狼の容姿をした妖怪と対峙していた。
木刀を抜き、剣道の時の構えになった。この構えが通じるかどうかは判らない。でも、一番反応しやすい姿勢だった。
「ぐらぁ!」
汚い声で咆哮し攻撃を仕掛けてきた。俺は、いつも通り避け続けた。
右払い、左切り上げ、右切り下げ、両手突進、噛みつき。一回一回の攻撃のたび、汚い声と唾を撒き散らす。一連の動きを全て無駄なくかわした。むろん、腹の傷が痛む。それでも避ける。この行動には意味があった。剣道には時間制限がある。その中で一本でも取れていれば勝てるのだ。なので俺は、持ち前の胴体視力と足で避ける事により、相手の怒りを誘う。怒りを現した相手は肩に力が入り、振りが雑になる。その隙をつき、逆転への一手と変える。それが俺の戦い方。ただの人間の俺は、例え妖怪相手でもそれを変えることは無かった。今持てる全力で戦う事こそが礼儀である。
避け続けて二分位した。妖怪は鼻息が荒くなっている。順調に怒ってきていた。今回の場合、相手を倒すのは厳しいので、逃げる隙を作るのが鉄索。しかし、それでは俺は勝ったとは言えない。こいつを完膚なきまでに叩き潰す事が俺自身の成長である。あくまで修行、心を乱さず見る。此処にきたばかりの情けない俺を超える為に必要なことだ。
尚も怒り、俺に一撃を浴びせようとしてくる。しかし、全て避ける。そろそろ頃合いだな。狼男(と決めて置こう)が右手を大きく振りかぶり俺の頭を狙ってきた。俺は身をかがめて狼男の一撃を避けた。空を切った影響で怯んでいる。この隙を穿つ。木刀を右手だけに持ち、手元に引き寄せた。かがんだ反動を使い、体を起こすと同時に手を前に突き出す。体が起き上がる最高地点で手を伸ばし、そこから抉るように狼男の口を突いた。
「うおおおおお!!!!!!」
力の限り、しかし、鋭く真っ直ぐ口に突き刺す。「木刀といえ、正しく使えば真剣並に危険な武器である。」俺は、先生にそう教わった。だからこそ、使い方を覚え正しく振る。それにはただ愚直に素振りし続けること。真っ直ぐ剣道と向き合っていた俺だからこそ出来ること。
一ミリ単位のずれなく真っ直ぐ打ち込まれた木刀は狼男の口に入り、奥の肉を裂く嫌な感覚が木刀から伝わってきた。霖之助さんのくれた木刀は、向こうのより先端が鋭利に出来ていたため、真剣と同じ位の破壊力を持っていた。狼男が必死の抵抗で左手を振りかざし攻撃してくるが、同じく空いていた左手で小太刀を抜きそれを払いのける。この状態でも、右手には狼男の喉を貫くために力を込めていた。半分位いった所で抵抗の気を感じなくなった。両手をだらりと垂らし、虚ろな目で俺を見ていた。最後の力を振り絞り、とうとう口を貫いた。引き抜くと口から血が噴水のように飛び出してきた。これは避けはせず、俺は静かに倒れた狼男を見つめた。
陽が暮れ始めても帰って来ない海斗が心配になり、香林堂周辺を探すため霊夢は飛び出していった。魔法の森近くに着き空から海斗を探すがいない。もしかしたらすれ違いで帰ってるかもしれない。そうであって欲しいと願う霊夢だが、それは裏切られた。
「う…ぁ」
遠くで叫ぶ声がした。霊夢は全速力でその音の鳴った場所へ飛んだ。それが海斗の声であるかは不明だが、それでも飛んだ。
「お願い、間に合って…!」
そうして飛ぶと、少し開けた場所に妖怪がいた。何かに向かって爪を振っていた。角度のせいで何に向けているかは判らなかったが、直ぐに見えなるようになった。そこにいたのは、他でもない海斗であった。
「っ!?」
動揺を隠せずにいた霊夢。すぐさま我に帰り、アミュレットを構え飛ばそうとしたとき。よく見ると海斗は、先程買った木刀で戦っていた。無謀すぎる。たかが木の棒で倒せる訳がない。驚きのあまり立ち往生した。しかし、それの予想を覆す事が起きた。何と木刀が妖怪の口を貫いたのだ。海斗を木刀を抜くと、妖怪の血を浴びていた。霊夢は何が何だか判らなかったが、とにかく海斗が無事なのが嬉しかった。涙を堪える事無く、海斗の所へ飛んでいった。
暫しこの狼男の死体を見つめていると、横っ腹に激痛がした。同時に吹き飛ばされた。新手の妖怪か!?と思っが、原因は霊夢であった。飛びついてきたのであろう。泣きじゃくりながら俺に顔をうずめていた。
「うあああ、ぐすっ、ううう、…ばかっ、死んじゃったのかとおもったじゃない!」
泣きながら怒られた。それでも、生きている事に感謝し、霊夢が泣きやむまで頭を撫で続けた。数分し、霊夢が泣き止むと博麗神社に帰った。
神社に帰り、先ずは風呂に入り、返り血を洗い流した。そこで不思議に思った、傷がほぼ塞ぎ、切り傷程度になっていることに気付いた。あの時は呼吸がし辛くなるくらいの損傷だったのに。これが、俺の能力なのだろうか?「死なないこと」、死に関わるあらゆる事を無かったことに出来る能力。
風呂から上がると霊夢が手当てしてくれた。
「はい、お終い」
と言い、ポンッと軽く叩きながら言った。手当てしてくれたのは嬉しいが、多分すぐ完治するであろう。今日で二日目。後5日で、俺は決断しなければならない。此処に残るか否か。しかし、先の戦いで疲労していたせいか、眠気が強い為寝ることにしよう。この問題については、明日ゆっくり考えよう。そうして、就寝した。
霊夢は今だに嬉しさが引かずにいた。無事でいた、傷があったがそこまで酷い物でも無かった。此処を出る頃には…。そこで考えるのを止めた。居なくなる事が寂しいからだ。後5日で彼は此処に残るか否かを決断する。その選択を受け止めなくてはならない。私一人の我が儘で彼に迷惑をかける訳にはいかない。そう判っていても、やはり寂しいものは寂しいのだ。このもやもやした気持ちを洗い流したくて風呂に向かった。
風呂への道には彼の部屋を通り過ぎる必要があった。部屋はとても静かで、気になり襖を少し開けると彼は心地よさそうに寝ていた。その顔を見て、思わず笑みがこぼれていることに気づき、直ぐに我に帰り風呂へと向かった。その後はいつも通りに就寝した。
昨日も迎えた朝。やはり朝の光が襖越しに伝わってくる。昨日と同じようにして起きた。やはり早朝、少しだけ肌寒い。昨日買った木刀で素振りを始めた。静かで広い境内、とても集中できた。いつも通りに500本振り終えると、縁側から霊夢がこちらを見ていた。いつの間にいたのだろう。
「おはよう海斗」
「おはようございます」
朝の挨拶を交わし、少し雑談した後に朝食にした。今日は霊夢と共に境内の掃除、その後薪割り。これがなかなか難しかったがおもしろい。昼前に人里に降りて買い物。色々見て回ったが、この幻想郷は見た目のわりにかなり発展していることに気づいた。そして神社に帰り昼食にした。午後は霊夢とのんびり過ごした。ちょくちょく霖之助さんのくれた刀の錆びを研いでいた。そんな風にして1日が終えようとしていた。夜になり、やはり素振りを開始した。再び500本振り終えて、風呂に入り強張った筋肉と緩め汗を流した。そして就寝。こんな風にして淡々と4日が過ぎた。
ついに明日、決断の日である。この4日間で俺は決めていた。就寝する前の素振りを終えると縁側に霊夢がいた。ここ4日間ずっと俺の素振りを眺めていたのであろう。終わるといつもそこにいた。そして、微笑みながら、
「お疲れ様」
と言うのだ。この言葉が純粋に嬉しい。そして、安心する。風呂に入り寝ようと床に付くと霊夢が入ってきた。
「…ねぇ、一緒に寝てもいい?」
目が点になるかと思う位驚いた。まさか霊夢からそんな事を言って来るとは思っていなかった。しかし、俺はそれに答えるように少しずれてスペースを空けた。そこに霊夢が入り二人で寝転んだ。暫しの静寂。いや、寝るのだから良いのであろうが、俺は緊張のあまり眠気がすっ飛んだ。それを知ってや知らずか霊夢が話かけてきた。
「ねぇ、明日決めなくちゃいけないのよね」
「…ああ」
そうしか答えられなかった。素っ気ない感じになってしまっていた。
「私ね、海斗と一緒にいた6日間楽しかったよ。海斗と買い物に行くのも、一緒に境内を掃除するのも、真剣な表情で素振りしてるのを見るのも。どれもいい楽しかったは。ねえ、海斗は楽しかった?」
「ああ、楽しかった。向こうにいた時より俺はこの幻想郷での生活が楽しかった」
正直な感想だった。霊夢と他愛もない話をし、人里の人々と笑いながら話したのも、初めやった薪割りも、この木刀と刀に出会えたのも、あの戦いも。全てが大切な思い出だ。とても充実して、心が満ち足りた。向こうにいたら味わえなかったであろう。それも含めて、俺は決めたんだ。そして、明日それを告げる事になる。
そうして物思いにふけっていると
「ねぇ、手繋いで寝てもいい?」
俺は無言で霊夢の手を繋ぐ事で肯定を表した。
「ありがとう」
少し顔を赤くしながら笑顔で御礼を行った。そして、目を瞑る霊夢と共に、俺も眠りについた。
襖から日の光を感じ目を覚ました。今日が決断の日であっても変わらず素振りをするために起き上がる。境内に出て素振りを始める。いつも通り500本振り終えると霊夢が縁側にいた。
「おはよう」
「おはようございます」
朝の挨拶を交わし、いつも通りの朝を送った。10時位になっただろうか、紫さんが空からやってきた。相変わらず美しい方だった。そして、霊夢が呼ぶので神社前に向かった。何故か魔理沙もきていた。
「いよぅ、久しぶりだな海斗」
「久しぶりです。」
軽い挨拶を交わし紫さんが口を開いた。
「それじゃ、本題に入りましょう」
さっきまでの明るい空気が一変、静かで重苦しくなった。
「海斗君、もう決めました?」
「…はい」
そう、昨日決めたんだ。そして、それを決して後悔しないとも決めた。
「そう、それならその答えを聞きましょう」
霊夢と魔理沙も此方を見ていた。そして告げた。
「俺は、此処に、幻想郷に残ります」
「そう、なら歓迎するわ。幻想郷はすべてを受け入れるわ」
そういい紫さんはスキマと呼ばれるものに入っていった。
海斗が帰ってしまうかもしれない、帰らないかもしれない日。気か気では無かった。どちらを選ぶかは判らない。ただ受け入れる事しか出来ない。いや、それすら出来るかは判らない。そして、
「おおーい、霊夢ーー!」
空から魔理沙の呼ぶ声がした。神社に降り、私も見に来たぜと言った。彼女も最初に関わった人だから、まぁ当然の事であろう。そろそろ紫がきてもおかしくないから海斗を呼んだ。
紫が何か喋っているが聞こえ無かった。ただ祈っていた。海斗に、此処に残って欲しいと。でも、口にだしてはならない。だから、海斗の言葉を永遠とも思える時間待っていた。
「俺は、此処に、幻想郷に残ります」
目を見開いた。彼は残るといった、幻想郷に居ると。それが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。その後紫はスキマで帰り、魔理沙は
「よし、三日後此処で歓迎会をするぞ!」
と言い帰っていった。それめ差ほど気になることでは無かった。嬉しさが体を満たしていった。
此処に残ると告げ、そして何故か歓迎会を開かれる予定を勝手に決められ、呆然としていると。
「海斗、こっち付いて来て」
と言い部屋に帰っていった。何をするのか判らないが付いていった。
部屋に着くと、霊夢は襖を閉めて俺に飛びついてきた。何が起こっているが判らなかった。
「このままで居させて」
と涙声で言ってきた。俺はあの時みたいに頭を優しく撫でてやることしか出来なかった。
やがて霊夢が此方を向くと
「海斗、私ね、あなたの事好きになったの。好きで好きでしょうがないの。あなたが残ってくれるって言って嬉しかった。まだあなたと居れる事が嬉しかった。ねぇ、私を、あなたの彼女にして」
赤い目と顔で告げた。告白された。この答えは直ぐに出た。優しく抱きしめ、静かに、しかしはっきりと
「俺も、霊夢が好きだ。これからずっと一緒にいたい」
海斗とに意を決して告白した。伝わるか判らない思い。でも、博麗の巫女としてではなく、一人の女として言わなくてはならなかった。溢れんばかりのこの思いが爆発してしまう前に。彼の答えを待った。目を瞑ってしまいそうになるが耐える。真っ直ぐ彼を見つめる。すると、抱きしめられた。
「俺も、霊夢が好きだ。これからずっと一緒にいたい」
目を見開いていた。嬉しくて涙が止まらない。ただ嬉しくて、その存在を確かめるように強く、しかし割れ物を扱うように霊夢も抱き返した。
暫し言葉の無い中。しかしお互いに満ち足りていた。一体何分こうしているのであろう。そう思える位時間がゆっくりと時間が過ぎていった。お互い離れると、
「博麗霊夢です。ちゃんと愛してよね」
「藤海斗です。必ず愛し続けるよ」
どちらかともなくキスをした。優しい触れるようなキスを。一体離れると、今度は激しく強く、離さないと言わんばかりのキスをした。
昼前になったので昼食にした。いつもと同じ場所、でも特別な場所。俺は幸せだ。霊夢と共にこの幻想郷での生活を幸せに送ろうと決めた。
To Be Continued
木刀を抜き、剣道の時の構えになった。この構えが通じるかどうかは判らない。でも、一番反応しやすい姿勢だった。
「ぐらぁ!」
汚い声で咆哮し攻撃を仕掛けてきた。俺は、いつも通り避け続けた。
右払い、左切り上げ、右切り下げ、両手突進、噛みつき。一回一回の攻撃のたび、汚い声と唾を撒き散らす。一連の動きを全て無駄なくかわした。むろん、腹の傷が痛む。それでも避ける。この行動には意味があった。剣道には時間制限がある。その中で一本でも取れていれば勝てるのだ。なので俺は、持ち前の胴体視力と足で避ける事により、相手の怒りを誘う。怒りを現した相手は肩に力が入り、振りが雑になる。その隙をつき、逆転への一手と変える。それが俺の戦い方。ただの人間の俺は、例え妖怪相手でもそれを変えることは無かった。今持てる全力で戦う事こそが礼儀である。
避け続けて二分位した。妖怪は鼻息が荒くなっている。順調に怒ってきていた。今回の場合、相手を倒すのは厳しいので、逃げる隙を作るのが鉄索。しかし、それでは俺は勝ったとは言えない。こいつを完膚なきまでに叩き潰す事が俺自身の成長である。あくまで修行、心を乱さず見る。此処にきたばかりの情けない俺を超える為に必要なことだ。
尚も怒り、俺に一撃を浴びせようとしてくる。しかし、全て避ける。そろそろ頃合いだな。狼男(と決めて置こう)が右手を大きく振りかぶり俺の頭を狙ってきた。俺は身をかがめて狼男の一撃を避けた。空を切った影響で怯んでいる。この隙を穿つ。木刀を右手だけに持ち、手元に引き寄せた。かがんだ反動を使い、体を起こすと同時に手を前に突き出す。体が起き上がる最高地点で手を伸ばし、そこから抉るように狼男の口を突いた。
「うおおおおお!!!!!!」
力の限り、しかし、鋭く真っ直ぐ口に突き刺す。「木刀といえ、正しく使えば真剣並に危険な武器である。」俺は、先生にそう教わった。だからこそ、使い方を覚え正しく振る。それにはただ愚直に素振りし続けること。真っ直ぐ剣道と向き合っていた俺だからこそ出来ること。
一ミリ単位のずれなく真っ直ぐ打ち込まれた木刀は狼男の口に入り、奥の肉を裂く嫌な感覚が木刀から伝わってきた。霖之助さんのくれた木刀は、向こうのより先端が鋭利に出来ていたため、真剣と同じ位の破壊力を持っていた。狼男が必死の抵抗で左手を振りかざし攻撃してくるが、同じく空いていた左手で小太刀を抜きそれを払いのける。この状態でも、右手には狼男の喉を貫くために力を込めていた。半分位いった所で抵抗の気を感じなくなった。両手をだらりと垂らし、虚ろな目で俺を見ていた。最後の力を振り絞り、とうとう口を貫いた。引き抜くと口から血が噴水のように飛び出してきた。これは避けはせず、俺は静かに倒れた狼男を見つめた。
陽が暮れ始めても帰って来ない海斗が心配になり、香林堂周辺を探すため霊夢は飛び出していった。魔法の森近くに着き空から海斗を探すがいない。もしかしたらすれ違いで帰ってるかもしれない。そうであって欲しいと願う霊夢だが、それは裏切られた。
「う…ぁ」
遠くで叫ぶ声がした。霊夢は全速力でその音の鳴った場所へ飛んだ。それが海斗の声であるかは不明だが、それでも飛んだ。
「お願い、間に合って…!」
そうして飛ぶと、少し開けた場所に妖怪がいた。何かに向かって爪を振っていた。角度のせいで何に向けているかは判らなかったが、直ぐに見えなるようになった。そこにいたのは、他でもない海斗であった。
「っ!?」
動揺を隠せずにいた霊夢。すぐさま我に帰り、アミュレットを構え飛ばそうとしたとき。よく見ると海斗は、先程買った木刀で戦っていた。無謀すぎる。たかが木の棒で倒せる訳がない。驚きのあまり立ち往生した。しかし、それの予想を覆す事が起きた。何と木刀が妖怪の口を貫いたのだ。海斗を木刀を抜くと、妖怪の血を浴びていた。霊夢は何が何だか判らなかったが、とにかく海斗が無事なのが嬉しかった。涙を堪える事無く、海斗の所へ飛んでいった。
暫しこの狼男の死体を見つめていると、横っ腹に激痛がした。同時に吹き飛ばされた。新手の妖怪か!?と思っが、原因は霊夢であった。飛びついてきたのであろう。泣きじゃくりながら俺に顔をうずめていた。
「うあああ、ぐすっ、ううう、…ばかっ、死んじゃったのかとおもったじゃない!」
泣きながら怒られた。それでも、生きている事に感謝し、霊夢が泣きやむまで頭を撫で続けた。数分し、霊夢が泣き止むと博麗神社に帰った。
神社に帰り、先ずは風呂に入り、返り血を洗い流した。そこで不思議に思った、傷がほぼ塞ぎ、切り傷程度になっていることに気付いた。あの時は呼吸がし辛くなるくらいの損傷だったのに。これが、俺の能力なのだろうか?「死なないこと」、死に関わるあらゆる事を無かったことに出来る能力。
風呂から上がると霊夢が手当てしてくれた。
「はい、お終い」
と言い、ポンッと軽く叩きながら言った。手当てしてくれたのは嬉しいが、多分すぐ完治するであろう。今日で二日目。後5日で、俺は決断しなければならない。此処に残るか否か。しかし、先の戦いで疲労していたせいか、眠気が強い為寝ることにしよう。この問題については、明日ゆっくり考えよう。そうして、就寝した。
霊夢は今だに嬉しさが引かずにいた。無事でいた、傷があったがそこまで酷い物でも無かった。此処を出る頃には…。そこで考えるのを止めた。居なくなる事が寂しいからだ。後5日で彼は此処に残るか否かを決断する。その選択を受け止めなくてはならない。私一人の我が儘で彼に迷惑をかける訳にはいかない。そう判っていても、やはり寂しいものは寂しいのだ。このもやもやした気持ちを洗い流したくて風呂に向かった。
風呂への道には彼の部屋を通り過ぎる必要があった。部屋はとても静かで、気になり襖を少し開けると彼は心地よさそうに寝ていた。その顔を見て、思わず笑みがこぼれていることに気づき、直ぐに我に帰り風呂へと向かった。その後はいつも通りに就寝した。
昨日も迎えた朝。やはり朝の光が襖越しに伝わってくる。昨日と同じようにして起きた。やはり早朝、少しだけ肌寒い。昨日買った木刀で素振りを始めた。静かで広い境内、とても集中できた。いつも通りに500本振り終えると、縁側から霊夢がこちらを見ていた。いつの間にいたのだろう。
「おはよう海斗」
「おはようございます」
朝の挨拶を交わし、少し雑談した後に朝食にした。今日は霊夢と共に境内の掃除、その後薪割り。これがなかなか難しかったがおもしろい。昼前に人里に降りて買い物。色々見て回ったが、この幻想郷は見た目のわりにかなり発展していることに気づいた。そして神社に帰り昼食にした。午後は霊夢とのんびり過ごした。ちょくちょく霖之助さんのくれた刀の錆びを研いでいた。そんな風にして1日が終えようとしていた。夜になり、やはり素振りを開始した。再び500本振り終えて、風呂に入り強張った筋肉と緩め汗を流した。そして就寝。こんな風にして淡々と4日が過ぎた。
ついに明日、決断の日である。この4日間で俺は決めていた。就寝する前の素振りを終えると縁側に霊夢がいた。ここ4日間ずっと俺の素振りを眺めていたのであろう。終わるといつもそこにいた。そして、微笑みながら、
「お疲れ様」
と言うのだ。この言葉が純粋に嬉しい。そして、安心する。風呂に入り寝ようと床に付くと霊夢が入ってきた。
「…ねぇ、一緒に寝てもいい?」
目が点になるかと思う位驚いた。まさか霊夢からそんな事を言って来るとは思っていなかった。しかし、俺はそれに答えるように少しずれてスペースを空けた。そこに霊夢が入り二人で寝転んだ。暫しの静寂。いや、寝るのだから良いのであろうが、俺は緊張のあまり眠気がすっ飛んだ。それを知ってや知らずか霊夢が話かけてきた。
「ねぇ、明日決めなくちゃいけないのよね」
「…ああ」
そうしか答えられなかった。素っ気ない感じになってしまっていた。
「私ね、海斗と一緒にいた6日間楽しかったよ。海斗と買い物に行くのも、一緒に境内を掃除するのも、真剣な表情で素振りしてるのを見るのも。どれもいい楽しかったは。ねえ、海斗は楽しかった?」
「ああ、楽しかった。向こうにいた時より俺はこの幻想郷での生活が楽しかった」
正直な感想だった。霊夢と他愛もない話をし、人里の人々と笑いながら話したのも、初めやった薪割りも、この木刀と刀に出会えたのも、あの戦いも。全てが大切な思い出だ。とても充実して、心が満ち足りた。向こうにいたら味わえなかったであろう。それも含めて、俺は決めたんだ。そして、明日それを告げる事になる。
そうして物思いにふけっていると
「ねぇ、手繋いで寝てもいい?」
俺は無言で霊夢の手を繋ぐ事で肯定を表した。
「ありがとう」
少し顔を赤くしながら笑顔で御礼を行った。そして、目を瞑る霊夢と共に、俺も眠りについた。
襖から日の光を感じ目を覚ました。今日が決断の日であっても変わらず素振りをするために起き上がる。境内に出て素振りを始める。いつも通り500本振り終えると霊夢が縁側にいた。
「おはよう」
「おはようございます」
朝の挨拶を交わし、いつも通りの朝を送った。10時位になっただろうか、紫さんが空からやってきた。相変わらず美しい方だった。そして、霊夢が呼ぶので神社前に向かった。何故か魔理沙もきていた。
「いよぅ、久しぶりだな海斗」
「久しぶりです。」
軽い挨拶を交わし紫さんが口を開いた。
「それじゃ、本題に入りましょう」
さっきまでの明るい空気が一変、静かで重苦しくなった。
「海斗君、もう決めました?」
「…はい」
そう、昨日決めたんだ。そして、それを決して後悔しないとも決めた。
「そう、それならその答えを聞きましょう」
霊夢と魔理沙も此方を見ていた。そして告げた。
「俺は、此処に、幻想郷に残ります」
「そう、なら歓迎するわ。幻想郷はすべてを受け入れるわ」
そういい紫さんはスキマと呼ばれるものに入っていった。
海斗が帰ってしまうかもしれない、帰らないかもしれない日。気か気では無かった。どちらを選ぶかは判らない。ただ受け入れる事しか出来ない。いや、それすら出来るかは判らない。そして、
「おおーい、霊夢ーー!」
空から魔理沙の呼ぶ声がした。神社に降り、私も見に来たぜと言った。彼女も最初に関わった人だから、まぁ当然の事であろう。そろそろ紫がきてもおかしくないから海斗を呼んだ。
紫が何か喋っているが聞こえ無かった。ただ祈っていた。海斗に、此処に残って欲しいと。でも、口にだしてはならない。だから、海斗の言葉を永遠とも思える時間待っていた。
「俺は、此処に、幻想郷に残ります」
目を見開いた。彼は残るといった、幻想郷に居ると。それが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。その後紫はスキマで帰り、魔理沙は
「よし、三日後此処で歓迎会をするぞ!」
と言い帰っていった。それめ差ほど気になることでは無かった。嬉しさが体を満たしていった。
此処に残ると告げ、そして何故か歓迎会を開かれる予定を勝手に決められ、呆然としていると。
「海斗、こっち付いて来て」
と言い部屋に帰っていった。何をするのか判らないが付いていった。
部屋に着くと、霊夢は襖を閉めて俺に飛びついてきた。何が起こっているが判らなかった。
「このままで居させて」
と涙声で言ってきた。俺はあの時みたいに頭を優しく撫でてやることしか出来なかった。
やがて霊夢が此方を向くと
「海斗、私ね、あなたの事好きになったの。好きで好きでしょうがないの。あなたが残ってくれるって言って嬉しかった。まだあなたと居れる事が嬉しかった。ねぇ、私を、あなたの彼女にして」
赤い目と顔で告げた。告白された。この答えは直ぐに出た。優しく抱きしめ、静かに、しかしはっきりと
「俺も、霊夢が好きだ。これからずっと一緒にいたい」
海斗とに意を決して告白した。伝わるか判らない思い。でも、博麗の巫女としてではなく、一人の女として言わなくてはならなかった。溢れんばかりのこの思いが爆発してしまう前に。彼の答えを待った。目を瞑ってしまいそうになるが耐える。真っ直ぐ彼を見つめる。すると、抱きしめられた。
「俺も、霊夢が好きだ。これからずっと一緒にいたい」
目を見開いていた。嬉しくて涙が止まらない。ただ嬉しくて、その存在を確かめるように強く、しかし割れ物を扱うように霊夢も抱き返した。
暫し言葉の無い中。しかしお互いに満ち足りていた。一体何分こうしているのであろう。そう思える位時間がゆっくりと時間が過ぎていった。お互い離れると、
「博麗霊夢です。ちゃんと愛してよね」
「藤海斗です。必ず愛し続けるよ」
どちらかともなくキスをした。優しい触れるようなキスを。一体離れると、今度は激しく強く、離さないと言わんばかりのキスをした。
昼前になったので昼食にした。いつもと同じ場所、でも特別な場所。俺は幸せだ。霊夢と共にこの幻想郷での生活を幸せに送ろうと決めた。
To Be Continued
あ、評価に関しては見るに耐えない酷い出来なんで
仮に一目惚れとかそういうことがあってもこういうことはしないと思う
だから東方キャラと世界観の名称を適当なのに入れ替えても別に違和感がない。これは創作として致命的。
そんなことも理解せずに結局また短い上に、何の脈拍もない霊夢との恋愛。今までの中で一番酷い内容じゃない?
こんな茶番じみた恋愛物語見せつけられても腹立たしいし、霊夢というキャラをバカにしてるとしかいえない。
>最後の方が完全に俺得状態です。
ふざけたことを抜かすな。自己満足で作っていいのは一次創作だけだ。元の設定を蔑ろにしておいて不完全な物語投稿すんな。
他の人も言っているけど、他のカテゴリに差し替えても成り立つ話なら二次創作とは言えない。
あと、キャラの設定をいくらなんでも壊しすぎ。原作の設定を知らずに二次創作をするだなんて冗談じゃない。
霊夢は人妖問わず、優しくもしないし冷たくもない。知ってた?
批評されたくないならここに投稿しなければいい。「俺設定です」とか予防線張っても、ここでは絶対に通じない。ここが厳しい場所だってるのは分かってるよね?
で、霊夢がベタ惚れですね うん、予想してました
自分の分身(に充分見える)が可愛いゲームキャラとイチャイチャ出来て嬉しいですね、作者さんが
東方関係ないのでよそに行ってくれませんか?
もしそうであれば釣り宣言でもなんでもして、とっととどこかへ消えてください
曲がりなりにも本気で投稿していると主張されるのであれば、やはり投稿先を間違えているとしか言えません
この場が自分の作品を投稿する先として適切かどうかちゃんと考えましたか?
残念ですが、どこか別の場所に投稿するか、自分で公開する場所を作る方が良いと思います
次の投稿が遅れるのを了承するも何も、遅れに遅れたままフェードアウトしてしまっても誰も気にしませんから安心してください
ヲチ的な意味であなたの動向に期待する人はいても、あなたの作品に期待する人はいませんよ?
コメが多くてRateが低い作品にはなるべく触るまいと
改めて実感させていただきました
文章は少しずつ良くなり、容量は一桁からニ桁に増えて来てて、「お、マトモにマジメに書いてくれたのか?」と思ったら内容がこれ(チョロイン)だよ!
今回でさすがに、「地雷に突っ込んで行く様な作風」と言う(エルウ゛ァンディアみたいな)ネタだと、完全に確定した感じなので、わざわざここまで続けた事はお疲れ様です。
欲を言えばオリキャラがNG行動をとり続けつつ話を進め成立させられるのか気になりますが、さすがにそんな実験紛いの真似は創想話のカラーでは無いし、荒らしっぽくなっちゃうので、ここで完結ですかね?
どっちかっつーとマトモなオリキャラ物期待してたんだけど、書いてくんないなら諦めるしか無いなあ。
期待が40点、期待ハズレで-20点、20点を置いて行きます。
もし次回が来ても、読むかもしれませんがコメントも評価もしない事にしました。
ネタと分かった以上、余り好みのネタでも無いので、この作品に構う時間は減らします。他の読者も同様だと思いますので、年貢の納め時かなと。
一部の方みたいなマナーのなってない読者様(或いは叩ければ何でも良い人)的な事は言いたく無いのですが、さすがに今回が限界では?
冗談だろう?勘弁してくれ。
え?霊夢が居る?
私には霊夢の名を持った都合のいい女しか見えませんねー
東方でやりたいと思ったなら東方でやる必要の意味になるから
東方でやる意味ないよね?とは言いません。
…SSよりもコメント欄の方が面白いです。
↓からアドバイス
創想話では、まずオリキャラの出てくる作品は読まれにくいですし、
それに加えて「オリキャラがチート」「オリキャラと東方キャラの恋愛」
「東方キャラはオリキャラに合わせて都合よく変わる」などは嫌われます。
もう少しオリキャラの出ている他の良い評価を受けている作品を見てみてください。
また、改行が少なくて読みづらいです。
もう少し改行を付けてみてはどうでしょう。
SSが完成した後は最後に誤字がないか、おかしい所がないか、
確認した方がいいと思います。
こういうSSは、ここより
つttp://syosetu.org/
つttp://yomou.syosetu.com/
つttp://uranai.nosv.org/
こういう所のほうが評価受けると思いますよ。
貴方のレベルは上がらなくなるかもしれませんが。