Coolier - 新生・東方創想話

東方迷作劇場 『金の斧・銀の斧』

2003/09/29 09:45:17
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むかしあるところに、木こりがいました。
普段はとあるお屋敷に仕えて、木を切ったりいろいろしてました。
この木こりは正直者で、嘘はつかないと評判でした。

   妖夢「私は庭師なんだけどなあ・・・・・。」

ある日木こりは、いつものように山へと出向き、木を切っていました。

   妖夢「・・・・・・・・・ハッ!」

 ズバッ!

木こりは自慢の刀で、木を一刀両断にしました。

 ギギギギギギ・・・・・・
 バターン!

そうして木は倒れました。

   妖夢「よしよし。今日も絶好調ね。」

木の切れ具合に満足した木こりは、次の木を切ろうと精神を集中します。

   妖夢「・・・・・・・・・・フッ!」

木こりは刀を振りました。
ところが、

 ツルッ!
   
   妖夢「わぁ!」

 ドテ

勢い余って、木こりはこけてしまいました。

   妖夢「いたたたた・・・・。私もまだまだ、修行不足ね・・・・・・。」

木こりは立ち上がると、気を取り直してやり直そうとしました。

   妖夢「・・・・・あれ、楼観剣がない?」

木こり自慢の刀が見つかりません。
どうやら、こけた拍子に落としてしまったようです。

   妖夢「そんな~。あれが無いと、半分幽霊の半人前の半二刀流って馬鹿にされる・・・。」
    ?「半二刀流って、何よ?」
   妖夢「!?」

木こりが刀を探していると、何処からとも無く声が聞こえてきました。

   妖夢「誰?何処にいるの?」
    ?「質問は一つづつにしなさい。私はなんとか太子ってのじゃないから。」
   妖夢「それじゃあ、半二刀流って何?」
    ?「・・・・・自分の台詞には責任を持ちなさいって事よ。」
   妖夢「そうね。どうでもいいけど、何処にいるの?」
    ?「ここよ。」
   妖夢「?」

声の発生源は、どうやら木こりの目の前にある泉のようです。
木こりが泉を覗くと、泉から誰かが現れました。
ただし、上半身だけですが。

   魅魔「刀を使う一風変わった木こりさん。あんたが落としたのは、この金の斧かい?」
   妖夢「違うわ。」
   魅魔「じゃあ、この銀の斧?」
   妖夢「違う。」
   魅魔「それじゃ、この金のお払い棒?」
   妖夢「私は巫女じゃないわ。」
   魅魔「それじゃあ、この銀のナイフ?」
   妖夢「メイドにあげたらどうかな。」
   魅魔「ヴァイオリン?」
   妖夢「演奏は私の仕事じゃないわ。」
   魅魔「式神?」
   妖夢「猫も狐も、いらない。」
   魅魔「うーん、それじゃあ・・・・・。」
   妖夢「もういいかしら?私が落としたのは刀なんだけど。」
   魅魔「なんだい、ノリが悪いねえ。」
   妖夢「泉に住む半魚人さん。そういうわけだから、早く返してほしいんだけど。」
   魅魔「泉の精霊よ。どこが半魚人だい。」
   妖夢「似たようなものじゃない。なんで上半身だけしか出てないの?」
   魅魔「ああ、物を泉の底に沈めてるからね。取りやすいように。」
   妖夢「(さっき言ったの、全部あるのかなあ・・・・・?)」
   魅魔「ん~・・・・。はい。さっきあんたが落とした刀。」
   妖夢「ありがとう・・・・・・・?」

泉の精霊は木こりに刀を返そうとして、泉から出てきました。
木こりは刀を受け取りました。
が、そこで押し黙ってしまいました。

   妖夢「・・・・・・・・・・・。」
   魅魔「あんたは正直だから、褒美として金の斧と銀の斧もつけて・・・・。どうした?」
   妖夢「・・・・・・・・・・お・・・・・・・・。」
   魅魔「お?」
   妖夢「おばけ~~~~~~~~!!!」

 ドドドドドドドド・・・・・・・

木こりはそう叫んで、一目散に逃げ出しました。
泉の精霊には足がなかったので、お化けと勘違いしてしまったようです。

   魅魔「こら~!あんた自分で半分幽霊って、言ってなかったか~!?」

泉の精霊はそう怒鳴りましたが、すでに木こりは遥か彼方へと逃げていました。

 ・
 ・
 ・

木こりは家に帰ると、お屋敷のご主人に山での出来事を話しました。

   妖夢「で、で、で、で・・・・・・。」
  幽々子「落ち着きなさいって。帰ってくるなり、どうしたっていうのよ?」
   妖夢「で、出たんですよ~!」
  幽々子「出たって、何が?」
   妖夢「おばけです!おばけが出たんですって!」
  幽々子「おばけって・・・・・・・。」
   魅魔「私のこと?」

何故か泉の精霊がいました。

   妖夢「で~~た~~~~!!」
  幽々子「ちょっと、落ち着きなさいって言ってるでしょ?」
   妖夢「で、でも~・・・・。」

木こりはご主人に泣き付いています。

  幽々子「おばけって言ったって、あなた半分おばけみたいなものじゃないの?」
   妖夢「は、半分だから・・・・・。」
  幽々子「そもそも、私全部おばけよ?」
   妖夢「あ・・・・・・。」

ご主人は木こりを優しくなだめました。

   妖夢「そう言われてみれば、そうですよね。」
  幽々子「そうよ。足の有無なんて、たいした問題じゃないわ。」
   魅魔「わかってくれたようね。」
  幽々子「うちの妖夢が、ご迷惑おかけしたみたいで・・・・・。」
   魅魔「いえいえ、どういたしまして。」
   妖夢「私がご迷惑おかけしたみたいで・・・・・。」
   魅魔「なんのなんの。こんなこと気にしてちゃ、生きていけないわ。」
   妖夢「(生きてるのかな?)」
  幽々子「で、100%おばけさん。うちに何か御用?」
   魅魔「あ~、そうそう。そこの木こりさんが・・・。」
   妖夢「わ、私?まさか、祟り殺す気じゃ・・・。」
   魅魔「違う違う。あんたに金の斧と銀の斧あげようと思ったんだけど、あんた逃げたでしょ。それで、届けに来たの。」
   妖夢「そうですか。どうもすみません。」
  幽々子「重ね重ね、うちの妖夢が・・・。」
   魅魔「いえいえ・・・。それじゃ、私は帰るね。」
  幽々子「あら、もっとゆっくりしていけばいいのに。」
   魅魔「神様っていうのも、割と忙しいものなのよ。じゃあね。」

泉の精霊は、木こりに金の斧と銀の斧を渡すと、山に帰っていきました。
木こりが金の斧と銀の斧をもらったという話は、近所に広まりました。
その話を、近所のある欲張りな人が聞きました。
その欲張りな人は、自分も金銀の斧がほしいと思い、山へ向かいました。

   霊夢「ねえ。一ついいかしら?」
  魔理沙「なんだ?」
   霊夢「どっちが欲張りな人?」
  魔理沙「さあな。あんたじゃないか?」
   霊夢「どっちかと言うと、あんたのような気がするんだけど。普段の行いを見る限りではね。」
  魔理沙「あんた、マヨイガで強盗働いたっていう前科があるだろ。」
   霊夢「失礼ね。強盗したんじゃなくて、ちょっと略奪を働いただけよ。」
  魔理沙「似たようなもんじゃねえか。」

欲張りな二人組は、件の泉に着きました。

  魔理沙「で、どうするんだ?」
   霊夢「この泉になんか刃物を投げ込めばいいらしい。」
  魔理沙「刃物なんて、なんかあるのか?」
   霊夢「丁度ここに、一本のナイフがある。」
  魔理沙「咲夜のか?」
   霊夢「それじゃ、入れるね。」

 ポチャン

欲張りな人は、持参したナイフを泉に投げ込みました。
すると

   魅魔「やれやれ。また仕事?」
  魔理沙「あ、魅魔様。」

泉の精霊が現れました。

   魅魔「みょんちくりんな巫女さん。あんたが落としたのは、この金の・・・・・・。」
   霊夢「霊符『夢想封印・散』」

 ドーン!

   魅魔「あ~・・・・・・・。」

泉の精霊は、どこかに吹き飛ばされました。

  魔理沙「わ~~!あんた、何やってんだ!」
   霊夢「それじゃ、略奪開始~。」
  魔理沙「おい!聞いてんのか!?」
   霊夢「何よ、五月蝿いわね。」
  魔理沙「何で、何で魅魔様を殺した・・・・・?」
   霊夢「あら、悪霊を封印するのは、巫女の役目よ。」
  魔理沙「ロクに仕事しねえくせに・・・・・。」
   霊夢「あ、そういえば、悪い魔女も封印しないと・・・・・。」
  魔理沙「私は、いい魔女だぜ。」
   霊夢「いい魔女だったら、文句言ってないで運ぶの手伝ってよ。」
  魔理沙「後でどうなっても、知らねえぞ・・・・・。」

欲張りな二人組は、略奪を開始しました。

   霊夢「ええと、これは私がさっき投げたナイフ・・・。それと、それ以外のナイフ。」
  魔理沙「あんたが落としたのは金のナイフ?それとも銀のナイフ?って感じだな。」
   霊夢「金のお払い棒・・・・。レア物ね。」
  魔理沙「私はいらないぜ。」
   霊夢「誰もあげるなんて言ってないわ。・・・・・あら。」
  魔理沙「どうした?」
   霊夢「ヴァイオリン発掘。」
  魔理沙「どっから奪ってきたんだ?」
   霊夢「なんか、禍々しい人形発見。」
  魔理沙「いわくつきか。私が貰ってもいいか?」
   霊夢「別にいいわよ。呪われても知らないけどね。ええと、これは杖かしら?」
  魔理沙「魅魔様の愛用品か?」
   霊夢「違うっぽいわ。何か、いびつな形よ。」
  魔理沙「あ~。これ、妹君のだ。」
   霊夢「どっから奪ってきたんだか・・・・。ええと、他には・・・・・。」
  魔理沙「なあ。もう、いいんじゃないか?」
   霊夢「ここまで来て、何言ってるのよ。・・・・・・お?」
  魔理沙「どうした。」
   霊夢「猫ゲット。」
  魔理沙「・・・・・・・・・何でだよ?」
   霊夢「その辺で拾ってきたんじゃないの?後で狐に返さなきゃ。」
  魔理沙「そうだな。」
   霊夢「金品の要求込みで。」
  魔理沙「人質誘拐事件までやろうってのかい?」
   霊夢「ん~・・・・・、めぼしい物はこんなもんね。」
  魔理沙「何でこんなもん、ここにあるんだ?」
   霊夢「後で本人に聞いてみたら?」
  魔理沙「・・・・・・怖いから、しばらく顔をあわせたくない。」

欲張りな二人は泉で略奪を働くと、家に帰りました。
するとそこには

   魅魔「あ、おかえり~。」

泉の精霊がいました。

  魔理沙「げげ!」
   霊夢「あ、生きてたのね。」
   魅魔「ん~、生きてるというかなんというか・・・・。それより二人とも。」
  魔理沙「お、おう・・・・。」
   霊夢「何よ。」
   魅魔「私をこんな目にあわせておいて、まさかただで済むと思っちゃいないだろうね・・・・?」
  魔理沙「お、おい霊夢・・・・。あんたがやったんだから、素直にあやまれ、って。」

見ると、二人組の片割れは姿を消しています。 

  魔理沙「・・・・・・あいつ~!逃げやがったな!」
   魅魔「うふふふふ・・・・。覚悟はいいかな~?ま・り・さ。」
  魔理沙「あ、その、ええと、直接手をくだしたのはあっちの紅白であって、私は見てただけ・・・。」
   魅魔「問答無用!」
  魔理沙「ぎゃ~~~!!」

逃げ遅れた欲張りな人は、泉の精霊の怒りをかいました。
その後、この人を見た者は、誰もいなかったそうな・・・・・・・・。

 おしまい 


 キャスト

木こり      魂魄 妖夢
泉の精霊     魅魔
ご主人      西行寺 幽々子
欲張りな二人組  博麗 霊夢、霧雨 魔理沙



 迷作第2弾、金の斧・銀の斧。妖夢を主役に抜擢。しかし、前半後半のギャップが激しいです。挙句に途中から主役が入れ替わっている気がします。
 やってみたかった、新旧幽霊達の会合。もっと会話をふやせたらな~、と思ったのですが・・・。これに例の三姉妹が交じったらどうなったことか。それにしても、魅魔様の出演率の高いこと・・・・・。
 魔理沙、魅魔様怖がりすぎ、って思った方がきっといるでしょう。私もそう思います。二人は戦ったことあるはずなのに。でも一方で、私の脳内での二人の関係はこんな感じであると言い訳してみたり・・・・。霊夢も何気に酷い気がします。
 ん~、今回はイマイチだった気がします。もともと短編のつもりで書いたのですが、ネタが後から後から出てくるから、つい長くなってしまいました。あんまり見所ない気がします。やっぱり、ルナサに死んでもらわなければいけないのでしょうか・・・・・。 
Piko
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コメント



0.870簡易評価
1.40すけなり削除
やっぱり最後は魔理沙がお仕置きされるんですね(ぉ
2.40ななすぃ削除
今更だけど、素直にオモロイ!
23.80名前が無い程度の能力削除
面白いですね~ww