幻想郷は今日も晴れていて、雲一つ無い眩しいそら。
幻想郷の森は今日も鬱蒼としていて、虫一匹居ない耳の痛む静けさ。
幻想郷の湖は今日も澄んでいて、波一つ無い鏡面に似た水面。
幻想郷は今日もいつも通りの様で、だけれど何かが足りていない。
太陽が大分赤みを帯びてきた時間帯、唐突に、幻想郷が死んだように静かになった。
カナカナカナカナカナ………。
音の無い幻想郷にヒグラシの鳴き声が響く。
まるで遮るものが無い様に、その声は幻想郷の端にまで届いた。
秋も近い夕暮れ。
自分が最後の一匹だと言うことを知っている、そのヒグラシの声だけが世界の音。
唐突にやってくることがある。
自分が世界の中の、ほんの小さな部分だという実感。そして。
何を持っても埋められはしないような、心の空洞。
これは日の沈むまでの、恐らくほんの気の迷い────────
----------------------------------------------------
── 一人で遊ぶこと、それは悲しいか。
答えは、NO。
何故か? 悲しいなら遊べない。──
「虚空の一人遊び」
いつものように笑っていて、いつものように楽しくて。
そうやって今日も来た黄昏。
氷漬けの蛙を持ちながら、不意に空を見上げた。
茜色の空。
なぜだろう? 何かが足り無い様な感覚。
辺りを見回す。 誰も居ない。
耳を澄ます。 聞こえるのは、私の心臓の鼓動。
湖を覗き込む。 何も居ない。 映る私の顔。
手の中に、まだ可能性のある命。
水の中にいつもの様に放り込む。
壊れて、消えた。
独りに、なった。
もういいや。 遊ぶのはまた明日。
いつもよりずっと早いけど、今日は気が乗らない。
空が紫に変わるより早く。 辺りが闇に包まれるその前に。
明日もまた遊べるように。
───おやすみ。
----------------------------------------------------
──大きな館の大きな門に紅い風鈴がありました。
それの奏でる見事な音色は、聴いた者を眠りへと誘います。
安らかな、覚める事のないであろう。──
「紅色の風鈴」
まったく、よくもまあ性懲りも無く。
毎日毎日来訪者には困らない屋敷だこと。
今日も私の仕事をきっちりこなして、辺りの静けさを取り返す。
静寂が訪れて初めて、もう夕方だと気がついた。
見飽きた風景。 美しい景色もいつしか日常になり、私の中でだけ色あせた。
ここにいることは辛くない。 この風景も悲しくない。
でも、私の心が、なんだか痛い。
「この世界に、私は一人きり。」
そんなたちの悪い冗句が浮かんでくるほどに。
朱色に染まる世界の中で、私はきっと泣いていたんだろう。
来訪者を待ち望んだのは初めてだった。
----------------------------------------------------
──昼の王様は、夜寝ているときに殺されました。
夜の王様は、昼寝ているときに殺されました。
王様は欠点だらけでした。 少し他人より優れていただけで。──
「陽光の敗北者」
窓から入る黄金の光。
斜に角度を取ったそれを遠くから見つめる。
その程度で本能は警鐘を鳴らすのだけれど、私は光に歩み寄る。
間近に来て、目の痛みをこらえてそれを凝視する。
光が筋になって見えて、──目はとても痛むけど──凄く綺麗だと思った。
でも。
さら…。
触れてみた指先が一瞬で灰になった。
ああ、太陽は。
そんなに私が憎いのだろうか。
「夜」が私の時間で、「昼」に出る幕は無い。
わかってはいたけど。 だけど。
その時だけは叫びたいほど悲しかった。
紅いまんまる あなたはどっち?
----------------------------------------------------
──長い間ずっとこの姿。変わらないからこれが自分。
背中にひびが入っても、それは、きっと、嬉しくない。──
「サナギ」
不可解な事というのは、必ずあるだろう。 それは知っている。
とはいえ私が自分から、まさか読書がしたくないと思うだなんて。
埃を巻き上げ久方ぶりに立って歩く。
ひとまずこの図書室から出たくなったから。
予想外の事というのは、実際は何処にでも何時にでもあるだろう。 それも知っている。
だけど。
廊下の壁を思い切り殴りつけるだなんて、予想外にも程がある。
廊下に差し込む黄金の西日。
美しすぎて腹が立った。
私は本を読むのが好きなの。 それが自分の拠り所であるほどに。
だっていうのにこんなの見せるなんて反則よ。
本に載っていた夕日はちっとも綺麗じゃなかったのに。
私が今まで見てきたものが偽物だったら、私の知識は全て偽物?
「…じゃあ、私は誰なのよ…。」
久しぶりに動いて、お腹がすいた。 厨房にでも行ってみよう。
最も大事な事だとはいえ、時に揺らぐこともあるだろう。
しかし、最後には変わらないから大事なのか、と本を片手に思う。
「手が痛い……。」
馬鹿みたいでちょっと笑った。
----------------------------------------------------
──そいつはとても重要なもの。なにせちょっと見たことがあるんなら、誰にだってわかるだろう?
そいつを被ったいかした女が『魔女』だって事が。
じゃあそれを脱いだらどうなるかって?
さあ?彼女に聞いてくれ。──
「黒いとんがり帽子」
ようやく実った研究に喜ばないはずは無い。
ビー玉みたいな球形の丹。
失敗なんて考えてなくて、飲み込もうとしたら夕日が目に触れた。
幾千万年そこで輝いたか知らないが、不老不死ではないんだろう?
──太陽すらも越えちゃって、それはきっととても不自然。──
──黒い帽子に黒い服。 魔女は星より長生きかしら?──
…………。
ああ、分かったよ。
あんたが居ないと昼が無い。
私は昼寝が好きなんだ。
屋根の上まで上っていって、手にした丹を夕日に向かってぶん投げた。
黒い帽子が落っこちた。
うるさいな。 私は人間だよ。
----------------------------------------------------
──たとえ『世界』を作れる誰かがいたって、実はそんなに大したことじゃない。
『世界』なんてのは星の数より転がっている。
たとえば君の頭の中に。
もっとも、よく似た模造品には要注意だが。──
「濃紺と銀 時計」
懐中時計を持っている。 時刻はまるで合ってない。
肌身離さず持っている。 時間を止めても動く針。
止まった時間にあってなお、生真面目に時を刻む。
銀のナイフを持っている。 ぴかぴかに磨いた一級品。
肌身離さず持っている。 時間を止めても切れる刃。
止まった時間にあってなお、生真面目にモノを刻む。
容易に捻じ曲げられる世界の中で、ずっと変わらない私の親友。
朱に染まる廊下。 窓から見える茜色の空。
沈む太陽、迫る夜。
時間を止めたら見られない、変化する空のグラデーション。
『世界』の中に『私の世界』があると教えてくれた。
容易に捻じ曲げられる世界の中で、ずっと変わり続ける私の親友。
----------------------------------------------------
──私は支配者。逆らう者は誰も居ない。
手を伸ばして手に入れた物は私の物。
この部屋にある全てのものは私のもの。
手に入れたのは、湿気て割れてるいつかのクッキー。──
「無知なる支配者」
今日も退屈な一日。
壊れた玩具はつまらない。
新しいのが欲しいなぁ。
そういえば、玩具はお外から持ってくるって聞いたけど。
お外に行ったら玩具はたくさんあるのかしら?
壊れないのもあるのかな。
お外にちょっと興味がわいた。
あれ?ところで。
お外って、どうなってるの?
色々考えたけど分からない。
まあいいか。 どうせお外に出てはいけないのだし。
今日も退屈な一日。
壊れた玩具でサッカーした。
----------------------------------------------------
──光の中がいつもの世界で、ほんとの闇なんて滅多に見ない。
真っ暗なのがいつもの世界で、光なんて全く見ない。
『当たり前』の隔たりは、生と死によく似ている。──
「光を知らない金の髪」
静まり返った幻想郷。 ヒグラシの声がする。 今は夕暮れなのかもしれない。
私はいつも闇の中。
私の周りの、「夜」という名の遮光幕。
私の見ている世界は、一体どれだけ欠けているのか。
私の知らない世界が、一体どれだけあるというのか。
元より日差しの下なんかじゃ生きていけないけれど。
「明るい」というのもよく分からないけれど。
少しだけ興味があった。
だから少しだけ羨ましかった。
太陽の下に生きていた「天然物」が。
──半分以上がくすんだ赤色。──
太陽と鉄のにおいがした。
----------------------------------------------------
──僕には彼の様に自由な羽は無いけれど。
彼のように、素敵な声で鳴くことは出来ないけれど。
彼を守り続けてきたこと。
誰にも知られずとも、僕はそれを誇りに思う。──
「空蝉」
ああ、たまにある、こんな日が。
他人恋しさは人間の証かしら?
賽銭箱に腰掛ける。
静まり返る「こちら側」。
喧騒を忘れられない「あちら側」。
退屈が日常の「こちら側」。
急かされるのが日常の「あちら側」。
同じ世界の中にあって、こうも違うと笑えるくらいね。
笑っても少し悲しい。
ずっと一人でいても、時たま寂しい。
同じ人間なら、「あちら側」でもこういう時はあるのかしら。
凛とした静けさも、繰り返す日常も嫌いではないけれど。
お祭りの様な活気が時に恋しい。
----------------------------------------------------
──彼をそんなに笑うなよ。
愚かなほどに笑っている彼だけれど、そいつがなぜだかわかるかい?
彼には、笑うくらいしか出来ないのさ。
死ぬまで、笑ってみろ。出来るか?──
「Joker」
カナカナカナカナカナ………。
太陽は後半分。
カナカナカナ………。
太陽は欠片ほど。
……カナ…カナ………。
全て沈む。 夜。
………………………………………………。
幻想郷に微かに風が帰ってきて。
ヒグラシは落ちて、死んだ。
----------------------------------------------------
足りなかったものは何なのか分からないけど。
幻想郷にそれが戻ってきた。
満天の星空とともに。
繰り返す日常の、ほんのひと時のこと。
幻想郷の森は今日も鬱蒼としていて、虫一匹居ない耳の痛む静けさ。
幻想郷の湖は今日も澄んでいて、波一つ無い鏡面に似た水面。
幻想郷は今日もいつも通りの様で、だけれど何かが足りていない。
太陽が大分赤みを帯びてきた時間帯、唐突に、幻想郷が死んだように静かになった。
カナカナカナカナカナ………。
音の無い幻想郷にヒグラシの鳴き声が響く。
まるで遮るものが無い様に、その声は幻想郷の端にまで届いた。
秋も近い夕暮れ。
自分が最後の一匹だと言うことを知っている、そのヒグラシの声だけが世界の音。
唐突にやってくることがある。
自分が世界の中の、ほんの小さな部分だという実感。そして。
何を持っても埋められはしないような、心の空洞。
これは日の沈むまでの、恐らくほんの気の迷い────────
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── 一人で遊ぶこと、それは悲しいか。
答えは、NO。
何故か? 悲しいなら遊べない。──
「虚空の一人遊び」
いつものように笑っていて、いつものように楽しくて。
そうやって今日も来た黄昏。
氷漬けの蛙を持ちながら、不意に空を見上げた。
茜色の空。
なぜだろう? 何かが足り無い様な感覚。
辺りを見回す。 誰も居ない。
耳を澄ます。 聞こえるのは、私の心臓の鼓動。
湖を覗き込む。 何も居ない。 映る私の顔。
手の中に、まだ可能性のある命。
水の中にいつもの様に放り込む。
壊れて、消えた。
独りに、なった。
もういいや。 遊ぶのはまた明日。
いつもよりずっと早いけど、今日は気が乗らない。
空が紫に変わるより早く。 辺りが闇に包まれるその前に。
明日もまた遊べるように。
───おやすみ。
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──大きな館の大きな門に紅い風鈴がありました。
それの奏でる見事な音色は、聴いた者を眠りへと誘います。
安らかな、覚める事のないであろう。──
「紅色の風鈴」
まったく、よくもまあ性懲りも無く。
毎日毎日来訪者には困らない屋敷だこと。
今日も私の仕事をきっちりこなして、辺りの静けさを取り返す。
静寂が訪れて初めて、もう夕方だと気がついた。
見飽きた風景。 美しい景色もいつしか日常になり、私の中でだけ色あせた。
ここにいることは辛くない。 この風景も悲しくない。
でも、私の心が、なんだか痛い。
「この世界に、私は一人きり。」
そんなたちの悪い冗句が浮かんでくるほどに。
朱色に染まる世界の中で、私はきっと泣いていたんだろう。
来訪者を待ち望んだのは初めてだった。
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──昼の王様は、夜寝ているときに殺されました。
夜の王様は、昼寝ているときに殺されました。
王様は欠点だらけでした。 少し他人より優れていただけで。──
「陽光の敗北者」
窓から入る黄金の光。
斜に角度を取ったそれを遠くから見つめる。
その程度で本能は警鐘を鳴らすのだけれど、私は光に歩み寄る。
間近に来て、目の痛みをこらえてそれを凝視する。
光が筋になって見えて、──目はとても痛むけど──凄く綺麗だと思った。
でも。
さら…。
触れてみた指先が一瞬で灰になった。
ああ、太陽は。
そんなに私が憎いのだろうか。
「夜」が私の時間で、「昼」に出る幕は無い。
わかってはいたけど。 だけど。
その時だけは叫びたいほど悲しかった。
紅いまんまる あなたはどっち?
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──長い間ずっとこの姿。変わらないからこれが自分。
背中にひびが入っても、それは、きっと、嬉しくない。──
「サナギ」
不可解な事というのは、必ずあるだろう。 それは知っている。
とはいえ私が自分から、まさか読書がしたくないと思うだなんて。
埃を巻き上げ久方ぶりに立って歩く。
ひとまずこの図書室から出たくなったから。
予想外の事というのは、実際は何処にでも何時にでもあるだろう。 それも知っている。
だけど。
廊下の壁を思い切り殴りつけるだなんて、予想外にも程がある。
廊下に差し込む黄金の西日。
美しすぎて腹が立った。
私は本を読むのが好きなの。 それが自分の拠り所であるほどに。
だっていうのにこんなの見せるなんて反則よ。
本に載っていた夕日はちっとも綺麗じゃなかったのに。
私が今まで見てきたものが偽物だったら、私の知識は全て偽物?
「…じゃあ、私は誰なのよ…。」
久しぶりに動いて、お腹がすいた。 厨房にでも行ってみよう。
最も大事な事だとはいえ、時に揺らぐこともあるだろう。
しかし、最後には変わらないから大事なのか、と本を片手に思う。
「手が痛い……。」
馬鹿みたいでちょっと笑った。
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──そいつはとても重要なもの。なにせちょっと見たことがあるんなら、誰にだってわかるだろう?
そいつを被ったいかした女が『魔女』だって事が。
じゃあそれを脱いだらどうなるかって?
さあ?彼女に聞いてくれ。──
「黒いとんがり帽子」
ようやく実った研究に喜ばないはずは無い。
ビー玉みたいな球形の丹。
失敗なんて考えてなくて、飲み込もうとしたら夕日が目に触れた。
幾千万年そこで輝いたか知らないが、不老不死ではないんだろう?
──太陽すらも越えちゃって、それはきっととても不自然。──
──黒い帽子に黒い服。 魔女は星より長生きかしら?──
…………。
ああ、分かったよ。
あんたが居ないと昼が無い。
私は昼寝が好きなんだ。
屋根の上まで上っていって、手にした丹を夕日に向かってぶん投げた。
黒い帽子が落っこちた。
うるさいな。 私は人間だよ。
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──たとえ『世界』を作れる誰かがいたって、実はそんなに大したことじゃない。
『世界』なんてのは星の数より転がっている。
たとえば君の頭の中に。
もっとも、よく似た模造品には要注意だが。──
「濃紺と銀 時計」
懐中時計を持っている。 時刻はまるで合ってない。
肌身離さず持っている。 時間を止めても動く針。
止まった時間にあってなお、生真面目に時を刻む。
銀のナイフを持っている。 ぴかぴかに磨いた一級品。
肌身離さず持っている。 時間を止めても切れる刃。
止まった時間にあってなお、生真面目にモノを刻む。
容易に捻じ曲げられる世界の中で、ずっと変わらない私の親友。
朱に染まる廊下。 窓から見える茜色の空。
沈む太陽、迫る夜。
時間を止めたら見られない、変化する空のグラデーション。
『世界』の中に『私の世界』があると教えてくれた。
容易に捻じ曲げられる世界の中で、ずっと変わり続ける私の親友。
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──私は支配者。逆らう者は誰も居ない。
手を伸ばして手に入れた物は私の物。
この部屋にある全てのものは私のもの。
手に入れたのは、湿気て割れてるいつかのクッキー。──
「無知なる支配者」
今日も退屈な一日。
壊れた玩具はつまらない。
新しいのが欲しいなぁ。
そういえば、玩具はお外から持ってくるって聞いたけど。
お外に行ったら玩具はたくさんあるのかしら?
壊れないのもあるのかな。
お外にちょっと興味がわいた。
あれ?ところで。
お外って、どうなってるの?
色々考えたけど分からない。
まあいいか。 どうせお外に出てはいけないのだし。
今日も退屈な一日。
壊れた玩具でサッカーした。
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──光の中がいつもの世界で、ほんとの闇なんて滅多に見ない。
真っ暗なのがいつもの世界で、光なんて全く見ない。
『当たり前』の隔たりは、生と死によく似ている。──
「光を知らない金の髪」
静まり返った幻想郷。 ヒグラシの声がする。 今は夕暮れなのかもしれない。
私はいつも闇の中。
私の周りの、「夜」という名の遮光幕。
私の見ている世界は、一体どれだけ欠けているのか。
私の知らない世界が、一体どれだけあるというのか。
元より日差しの下なんかじゃ生きていけないけれど。
「明るい」というのもよく分からないけれど。
少しだけ興味があった。
だから少しだけ羨ましかった。
太陽の下に生きていた「天然物」が。
──半分以上がくすんだ赤色。──
太陽と鉄のにおいがした。
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──僕には彼の様に自由な羽は無いけれど。
彼のように、素敵な声で鳴くことは出来ないけれど。
彼を守り続けてきたこと。
誰にも知られずとも、僕はそれを誇りに思う。──
「空蝉」
ああ、たまにある、こんな日が。
他人恋しさは人間の証かしら?
賽銭箱に腰掛ける。
静まり返る「こちら側」。
喧騒を忘れられない「あちら側」。
退屈が日常の「こちら側」。
急かされるのが日常の「あちら側」。
同じ世界の中にあって、こうも違うと笑えるくらいね。
笑っても少し悲しい。
ずっと一人でいても、時たま寂しい。
同じ人間なら、「あちら側」でもこういう時はあるのかしら。
凛とした静けさも、繰り返す日常も嫌いではないけれど。
お祭りの様な活気が時に恋しい。
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──彼をそんなに笑うなよ。
愚かなほどに笑っている彼だけれど、そいつがなぜだかわかるかい?
彼には、笑うくらいしか出来ないのさ。
死ぬまで、笑ってみろ。出来るか?──
「Joker」
カナカナカナカナカナ………。
太陽は後半分。
カナカナカナ………。
太陽は欠片ほど。
……カナ…カナ………。
全て沈む。 夜。
………………………………………………。
幻想郷に微かに風が帰ってきて。
ヒグラシは落ちて、死んだ。
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足りなかったものは何なのか分からないけど。
幻想郷にそれが戻ってきた。
満天の星空とともに。
繰り返す日常の、ほんのひと時のこと。
ただ、かなりのデムパを感じたのも事実ですが(w
流れている空気が非常に安定していて上手いです。
それにふと気付いた時に揺れる心…の様に感じたのでした。
こういう作品はとても好きです。
今読み返すとやはり読みづらく、誤字脱字が(略
多く伝わらない部分は精進すれば伝わるのか。
まあ、僕はss書きを名乗るつもりでもないのですが。