Coolier - 新生・東方創想話

東方昔話 『三枚のおふだ』

2003/10/20 06:32:38
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むかしむかしあるお寺に、和尚と坊主がおりました。
このお寺は随分と山奥に存在し、人は滅多に訪れることはありませんでした。
ある日のこと、和尚は坊主におつかいを命じました。

   魔理沙「街に行って、これこれとそれ。ついでにあれとどれも買ってきてくれ。」
    美鈴「あれとかこれとかじゃ、分からないじゃない。どれって、何?」
   魔理沙「まあ、そうつっこんでくれるな。」
    美鈴「とりあえず、行ってきたらいいんでしょ?」
   魔理沙「そうだな。とりあえず、行って来てくれ。」
    美鈴「じゃ、行ってきます。」

坊主は立ち上がりました。

   魔理沙「あ、忘れるところだった。」
    美鈴「何?追加注文?」
   魔理沙「違う。とりあえず座れ。」

坊主は座りました。

   魔理沙「山を越えるときは気をつけろよ。」
    美鈴「何で?」
   魔理沙「やまんばが出る。」
    美鈴「やまんば?」
   魔理沙「ああ。恐ろしい妖怪だ。」
    美鈴「どういう風に恐ろしいの?」
   魔理沙「その姿を見た者のほとんどは、恐怖の余り動けなくなり、食べられてしまう。」
    美鈴「・・・・・・物騒ね。」
   魔理沙「逃げ出せた者も、大抵はすごい勢いで追いかけてくるやまんばに捕まり、食べられる。」
    美鈴「そんな物騒なものが出るところに、私を行かせようっていうの?」
   魔理沙「心配するな。骨は拾ってやる。」
    美鈴「きっと、ミイラ取りがミイラになるわ。」
   魔理沙「・・・それじゃ仕方ねえな。生きて帰って来い。」
    美鈴「で、やまんばが出たら、どうすればいいの?」
   魔理沙「そうだな・・・・、ちょっと待ってろ。」

和尚は戸棚から何かを取り出しました。
どうやら、お札のようです。
三枚あります。

    美鈴「これは?」
   魔理沙「いわゆるスペルカードだ。私特製のな。」
    美鈴「信頼できるの?効果は?」
   魔理沙「それは使ってみてのお楽しみだ。」
    美鈴「お楽しみが起こらないことを、祈るばかりね・・・・・。」

こうして、坊主は街へ出かけて行きました。

 ・
 ・
 ・

坊主は、何事も無く無事に街へたどり着きました。
そして、和尚から頼まれた、これこれとそれ、あれとどれを買うと、来た道を引き返しました。
ところが、すでに日は傾き、山の向こうに沈みかかっていました。

    美鈴「困ったわ。このままじゃ、山で野宿じゃない。」

坊主は困りました。
仕方がないので、少し足を速めました。

    美鈴「・・・・・・・・・迷った。」

坊主は道に迷ってしまいました。
さらに困った坊主、どこかに家がないものかと辺りを見回しました。

    美鈴「都合よく、民家発見。」

坊主は民家を発見しました。
早速坊主は民家を訪ねます。

    美鈴「ごめんくださ~い!誰かいませんか~。」
     藍「は~い。」

家から誰かが出てきました。

     藍「こんなところに客だなんて、珍しいこともあるもんだ。」
    美鈴「すみませんけど、この近くにお寺はありませんか?」
     藍「寺?」
    美鈴「私はそのお寺の者なんですけど、街から帰ってくる途中で迷ってしまって・・・。」
     藍「なるほど。それなら、ここからあっちの方向にずっと行ったら、オンボロ神社ある。」
    美鈴「いや、あんな神社はどうでもいいから。」
     藍「冗談はおいといて、寺なら、ここからそっちの方向にまっすぐ行ったらある。」
    美鈴「そうですか。ありがとうございます。」

坊主はお礼を言って、帰ろうとしました。

     藍「ちょっと待った。こんな時間に山を越えようっての?」
    美鈴「・・・・・・・あら、随分暗いこと。」
     藍「よかったら、打ちに泊まっていきなさい。それで明日出ればいい。」
    美鈴「いいんですか?」
     藍「遠慮しなくていい。」
    美鈴「それじゃ、お言葉に甘えさせていただきます。」

坊主は、一晩宿を借りることにしました。

 ・
 ・
 ・

山越えで疲れていた坊主は、家の人から食事をもらった後、すぐに寝てしまいました。

     美鈴「く~・・・・・・・・。」

  ・・・~、・・・~

     美鈴「う~ん・・・・・・。」

  ・ン、ドン

     美鈴「うう~ん・・・・・。」

  ・・・~!

     美鈴「・・・・・・・五月蝿いなあ。何の音よ?」

なにやら物音がするので、坊主は目を覚ましてしまいました。
坊主は耳を澄まして、音を聞いてみました。

   ドン、ドン
  ・・・~!、・・コ~!

     美鈴「・・・・こっちかしら?」

坊主は、音がする方向を向きました。
するとそこには障子があり、そこに影が写っています。

     美鈴「・・・何やってるのかな・・・・?」

どうやら家の人が、ドンドンと音を立てて飛び跳ねているようです。
坊主は気になったので、障子を少し開けて、向こう側を覗いてみました。
そこで坊主は、見てはいけないものを見てしまったのです。

 ドン、ドン!

      藍「テンコ~!テンコ~!」

 ドン、ドン!

      藍「テンコ~!テンコ~!!」

 ドン、ドン

      藍「テンコォ~!!」

家の人が、なにやら怪しい呪文を唱えながら飛び跳ねていました。
それだけならいいのですが(あんまりよくない)、しかし坊主は気付いてしまいました。

     美鈴「下半身・・・・・・・・、スッパ・・・・・・。」

坊主はあまりのことに、つい口に出してしまいました。
そのとき、家の人の動きが止まり、ゆっくり坊主の方を向きました。
そして、ものすごい形相で睨みつけます。

      藍「みたな・・・・・・!」
     美鈴「ひっ・・・・・・・!」
      藍「みぃ~たぁ~なぁ~・・・・・!!」

その余りの迫力に、坊主は腰を抜かしてしまいました。

     美鈴「ま、まさかあなたは、やまんば・・・・?」
      藍「そうとも言う。」
     美鈴「やっぱり・・・。」
      藍「私の秘密を知ってしまった以上、生かしてはおけない!覚悟しろ、中国!」
     美鈴「中国言うな・・・・。」
      藍「うるさい!大人しく私に食われろ!」
     美鈴「ぎゃ~!!」     

坊主は、一目散に逃げ出しました。

      藍「あ、こら!逃げるな~!」
     美鈴「助けて~!変態さんが私を襲ってくる~!」
      藍「誰が変態だ!」
     
そのあとをやまんばは、刃物を持って追いかけます。

      藍「メイドから借りたこのナイフは、幽霊をも切り裂く!」
     美鈴「私は幽霊じゃない!」

やまんばは、ものすごい勢いで坊主に迫ってきています。

      藍「まて~!」
     美鈴「ひ~・・・・。」
      藍「ま~て~!」
     美鈴「そ、そうだ。こんなときのために、和尚さんからもらったお札が・・・・。」

坊主は、出発前に和尚から貰ったお札を取り出しました。

     美鈴「なんだかよくわからないお札、喰らえ!」

坊主はやまんばに向かってお札を投げつけました。
すると、お札はみるみるうちに姿を変えました。

      藍「こ、これは・・・・。」
     美鈴「何が起こったの?」
      藍「油揚げ・・・・。なんと美味そうな。」
     美鈴「・・・・・なんて安っぽいお札・・・・。」
      
やまんばが気を取られている隙に、坊主は逃げ出しました。

      藍「・・・って、こんなものに騙されるか~!」

やまんばは、すぐに後を追いかけました。

     美鈴「あんまり役にたってないじゃない・・・・。」

坊主は全速力で逃げてます。
そのあとをやまんばは、刃物を持って追いかけます。

      藍「庭師から借りたこの楼観剣に、斬れぬ物などあんまりない!」
     美鈴「得物が物騒になってる~!?」

やまんばは、ものすごい勢いで坊主に迫ってきています。

      藍「まて~!」
     美鈴「ひ~・・・・。」
      藍「ま~て~!」
     美鈴「こうなったら、二枚目のお札を・・・・。」

坊主はやまんばに向かって二枚目のお札を投げつけました。
すると、お札はみるみるうちに姿を変えました。

      藍「こ、これは・・・・。」
     美鈴「今度は何?」
      藍「いなり寿司・・・。なんて美味そうな・・・。」
     美鈴「・・・・・今度は大丈夫かな?」

やまんばが悩んでいるうちに、坊主は逃げ出しました。

      藍「・・・・はっ!危うく騙されるところだった。」

少ししてやまんばが、再び坊主を追いかけます。

      藍「まて~!」
     美鈴「来た~!!」
      
距離が開いて少し安心していた坊主、あっという間に距離を縮められて、ものすごくあせりました。
そういうわけなので、坊主は全速力で逃げてます。
そのあとをやまんばは、刃物を持って追いかけます。

      藍「某妹から借りたこのレーヴァテインは、全てのものを焼き尽くす!はず。」
     美鈴「刃物じゃなくなってる~?!」

やまんばは、ものすごい勢いで坊主に迫ってきています。

      藍「まて~!」
     美鈴「ひ~・・・・。」
      藍「ま~て~!」
     美鈴「どうでもいいけど、スッパな状態で追っかけてこないで~!」
      藍「やかましい~!大人しく斬られろ~!」
     美鈴「こうなったら、最後のお札を・・・・。」

坊主はやまんばに向かって最後のお札を投げつけました。
すると、お札はみるみるうちに姿を変えました。

      藍「な、何と・・・・。」
     美鈴「気にしてる暇はないけど、気になる・・・。」
      藍「いなり寿司が、3、4、5個!・・・・一つくらい、いいよね。」
     美鈴「よし。退散!」

やまんばが食事をとっているうちに、坊主は逃げ出しました。

      藍「・・・・・・う~ん、もう一個。」

 ・
 ・
 ・

やまんばの追撃をかわしきった坊主は、お寺に帰ってきました。

     美鈴「た、ただいま~・・・・・。」
    魔理沙「おう、おかえり。随分と早かったな。」
     美鈴「そりゃあ、ここまで全力疾走だったから・・・・。」
    魔理沙「そんなに私に会いたかったのか?」
     美鈴「断じてちがう。やまんばに追いかけられてたのよ・・・。」   
    魔理沙「そうかそうか。それは災難だったな。」
     美鈴「他人事みたいに言わないでよ。」
    魔理沙「他人事だぜ。」
     美鈴「やまんばは、もうすぐここに来るわ。どうするの?」
    魔理沙「まあ、まかせておけ。」
     美鈴「大丈夫なの?」
    魔理沙「ああ。魔理沙におまかせ、だぜ。」
     美鈴「何よ、その怪しいキャッチフレーズは。」

坊主の報告を聞いた和尚は、まず坊主をお寺の奥へ隠しました。
そして、やまんば退治の下準備を始めました。
    
    魔理沙「もしもし、私だ。実はかくかくしかじかで・・・、そうそう。・・・・・ああ・・・・。じゃ、よろしくな。」
     美鈴「・・・・・・電波?」
    魔理沙「テレパスとか言ってほしい。」

そうこうしているうちに、お寺にやまんばがやってきました。

      藍「ごめんくださ~い。」
     美鈴「来た・・・・・・。」
    魔理沙「それじゃ、ちょっくら行ってくる。」

和尚は、やまんばのもとへと向かいました。

      藍「お邪魔しま~す。」
    魔理沙「邪魔するなら帰ってくれ。」
      藍「それじゃ、邪魔しないわ。」
    魔理沙「何か用か?」
      藍「ここに、何かと中国な坊主が逃げてこなかったかしら?」
    魔理沙「知らないぜ。」
      藍「ほんとに?」
    魔理沙「何かと中華風な坊主なら逃げこんできたけどな。」
      藍「きっとそれだ。ここに持って来て。」
    魔理沙「まあ、慌てるな。奥でお茶でもどうだ?」
      藍「それじゃ、いただこうかしら。」
    
和尚は、やまんばを客間へ案内しました。

    魔理沙「ほい、お茶だ。」
      藍「毒なんか、入ってないよね?」
    魔理沙「大丈夫だ。毒なんて入っちゃいないぜ。
      藍「ほんとに?」
    魔理沙「ああ。ほんとに入っちゃいないぜ。毒はな。」
      藍「それじゃ、いただきます。」
    魔理沙「毒以外の何かなら、入ってるけどな。」
      藍「!?」

 ・
 ・
 ・

坊主が隠れて半刻が経とうとしたとき、和尚が戻ってきました。

     美鈴「やまんばは?」
    魔理沙「ああ。もう心配はいらないぜ。」
     美鈴「退治したの?」
    魔理沙「まあ、その、何と言うか・・・。」
     美鈴「?」
    魔理沙「見てもらったほうが早い。」

そう言うと和尚は、坊主を客間へ連れて行きました。

     美鈴「誰もいないわよ?」
    魔理沙「とりあえず、これ。」
     美鈴「湯呑み?」
    魔理沙「この中を見てみろ。」
     美鈴「ん~・・・?」

坊主は湯呑みの中を覗きました。

      紫「・・・・・・・・・・・って、いってるでしょ。」
      藍「ひ~・・・・。」

湯呑みの中には別の空間が広がっていました。
その中でやまんばは、何かにお説教を喰らっていました。

      紫「大体、こんなところでもテンコ~とか言ってるなんて・・・・。」
      藍「そ、それは作者の陰謀で・・・・・・。」
 ポカッ  
      藍「痛い・・・・・。」
      紫「放送禁止コードには気を遣わないと。」
      藍「はい・・・・・。」
      紫「主として恥ずかしい・・・・。私は悲しいわ・・・・。しくしく・・・・。」
      藍「あ、いや、その・・・。紫様、泣かないで下さい・・・・。」
      紫「だって、このままじゃ世間から、変態の親分だって言われる・・・。しくしく・・・・。」
      藍「ご、御免なさい。もうテンコ~とか言いませんから・・・・。」
      紫「ほんとに?」
      藍「ほんとです。」
      紫「解ればよろしい。それじゃ、私は寝るから。」
      藍「は、はい。おやすみなさい・・・・。」
      紫「zzzzzzz・・・・・・・・。」
      藍「・・・・・・・・嘘泣きだったのかな。」

どうやら、話は終わったようです。

    魔理沙「と、いうわけだぜ。めでたし、めでたし。」
     美鈴「めでたくないわよ。あの追撃戦はトラウマになったわ。私は心に大きな傷を・・・。」
    魔理沙「あ~、今回は楽な役回りだったな。」
     美鈴「話、聞いてよ・・・・。」

こうしてやまんばは、坊主の心に大きな傷を残して退治され、山は多少平和になりました。
しかし、どっかの神社と同様、お寺に人が来ないのは相変わらずでしたとさ。

     霊夢「どっかの神社って、どこの神社のことよ?」

 めでたし、めでたし



キャスト

和尚   霧雨 魔理沙
坊主   紅 美鈴
やまんば 八雲 藍
その他  八雲 紫、博麗 霊夢


 昔話第9弾、三枚のおふだ。坊主が、追いかけてくるやまんばに、お札三枚で応戦するお話なのですが・・・・。お札の有り難味というか、存在感というか、それらのなんと薄いこと。
 この作品について、一言いえること。御免なさい、八雲 藍。方々のテンコ―に便乗して、ここでもテンコ~ネタをやってみたのですが・・・・。もうしません。反省してます。次はもっとマシなのを書きます。だからスッパで楼観剣持って追いかけてこないでください。
Piko
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コメント



0.1260簡易評価
1.30すけなり削除
これはこれで…(笑
2.40AR削除
面白かったです。でも、元ネタを知らなかったり・・・(死
30.80名前が無い程度の能力削除
最後の札は橙になるのかと思ってました。
ちぇぇぇぇぇえぇぇん!!