氷の精・チルノはあまり頭がよくない
……と言われているが、じじつ、そうなのだろう
「やい黒いの! こんなところで何してチルノ?」
「見てわからんか」
「わからないから聞いてるんだチルノ!」
「釣りだよ、釣り。こうして糸を垂らして、魚を釣るんだ」
「ふ~ん……そんなもの、パッパッと魔法でやっちゃえばいいのにチルノ」
「あえて、こうして手間をかけることに意義があるんだよ。釣りってのはそんなもんだ」
「ふ~~ん……人間の考えることは意味がわからなチルノ」
「……どうでもいいけど、その語尾は何なんだ」
「へっへー、頭良さそうチルノ?」
「ああ……まぁ、どうかな」
「こうやって自分の名前を語尾につけると、頭が良く見えるって教えてもらったチルノ!!」
「あ……そ」
「へへーん。あ、あんたも真似したかったらしてもいいチルノ」
「ああ……そうだな。考えておくよ……で、誰に教わったんだ、そんな豆知識?」
「そんなの、ホワイトロックの姉御に決まってチルノ!」
「なるほどね……おっ、かかったかな」
「っと、こんなとこでグズグズしてらんなチルノ! じゃあせいぜい短い人生を無駄に浪費するがいいチルノ!!」
「……逃げられた」
氷の精・チルノは頭がよくないという
……じっさい、そうとしか取りようがない
「あ、黒いアレ! 相変わらず陰気なツラしてるチルノチルノ!!」
「そうかね」
「ん? 何さ、今日もまた釣りしてチルノチルノ?」
「そう見えるか?」
「んん~~……どっちかっていうと、自分の墓穴掘ってるとかチルノチルノ?」
「そんな訳ないだろ。かまくらをこしらえてるんだよ」
「ふ~~ん……でもそれこそ、魔法でピッポッとやっちゃえばいいチルノチルノ」
「そうじゃないんだよ。自分でつくったかまくらの中で焼いた餅の味が格別なのさ。……どうでもいいけど、その語尾はどうなってるんだ」
「ン? こうするともっともーっと頭が良く見えるってホワイトロックの姉御に教わったんだチルノチルノ!! そうざっと二倍は良く見えるんだチルノチルノ!!」
「あ……そう」
「おっと、あんたみたいな暇人につきあってる場合じゃなかったチルノチルノ!! 無意味な行為で寿命を縮めるがいいチルノチルノ!!」
「……コタツはあったかな?」
氷の精・チルノは頭が悪い
……自分の愚かさに気づかないていどには
「チルノ? チルチルチルーノ! チルノチルノ?」
「(たぶん『何やってるんだ?』って聞いてるんだろうな)見ればわかるだろ? 雪解け水を集めてるのさ」
「チルノチルノ? チルノーチルノー? チルノノ?」
「ん? 雪解け水を使うとな、いい酒が出来るんだよ。雪解け水は分子結合が……って、そんなこと説明してもわからないか」
「チルーノ! チルチルノッ!!」
「しかし今日はかくべつ訳がわからないな……それも、教わったのか?」
「…………チルノ」
「え、違う? あの白い奴に教わったんじゃないのか?」
「…………チルノー、チルノ、チルノ……」
「……そうか」
あの妖怪は、冬の住人だから
今は、もう、いないのだ
残されたチルノは、自分なりに
自分なりに、考えて――
「お前は」
「チルノ?」
「存外、かしこいな」
「チルノッ!!」
氷の精は胸を張った
当たり前だ、と言いたげに
雪解け水は冷たいな、と霧雨魔理沙は思った
……と言われているが、じじつ、そうなのだろう
「やい黒いの! こんなところで何してチルノ?」
「見てわからんか」
「わからないから聞いてるんだチルノ!」
「釣りだよ、釣り。こうして糸を垂らして、魚を釣るんだ」
「ふ~ん……そんなもの、パッパッと魔法でやっちゃえばいいのにチルノ」
「あえて、こうして手間をかけることに意義があるんだよ。釣りってのはそんなもんだ」
「ふ~~ん……人間の考えることは意味がわからなチルノ」
「……どうでもいいけど、その語尾は何なんだ」
「へっへー、頭良さそうチルノ?」
「ああ……まぁ、どうかな」
「こうやって自分の名前を語尾につけると、頭が良く見えるって教えてもらったチルノ!!」
「あ……そ」
「へへーん。あ、あんたも真似したかったらしてもいいチルノ」
「ああ……そうだな。考えておくよ……で、誰に教わったんだ、そんな豆知識?」
「そんなの、ホワイトロックの姉御に決まってチルノ!」
「なるほどね……おっ、かかったかな」
「っと、こんなとこでグズグズしてらんなチルノ! じゃあせいぜい短い人生を無駄に浪費するがいいチルノ!!」
「……逃げられた」
氷の精・チルノは頭がよくないという
……じっさい、そうとしか取りようがない
「あ、黒いアレ! 相変わらず陰気なツラしてるチルノチルノ!!」
「そうかね」
「ん? 何さ、今日もまた釣りしてチルノチルノ?」
「そう見えるか?」
「んん~~……どっちかっていうと、自分の墓穴掘ってるとかチルノチルノ?」
「そんな訳ないだろ。かまくらをこしらえてるんだよ」
「ふ~~ん……でもそれこそ、魔法でピッポッとやっちゃえばいいチルノチルノ」
「そうじゃないんだよ。自分でつくったかまくらの中で焼いた餅の味が格別なのさ。……どうでもいいけど、その語尾はどうなってるんだ」
「ン? こうするともっともーっと頭が良く見えるってホワイトロックの姉御に教わったんだチルノチルノ!! そうざっと二倍は良く見えるんだチルノチルノ!!」
「あ……そう」
「おっと、あんたみたいな暇人につきあってる場合じゃなかったチルノチルノ!! 無意味な行為で寿命を縮めるがいいチルノチルノ!!」
「……コタツはあったかな?」
氷の精・チルノは頭が悪い
……自分の愚かさに気づかないていどには
「チルノ? チルチルチルーノ! チルノチルノ?」
「(たぶん『何やってるんだ?』って聞いてるんだろうな)見ればわかるだろ? 雪解け水を集めてるのさ」
「チルノチルノ? チルノーチルノー? チルノノ?」
「ん? 雪解け水を使うとな、いい酒が出来るんだよ。雪解け水は分子結合が……って、そんなこと説明してもわからないか」
「チルーノ! チルチルノッ!!」
「しかし今日はかくべつ訳がわからないな……それも、教わったのか?」
「…………チルノ」
「え、違う? あの白い奴に教わったんじゃないのか?」
「…………チルノー、チルノ、チルノ……」
「……そうか」
あの妖怪は、冬の住人だから
今は、もう、いないのだ
残されたチルノは、自分なりに
自分なりに、考えて――
「お前は」
「チルノ?」
「存外、かしこいな」
「チルノッ!!」
氷の精は胸を張った
当たり前だ、と言いたげに
雪解け水は冷たいな、と霧雨魔理沙は思った
心の師に認定しておきます。大分前から認定済みでしたが。
「チルノチルノ」、いいですね。
ギャグのようでしんみりとしたお話をありがとうございます。
素敵な体験をありがとうございましたこのはずし
単なる馬鹿ではない。かと言って実は頭が良いということでもない。
馬鹿なんだけど、チルノは、チルノなりに頑張っているんですね。