「ほれ、一杯」
「ん・・・・・」
「どうだ?」
「・・・・所詮は人間の飲むもの、と思ってたけど」
「思ったより美味かった、ってか?」
「まあそんなところね」
「一度飲んだら病み付きになるぜ」
「人間以外でも?」
「・・・そういえば例外もあるな。例えば吸血鬼とか」
「私の舌には合うみたい」
「そうか、そりゃよかった」
魔理沙が珍しく酒を酌み交わしている。一升瓶に書かれた字は『土蜘蛛』、魔理沙お気に入りの土蜘蛛酒だ。
霊夢や咲夜は魔理沙の飲むペースについていけず、
ルーミアやチルノにはまだ酒の味は分からず、
吸血鬼姉妹の舌にはこの酒は合わなかった。
彼の世に住む死人嬢がこれを気に入っていたがそこまで行くのは面倒で、
やっぱり自分に酒の席は無理なのかと諦めかけていた時、ある妖怪にまだ声をかけていない事に気づいた。
彼女ならもしかしたら良き飲み仲間になってくれるかも知れない・・・そう思い酒を勧めてみたら、
これが思いのほか気に入ってもらえたらしい。魔理沙は機嫌がよかった。
「よかったら一本あげるぜ。ウチにまだ沢山あるし」
「いいの?」
「気にするな、一本くらいどうって事ない」
「何だか悪いなぁ、いい物貰っちゃって」
「あー・・・注意する事が二つあるな。一つ目は飲みすぎに注意、二つ目は橙に飲ませない事」
「分かってる。こんな強い酒、橙にはあげられないし飲み過ぎなんてもってのほかだよ」
「賢明な判断だぜ、お狐様」
「『お狐様』なんて仰々しい、『藍』でいいよ・・・・それにしても、久しぶりにいい酒を飲んだ。美味かったな・・・」
窓の外の月に目をやりながら藍はつぶやいた。
『いい酒』『美味かった』という言葉に『味のいい酒を飲んだ』以外の意味が含まれている事を魔理沙はすぐに見抜いた。
酒を飲んでいる時の藍の楽しそうな顔、そして今の遠い目をした藍を見ればすぐ分かる。
「みんなで飲む酒は肴がなくても美味いからな」
「橙の前で酒は飲めない、紫様は酔ったらすぐすき間に入っちゃう・・・私も結構大変なのよ」
「心中察するぜ。私も似たようなものだからさ」
「・・・・今夜は一晩中飲み明かす?」
「私は最初からそのつもりだぜ?」
「はは・・・・・じゃあ、 飲 も う ! 」
「ねえ、私に何を飲ませないって?」
『げ』
魔理沙と藍の声が見事にハモる。真夜中だというのに、橙が起きていたのだ。
「ち、橙!寝てたんじゃなかったのか・・・」
「違うよ、オシッコしたくなってトイレに行こうと思ったら、こっちの部屋が明るかったから」
「・・・まあ、普通は興味を持つよな」
「ねえ藍さま、私に何を飲ませないの?」
「ん?ああ、これだよ、酒だ。まだお前には早い」
「・・・・少しだけ・・・・・・・」
「ダメ」
「うぅ~~~・・・・・」
「橙、もう少し我慢しな。藍だってお前の事を心配してるんだぜ」
魔理沙に頭をポフンと撫でられる。いつもならまず気にしないが、今回だけは『お前はまだ子ども』と馬鹿にされたような気になる。
橙だっていつまでも藍に甘えて守られているだけの子どもじゃない、頭に乗った魔理沙の手を払うと
対・藍用の必殺技『上目遣い』に甘い声も乗せて藍に訴えかけた。
結局橙は藍に甘えるわけだが。
「お願い藍さま、少しだけ、ほんのちょっとでいいから飲ませて・・・・」
「うっ・・・・だ、ダメだ。お前には刺激が強すぎる」
「藍さまぁ・・・・・ダメなの・・・・・・・?」
「そ、そんな目で見るなっ・・・そんな声出すな・・・・うぉぉ・・・・」
「・・・・少しくらいならいいんじゃないか?」
魔理沙の何気ない一言が藍と橙の危うい均衡に一石を投じた。
二人して同時に魔理沙の方を向き、同時に口を開く。
「魔理沙、本当!?本当にお酒飲ませてくれるの?」
「魔理沙、自分で『橙に飲ませるな』って言っといてそれはないんじゃないか!?」
「何かな、このまま放っといたら藍が押し切られそうな気がしたんだよ。だったら潔く退いた方がいいと思ってな」
「甘いよ魔理沙・・・今から橙に変な酒癖が付いたらそれこそ大変じゃないか」
「だからほんの少しだけだって。別に毒じゃないんだし」
「・・・・・・・・・・・・まあ、確かに毒じゃないし、これも勉強の一環だと思えばいいか・・・」
「橙はあんたの式だからな、あんたが自分で判断するんだぜ。ご主人様?」
「・・・むぅ」
しぶしぶコップを橙に渡す藍。魔理沙からしてみれば藍も十分甘い。さらに、何かと理由をつけて自分の甘さを隠そうとしているのがバレバレだ。
こんなに甘いご主人様なのに橙が素直ないい子に育っているのはある意味怪奇現象だな、と魔理沙はそう思ったがそう思うだけにしておいた。
「橙、少しだけだよ。全部飲もうなんて思わないで、ちょっと口に含む程度にしときな」
「うん・・・」
コップを手にした橙は透明の液体をまじまじと見つめ・・・
「・・・・んぐ・・んぐ・・んぐ・・・」
迷わず一気飲みした。
「い・・・」
「一気飲み・・・・」
「私だってしないぜ」
「少しだけって約束したのに・・・・・何で・・・・・」
「あ、あれ・・・・・逆さま・・・?・・・・・・にゃ!」
コップ一杯の酒を飲み干した直後から橙は足元がおぼつかなくなり、天地の区別すらつかなくなり転がるように倒れてしまった。
慌てて藍が駆け寄るが時すでに遅し、コップ一杯の一気飲みでいきなり橙は酔っていた。
「橙!少しだけって言ったのに全部飲む奴があるか!」
「うぇぇ・・・ご、ごめんなさい・・藍さま・・・・・お水みたいで全部・・・飲めそうだと思ったからぁ・・・・・」
「・・・とりあえず酔いを醒まさないと。夜風に当たってこよう」
「うぅ~・・・」
橙を抱っこして部屋を出る藍を見て、魔理沙は大きくため息をついた。
(やれやれだぜ)
「どうだ、橙?少しは楽になったか?」
「んん~~・・・・・」
縁側で藍の膝枕に頭を預けて涼む橙。
普通なら微笑ましい日常のひとコマかも知れないが、今回ばかりは(特に橙にとって)事情が違う。
目眩と吐き気に悩まされながらの膝枕、天国なのか地獄なのか分からない。
「う~、気持ち悪い~・・・・・」
「自業自得・・・じゃないか、今回は。私にも魔理沙にも責任があるな」
「否定はしないぜ」
「何で・・・なんで魔理沙も藍さまもあんなの飲めるのぉ・・・・・?」
「大人だからさ。だけど、橙もあと何年かしたら普通に飲めるようになる」
「ホント・・・?」
「本当さ。その時は3人で飲もうな」
「おい、もしかして私も数に入ってるのか?」
「この場には私たちしかいないじゃない」
「・・・・そうだな。数年後か、覚えてたら3人だけでな」
「約束だよ」
「ああ、約束だぜ」
冬の夜風が、やけに冷たく感じた。
冬の夜にしては、やけに暖かいような気がした。
「藍しゃま~、しっぽフワフワ~~」
「わ!馬鹿、噛み付くなッ」
「橙、酔ってるんだよな・・・こういうのをステロタイプって言うのか?」
「何をわけの分からない事を・・・・・あ、橙噛むなって!痛い痛い痛い」
「酔っ払い、それも悪酔いはヒトでも猫でも錯乱するのか。勉強になるぜ」
「冷静に分析すギャアアア!」
「藍しゃま~♪」
目眩と吐き気から解放された橙はテンション全開&理性半壊、早い話が悪酔いだ。
藍の尻尾を何かの食べ物と勘違いしたか、一度喰らいついたら放さない。
痛々しいような微笑ましいような、やっぱり少し痛々しい光景だが、とりあえず平和である事に違いはない。
「うわぁ・・・・自慢の尻尾がぁ・・・・・」
「橙に悪気はないんだし、許してやりな」
「・・・今回だけは許す。だけど、次やった時はちゃんと躾けないと」
「ご主人様も大変だな」
「大変さ・・・でもやり甲斐っていうか育て甲斐はあるよ」
いつの間にか橙は眠っていた。
暴れ疲れたか酒がいよいよ回ってきたか、とりあえず寝ている時だけは橙も大人しいものだ。
「育て甲斐か・・・まあ一緒にいて飽きる事はない奴だな」
「今だけさ、こんなに騒がしいのもこんなに元気一杯なのも」
「コイツが酒に慣れる頃は・・・」
「全く別物の橙だよ。外見も中身も」
「今だけなんだな、私たちもコイツと一緒にはしゃいでいられるのも」
「・・・・・さて、私たちもそろそろ眠くなってきたな。これにてお暇するぜ」
「泊まっていきなよ。アンタの家って結構遠いんでしょ?」
「・・・いいのか?私は遠慮しないぜ?」
「一晩くらい、どうって事ない」
その晩、魔理沙と藍は同じ布団で眠った・・・といっても間に橙を挟んで橙の添い寝という形だが。
1人用の布団に3人が入ろうとしても到底無理がある。橙しか満足に布団に入れていないのだが、それでも誰も文句を言わない。
むしろ幸せそうな顔で眠っていた。
「うにゃぁ・・・藍しゃま、魔理沙、大好き~~・・・・・・・」
もしかしたら夢の中にいる橙が一番幸せなのかも知れないが。
「ん・・・・・」
「どうだ?」
「・・・・所詮は人間の飲むもの、と思ってたけど」
「思ったより美味かった、ってか?」
「まあそんなところね」
「一度飲んだら病み付きになるぜ」
「人間以外でも?」
「・・・そういえば例外もあるな。例えば吸血鬼とか」
「私の舌には合うみたい」
「そうか、そりゃよかった」
魔理沙が珍しく酒を酌み交わしている。一升瓶に書かれた字は『土蜘蛛』、魔理沙お気に入りの土蜘蛛酒だ。
霊夢や咲夜は魔理沙の飲むペースについていけず、
ルーミアやチルノにはまだ酒の味は分からず、
吸血鬼姉妹の舌にはこの酒は合わなかった。
彼の世に住む死人嬢がこれを気に入っていたがそこまで行くのは面倒で、
やっぱり自分に酒の席は無理なのかと諦めかけていた時、ある妖怪にまだ声をかけていない事に気づいた。
彼女ならもしかしたら良き飲み仲間になってくれるかも知れない・・・そう思い酒を勧めてみたら、
これが思いのほか気に入ってもらえたらしい。魔理沙は機嫌がよかった。
「よかったら一本あげるぜ。ウチにまだ沢山あるし」
「いいの?」
「気にするな、一本くらいどうって事ない」
「何だか悪いなぁ、いい物貰っちゃって」
「あー・・・注意する事が二つあるな。一つ目は飲みすぎに注意、二つ目は橙に飲ませない事」
「分かってる。こんな強い酒、橙にはあげられないし飲み過ぎなんてもってのほかだよ」
「賢明な判断だぜ、お狐様」
「『お狐様』なんて仰々しい、『藍』でいいよ・・・・それにしても、久しぶりにいい酒を飲んだ。美味かったな・・・」
窓の外の月に目をやりながら藍はつぶやいた。
『いい酒』『美味かった』という言葉に『味のいい酒を飲んだ』以外の意味が含まれている事を魔理沙はすぐに見抜いた。
酒を飲んでいる時の藍の楽しそうな顔、そして今の遠い目をした藍を見ればすぐ分かる。
「みんなで飲む酒は肴がなくても美味いからな」
「橙の前で酒は飲めない、紫様は酔ったらすぐすき間に入っちゃう・・・私も結構大変なのよ」
「心中察するぜ。私も似たようなものだからさ」
「・・・・今夜は一晩中飲み明かす?」
「私は最初からそのつもりだぜ?」
「はは・・・・・じゃあ、 飲 も う ! 」
「ねえ、私に何を飲ませないって?」
『げ』
魔理沙と藍の声が見事にハモる。真夜中だというのに、橙が起きていたのだ。
「ち、橙!寝てたんじゃなかったのか・・・」
「違うよ、オシッコしたくなってトイレに行こうと思ったら、こっちの部屋が明るかったから」
「・・・まあ、普通は興味を持つよな」
「ねえ藍さま、私に何を飲ませないの?」
「ん?ああ、これだよ、酒だ。まだお前には早い」
「・・・・少しだけ・・・・・・・」
「ダメ」
「うぅ~~~・・・・・」
「橙、もう少し我慢しな。藍だってお前の事を心配してるんだぜ」
魔理沙に頭をポフンと撫でられる。いつもならまず気にしないが、今回だけは『お前はまだ子ども』と馬鹿にされたような気になる。
橙だっていつまでも藍に甘えて守られているだけの子どもじゃない、頭に乗った魔理沙の手を払うと
対・藍用の必殺技『上目遣い』に甘い声も乗せて藍に訴えかけた。
結局橙は藍に甘えるわけだが。
「お願い藍さま、少しだけ、ほんのちょっとでいいから飲ませて・・・・」
「うっ・・・・だ、ダメだ。お前には刺激が強すぎる」
「藍さまぁ・・・・・ダメなの・・・・・・・?」
「そ、そんな目で見るなっ・・・そんな声出すな・・・・うぉぉ・・・・」
「・・・・少しくらいならいいんじゃないか?」
魔理沙の何気ない一言が藍と橙の危うい均衡に一石を投じた。
二人して同時に魔理沙の方を向き、同時に口を開く。
「魔理沙、本当!?本当にお酒飲ませてくれるの?」
「魔理沙、自分で『橙に飲ませるな』って言っといてそれはないんじゃないか!?」
「何かな、このまま放っといたら藍が押し切られそうな気がしたんだよ。だったら潔く退いた方がいいと思ってな」
「甘いよ魔理沙・・・今から橙に変な酒癖が付いたらそれこそ大変じゃないか」
「だからほんの少しだけだって。別に毒じゃないんだし」
「・・・・・・・・・・・・まあ、確かに毒じゃないし、これも勉強の一環だと思えばいいか・・・」
「橙はあんたの式だからな、あんたが自分で判断するんだぜ。ご主人様?」
「・・・むぅ」
しぶしぶコップを橙に渡す藍。魔理沙からしてみれば藍も十分甘い。さらに、何かと理由をつけて自分の甘さを隠そうとしているのがバレバレだ。
こんなに甘いご主人様なのに橙が素直ないい子に育っているのはある意味怪奇現象だな、と魔理沙はそう思ったがそう思うだけにしておいた。
「橙、少しだけだよ。全部飲もうなんて思わないで、ちょっと口に含む程度にしときな」
「うん・・・」
コップを手にした橙は透明の液体をまじまじと見つめ・・・
「・・・・んぐ・・んぐ・・んぐ・・・」
迷わず一気飲みした。
「い・・・」
「一気飲み・・・・」
「私だってしないぜ」
「少しだけって約束したのに・・・・・何で・・・・・」
「あ、あれ・・・・・逆さま・・・?・・・・・・にゃ!」
コップ一杯の酒を飲み干した直後から橙は足元がおぼつかなくなり、天地の区別すらつかなくなり転がるように倒れてしまった。
慌てて藍が駆け寄るが時すでに遅し、コップ一杯の一気飲みでいきなり橙は酔っていた。
「橙!少しだけって言ったのに全部飲む奴があるか!」
「うぇぇ・・・ご、ごめんなさい・・藍さま・・・・・お水みたいで全部・・・飲めそうだと思ったからぁ・・・・・」
「・・・とりあえず酔いを醒まさないと。夜風に当たってこよう」
「うぅ~・・・」
橙を抱っこして部屋を出る藍を見て、魔理沙は大きくため息をついた。
(やれやれだぜ)
「どうだ、橙?少しは楽になったか?」
「んん~~・・・・・」
縁側で藍の膝枕に頭を預けて涼む橙。
普通なら微笑ましい日常のひとコマかも知れないが、今回ばかりは(特に橙にとって)事情が違う。
目眩と吐き気に悩まされながらの膝枕、天国なのか地獄なのか分からない。
「う~、気持ち悪い~・・・・・」
「自業自得・・・じゃないか、今回は。私にも魔理沙にも責任があるな」
「否定はしないぜ」
「何で・・・なんで魔理沙も藍さまもあんなの飲めるのぉ・・・・・?」
「大人だからさ。だけど、橙もあと何年かしたら普通に飲めるようになる」
「ホント・・・?」
「本当さ。その時は3人で飲もうな」
「おい、もしかして私も数に入ってるのか?」
「この場には私たちしかいないじゃない」
「・・・・そうだな。数年後か、覚えてたら3人だけでな」
「約束だよ」
「ああ、約束だぜ」
冬の夜風が、やけに冷たく感じた。
冬の夜にしては、やけに暖かいような気がした。
「藍しゃま~、しっぽフワフワ~~」
「わ!馬鹿、噛み付くなッ」
「橙、酔ってるんだよな・・・こういうのをステロタイプって言うのか?」
「何をわけの分からない事を・・・・・あ、橙噛むなって!痛い痛い痛い」
「酔っ払い、それも悪酔いはヒトでも猫でも錯乱するのか。勉強になるぜ」
「冷静に分析すギャアアア!」
「藍しゃま~♪」
目眩と吐き気から解放された橙はテンション全開&理性半壊、早い話が悪酔いだ。
藍の尻尾を何かの食べ物と勘違いしたか、一度喰らいついたら放さない。
痛々しいような微笑ましいような、やっぱり少し痛々しい光景だが、とりあえず平和である事に違いはない。
「うわぁ・・・・自慢の尻尾がぁ・・・・・」
「橙に悪気はないんだし、許してやりな」
「・・・今回だけは許す。だけど、次やった時はちゃんと躾けないと」
「ご主人様も大変だな」
「大変さ・・・でもやり甲斐っていうか育て甲斐はあるよ」
いつの間にか橙は眠っていた。
暴れ疲れたか酒がいよいよ回ってきたか、とりあえず寝ている時だけは橙も大人しいものだ。
「育て甲斐か・・・まあ一緒にいて飽きる事はない奴だな」
「今だけさ、こんなに騒がしいのもこんなに元気一杯なのも」
「コイツが酒に慣れる頃は・・・」
「全く別物の橙だよ。外見も中身も」
「今だけなんだな、私たちもコイツと一緒にはしゃいでいられるのも」
「・・・・・さて、私たちもそろそろ眠くなってきたな。これにてお暇するぜ」
「泊まっていきなよ。アンタの家って結構遠いんでしょ?」
「・・・いいのか?私は遠慮しないぜ?」
「一晩くらい、どうって事ない」
その晩、魔理沙と藍は同じ布団で眠った・・・といっても間に橙を挟んで橙の添い寝という形だが。
1人用の布団に3人が入ろうとしても到底無理がある。橙しか満足に布団に入れていないのだが、それでも誰も文句を言わない。
むしろ幸せそうな顔で眠っていた。
「うにゃぁ・・・藍しゃま、魔理沙、大好き~~・・・・・・・」
もしかしたら夢の中にいる橙が一番幸せなのかも知れないが。