Coolier - 新生・東方創想話

動かない大図書館

2014/04/03 01:23:05
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……あー、てすてす。ちゃんと音声は入ってるかな。……大丈夫そうね。よし。

 唐突ですが、膝枕の話をします。

 そういうものがあるのはみなさんご存知だと思うんです。好きな人も多いんじゃないでしょうかね、一方の膝……というか太ももにもう一人が頭を乗せて、枕代わりにするあれです。

 もちろん私も好きです。する方もされる方も、相手との親密さ、心の距離の近さを心地よく感じられる……そんな遊びだと思います。

 でも、実は膝枕って一晩中やるようなものじゃありません。理由は単純で、ずっと正座してると脚が痺れるからです。寝る側がすっかり寝付いたのを確かめて、枕側はこっそり足を抜いてしまいます。

 では、寝転がる役がどうしてもどかせなかったら、どうなるのか。想像してみてください。

 じわじわと感覚がなくなる足先。脚を動かそうとするたびに響くうめき声。そんな状況に、枕役は次第に追いつめられて……。
 
 今日はそんな極限状態を演出し、枕役の普段は見られないような表情を観察させてもらおうと思います。

 ……申し遅れました。この実況は、紅魔館の大図書館に棲みつく悪魔であるところの私が担当させていただきます。仕掛け人は私と、我等が動かない大図書館ことパチュリー・ノーレッジ様。今は図書館のソファーで本を読んでいる手筈になっています、とりあえず映像と音声を繋いでみましょう。ちなみに私が今いる司書室は図書館とドア1枚で繋がってるところにあるんですが、パチュリー様が魔術で遮音をしてくださったので私は好き放題にしゃべることができます。ありがたいことですね。

 ええと、水晶玉に触れて……あ、映りました。おっ、パチュリー様こっちを見てますね。ちょっと手を振ってみてください。……どうもー。私の手元に鎮座ましますこの水晶玉、パチュリー様の遠視の魔術によって望むところの風景が見られるって代物です。それをさすがパチュリー様ですね。相手は吸血鬼ですが、何、準備万端な魔術師は最強だなんて話もありますし、才能あふれる魔術師の本気ですから、盗撮が発覚することはないでしょう。……そんなことを話していたら、パチュリー様の頬がかすかに朱くなってきましたね。
 カメラを近づけてみましょうか、ええと、ズームインはどうやるんだったっけ。あ、こうかな。二本指でぐぐぐぐぐーっと……肌理の細かい白い肌がほのかに赤く染まって、魅力五割増しって感じがします。

 『貴方、あまり変なことばかり言うと後で酷いわよ』

 あっはい、すみません。

『まったく。……やっぱり、そっちからの音声は切ってもらってもいいかしら』

 そんなに気が散りますかね。というかそれより、音声を切ると指示が出せなくなるんですけど。
『大丈夫。そっち側からなら任意に接続できるでしょう。必要に応じて繋いで頂戴』

 あ、指示を出す必要があるときだけ接続しろ、ってことですか。了解です。じゃあ一旦切りますので、お好きなタイミングで始めてください。それでは。


<第一のターゲット:十六夜咲夜>

 さて、パチュリー様が動きましたね。開いていた本を机の上に置いて、ソファーの方に移動しました。図書館にはいつもパチュリー様が座っている1人掛けのアームチェアの他にはそれしか座るところがありません。一応4,5人掛けくらいの幅はあるので、きっと膝枕もされやすいことでしょう。いいなー、咲夜さんの膝枕。

『咲夜、いるかしら』
『はい、ここに』

 パチュリー様が呼ぶと、咲夜さんが扉を開いて顔をのぞかせました。図書館内部はパチュリー様の魔力が飽和しているので、他の人間はなかなか魔力を使えません。咲夜さんの時止めも同様です。彼女が扉を開けるなんていうレアな光景が見られるのは、図書館だけですね。

『何かご用でしょうか』

 ……部屋に入ってこないでそのまま聞きましたね。パチュリー様の位置からは顔しか見えません。紅茶やお菓子を頼まれたならすぐに取りに行ける構えです。合理性を礼儀より優先するのは神経が図太い証拠だと思いますが、そういうところも愛嬌なんでしょうね、彼女がやるとどうにも憎めません。

『ああ、今日は違うのよ。貴方に用があるの』

 パチュリー様が手招きしましたね。咲夜さんが入ってきて、その全身が現われました。長袖のワイシャツの上のベスト、同色のスカートの上には白いエプロンをつけています。そういえば最近ネクタイも着け始めたんですが、あれもよくお似合いだと思います。外で見れば咲夜さんのワイシャツやエプロンは本当に真っ白なんですが、今は光源に赤みが掛かっているせいで暖色に見えます。今も糊が効いていてぱりっとしてますね。咲夜さんは今日も朝から働いてるはずなんですが、いつみても皺ひとつないのが不思議です。……時間を止めてアイロンを当ててたりして? そんなわけはないか。

『あのね、今日は暖かいじゃない』
『はい、まあそうですね』
『春が近づいてきた気配がするのよね』
『近づいてきてるのは違いないですけど、この部屋から出ずによくそれに感づきましたね』

 咲夜さん、忙しかったんですかね。すごい突っかかって来ますね。パチュリー様、タジタジです。

『そ、そうね。まあね。……それでね、暖かくなってきたし、昼寝をしようと思うのよ』
『はあ』

 咲夜さん、勝手にしてくれって言いたそうな顔つきになりました。それにしてもパチュリー様は話が下手ですね。緊張してるんでしょうか。

『それでね。あの……膝枕ってあるじゃない。あれをしてもらいたいのよ』
『……膝枕? 膝枕ってあの膝枕ですか。膝を枕にする』
『そう、膝というより脚だけど、そこを枕にするそれよ』

 読んで字のごとくというか自己言及的というかなんというか。指示語が飛び交っています。咲夜さん、戸惑っていますね。今までパチュリー様にそんなことを頼まれたことはないはずですし当然ですが。

『はあ。……まあ、そういうことなら』

 咲夜さんがソファーの前まで近づいてきました。親切な人ですね。メイド服にしては珍しい膝頭が見えるくらいのミニスカートには、おしとやかさよりも活発さ、活動的な印象を受けます。ロングよりも動きやすいのは間違いないですからね。咲夜さんは脚がすらっと長いので、よく似合っています。

 まあ、よそのメイドさんと違って、紅魔館のメイドの仕事はゆっくり歩くことだけではありませんからね。お嬢様に命じられれば弾幕ごっこから押し入り強盗まで、どんな荒事でもこなすのがうちのメイドです。もうちょっと短くしても素敵だと思うんですけどね。膝上20センチくらいの。

 さて、そんな話をしているあいだに、咲夜さんがソファーに腰かけました。パチュリー様の右隣に。さすがですね、見事に咲夜さんを誘導しました。……わからない? ヒントは、先ほどの通信です。

『……では、どうぞ?』

 咲夜さんがぽん、と太ももを叩いてパチュリー様の方を見ています。普通に座るんじゃなくて正座をしてもらわないと目的は達成できないんですが、いやはや、これはこれで素敵な光景です。せっかくだしパチュリー様の視点で見てみましょうか。水晶玉を操作してと……うん、ここから見た方がいいですね。咲夜さんがまっすぐこっちを見てるような気がしてくすぐったい気持ちになります。スカートの裾から白い太ももが覗いていて、正直、もう欲求に負けてこのまま寝転がってしまいたくなる……あう、当事者は私じゃないんでした。まあ仕方ありません。ここはぐっと堪えて、パチュリー様が任務を遂行するのを見守りましょう。


『ん……どうもありがとう』
『いえいえ、これくらいのこと』

……あれれ、素直に寝転がっちゃった……正座してもらわないといけないのを忘れてるのかな。ちょっと様子を見てこのままなようなら、連絡をしないといけませんねえ。……ああ、でも、羨ましいなあ。……おや、パチュリー様がもぞもぞと頭を動かして、何をか言いたげにしていますね。一度身体を起こして……。

『……あの』
『なんでしょう』
『私、あの、もう少し枕が高い方が眠りやすいのだけど』
『……正座の方がよろしいですか?』
『ええ、どうもありがとう』

 うわっ、その手が。頭脳プレイはいいんですけど、うわあ、咲夜さん凄い面倒そうになりましたね、一瞬。面倒がりながらも一応ちゃんとノってくれるのが咲夜さんのいいところです。さて、靴を脱いで、白い靴下が露わになりました。中々お目にかかれませんよね、咲夜さんのストッキング姿って。……というかパチュリー様うつむいちゃって、咲夜さんの方見られてませんよ。……まあ、それはともかく、とりあえず咲夜さんを正座させることには成功しました。あとは、時間が経つのをのんびり待たせていただきましょう。



 手元の時計で40分ほど経ちました。パチュリー様はずっと目を閉じて、寝たふりをしています。

 さて、皆さんにもご覧いただきましょう。先ほどとどこが違うかお分かりでしょうか。咲夜さんは鉄面皮なのでわかりにくいですけど、私の見立てでは、これはかなり追いつめられてると思います。

 まずは、そうですね、すごい猫背になりましたよね。姿勢を正す余裕がないってことです。それでね、さっきまでは手もぴしっと伸びていたんですが、今はソファーの背もたれの上のところをしっかり握ってます。我慢してる我慢してる、ふふっ、くく。何度か爪を立ててはソファーの表革に引きつった模様を作っていたんですが、今はもう確認できません。
 あと、足の親指を重ねては逆にして、みたいなのを繰り返してます。両足の親指を重ねるような姿勢っていうのは、神経の圧迫が軽減されるので痺れ対策には実は本当に効果的なんですが、痺れ始めてから思い出しても手遅れです。


 ……さて、それでは第二段階に進みましょうか。パチュリー様、やっちゃってください。

『ん……ううん』
『……っ』

 ちょっと身じろぎをしてもらいましたが……咲夜さんが息を呑んだのを私は見逃しませんでした。見逃しませんでしたよ! ははは! もはや私とパチュリー様の掌の上です!

 ……失礼。さて、正座をしてるときに、ちょっとだけ足をゆるめるとどうなるかご存知でしょうか。阻害されていた血行がちょっとだけ復活した結果、麻痺していた足の知覚神経が刺激されて……ピリピリと痺れるんです。今の咲夜さんを苛んでいるのは、猛烈な足の痺れ。表情がみるみるうちに変わってきました。

 何度も大きく息を吸ったり吐いたりして、あっ唇を噛んでます。上唇に歯を立てて、痛みで気を紛らわそうという魂胆のようです。痛そう。でもまだこそばゆさが勝ってるみたいですね。お尻をもじもじ動かしてます。どんなに意識しないようにしても、やっぱり動かさざるを得ないくらいなんでしょうね。この奮闘をずっと眺めていてもいいんですが……んーでもちょっと大きく動かしすぎかなあ。パチュリー様、もう一発お願いします。

『ん……』
『うっ……』

 そうそう、あまり暴れるとパチュリー様が目を覚ましてしまいますから。大人しくお願いしますよ、ふふ。……あっ、右手がわなないてますね。虚空を掴んだり離したりしてます。本当はもっと大きく振り回したいんでしょうけど、手を動かすと身体が揺れますからね。パチュリー様を起こさないように一応気を使ってるみたいですね。率直に言って物凄く可愛らしいです。

 痺れも取れてきたのかな、だんだん動きが落ち着いてきました。そろそろ潮時でしょうか。パチュリー様、気が済んだら解放してあげてください。







<第二のターゲット:レミリア・スカーレット>

 咲夜さんを解放しました。ちゃんと「ドッキリ大成功!」って看板と記念撮影も済ませました。ドッキリの華ですからね。パチュリー様には、今はレミリアお嬢様のお部屋まで移動してもらっております。結構距離があるんですよねー、図書館とお嬢様の部屋。もしもし、長旅お疲れさまです。パチュリー様、生きてますか。

『大丈夫よ、いくらなんでもそこまで貧弱じゃないわ』

 ああよかった。まあ、もしもパチュリー様に何かがあれば、まずはこの通信が切れてしまいますから、すぐにわかるんですがね。

『その通り。……いえ、そもそも倒れる心配をしないでもいいのよ』

 まあまあ。で、もうすぐお嬢様の部屋ですけど、結局どういう作戦で行くんですか? 「私の方がレミィとの付き合いは長いのよ、全部私に任せなさい」っておっしゃってましたけど、咲夜さんとのやり取りを見るに、かなーり心配なんですが。

『だっ……大丈夫だから、放っておきなさい』

 そうですか。そろそろ到着ちゃうし長話はできませんから、まあ、そこまで言うならお任せしましょう。私は黙って撮影に徹します。それでは。


『レミィ、いるかしら』

 パチュリー様がお嬢様の寝室の扉をノックします。この時間ならちょうどここにいるだろう、というのが我々の読みなのですが、はたして。

『……ん、パチェか。聞き覚えがあると思ったら。とりあえず入りなよ』
『ええ、ありがとう』

 はたして、お嬢様自ら出迎えてくれました。

『ああ、紅茶を出したいところなんだが、今日はなぜだか咲夜が呼んでも来なくてね。里に買い物にでも行ってるのかもしれん』
『そ、そうね』

 動揺したら負けですよ、負け。確かに我々が拘束していたからですが。

『まあいいか。今は我慢しておくれ。……で、何の用だい?』

 お嬢様が、ベッドに腰掛けて尋ねます。両手を背中の後ろについて身体を支えて、パチュリー様を見上げるような、わりとカジュアルなポーズなんですが、それでも身にまとった風格が損なわれないのって凄いことですね、

『いえ、その、あのね』
『……?』
『大した用じゃないんだけど、膝枕ってあるじゃない』
『……あるね。……もしかして、あれをしてほしいって?』
『……ええ、そうなのよ』

 お嬢様が目を丸くして問いかけました。なるほど、やっぱりお嬢様にしてもパチュリー様に膝枕をするなんて初体験なんでしょう。

『膝枕ねえ。ずいぶん久しぶりじゃあないかい、ええ?』
『……そうだったかしら』

 ……んん? どうやら初めてじゃない模様です。そんなこと、パチュリー様は一言も言っていなかったんですが。これは後で問い詰める必要がありそうですね。ふふふ。

『まあ、いいか。ほら、おいで?』

 そんなことを考えている間に、お嬢様はいそいそとベッドよじ登って正座をしてくれました。知恵を絞る必要がなくなってありがたい限りです。パチュリー様が寝転がって、これでお嬢様の包囲網が完成しました。あとは時間がたつのをのんびり待つだけ、ですね。


 お嬢様の手がパチュリー様の前髪に触れました。額にかかっていた髪を避けて、パチュリー様の方をじっと、薄く微笑んで見下ろしておられます。
 お嬢様は、うちでは妹様に次いで二番目に幼い外見の持ち主ですが、今の横顔は、不思議なことにとても大人びて見えます。まあ、ほのかに灯った明かりが顔に薄く影を作っているから、というだけなのかもしれませんが。
 ……でも、パチュリー様を見下ろす表情には、慈愛とか、親愛の気持ちとか、そういうのも浮かんでいるような気がします。お嬢様がパチュリー様に対してどんな関係で接してきたのか、というのがなんとなく透けて見えるような……羨ましいですね。
 私よりもお嬢様の方が、パチュリー様との付き合いも長いですから。癪なことに。

『……あまり見下ろされると居心地が悪いわ』

 パチュリー様、視線に耐えかねて口を開きました。

『いやあ……前にしてやったのはいつだったかな、と思ってね』

 寝たふりをしてもらっていた方が都合がいいんですが……と思いましたが、この話題なら私も興味があるので大歓迎です。それより、お嬢様がパチュリー様の髪を撫でる仕草、なんだかとても手馴れてるような気がするんですけど……。

『ほんの何十年か前までは、よく、こういうことをしてやってた気がする』
『……そうだった気もするわね。ええ』

 常習犯だったんですね。……別に犯罪じゃない? は? お嬢様の膝を占有するのは立派な犯罪行為だと思いますけど?

 ……失礼、取り乱しました。

『何がきっかけでやめちゃったんだっけねえ』
『……さあ、忘れちゃったわ』

 ん? パチュリー様、もしかしてちゃんと覚えてるんじゃないですかね。そういう、何かをごまかすような表情をしてるように見えます。パチュリー様歴の長い私の目はごまかせませんよ。

『なんだっけ。あれは、お前が初めて悪魔を召喚した晩の事じゃなかったか』

 あれ? 私のこと?

『……そうだったようにも思うわ』
『そうだ、思い出してきたぞ。あれは確かに、あの晩に起こった。お前は私の寝室まで例の小悪魔を連れてきて言ったんだ』

 うーん、よく覚えていませんねえ。召喚されたてだったからかしら。記憶があいまいです。

『「私は魔術師として、悪魔を召喚し、使役するまでになった。今後、私のそばにはこの子がついて回ることになる。この子にとっては私が主人だから、主人が他の悪魔に甘えるようなあられもない姿を簡単に見せるわけには行かない」みたいなことを、がっちがちになりながら』
『……っ……!』

 パチュリー様の顔が熟れたトマトみたいに真っ赤に……。ってことは、これ、本当の話なんですね……しかも、パチュリー様、膝枕を卒業したんじゃなくて、私に見栄を張りたいがためにやせ我慢してたってことになりますよね……。お嬢様も笑うのを我慢してるんでしょうか、肩がふるふる震えています。口元を押さえて、あれは完全に笑う体勢ですね。目もあんなにきれいな三日月形に歪んで……。駄目だ、私も笑っちゃう……あのパチュリー様が、私なんかを使役するのにそんなに気負ってた時代があったなんて……ふっ、ふふふっ……。

『こほん……いや、でもね、嬉しかったよ、それを聞いたときは』

 ひとしきり笑ったお嬢様が、しれっと追撃の用意を始めました。さすが悪魔って感じです。尊敬します。

『……も、もう十分だから私帰る……きゃっ』
『まあまあ、せっかくだからもうちょっと、昔話に付き合っておくれ』

 身体を起こそうとしたパチュリー様を、片手一本で押さえつけて。もうどっちが拘束してるんだかわかりませんねえ……。

『本当に嬉しかったんだよ。ずっと面倒を見てた子が、自力で使い魔の召喚まで成し遂げるようになったんだ』
『低級の小悪魔だけどね……っ』
『まあまあ、そういってやるなよ。あれで器量はいいし、仕事もできる。頑張ってるじゃないか』

 お嬢様の、意地悪に細められていた目が、元の穏やかなそれに戻っていきます。

『うん、それで、まあ、立派になったな、と思って、嬉しかったは嬉しかったんだけどね。やっぱり、ちょっと寂しくてね』
『……』
『だから、今夜はまた来てくれて、どんな風の吹き回しだか知らないけど、とても嬉しい。ゆっくりしていくといい』
『……ええ、どうもありがとう』

 パチュリー様もようやく落ち着いたのか、それとも観念したのかは分かりませんが、ゆっくりと穏やかに目を閉じました。ほっぺもさっきほど赤くはないですね。

 ……あの二人を見ていたら、なんだか、ドッキリだとか、どうでもよくなってきました。元の鞘に収まった、というか。なんでしょう。たまには私なんかを気にせず、親友同士で仲良くしてくれたらいいかなって。……ふふ、こんなこと言っていては悪魔らしくないってパチュリー様に叱られてしまうかもしれませんが。この録画も切っちゃいましょう。

『……ああ、そうだ、今夜は晩御飯を遅くしてくれって咲夜に頼まなきゃ』
『……っ!?!?』
『お呼びになりましたか』
『ああ、今夜は私が頼むまで食事の用意をしなくていいから』
『かしこまりました。……あら? パチュリー様、今度はお嬢様にされていたんですか。例の「膝枕ドッキリ」』
『ちょっ、咲夜っ……!!』

 咲夜さんそれ喋っちゃうんですか!? ちょっ、全然空気読みませんねあのパーフェクト駄メイド……!
 
『……ほーぉ? 久しぶりに親友が甘えてきたから素直に喜んでいたんだが? ドッキリ、と言ったかい?』
『い、いえそのこれは小悪魔があわわわ……!』
『ああ、小悪魔もグルなのか。二人してキツイお仕置きが欲しいと見える』
『あの子は司書室にいるわ!』
『そうか、咲夜、確保してここに連れてこい』
『かしこまりました』

 でパチュリー様も喋っちゃうんですね!! こっちのほうは1ミリも期待してなかったですが! ちょっとは召喚当時の責任感みたいなのをひええっドアが破られ、あっ
 きつーいお仕置きをされましたとさ。

 最近は萃香さんと紫とかばかり考えています。時代に逆行している気がします。
さとうとしお
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コメント



0.1830簡易評価
3.90絶望を司る程度の能力削除
性的な意味でだろ……なぁ、そうだと言ってくれよ!
久々にカリスマレミリアを見た気がします。かっこいいわ~
5.80名前が無い程度の能力削除
お仕置きは膝枕の刑かな?
8.60奇声を発する程度の能力削除
良かった
9.70名前が無い程度の能力削除
かわいい
13.80名前が無い程度の能力削除
お茶目さん!
16.100名前が無い程度の能力削除
良かったです
咲夜さんの感じとかああいう自然な感じなのは好きですね
17.80金細工師削除
カリスマというか母性パネェ…
21.70名前が無い程度の能力削除
Good!
22.90名前が無い程度の能力削除
パチュリーかわいい
24.70桜田ぴよこ削除
おつ。
25.80名前が無い程度の能力削除
おぜうの膝まくら!おぜうの膝まくら!
26.90名前が無い程度の能力削除
レミリアとパチュリーの仲の良さが見られて、にやにやしました。
でも、出来れば美鈴の膝枕も見たかったです(笑)
28.100非現実世界に棲む者削除
ほのぼのとした良い作品でした。
29.90万年削除
パッチェさんかわいい。
が、満点はつけられない。なぜなら、いろんな人を順に観察するのであれば、まず最初に比較対象として小悪魔さんがパッチェさんに膝枕してる状態のくわしい描写が必要ではなかろうか。てかください。
むしろこのあと、小悪魔も「膝枕させてください」的流れになって、「し、しかたがないわね。私は全然やってもらいたいとは金輪際思わないけど! あなたが是非というのなら、その、ちょっとだけよ」「はい、パチュリー様」的な展開になって、「……んっ」「あ、いま、私でなごみましたねえ~」「ば、馬鹿!んなわけないでしょ!」「でも、よだれついてますよ、私の裾に」「うそっ?!」「うそでーす」「もうおきる」「させませーん。おさえこみ~」「むぐぐ、む、、むねが…」みたいな、はたから見てる咲夜さんあたりに「そういうのは二人きりの場所でしてください」て言われるめくるめく展開が続くんでしょ?!
はよ。
36.100名前が無い程度の能力削除
レミリアに甘えるパチュリーも良いですねぇ
実年齢に限ればレミリアの方がずっと上のようですし、もっとレミリアが年上っぽく振る舞うお話が増えても良いかも
42.90名前が無い程度の能力削除
読んでてニヤニヤが止まらなかった。
48.100名前が無い程度の能力削除
なんというロリお母さん・・・
54.80ルミ海苔削除
発想の勝利。
ちょっと最後がもにょった印象でした。