいえ。何も。」
お茶で一息入れる一行。
霊夢「で。」
魔理沙「ん?」
霊夢「あんた、こっから出るための策があるって言ってたけど。」
魔理沙「ああ、それは秘密だ。」
霊夢「そうじゃなくて、何でこんな突然な状況で、そんなんが思い浮かぶのかなと。」
魔理沙「あ~・・・・・。」
霊夢「ひょっとして、あんた、この馬鹿ゲームがあるってこと、知ってたんじゃないの?」
魔理沙「そうだな、どこから話したものやら・・・・。」
少し間をおいて、語り始める魔理沙。
魔理沙「むか~し、むかし。あるところに、美少女魔法使いとその師匠がおりました。」
レミリア「昔話風ね。」
霊夢「何かごまかそうとしてるんじゃないかしら?」
魔理沙「ある日のこと、ちょっと酒を飲んで気分がよかった師匠は、魔法使いさんにお話を始めました。」
霊夢「うん。」
魔理沙「『なんか、壷の中に蛇とか百足とか入れる呪いって、あったわよね~。』って。」
霊夢「・・・・はあ。」
魔理沙「魔法使いさんは、『いきなり何を言うの?』と聞きました。」
レミリア「ふむふむ。」
魔理沙「すると師匠、『その辺から妖怪とか集めて、それでやってみたら面白いかな~。』と言いました。」
霊夢「・・・・・で?」
魔理沙「魔法使いの少女は嫌な予感がしたので、あの手この手を使って今日のことを知ろうとしました。」
霊夢「・・・・・・。」
魔理沙「めでたし、めでたし。」
レミリア「めでたくないわ。」
霊夢「・・・・・・それで。」
魔理沙「何だ?」
霊夢「あんたは、その事を私らには話さなかったってわけね。」
魔理沙「・・・・・人生、知らない方がいいこともある。」
霊夢「知ってた方がいいこともある。っていうか、これは知るべきことだったわ。」
魔理沙「・・・・・悪かった。悪かったから、その懐に入れた手を、何も出さずに外へ出してくれないか?」
ちょっと危機感を覚える魔理沙。
霊夢「まあ、とっとと出れるって言うんなら、全面的に協力するけど・・・・。」
レミリア「いつまでも、こんなとこに居たくないし。」
魔理沙「協力、感謝するぜ。」
とりあえず話はまとまる。
魔理沙「ま、暫くはここでゆっくりしようぜ。次はいつ休めるかわからん・・・・・。」
ど~ん!
外から音がした。
魔理沙「何だ?」
レミリア「外で誰か戦ってるのかしら?」
霊夢「おちおち休んでいられないわ。」
魔理沙「・・・・・・ジャンケン!!」
レミリア「!」
霊夢「!?」
ポン。
魔理沙「(チョキ)。」
レミリア「(チョキ)。」
霊夢「(パー)。」
魔理沙「そういうことで。」
レミリア「気をつけてね。」
霊夢「何で私一人でいかなきゃいけないのやら・・・・。」
霊夢は、しぶしぶと外の様子を見に行った。
・
・
・
一行が篭城中の家の近くでは、二人の人影による弾幕が展開されていた。
メルラン「めるぽ~。」
一人は『メルラン・プリズムリバー』。
たまに調子が悪いとのことだが、どうやら調子が悪いらしい。
チルノ「も~!何なのよ、こいつ!」
もう一人は、氷精『チルノ』。
調子の悪いメルランに襲われたようである。
霊夢「・・・・・・・・。」
その様子を見ていた霊夢。
霊夢「関わらないほうが、身のためね・・・・。」
引き返そうとした。
しかし、
チルノ「ちょっと、そこの紅白!あれ何とかしてよ!」
霊夢「何とかっていったって、どうしろってのよ。」
チルノに声をかけられてしまった。
メルラン「めるぽ~!めるぽ~!」
ど~ん!
霊夢「わ!」
チルノに声をかけられたばかりに、霊夢もその標的に入ったようである。
霊夢「やるしか、ないようね・・・。」
チルノ「じゃ、あとよろしくね。」
ダッ!
その場から走り去るチルノ。
霊夢「こら~!こんなん押し付けて逃げるな~!」
メルラン「こんなんとは、失礼ね。」
メルランが普通に話し掛けてきた。
霊夢「・・・・正気になったの?」
メルラン「私はいつでも普通よ。」
霊夢「さっきのは普通には見えなかった。」
メルラン「きっと気のせいよ。」
霊夢「・・・・・まあ、こうして問答していても埒があかないので。」
メルラン「ので?」
霊夢「ちょっと、お払いでも・・・・・。」
そう言って霊夢はお払い棒を振りかざし、
ガッ!
メルラン「めるぽ・・・・・・。」
ドサ・・・
メルランを思いっきりぶん殴った。
メルランは、その場に倒れ伏す。
霊夢「これで事件は解決ね。」
そう霊夢はつぶやいて、とっとと篭城中の民家に帰っていった。
・
・
・
チルノ「あ~、酷い目にあった・・・・。」
メルランの相手を霊夢に押し付けて逃げてきたチルノは、一息ついていた。
チルノ「これからどうしようかな・・・・・。って、あら?」
チルノは何かを見つける。
藍「・・・・・・・・・・。」←(スペル発動のポーズで)
チルノ「変わった地蔵ね。」
なんか、狐って感じの地蔵を見つけた。
余りに怪しいので、チルノはとりあえず近づいてみることにした。
藍「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」←(例のポーズで)
チルノ「ん~、なんか、どっかで見たような気が・・・・。」
地蔵をジロジロと見るチルノ。
と、そのとき
藍「わああああああ~~!!!!」
チルノ「ぎゃあああああああああ~~~~!!!!!!」
地蔵が突然、大声をあげた。
びっくり仰天したチルノ、なりふりかまわず逃げ出す。
藍「お~い、そっちには肥溜めが・・・・・・・。」
どっぽ~ん!
・・・・・チルノは、肥溜めの中に消えていった。
藍「ちょっと驚かせようとしただけだったけど、悪いことしたかな?」
『八雲 藍』はちょっとだけそう思うと、再び地蔵のポーズをとった。
藍「・・・・・・・・(暇だな~)。」
・
・
・
一方で民家。
霊夢が帰ってきた。
霊夢「ただいま~・・・・。」
魔理沙「おう、おかえり。」
レミリア「おかえりなさい。生きてたのね。」
霊夢「まあね。ちょっと疲れたけど。いろんな意味で。」
一息つく霊夢。
しかし、
ザ・・・・。
足音が聞こえた。
霊夢「お客さんみたいね・・・・。」
魔理沙「そうだな。」
霊夢「ロクに落ち着けやしないわ。」
レミリア「どうするの?」
霊夢「魔理沙、次はあんたが行って。」
魔理沙「・・・・・しょうがねえな。」
魔理沙は、外の様子をうかがいに行く。
・
・
・
民家の外。
妖夢は、まだ主人を探していた。
妖夢「幽々子様、いずこに・・・・・。」
辺りを見回す妖夢。
そのとき、背後に気配を感じた。
妖夢「誰・・・・・・?」
と言った瞬間、背後に誰かが現われた。
魔理沙「動くな。」
妖夢は背中をとられる。
妖夢「不覚!」
魔理沙「・・・・動くなよ。動くと・・・・・。」
妖夢「動くと・・・・・?」
魔理沙「私も動く。」
妖夢「じゃあ、動くわ。」
魔理沙「そうか。じゃあ、私も動くぜ。」
妖夢と魔理沙は、お互いに構えを解く。
魔理沙「で、あんたは何してんだ?」
妖夢「幽々子様を探して、こんなみょんなところに来てみたんだけど。」
魔理沙「生憎、この辺にはいないぜ。」
妖夢「そう・・・・・。で、あんたは何を?」
魔理沙「ん~、ひゃんな連中と一緒にいる。」
レミリア「ひゃんな連中って、何?」
魔理沙「見ての通り、こんな感じの。」
霊夢「わかりにくい表現をするな。」
魔理沙「ちょっと、みょんに対抗してみたかっただけだ。」
レミリア「何で?」
霊夢「そういう年頃なのよ。きっと。」
レミリア「反抗期ね。」
霊夢「違いないわ。」
霊夢とレミリアが姿を現す。
一行と妖夢は、情報交換をした。
レミリア「そう。咲夜はやる気満々なのね。」
妖夢「あいつのことだから、あなたは襲わないと思うわ。お嬢さん。」
魔理沙「でも、私らは襲われるな。きっと。」
霊夢「あんなの相手にしてたら、しんどいだけよ。何とかならない?」
レミリア「それじゃ、私の能力で咲夜に出会わないようにする運命を見出して・・・・。」
魔理沙「一方で、被害者が増えるわけか。」
霊夢「残念だけど、あんたのとこのお嬢様は見かけなかったわ。」
妖夢「そう・・・・。」
魔理沙「ま、そう気を落とすなって。」
霊夢「で、ものは相談だけど・・・。」
妖夢「何?」
霊夢「私達と一緒に来ない?味方は多いほうがいいわ。多分。」
妖夢「・・・・・・・。」
魔理沙「そうだな。そっちのお嬢様も味方になれば戦力もアップするしな。」
妖夢「・・・・・残念だけど・・・。」
妖夢は少し下を向いたあと、言葉を続ける。
妖夢「私は、幽々子様を探すのに専念したいの。申し出は有難いんだけど・・・・。」
霊夢「そう。残念ね。」
レミリア「でも、一人は結構危険よ?」
妖夢「覚悟の上よ。」
魔理沙「それじゃあ、止めようがねえな。」
妖夢「でも、幽々子様を見つけたら、そのときは・・・。」
霊夢「そのときに、期待させてもらうわ。」
そして妖夢は去ろうとする。
魔理沙「ああ、待った。」
妖夢「?」
魔理沙「狼煙の代わりだ。『マスタースパーク』もってけ。」
妖夢「いいの?」
魔理沙「探し物が見つかったら、迷わずこれを撃ちな。」
妖夢「わかった。」
レミリア「今、あなたの運命を見てみたけど、絶対に会えるって事だけはわかったわ。」
妖夢「本当?」
レミリア「ほんとよ。」
妖夢「ありがとう。私にはそれだけで充分よ。」
霊夢「ま、気をつけて行きなさい。」
妖夢「お互いにね。それじゃ。」
一行に見送られ、妖夢は去っていった。
・
・
・
フランドールは、標的を探して徘徊していた。
そして、その後を追う黒い影。
レティ「・・・・・・・・流石に、強いわね。」
後を追うのは、黒幕こと『レティ・ホワイトロック』。
彼女は、たまたまフランドールを見つけて以来、ずっと後をつけていた。
レティ「でも、いくら強くても、巫女魔女メイドと戦っては、消耗も激しいはず。」
小声で独り言。
レティ「そして、消耗しきったところで私が出て行って、見事撃墜・・・。そして私は真の黒幕に!」
ちょっと大きな声になる。
レティ「っと、いけないいけない。黒幕は黒幕らしく、闇に隠れてないと・・・。」
そう言ってフランドールを追いかける。
と、そのとき
ピンポンパンポーン
魅魔『あ~、あ~。元気かね、諸君。』
このゲームの黒幕による放送が流れ始めた。
魅魔『それでは、脱落者の発表~。ええと、ちんどん屋三姉妹。後は、いっぱいいっぱいな妖精ね。』
レティ「・・・・・恋娘はやられたか。残念ね。」
魅魔『次に、禁止エリアの発表~。禁止エリアは・・・・・。』
禁止エリアが発表される。
魅魔『・・・以上。あと十秒以内に出て下さい。例によって、先生が弾幕結界に引きずり込んでくれるからね。』
レティ「って、ここ、禁止エリア?」
自称黒幕、ちょっとあせる。
魅魔『そんなわけで、とっとと出ないと、先生が・・・、って、こら。』
紫『・・・・・・・・・・』←(寝てるらしい)
魅魔『起きろ。仕事しろ。』
紫『・・・・・・・・・。』←(寝てるらしい)
魅魔『起きろ~~!!』
一方では真の黒幕も、ちょっとあせる。
レティ「で、妹君は・・・・・。」
フランドールは何故か、そこでボーっとしている。
レティ「な、何で動かないのよ?ここは禁止エリアにされるっていうのに・・・・・。」
黒幕、かなりあせる。
レティ「あと五秒。仕方ないわね。ここから逃げて・・・・。って?」
ふと、フランドールのいる方を見てみる。
すると、フランドールの姿は、どこにもなかった。
レティ「うそ・・・。何で・・・?」
黒幕、驚愕する。
そして
紫「ふぁ~。いちめいさま、ごあんな~い・・・・。」
レティ「ち、ちょっと待った!そこに妹君が・・・・。」
紫「?そんなのいないでふよ~。寝ぼけてる?」
レティ「いや、寝ぼけてるのはあなたの方・・・・・・。」
紫「いいじゃない~。普通と禁止の境界なんて、曖昧なものなのよ~・・・。」
と、まあ、自称黒幕は、弾幕結界へと放り込まれた。
で、突然消え去ったフランドールは、
フランドール「秘弾『そして誰もいなくなるのか?』・・・。姿を消すことくらい、造作も無いわ。」
そんなものを使って、姿を消していた。
フランドール「全部聞こえてたんだけど。」
そうして、禁止エリア外に姿を現したフランドールは、ゲームを再開した。
・
・
・
で、霊夢一行。
篭城していた民家が禁止エリアになったので、そこから脱出したようである。
レミリア「ねえ。一ついい?」
魔理沙「何だ?」
レミリア「十秒じゃ、明らかに脱出不可だと思うんだけど。」
霊夢「そうね。」
レミリア「じゃあ、何で私たちは脱出できたの?」
魔理沙「あ~、それはだな・・・。」
霊夢「ほら、放送聞いたでしょ?」
レミリア「うん。」
霊夢「あの時、放送を聞く限りでは、先生(紫)が寝てたって判断できるのよ。」
魔理沙「つーか、そうとしか判断しようが無いけどな。」
霊夢「あるいは、禁止エリア内にいた誰かを迎えに行ってたとかね。」
レミリア「ふむふむ。」
魔理沙「このことから、私らが脱出するまで、結構時間があったってわけだ。」
霊夢「実質、時間は五分ぐらいあったのよ。きっと。」
レミリア「なるほど。随分いい加減ね。」
お嬢様、納得。
霊夢「さて、これからどうしたものやら。」
レミリア「とりあえず、休める場所がほしいわね。」
魔理沙「さっきまで休んでたじゃねえか。」
レミリア「仕方ないわよ。私、病弱っ子だから。」
魔理沙「人間に比べたら、遥かに頑丈だよ。心配ない。」
レミリア「あら、あなた達には勝てる自信がないわ。」
霊夢「聞いた?私ら、吸血鬼より丈夫だって。」
魔理沙「ふん。それじゃあ、死ぬことなんざ出来ねえな。」
普通に世間話。
魔理沙「大体、あんたも妹君ぐらい元気に暴れてみるぐらいしたらどうだ?」
霊夢「あんた、ここに来て何もしてないじゃない。」
レミリア「いい年した大人が、私を虐める。私、まだ五百歳なのに・・・・・。うるうる・・・・。」
魔理沙「私らは十代だぜ。きっと。」
霊夢「つまりは、あんたも役に立て、一回ぐらい危ない橋を渡れ、って言ってるのよ。例えば・・・・・。」
ザワザワ・・・・・・
周囲の空気が変わった。
霊夢「・・・・・早速、出番みたいよ。レミリア。」
魔理沙「方々で派手に暴れてるのは、こいつか。」
レミリア「・・・・・・・・。」
何かの気配に気付く三人。
そして
ザ!
フランドール「禁弾『カタディオブトリック』!!」
ど~ん!
レミリア「わ!」
魔理沙「何だ!?」
霊夢「奇襲だなんて、やってくれるじゃない・・・・。」
フランドール先手を打って攻撃してきた。
霊夢「ほら、あの物騒なのをさっさと説得しなさい。」
レミリア「・・・・・・ん~。」
魔理沙「どうした?」
考え込むレミリア。
そして一言、
レミリア「無理。」
と言って、レミリアは後方に駆け出した。
霊夢「あ、待て!」
魔理沙「逃がすか!」
フランドール「逃がさないわ。」
レミリアを追っかける人間二名。
それを追いかける吸血鬼。
魔理沙「おい、どうして逃げる?」
レミリア「説得は無理なのよ。」
霊夢「どうして?」
フランドール「禁弾『スターボウブレイク』!」
ダダダダダダ!!
無数の弾が、直線上にいる三人を襲う。
魔理沙「ちぃ!」
霊夢「く!」
レミリア「(ぱたぱた)。」←(コウモリ化)
弾幕を避ける三人。
レミリア「わかった?」
霊夢「あんたがズルしたのは、わかった。」
レミリア「あいつも、殺る気満々なのよ。しかも咲夜と違って、私も標的に入ってるわ。」
魔理沙「さて、どうするかね。」
霊夢「迎え撃つ?」
魔理沙「そうだな・・・・。」
霊夢の言葉に、魔理沙は覚悟を決め、
魔理沙「それじゃ、任せたぜ!」
ぴゅ~!
自慢のスピードで、戦場から離脱した。
霊夢「・・・・・こ、こら~!」
慌てて後を追う霊夢。
しかし、周知の通り、スピードは魔理沙のほうが速い。
霊夢はどんどん引き離されていく。
霊夢「待て~!置いていくな~!!」
魔理沙「霊夢~!生きてたら、また会おうぜ~!」
レミリア「しっかりね~!」
見るとレミリアは、コウモリのまま魔理沙にくっついている。
霊夢「お、覚えてなさいよ~!!」
魔理沙「そろそろ後ろを気にしたほうがいいんじゃないか~!」
霊夢「!?」
霊夢の後方から、フランドールが迫ってくる。
霊夢「・・・・逃げるか。」
つぶやいた後、さっきとは別方向に逃げ出す霊夢。
しかし、その方向が悪かった。
霊夢「も~、なんでこんな時に限って、勘がはずれるかな~。」
霊夢の目の前には、海が広がっている。
これ以上真っ直ぐ逃げたら、時間無制限弾幕結界の餌食になる。
そして、後方にフランドール。
霊夢「う~ん・・・。殺らなきゃ、殺られるわけね。」
霊夢は臨戦態勢に入った。
フランドール「いつぞのようにはいかないわ。紅白。」
霊夢「元気そうね。妹君。」
フランドール「お蔭様でね。あなた達の保護者さんには感謝しなきゃ。」
霊夢「あんなん、保護者なんかじゃないわ。で、また弾幕ごっこがお望み?」
フランドール「このゲームで、私の弾幕はパワーアップしたわ。」
霊夢「それじゃ、見せてもらおうかしら?」
フランドール「・・・禁忌『クランベリートラップ』!」
戦闘が開始された。
フランドールが使ったスペルカードは、クランベリートラップ。
霊夢「・・・パターン化の典型ね。こんなんがいまさら、私に通用すると思って?」
フランドール「プラス!」
霊夢「!?」
フランドール「禁書『パチュリーがいつも持ってる本』!」
ブン!
フランドールは、懐からブ厚い本を取り出すと、霊夢に向かって投げつけた。
スコーン!
霊夢「うあ・・・・・・。」
本は、霊夢の頭部に命中した。
哀れ霊夢は撃墜され、
ひゅうううううう・・・・・
落下していった。
フランドール「紅白討ち取ったり。」
フランドールは、恐らく殺ったであろう霊夢を振り返ることなく、再び得物を探し始めた。
・
・
・
ザザ~・・・
ザザ~・・・
ここは砂浜。
何の変哲もない砂浜。
普段は何の変哲も無いが、今は変哲があった。
?「気絶したまま落ちてくるなんて、誰かと殺り合ってたみたいね。」
霊夢「・・・・・・・・う~・・・・・・・。」
変哲の一つは、気絶した霊夢。
もう一つの変哲は、その霊夢を抱きかかえる少女。
?「でも、おかげで私にも運が向いてきたかしら。」
少女は霊夢を抱きかかえ、砂浜から姿を消した。
続く
霊夢「気にするほどのことでもないわね。」
レミリア「パチェはやられちゃったのね。誘ったらこっちにつくと思ったのにな~。」
魔理沙「ま、済んだことを気にしても、仕方ないぜ。」
レミリア「ところで、お腹すいたわ。」
魔理沙「我慢しな。」
レミリア「腹が減っては戦はできないわ。」
魔理沙「・・・・それもそうだな。」
霊夢「でも、この辺で血なんて置いてるとこ、あるの?」
魔理沙「さあ?」
とりあえず腹ごしらえのために、家を探した。
・
・
・
ある場所にて
?「首尾は?」
?「上々だ。」
?「よろしい。では、早速・・・。」
?「何するつもりだ?」
?「まあ、楽しみにしてなさい。うふふふ・・・・。」
?「(ロクなこと考えちゃいないな、こりゃ)。」
?「何か言った?」
?「いや、別に。」
・
・
・
庭師『魂魄 妖夢』は、ゲームが始まってからずっと、とある人物を探していた。
妖夢「幽々子様、どこいったのかなあ・・・・・。」
そんな折、一件の民家を見つける。
妖夢「ここに隠れてたり、しないかな。」
少しばかりの期待をよせ、妖夢は民家に入る。
しかし、そこで見た物は、
妖夢「・・・・・キョンシー?」
ではなく、頭にナイフを立てられた、中国っぽい妖怪の死体。
妖夢「このナイフ・・・・。あの犬ね。」
とりあえず、探している人物でないことを確認した妖夢は、民家を後にする。
妖夢「幽々子様、私が参るまで、どうかご無事で・・・・・。」
・
・
・
ルナサ「・・・・・・・・・・。」
『ルナサ・プリズムリバー』は、目的がないので、とりあえず歩いていた。
ルナサ「・・・・・・・・・二人を見つけても、きっとロクなことにならない。」
そうつぶやいてみた矢先
リリカ「あ、姉さんみ~つけた!」
ルナサ「リリカ・・・。」
ルナサの妹にして、見つけるとロクでもないことになると言わしめる『リリカ・プリズムリバー』が現われた。
リリカは、姉に向かって走りよる。
リリカ「ねえさ~ん!会いたかったよ~!」
ルナサ「(!殺気)。」
ブン!
リリカは、持っていたキーボードで、姉に攻撃を仕掛けた。
それを避けるルナサ。
ルナサ「・・・・・・危なかった。」
リリカ「姉さん、何で避けるの~?」
ルナサ「キーボードで直接攻撃だなんて、避けたくもなるよ。」
リリカ「残念。」
ルナサ「残念じゃない。で、殺る気?」
(BGM:幽霊楽団 ~ Phantom Ensemble)
リリカ「えへへ~。」
ルナサ「えへへ~、じゃない。・・・・本気、らしいね。」
お互いに臨戦態勢をとる。
そして
リリカ「じゃ~んけ~ん!」
ルナサ「!!」
ぽん
リリカ「(グー)。」
ルナサ「(パー)。」
何故かジャンケン。
そして
バキィ!
ルナサ「ぐ・・・・・。」
グーで姉をぶん殴る妹。
リリカ「わ~い。試合に負けて勝負に勝った~!」
ルナサ「・・・・・・・・遺言は、しかと聞いたよ。」
リリカ「ん?」
(BGM:ボーダーオブライフ)
リリカ「あれ?音楽が・・・・・。」
ルナサは、手に持っていたヴァイオリンを握り締めた。
そして
ドガァ!!
リリカ「あう・・・・・・。」
ルナサ「・・・・・・・・。」
一発。
ドガァ!!
リリカ「おう・・・・・・。」
ルナサ「・・・・・・・・。」
もう一発。
そして
バキィ! ドガァ! バキィ! ズガァ! ドカァ!・・・・・・
もう数十発
リリカ「ばたんきゅ~・・・・。」
ルナサ「・・・・・・・・・・。」
ぱた・・・
ヴァイオリンで、思いっきり、無言で、しかも繰り返し妹を殴る姉。
その攻撃に、成す術なく妹は倒れる。
(BGM:停止)
ルナサ「さようなら、リリカ。あなたはいい妹だったけど・・・・。」
?「けど?」
ルナサ「グーで殴ったのがいけなかったのだよ!」
?「そりゃ、痛いわね。でも、妹を殺るなんて、いただけないわねえ。」
ルナサ「って、あなたは・・・・?」
と、次の瞬間、ルナサの周囲に大量のナイフが出現した。
咲夜「だから、おしおきよ。」
ドドドドドドドド!!!
ナイフは全て、ルナサに刺さった。
ルナサ「・・・・・・・・・。」
咲夜「まあ、同僚殺った私も、人のこと言えないかもしれないけどね。」
ルナサ「それは、言えない。」
咲夜「そういうわけで、恨みっこは無しよ。」
ルナサ「どういう理屈なのやら。」
咲夜「・・・・・・・。」
ルナサ「・・・・・・・。」
しばし沈黙。
咲夜「・・・・・・・・・・ちょっと。」
ルナサ「ん?」
咲夜「全身ナイフが刺さってハリネズミ状態なのに、なんで死なないかな?あんたは。」
ルナサ「あ~、それは、ほら、あれだ。」
咲夜「どれよ?」
ルナサ「ギャグキャラは、死なない。」
咲夜「・・・・・・・・・・。」
ルナサ「まあ、そういうわけだけど、私自身をギャグキャラと位置付けるのもあれなので・・・。」
パタ
ルナサ「大人しく倒れておく。」
咲夜「・・・・そうしていて。」
ルナサを倒したのを確認すると、咲夜はその場を去った。
咲夜「・・・・・・・・なんか、納得いかない。」
・
・
・
妖夢は、主人を探していた。
妖夢「どこに隠れておられるのやら・・・・・。」
半分うんざりしている模様。
と、そのとき
妖夢「ん・・・・?」
何かを見つけた。
妖夢「誰かと思えば、ハリネズミ・・・・。」
ルナサ「微妙に違う。」
全身ナイフまみれのルナサだった。
妖夢「もとい、プリズムリバーの。このナイフは、もしや・・・。」
ルナサ「犬肉。」
妖夢「やっぱり。」
ルナサ「殺る気満々みたい。」
妖夢「そう。ところで、うちのお嬢様、見なかった?」
ルナサ「見てない。」
妖夢「そう。それじゃ、お大事に。」
ルナサ「うん。」
妖夢は、去っていった。
妖夢「・・・・・・・・・・ん?」
何かに気付いた。
妖夢「何で、生きてるのかなあ?」
それは、ほら、あれだ。
ギャグキャラは、死なない。
・
・
・
こちらは霊夢一行。
とりあえず家を見つけたので、そこで休憩中。
魔理沙「ほい、お茶だ。人間用だけどな。」
霊夢「ありがと。」
レミリア「さすがに、血は無かったのね。」
霊夢「・・・・・あげないわよ。」
レミリア「大丈夫よ。安心して。」
霊夢「そう?」
レミリア「あなた達の飲んだりなんかしたら、どうなるかわからないし。」
霊夢「何か言った?」
レミリア「いえいえ。何も。」
お茶で一息入れる一行。
霊夢「で。」
魔理沙「ん?」
霊夢「あんた、こっから出るための策があるって言ってたけど。」
魔理沙「ああ、それは秘密だ。」
霊夢「そうじゃなくて、何でこんな突然な状況で、そんなんが思い浮かぶのかなと。」
魔理沙「あ~・・・・・。」
霊夢「ひょっとして、あんた、この馬鹿ゲームがあるってこと、知ってたんじゃないの?」
魔理沙「そうだな、どこから話したものやら・・・・。」
少し間をおいて、語り始める魔理沙。
魔理沙「むか~し、むかし。あるところに、美少女魔法使いとその師匠がおりました。」
レミリア「昔話風ね。」
霊夢「何かごまかそうとしてるんじゃないかしら?」
魔理沙「ある日のこと、ちょっと酒を飲んで気分がよかった師匠は、魔法使いさんにお話を始めました。」
霊夢「うん。」
魔理沙「『なんか、壷の中に蛇とか百足とか入れる呪いって、あったわよね~。』って。」
霊夢「・・・・はあ。」
魔理沙「魔法使いさんは、『いきなり何を言うの?』と聞きました。」
レミリア「ふむふむ。」
魔理沙「すると師匠、『その辺から妖怪とか集めて、それでやってみたら面白いかな~。』と言いました。」
霊夢「・・・・・で?」
魔理沙「魔法使いの少女は嫌な予感がしたので、あの手この手を使って今日のことを知ろうとしました。」
霊夢「・・・・・・。」
魔理沙「めでたし、めでたし。」
レミリア「めでたくないわ。」
霊夢「・・・・・・それで。」
魔理沙「何だ?」
霊夢「あんたは、その事を私らには話さなかったってわけね。」
魔理沙「・・・・・人生、知らない方がいいこともある。」
霊夢「知ってた方がいいこともある。っていうか、これは知るべきことだったわ。」
魔理沙「・・・・・悪かった。悪かったから、その懐に入れた手を、何も出さずに外へ出してくれないか?」
ちょっと危機感を覚える魔理沙。
霊夢「まあ、とっとと出れるって言うんなら、全面的に協力するけど・・・・。」
レミリア「いつまでも、こんなとこに居たくないし。」
魔理沙「協力、感謝するぜ。」
とりあえず話はまとまる。
魔理沙「ま、暫くはここでゆっくりしようぜ。次はいつ休めるかわからん・・・・・。」
ど~ん!
外から音がした。
魔理沙「何だ?」
レミリア「外で誰か戦ってるのかしら?」
霊夢「おちおち休んでいられないわ。」
魔理沙「・・・・・・ジャンケン!!」
レミリア「!」
霊夢「!?」
ポン。
魔理沙「(チョキ)。」
レミリア「(チョキ)。」
霊夢「(パー)。」
魔理沙「そういうことで。」
レミリア「気をつけてね。」
霊夢「何で私一人でいかなきゃいけないのやら・・・・。」
霊夢は、しぶしぶと外の様子を見に行った。
・
・
・
一行が篭城中の家の近くでは、二人の人影による弾幕が展開されていた。
メルラン「めるぽ~。」
一人は『メルラン・プリズムリバー』。
たまに調子が悪いとのことだが、どうやら調子が悪いらしい。
チルノ「も~!何なのよ、こいつ!」
もう一人は、氷精『チルノ』。
調子の悪いメルランに襲われたようである。
霊夢「・・・・・・・・。」
その様子を見ていた霊夢。
霊夢「関わらないほうが、身のためね・・・・。」
引き返そうとした。
しかし、
チルノ「ちょっと、そこの紅白!あれ何とかしてよ!」
霊夢「何とかっていったって、どうしろってのよ。」
チルノに声をかけられてしまった。
メルラン「めるぽ~!めるぽ~!」
ど~ん!
霊夢「わ!」
チルノに声をかけられたばかりに、霊夢もその標的に入ったようである。
霊夢「やるしか、ないようね・・・。」
チルノ「じゃ、あとよろしくね。」
ダッ!
その場から走り去るチルノ。
霊夢「こら~!こんなん押し付けて逃げるな~!」
メルラン「こんなんとは、失礼ね。」
メルランが普通に話し掛けてきた。
霊夢「・・・・正気になったの?」
メルラン「私はいつでも普通よ。」
霊夢「さっきのは普通には見えなかった。」
メルラン「きっと気のせいよ。」
霊夢「・・・・・まあ、こうして問答していても埒があかないので。」
メルラン「ので?」
霊夢「ちょっと、お払いでも・・・・・。」
そう言って霊夢はお払い棒を振りかざし、
ガッ!
メルラン「めるぽ・・・・・・。」
ドサ・・・
メルランを思いっきりぶん殴った。
メルランは、その場に倒れ伏す。
霊夢「これで事件は解決ね。」
そう霊夢はつぶやいて、とっとと篭城中の民家に帰っていった。
・
・
・
チルノ「あ~、酷い目にあった・・・・。」
メルランの相手を霊夢に押し付けて逃げてきたチルノは、一息ついていた。
チルノ「これからどうしようかな・・・・・。って、あら?」
チルノは何かを見つける。
藍「・・・・・・・・・・。」←(スペル発動のポーズで)
チルノ「変わった地蔵ね。」
なんか、狐って感じの地蔵を見つけた。
余りに怪しいので、チルノはとりあえず近づいてみることにした。
藍「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」←(例のポーズで)
チルノ「ん~、なんか、どっかで見たような気が・・・・。」
地蔵をジロジロと見るチルノ。
と、そのとき
藍「わああああああ~~!!!!」
チルノ「ぎゃあああああああああ~~~~!!!!!!」
地蔵が突然、大声をあげた。
びっくり仰天したチルノ、なりふりかまわず逃げ出す。
藍「お~い、そっちには肥溜めが・・・・・・・。」
どっぽ~ん!
・・・・・チルノは、肥溜めの中に消えていった。
藍「ちょっと驚かせようとしただけだったけど、悪いことしたかな?」
『八雲 藍』はちょっとだけそう思うと、再び地蔵のポーズをとった。
藍「・・・・・・・・(暇だな~)。」
・
・
・
一方で民家。
霊夢が帰ってきた。
霊夢「ただいま~・・・・。」
魔理沙「おう、おかえり。」
レミリア「おかえりなさい。生きてたのね。」
霊夢「まあね。ちょっと疲れたけど。いろんな意味で。」
一息つく霊夢。
しかし、
ザ・・・・。
足音が聞こえた。
霊夢「お客さんみたいね・・・・。」
魔理沙「そうだな。」
霊夢「ロクに落ち着けやしないわ。」
レミリア「どうするの?」
霊夢「魔理沙、次はあんたが行って。」
魔理沙「・・・・・しょうがねえな。」
魔理沙は、外の様子をうかがいに行く。
・
・
・
民家の外。
妖夢は、まだ主人を探していた。
妖夢「幽々子様、いずこに・・・・・。」
辺りを見回す妖夢。
そのとき、背後に気配を感じた。
妖夢「誰・・・・・・?」
と言った瞬間、背後に誰かが現われた。
魔理沙「動くな。」
妖夢は背中をとられる。
妖夢「不覚!」
魔理沙「・・・・動くなよ。動くと・・・・・。」
妖夢「動くと・・・・・?」
魔理沙「私も動く。」
妖夢「じゃあ、動くわ。」
魔理沙「そうか。じゃあ、私も動くぜ。」
妖夢と魔理沙は、お互いに構えを解く。
魔理沙「で、あんたは何してんだ?」
妖夢「幽々子様を探して、こんなみょんなところに来てみたんだけど。」
魔理沙「生憎、この辺にはいないぜ。」
妖夢「そう・・・・・。で、あんたは何を?」
魔理沙「ん~、ひゃんな連中と一緒にいる。」
レミリア「ひゃんな連中って、何?」
魔理沙「見ての通り、こんな感じの。」
霊夢「わかりにくい表現をするな。」
魔理沙「ちょっと、みょんに対抗してみたかっただけだ。」
レミリア「何で?」
霊夢「そういう年頃なのよ。きっと。」
レミリア「反抗期ね。」
霊夢「違いないわ。」
霊夢とレミリアが姿を現す。
一行と妖夢は、情報交換をした。
レミリア「そう。咲夜はやる気満々なのね。」
妖夢「あいつのことだから、あなたは襲わないと思うわ。お嬢さん。」
魔理沙「でも、私らは襲われるな。きっと。」
霊夢「あんなの相手にしてたら、しんどいだけよ。何とかならない?」
レミリア「それじゃ、私の能力で咲夜に出会わないようにする運命を見出して・・・・。」
魔理沙「一方で、被害者が増えるわけか。」
霊夢「残念だけど、あんたのとこのお嬢様は見かけなかったわ。」
妖夢「そう・・・・。」
魔理沙「ま、そう気を落とすなって。」
霊夢「で、ものは相談だけど・・・。」
妖夢「何?」
霊夢「私達と一緒に来ない?味方は多いほうがいいわ。多分。」
妖夢「・・・・・・・。」
魔理沙「そうだな。そっちのお嬢様も味方になれば戦力もアップするしな。」
妖夢「・・・・・残念だけど・・・。」
妖夢は少し下を向いたあと、言葉を続ける。
妖夢「私は、幽々子様を探すのに専念したいの。申し出は有難いんだけど・・・・。」
霊夢「そう。残念ね。」
レミリア「でも、一人は結構危険よ?」
妖夢「覚悟の上よ。」
魔理沙「それじゃあ、止めようがねえな。」
妖夢「でも、幽々子様を見つけたら、そのときは・・・。」
霊夢「そのときに、期待させてもらうわ。」
そして妖夢は去ろうとする。
魔理沙「ああ、待った。」
妖夢「?」
魔理沙「狼煙の代わりだ。『マスタースパーク』もってけ。」
妖夢「いいの?」
魔理沙「探し物が見つかったら、迷わずこれを撃ちな。」
妖夢「わかった。」
レミリア「今、あなたの運命を見てみたけど、絶対に会えるって事だけはわかったわ。」
妖夢「本当?」
レミリア「ほんとよ。」
妖夢「ありがとう。私にはそれだけで充分よ。」
霊夢「ま、気をつけて行きなさい。」
妖夢「お互いにね。それじゃ。」
一行に見送られ、妖夢は去っていった。
・
・
・
フランドールは、標的を探して徘徊していた。
そして、その後を追う黒い影。
レティ「・・・・・・・・流石に、強いわね。」
後を追うのは、黒幕こと『レティ・ホワイトロック』。
彼女は、たまたまフランドールを見つけて以来、ずっと後をつけていた。
レティ「でも、いくら強くても、巫女魔女メイドと戦っては、消耗も激しいはず。」
小声で独り言。
レティ「そして、消耗しきったところで私が出て行って、見事撃墜・・・。そして私は真の黒幕に!」
ちょっと大きな声になる。
レティ「っと、いけないいけない。黒幕は黒幕らしく、闇に隠れてないと・・・。」
そう言ってフランドールを追いかける。
と、そのとき
ピンポンパンポーン
魅魔『あ~、あ~。元気かね、諸君。』
このゲームの黒幕による放送が流れ始めた。
魅魔『それでは、脱落者の発表~。ええと、ちんどん屋三姉妹。後は、いっぱいいっぱいな妖精ね。』
レティ「・・・・・恋娘はやられたか。残念ね。」
魅魔『次に、禁止エリアの発表~。禁止エリアは・・・・・。』
禁止エリアが発表される。
魅魔『・・・以上。あと十秒以内に出て下さい。例によって、先生が弾幕結界に引きずり込んでくれるからね。』
レティ「って、ここ、禁止エリア?」
自称黒幕、ちょっとあせる。
魅魔『そんなわけで、とっとと出ないと、先生が・・・、って、こら。』
紫『・・・・・・・・・・』←(寝てるらしい)
魅魔『起きろ。仕事しろ。』
紫『・・・・・・・・・。』←(寝てるらしい)
魅魔『起きろ~~!!』
一方では真の黒幕も、ちょっとあせる。
レティ「で、妹君は・・・・・。」
フランドールは何故か、そこでボーっとしている。
レティ「な、何で動かないのよ?ここは禁止エリアにされるっていうのに・・・・・。」
黒幕、かなりあせる。
レティ「あと五秒。仕方ないわね。ここから逃げて・・・・。って?」
ふと、フランドールのいる方を見てみる。
すると、フランドールの姿は、どこにもなかった。
レティ「うそ・・・。何で・・・?」
黒幕、驚愕する。
そして
紫「ふぁ~。いちめいさま、ごあんな~い・・・・。」
レティ「ち、ちょっと待った!そこに妹君が・・・・。」
紫「?そんなのいないでふよ~。寝ぼけてる?」
レティ「いや、寝ぼけてるのはあなたの方・・・・・・。」
紫「いいじゃない~。普通と禁止の境界なんて、曖昧なものなのよ~・・・。」
と、まあ、自称黒幕は、弾幕結界へと放り込まれた。
で、突然消え去ったフランドールは、
フランドール「秘弾『そして誰もいなくなるのか?』・・・。姿を消すことくらい、造作も無いわ。」
そんなものを使って、姿を消していた。
フランドール「全部聞こえてたんだけど。」
そうして、禁止エリア外に姿を現したフランドールは、ゲームを再開した。
・
・
・
で、霊夢一行。
篭城していた民家が禁止エリアになったので、そこから脱出したようである。
レミリア「ねえ。一ついい?」
魔理沙「何だ?」
レミリア「十秒じゃ、明らかに脱出不可だと思うんだけど。」
霊夢「そうね。」
レミリア「じゃあ、何で私たちは脱出できたの?」
魔理沙「あ~、それはだな・・・。」
霊夢「ほら、放送聞いたでしょ?」
レミリア「うん。」
霊夢「あの時、放送を聞く限りでは、先生(紫)が寝てたって判断できるのよ。」
魔理沙「つーか、そうとしか判断しようが無いけどな。」
霊夢「あるいは、禁止エリア内にいた誰かを迎えに行ってたとかね。」
レミリア「ふむふむ。」
魔理沙「このことから、私らが脱出するまで、結構時間があったってわけだ。」
霊夢「実質、時間は五分ぐらいあったのよ。きっと。」
レミリア「なるほど。随分いい加減ね。」
お嬢様、納得。
霊夢「さて、これからどうしたものやら。」
レミリア「とりあえず、休める場所がほしいわね。」
魔理沙「さっきまで休んでたじゃねえか。」
レミリア「仕方ないわよ。私、病弱っ子だから。」
魔理沙「人間に比べたら、遥かに頑丈だよ。心配ない。」
レミリア「あら、あなた達には勝てる自信がないわ。」
霊夢「聞いた?私ら、吸血鬼より丈夫だって。」
魔理沙「ふん。それじゃあ、死ぬことなんざ出来ねえな。」
普通に世間話。
魔理沙「大体、あんたも妹君ぐらい元気に暴れてみるぐらいしたらどうだ?」
霊夢「あんた、ここに来て何もしてないじゃない。」
レミリア「いい年した大人が、私を虐める。私、まだ五百歳なのに・・・・・。うるうる・・・・。」
魔理沙「私らは十代だぜ。きっと。」
霊夢「つまりは、あんたも役に立て、一回ぐらい危ない橋を渡れ、って言ってるのよ。例えば・・・・・。」
ザワザワ・・・・・・
周囲の空気が変わった。
霊夢「・・・・・早速、出番みたいよ。レミリア。」
魔理沙「方々で派手に暴れてるのは、こいつか。」
レミリア「・・・・・・・・。」
何かの気配に気付く三人。
そして
ザ!
フランドール「禁弾『カタディオブトリック』!!」
ど~ん!
レミリア「わ!」
魔理沙「何だ!?」
霊夢「奇襲だなんて、やってくれるじゃない・・・・。」
フランドール先手を打って攻撃してきた。
霊夢「ほら、あの物騒なのをさっさと説得しなさい。」
レミリア「・・・・・・ん~。」
魔理沙「どうした?」
考え込むレミリア。
そして一言、
レミリア「無理。」
と言って、レミリアは後方に駆け出した。
霊夢「あ、待て!」
魔理沙「逃がすか!」
フランドール「逃がさないわ。」
レミリアを追っかける人間二名。
それを追いかける吸血鬼。
魔理沙「おい、どうして逃げる?」
レミリア「説得は無理なのよ。」
霊夢「どうして?」
フランドール「禁弾『スターボウブレイク』!」
ダダダダダダ!!
無数の弾が、直線上にいる三人を襲う。
魔理沙「ちぃ!」
霊夢「く!」
レミリア「(ぱたぱた)。」←(コウモリ化)
弾幕を避ける三人。
レミリア「わかった?」
霊夢「あんたがズルしたのは、わかった。」
レミリア「あいつも、殺る気満々なのよ。しかも咲夜と違って、私も標的に入ってるわ。」
魔理沙「さて、どうするかね。」
霊夢「迎え撃つ?」
魔理沙「そうだな・・・・。」
霊夢の言葉に、魔理沙は覚悟を決め、
魔理沙「それじゃ、任せたぜ!」
ぴゅ~!
自慢のスピードで、戦場から離脱した。
霊夢「・・・・・こ、こら~!」
慌てて後を追う霊夢。
しかし、周知の通り、スピードは魔理沙のほうが速い。
霊夢はどんどん引き離されていく。
霊夢「待て~!置いていくな~!!」
魔理沙「霊夢~!生きてたら、また会おうぜ~!」
レミリア「しっかりね~!」
見るとレミリアは、コウモリのまま魔理沙にくっついている。
霊夢「お、覚えてなさいよ~!!」
魔理沙「そろそろ後ろを気にしたほうがいいんじゃないか~!」
霊夢「!?」
霊夢の後方から、フランドールが迫ってくる。
霊夢「・・・・逃げるか。」
つぶやいた後、さっきとは別方向に逃げ出す霊夢。
しかし、その方向が悪かった。
霊夢「も~、なんでこんな時に限って、勘がはずれるかな~。」
霊夢の目の前には、海が広がっている。
これ以上真っ直ぐ逃げたら、時間無制限弾幕結界の餌食になる。
そして、後方にフランドール。
霊夢「う~ん・・・。殺らなきゃ、殺られるわけね。」
霊夢は臨戦態勢に入った。
フランドール「いつぞのようにはいかないわ。紅白。」
霊夢「元気そうね。妹君。」
フランドール「お蔭様でね。あなた達の保護者さんには感謝しなきゃ。」
霊夢「あんなん、保護者なんかじゃないわ。で、また弾幕ごっこがお望み?」
フランドール「このゲームで、私の弾幕はパワーアップしたわ。」
霊夢「それじゃ、見せてもらおうかしら?」
フランドール「・・・禁忌『クランベリートラップ』!」
戦闘が開始された。
フランドールが使ったスペルカードは、クランベリートラップ。
霊夢「・・・パターン化の典型ね。こんなんがいまさら、私に通用すると思って?」
フランドール「プラス!」
霊夢「!?」
フランドール「禁書『パチュリーがいつも持ってる本』!」
ブン!
フランドールは、懐からブ厚い本を取り出すと、霊夢に向かって投げつけた。
スコーン!
霊夢「うあ・・・・・・。」
本は、霊夢の頭部に命中した。
哀れ霊夢は撃墜され、
ひゅうううううう・・・・・
落下していった。
フランドール「紅白討ち取ったり。」
フランドールは、恐らく殺ったであろう霊夢を振り返ることなく、再び得物を探し始めた。
・
・
・
ザザ~・・・
ザザ~・・・
ここは砂浜。
何の変哲もない砂浜。
普段は何の変哲も無いが、今は変哲があった。
?「気絶したまま落ちてくるなんて、誰かと殺り合ってたみたいね。」
霊夢「・・・・・・・・う~・・・・・・・。」
変哲の一つは、気絶した霊夢。
もう一つの変哲は、その霊夢を抱きかかえる少女。
?「でも、おかげで私にも運が向いてきたかしら。」
少女は霊夢を抱きかかえ、砂浜から姿を消した。
続く
しかし、ここまでよくキャラやシナリオをあわせましたね……凄い。