寺のみんなと話すときにいつも浮かべる、楽しそうな顔。
数百年前からいつまでたっても慣れない、真面目な顔。
ドジをやらかして私に怒られる度に見せる、今にも泣きそうな顔。
なのに一度怒らせたら手のつけられなくなる、真っ赤な顔。
そして彼女に見せる、まるで親を慕う子のような無邪気な笑顔。
彼女が帰ってきてから、貴女は以前とは比べ物にならない程、表情豊かになった。
悔しくて悔しくてしょうがなかった。
気の遠くなるほど長い時間を、貴女と二人で過ごしてきた。
その中で私は、貴女の全てを知ったと、誇らしい気持ちになっていた。
貴女を一番よく知る存在になれたと、驕っていた。
私こそ貴女の隣にいるべき存在だと、確信していた。
でもそれは、全て大きな誤りだったと、貴女の彼女に対する態度を見て、思い知らされた気がした。
心底妬ましかった。
彼女が貴女を抜擢したからこそ、私は貴女と廻り会えたのだから、彼女には感謝しなければいけないはずなのに。
彼女が封印される以前ー
彼女に会い、そして貴女に逢って間もない頃は、彼女に対する妬みなんてこれっぽっちもなかった。もちろん、今胸に抱いている貴女への想いも。
周りの存在に興味がなかった。所詮、毘沙門天様に取り巻く有象無象だと見下していた。むしろ、何故毘沙門天様の正式な部下である私が、ただの妖獣に仕えなければいけないのか、納得がいかなかった。
しかし、貴女の全てを包み込むような優しさに、私は惹かれていった。
彼女が封印されて、信仰どころか、その存在を認知されることすらほとんどなかったあの寺で、それでも真面目にひたすら業務をこなす、貴女の強く、凛々しい姿。その一方で私にだけ見せてくれる、貴女の弱く、そして優しい姿。
私が監視という名目で貴女に仕えていることくらい、当然貴女は知っている。その上で、私を信用し、そして家族のように接してくれた。
どうして他人をそこまで信用できるのかわからなかった。でも、本当に嬉しかった。
長い月日が、貴女を、私にとってかけがえのない存在にしてしまったんだ。
それと同時に、貴女がこうして寺に居座り続けるのも、何かを想い、何かを待ち、だからただひたすら今に堪えているのだと、薄々感じるようになった。
無論、心の奥底で答えはわかっていた。けれど、考えないようにしていた。
そしていざ彼女が復活したら、彼女が妬ましくて仕方がない、なんて、最早情けないを通り越して清々しいまでの卑しさだ。
彼女の性格が、貴女と似ていたのも、偶然ではないことに気づいていた。それが一層腹立たしかった。
でも、それまで見せたこともないほど眩しい貴女の笑顔を見ている内に、嫉妬の念など消え失せてしまった。
ただ貴女が幸せなら、それが一番なのだと。
数百年もの時間の中でついに見せることのなかったその表情が、私の醜い心まで浄化していく。
貴女が心の底から笑う姿を見て、私は幸せだ。
ただ、忘れないで欲しい。私は、探し物を探し当てる程度の能力。
確かに以前は貴女が私だけのものだと勘違いしていたせいで、貴女を一度失くした気分になった。しかし考えを改めた今、貴女が一番幸せに感じてくれることを前提とした上で、貴女を手に入れてみせる。
例えそれが、夜空に輝く星のように遠く儚い存在だとしても…
数百年前からいつまでたっても慣れない、真面目な顔。
ドジをやらかして私に怒られる度に見せる、今にも泣きそうな顔。
なのに一度怒らせたら手のつけられなくなる、真っ赤な顔。
そして彼女に見せる、まるで親を慕う子のような無邪気な笑顔。
彼女が帰ってきてから、貴女は以前とは比べ物にならない程、表情豊かになった。
悔しくて悔しくてしょうがなかった。
気の遠くなるほど長い時間を、貴女と二人で過ごしてきた。
その中で私は、貴女の全てを知ったと、誇らしい気持ちになっていた。
貴女を一番よく知る存在になれたと、驕っていた。
私こそ貴女の隣にいるべき存在だと、確信していた。
でもそれは、全て大きな誤りだったと、貴女の彼女に対する態度を見て、思い知らされた気がした。
心底妬ましかった。
彼女が貴女を抜擢したからこそ、私は貴女と廻り会えたのだから、彼女には感謝しなければいけないはずなのに。
彼女が封印される以前ー
彼女に会い、そして貴女に逢って間もない頃は、彼女に対する妬みなんてこれっぽっちもなかった。もちろん、今胸に抱いている貴女への想いも。
周りの存在に興味がなかった。所詮、毘沙門天様に取り巻く有象無象だと見下していた。むしろ、何故毘沙門天様の正式な部下である私が、ただの妖獣に仕えなければいけないのか、納得がいかなかった。
しかし、貴女の全てを包み込むような優しさに、私は惹かれていった。
彼女が封印されて、信仰どころか、その存在を認知されることすらほとんどなかったあの寺で、それでも真面目にひたすら業務をこなす、貴女の強く、凛々しい姿。その一方で私にだけ見せてくれる、貴女の弱く、そして優しい姿。
私が監視という名目で貴女に仕えていることくらい、当然貴女は知っている。その上で、私を信用し、そして家族のように接してくれた。
どうして他人をそこまで信用できるのかわからなかった。でも、本当に嬉しかった。
長い月日が、貴女を、私にとってかけがえのない存在にしてしまったんだ。
それと同時に、貴女がこうして寺に居座り続けるのも、何かを想い、何かを待ち、だからただひたすら今に堪えているのだと、薄々感じるようになった。
無論、心の奥底で答えはわかっていた。けれど、考えないようにしていた。
そしていざ彼女が復活したら、彼女が妬ましくて仕方がない、なんて、最早情けないを通り越して清々しいまでの卑しさだ。
彼女の性格が、貴女と似ていたのも、偶然ではないことに気づいていた。それが一層腹立たしかった。
でも、それまで見せたこともないほど眩しい貴女の笑顔を見ている内に、嫉妬の念など消え失せてしまった。
ただ貴女が幸せなら、それが一番なのだと。
数百年もの時間の中でついに見せることのなかったその表情が、私の醜い心まで浄化していく。
貴女が心の底から笑う姿を見て、私は幸せだ。
ただ、忘れないで欲しい。私は、探し物を探し当てる程度の能力。
確かに以前は貴女が私だけのものだと勘違いしていたせいで、貴女を一度失くした気分になった。しかし考えを改めた今、貴女が一番幸せに感じてくれることを前提とした上で、貴女を手に入れてみせる。
例えそれが、夜空に輝く星のように遠く儚い存在だとしても…
でも数百年聖の復活を待ち続けた存在にしては繊細過ぎる気もします
まあ逆に純粋になるのかも知れませんが
面白かったです。
個人的には幸せなナズ星が好きですがこういうのもいいなぁと思いました。
ナズ星もっと増えろー!