傷付き、倒れる。起き上がり、立ち向かう。傷付き倒れる。起き上がり立ち向かう。何度も傷付き倒れ、何度も立ち向かう。何度も何度も何度も。
諦めることはできないのか。何度やっても彼女の体が傷付いていくだけで、ただただ心が磨り減っていった。そしてついに彼女は倒れ、起きあがることすら、出来なくなった―――。
『ケーオー!パーフェクト!』
いったい何が起きているのか。私が屋敷を訪れたとき、そこには理解しがたい光景が広がっていた。
何やら画面に繋がれた機械と、それを囲む住人たち。機械から延びる線の先端部を握って画面に向かっているのは、この地霊殿の主であるさとりと、そのペットのお燐。そして二人の後ろで息をのむこいしとお空。どうやら「てれびげえむ」とかいうものをしているらしい。ちょうど一月ほど前にこいしが地上から持ってきたとかで、話には聞いていた。
よくわからないが、みんなで楽しんでいる……ということでいいのだろうか。連中から漏れてくるのは団らんの楽しそうな言葉なのだろう。まったく妬ましい。
「お燐が手も足も出せずにやられただと…!?」
「馬鹿な…! 一月前の奴は、それこそサンドバッグのようにやられるしかなかったというのに!」
「ふふふ、私も伊達に暇しているわけではないのよ。この1ヶ月、あなたたちを倒すことだけを考えてひたすら練習を積んできたのですから」
……訂正。やっぱりあまり妬ましくないかもしれない。意味が分からない。
不敵な笑みを浮かべるさとり。その表情には若干の余裕すら見える。
1ヶ月とか言っていたが、よくもそんなにも長い間、飽きずにこんなことを続けていられるものだ。地霊殿の主というのは、よっぽど暇らしい。そういう意味では妬ましいが、1ヶ月もひたすらそんなことをしている点については妬ましくない。仕事しろ。
「み、見てくださいこいし様! お燐がショックを受けています! 虚ろな目で何やらぶつぶつと呟いています!」
呆けた表情で虚空を見つめたまま何やら呟いてるお燐。
「馬鹿な…まさか…こんなことが…あるはずが…」
さとりに負けるのがそんなにショックなのか。
「ふふふ、その様子ではもう戦えないようですね。あと二本、取らせてもらいます!」
次の試合はすでに始まっていた。……が、動かない。画面右側のキャラクターは、まったく動かない。
「お燐!」
「だ、駄目ですこいし様! お燐はもうすでに戦う気力がない! 奴はもうぶちのめされるだけでさあ!」
未だ虚空を眺め続けるお燐は、しかしもう言葉を発することさえやめていた。
みるみる右側の体力は減っていき……
『ケーオー!パーフェクト!』
「おりいいぃぃん!!」
お空の声がこだました。
「ふっ、他愛ない……。私も時間が惜しい。次は一撃必殺でとどめを刺してあげましょう!」
勝ち誇るさとり。それにしてもやたらと嬉しそうだ(どうでもいいが三本先取らしい)。
「ふん……奴はもう駄目だな……。だがたとえ倒されたとして、奴は四天王で最弱のカス……」
「奴がやられたところで痛くも痒くもないわ」
私も引くくらいの酷い言い様だ……っていうか誰だ四天王って。三人しかいないだろうに。そしてお空、あんたらは親友じゃなかったのか。
「さあ、とどめよ!」
勝ち誇るさとり。画面内のキャラが光を放った、その瞬間。お燐の目がギラリと光るのを、私は見た。
「なにぃ!?」
次の瞬間、お燐はさとりの一撃必殺をかわしていた。そして、技をかわされて隙だらけのさとりに、逆に一撃必殺を、叩き込んだ!!
『デストローイ!パーフェクト!』
「なん…だと…?」
そこには目の前の出来事に呆気にとられるさとりの…いや、三人の姿があった。
「お燐! 貴様、狙っていたな! 私が一撃必殺を繰り出す瞬間を! 呆けたフリをして2ラウンド目を落としたのはこのためか! 私を油断させるために!」
「なんのことか…分からないな、さとり様…そして…」
『デュエル4、レッツロック!』
「はっ!」
「そして4ラウンド目、ファーストアタックはあたいのものだ!」
ドガァッ!
「おおお! フルコン入ったあぁ!」
「流石お燐! チャンスにきっちりと決めている! そこに痺れる、憧れるぅッ!」
どうやらお燐の連携が決まったらしい。あんたたち、さっきまでお燐のこと貶してなかったか?
「くっ…! 流石…やるじゃない、お燐……。そうね、諦めずに奇策を用いて私から一本取ったことは褒めてあげましょう。だが! もう終わりだ! 1ラウンドの再現をしてやる! ここから先は私にダメージを与えることもさせないッ!」
「いや……さとり様。もうすでに、あなたは『終わって』います」
「な、どうして動かない!?」
「ふふふ、第三の目でよーく見てみろ!」
「こ、これは……!」
「ブラボー! おお…ブラボー!」
「ソンビフェアリー! こいつが私のコントローラーを抜いていたのか!」
「そうだ……そして食らえ!」
ドガァッ!
『ケーオー!パーフェクト!』
またしてもお燐の一撃必殺が決まった!
「あ、あまりにも卑怯すぎるでしょう……? 汚いなさすが火焔猫きたない」
「分かっていませんねさとり様……。これは、あなたには防ぐことが出来たはずです。私の心を読めば。だがあなたはそうしなかった。それはあなたが一戦目で私に余裕で勝ったという慢心からだ!」
「!!……そうね……。確かに、私は天狗になっていたわ……さとりなのに天狗に。たった一回あなたに勝っただけで……」
さとりがお燐を見る。
「私は『挑戦者』だッ! 勝つために、今、全身全霊の力を使い、あなたに勝つ!!」
「いいだろう……かかってこい!」
「おおおおぉぉぉおお!!!」
「ああああぁぁぁああ!!!」
「「最終ラウンドだッ!!」」
『レッツロック!』
開幕から怒濤の勢いで攻め続けるさとり。しかしお燐はその全てを防いでいる!
「くっ……! なぜ当たらない!? なぜ崩せない!?」
「さとり様、確かにあなたは強くなった。能力による完璧な『読み』をもち、技術を磨いた。たった一ヶ月で、たいしたものです。……しかし、あなたにはなく、私にはあるモノがある」
「私にないもの、だと……?」
「それは経験による『反応』と『動体視力』ッ! ひたすらコンピューターやダミー相手に鍛えただけの型をなぞった技術では私を崩せないッ!」
ああ、そうよね、一ヶ月ひたすら部屋にこもって独りでゲームしてたんですものね……寂しいことに。
「はい! 小足見てから昇竜余裕でした!!」
「!! くっ、流石は地霊殿一の器用貧乏ね……!」
「ぐふっ!!」
ああっと、褒めてるように見せかけての精神攻撃だー! お燐たまらず吐血!
「流石お姉ちゃん、超いんけーん!」
「お燐さんが血を吐いた! 謝れ、お燐さんに謝れ!」
「ちょっと外野うるさいです!……だがしかし、私には完璧な『読み』がある! 私があなたを崩せなくても、あなたの攻撃も私を崩せない! その中段、読んでいるッ!」
そう声高らかに宣言したさとりだったが。
「な……」
お燐の『下段』が刺さり、コンボを食らっていた! そしてダウン!
「なんだとおおぉぉお!!! 馬鹿なッ! 確かに私はおまえの心を読んだはずッ!」
「だと思うのなら……もう一度、受けてみますか?……私の攻撃を
┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛
「来なさい、お燐ッ! 次は完璧に読み切るッ!」
お燐が起き攻めを仕掛ける! その攻撃は―――
「読んだッ! 『下段』だッ!」
ドガァッ!
「………………え?」
呆けるさとりを横目に、流れるようなコンボが決まる。そして、さとりのキャラクターは倒れた。
『2P WIN!』
「…………な」
「『何故読み違えた』ですか?」
「……!」
バッと自分の第三の目を見るさとり。
「いいえ、さとり様、あなたは読み違えてなどいませんよ」
「では一体、何故……」
「それは、これです」
お燐が自分のコントローラーを手繰って見せた。その先端は……
「コードが抜けている!? じゃあ、さっきまで動いていたのは……」
「じゃーん、私でしたー」
「こいし! まさか……」
「そう、『コントローラーは3つあったッ!』」
「さっき私のコントローラを抜いたときに! すでに入れ替えていたのかッ! 無意識を操り私に気付かれないようにした! 技術云々の話をしたのは私の気を逸らすためッ!」
解説乙と言わざるを得ない。
「卑怯だ……と仰いますか?」
「……ふふ……まさか。私は全力で挑んだ。私も能力を使っていたことだもの、見破れなかった私の負け、よ……」
がっくりとうなだれるさとり。
「さとり様、あなたが負けたのには、理由があります」
「ええ、私は未熟だった……もっと練習を積んで……」
「いいえ、さとり様」
「え?」
「さとり様は『一人で』練習していた。それが敗因です」
そして、お燐はにっこりと微笑んで言った。
「だからさとり様、今日からはみんなで練習しましょう!」
「お燐……」
「そうだよー、お姉ちゃんったら、一人で部屋にこもってるんだもん」
「そうですよさとり様! みんなで楽しくゲームしましょう!」
こいしとお空が言う。
「お燐、こいし、お空……」
何で良い話風になってるのか理解できないが、とりあえず妬ましいと言っておけばいいや。
「じゃ、お待ちかねの罰ゲームー! 今回の罰ゲームは、『一日ペット』でーす!」
「「わー!」」パチパチ
…………は?
「だから負けたくなかったのにいいぃ!」
「はーい、じゃあとりあえず脱ぎ脱ぎしましょうねー」
「さとり様、この猫耳付けてください!」
「さとり様さとり様、一緒にお散歩に行きましょう!」
「嫌ああぁぁぁああ!!」
絶叫がこだまする地霊殿を私は後にした。仲がいいのは妬ましいけど、今のさとりは妬ましくないな……と思いながら。
後日。
「で、何で私があんたのゲームの相手しないといけないわけ?」
「だって悔しいじゃないですか! あのあと私がどんな辱めを受けたか……」
「あーわかった、わかったから泣かないで。マジ泣きはやめて」
私は地霊殿の一室でさとりのゲームの相手をさせられていた。なぜ私が……。
「だってあの三人を相手に練習なんか出来る訳ないじゃないですか!」
「あーホントごめん、だからマジ泣きはやめてマジで」
さとりにトラウマができたようです。
諦めることはできないのか。何度やっても彼女の体が傷付いていくだけで、ただただ心が磨り減っていった。そしてついに彼女は倒れ、起きあがることすら、出来なくなった―――。
『ケーオー!パーフェクト!』
いったい何が起きているのか。私が屋敷を訪れたとき、そこには理解しがたい光景が広がっていた。
何やら画面に繋がれた機械と、それを囲む住人たち。機械から延びる線の先端部を握って画面に向かっているのは、この地霊殿の主であるさとりと、そのペットのお燐。そして二人の後ろで息をのむこいしとお空。どうやら「てれびげえむ」とかいうものをしているらしい。ちょうど一月ほど前にこいしが地上から持ってきたとかで、話には聞いていた。
よくわからないが、みんなで楽しんでいる……ということでいいのだろうか。連中から漏れてくるのは団らんの楽しそうな言葉なのだろう。まったく妬ましい。
「お燐が手も足も出せずにやられただと…!?」
「馬鹿な…! 一月前の奴は、それこそサンドバッグのようにやられるしかなかったというのに!」
「ふふふ、私も伊達に暇しているわけではないのよ。この1ヶ月、あなたたちを倒すことだけを考えてひたすら練習を積んできたのですから」
……訂正。やっぱりあまり妬ましくないかもしれない。意味が分からない。
不敵な笑みを浮かべるさとり。その表情には若干の余裕すら見える。
1ヶ月とか言っていたが、よくもそんなにも長い間、飽きずにこんなことを続けていられるものだ。地霊殿の主というのは、よっぽど暇らしい。そういう意味では妬ましいが、1ヶ月もひたすらそんなことをしている点については妬ましくない。仕事しろ。
「み、見てくださいこいし様! お燐がショックを受けています! 虚ろな目で何やらぶつぶつと呟いています!」
呆けた表情で虚空を見つめたまま何やら呟いてるお燐。
「馬鹿な…まさか…こんなことが…あるはずが…」
さとりに負けるのがそんなにショックなのか。
「ふふふ、その様子ではもう戦えないようですね。あと二本、取らせてもらいます!」
次の試合はすでに始まっていた。……が、動かない。画面右側のキャラクターは、まったく動かない。
「お燐!」
「だ、駄目ですこいし様! お燐はもうすでに戦う気力がない! 奴はもうぶちのめされるだけでさあ!」
未だ虚空を眺め続けるお燐は、しかしもう言葉を発することさえやめていた。
みるみる右側の体力は減っていき……
『ケーオー!パーフェクト!』
「おりいいぃぃん!!」
お空の声がこだました。
「ふっ、他愛ない……。私も時間が惜しい。次は一撃必殺でとどめを刺してあげましょう!」
勝ち誇るさとり。それにしてもやたらと嬉しそうだ(どうでもいいが三本先取らしい)。
「ふん……奴はもう駄目だな……。だがたとえ倒されたとして、奴は四天王で最弱のカス……」
「奴がやられたところで痛くも痒くもないわ」
私も引くくらいの酷い言い様だ……っていうか誰だ四天王って。三人しかいないだろうに。そしてお空、あんたらは親友じゃなかったのか。
「さあ、とどめよ!」
勝ち誇るさとり。画面内のキャラが光を放った、その瞬間。お燐の目がギラリと光るのを、私は見た。
「なにぃ!?」
次の瞬間、お燐はさとりの一撃必殺をかわしていた。そして、技をかわされて隙だらけのさとりに、逆に一撃必殺を、叩き込んだ!!
『デストローイ!パーフェクト!』
「なん…だと…?」
そこには目の前の出来事に呆気にとられるさとりの…いや、三人の姿があった。
「お燐! 貴様、狙っていたな! 私が一撃必殺を繰り出す瞬間を! 呆けたフリをして2ラウンド目を落としたのはこのためか! 私を油断させるために!」
「なんのことか…分からないな、さとり様…そして…」
『デュエル4、レッツロック!』
「はっ!」
「そして4ラウンド目、ファーストアタックはあたいのものだ!」
ドガァッ!
「おおお! フルコン入ったあぁ!」
「流石お燐! チャンスにきっちりと決めている! そこに痺れる、憧れるぅッ!」
どうやらお燐の連携が決まったらしい。あんたたち、さっきまでお燐のこと貶してなかったか?
「くっ…! 流石…やるじゃない、お燐……。そうね、諦めずに奇策を用いて私から一本取ったことは褒めてあげましょう。だが! もう終わりだ! 1ラウンドの再現をしてやる! ここから先は私にダメージを与えることもさせないッ!」
「いや……さとり様。もうすでに、あなたは『終わって』います」
「な、どうして動かない!?」
「ふふふ、第三の目でよーく見てみろ!」
「こ、これは……!」
「ブラボー! おお…ブラボー!」
「ソンビフェアリー! こいつが私のコントローラーを抜いていたのか!」
「そうだ……そして食らえ!」
ドガァッ!
『ケーオー!パーフェクト!』
またしてもお燐の一撃必殺が決まった!
「あ、あまりにも卑怯すぎるでしょう……? 汚いなさすが火焔猫きたない」
「分かっていませんねさとり様……。これは、あなたには防ぐことが出来たはずです。私の心を読めば。だがあなたはそうしなかった。それはあなたが一戦目で私に余裕で勝ったという慢心からだ!」
「!!……そうね……。確かに、私は天狗になっていたわ……さとりなのに天狗に。たった一回あなたに勝っただけで……」
さとりがお燐を見る。
「私は『挑戦者』だッ! 勝つために、今、全身全霊の力を使い、あなたに勝つ!!」
「いいだろう……かかってこい!」
「おおおおぉぉぉおお!!!」
「ああああぁぁぁああ!!!」
「「最終ラウンドだッ!!」」
『レッツロック!』
開幕から怒濤の勢いで攻め続けるさとり。しかしお燐はその全てを防いでいる!
「くっ……! なぜ当たらない!? なぜ崩せない!?」
「さとり様、確かにあなたは強くなった。能力による完璧な『読み』をもち、技術を磨いた。たった一ヶ月で、たいしたものです。……しかし、あなたにはなく、私にはあるモノがある」
「私にないもの、だと……?」
「それは経験による『反応』と『動体視力』ッ! ひたすらコンピューターやダミー相手に鍛えただけの型をなぞった技術では私を崩せないッ!」
ああ、そうよね、一ヶ月ひたすら部屋にこもって独りでゲームしてたんですものね……寂しいことに。
「はい! 小足見てから昇竜余裕でした!!」
「!! くっ、流石は地霊殿一の器用貧乏ね……!」
「ぐふっ!!」
ああっと、褒めてるように見せかけての精神攻撃だー! お燐たまらず吐血!
「流石お姉ちゃん、超いんけーん!」
「お燐さんが血を吐いた! 謝れ、お燐さんに謝れ!」
「ちょっと外野うるさいです!……だがしかし、私には完璧な『読み』がある! 私があなたを崩せなくても、あなたの攻撃も私を崩せない! その中段、読んでいるッ!」
そう声高らかに宣言したさとりだったが。
「な……」
お燐の『下段』が刺さり、コンボを食らっていた! そしてダウン!
「なんだとおおぉぉお!!! 馬鹿なッ! 確かに私はおまえの心を読んだはずッ!」
「だと思うのなら……もう一度、受けてみますか?……私の攻撃を
┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛
「来なさい、お燐ッ! 次は完璧に読み切るッ!」
お燐が起き攻めを仕掛ける! その攻撃は―――
「読んだッ! 『下段』だッ!」
ドガァッ!
「………………え?」
呆けるさとりを横目に、流れるようなコンボが決まる。そして、さとりのキャラクターは倒れた。
『2P WIN!』
「…………な」
「『何故読み違えた』ですか?」
「……!」
バッと自分の第三の目を見るさとり。
「いいえ、さとり様、あなたは読み違えてなどいませんよ」
「では一体、何故……」
「それは、これです」
お燐が自分のコントローラーを手繰って見せた。その先端は……
「コードが抜けている!? じゃあ、さっきまで動いていたのは……」
「じゃーん、私でしたー」
「こいし! まさか……」
「そう、『コントローラーは3つあったッ!』」
「さっき私のコントローラを抜いたときに! すでに入れ替えていたのかッ! 無意識を操り私に気付かれないようにした! 技術云々の話をしたのは私の気を逸らすためッ!」
解説乙と言わざるを得ない。
「卑怯だ……と仰いますか?」
「……ふふ……まさか。私は全力で挑んだ。私も能力を使っていたことだもの、見破れなかった私の負け、よ……」
がっくりとうなだれるさとり。
「さとり様、あなたが負けたのには、理由があります」
「ええ、私は未熟だった……もっと練習を積んで……」
「いいえ、さとり様」
「え?」
「さとり様は『一人で』練習していた。それが敗因です」
そして、お燐はにっこりと微笑んで言った。
「だからさとり様、今日からはみんなで練習しましょう!」
「お燐……」
「そうだよー、お姉ちゃんったら、一人で部屋にこもってるんだもん」
「そうですよさとり様! みんなで楽しくゲームしましょう!」
こいしとお空が言う。
「お燐、こいし、お空……」
何で良い話風になってるのか理解できないが、とりあえず妬ましいと言っておけばいいや。
「じゃ、お待ちかねの罰ゲームー! 今回の罰ゲームは、『一日ペット』でーす!」
「「わー!」」パチパチ
…………は?
「だから負けたくなかったのにいいぃ!」
「はーい、じゃあとりあえず脱ぎ脱ぎしましょうねー」
「さとり様、この猫耳付けてください!」
「さとり様さとり様、一緒にお散歩に行きましょう!」
「嫌ああぁぁぁああ!!」
絶叫がこだまする地霊殿を私は後にした。仲がいいのは妬ましいけど、今のさとりは妬ましくないな……と思いながら。
後日。
「で、何で私があんたのゲームの相手しないといけないわけ?」
「だって悔しいじゃないですか! あのあと私がどんな辱めを受けたか……」
「あーわかった、わかったから泣かないで。マジ泣きはやめて」
私は地霊殿の一室でさとりのゲームの相手をさせられていた。なぜ私が……。
「だってあの三人を相手に練習なんか出来る訳ないじゃないですか!」
「あーホントごめん、だからマジ泣きはやめてマジで」
さとりにトラウマができたようです。
あ、さとりのペットプレイについてもっと詳しくお願いします
面白かったです。ギルティ久しぶりやろうかなw
初代かゼクス辺りなら幻想入りしてるかも
さとりんだと心読めても入力間に合わなさそうwww
なんだかんだでパルスィもやりたがってたんじゃないだろうか