──それは舞か。
扇と蝶と、可憐な少女の。──
淡く輝く蝶が舞う。
地に水平に円を描く扇を追って。
円の中心に、桜色の髪。
淡く輝く蝶が舞う。
地に水平に伸ばされた扇に押され。
扇を持つは、白き腕。
蝶が、その形を変える。
扇が再び円を描く。
数周の後、ぴたりと止まった扇がゆっくりと天を指す。
形を変えた蝶、霊魂がその上に集う。
扇が、振り下ろされる。
それを合図に、霊魂がどこかを目指して進みだした。
足並み揃わぬ不恰好な行進は、渦巻くように尾を引いて進む。
目指す先は、現世。
強固な結界を越え、やがて霊魂は幻想郷へと散っていく。
少女が一人取り残された。
腕を水平に、扇を構えたまま。
やがて雨が降り出した。
幻想郷と「こちら側」との結界の境。
すきま妖怪、八雲紫は空を見ていた。
別段何かあったわけではない。 単純に暇をもてあましていたので、迫り来る雨雲を見上げていたのだ。
「……あら?」
空に何か、ふよふよと漂うものがある。
しばらく観察していると、どうやらそれは霊魂のようだった。
本来ならば転生してきた霊魂はすぐに新しい命の元へを向かうはずだ。
今の冥界には幽々子という──紫の友人でもある──姫がいる。
彼女は直接転生に関与できないとはいえ、死霊を操る力を持ちいて霊魂の後押しをしているはずだ。
より確実に結界を越えられるように、より確かに転生できるように。
それが出来ていないとすれば──
「…何事もなければいいけど。」
言いながら紫は言いようの無い不安が消えないことに気がついた。
「……藍、ちょっと出かけてくるわよ。」
式神の返事を待たず、紫はいつの間にか開かれていたすきまの中に消えていった。
秋色の冥界は、土砂降りの雨に見舞われていた。
冥界にある白玉楼。 「姫」である西行寺幽々子の住む屋敷である。
とにかく広大である白玉楼の庭には、数えきるのが不可能とすら思えるほどの桜の木が備わっている。
その中にあってなお他の桜を圧倒する大木、西行妖の下に一人の少女がいた。
──腕を水平に伸ばし──
──扇紙が雨に流され、骨だけになってしまった扇を持った──
亡霊の姫、西行寺幽々子がそこにいた。
虚ろな目、真っ白な顔。
雨に濡れて顔に張り付いた桜色の髪。
「まるで古風な幽霊のようね。」
叩きつける雨の音にかき消されそうな誰かの声は、なぜか幽々子にははっきりと聞こえた。
幽々子は腕を下ろし、顔だけで振り向く。
振り向いた先には何も無かった。
何も無かったが、何かがあった。
中空に裂け目が走り、それが左右に割れると、中から傘を差した妖怪が現れる。
「……久しぶりね。 ようこそ、紫。 死に満ちた、ここ白玉楼へ。」
現れたすきま妖怪の紫は幽々子の様子を見て、気取られぬ程度に表情を曇らせた。
もっとも、今の幽々子に表情を読む程の冷静さは感じられないが。
紫の後ろにあったすきまが縦から横に形を変えると紫はそこに腰掛け、幽々子に近づく。
幽々子の隣まで行くと、紫は自分が濡れることも構わずにずぶ濡れの幽々子に傘を差す。
「久しぶり、亡霊の君。 水の滴るよう、というのは形容よ。綺麗な顔が台無しだわ。」
空いている手で優しく髪を梳く。
「わかっているわよ…。 たまには振られてみただけ。」
幽々子は傘を差す紫の手を押し返し、再び雨に晒される。
紫はそれ以上なにもせず、おとなしく自分の上に傘を差した。
「…今日、『迷子』が居たわよ。 何かあったのかしら?」
僅かに続いていた沈黙を紫が破る。
「迷うか迷わないかはあの子達次第。 ……現世のことは、私には分からないわ。」
紫はその言葉ですでに幽々子が沈んでいる理由に気がついたが、だからと言ってかける言葉は浮かんでこなかった。
「ねぇ………紫?」
言葉とともに紫に背を向ける。
紫は無言で幽々子の言葉を待った。
「今日もまた、幾らかの魂の背を押した。昨日も、一月前も、一年前も。
……覚えていないくらい昔にも。」
幽々子は西行妖を見上げる。葉の一つも無い枯れたかのような大木。
「私がここに来てから転生してない魂は、もう、ずっと前から私だけなの。」
震えていた。 自分で自分を抱きしめるように。
「生者には死という終わりがある。そして死者には転生という未来がある。
だって言うのに私はずっとここに居る。…私は本当に死者なのかしらね?」
問いかけに、紫がようやく口を開く。
「それは死者の定義を聞きたいの?それとも、見えない未来を憂いているだけかしら?」
「どちらもよ。 …記憶すらない生者の頃では、死者の証にはならないわ。
そして転生という終わりが来ない事を、私は少なからず恐怖している。」
その言葉に紫は若干強い口調で返す。
「一つ目に関しては、私が保証する。あなたは生きていて、己を疎んで死んだ人間。 それでは不服?」
幽々子は静かに首を振る。
「二つ目に関しては、寿命の長い妖怪と同じと思えばいい。 私も死という終わりがいつ来るかは分からないわ。」
幽々子は答えない。
多くの魂をが転生するのを見ている以上、自分の、自分だけの異常性をそう簡単には受け入れられないのだろう。
幽々子が納得していないのを察した紫は真実を伝えるべきか思い悩んだ。
つまり。
西行妖のこと、そして幽々子には西行妖の封印が解けるまでなどという、曖昧で恐らくは膨大な寿命があることを、だ。
彼女が強ければ、無限とも言える時間も受け入れられるだろう。
だが弱ければ、移り変わる世界にあって変われない自分を憂い続けるだろう。
紫は幽々子に未来を見て欲しかった。希望の光に満ちた、死者には不似合いなくらい明るい未来を。
だから、封印のことを告げなかった。
雨音以外が聞こえない。
幽々子は俯き押し黙り、紫も目を閉じて何かを考えている様子だった。
やがて紫が目を開き、その沈黙も終らせる。
「幽々子。」
発された声は、どこか哀れむようなものだった。
「確かにあなたは死霊として異常かもしれない。だけれどそんなにそれは悲しむことかしら?」
「どういう……意味?」
かすれた、雨音にかき消されそうな声。
「あなたは今ここに居て、日々を過ごすのは悲しいこと?」
静かに幽々子は首を振る。
「ならそれでいいじゃない。 不確かな未来に悲しむよりは、今を楽しむ方があなたらしいわ。」
やはり幽々子は答えない。
それを見て紫は言葉を続ける。
「それとも……。」
紫を中心に急激に周囲の温度が下がる。
原因は紫の纏っている、
「私が、消してあげましょうか?」
殺気。
こんなものははったりだ。
腑抜けた幽々子に少し活を入れようとしただけ。
しかし。
「……考えておくわ。」
紫はその返答にため息をつきながら、乗っていたすきまから降りる。
「そう。 …気の迷いであっても、そんなことを言うとは思わなかった。」
すきまはその範囲を広げ、見えていた目や手が消えてゆく。
「だとすればこれは、ずいぶんと滑稽な姿ね。」
その代わりに映し出されたのは、どこかの庭のようだった。
「あなたも見たら?きっと面白いわよ。」
言われて幽々子は顔だけを向けてすきまを見る。
その庭は、白玉楼のもの。 一緒に映し出されているのは、
「……妖夢…?」
土砂降りの雨の中、傘もささずに走り回る小柄な少女。
音こそ聞こえないが、時折大きく開かれる口が何かを叫んでいることを伝える。
足元ははねた泥でずいぶんと汚れてしまっている。
時折表情をゆがめ、そのたびに腕で顔を乱暴にこする。顔を上げ、また叫ぶ。
「…まさか、私を探しているの?」
「どう、面白いでしょう? 死にたがりの死人嬢にこんな必死に仕えてるなんて、本当に馬鹿みたい。」
嘲るような紫の言葉。
幽々子は答えず、隙間に歩み寄り手を伸ばす。
だがそこはただ少しばかり歪んだ空間があるだけで、その向こう側に行くことは出来ない。
と、映っている妖夢の足がもつれ、水しぶきを上げながら転倒した。
「あーあ、転んじゃった。ふふ。 ねぇ幽々子、あなたも可笑し──」
言葉を遮り、幽々子は紫の胸倉をつかむ。
「…何かしら?」
細められた刺すような視線。まるで幽々子という存在自体に興味が無いように言葉の温度が低い。
「………。 …妖夢は、何処に居るの?」
手を離し、紫を睨みつけながら問う。 先ほどまでの真っ白い顔は最早無く、僅かに上気している。
紫は首をかしげて、一笑。
「あの子を探してどうするの? 置いて逝くつもりだったんでしょう? そんなことよりさっさと私が……。」
「紫。」
紫の言葉は幽々子の怒気をはらんだ声が遮った。
そこらの妖怪ならそれだけですくんで動けなくなるくらい強烈なやつだ。
「もう一度聞くわ。 妖夢は何処に居るの?」
しかし紫はその怒気などまるでわかっていないように平静なまま答える。
「あの子が何処にいるか。あなたにだけ教えるのは、フェアじゃないわね。
…もしあなたが本当にあの子を思っているのなら、自分の足で探すのが筋じゃなくて?……償いの意味を込めて。」
幽々子の怒気は急速に消え失せ、残されたのはただのずぶ濡れの少女。
「……私は……。」
「目が覚めたかしら?」
幽々子は再び妖夢の映る隙間を見る。
辺りを見回し、叫びながら走り続ける妖夢。
先ほど以上に服が泥で汚れている。きっとまた転んだのだろう。
一度立ち止まった妖夢が突然膝をついた。
彼女は不思議そうに自分の足元を見るまで自分が膝をついたことに気付いていなかったようだ。
きっと走りすぎてもう足がいうことを利かないのだろう。 大体飛んでいない時点で相当疲弊していることがわかる。
それでも妖夢は立ち上がる。忌々しげに自分の足を殴りつけ、震える足で無理やり走る。
走り、叫び、咽る。 膝をつき、手をつき、踏ん張りきれずに無様に倒れる。
だがそれでも。 妖夢は、立ち上がる。 そして叫んだ。
「幽々子様ぁ!!」
泣き出しそうな、いやすでに泣いていたのだろう。
かすれた、まったく美しくも無い妖夢の声が聞こえた。 幽々子の後方から、微かに、でも確かに。
弾かれた様に幽々子は声が聞こえた方角に走り出す。
「待ちなさい。」
しかし紫は幽々子の手を掴み、幽々子を引き止める。
「放してッ!!」
「駄目よ。 最後に一つだけ言っておくことがあるわ。」
しかし幽々子は聞く耳を持たず、先ほどの紫以上の殺気を紫に叩きつける。
だが紫は、笑顔で一言だけ。
「あなたは、幸せ者よ。」
とくん、と。
失って久しい幽々子の心臓が、一度だけ鳴ったような気がした。
紫はそれ以上なにも言わず、そっと手を放す。
幽々子はしばらく紫のその笑顔に見惚れていたが、やがて泣き出す一歩手前の、だけれど笑顔で答えた。
「……ええ、本当に。 ありがとう、紫。」
そう言い残し、幽々子は今度こそ妖夢の声の元へ走り出した。
紫は無言でそれを見送ったが、幽々子の背中が見えなくなるとぽつりと呟いた。
「…あの子の無限に続く未来が、一時でも長く幸福であることを……。」
願う神などいないのに、紫はしばし祈りをささげた。
幽々子は走った。 はねる泥も、鬱陶しい雨も、その一切を無視して妖夢を探す。
宙を飛んで探せばすぐだろう。 しかしそれでは妖夢への償いにはならない。
泥まみれになっても、傷だらけになっても、それは妖夢も同じこと。
だから幽々子は一度だけ聞こえたあの声を頼りに走った。
(広い………。)
妖夢が毎日手入れをしている庭。
宴を催しては散々に散らかり、それを妖夢はいつも一人で片付けていた。
息が上がる。 たしかに声は聞こえたのに、一向に見つからない。
それほどまでに広い庭を、妖夢は一人で管理している。
(頼りないのは、どっちの方よ……。)
護衛が変わって以来、幽々子は妖夢のことを常々頼りないと思っていた。 それがどうだ。
広大な庭を一手に担い、その管理をこなす従者。
その庭の声が届く範囲ですら息を切らしてしまう情け無い主。
主のために傷つくことも構わず忠実に仕える優秀な従者。
己の未来を憂うばかりで、周りも見ずに自身を不幸と思い込んだ愚かな主。
(どこ……?)
大切だと、今更気がついた。 つくづく駄目な主だ、と苦笑する余裕も今は無い。
たとえ未来が不確かだろうと、妖夢と過ごす日常に何を恐れることがあったのだろうか。
ただ、今そこにある幸せをしっかりと握り締めていればそれでよかったのに、それを。
(妖夢………。)
手放してしまったようで。
「……どこにいるの……。」
無くしてしまったようで。
「妖夢……!」
悲しかったから。
「妖夢ーーーっ!!」
幽々子は、叫ばずにはいられなかった。
「幽々子……様…?」
──聞こえた。
大切なひとの声。──
幾千の桜の木のなかでも、とびっきりに見栄えの悪い木に寄りかかっている人影。
幽々子は慌ててその人影を確認する。
泥に汚れた白い髪。
いつもの曲がったタイ、それから。
なぜだろう、視界が滲んでしまって、よく、見えない。
体が上手く動かない。
今すぐにでも駆け出したいのに、まるで足が地面に張り付いてしまったよう。
あのこの名前を呼びたいのに、嗚咽が、邪魔。
それでも何とか一歩踏み出す。 あのこも、同時に。
だけど立っているのがやっとだったあのこは、すぐにバランスを崩してしまう。
「妖夢……!」
魔法が解けたのか、魔法にかかったのか。
体が、動く。 だから走る。
走って、妖夢の体を受け止めた。
「幽々子様……ご無事…だったんですね。」
とくん。
妖夢の、半分の鼓動。
「……良かった………お怪我は、ないですか?」
あなたの方がよほど傷ついているのに、私の心配ばかりして。
ああもう、本当に──
「幽々子様…そんなに抱きしめたら…泥がつきますよ。 私、泥だらけだから。
…どうしたんです? こんなに濡れてしまって。 早く、着替えないと。」
本当に、馬鹿な子。
私には勿体無い位の、本当に本当に大切な、素敵な大馬鹿者。
「ごめんね……妖夢…。 ごめんなさい…。」
「幽々子様……? ……泣いて、いるんですか?」
「…………。」
幽々子は答えなかったが、頬を伝いこぼれる雫が暖かかったのを、妖夢は知っていた。
いつしか雨は止んでいた。
差し込んできた光に気付き、ようやく幽々子は妖夢を放す。
と、
「ずいぶん長かったわね~。 …おアツい事。」
ニヤニヤした紫がいつの間にやら幽々子たちの隣にいた。
「な……っ! ゆ、紫、いつから!?」
「ここに来たのはついさっき。 見ていたところは一部始終。」
紫は心底楽しそうに答えた。
「………!!」
幽々子の顔は、見る間に赤く染まっていく。 ちなみに妖夢はとっくに真っ赤だ。
「いいじゃない、減るものでもないし。 …それにさっきの恩もあるでしょう?」
紫はにこーーっと笑う。
邪気がないはずなのに、なんと邪悪に見えることか。
「……ふ…ふふふふふ…。」
突然幽々子が下を向いて笑い出す。 はっきり言って、不気味だ。
驚いておろおろする妖夢をよそに、紫はまだにこにこしている。
「妖夢。」
ぐりん、と唐突に妖夢の方へ首を向ける幽々子。
「は、はいぃ!!」
びくっとしてから、軽く後ずさりしながら答える妖夢。
「お風呂に入ってらっしゃい。 そのままでは風邪をひくわ。」
「…………え?」
どうやら相当悪い方に考えが行っていたらしい妖夢は、思いのほかまともな命に拍子抜けする。
「ええと……はい。」
妖夢がうなづいたのを見てから、幽々子は再び顔を伏せる。
「ね~ぇ、ゆ~か~りぃ~?」
幽々子の言葉の端々に怒気を感じる。
あまりの迫力に、妖夢はなぜか半笑いになりながらこそこそとその場を退散した。
対して紫は余裕たっぷりといった風である。
「せぇ~っかく久しぶりに会ったんだから、
遊んでいったらどうかしら!!?」
怒りに満ち満ちた顔を上げ、幽々子は怒鳴るように言った。
「ええ、構わないわよ。」
頬に手を当て、僅かに首をかしげ、愉快そうに紫が答えた。
「亡舞!!」
「結界。」
「生者必滅の理─魔境─!!!」
「生と死の境界─発狂─!」
かくして、幻想郷史でも屈指の弾幕ごっこが開幕となるのである。
立ち上る湯気、なみなみと張られた湯、時折聞こえる獅子脅し。
西行寺家自慢の露天風呂である。
無駄ともいえるほど広い浴槽に、幽々子と紫は浸かっていた。
双方、疲労困憊といった風だ。
だんまりのまま浸かっていた二人だが、幽々子が静寂を破る。
「……たまに本気を出すと、こうも疲れるものなのね……。」
「…本当に…ふぁ……。 ねむ………。」
紫はすでに、ここが風呂場でなければすぐにでも眠ってそうな表情だ。
「ところで紫。」
「…ん?」
「あなたもずいぶんと性格の悪いこと。」
「……何のことかしら。」
「妖夢のことよ。 私の所にこれないようにしていたんじゃない?」
紫はにっ、と一度笑ってから、
「さてね。」
と答える。
幽々子が不満げに何か言おうとしたが、再び口を開いた紫に遮られた。
「ただ……。」
紫は人差し指をぴっ、と立てて、
「私は切り札の使い方は、よく知っているつもりだけれど?」
どこか得意げにそう答えた。
「………呆れた。」
言いながらも幽々子は笑みを浮かべていた。
しばらくの静寂の後、幽々子が呟く。
「……紫。
ありがとう。」
「…私より、あの子に言ってあげなさい。」
紫にしては無愛想な調子だったが、湯のせい以上に上気した顔を見て、幽々子は声を上げて笑った。
幽々子はその瞬間、自分が確かに幸せであることを感じた。
ところで。
庭に放心したまま立ち尽くす妖夢。
妖夢の眼前には宴の後など比べ物にならない、無慈悲ほど凄惨な庭。
「…………グレるわよ、ほんとに……。」
弾幕ごっこの片づけを言い渡された妖夢がこう呟いたのは、神のみぞ知る所である。
扇と蝶と、可憐な少女の。──
淡く輝く蝶が舞う。
地に水平に円を描く扇を追って。
円の中心に、桜色の髪。
淡く輝く蝶が舞う。
地に水平に伸ばされた扇に押され。
扇を持つは、白き腕。
蝶が、その形を変える。
扇が再び円を描く。
数周の後、ぴたりと止まった扇がゆっくりと天を指す。
形を変えた蝶、霊魂がその上に集う。
扇が、振り下ろされる。
それを合図に、霊魂がどこかを目指して進みだした。
足並み揃わぬ不恰好な行進は、渦巻くように尾を引いて進む。
目指す先は、現世。
強固な結界を越え、やがて霊魂は幻想郷へと散っていく。
少女が一人取り残された。
腕を水平に、扇を構えたまま。
やがて雨が降り出した。
幻想郷と「こちら側」との結界の境。
すきま妖怪、八雲紫は空を見ていた。
別段何かあったわけではない。 単純に暇をもてあましていたので、迫り来る雨雲を見上げていたのだ。
「……あら?」
空に何か、ふよふよと漂うものがある。
しばらく観察していると、どうやらそれは霊魂のようだった。
本来ならば転生してきた霊魂はすぐに新しい命の元へを向かうはずだ。
今の冥界には幽々子という──紫の友人でもある──姫がいる。
彼女は直接転生に関与できないとはいえ、死霊を操る力を持ちいて霊魂の後押しをしているはずだ。
より確実に結界を越えられるように、より確かに転生できるように。
それが出来ていないとすれば──
「…何事もなければいいけど。」
言いながら紫は言いようの無い不安が消えないことに気がついた。
「……藍、ちょっと出かけてくるわよ。」
式神の返事を待たず、紫はいつの間にか開かれていたすきまの中に消えていった。
秋色の冥界は、土砂降りの雨に見舞われていた。
冥界にある白玉楼。 「姫」である西行寺幽々子の住む屋敷である。
とにかく広大である白玉楼の庭には、数えきるのが不可能とすら思えるほどの桜の木が備わっている。
その中にあってなお他の桜を圧倒する大木、西行妖の下に一人の少女がいた。
──腕を水平に伸ばし──
──扇紙が雨に流され、骨だけになってしまった扇を持った──
亡霊の姫、西行寺幽々子がそこにいた。
虚ろな目、真っ白な顔。
雨に濡れて顔に張り付いた桜色の髪。
「まるで古風な幽霊のようね。」
叩きつける雨の音にかき消されそうな誰かの声は、なぜか幽々子にははっきりと聞こえた。
幽々子は腕を下ろし、顔だけで振り向く。
振り向いた先には何も無かった。
何も無かったが、何かがあった。
中空に裂け目が走り、それが左右に割れると、中から傘を差した妖怪が現れる。
「……久しぶりね。 ようこそ、紫。 死に満ちた、ここ白玉楼へ。」
現れたすきま妖怪の紫は幽々子の様子を見て、気取られぬ程度に表情を曇らせた。
もっとも、今の幽々子に表情を読む程の冷静さは感じられないが。
紫の後ろにあったすきまが縦から横に形を変えると紫はそこに腰掛け、幽々子に近づく。
幽々子の隣まで行くと、紫は自分が濡れることも構わずにずぶ濡れの幽々子に傘を差す。
「久しぶり、亡霊の君。 水の滴るよう、というのは形容よ。綺麗な顔が台無しだわ。」
空いている手で優しく髪を梳く。
「わかっているわよ…。 たまには振られてみただけ。」
幽々子は傘を差す紫の手を押し返し、再び雨に晒される。
紫はそれ以上なにもせず、おとなしく自分の上に傘を差した。
「…今日、『迷子』が居たわよ。 何かあったのかしら?」
僅かに続いていた沈黙を紫が破る。
「迷うか迷わないかはあの子達次第。 ……現世のことは、私には分からないわ。」
紫はその言葉ですでに幽々子が沈んでいる理由に気がついたが、だからと言ってかける言葉は浮かんでこなかった。
「ねぇ………紫?」
言葉とともに紫に背を向ける。
紫は無言で幽々子の言葉を待った。
「今日もまた、幾らかの魂の背を押した。昨日も、一月前も、一年前も。
……覚えていないくらい昔にも。」
幽々子は西行妖を見上げる。葉の一つも無い枯れたかのような大木。
「私がここに来てから転生してない魂は、もう、ずっと前から私だけなの。」
震えていた。 自分で自分を抱きしめるように。
「生者には死という終わりがある。そして死者には転生という未来がある。
だって言うのに私はずっとここに居る。…私は本当に死者なのかしらね?」
問いかけに、紫がようやく口を開く。
「それは死者の定義を聞きたいの?それとも、見えない未来を憂いているだけかしら?」
「どちらもよ。 …記憶すらない生者の頃では、死者の証にはならないわ。
そして転生という終わりが来ない事を、私は少なからず恐怖している。」
その言葉に紫は若干強い口調で返す。
「一つ目に関しては、私が保証する。あなたは生きていて、己を疎んで死んだ人間。 それでは不服?」
幽々子は静かに首を振る。
「二つ目に関しては、寿命の長い妖怪と同じと思えばいい。 私も死という終わりがいつ来るかは分からないわ。」
幽々子は答えない。
多くの魂をが転生するのを見ている以上、自分の、自分だけの異常性をそう簡単には受け入れられないのだろう。
幽々子が納得していないのを察した紫は真実を伝えるべきか思い悩んだ。
つまり。
西行妖のこと、そして幽々子には西行妖の封印が解けるまでなどという、曖昧で恐らくは膨大な寿命があることを、だ。
彼女が強ければ、無限とも言える時間も受け入れられるだろう。
だが弱ければ、移り変わる世界にあって変われない自分を憂い続けるだろう。
紫は幽々子に未来を見て欲しかった。希望の光に満ちた、死者には不似合いなくらい明るい未来を。
だから、封印のことを告げなかった。
雨音以外が聞こえない。
幽々子は俯き押し黙り、紫も目を閉じて何かを考えている様子だった。
やがて紫が目を開き、その沈黙も終らせる。
「幽々子。」
発された声は、どこか哀れむようなものだった。
「確かにあなたは死霊として異常かもしれない。だけれどそんなにそれは悲しむことかしら?」
「どういう……意味?」
かすれた、雨音にかき消されそうな声。
「あなたは今ここに居て、日々を過ごすのは悲しいこと?」
静かに幽々子は首を振る。
「ならそれでいいじゃない。 不確かな未来に悲しむよりは、今を楽しむ方があなたらしいわ。」
やはり幽々子は答えない。
それを見て紫は言葉を続ける。
「それとも……。」
紫を中心に急激に周囲の温度が下がる。
原因は紫の纏っている、
「私が、消してあげましょうか?」
殺気。
こんなものははったりだ。
腑抜けた幽々子に少し活を入れようとしただけ。
しかし。
「……考えておくわ。」
紫はその返答にため息をつきながら、乗っていたすきまから降りる。
「そう。 …気の迷いであっても、そんなことを言うとは思わなかった。」
すきまはその範囲を広げ、見えていた目や手が消えてゆく。
「だとすればこれは、ずいぶんと滑稽な姿ね。」
その代わりに映し出されたのは、どこかの庭のようだった。
「あなたも見たら?きっと面白いわよ。」
言われて幽々子は顔だけを向けてすきまを見る。
その庭は、白玉楼のもの。 一緒に映し出されているのは、
「……妖夢…?」
土砂降りの雨の中、傘もささずに走り回る小柄な少女。
音こそ聞こえないが、時折大きく開かれる口が何かを叫んでいることを伝える。
足元ははねた泥でずいぶんと汚れてしまっている。
時折表情をゆがめ、そのたびに腕で顔を乱暴にこする。顔を上げ、また叫ぶ。
「…まさか、私を探しているの?」
「どう、面白いでしょう? 死にたがりの死人嬢にこんな必死に仕えてるなんて、本当に馬鹿みたい。」
嘲るような紫の言葉。
幽々子は答えず、隙間に歩み寄り手を伸ばす。
だがそこはただ少しばかり歪んだ空間があるだけで、その向こう側に行くことは出来ない。
と、映っている妖夢の足がもつれ、水しぶきを上げながら転倒した。
「あーあ、転んじゃった。ふふ。 ねぇ幽々子、あなたも可笑し──」
言葉を遮り、幽々子は紫の胸倉をつかむ。
「…何かしら?」
細められた刺すような視線。まるで幽々子という存在自体に興味が無いように言葉の温度が低い。
「………。 …妖夢は、何処に居るの?」
手を離し、紫を睨みつけながら問う。 先ほどまでの真っ白い顔は最早無く、僅かに上気している。
紫は首をかしげて、一笑。
「あの子を探してどうするの? 置いて逝くつもりだったんでしょう? そんなことよりさっさと私が……。」
「紫。」
紫の言葉は幽々子の怒気をはらんだ声が遮った。
そこらの妖怪ならそれだけですくんで動けなくなるくらい強烈なやつだ。
「もう一度聞くわ。 妖夢は何処に居るの?」
しかし紫はその怒気などまるでわかっていないように平静なまま答える。
「あの子が何処にいるか。あなたにだけ教えるのは、フェアじゃないわね。
…もしあなたが本当にあの子を思っているのなら、自分の足で探すのが筋じゃなくて?……償いの意味を込めて。」
幽々子の怒気は急速に消え失せ、残されたのはただのずぶ濡れの少女。
「……私は……。」
「目が覚めたかしら?」
幽々子は再び妖夢の映る隙間を見る。
辺りを見回し、叫びながら走り続ける妖夢。
先ほど以上に服が泥で汚れている。きっとまた転んだのだろう。
一度立ち止まった妖夢が突然膝をついた。
彼女は不思議そうに自分の足元を見るまで自分が膝をついたことに気付いていなかったようだ。
きっと走りすぎてもう足がいうことを利かないのだろう。 大体飛んでいない時点で相当疲弊していることがわかる。
それでも妖夢は立ち上がる。忌々しげに自分の足を殴りつけ、震える足で無理やり走る。
走り、叫び、咽る。 膝をつき、手をつき、踏ん張りきれずに無様に倒れる。
だがそれでも。 妖夢は、立ち上がる。 そして叫んだ。
「幽々子様ぁ!!」
泣き出しそうな、いやすでに泣いていたのだろう。
かすれた、まったく美しくも無い妖夢の声が聞こえた。 幽々子の後方から、微かに、でも確かに。
弾かれた様に幽々子は声が聞こえた方角に走り出す。
「待ちなさい。」
しかし紫は幽々子の手を掴み、幽々子を引き止める。
「放してッ!!」
「駄目よ。 最後に一つだけ言っておくことがあるわ。」
しかし幽々子は聞く耳を持たず、先ほどの紫以上の殺気を紫に叩きつける。
だが紫は、笑顔で一言だけ。
「あなたは、幸せ者よ。」
とくん、と。
失って久しい幽々子の心臓が、一度だけ鳴ったような気がした。
紫はそれ以上なにも言わず、そっと手を放す。
幽々子はしばらく紫のその笑顔に見惚れていたが、やがて泣き出す一歩手前の、だけれど笑顔で答えた。
「……ええ、本当に。 ありがとう、紫。」
そう言い残し、幽々子は今度こそ妖夢の声の元へ走り出した。
紫は無言でそれを見送ったが、幽々子の背中が見えなくなるとぽつりと呟いた。
「…あの子の無限に続く未来が、一時でも長く幸福であることを……。」
願う神などいないのに、紫はしばし祈りをささげた。
幽々子は走った。 はねる泥も、鬱陶しい雨も、その一切を無視して妖夢を探す。
宙を飛んで探せばすぐだろう。 しかしそれでは妖夢への償いにはならない。
泥まみれになっても、傷だらけになっても、それは妖夢も同じこと。
だから幽々子は一度だけ聞こえたあの声を頼りに走った。
(広い………。)
妖夢が毎日手入れをしている庭。
宴を催しては散々に散らかり、それを妖夢はいつも一人で片付けていた。
息が上がる。 たしかに声は聞こえたのに、一向に見つからない。
それほどまでに広い庭を、妖夢は一人で管理している。
(頼りないのは、どっちの方よ……。)
護衛が変わって以来、幽々子は妖夢のことを常々頼りないと思っていた。 それがどうだ。
広大な庭を一手に担い、その管理をこなす従者。
その庭の声が届く範囲ですら息を切らしてしまう情け無い主。
主のために傷つくことも構わず忠実に仕える優秀な従者。
己の未来を憂うばかりで、周りも見ずに自身を不幸と思い込んだ愚かな主。
(どこ……?)
大切だと、今更気がついた。 つくづく駄目な主だ、と苦笑する余裕も今は無い。
たとえ未来が不確かだろうと、妖夢と過ごす日常に何を恐れることがあったのだろうか。
ただ、今そこにある幸せをしっかりと握り締めていればそれでよかったのに、それを。
(妖夢………。)
手放してしまったようで。
「……どこにいるの……。」
無くしてしまったようで。
「妖夢……!」
悲しかったから。
「妖夢ーーーっ!!」
幽々子は、叫ばずにはいられなかった。
「幽々子……様…?」
──聞こえた。
大切なひとの声。──
幾千の桜の木のなかでも、とびっきりに見栄えの悪い木に寄りかかっている人影。
幽々子は慌ててその人影を確認する。
泥に汚れた白い髪。
いつもの曲がったタイ、それから。
なぜだろう、視界が滲んでしまって、よく、見えない。
体が上手く動かない。
今すぐにでも駆け出したいのに、まるで足が地面に張り付いてしまったよう。
あのこの名前を呼びたいのに、嗚咽が、邪魔。
それでも何とか一歩踏み出す。 あのこも、同時に。
だけど立っているのがやっとだったあのこは、すぐにバランスを崩してしまう。
「妖夢……!」
魔法が解けたのか、魔法にかかったのか。
体が、動く。 だから走る。
走って、妖夢の体を受け止めた。
「幽々子様……ご無事…だったんですね。」
とくん。
妖夢の、半分の鼓動。
「……良かった………お怪我は、ないですか?」
あなたの方がよほど傷ついているのに、私の心配ばかりして。
ああもう、本当に──
「幽々子様…そんなに抱きしめたら…泥がつきますよ。 私、泥だらけだから。
…どうしたんです? こんなに濡れてしまって。 早く、着替えないと。」
本当に、馬鹿な子。
私には勿体無い位の、本当に本当に大切な、素敵な大馬鹿者。
「ごめんね……妖夢…。 ごめんなさい…。」
「幽々子様……? ……泣いて、いるんですか?」
「…………。」
幽々子は答えなかったが、頬を伝いこぼれる雫が暖かかったのを、妖夢は知っていた。
いつしか雨は止んでいた。
差し込んできた光に気付き、ようやく幽々子は妖夢を放す。
と、
「ずいぶん長かったわね~。 …おアツい事。」
ニヤニヤした紫がいつの間にやら幽々子たちの隣にいた。
「な……っ! ゆ、紫、いつから!?」
「ここに来たのはついさっき。 見ていたところは一部始終。」
紫は心底楽しそうに答えた。
「………!!」
幽々子の顔は、見る間に赤く染まっていく。 ちなみに妖夢はとっくに真っ赤だ。
「いいじゃない、減るものでもないし。 …それにさっきの恩もあるでしょう?」
紫はにこーーっと笑う。
邪気がないはずなのに、なんと邪悪に見えることか。
「……ふ…ふふふふふ…。」
突然幽々子が下を向いて笑い出す。 はっきり言って、不気味だ。
驚いておろおろする妖夢をよそに、紫はまだにこにこしている。
「妖夢。」
ぐりん、と唐突に妖夢の方へ首を向ける幽々子。
「は、はいぃ!!」
びくっとしてから、軽く後ずさりしながら答える妖夢。
「お風呂に入ってらっしゃい。 そのままでは風邪をひくわ。」
「…………え?」
どうやら相当悪い方に考えが行っていたらしい妖夢は、思いのほかまともな命に拍子抜けする。
「ええと……はい。」
妖夢がうなづいたのを見てから、幽々子は再び顔を伏せる。
「ね~ぇ、ゆ~か~りぃ~?」
幽々子の言葉の端々に怒気を感じる。
あまりの迫力に、妖夢はなぜか半笑いになりながらこそこそとその場を退散した。
対して紫は余裕たっぷりといった風である。
「せぇ~っかく久しぶりに会ったんだから、
遊んでいったらどうかしら!!?」
怒りに満ち満ちた顔を上げ、幽々子は怒鳴るように言った。
「ええ、構わないわよ。」
頬に手を当て、僅かに首をかしげ、愉快そうに紫が答えた。
「亡舞!!」
「結界。」
「生者必滅の理─魔境─!!!」
「生と死の境界─発狂─!」
かくして、幻想郷史でも屈指の弾幕ごっこが開幕となるのである。
立ち上る湯気、なみなみと張られた湯、時折聞こえる獅子脅し。
西行寺家自慢の露天風呂である。
無駄ともいえるほど広い浴槽に、幽々子と紫は浸かっていた。
双方、疲労困憊といった風だ。
だんまりのまま浸かっていた二人だが、幽々子が静寂を破る。
「……たまに本気を出すと、こうも疲れるものなのね……。」
「…本当に…ふぁ……。 ねむ………。」
紫はすでに、ここが風呂場でなければすぐにでも眠ってそうな表情だ。
「ところで紫。」
「…ん?」
「あなたもずいぶんと性格の悪いこと。」
「……何のことかしら。」
「妖夢のことよ。 私の所にこれないようにしていたんじゃない?」
紫はにっ、と一度笑ってから、
「さてね。」
と答える。
幽々子が不満げに何か言おうとしたが、再び口を開いた紫に遮られた。
「ただ……。」
紫は人差し指をぴっ、と立てて、
「私は切り札の使い方は、よく知っているつもりだけれど?」
どこか得意げにそう答えた。
「………呆れた。」
言いながらも幽々子は笑みを浮かべていた。
しばらくの静寂の後、幽々子が呟く。
「……紫。
ありがとう。」
「…私より、あの子に言ってあげなさい。」
紫にしては無愛想な調子だったが、湯のせい以上に上気した顔を見て、幽々子は声を上げて笑った。
幽々子はその瞬間、自分が確かに幸せであることを感じた。
ところで。
庭に放心したまま立ち尽くす妖夢。
妖夢の眼前には宴の後など比べ物にならない、無慈悲ほど凄惨な庭。
「…………グレるわよ、ほんとに……。」
弾幕ごっこの片づけを言い渡された妖夢がこう呟いたのは、神のみぞ知る所である。
切り札に使われた妖夢には悪いですが、紫も策士やなぁ と。自分を思ってくれる友人・従者が居る限り、幽々子ノ未来は明るく照らされ続けるんかなぁ
紫の振舞いにニヤニヤ。 主人と従者も根っこで繋がっているのがハッキリわかって羨ましいくらいです。 (だから妖夢、グレないでくれ(w
紫、幽々子、妖夢、冥界組の絆に絆されました。面白かったです!