(読む前に)
この作品はダーク系です。恐らく。そういうのが苦手な方は注意して下さい。
「こんにちわ、霊夢」
「あら、来たのねレミリア」
夏の陽射しが照りつける幻想郷。いつものように人気の無い博麗神社を、レミリアが訪れていた。
「今お昼ご飯を作ってたの。レミリアも要る?」
「私はいいわ。もう食べてきちゃったもの」
「そう…それじゃあ出来るまで、ちょっと待っててね」
「うん」
そう言い残し、霊夢は台所へと戻っていった。
トントンと包丁を使う音が響く。レミリアは、その様子をじっと見ていた。
「何? そんなに珍しい?」
一旦包丁を動かす手を止める霊夢。
「違うよ。霊夢はご飯を作るの上手いなあ、と思って」
「まあ、ね」
再び包丁を動かし始める霊夢。その時。
「……痛っ……」
「! 霊夢!? 大丈夫!?」
霊夢が、指を切った。
「う、うん。あはは、ちょっとドジっちゃった」
「早く血を止めないと……!」
「そうね、今―――」
包帯を持ってくる、と言おうとした霊夢を、レミリアの行動が止めた。
「ん………」
レミリアは、傷口に舌を這わせていた。
「レミ……リア……?」
「…んっ……はっ…」
一心不乱に指を舐めるレミリアを見て、霊夢は声をかける事を躊躇った。そして、今はただレミリアの好きにさせる事にした。
「………ぷあっ」
しばらくして、レミリアがようやく指から口を離す。霊夢の指の皮が、少しふやけてしまった。
「……あ……ごめんなさい、霊夢……」
自分のした事を顧みて、しゅんとするレミリア。
「い、いいのよ。お陰で血もだいぶ止まったみたいだし」
霊夢も、レミリアを必要以上に責めたりはしなかった。とりあえず、包帯を巻いておいたので、大丈夫だろう。
「あ、ありがとう……」
上目遣いに霊夢をみるレミリア。この姿を見て、誰がこの少女を妖怪の中でも強大な種族、『吸血鬼』だと思うだろう。
「それで? 私の血の味はどうだった?」
そんなレミリアの様子を見た霊夢が、少し悪戯っぽく尋ねる。
「えっ………」
レミリアの体が、固まった。それを見て、霊夢が少し慌てる。
「あ……レ、レミリア、ごめんね? 変な事訊いちゃって…」
「う、ううん………………あ、そ、そうだ。私もう帰らなきゃ……」
レミリアは、そそくさと外に出て行った。
「え? もう帰るの?」
「う、うん。ちょっと用事を思い出しちゃったの。ごめんね! また明日来るから―――」
「ちょ、ちょっと! レミリア!?」
霊夢の制止の声も聞かず、レミリアは飛んでいってしまった。
「………何なの………?」
霊夢は首を傾げた。
その時、レミリアの瞳が紅く明滅していた事に、霊夢は気が付かなかった。
次の日。レミリアは昨日言った通り、神社にやって来た。
「こんにちわ、霊夢」
「あら、来たのねレミリア」
昨日と同じ様に、霊夢はレミリアを家の中に通した。
「昨日はごめんね? 急に帰ったりしちゃって」
「別にいいわよ。で? どうして急に帰っちゃったりしたの?」
そう訊いた時、一瞬レミリアの顔に陰が射した。
「………………ちゃんと、考えてきたの」
そう言ったレミリアの声は小さくて、よく聞き取れなかった。
「…え? 何?」
――――――がんっっっ!!
「―――がっっ!?」
一瞬、何が起きたのか霊夢には理解出来なかった。ただ分かったのは、後頭部の痛みと、目の前に紅く光るレミリアの目がある事だけだった。
「……霊夢……昨日の霊夢の質問だけどね……」
「うっ……ぐっ…!?」
よく見ると、レミリアの手が霊夢の首を絞め、体を持ち上げたまま、家の壁に叩きつけているのが見えた。
「霊夢の血………とっても………………とおっっっても………美味しかったよぉ………」
レミリアは、くすくす笑いながら舌なめずりをした。
「あ、ぐ……! レミリ、ア……く、苦、し……」
霊夢はレミリアの腕を掴み、引き剥がそうとしたが―――出来ない。レミリアの腕は、びくとも動かなかった。
「でも……だからってね、すぐに血を吸っちゃいけないでしょ……? だから、一晩考えてみたの…本当に霊夢の血を吸っていいのかなって……」
「離、して……!」
「それでね………………やっぱり、私、霊夢の血が吸いたい………………だって………霊夢の血、とっても甘くて……今まで飲んできた血の中で、一番、美味しかったの………!!」
「レミ、リア………!」
力を振り絞り、何とかレミリアの拘束から逃れようとする。しかし、やはり無理だった。
あの時。レミリアが霊夢の指を舐めたあの時。霊夢の『血』がレミリアの魔性を目覚めさせた。その結果が、これだった―――
「大丈夫……痛くても……すぐに分からなくなるから……」
「あ、ああ、あ…! や…やあっ……! 止め、て―――」
「――――――いただきます」
がりっ
「……がっ!? あ、うぐああ、ああっっ……!!」
直後、全身を駆け抜ける悪寒と痛み。首からどくどくと温かいものが流れ出す感覚。徐々に力が抜けてゆく。
「んんっ……んぐっ…んぐっ…」
レミリアに、全身の血を吸われる。ごくごくと嚥下されてゆく。更にそれよりも多くの血液が溢れて服に染み渡り、それでもなお服を伝って、ぼたぼたと畳に染み込んでゆく。
「ひっ……ううっ………あ………ぁ……… ………」
見開かれた霊夢の瞳から、一筋の涙が零れた。
「や……め………………レ……ミ………リ………………ア………………ァ………………」
びく、びく、と霊夢の体がニ、三度痙攣した。ずるずると畳にくず折れるその体。そして、そのまま動かなくなった―――
「………ごちそうさまぁ………とっても美味しかったよ………」
血だまりの中から、顔を上げ、満足そうに笑うレミリア。その表情は、どこまでも無邪気だ。
「…でも…またあんまり血が飲めなかったな……どうして私っていつもこうなんだろう…?」
そう言って、口の周りの血を拭う。その服は、血で真っ赤に染まっている。それはまさに、『スカーレットデビル』そのままの姿だった。
「でも…いつかきっと、上手く吸えるようになるよね、霊夢………………………………………霊夢?」
レミリアが、霊夢の体を揺する。しかし、その体はレミリアの手の動きに合わせて揺れるだけ。
「………霊夢……………死んじゃったの?」
ゆさゆさ。ゆさゆさ。
動かない。
「………ごめんね、霊夢。今、起こしてあげるから………」
そう言うと、レミリアはもう一度、霊夢の首筋に、牙を突き立てた。
そして、次の日。
夏の陽射しが照りつける幻想郷。いつものように人気の無い博麗神社を、魔理沙が訪れていた。
「おーい、霊夢ー? 居ないのかー?」
霊夢の名を呼ぶが、返事はない。
「それじゃあ、勝手に上がらせてもらうぜ………っと?」
そうして魔理沙が上がろうとした時、薄暗い部屋の中からゆらりと霊夢が出て来た。
「何だ、いたのか? …レミリアもいるみたいだな」
部屋の奥から感じる妖気で、魔理沙は神社にレミリアがいる事が分かった。
「それじゃあ、入ろうぜ」
「………………………………」
「………霊夢?」
「………………………………」
「どうしたんだよ、霊夢」
「………………………………」
「………なあ、霊夢」
「………………………………」
「………………どうして、包丁なんか持ってるんだ………………?」
どうしたの? 霊夢?
駄目じゃない。血を吸うのに、そんなもので刺しちゃあ。まだその体に慣れてないの?
ほら、私達にはちゃんとした牙があるんだからさ、これを使わないと、ね?
あーあ。こんなに血が流れちゃって、もったいないなあ………
え? どうして魔理沙の血が欲しかったのかって?
ん~…やっぱり、美味しそうだったから、かなあ?
霊夢の血も美味しかったけど、魔理沙の血も吸ってみないとね。
………どうしたの? 霊夢、泣いてるの?
…ああ、魔理沙の事? 大丈夫よ。死んじゃっても、霊夢みたいに私の仲間にしてあげるから。
だから、泣かないで。ほら、魔理沙の血が全部無くなる前に、早く飲みましょう?
きっと、とっても美味しいよ………………………………
この作品はダーク系です。恐らく。そういうのが苦手な方は注意して下さい。
「こんにちわ、霊夢」
「あら、来たのねレミリア」
夏の陽射しが照りつける幻想郷。いつものように人気の無い博麗神社を、レミリアが訪れていた。
「今お昼ご飯を作ってたの。レミリアも要る?」
「私はいいわ。もう食べてきちゃったもの」
「そう…それじゃあ出来るまで、ちょっと待っててね」
「うん」
そう言い残し、霊夢は台所へと戻っていった。
トントンと包丁を使う音が響く。レミリアは、その様子をじっと見ていた。
「何? そんなに珍しい?」
一旦包丁を動かす手を止める霊夢。
「違うよ。霊夢はご飯を作るの上手いなあ、と思って」
「まあ、ね」
再び包丁を動かし始める霊夢。その時。
「……痛っ……」
「! 霊夢!? 大丈夫!?」
霊夢が、指を切った。
「う、うん。あはは、ちょっとドジっちゃった」
「早く血を止めないと……!」
「そうね、今―――」
包帯を持ってくる、と言おうとした霊夢を、レミリアの行動が止めた。
「ん………」
レミリアは、傷口に舌を這わせていた。
「レミ……リア……?」
「…んっ……はっ…」
一心不乱に指を舐めるレミリアを見て、霊夢は声をかける事を躊躇った。そして、今はただレミリアの好きにさせる事にした。
「………ぷあっ」
しばらくして、レミリアがようやく指から口を離す。霊夢の指の皮が、少しふやけてしまった。
「……あ……ごめんなさい、霊夢……」
自分のした事を顧みて、しゅんとするレミリア。
「い、いいのよ。お陰で血もだいぶ止まったみたいだし」
霊夢も、レミリアを必要以上に責めたりはしなかった。とりあえず、包帯を巻いておいたので、大丈夫だろう。
「あ、ありがとう……」
上目遣いに霊夢をみるレミリア。この姿を見て、誰がこの少女を妖怪の中でも強大な種族、『吸血鬼』だと思うだろう。
「それで? 私の血の味はどうだった?」
そんなレミリアの様子を見た霊夢が、少し悪戯っぽく尋ねる。
「えっ………」
レミリアの体が、固まった。それを見て、霊夢が少し慌てる。
「あ……レ、レミリア、ごめんね? 変な事訊いちゃって…」
「う、ううん………………あ、そ、そうだ。私もう帰らなきゃ……」
レミリアは、そそくさと外に出て行った。
「え? もう帰るの?」
「う、うん。ちょっと用事を思い出しちゃったの。ごめんね! また明日来るから―――」
「ちょ、ちょっと! レミリア!?」
霊夢の制止の声も聞かず、レミリアは飛んでいってしまった。
「………何なの………?」
霊夢は首を傾げた。
その時、レミリアの瞳が紅く明滅していた事に、霊夢は気が付かなかった。
次の日。レミリアは昨日言った通り、神社にやって来た。
「こんにちわ、霊夢」
「あら、来たのねレミリア」
昨日と同じ様に、霊夢はレミリアを家の中に通した。
「昨日はごめんね? 急に帰ったりしちゃって」
「別にいいわよ。で? どうして急に帰っちゃったりしたの?」
そう訊いた時、一瞬レミリアの顔に陰が射した。
「………………ちゃんと、考えてきたの」
そう言ったレミリアの声は小さくて、よく聞き取れなかった。
「…え? 何?」
――――――がんっっっ!!
「―――がっっ!?」
一瞬、何が起きたのか霊夢には理解出来なかった。ただ分かったのは、後頭部の痛みと、目の前に紅く光るレミリアの目がある事だけだった。
「……霊夢……昨日の霊夢の質問だけどね……」
「うっ……ぐっ…!?」
よく見ると、レミリアの手が霊夢の首を絞め、体を持ち上げたまま、家の壁に叩きつけているのが見えた。
「霊夢の血………とっても………………とおっっっても………美味しかったよぉ………」
レミリアは、くすくす笑いながら舌なめずりをした。
「あ、ぐ……! レミリ、ア……く、苦、し……」
霊夢はレミリアの腕を掴み、引き剥がそうとしたが―――出来ない。レミリアの腕は、びくとも動かなかった。
「でも……だからってね、すぐに血を吸っちゃいけないでしょ……? だから、一晩考えてみたの…本当に霊夢の血を吸っていいのかなって……」
「離、して……!」
「それでね………………やっぱり、私、霊夢の血が吸いたい………………だって………霊夢の血、とっても甘くて……今まで飲んできた血の中で、一番、美味しかったの………!!」
「レミ、リア………!」
力を振り絞り、何とかレミリアの拘束から逃れようとする。しかし、やはり無理だった。
あの時。レミリアが霊夢の指を舐めたあの時。霊夢の『血』がレミリアの魔性を目覚めさせた。その結果が、これだった―――
「大丈夫……痛くても……すぐに分からなくなるから……」
「あ、ああ、あ…! や…やあっ……! 止め、て―――」
「――――――いただきます」
がりっ
「……がっ!? あ、うぐああ、ああっっ……!!」
直後、全身を駆け抜ける悪寒と痛み。首からどくどくと温かいものが流れ出す感覚。徐々に力が抜けてゆく。
「んんっ……んぐっ…んぐっ…」
レミリアに、全身の血を吸われる。ごくごくと嚥下されてゆく。更にそれよりも多くの血液が溢れて服に染み渡り、それでもなお服を伝って、ぼたぼたと畳に染み込んでゆく。
「ひっ……ううっ………あ………ぁ……… ………」
見開かれた霊夢の瞳から、一筋の涙が零れた。
「や……め………………レ……ミ………リ………………ア………………ァ………………」
びく、びく、と霊夢の体がニ、三度痙攣した。ずるずると畳にくず折れるその体。そして、そのまま動かなくなった―――
「………ごちそうさまぁ………とっても美味しかったよ………」
血だまりの中から、顔を上げ、満足そうに笑うレミリア。その表情は、どこまでも無邪気だ。
「…でも…またあんまり血が飲めなかったな……どうして私っていつもこうなんだろう…?」
そう言って、口の周りの血を拭う。その服は、血で真っ赤に染まっている。それはまさに、『スカーレットデビル』そのままの姿だった。
「でも…いつかきっと、上手く吸えるようになるよね、霊夢………………………………………霊夢?」
レミリアが、霊夢の体を揺する。しかし、その体はレミリアの手の動きに合わせて揺れるだけ。
「………霊夢……………死んじゃったの?」
ゆさゆさ。ゆさゆさ。
動かない。
「………ごめんね、霊夢。今、起こしてあげるから………」
そう言うと、レミリアはもう一度、霊夢の首筋に、牙を突き立てた。
そして、次の日。
夏の陽射しが照りつける幻想郷。いつものように人気の無い博麗神社を、魔理沙が訪れていた。
「おーい、霊夢ー? 居ないのかー?」
霊夢の名を呼ぶが、返事はない。
「それじゃあ、勝手に上がらせてもらうぜ………っと?」
そうして魔理沙が上がろうとした時、薄暗い部屋の中からゆらりと霊夢が出て来た。
「何だ、いたのか? …レミリアもいるみたいだな」
部屋の奥から感じる妖気で、魔理沙は神社にレミリアがいる事が分かった。
「それじゃあ、入ろうぜ」
「………………………………」
「………霊夢?」
「………………………………」
「どうしたんだよ、霊夢」
「………………………………」
「………なあ、霊夢」
「………………………………」
「………………どうして、包丁なんか持ってるんだ………………?」
どうしたの? 霊夢?
駄目じゃない。血を吸うのに、そんなもので刺しちゃあ。まだその体に慣れてないの?
ほら、私達にはちゃんとした牙があるんだからさ、これを使わないと、ね?
あーあ。こんなに血が流れちゃって、もったいないなあ………
え? どうして魔理沙の血が欲しかったのかって?
ん~…やっぱり、美味しそうだったから、かなあ?
霊夢の血も美味しかったけど、魔理沙の血も吸ってみないとね。
………どうしたの? 霊夢、泣いてるの?
…ああ、魔理沙の事? 大丈夫よ。死んじゃっても、霊夢みたいに私の仲間にしてあげるから。
だから、泣かないで。ほら、魔理沙の血が全部無くなる前に、早く飲みましょう?
きっと、とっても美味しいよ………………………………
…でも、こういう話好き。ъ(゜д゜)五・洳勿!!
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