※この作品は、
以前投稿した『それが、コイでしょう』と特に関連があります。
~ 某世界 西暦21XX年 京都 宇佐見蓮子の部屋 ~
とある日、宇佐見蓮子の部屋で、オカルトサークルである秘封倶楽部が定期的に開催する宴会が行われていた。
もっとも、メンバーは二人しかいないので、いつもの通り、酒に酔った蓮子とマエリベリーの他愛無い会話が夜通しで続く宴会である。
そして、その夜は、お互いの”黒歴史”で盛り上がっていた。
「ベヘリットで魔女っ娘に変身して、怪物達から街を守る~? ぷっ! メリーも、なかなかじゃないの~。 ヒック!」
部屋の主である蓮子は、親友の”黒歴史”を聞き終えると、缶ビールをイッキに飲み干し、大声を上げて笑った。
それに対し、メリーこと、マエリベリー・ハーンは、アルコールにより赤みを帯びた顔をさらに赤くする。
「い、いいじゃない! 子供の頃に思いついた話なんだから!」
「いやいや、魔女っ娘ってところが、メリーらしくて、かぁいいなーって。 ところで、ベヘリットって、な~に?」
「これよ」
マエリベリーがシャツの胸元を少し開け、取り出したのは、首飾り。
「う~ん。 蓮子さんとしては、服の下の方も気になりますな~♪」
「なにオヤジ臭いこと言ってんの。 それより、これがベヘリットよ」
「……ずいぶん変わった首飾りね」
首飾りを見た蓮子は、思わずシラフに戻り、率直な感想を述べた。
もし、親友のモノでなければ、『きんもーっ☆』と率直過ぎることを言っただろう。
なんせ、卵形の石にニンゲンの目、鼻、口を模した物がメチャクチャな位置に付いていたのだから。
しいて言えば、立体的な”福笑い”のような気持ち悪い首飾りであった。
「コレ、メリーが買ったの?」
「ううん。 昔、セールスマンのおじさんがくれたのよ」
「よ、よくもらう気になったわね~」
「……なんとなくだったのよ」
マエリベリーが幼い頃に出会った、何とも胡散臭い笑みを浮かべた、真っ黒なスーツを着たセールスマン。
そのセールスマンが、『ココロのスキマ、お埋めします』と書かれた名刺と共に渡してきたのだ。
マエリベリー自身も、なんでこんな悪趣味全開な首飾りを受けとったのか、今でも分からない。
「あまりにも気持ち悪かったから、もらった直後に川に投げ捨てたんだけど……」
「だけど?」
「いつの間にか、私のランドセルの中に入っていたの」
「そ、それはまた……」
「何回捨てても、いつの間にか、私の手元に戻って来たの。 で、開き直って、ヒモを付けて首飾りして身に付けてみたら……」
「みたら?」
「いろいろイイことが起きるようになったのよ!」
「マジですか!? じゃあ、一番イイことは?」
蓮子の問いに、また顔を赤くするマエリベリー。
「それはね……。 ヒ・ミ・ツ」
「ええ~!? 教えてくれたっていいじゃないの」
「また今度ね。 (……蓮子と友達になれたこと、なんて、本人と面と向かって、恥ずかしくて言えないわ)」
「む~。 ……でも、コレって、どっちかっていうと、幸運の首飾りっていうより、なにか魔術的な儀式で使う神器って、感じがするわね」
「神器?」
「ほら、生贄を捧げる儀式とかで使いそうじゃない、コレ。 って、ゴメン」
「いいのよ。 私もコレをそんな風に思ったことがあるから。 でも、生贄、か」
「よ~し! なんなら、私のアレを、メリーとベヘリットに捧げちゃうよ!」
「な、何バカなこと言ってんの! それより、次は蓮子の番よ」
ヘイヘイと言いながら、蓮子が本棚から取り出してきたのは、一冊のノート。
ずいぶんと、使い込まれていたようで、ノートは所々ボロボロだ。
「これが、蓮子ちゃんのとっておきの黒歴史ノートよ!」
「……恥部の塊といえるモノを、ドヤ顔で見せることが出来るなんて……。 流石ね、蓮子」
「いや~、照れちゃうな~♪」
褒めてないからと、ツコッミを入れながら、マエリベリーは受け取ったノートをめくった。
ノートに書かれていたのは、要約すると下記の通りであった。
物語の舞台は、『様々な"世界"が、あらゆる"モノ"が、そして"刻"さえも混ざり合う』がキャッチコピーであるゲームの世界”幻想郷”。
しかし、”幻想郷”は、ゲームの世界と見せかけ、現実世界にある。
結界のようなモノで覆われているので、容易には入れないが。
なお、”幻想郷”に自らの意思で入る条件は、
1.パソコンに”幻想郷”に関するゲームをインストール。
2.インストールしたパソコンに両手を添える形で『錬』を行う。
3.プレイヤーの身体・精神ごと幻想郷に引きずり込まれる。
”幻想郷”には、様々な能力者達がいて、能力とスペルカードを駆使して、”弾幕ごっこ”をしている。
弾幕ごっこを行う能力者達は、全員少女の姿をしている。
特定のスペルカードをコンプすると、”神”がいる空間への階段が現れる。
と、いった内容であった。
「……これ、蓮子に無理やり全巻読まされたマンガに出てきたグ〇ードアイランドの設定によく似てるんだけど」
「そりゃそうだよ~。 黒歴史なんて、自分が好きなマンガとかに影響されるもんだって」
メリーの突っ込みに対し、再びドヤ顔をする蓮子。
「でも、私オリジナルの部分も結構あるんだよ。 ほら、以前、メリーに話した、私が子供の頃からよく見る夢」
「三匹の妖精が出てくる夢のこと?」
蓮子が薙刀を振り回しながら、逃げる三匹の妖精をどこまでも執拗に追う。
なんとも、破天荒な夢。
それを子供の頃から、よく見ると蓮子から聞かされたのを、メリーは思い出す。
「そう、その夢。 その夢の中の私が見たこともミックスしてあるの~」
「蓮子らしいシュールな内容ね」
「ふふふ……。 実は、秘封倶楽部は、”幻想郷”みたいな世界を探す為に起ち上げたのよ!」
「な、なんだってー?(棒読み)」
「世の中は、広いもの! きっと、どこかにあるに違いないわ!」
「見つからなかったら?」
「そん時は……、私達で”幻想郷”を作ればいいのよ! 美少女タイプの妖怪。 そう、吸血鬼とか、魔法使いとかをスカウトしながらね!」
「 (;´_ゝ`) フッ 」
「何よ、メリー! その微妙な苦笑いは!?」
「い、いいんじゃないかな。 無邪気で」
こうして、マエリベリーと蓮子の他愛無い会話は、空が白み始めるまで続くのであった。
以前投稿した『それが、コイでしょう』と特に関連があります。
~ 某世界 西暦21XX年 京都 宇佐見蓮子の部屋 ~
とある日、宇佐見蓮子の部屋で、オカルトサークルである秘封倶楽部が定期的に開催する宴会が行われていた。
もっとも、メンバーは二人しかいないので、いつもの通り、酒に酔った蓮子とマエリベリーの他愛無い会話が夜通しで続く宴会である。
そして、その夜は、お互いの”黒歴史”で盛り上がっていた。
「ベヘリットで魔女っ娘に変身して、怪物達から街を守る~? ぷっ! メリーも、なかなかじゃないの~。 ヒック!」
部屋の主である蓮子は、親友の”黒歴史”を聞き終えると、缶ビールをイッキに飲み干し、大声を上げて笑った。
それに対し、メリーこと、マエリベリー・ハーンは、アルコールにより赤みを帯びた顔をさらに赤くする。
「い、いいじゃない! 子供の頃に思いついた話なんだから!」
「いやいや、魔女っ娘ってところが、メリーらしくて、かぁいいなーって。 ところで、ベヘリットって、な~に?」
「これよ」
マエリベリーがシャツの胸元を少し開け、取り出したのは、首飾り。
「う~ん。 蓮子さんとしては、服の下の方も気になりますな~♪」
「なにオヤジ臭いこと言ってんの。 それより、これがベヘリットよ」
「……ずいぶん変わった首飾りね」
首飾りを見た蓮子は、思わずシラフに戻り、率直な感想を述べた。
もし、親友のモノでなければ、『きんもーっ☆』と率直過ぎることを言っただろう。
なんせ、卵形の石にニンゲンの目、鼻、口を模した物がメチャクチャな位置に付いていたのだから。
しいて言えば、立体的な”福笑い”のような気持ち悪い首飾りであった。
「コレ、メリーが買ったの?」
「ううん。 昔、セールスマンのおじさんがくれたのよ」
「よ、よくもらう気になったわね~」
「……なんとなくだったのよ」
マエリベリーが幼い頃に出会った、何とも胡散臭い笑みを浮かべた、真っ黒なスーツを着たセールスマン。
そのセールスマンが、『ココロのスキマ、お埋めします』と書かれた名刺と共に渡してきたのだ。
マエリベリー自身も、なんでこんな悪趣味全開な首飾りを受けとったのか、今でも分からない。
「あまりにも気持ち悪かったから、もらった直後に川に投げ捨てたんだけど……」
「だけど?」
「いつの間にか、私のランドセルの中に入っていたの」
「そ、それはまた……」
「何回捨てても、いつの間にか、私の手元に戻って来たの。 で、開き直って、ヒモを付けて首飾りして身に付けてみたら……」
「みたら?」
「いろいろイイことが起きるようになったのよ!」
「マジですか!? じゃあ、一番イイことは?」
蓮子の問いに、また顔を赤くするマエリベリー。
「それはね……。 ヒ・ミ・ツ」
「ええ~!? 教えてくれたっていいじゃないの」
「また今度ね。 (……蓮子と友達になれたこと、なんて、本人と面と向かって、恥ずかしくて言えないわ)」
「む~。 ……でも、コレって、どっちかっていうと、幸運の首飾りっていうより、なにか魔術的な儀式で使う神器って、感じがするわね」
「神器?」
「ほら、生贄を捧げる儀式とかで使いそうじゃない、コレ。 って、ゴメン」
「いいのよ。 私もコレをそんな風に思ったことがあるから。 でも、生贄、か」
「よ~し! なんなら、私のアレを、メリーとベヘリットに捧げちゃうよ!」
「な、何バカなこと言ってんの! それより、次は蓮子の番よ」
ヘイヘイと言いながら、蓮子が本棚から取り出してきたのは、一冊のノート。
ずいぶんと、使い込まれていたようで、ノートは所々ボロボロだ。
「これが、蓮子ちゃんのとっておきの黒歴史ノートよ!」
「……恥部の塊といえるモノを、ドヤ顔で見せることが出来るなんて……。 流石ね、蓮子」
「いや~、照れちゃうな~♪」
褒めてないからと、ツコッミを入れながら、マエリベリーは受け取ったノートをめくった。
ノートに書かれていたのは、要約すると下記の通りであった。
物語の舞台は、『様々な"世界"が、あらゆる"モノ"が、そして"刻"さえも混ざり合う』がキャッチコピーであるゲームの世界”幻想郷”。
しかし、”幻想郷”は、ゲームの世界と見せかけ、現実世界にある。
結界のようなモノで覆われているので、容易には入れないが。
なお、”幻想郷”に自らの意思で入る条件は、
1.パソコンに”幻想郷”に関するゲームをインストール。
2.インストールしたパソコンに両手を添える形で『錬』を行う。
3.プレイヤーの身体・精神ごと幻想郷に引きずり込まれる。
”幻想郷”には、様々な能力者達がいて、能力とスペルカードを駆使して、”弾幕ごっこ”をしている。
弾幕ごっこを行う能力者達は、全員少女の姿をしている。
特定のスペルカードをコンプすると、”神”がいる空間への階段が現れる。
と、いった内容であった。
「……これ、蓮子に無理やり全巻読まされたマンガに出てきたグ〇ードアイランドの設定によく似てるんだけど」
「そりゃそうだよ~。 黒歴史なんて、自分が好きなマンガとかに影響されるもんだって」
メリーの突っ込みに対し、再びドヤ顔をする蓮子。
「でも、私オリジナルの部分も結構あるんだよ。 ほら、以前、メリーに話した、私が子供の頃からよく見る夢」
「三匹の妖精が出てくる夢のこと?」
蓮子が薙刀を振り回しながら、逃げる三匹の妖精をどこまでも執拗に追う。
なんとも、破天荒な夢。
それを子供の頃から、よく見ると蓮子から聞かされたのを、メリーは思い出す。
「そう、その夢。 その夢の中の私が見たこともミックスしてあるの~」
「蓮子らしいシュールな内容ね」
「ふふふ……。 実は、秘封倶楽部は、”幻想郷”みたいな世界を探す為に起ち上げたのよ!」
「な、なんだってー?(棒読み)」
「世の中は、広いもの! きっと、どこかにあるに違いないわ!」
「見つからなかったら?」
「そん時は……、私達で”幻想郷”を作ればいいのよ! 美少女タイプの妖怪。 そう、吸血鬼とか、魔法使いとかをスカウトしながらね!」
「 (;´_ゝ`) フッ 」
「何よ、メリー! その微妙な苦笑いは!?」
「い、いいんじゃないかな。 無邪気で」
こうして、マエリベリーと蓮子の他愛無い会話は、空が白み始めるまで続くのであった。
よく考えたらこいつら現在進行形で厨二病だったんですよね