Coolier - 新生・東方創想話

小さな理由 リメイク

2014/07/03 07:03:37
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幻想郷。忘れ去られた者たちの最後のユートピア。大妖怪八雲紫が造り上げて数え切れないほど太陽と月は入れ替わっていき、新しい人妖が迎えられる。争いはかつて弾幕勝負と呼ばれるお遊びで決着がつけられていた。・・・それも昔のことだが。
河童による技術革命と外の世界からもたらされた技術知識によって人は妖怪に対抗できる「武力」を手に入れて、八雲紫に対して人間による人間のための統治を要求した。


力を手に入れた人間は妖怪に支配されるこの世界の変革を望んだ・・・これが私の知る、現在に至る経緯である


それから十年、幻想郷は変わり果てた。里は都市へと姿を変えた。妖怪との戦争は未だ続いている。弾幕で決着を着けるルールなんてものは当に忘れ去られた。人は銃で、戦車で、妖怪を駆逐しようと、妖怪はその人外たる力で、元の世界へと戻すために戦いを続けていた。



かつての人里、今では武装した兵士が行き交う基地に私は従軍記者として赴任した。私は軍人ではないが文々。新聞社の記者としてここにいる。射命丸社長の以降で今回の戦いの記事をつくることになった。それにあたり私は彼女の知り合いであるという霧雨魔理沙中尉についていくことになった。



「あんたが文んところからきた記者か、私は霧雨魔理沙だ。魔理沙でいいぜ」
よろしくお願いします、と出された手を握り返す。みたところ20代後半だろうか?かなりフランクな性格なようで色々質問してくる。文のところで食ってけるのか、奴は元気なのか?いい男だ、うちに入隊しないかとか。これではどちらが取材しにきたのかわからない。
「っと、すまないな。今日のところはあんたが取材しにきたんだったな」
私の困惑した顔を見てか気を使ってくれたようだ。いえ、構いませんと返事をするとさっそく取材に取り掛かることにした。



この前の戦いがどうとか、今回の戦争についてどう思うとか、そんな普通の取材が終わり、彼女はこれから一杯どうかと誘ってくれた。失礼な質問もあっさり返してくれたあたり器が大きいというか大雑把というか、まあいい人である。無論私はOKと答えた。射命丸さんにも人の酒の誘いは断るな、取材のチャンスだと教えられてもいるし、この霧雨魔理沙という人物にも個人的に興味がわいたからだ。


彼女は魔法の森に住む魔法使いだったらしい。あの紅魔事変や神廟事件といった異変を解決した英雄であることは事前に知っていた。一般的にも彼女はよく知られていた人間の英雄なのだ。技術革命以前からの。そんな彼女の横に座って一緒に酌み交わすというのはなんだか誇らしいと感じた。
「お、どうした?顔がもう赤いぜ?もう酔ったのか色男さんよ?それとも私に惚れたか?」
彼女がいたずらっぽく笑う。英雄と飲めると思うと酔も回りますよ、と冗談っぽく返してみる。すると彼女はちょっと寂しげに笑うと一気にグラスの酒を飲み干すと
「英雄なんかじゃないさ、今の私は・・・」そう答える
いいえあなたは英雄ですよ、紅魔の件にしてもにしても、今回の戦争にしてもです。と私は言うと、彼女は
「おまえ、私がどうして革命軍にいると思う?」
それは人間の開放のために
「違うんだよ、本当はさ。私は別に人間が支配しようと、紫が治めようと」
私の言葉を遮るように語り始めた。先の取材では質問しなかった彼女が戦う理由を






革命軍は革命を望む妖怪の山、八雲に一泡吹かせたい紅魔館、妙蓮寺を除く宗教家達、そして多数の人間によって構成されている。目的は幻想郷の革命と言っているが私にはその革命がなんなのかよく分からない。八雲を倒して外の世界に行きたいというやつもいれば銃をぶっぱなしたいだけの奴もいる。ようは戦争と銘打ってもこれはただの異変だ。暴走した奴らが騒いでいるだけの異変。一昔と違うのは穴だらけの死体がでるということだ。

「昔の私ならさ、私はこの革命軍を潰す側にいるべきなのさ。異変は解決するもので私は異変を解決する側だからさ。・・・あんたのいう英雄として」
ならなぜあなたはここに?
「私一人で解決してきた異変なんかひとつもないんだ。むしろ解決してきたのはあんたもしってるあの巫女なんだ。私はあいつの後を追ってあいつと一緒に解決してきたんだ。」
巫女というと、博麗のですか?
「そうだよ、むしろ私は奴のおまけみたいなもんさ」
そんなことは―
「あるさ、現に私はあいつに勝ったことがまだないんだ、一度もな」

「悔しいことに弾幕ごっこじゃ勝てないんだよ、残念なことにな」

そう言い切ると、彼女は私に顔を向けてこういった。

「私がこの『異変』に加担しているのはさ、奴に勝ちたいからだよ。あいつの敵としてさ。そんな小さな理由だよ」
勝ちたいだけなら弾幕ごっこでもいいのでは?
「うーん、確かにな。そこを突かれると痛いんだが」

彼女はコップの酒を一息に飲み干すと椅子にだらしなくもたれかけて、煙草に火をつけた。深く煙を吸い込み、紫煙を天井に吐き出すとこう続けた。

「弾幕ごっこってのはルールがあるだろ?つまりはスポーツだ。野球とか、ボクシングとかと同じな。そんで確かにお互い戦い合うわけだ。が、所詮はスポーツであってお互いは敵ではなくて対戦相手なんだ。」
それは分かりますが・・・
「まあスポーツでも必死に負けまいと、勝とうとして戦うだろ?それはいいことだ。鉛玉ぶち込まなくて済むしな」

彼女は腰の拳銃を横目に見た。その目はおぞましく冷めた目だった。

「でもそれじゃだめなんだよ。それじゃあ敵ではないんだ。本当の意味での命張ってやる戦いじゃないんだ」

「いままであいつとは親友という立場でごっこをしてきたし、同じ野球チームとして異変をルールに沿って解決してきたんだ。でもさ、それじゃあ私はもう満足出来なかったんだ。勝てなかったくせにな」

彼女の表情を伺い知ることは出来なかった。いや、私には彼女のその表情をなんと形容すればいいか、分からなかった。

「この異変はな、ルールがないんだよ色男。どんな手を使ってでも相手を閻魔の所へ送ってやればいい。お互いが憎い敵なんだ。命を賭けてまでやる理由がある、敵なんだ」

「別にあいつが憎いんじゃないんだ。でもあいつと本気の勝負で、この戦争という異変の中で手加減なしの勝負で勝ちたいんだよ」

「そのためなら、私は異変側でいい。妖怪を何匹殺してもいいんだ」
・・・狂ってるんですか?貴女は

「そうだよ、ちっさな理由の為に私は狂ってるんだよ、あいつに勝てるならな。敵として」





「魔理沙さん。1つ、無礼を承知で言っても?」
会ってから聞いたことのない声で記者は質問を問いかけてきた。魔理沙としては酒が入っていたとしても少々口が軽くなってしまったという後悔と、狂っているといわれて不機嫌になったことでぶっきらぼうに返事をした。

「ああ、いいぜ。言ってみろよ」




「・・・貴女は逃げているだけではないのですか?博麗の巫女から。勝負から」




そのあとはあまり覚えていない、えらく顔が腫れていてあの社長からですら心配された。まあ始末書は書かされたが。

















人妖問わずに行き交う事務所で私がコーヒー片手にデスクでくつろいでいると、新人の白狼天狗が原稿を持ってきた。三面の片隅に載せる記事だ。人間の私を慕ってくれる変な妖怪だ。かわいい後輩だが部下としてはイマイチなのだが。それに白髪が増えてきたのは年のせいでけではないことが最近わかってきた。いつも学級新聞にのせるような記事をもってくるのだが、今回はなにを取材してきたのだろうか?道具屋の主人が全く人気がないだとかという前回の記事は特に酷かった。小さい店の経営がなんなのだ。終戦記念日ふさわしい記事を持って来いと叱ってやると耳をしょんぼりさせていたのは記憶に新しい。で、今回はなんだ?
「今回はですね!有名人を取材してきました!」
自信があるとでもいうように尻尾を振っている。前回もこんな感じだった。また叱らないといけないらしい。まあ一応は読んでやるが。
・・・・・
「どう、ですか?」
・・・たまにはこの犬もいい仕事するものだ。彼女の頭を無言でなでると、私は一面記事を差し替える旨を皆に伝えた。


一面の内容は『霧雨魔理沙、博麗の巫女との決着へ』
処女作を手直ししてみましたが、なんか余計変になったような気がするのは気のせいでしょうか?

ご指摘、ご鞭撻をよろしくお願いします。いいたいことを伝えるって難しいですね・・・
緑色した微生物
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コメント



0.210簡易評価
1.80名前が無い程度の能力削除
ゴルゴ13のアメリカとロシアの老スパイが戦争起こそうとする話思い出した
2.80奇声を発する程度の能力削除
こういう感じのお話もたまには良いね
4.80名前が無い程度の能力削除
妙蓮寺…命蓮寺です
テンポが良くて読みやすいですね
5.10名前が無い程度の能力削除
何もよくなってないし全く成長が見られない。
10.70名前が無い程度の能力削除
紫が危惧していた事態の一つだと思います
続きがあるとするなら、魔理沙は霊夢に救われて欲しいですね
以降→意向