Coolier - 新生・東方創想話

レティチル砲よ永遠に

2003/10/12 15:25:57
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‐1‐

誰が呼んだか冬の忘れ物、レティホワイトロックが焚き火ならぬ焚き氷で涼んでおりますと、そこへパタパタとやってきたのは氷精チルノであります。
「レチレチー」
「あらチルノブ。もうすぐ冷凍みかんが出来るわよ」
「そんなことより、これ見て頂戴」
「なになに、チラシ? ……今月吉日、当邸にてスカーレット杯争奪タッグトーナメント、略して『紅‐1』を開催?」
「そう。あっちで門番が配ってたの貰って来た訳」
「優勝チームには血液一年分を進呈……って、激しくいらないんだけど」
「でもほら、副賞として賞金5000紅魔弗も出るんだって」
「聞いたことない通貨ね」
「だからさ、あたしたちも出よう」
「何が『だから』なんだかよくわからないけど。……第一、タッグを組んで何をやるのかしら。まさかプロレスじゃないでしょうに」
「さぁ。詳しくは書いてないけど。いいじゃん、出よう出よう」
「おっくうね」
「やだやだ、出る出るぅ~~(ジタバタ)」
「地面にあおむけになって手足をばたつかせられても、おっくうなものはおっくうなの。だいいち、パートナー私じゃなくてもいいでしょ。宵闇のとか、大妖精とか」
「あいつらじゃ頼りにならないしー。だからって人間や亡霊とは気が合わないしさ」
「しょうがないわね……」
「おっ、出る気になった!? レッティー最高!!」
「ただし、リーダーは私ね。リーダー命令はしっかり守ってもらうわよ」
「OKOK」
「じゃチーム名は『氷精チルノ負けたら即卒業!』で」
「何から卒業するんだかわからないけどイヤー!」

‐2‐

「さあやってまいりました幻想郷・秋の祭典、スカーレット杯争奪タッグトーナメント、略して『紅(あか)‐1』! 実況は私こと春の妖精リリーホワイト。紅魔館特設リングサイドからお伝えします。解説は当邸のことなら何でも知っている、悪魔の妹、フランドール・スカーレットさんです。よろしく」
「よろー。まあ地下室ならまかせて」
「さてフランさん、今回の大会、優勝の行方はどうなりますか」
「んー、やっぱり筆頭はメイド長と庭師のIK砲ね。巫女と人形使いの九色コンビとか、魔法使い同士の黒い七連星コンビなんてのも要チェックだけど」
「なるほど」
「あと、入場式のあいだもずっと棺桶に入りっぱなしだった、カリスママシーン1号、2号もなかなか未知の実力者って感じね」
「正体バレバレな気もしますが……おっと、さっそく第一試合の開始です。最初の入場は、宵闇の妖怪ルーミア&大妖精のフレッシュコンビ。新鮮さが取り柄です」
「まぁ、そうとしか表現できないわよね」
「そして対するはレティ・ホワイトロックと湖上の氷精チルノの師弟コンビ。コンビネーションでは他チームより一日の長があります」
「寒い奴らね」
「おっと、いきなりレティ・チルノ組の合体攻撃!」
「寒符『リンガリングコールド -Cirnotic- 』!」
「なんとぉ! 『リンガリングコールド』の弾の代わりにチルノ選手が回っています! これは強力~~!!」
「ブッ! ブギャア~~~!!」
「おおっと、フレッシュコンビ、ダブルKO~! レティ・チルノ組、秒殺で準決勝進出!」
「はい、お疲れ様」
「う~……まだ目が回ってるんだけど……」
「何言ってるの。これからまだまだ回るんだから」
「まだまだ!?」

〈1回戦〉
 レティ○、チルノ(5秒、寒符『リンガリングコールド -Cirnotic- 』)ルーミア・大妖精●

 十六夜、魂魄○(4秒、楼観剣)紅・小悪魔●

 霧雨、ノーレッジ○(7分3秒、アク抜き)プリズムリバー姉妹●

 カリスママシーン1号・2号○(13分4秒、さくらさくら)博麓・マーガトロイド●

‐3‐

「さあ準決勝第一試合は、一回戦で紅・小悪魔の番人コンビを瞬殺したIK砲とレティ・チルノ組の一戦です」
「さすがにこれは従業員コンビに分があるわね」
「嗚呼、何処からかご覧のお嬢様(と手にナイフ)、咲夜の戦いをどうかお見守り下さい(と手首にナイフ)。勝利と栄冠の二文字を御許に捧げましょう(と肩にナイフ)、アアアお嬢様ぁぁぁぁン(と首にナイフ二本)」
「斬る切るキルKILLキキキキッ、キィッキィッルルルルゥゥヒャアハハハヒャヒャンヒャんひゃんひゃん」
「さすが優勝候補筆頭、切れ味も抜群です」
「むしろキレ味だけどね」
「怖っ! あんなのとやるの嫌だ……」
「あら。賞金は欲しくないのかしら?」
「そ、そりゃ……でも、命あってのモノダネでしょ」
「まあ、策はあるわ」
「さあここでゴ―ング! おっと、レティ&チルノ組、さっそく合体技!」
「寒符『リンガリングコールド -Cirnotic- 』!」
「『斬』」
「ああーっと! 辻斬りコンビ呼吸の合った斬撃!! 回転しながら飛んでくるチルノ選手をナマス斬り~~っ!!」
「いや、違う」
「え!? ああーーっ! 斬られたのは紅美鈴!! 一回戦で敗れた彼女をチルノ選手の代わりに投げていた~~!!」
「……ひ、ひとで……な、し……」
「!?」
「本物は……上!」
「霜符『フロストコラムス -LettyWhiterock-』!」
「ああーっ! 『フロストコラムス』で射出されたレティ選手が、人斬りコンビに痛烈なボディアタ~ック!!」
「ホ、ホゲ~~~!!」
「十六夜・魂魄チーム、立てな~い! 大番狂わせで、シベリアコンビが決勝進出だ~~!!」
「破壊力抜群の体当たりね」
「…………」
「どしたの? なんで勝ったのに機嫌悪いの?」
「いえ、別に」

〈準決勝〉
 レティ、チルノ○(3分9秒、霜符『フロストコラムス -LettyWhiterock-』)十六夜・魂魄●

 カリスママシーン1号○、2号(4分13秒、こんなに月も紅いのに)霧雨、ノーレッジ●

‐4‐

「さあ泣いても笑ってもこれが最後の大一番! 一回戦で九色コンビ、準決勝で黒い一週間コンビの実力者を倒してきた謎の強豪・カリスママシーン1号・2号に、ダークホース・レティ&チルノ組が挑みます!!」
「これはさすがにねえ」
「いいかげん、棺桶から出たいわね」
「まあ、出ちゃうと正体バレますから」
「チルノ」
「なに?」
「チャンスはいちどきりよ――」
「――わかってる」
「さあいよいよ運命のゴング! あーっと、レティ・チルノ組、いきなり仕掛けたー!」
「雪符『ダイアモンドブリザード』」
「怪符『テーブルターニング』」
「しかも奇襲ではなくお互いの最強符で真っ向勝負~! ああっ!?」
「……小五月蝿いわね」
「なんとーっ! 西洋風棺桶からにょきりと出てきた手が、レティ・チルノ組の全力攻撃を受け止めている~~! 恐るべしカリスママシーン1号!!」
「でも、それが命取りになる」
「え? ああっ!? 溶けた雪弾が流水になって棺桶を押し流していく~!」
「流れる水には弱いのよね……」
「これで残ったのはカリスママシーン2号のみ! ああっ、和風棺桶から手が出てきて!」
「考えたわね。でも、妖怪にも死は与えられる――」
「あーっと、無数の亡霊が集まってきて! レティ・チルノに向かって放たれる~!!」
「レティーー!!」
「チルノ!」
「あああっ!? レティ・チルノ組、覚悟を決めたか抱き合った! いや!? なんとそのまま形が崩れて! 大量の雪片となって降り注いでくる~~!! まさにボーダーオブラ~イフ!!」
「『神無月に 泡雪降ると 知らずして
  桜の花咲く 春まだ遠きに』」
「ああーーっと、辞世の句! 辞世の句です! そしてここで3カウント!! レティ・チルノ組が、紅‐1タッグトーナメントを制しました~~!! フランさん、いかがでしたか今大会」
「それよりさ」
「はい?」
「あんた春の精なのに、なんで秋にいるわけ?」
「今頃言われても……」

〈決勝戦〉
レティ・チルノ○(9分6秒、掟破りの逆反魂蝶)カリスママシーン1号、2号●



その後。
「ちょっと華人小娘、なんか芸やってよ、芸」
「なんで私が」
「はい、5紅魔弗あげるから」
「うっ! で、でも……」
「あんたの月給の半分でしょ? なかなかいいと思うんだけど~?」
「なんでもやります……」
「――どうでもいいけど、なんであの寒い連中がいりびたってるのよ?」
「なにせ紅魔弗はこの屋敷でしか使えませんから」
どっとはらい。
これこそまさにカップリング支援でやるべきだったネタかもしれません。まあどっちみち支援もへったくれもない内容なんですけど。
STR
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コメント



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1.40ななし削除
お約束と思わぬ展開の連続で楽しませていただきました。
2.30無銘 削除
あんたからはプロレスLoveを感じるぜ    
3.50ななーー~し削除
全体を通してとてもおもしろいです。一番受けたのは「アク抜き」 これは笑うしかないっしょ