Coolier - 新生・東方創想話

晴れのち黒いの。時々紅白

2003/10/23 23:26:45
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朝。
黒い魔法使いはご立腹だった。



「せっかく遊びに来たってのに」

何の事は無い。
遅い春が来て、とりあえずは普通に戻った幻想郷。
桜を肴に1杯やろうといつもの神社を訪ねてみれば、
管理人が不在だったというわけである。

「…館にでも、行ったのかな…」

勝手知ったるなんとやら。
手馴れた様子で玄関の鍵を開けながら、思案顔でつぶやく。

少し前の事件以来、紅い館の主人のお気に入りになってしまった
ここの巫女さんは、しばしば館に「招待」される。
その方法は御付のメイドによる「拉致」に近いものだが、
文句を言いつつも毎回律儀に付き合ってるあたり、彼女も満更ではないのだろう。

「ん~…。どうするかなぁ…」

もし本当に館に行ったのならば、しばらくは帰って来ないだろう。
せっかく持ってきた秘蔵の一本も無駄になりかねない。
とはいえ、今更家に戻る気も無い。
今日は夜通しで飲む気満々だったのだ。

「…待つと、するかな」

そう決めた彼女は、荷物を置くために奥へと進んでいった。








昼。
黒い魔法使いは退屈だった。



「遅い。
 やっぱ拉致られてるのか?
 あんな朝早くから、他に用事があるとも思えないしなぁ…」


そんなことを考えながら、縁側で茶をすする。
茶葉や湯のみの場所は熟知している。
戸棚の奥に隠すようにして置いてあった大福も、もちろん徴収済みだ。
少し渋めの茶によくあう甘味に満足しつつ、庭の桜を眺める。
ひらり、と花びらが湯飲みに落ちた。
退屈ではあるが、悪く無い時間のつぶし方だと思った。


しばらくそうしていた彼女だったが、茶が切れ、腹も空いてきたので中に戻る。
ありあわせの物で簡単に昼食を作り、食卓に運ぶ途中、ふと、紅魔郷では存在自体が珍しいカレンダーが目に入った。
しばらく思案していた後、あることを思いつき、彼女は不敵な笑みを浮かべたのだった。













それからしばらくして。













「ただいま~…って鍵開いてるし」

神社に戻ってきた主は、しかしいつものことなのでさほど慌てず社内に入る。
そもそも鍵なんてさほど意味の無いように思えるが、そこはそれ、気分というヤツだ。

「…あれ?どこにもいない…」

一通り探した後、いくつかの証拠を残しつつも、目当ての人物がどこにもいないことに首を傾げつつ
ここ数日目を通すことが日課になっていたカレンダーを見る。

「もしか、したら」

なんとなく思い至った彼女は、どこか楽しそうな笑みを浮かつつ、再び出かけていった。











「…ちょいとそこ行く巫女さん。
 こんなとこに何のようだい?」

「これは黒い魔法使いさん。
 人を、探してるのよ」

「そうかい。
 でも、この先には行かせないよ。
 あなたには、ここで少しばかり遊んでいってもらうわ」

「あんたなんかには、負けないわ」


お互い、満面の笑みを浮かべながら語り合う。


「続きもやるの?」

「たまにはいいだろ?
 あのときのリベンジもして無いしな」

「あなたとやるのも久しぶりね」

「怪我しないようにな」


そうして二人は力を解放していく。
目の前の、親友兼好敵手へと向けて。
顔にはやはり、笑顔を浮かべたままで。



夕方。
黒い魔法使いは、満足だった。

















「あ~…。
 また負けた~」

「ふふ~ん。
 また勝った~」

「修行もして無い癖に、その強さは卑怯だぜ…」

「失礼ね。
 まったくして無いわけじゃないわよ」

「これでまた閻魔帳に書く事が増えたわけだ」

「増やすな。
 っていうかそんなもの書くな」

「しかしまぁ、楽しかったぜ」

「そうね。楽しかった」

「…ああそうだ。
 例のヤツ、持ってきてるんだ。
 二人で飲もうと思ってさ」

「台所に置いてあったやつ?
 あれ、美味しいものね」

「つまみ類は持ってきてないんでよろしく」

「はいはい。
 ちょうどいろいろと買ってきたから」

「なんだ。今日は買い物に行ってたのか?」

「ええ。あなたが来るだろうって思ってね。
 どうせ、明日の朝まで騒ぐつもりだったんでしょう?」

「当然だぜ」


お互い全力で勝負した後、二人で床に倒れこみながらの会話。
自分も、相手も、しばらく動けないほど疲れている。
なのに、向こうの顔は眩しいくらいの笑顔だった。
きっと、自分も似たような顔をしているのだろう。



その日。
幾年か前に、今倒れこんでいる場所で、二人が出会った日。
午前中、とっても退屈だったけれど。
今、とっても疲れているけれど。
きっとあとで、大福を食べたことを怒られるだろうけれど。





まぁ、結局は。

その日、霧雨魔理沙は幸せだったのだ。



まずは、始めましての挨拶から。

最萌えの、咲夜に続きれみりゃまで堕ちるという結果に
魔理沙派の自分も落ち着いて見ていられなくなり製作開始。

支援SS…のつもりで書き始めたのですが、シリアス分や、
萌え分といったものがまったく足りてません^^;
まぁ思ったよりも早く書きあがったし、リハビリがてら
皆さんの叱責でも受けようと、こちらに投稿させてもらいました(ぉ

しかし…文章が硬すぎる…--;;;

ちなみに話の一部ってか、前提部分に東方封魔録のネタがあるので、
知らない人は分かり辛いかも^^;

それと、魔理沙が持ってきたモノはノンアルコールですよ?
きっと。多分。おそらく。
みみみ
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コメント



0.970簡易評価
1.40ななしぃ削除
和み分が多めでいい感じですー。
2.40すけなり削除
なんか幸せ顔の魔理沙が思い浮かぶ…(嬉
3.40名も無き幻想郷の住人削除
この二人が一番好きだぁ・・・(*´∀`)
4.30MDFC削除
封魔録は未プレイですが良かったですよー。ライバルっぽさがステキ。
5.50ななすぃ削除
む……これは。私のツボにぐぃっと突き刺さる気持ちよさ!! 凄く良いです。。