Coolier - 新生・東方創想話

死の終りに冥く、生は紅く

2014/07/26 23:40:18
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 見上げた空から降り注ぐ強い日差しに目が眩む。かざした掌が紅く透けて見える。血の色、命の色だ。不意にそう思い、その手を降ろした。
 陽が頭上に昇る頃、薄暗い迷いの竹林を迷うことなく歩み進む藤原妹紅は、両肩にかかるずっしりとした重さに満足感を覚えていた。妹紅が背負ったかごは小柄なその身体を隠してしまう程大きく、泥のついた筍の頭がとび出ていた。
 妹紅が幻想郷に流れ着いてから、今や毎年恒例となった筍掘りは既に名人と呼べる腕前になっていた。しばらくは筍三昧になるだろう。煮物にするのもいい。ご飯と炊くのもありだ。酒のつまみ代わりにぬたで食べるという手もある。先程から主張を繰り返す腹の虫に、妹紅は背中の筍をどのように調理して食べたいか相談しながら歩を進めた。
 大地を揺らすかすかな振動に気付いたのは、帰路についてすぐのことだった。
「――あー?」
 地震かと思ったが、そのかすかな揺れは短く、不規則に起こる。まるで巨人が遠くで暴れているようだ。
 思わず妹紅は足を止める。揺れは断続的に続いている。視界を覆い隠すように群生する青竹の、笹の葉鳴りに混じった人間の悲鳴らしき声を、妹紅は聞き逃さなかった。続けざまに稲妻のような乾いた音が響いた。かすかにではなく、はっきりと。それは雷雲がもたらした音ではない、竹林の竹が割れる音だ。
「……やれやれ。食前の運動は十分にしたんだけどなあ」
 溜息交じりに背負ったかごを地面へ置き、妹紅はその音の方へ駆け出した。密集して生える竹林の中では、飛ぶより走った方が楽だ。足元に届かんばかりの白髪をなびかせながら、妹紅は風のように疾走する。
 迷路のような竹を巧みにかわし、再び悲鳴と竹がなぎ倒される音、地響きの衝撃を感じながら、妹紅はその原因を視界に納めた。
 薄暗い竹林でもはっきりと認識できる特徴的な姿。縄のように長く、大木のように太い。蛇だ。蟒蛇の一種だろうと妹紅は思った。人間どころか家屋すら丸呑みしそうな大口を開けている。血のように赤い口内がよく見えた。
 その手前で腰を抜かしている人間がいた。怖いもの知らずの里の人間か、はたまた本物の迷い人か。妹紅は速度を緩めず、ズボンのポケットから一枚、呪文が書かれた符を取り出す。紙切れのようなそれに霊力を込め、今にもその人間を喰らおうとしている蟒蛇に向かって投擲した。符は放たれた矢のように、猛然と蟒蛇に向かう。その太い胴体へ直撃する寸前に攻撃は察知され、蟒蛇は体を捻りかわした。符は一本の竹を両断し竹林へと消えてしまったが、妹紅は気にすることなく人間と蟒蛇との間に割って入った。蟒蛇は見れば見るほど大きい。ゆうに九尺はあるだろう。よくもまあこんな巨大なものが迷いの竹林にいたものだと、妹紅は場違いにも感心してしまう。
「まったく、妖怪の山にでもいればいいのに」
 さてどうしたものかと妹紅は思案する。身体は蟒蛇に向けたまま、ちらりと背後で腰を抜かしたままの人間を見る。男だ。恐らく。見たところ大きな怪我はなさそうで、せいぜい右腕の出血程度。ならば、問題は目の前の蟒蛇だけだろう。
 大口を開けて威嚇する蟒蛇は、先程の攻撃を回避したことから考えて、なかなか素早い奴のようだ。真正面から殴り合うのは、少々面倒だと妹紅は思った。
「素直に引いてくれれば上々、向かってくるのなら仕方ないね」
 妹紅の呟きに反応するように、蟒蛇がその巨体には似つかわしくない機敏な動きで飛びかかってくる。しかし妹紅はそれよりも早く、三枚の符を取り出し蟒蛇へと放っていた。
 妹紅の霊力を受けた符は縦横無尽な動きで蟒蛇へ襲いかかる。一枚目、上方から切り裂かんとした符は蟒蛇が体をうねらせたことでかわされた。二枚目、真横から攻撃を仕掛けた符は蟒蛇が上空へと飛んだことで空を切るのみに終わった。妹紅は感心したように宙を舞う蟒蛇を 見上げた。その巨体からは想像もできない跳躍力だ。
「へえ。良く飛ぶ」
 三枚目、跳躍を読んでいたかのように蟒蛇の眼前へと現れた符は、強烈な閃光と猛る炎を巻き上げ爆発した。もちろん、竹林を燃やさない程度に威力を抑えたものだが、それでも強力だ。
 迎撃された蟒蛇は無抵抗に地面へと墜落した。地割れのような衝撃が妹紅の足元を揺らす。土煙が舞い、視界を妨げる。
 用心のため妹紅は再び符を三枚取り出し、構える。たっぷり十秒ほど待ち、土煙も完全に収まった頃、力無く横たわる蟒蛇の巨体を確認した。死んでいるのか気絶しているだけなのかは分からないが、襲いかかってくる気配はないようだ。
 用意した符をしまい、妹紅は背後の人間へ振り返る。先程から静かだと思っていたら、人間はすっかり気絶していた。
 顎に手を当てて妹紅はふむ、と唸った。人間はいい歳をした男で、その格好は幻想郷ではあまり見ない、里の人間で着ている者はほとんどいない洋装だった。これは本物の迷い人かもしれない。
 とりあえず妹紅は男の右腕を取り、怪我の程度を見る。出血が激しいが、傷口自体はそれほど大きいものではない。ズボンのポケットから先程とは別の符を一枚取り出し、霊力を込めて男の傷口にあてがう。符は止血帯のように男の傷口に張り付き、出血を止めた。応急手当て程度の効果しかないが、しばらくは大丈夫だろう。
 不老不死である妹紅はどんな大怪我を負っても死ぬことはない。よって止血に意味はないのだが、迷いの竹林の案内を始めてからは万が一のため、常にこういったものを持ち歩くようになっていた。
 あとは男の治療と安全な場所へ運ぶだけだ。幸いなことに、迷いの竹林にはこの幻想郷において一等の薬師がいる。この程度の怪我など朝飯前に治療してしまうだろう。
 さてそこへ運ぼうとしたとき、妹紅はううむと唸ってしまう。男の背丈は妹紅の倍はある。背負って運ぶのは少々難しい。
 仕方ないと、妹紅は男の右腕以外に怪我がないことをざっと確認し、正面から男の脇の下を持ち、飛んだ。成人男性の体重を支えながらの飛行は大変なので、妹紅は浮遊するように超低空を飛び、男の身体を竹林の獣道にずるずると引きずって運んだ。危ないところを助けたのだから、文句はないだろう。
 向かう先は永遠に時が止まった場所、永遠亭。死すら拒絶する不変の屋敷。

「……どういう状況?」
 そう溢した八意永琳は永遠亭の玄関口で、奇妙なものを見る目で妹紅と気絶している男を交互に見比べた。まるで世の事象すべてを把握しているかのように聡明な彼女には珍しい、眉間に皺を寄せた訝しげな表情を見せていた。
「貴女が襲ったの?」
「何それ人聞きの悪い。逆よ」
「貴女が襲われたの?」
「妖怪に襲われてたところを私が助けたの」
「逆ですらないじゃない」
「まあいいじゃん。そんなことよりも早く治療してあげなよ。血止め程度しかしてないんだから」
 組んでいた腕を解きつつ、永琳は溜息を漏らした。
「そうね。取りあえず貴女も上がっていきなさい。すぐに治療するから」
「ええ? 私は別にいいよ。すぐ帰るから」
「貴女が帰ったら誰がそれを運ぶのよ」
 未だ気絶している男を永琳が指差した。妹紅は抗議の声を上げたが、永琳は聞く耳を持たずさっさと永遠亭へ上がって行ってしまった。廊下の奥に姿を隠しながら、声だけを玄関口で佇む妹紅へかける。
「早く診療室へ運んでおいてね」
 気軽な永琳の声を受けて、妹紅は溜息を吐いた。隣でのびている男と永遠亭を交互に見る。観念したようにもう一度、先程よりもさらに大きく溜息を吐いて、運んできたときのように男の脇の下を、今度は背後から抱えた。
「診療室まで運んだら客間でお茶でも飲んでなさいな」
「はいはい!」
 半ば自棄になって妹紅は叫んだ。抱えた男を引きずって永遠亭の診療室へ放り込み、一息吐こうと客間へ移動した。
 永遠亭の客間は中庭の庭園に面しており、障子を開け放てばその美しい景観を一望できる。古い庭園造りを模しており、左右均斉を意識して造られていた。自然を縮景したその様は見事で、苔むした岩々や、松の木だろうか、よく手入れのされた木々がそれぞれの在り方を干渉しない配置で伸びていた。
 妹紅はそれを横目に、妖怪兎によって用意された緑茶を啜っていた。さすが永遠亭なだけあって、味は良い。品のある渋みを口内に残しながら、妹紅はほっと息を吐いた。緑茶の香りと庭園からほのかに漂う土と草の匂いが嫌味なく室内に広がっている。永遠亭の中だと言うのに、妹紅の気分は落ち着いたものだった。
 客間の畳に後ろ手を付き、妹紅は天井を仰いだ。こうやって、永遠亭でお茶を啜りながらのんびりしているなんて、人間変わるものだなあと妹紅は思う。
「――あら、随分と気が抜けてるのね」
 音もなく永琳が客間へ入ってきた。足音や障子をあける音、気配すら妹紅には感じられなかった。何十年経っても摑みどころのない奴だと妹紅は思った。
「昼を食べてないから、お腹が減って仕方ないんだよ」
「そうだったの。何か用意させましょうか」
 永琳が座卓を挟んで妹紅の対面に座った。
「いいよ、帰って用意するから」
 あらそう、と素っ気ない返事をし、永琳は座卓の上で頬杖をついて、妹紅と同じように庭園へ目を向けた。彼女にしては行儀が悪い。
「そう言えば輝夜は? 姿が見えないけど」
「今は出てるわ。ウドンゲを連れてね」
「へえ。珍しい。普段は自分の部屋に篭ってるのに。明日は雪かな」
「ああ見えて意外と活動的なのよ。でなければ地上には来ないわ」
 確かに、と内心で妹紅は相槌を打った。
 庭園から舞い込んだ穏やかな春風が、白と銀の髪を踊らせた。心地よい風だった。
「治療は済んだから、起きたら持って帰ってね」
「別に私の所有物じゃないしなあ」
「見た限りあれは外からの漂流物ね。巫女のところかスキマのところに連れて行った方がいいわ。あれがうろうろしていると危ない」
「危ない目ならもう遭ったけどね」
「そっちじゃないわ」
「一体どっちの話。迷いの竹林で迷走しそうなんて初めての経験だわ」
 永琳の言葉は霞のように捉えどころがなく、一体何を言っているのか妹紅には把握できなかった。そもそもこの幻想郷において、力のある者は総じてよく分からない、胡散臭い連中が多い。特に宇宙人である永遠亭の住人は、感性そのものが地上の者とは異なる。以前に比べてだいぶまともになったが、それでも付き合いの長い妹紅ですら、首を傾げたくなる瞬間がある。
「まあなんでもいいわ。あと、その上手いこと言ったような顔はどうかと思うわよ。まったく滑稽な顔だわ」
「滑稽とは失礼な」妹紅は自分の顔を両手で撫で上げた。「なんでもいいならもっと単純で簡単にしなよ。だから永琳の話は誰にも通じないのさ、特に幻想郷ではね。ここはこぞって馬鹿ばかりだし」
「それは貴女も含めての話ね。私の話を聞かないのが多くて嫌になるわ」
「私は馬鹿じゃない。失礼な。伊達に千年ぐらい長生きしてない」
「それはあと一億年ぐらい生きてから言ってほしい台詞ね」
 妹紅はわざとらしく肩をすくめた。永琳の調子に乗せられたくはない。まだ普通の人間だった頃や、不死者になったばかりの頃は直情的な性格が災いして酷い目にも遭ったが、今は違う。年相応と言うわけではないが、昔に比べれば理性的に物事を捉えることが出来るようになったと、自負している。
 ――まあ、しかし、例外もあるけど。
 湯呑みを手に、程よい温度になった緑茶を啜りながら妹紅は内心で呟いた。その相手は丁度いない。
 永遠亭は刻の止まった場所だ。屋敷に流れる時間は通常のそれと変わることはないが、屋敷自体の時間は世界と隔絶して停止している。刻の止まった己と同様に、いつまでも変わることなく、ここに在る。たとえ世界が滅んだとしても、朽ちることなく在り続ける。この場所に居ると、妹紅は自分が普通の人間であるような気がした。
 永遠亭の主は嫌いだが、妹紅は永遠亭がそれほど嫌いではなかった。
「――ねえ妹紅。貴女は今、幸せかしら?」
 一拍の間を置いて、永琳はこぼすようにその言葉を発した。
 唐突なその言葉は、妹紅の時間を止めるだけの効果があった。湯呑みを持つ手が固まり、言葉が出ない。代わりに眉がきれいな八の字になった。
 返答出来ずに固まっている妹紅を余所に、永琳は相変わらず庭園に目を向けたままだった。先程の言葉も独り言をこぼしてしまったような、無意識に発していたのかと思えるほど何気ない言葉だった。
 妹紅は永琳を凝視したまま考えを巡らせた。永琳のことだから、なんらかの考えがあっての言葉なのだろうが、その真意は分からない。そもそも今とはなんだろうか。今この瞬間、永遠亭の客間で呑気に茶を啜っていることなのか、それとも幻想郷で呑気に暮らしていることなのか、はたまた人助けの真似事をしていることなのだろうか。妹紅はさっぱり分からなかった。
 死ねない命が幸福なのか。死なない命が不幸なのか。そもそも永琳の言葉に、答えがあるのかも分からない。
「――さあ。どうだろうね」
 極めて投げやりな言葉で妹紅は言った。逆に聞き返してやっても良かったのだが、質問を質問で返すなと馬鹿にされるのは癪なので、妹紅は深く考えずに答えた。
 昔の妹紅ならば、即座に不幸だと言っただろう。死ねない体になり、己の居場所を無くし仇をも失った身に、一体どんな幸福があるのだろうか。だから当時の妹紅は世のすべてを恨み、妖怪相手にその呪いをぶつけてきた。
 ちょっと前の妹紅ならば、幸福だと断言したかもしれない。憎き仇を見つけ、永遠の殺し合いが出来るのだから。己に巣食った憎悪を存分に叩きつけることが出来たのだ。
 しかし、現在の妹紅は違う。確かに輝夜をぼこぼこにするのは、今でも楽しい。だが、それは弾幕ごっこの延長、過激な遊びと大して変わらない意味でだ。輝夜は嫌いだが、何がなんでも殺したいとは、もう妹紅は思っていなかった。
 もっとも、魂に刻み込まれた感情は、熱情の種火は決して消えることはない。
 憎しみを忘れられれば、それは人間として幸せなことかもしれない。しかし復讐というたった一つの生きる目的を失くした永遠の命は、不幸なのかもしれない。
 そう考えれば今の妹紅は幸せとも不幸とも言い切れない。そもそも何を持って幸福と不幸を区分するのか。せいぜい美味しいものを食べた時に幸せだなあと思い、悪いものを食べて腹を下したときに不幸だなあと思う程度に、今の妹紅にとって日常は呑気なものだった。
 幸も不幸も、その瞬間にならねば実感など湧かないのだ。
「そう。まあいいわ。そろそろあれの薬も切れる頃だろうし、持って行きなさい」
 そう言って永琳は、この場において初めて妹紅へ顔を向けた。玄関口で会話をした時と変わらない、いつもの聡明な彼女の顔だった。
 妹紅は面食らったような気分だった。今しがたのやり取りを思い出し、なんだか自分が夢を見ていたか、はたまた狐に化かされたように思える。一方、永琳本人はまるで覚えがないかのような振る舞いだ。やはり八意永琳は、何を考えているかよく分からない。妹紅は改めてそう思い至った。
「じゃあこの辺でおいとまさせてもらう」
「貴女なら大丈夫だと思うけど、気を付けてね」
 予想外の気遣いに、妹紅はまた面食らってしまう。不死者が一体何に気を付けろと言うのか。やはり今日の永琳は、どこかおかしいと妹紅は思った。悪いものでも食べたのだろうか。
「――気を付けて、なんてこれまた珍しいね。やっぱり明日は雪かなあ」
「残念。明日は晴れよ」
 永琳の表情の薄い顔を横目に、妹紅は腰を上げた。

 鬱蒼とした迷いの竹林を、妹紅は迷いのない歩みで進んでいた。目指す博麗神社は迷いの竹林から東の果てにあり、徒歩で向かうとなかなかの時間を要する。陽が落ちる前には到着しておきたいが、話はそう簡単ではなかった。
 妹紅は足を止め、振り返る。男が青白い顔で荒い呼吸を繰り返していた。その右腕の袖口から真新しい包帯がのぞく。男の足取りは重く、また不慣れな獣道の所為もあるのだろう、妹紅の歩みに付いて行けてなかった。そのたびに妹紅は足を止め、男の様子を伺っていた。
「……大丈夫かい」
「な、なんとか」
 男は余裕のない声で答えた。その余裕のなさは疲労だけでなく、妹紅を含めた周囲に対する警戒が多分に含まれていた。いきなり迷い込んだ謎の竹林で、謎の巨大蛇に襲われ、そして謎の少女に命を救われたのだから、男が警戒するのも当然だ。蟒蛇に負わされた傷が痛むのか、男は右腕を庇うように左手で抑えていた。
「右腕、痛むの」
「いや、痛くはないんだけど」
「……ああ」言いよどむ男の考えを妹紅は見抜いた。「別に、病気になったり化物になったりしないから、大丈夫だよ」
「なら、いいんですけど……」
 男は目を泳がせた。完全に安心は出来ていない様子だった。喰われかけた迷いの竹林から、この幻想郷から一刻も早く脱出したいのだろう。男にとって幻想郷は異界、あの世と対して変わらないのだろうと妹紅は思った。もったいないことだ。
 溜息一つ漏らし、妹紅は口を開いた。
「……あんた、家族はいるの」
 突然の問いに、男は虚を突かれたように口を半開きにさせ答えに詰まる。妹紅の質問の意図が分からないという顔をしていた。
 妹紅は顔を傾け、顎先で道を指し、再び歩き出した。釣られたように男も後へ続く。
「家族だよ。いないの?」
「ああ、いや、一応両親と姉が」
「子供はいないんだ」
「は、はあ。結婚してないもんで」
 畏まったような男はしどろもどろに言葉を続けた。妹紅に対する警戒心に加えて、どう接していいか分からないらしい。そんな男の態度も気にせず、妹紅はなるべく気軽い声で話しを続けた。初対面の相手と親しく会話をすることは得意ではないが、青ざめた顔をしている人間を気に掛ける程度の社交性はあった。
「ふうん。一緒に暮らしてるの? 家族とは」
「はあ、いや、一人暮らしです」
「寂しくない?」
「いやあ、別に。家族ですから」
「そっか」
 妹紅の言葉を最後に、沈黙が続いた。男を気遣って会話をしてみたものの、妹紅には初対面の人間と盛り上がれるような話題がなかった。自分自身のことを話したとしても、出生から生い立ち、現在に至るところの説明をするには時間が掛かりすぎるし、何よりも外界の人間に不老不死を理解させる苦労は、想像しただけで溜息ものだった。
 仕方なしに、妹紅は口を開いた。ぶっきらぼうな声で言う。
「それで。他には」
「は、はあ?」
 男が素っ頓狂な声を上げた。
「だから、他にはないの? 話だよ。なんでもいい、家族のことでもなんでもいいから」
「そ、そうですね。良くも悪くも普通の家族でしたね。家族仲も悪くなかったですし」
「へえ。それは良いことだね」
「……あの」
 聞きづらそうにしている男に、妹紅は目を向けて続けるように促した。
「ここは、一体なんなんですか」
 どうやら永琳はなんの説明もしていなかったらしい。呆れながら妹紅は思案する。この幻想郷を、一体どのように説明するべきか。これは不老不死を説明することよりも骨が折れそうで、とても面倒だ。ならばもう、そのまま言ってしまえばいい。
「幻想郷。すべてを受け入れる楽園。でも気にしなくていいよ、すぐにここから出て外界に、あんたの世界に帰れるからさ」
「すべてを受け入れる……」
 男はうわ言のように呟いた。妹紅には聞こえないほど、小さくかすれた声で。その言葉にまるで惹かれているかのような響きだった。
「どんなものでも、受け入れる?」
 今度ははっきりとした声で、妹紅へ尋ねた。
「そう。人間も妖怪も、それ以外も。良いも悪いも無関係に、ありとあらゆるすべてを受け入れる。神様だってね。幻想郷に興味が湧いた?」
「そうですね。とても興味深い」
「あんた達みたいな外の人間には夢みたいなものだよ。だからすぐに醒める。忘れちゃった方がいいよ。死にかけたことなんて覚えていたくないでしょ?」
 その言葉を最後に、妹紅は再び足を進めた。これ以上ゆっくりしていると、日暮れまでに迷いの竹林を抜けられない。
 しかし、男は妹紅に続くことなく、静かに足を止めた。妹紅は気付いていない。
「ええ、ええ。そうですね。死にかけるなんて、ありえない。ありえないことです。何故なら僕はたくさんの命を持っています。だから死なない。たくさん命を貰いましたから。そう、決して、僕は死なない。ああ、どうしてこんな当たり前のことを。動転していたのかなあ」
「何をぶつぶつ言ってる――」
 妹紅が足を止め、振り返る。妹紅の腹部に衝撃。小柄な妹紅はその強かな力によろめき数歩下がった。
「――あ?」
 状況も分からずに妹紅は疑問を漏らしながら、視線を彷徨わせる。男がいない。目線を下げると、男が中腰の姿勢で、妹紅に身を預けるように寄りかかっていた。
 気分でも悪くなって倒れたのかと、妹紅は考えた。馬鹿な。男と目が合う。嗤っていた。
 男が妹紅を弾き飛ばすように身を離す。妹紅は自身の腹部から何かが抜け落ちるような感覚を覚えた。鋭い痛み。途端に両足の力が抜け、立っていられない。妹紅の身体が崩れる。何かが煌めいていた。妹紅はその場に倒れ、腹から流れ続けるものを感じる。
 倒れる間際に見た、男の両手に握られた銀色に鈍く光るナイフと、それにべったりと着いた赤い液体。妹紅は瞬時に理解した。あれは私の血だ。ああ、私は刺されたのだと。
「すべてを受け入れるなら、僕みたいな人殺しだって受け入れますよね」
 呻き声を上げる妹紅を見下ろしながら、男は楽しげな声色で言った。
「僕はね、人殺しが好きなんですよ。殺すことが楽しいということもあります、でも、それ以上の理由がありましてね。モノ、というやつは誰かから奪い自分のものにすることができます。金やら心とか、時間だってそうだ。だから、他人の命を奪えば自分の命に出来ると僕は考えたんですよ。良い考えでしょう?」
 理性的な口調で熱心に語り、男はうつ伏せで倒れている妹紅を蹴り仰向けにする。苦しげに荒い呼吸を繰り返し、玉のような脂汗を浮かべる妹紅を、狂気と狂喜が混じった瞳で眺めた。
「だから僕は死なない。僕はね、家族と、名も知らぬたくさんの人達の命を貰いましたから。だから僕は死なない。ええ、自分が人殺しだという自覚はあります。世間的に言えば頭がおかしい人間なんだとも思います。でもこれが僕という人間なんですよ。だからね、この場所はこんな僕も受け入れてくれる、誰も僕の邪魔をせずに、僕に人殺しをさせてくれる。そういうことですよね。ねえ? ああ、こんな幸福なことはない」
 男は妹紅の上に馬乗りになる。ナイフを逆手に持ち直す。
「君も僕の命になってください」
 男が両手で握り締めたナイフを、高々と構えた。
多量の出血で妹紅の視界は霞み、男の姿をはっきりと捉えることは出来なかった。ただ、僅かな陽光を反射し輝く凶刃がやけにはっきりと見えた。ああ、これは痛そうだ。妹紅は朦朧とした意識の中、まるで他人事のように思った。
 男は躊躇いなく刃を振り下ろす。肉厚の刃が妹紅の胸部に、肉も骨もたやすく切断し、深々と埋まった。痙攣したように、妹紅の身体が一瞬跳ねる。
 男はナイフを抜く。妹紅の傷口から血が噴水のように巻き散り、周囲の大地を濡らし男の身体と頬を赤く染めた。狂気に歪んだ笑みを張り付け、男は獣のような声を上げた。笑い声だった。再びナイフを頭上で構える。
 そしてまた、ナイフを振り下ろす。抜き、振り上げ、刺す。男は一連の動作を繰り返した。愉悦に染まった顔で、夢中で繰り返した。刃は胸だけでなく、腹を、喉を、妹紅の顔面を、無差別に襲う。そのたびに肉を裂く水気の含んだ生々しい音が周囲に響く。時折混じる乾いた音、骨を無理やり叩き切る音を耳にすると、男は恍惚に身を震わせた。
 男は狂っていた。もはや命を奪うだけの存在だった。それ故に、もはや男は人間という枠組みから外れ、その存在自体が既に妖怪の類に近いものとなっていたのだろう。だから、男が境界を越えて幻想郷に迷い込んだことは必然だったのかもしれない。
どのくらいの時間が経っただろうか、肉と内臓と骨が程よく混ざった頃合いに、男はようやく腕を止めた。腰を上げ、人の形をしていた肉塊から離れる。
「良い! 実に良い! 命が、命が僕の一部にぃ!」
 男は掌で顔を押さえた。全身を震わせ、歓喜に満ちた声で叫んだ。興奮と脱力が身体を突き抜け、立っていられない。男は四つん這いになる。脳内でアドレナリンの分泌を感じられるほどの凄まじい快感だった。唾液を垂れ流しながら荒い呼吸を繰り返した。
「やっぱり、やっぱり人殺しは良いなぁ! ふ、ふふふふ」
 剥き出しに目を見開いた男が、堪え切れずに馬鹿笑いをした。今にも転げ回りそうな勢いで。笑い、そして急にその声を止めた。周辺を警戒するように息を潜めた。
 男を貫くように、迷いの竹林を一陣の風が吹き抜ける。周囲の竹林がすべて鳴いているかのように、葉鳴りがざわめく。ざわざわと、途切れず。絶え間なく。まるで無数に打ち鳴らされている警鐘のようだ。男を包みこむように、鳴り続ける。
 男は何かを感じ取り、立ち上がる。それが何かは分からない。気配のような、予感のような何か。男に特別な能力はない。ただの狂った人殺しだ。しかし、男は確かにそれを感じた。
 命あるものが放つ生の気配と、自身に向けられる死の気配だった。
「――あーあ、酷いな。一張羅が台無し」
 その声は男の背後から、血の匂いが充満したこの場には似合わない、呑気な声色だった。男はその声に聞き覚えがあった。だからこそ、その声が信じられなかった。
 慎重に男は振り返る。その目が、先程とは別の意味で見開かれた。目の前のものは、まったくあり得ないことだった。
「また人形師に仕立ててもらわないと」
 驚愕に身を強張らせる男を余所に、藤原妹紅は自らの血で赤黒く染まったシャツをしげしげと眺めた。つい今しがた殺されたことなど忘れてしまったかのような、穏やかな声だった。
 妹紅はゆっくりと男に視線を向ける。
「どうしたんだい。狐にでも化かされたような顔をして」
「……なんで、なんで生きてるんですか。僕が殺したのに。殺したのに!」
 男はナイフを妹紅に突きつけた。平坦に耕した顔面も、丹念にこね回した胸部も、何もかもが元通りだった。唯一、変色し穴の開いたシャツだけが、先程の出来事を確かに証明していた。男の膝が笑い、身体が震え、刃先が定まらない。眩暈にも似た気分を味わいながら男は叫んだ。殺した人間が死んでいなかったなど、生まれて初めての経験だった。
「なんで、なんでぇ! 殺したんだから死なないと駄目じゃないですか死なないとぉ!」
「いや、そんなことを言われてもなあ」
 妹紅は腰に手を当てたまま、眉根に皺を寄せながら答えに困った。なんと説明すればいいのか。不老不死の説明は、やはり面倒だった。だから妹紅は難しく考えることを止め、極めて気軽な様子で言った。
「私は不老不死だから。死なないのよ」
 肩をすくめて、さも当然と言った様子で妹紅は言った。
「ここは幻想郷。あらゆるものを受け入れる楽園。死なない人間が一人二人いたとしても、不思議はないでしょう?」
 妹紅は薄く笑う。ただ笑う。生も死もなく、そこにいるのは人の形。不死者である藤原妹紅にとって己の死は、もはや自身の感情を強く揺さぶる程のものではない。
 故に、妹紅にとって目の前の男は脅威の対象ではなく、よく分からない妄想を垂れ流しているだけの、己の籠に閉じこもった哀れで滑稽な人間の残骸でしかなかった。
「ああ、そうか。貴女も僕と同じ、たくさんの命を持ってるんですね。だから、死なない。なるほど分かりました。それなら納得ですよ。だったら、だったらですよ。僕が、貴女を殺して、全部奪えばいいんじゃないですか!」
 男は叫ぶ。ひたすらに嗤う。己の世界に心酔し、素晴らしい獲物に舌なめずりを繰り返す。哀れな獣は、人間で在ったものは、目の前にいる死に気付かない。
「ううん、もういいよ」
 妹紅はポケットから符を一枚取り出し、それを放り投げる。ふわりと力なく落下する符は、突如としてその動きを変え、獲物に喰らいかかる猛獣の如く、男に襲いかかった。まさに刹那、男は反応どころか知覚も出来ず、無抵抗で受ける。
 たった一枚の、短冊のようなそれは男の頭部を覆う程に巨大化し、そのまま男の顔面を袈裟掛けに包み込む。鼻口と左目を塞いだ。
 一瞬の出来事に男は混乱しながら、片手で自身の顔に張り付いている符を剥がそうとするが、まったく剥がれる様子がない。僅かな隙間もなく、符は男の皮膚に密着しているのだ。呻き声を漏らしながら、それでも男はもがく。
 これまで幾人もの人間の血を吸ってきた凶器を落とし、両手で己の顔面を掻き毟る。無駄なことだ。妹紅が放った符は人間程度の力でどうこう出来るものではない。そうして男は自ら残された時間を縮めていく。
 膝を折り、地に倒れ伏してもがくさまは、死に際の芋虫を妹紅に連想させたが、少なくとも芋虫の今際の際の方が、余程潔いものだ。
 妹紅は男の側へ歩み寄り、その場にしゃがみ込んだ。膝の上で頬杖をついて、男を眺めた。男の右目と目が合う。血走った男の目。殺意と憎悪で混沌とした瞳を、妹紅は穏やかな顔で、自らの子を見守る母のような、慈愛に満ちた紅い瞳で、眺めた。
 血よりも濃く、冥く、底のない紅い瞳が炎のように揺らめき輝く。
 男は一際大きく呻いた。叫び声だった。怒りや憎しみではなく、ただ純粋な、生命の根源から生じた恐怖。今まで幾度となく他者の命を奪ってきた男が、生まれて初めて感じた明確な死。だが、それよりも男を恐怖させたのが、目の前で微笑んでいる少女の形をしたものだった。
 目の前のそれはこの瞬間、殺そうとしている相手に、母のような微笑みを向けている。激しい感情の発露もなく、ただ心穏やかに、目の前の光景を眺めているのだ。命が消えゆくその瞬間を、まるで新たなる命の誕生を祝福するように、見守っているのだ。
 男は必死に叫んだ。一方的な殺戮に歓喜していた男が、無様に泣き喚いている。呪詛も罵倒も声にならず、ただくぐもった悲鳴が迷いの竹林の、薄暗い中に木霊していた。
 そんな男に、妹紅はその穏やかな表情に相応しい、幼子に接するような優しい声色で語りかけた。
「私は死んだことがないから、あの世とか輪廻ってやつを知らない。だからさ、もし生まれ変われたら、生まれ変わることが出来たら、その時は私のところに来てほしい」
 藤原妹紅は死なない。だから死は尊いものであり、生は素晴らしいものだ。生を愛し、死を慈しむ。生も死も在ってこそ、生命は儚く美しい。人生とはなんと楽しいものなのだろう。命とはなんと良いもの、幸福なことなのだろう。
 藤原妹紅は祝福する。
 すべての生に祝福を。すべての死に祝福を。
「――そして、あの世とか、輪廻ってものがどういったものか、教えてね。私は永遠に、この幻想が朽ちるまでは、ここに居るから」
 そして不死者は笑った。見た目相応な少女の顔で、陽光を思わせる暖かい笑みを男に向けた。
 男が断末魔のような叫びを上げる。
「ま、お前が地獄に堕ちなければの話だけどね」
 冗談めかした言葉を言いながら、妹紅は思う。生を謳歌し、死を愛でる。輝夜と殺し合いをしている瞬間のように。
 ああ、私は今、なんて幸せなんだろう。
 次の瞬間、大地に轟く衝撃と地鳴りを伴って、一本の巨木が、事切れる寸前の男を飲みこみながら、妹紅の目の前に生えた。
 これには妹紅も驚きを隠せず、目を点にして唖然としてしまう。巨木の樹皮は蛇腹のようになっている。いや、これは正真正銘の蛇腹だ。喰らった獲物を飲みこもうと波打っている。
 ――天罰、悪因悪果。いや、摂理か。
 そう思いながら妹紅は立ち上がり、視線を頭上へ向けた。それもまた、妹紅を見下ろしていた。縄のように長く、大木のように太い蛇。蟒蛇。頭部に火傷を負ったような跡がある。妹紅はその姿に覚えがあった。
「お前、まだ狙ってたのか」
 この蟒蛇は、男を喰らおうとしていたやつだ。どうやらまだ迷いの竹林に潜んでいたらしい。妹紅は内心で溜息を吐いた。無駄な殺生は好まないが、万が一竹林に入った里の者が襲われてしまってはことだ。その前に退治するしかない。妹紅は右手に、いつでも炎を出せるようにする。
 しかし、蟒蛇はまるでそんな気を見せず、妹紅に頭を垂れるようにその身体を地面に寝かせ、転回して静かに去って行った。蛇行する巨大な姿も、陽も傾き鬱蒼とした竹林の中ではすぐに見えなくなる。
 妹紅は霊力を緩めながら、蟒蛇の姿が完全に見えなくなるまでその背を見つめた。方角的に、どうやら行き先は妖怪の山らしい。
 一安心かなと思いつつ、妹紅は頭を掻きながらううむと唸り声を上げた。
「しかし、ああいうでかいのが竹林の中にうろちょろされると危ないなあ。他にもいたらどうしよう。里の人達にももっと気を付けて――」
 その時、妹紅に電流走る。
『貴女なら大丈夫だと思うけど、気を付けてね』
『――気を付けて、なんてこれまた珍しいね。やっぱり明日は雪かなあ』
『残念。明日は晴れよ』
 思い出されるは、永遠亭における永琳とのやり取り。何を言っているのか分からなかった永琳の言葉の一遍が、今ようやく理解出来る。
「……け、警告ならはっきり言えー!」
 もっとはっきり言ってくれていれば、シャツがこんなぼろ雑巾のようにならなくて済んだのだ。
 誰もいない迷いの竹林で、妹紅は永琳宛の叫び声を上げた。もはやそれは雄叫びと言ってもよいほどの力強さと迫力と、怨霊の如く恨みが込められていた。
 妹紅の絶叫に追従するように、腹の虫が見事な唸り声を上げる。それこそ、妹紅を我に返し、赤面させるほどに素晴らしい腹の音だった。咄嗟に妹紅は自らの腹を両手で押さえた。一張羅のシャツはぼろ雑巾のようで、丸出しの腹を直接さすった。
 思い返せば、長い一日だった。陽もとっぷりと暮れ、迷いの竹林は既に夜半のような暗さに包まれている。妹紅は力なく肩を落とし、今日一番の大溜息を吐いた。
「いいや、さっさと帰ってご飯食べよう。……あ、筍」
 筍の詰まったかごは、男を助けたときに置いてきたままだ。おおよその位置は覚えているが、現在地から考えると、素直に帰った方が早い。腹の虫もそう催促していた。
「はあぁ……。お腹減ったなあ」
 妹紅は片手で腹を押さえたまま、なんて自分は不幸なのだと嘆く。やはり人間、美味しいものをたらふく食べている瞬間が幸福で、こうやって腹を空かせ落ち込んでいる瞬間がもっとも不幸なのだなあと思った。
 踵を返し、編み上げ靴で落ち葉の敷き詰められた地面を蹴りつつ、妹紅は歩き出す。だが、すぐに足を止め、一度だけ、ちらりと背後を一瞥し、妹紅はかすかに笑った。穏やかで、暖かな、そんな笑みを。
 そして妹紅は再び歩き出す。二度と振り返ることなく、家路についた。
妹紅の呑気な日常。みたいな話を書こうとしたら、どうしてこうなった。
五代良季
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コメント



0.160簡易評価
2.10名前が無い程度の能力削除
家屋すら飲み込みそうな九尺の蟒蛇というのが全く想像出来ません。一尺の長さわかって使ってます?
4.50名前が無い程度の能力削除
低評価すぎるとは思うけどじゃあ高評価かって言われたらうーん……。
6.60絶望を司る程度の能力削除
まぁ、幻想郷につれてこられるのは自殺願望者か犯罪者ですからね・・・
7.50奇声を発する程度の能力削除
うーん…?