あるところに、シンデレラという娘がおりました。
大層美しい娘でした。
ところがその美しさ故、彼女の姉達や母親の嫉妬を買い、毎日のようにいじめられていました。
服は古めかしいボロしか着せてもらえず、食事も粗末なものしか与えられませんでした。
また、いじめも酷いものでした。
ある時は母親から
咲夜「シンデレラ。」
幽々子「はい・・・・・。」
咲夜「庭の掃除、早くしなさい。」
幽々子「庭掃除は、妖夢の仕事なのに・・・。」
咲夜「つべこべ言わない。終わったら食事の用意ね。」
あるときは姉達から
レミリア「シンデレラ、みょんって鳴きなさい。」
幽々子「それ、私の台詞とちがう。」
レミリア「いいから。」
幽々子「みょん。」
レミリア「・・・・・・やっぱり、しっくりこないわ。」
フランドール「あ、シンデレラ。」
幽々子「何ですか?」
フランドール「遊んで。」
幽々子「なにをして?」
フランドール「弾幕ごっこ。」
・
・
・
幽々子「・・・・・・・・・う~ん。」
フランドール「あー、すっきりした。」
こんな感じです。
シンデレラはこのように、辛く暗い日々を送っていました。
ある日、お城からの使者と名乗る人が、シンデレラの家にやってきました。
妖夢「ええと、今日の夜、お城で舞踏会を開くから、女性はみんな参加するように。だって。」
咲夜「参加したら、なんかいいことあるの?」
妖夢「舞踏会参加者で特に美しかった者は、王子様のお嫁さんになれる。」
レミリア「それは、是非行かなくちゃ。」
フランドール「私も行かなきゃ駄目?」
母や姉は、大はしゃぎです。
咲夜「娘たち、気合入れていくのよ!」
レミリア「おー!」
フランドール「私はどうでもいいわ。」
幽々子「あの~。」
シンデレラは尋ねました。
幽々子「私も行っちゃ駄目?」
レミリア「駄目。」
フランドール「あなたはお留守番。」
咲夜「お掃除よろしくね。」
母と姉達は、シンデレラを置いて、お城へ向かいました。
それを見送るシンデレラは、溜息をつきます。
幽々子「私も、舞踏会行きたかったなあ・・・・・。」
?「それなら、行かせてやろうか?」
魔法使いのおばあさんが現われました。
魔理沙「おばあさんは余計だ。」
幽々子「魔法使いさん、私を舞踏会に連れて行ってくれるって、ほんと?」
魔理沙「誰も連れてくなんて言ってないぜ。行くなら自分で行きな。」
幽々子「どうやって?」
魔理沙「まあ、まかせておけ。」
魔法使いさんは、シンデレラに魔法をかけました。
するとシンデレラの服は、みるみるうちに綺麗な服に変わったではありませんか。
幽々子「まあ、素敵。」
魔理沙「いつもの格好だけどな。」
幽々子「特に、頭の三角巾が。」
魔理沙「そうか?そうは思わないぜ。」
幽々子「でも、今からじゃ舞踏会に間に合わないわよ。」
魔理沙「そこのところも、魔理沙におまかせだぜ。」
続いて魔法使いさんは、続いて魔法をかけました。
すると、立派な馬車が現われました。
幽々子「あら。立派な馬車ね。」
魔理沙「立派だろ?」
藍「・・・・・こら。」
橙「何で私達が、馬車を引っ張らなきゃいけないの?」
魔理沙「ああ、手元にいいのがなかったから・・・・。」
藍「納得いかない。」
魔理沙「うるさい。さっさと行け。」
紫「そうそう。あんまり文句ばっかり言ってると、出番なくなるわよ。」
藍「ああ!何時の間にか紫様が御者役を!」
橙「ずる~い。」
紫「ハイヨ~、藍!」
藍「ひ~・・・・・。」
橙「え~ん・・・・・・。」
馬車は走り始めました。
幽々子「魔法使いさん、ありがとう。」
魔理沙「でも、気をつけろよ。十二時がきたら、魔法がとけてしまうからな。」
幽々子「わかったわ。」
シンデレラは大喜びで、お城へ向かいました。
・
・
・
お城では、舞踏会が行われていました。
会場では、王子様がお嫁さんを物色していました。
霊夢「そんなもん探せって言ったって、ねえ・・・・。」
王子様、一人の女性に目が止まりました。
霊夢「はて、あの場違いに和風の人は・・・・。」
妖夢「王子様王子様。あの人なんて、お嫁さんにぴったりですよ。」
霊夢「あの、和風の人?」
妖夢「そうですそうです。」
霊夢「どこがぴったりなのよ?」
妖夢「いいからいいから。声をかけてみては、いかがです?」
霊夢「面倒だから、いい。」
妖夢「・・・・・・・・。」
チャ・・・・・・
家来は王子様の首元に、刀を添えました。
霊夢「・・・・・・・・・何よ。」
妖夢「声をかけるのと、刀のサビになるのと。どっちがいいですか、王子様?」
霊夢「・・・・・・あ~、これこれ。そこの三角巾。」
王子様は、その女性に声をかけました。
幽々子「はい?」
王子様が声をかけたのは、シンデレラでした。
霊夢「脅迫されていて仕方ないから、一緒に踊ってくれませんか?」
幽々子「仕方ないから、喜んで。」
二人は、一緒にダンスを踊りました。
幽々子「・・・・・・・・(いきなり封印されたり、しないかな?)。」
霊夢「・・・・・・・・(いきなり魂抜かれたり、しないかな?)。」
それを見ているのは、沢山の舞踏会参加者達、そしてシンデレラの母親と姉達です。
咲夜「あれって、シンデレラ?」
フランドール「どうでもいい。つまらないわ。」
レミリア「なんてうらやましい・・・・・。」
咲夜「ま、そんなわけないか。」
フランドール「帰っていい?」
レミリア「う~・・・・・。」
シンデレラにとって、それは至福のひとときでした。
しかしその幸せも、長くは続きませんでした。
ゴ~ン、ゴ~ン・・・・・。
十二時の鐘がなりました。
幽々子「あ、いけない!」
霊夢「あ、これ、何処へ行く!?」
幽々子「王子様、さようなら・・・・。」
霊夢「あ~、さようなら。」
シンデレラは、大急ぎでお城を後にします。
妖夢「王子様、止めないと!」
霊夢「去るものは追わずよ。」
チャ・・・・・・・
霊夢「・・・・・・・・・・何よ?」
妖夢「あの人を止めるのと、刀のサビになるのと。どっちがいいですか、王子様?」
霊夢「他に選択肢は・・・・・?」
妖夢「ない。」
霊夢「・・・・・止まれ~!三角巾!」
王子様は止めました。
しかし、シンデレラは止まりません。
幽々子「御免なさい、王子様。これも悲劇のヒロインの運命・・・・・・。」
霊夢「誰が悲劇のヒロインよ~!?止まれ~!」
妖夢「止めれなかったら、首と体がお別れする・・・・・・。」
霊夢「・・・・・止まれ~!!止まらないと撃つぞ~!」
幽々子「止まれませ~ん!」
霊夢「霊符『博麗アミュレット』!」
幽々子「ほんとに撃ってきた!?」
王子様は、シンデレラに何かを投げつけました。
ゴチーン
幽々子「いたたたたた・・・・・・。」
何かは、シンデレラの頭に命中しました。
霊夢「よし、討ち取った!」
妖夢「討ち取ってどうすんのよ!」
ブン!
家来は、王子様にむかって刀を振りました。
霊夢「うわ!何すんのよ!」
妖夢「幽々子様に危害を加える者は、神を自称する悪霊が許しても、私が許さない!」
霊夢「ちょっと、あんた!私の家来っていう役、忘れてない?」
妖夢「問答無用!」
ブン!ブン!
霊夢「わ~!」
妖夢「ち、素早い!」
霊夢「くそ~、そっちがその気なら・・・・・。」
妖夢「・・・・来るか。」
霊夢「行くわよ!」
王子様は、家来と弾幕ごっこを始めました。
ドカ~ン!ドカ~ン!
舞踏会は、一転して戦場となりました。
咲夜「これって舞踏会じゃなかったの?」
レミリア「あ、フランドールが・・・・・・。」
フランドール「私も混ぜて~!」
参加者達を巻き込んだ弾幕ごっこは、お城を地獄絵図に変えました。
ドカ~ン!
ドド~ン!
幽々子「今なら、逃げれるかな?」
隙を見てシンデレラは、逃亡しました。
幽々子「到着~。って、あれ?馬がいない。」
紫「あ、ごめんなさいね。私が寝てる隙に、逃げちゃったみたい。」
幽々子「早くここから逃げなきゃいけないんだけど。」
紫「それでは、このすきまにどうぞ。一発で家にかえれるわよ。」
幽々子「ど○でもドアじゃないんだから・・・・。」
シンデレラは、家に逃げ帰りました。
・
・
・
一方、こちらはお城です。
妖夢「また、つまらぬものを斬ってしまった・・・・・。」
霊夢「また、つまらぬものを払ってしまった・・・・・。」
どうやら、事態は沈静化したようです。
沢山の舞踏会参加者達が、その辺に倒れています。
霊夢「結局、取り逃がしたか・・・・・。」
妖夢「何やってるんですか、王子様。女性の一人も捕まえれないなんて。」
霊夢「邪魔立てしたの、あんたじゃない。」
王子様は、シンデレラが去ったあとを、呆然と見ていました。
そのとき家来の一人が、あるものに気付きました。
妖夢「あ、王子様。あれは・・・・・・。」
霊夢「どれ?」
妖夢「ほら、階段のところ。」
王子様が階段を見ると、そこにはシンデレラが舞踏会のときに着けていた、
霊夢「・・・・・・・ふんどし?」
ブン!
霊夢「わ~!」
妖夢「・・・・・・・・。」
霊夢「じ、冗談じゃないの・・・・・。」
三角巾が落ちていました。
霊夢「あ~、さっきアミュレット当てたときに、落ちたのね。」
妖夢「よかったですね。王子様。」
霊夢「何がよ?」
妖夢「これを手がかりに、あの女性を探し出せるじゃありませんか!」
霊夢「何で、そんなことしなくちゃ・・・・・。」
チャ・・・・・・・
霊夢「・・・・・・・・・。」
妖夢「あの人を探すのと、刀のサビになるのと、どっちが・・・・・。」
霊夢「分かったわよ!探せばいいんでしょ!」
妖夢「これが似合う人が、あの時の女性ですよ。頑張って探しましょ。」
霊夢「お~・・・・・・。」
・
・
・
翌日、王子様は家来を連れて、三角巾がしっくりくる女性を探しました。
しかしながら、そんなものが似合う人なんて、そうそういるもんじゃありません。
霊夢「も~、面倒くさいなあ・・・・。」
妖夢「大丈夫!次はきっと見つかります。」
霊夢「その台詞、何十回聞いたことやら・・・・・。」
そのうちに王子様は、シンデレラの家に着きました。
妖夢「ごめんくださ~い。」
咲夜「は~い。何か御用?」
妖夢「実は、かくかくしかじかで・・・・・。」
咲夜「なるほど。この三角巾が似合う人が、王子様のお嫁さんになれると。」
レミリア「それなら、私が・・・・。」
咲夜「次は私が。一応ね。」
フランドール「私もつけなきゃ駄目?」
母親と姉達は、次々と三角巾を着用します。
しかし、王子様は納得してくれませんでした。
霊夢「う~ん・・・・、しっくりこないわね。」
妖夢「ですね。」
霊夢「っていうか、こんなんが似合う人なんて、この世にいるのかな?」
妖夢「いたじゃないですか。」
霊夢「ひょっとして、この世の者じゃなかったり。」
王子様は諦めて帰ろうとしました。
そのときです。
幽々子「待ってください。」
咲夜「シンデレラ!」
レミリア「何しに出てきたの?」
シンデレラが出てきました。
幽々子「それは、私が舞踏会のときに頭に着けていたものです。」
霊夢「そ、そうなの・・・・?」
幽々子「そういうわけだから、着けさせて。」
霊夢「まあ、いいけど。」
シンデレラは、三角巾を着用しました。
妖夢「こ、これはぁぁぁ~~!!!」
霊夢「どうしたのよ?」
妖夢「この姿、この美しさ、この威厳!嗚呼、なんと素晴らしい・・・・・。」
霊夢「お~い、帰ってこ~い。」
妖夢「王子様、この人です!この人があの舞踏会のとき、王子様がお嫁さんにと望まれた・・・・。」
霊夢「望んでない、望んでな・・・・。」
チャ・・・・・
妖夢「・・・・・・。」
霊夢「・・・・・その通り。そんなわけで、美しく威厳のあるシンデレラ。」
幽々子「あら。正直ね、王子様。」
霊夢「私と一緒に、お城へ来てはくれないかな?」
幽々子「はい。喜んで。」
咲夜「シンデレラが・・・・・。」
レミリア「くやし~!」
フランドール「お幸せにね。」
妖夢「よかったですね。王子様。」
霊夢「・・・・・・ああ、そうね。」
母親と姉達が見つめる中、シンデレラは王子様に連れられて、お城へ向かいました。
こうしてシンデレラは王子様と結婚し、幸せに暮らしましたとさ。
ちなみにその後、王子様の家来は大臣となったそうですが、それはまた別のお話。
めでたし、めでたし
おまけ
楽屋にて
幽々子「・・・・・・何か言いたそうね。」
霊夢「別に。」
魔理沙「何も。」
幽々子「隠し事は、身体に毒よ。」
霊夢「じゃあ、言っていい?」
魔理沙「いいか?」
幽々子「いいわよ。」
霊夢「それでは。」
魔理沙「遠慮なく。」
幽々子「どうぞどうぞ。」
霊夢「シンデレラが。」
魔理沙「死んで(れ)ら。」
幽々子「・・・・・・・。」
霊夢「・・・・・・・。」
魔理沙「・・・・・・・。」
幽々子「・・・なるほど。」
完
キャスト
シンデレラ 西行寺 幽々子
母親 十六夜 咲夜
姉1 レミリア・スカーレット
姉2 フランドール・スカーレット
魔法使いさん 霧雨 魔理沙
馬1 八雲 藍
馬2 橙
御者 八雲 紫
王子様 博麗 霊夢
家来 魂魄 妖夢
舞踏会参加者 その他大勢(誰がそこに居て、そして殺られたかは、皆さんのご想像におまかせします)
大層美しい娘でした。
ところがその美しさ故、彼女の姉達や母親の嫉妬を買い、毎日のようにいじめられていました。
服は古めかしいボロしか着せてもらえず、食事も粗末なものしか与えられませんでした。
また、いじめも酷いものでした。
ある時は母親から
咲夜「シンデレラ。」
幽々子「はい・・・・・。」
咲夜「庭の掃除、早くしなさい。」
幽々子「庭掃除は、妖夢の仕事なのに・・・。」
咲夜「つべこべ言わない。終わったら食事の用意ね。」
あるときは姉達から
レミリア「シンデレラ、みょんって鳴きなさい。」
幽々子「それ、私の台詞とちがう。」
レミリア「いいから。」
幽々子「みょん。」
レミリア「・・・・・・やっぱり、しっくりこないわ。」
フランドール「あ、シンデレラ。」
幽々子「何ですか?」
フランドール「遊んで。」
幽々子「なにをして?」
フランドール「弾幕ごっこ。」
・
・
・
幽々子「・・・・・・・・・う~ん。」
フランドール「あー、すっきりした。」
こんな感じです。
シンデレラはこのように、辛く暗い日々を送っていました。
ある日、お城からの使者と名乗る人が、シンデレラの家にやってきました。
妖夢「ええと、今日の夜、お城で舞踏会を開くから、女性はみんな参加するように。だって。」
咲夜「参加したら、なんかいいことあるの?」
妖夢「舞踏会参加者で特に美しかった者は、王子様のお嫁さんになれる。」
レミリア「それは、是非行かなくちゃ。」
フランドール「私も行かなきゃ駄目?」
母や姉は、大はしゃぎです。
咲夜「娘たち、気合入れていくのよ!」
レミリア「おー!」
フランドール「私はどうでもいいわ。」
幽々子「あの~。」
シンデレラは尋ねました。
幽々子「私も行っちゃ駄目?」
レミリア「駄目。」
フランドール「あなたはお留守番。」
咲夜「お掃除よろしくね。」
母と姉達は、シンデレラを置いて、お城へ向かいました。
それを見送るシンデレラは、溜息をつきます。
幽々子「私も、舞踏会行きたかったなあ・・・・・。」
?「それなら、行かせてやろうか?」
魔法使いのおばあさんが現われました。
魔理沙「おばあさんは余計だ。」
幽々子「魔法使いさん、私を舞踏会に連れて行ってくれるって、ほんと?」
魔理沙「誰も連れてくなんて言ってないぜ。行くなら自分で行きな。」
幽々子「どうやって?」
魔理沙「まあ、まかせておけ。」
魔法使いさんは、シンデレラに魔法をかけました。
するとシンデレラの服は、みるみるうちに綺麗な服に変わったではありませんか。
幽々子「まあ、素敵。」
魔理沙「いつもの格好だけどな。」
幽々子「特に、頭の三角巾が。」
魔理沙「そうか?そうは思わないぜ。」
幽々子「でも、今からじゃ舞踏会に間に合わないわよ。」
魔理沙「そこのところも、魔理沙におまかせだぜ。」
続いて魔法使いさんは、続いて魔法をかけました。
すると、立派な馬車が現われました。
幽々子「あら。立派な馬車ね。」
魔理沙「立派だろ?」
藍「・・・・・こら。」
橙「何で私達が、馬車を引っ張らなきゃいけないの?」
魔理沙「ああ、手元にいいのがなかったから・・・・。」
藍「納得いかない。」
魔理沙「うるさい。さっさと行け。」
紫「そうそう。あんまり文句ばっかり言ってると、出番なくなるわよ。」
藍「ああ!何時の間にか紫様が御者役を!」
橙「ずる~い。」
紫「ハイヨ~、藍!」
藍「ひ~・・・・・。」
橙「え~ん・・・・・・。」
馬車は走り始めました。
幽々子「魔法使いさん、ありがとう。」
魔理沙「でも、気をつけろよ。十二時がきたら、魔法がとけてしまうからな。」
幽々子「わかったわ。」
シンデレラは大喜びで、お城へ向かいました。
・
・
・
お城では、舞踏会が行われていました。
会場では、王子様がお嫁さんを物色していました。
霊夢「そんなもん探せって言ったって、ねえ・・・・。」
王子様、一人の女性に目が止まりました。
霊夢「はて、あの場違いに和風の人は・・・・。」
妖夢「王子様王子様。あの人なんて、お嫁さんにぴったりですよ。」
霊夢「あの、和風の人?」
妖夢「そうですそうです。」
霊夢「どこがぴったりなのよ?」
妖夢「いいからいいから。声をかけてみては、いかがです?」
霊夢「面倒だから、いい。」
妖夢「・・・・・・・・。」
チャ・・・・・・
家来は王子様の首元に、刀を添えました。
霊夢「・・・・・・・・・何よ。」
妖夢「声をかけるのと、刀のサビになるのと。どっちがいいですか、王子様?」
霊夢「・・・・・・あ~、これこれ。そこの三角巾。」
王子様は、その女性に声をかけました。
幽々子「はい?」
王子様が声をかけたのは、シンデレラでした。
霊夢「脅迫されていて仕方ないから、一緒に踊ってくれませんか?」
幽々子「仕方ないから、喜んで。」
二人は、一緒にダンスを踊りました。
幽々子「・・・・・・・・(いきなり封印されたり、しないかな?)。」
霊夢「・・・・・・・・(いきなり魂抜かれたり、しないかな?)。」
それを見ているのは、沢山の舞踏会参加者達、そしてシンデレラの母親と姉達です。
咲夜「あれって、シンデレラ?」
フランドール「どうでもいい。つまらないわ。」
レミリア「なんてうらやましい・・・・・。」
咲夜「ま、そんなわけないか。」
フランドール「帰っていい?」
レミリア「う~・・・・・。」
シンデレラにとって、それは至福のひとときでした。
しかしその幸せも、長くは続きませんでした。
ゴ~ン、ゴ~ン・・・・・。
十二時の鐘がなりました。
幽々子「あ、いけない!」
霊夢「あ、これ、何処へ行く!?」
幽々子「王子様、さようなら・・・・。」
霊夢「あ~、さようなら。」
シンデレラは、大急ぎでお城を後にします。
妖夢「王子様、止めないと!」
霊夢「去るものは追わずよ。」
チャ・・・・・・・
霊夢「・・・・・・・・・・何よ?」
妖夢「あの人を止めるのと、刀のサビになるのと。どっちがいいですか、王子様?」
霊夢「他に選択肢は・・・・・?」
妖夢「ない。」
霊夢「・・・・・止まれ~!三角巾!」
王子様は止めました。
しかし、シンデレラは止まりません。
幽々子「御免なさい、王子様。これも悲劇のヒロインの運命・・・・・・。」
霊夢「誰が悲劇のヒロインよ~!?止まれ~!」
妖夢「止めれなかったら、首と体がお別れする・・・・・・。」
霊夢「・・・・・止まれ~!!止まらないと撃つぞ~!」
幽々子「止まれませ~ん!」
霊夢「霊符『博麗アミュレット』!」
幽々子「ほんとに撃ってきた!?」
王子様は、シンデレラに何かを投げつけました。
ゴチーン
幽々子「いたたたたた・・・・・・。」
何かは、シンデレラの頭に命中しました。
霊夢「よし、討ち取った!」
妖夢「討ち取ってどうすんのよ!」
ブン!
家来は、王子様にむかって刀を振りました。
霊夢「うわ!何すんのよ!」
妖夢「幽々子様に危害を加える者は、神を自称する悪霊が許しても、私が許さない!」
霊夢「ちょっと、あんた!私の家来っていう役、忘れてない?」
妖夢「問答無用!」
ブン!ブン!
霊夢「わ~!」
妖夢「ち、素早い!」
霊夢「くそ~、そっちがその気なら・・・・・。」
妖夢「・・・・来るか。」
霊夢「行くわよ!」
王子様は、家来と弾幕ごっこを始めました。
ドカ~ン!ドカ~ン!
舞踏会は、一転して戦場となりました。
咲夜「これって舞踏会じゃなかったの?」
レミリア「あ、フランドールが・・・・・・。」
フランドール「私も混ぜて~!」
参加者達を巻き込んだ弾幕ごっこは、お城を地獄絵図に変えました。
ドカ~ン!
ドド~ン!
幽々子「今なら、逃げれるかな?」
隙を見てシンデレラは、逃亡しました。
幽々子「到着~。って、あれ?馬がいない。」
紫「あ、ごめんなさいね。私が寝てる隙に、逃げちゃったみたい。」
幽々子「早くここから逃げなきゃいけないんだけど。」
紫「それでは、このすきまにどうぞ。一発で家にかえれるわよ。」
幽々子「ど○でもドアじゃないんだから・・・・。」
シンデレラは、家に逃げ帰りました。
・
・
・
一方、こちらはお城です。
妖夢「また、つまらぬものを斬ってしまった・・・・・。」
霊夢「また、つまらぬものを払ってしまった・・・・・。」
どうやら、事態は沈静化したようです。
沢山の舞踏会参加者達が、その辺に倒れています。
霊夢「結局、取り逃がしたか・・・・・。」
妖夢「何やってるんですか、王子様。女性の一人も捕まえれないなんて。」
霊夢「邪魔立てしたの、あんたじゃない。」
王子様は、シンデレラが去ったあとを、呆然と見ていました。
そのとき家来の一人が、あるものに気付きました。
妖夢「あ、王子様。あれは・・・・・・。」
霊夢「どれ?」
妖夢「ほら、階段のところ。」
王子様が階段を見ると、そこにはシンデレラが舞踏会のときに着けていた、
霊夢「・・・・・・・ふんどし?」
ブン!
霊夢「わ~!」
妖夢「・・・・・・・・。」
霊夢「じ、冗談じゃないの・・・・・。」
三角巾が落ちていました。
霊夢「あ~、さっきアミュレット当てたときに、落ちたのね。」
妖夢「よかったですね。王子様。」
霊夢「何がよ?」
妖夢「これを手がかりに、あの女性を探し出せるじゃありませんか!」
霊夢「何で、そんなことしなくちゃ・・・・・。」
チャ・・・・・・・
霊夢「・・・・・・・・・。」
妖夢「あの人を探すのと、刀のサビになるのと、どっちが・・・・・。」
霊夢「分かったわよ!探せばいいんでしょ!」
妖夢「これが似合う人が、あの時の女性ですよ。頑張って探しましょ。」
霊夢「お~・・・・・・。」
・
・
・
翌日、王子様は家来を連れて、三角巾がしっくりくる女性を探しました。
しかしながら、そんなものが似合う人なんて、そうそういるもんじゃありません。
霊夢「も~、面倒くさいなあ・・・・。」
妖夢「大丈夫!次はきっと見つかります。」
霊夢「その台詞、何十回聞いたことやら・・・・・。」
そのうちに王子様は、シンデレラの家に着きました。
妖夢「ごめんくださ~い。」
咲夜「は~い。何か御用?」
妖夢「実は、かくかくしかじかで・・・・・。」
咲夜「なるほど。この三角巾が似合う人が、王子様のお嫁さんになれると。」
レミリア「それなら、私が・・・・。」
咲夜「次は私が。一応ね。」
フランドール「私もつけなきゃ駄目?」
母親と姉達は、次々と三角巾を着用します。
しかし、王子様は納得してくれませんでした。
霊夢「う~ん・・・・、しっくりこないわね。」
妖夢「ですね。」
霊夢「っていうか、こんなんが似合う人なんて、この世にいるのかな?」
妖夢「いたじゃないですか。」
霊夢「ひょっとして、この世の者じゃなかったり。」
王子様は諦めて帰ろうとしました。
そのときです。
幽々子「待ってください。」
咲夜「シンデレラ!」
レミリア「何しに出てきたの?」
シンデレラが出てきました。
幽々子「それは、私が舞踏会のときに頭に着けていたものです。」
霊夢「そ、そうなの・・・・?」
幽々子「そういうわけだから、着けさせて。」
霊夢「まあ、いいけど。」
シンデレラは、三角巾を着用しました。
妖夢「こ、これはぁぁぁ~~!!!」
霊夢「どうしたのよ?」
妖夢「この姿、この美しさ、この威厳!嗚呼、なんと素晴らしい・・・・・。」
霊夢「お~い、帰ってこ~い。」
妖夢「王子様、この人です!この人があの舞踏会のとき、王子様がお嫁さんにと望まれた・・・・。」
霊夢「望んでない、望んでな・・・・。」
チャ・・・・・
妖夢「・・・・・・。」
霊夢「・・・・・その通り。そんなわけで、美しく威厳のあるシンデレラ。」
幽々子「あら。正直ね、王子様。」
霊夢「私と一緒に、お城へ来てはくれないかな?」
幽々子「はい。喜んで。」
咲夜「シンデレラが・・・・・。」
レミリア「くやし~!」
フランドール「お幸せにね。」
妖夢「よかったですね。王子様。」
霊夢「・・・・・・ああ、そうね。」
母親と姉達が見つめる中、シンデレラは王子様に連れられて、お城へ向かいました。
こうしてシンデレラは王子様と結婚し、幸せに暮らしましたとさ。
ちなみにその後、王子様の家来は大臣となったそうですが、それはまた別のお話。
めでたし、めでたし
おまけ
楽屋にて
幽々子「・・・・・・何か言いたそうね。」
霊夢「別に。」
魔理沙「何も。」
幽々子「隠し事は、身体に毒よ。」
霊夢「じゃあ、言っていい?」
魔理沙「いいか?」
幽々子「いいわよ。」
霊夢「それでは。」
魔理沙「遠慮なく。」
幽々子「どうぞどうぞ。」
霊夢「シンデレラが。」
魔理沙「死んで(れ)ら。」
幽々子「・・・・・・・。」
霊夢「・・・・・・・。」
魔理沙「・・・・・・・。」
幽々子「・・・なるほど。」
完
キャスト
シンデレラ 西行寺 幽々子
母親 十六夜 咲夜
姉1 レミリア・スカーレット
姉2 フランドール・スカーレット
魔法使いさん 霧雨 魔理沙
馬1 八雲 藍
馬2 橙
御者 八雲 紫
王子様 博麗 霊夢
家来 魂魄 妖夢
舞踏会参加者 その他大勢(誰がそこに居て、そして殺られたかは、皆さんのご想像におまかせします)
最初からすきまで行けw