PROJECT X PHANTASM EX
甘い家
☆ ☆ ☆
ここは、幻想郷の魔法の森。
昼間でも、木々に覆われて薄暗く、じめじめしています。
湿度が高く、人間にとっては不快な環境でしたが、キノコの生育には最適の場所として広く知られていました。
そんな森の中を、イガグリ頭の少年とオカッパ頭の少女が、おっかなびっくりな様子で歩いていました。
「お兄ちゃん、もう帰ろうよ~」
不安な表情を浮かべた少女は、少年の服の端をつかみ、駄々をこねました。
それに対し、少年は乱暴に振り払うと、少女に怒鳴りつけます。
「何言ってんだ! いいから、超キノコを探せよ! 赤く巨大な傘に白い斑点のキノコだぞ!!」
二人は幻想郷の人里に住む兄妹であり、名前は勝男と若芽といいます。
ワンパクで口の悪い勝男に対し、妹の若芽は大人しく優しい性格でした。
実の兄妹なのに正反対ともいえる性格の持ち主同士でしたが、若芽は筋金入りのブラコンの上に、真正のドMなので、邪険に扱われても金魚のフンのごとく勝男についてまわるのでした。
当然、今回の超キノコ狩りにも、誘いもしていないのに、勝手に付いてきたのでした。
「いいか。 鞠男さんと類次さんに超キノコを渡せば、金貨をもらえるんだぜ!」
鞠男と類次は、勝男達の家の隣に住む超キノコと花札を何よりも愛する双子の兄弟です。
また、彼らは金貨をたくさん持っており、近所の人々に超キノコと金貨を交換すると触れ回っていました。
金貨、つまり金(ゴールド)です。
金を嫌いな人間なんていません。
もちろん勝男もそうです。
そして、金貨をゲットするために、寺小屋をサボってまで森にやって来たのです。
それなのに、いつも足手まといな妹である若芽がついてきてしまい、不快指数の高さも相まって、勝男はブチ切れ寸前でした。
「でも、慧音先生が、森は危険だから入るなって言ってたじゃない。 バレたら、お仕置きされちゃうよ~」
若芽がさらに駄々をこねました。
そこで、勝男がブチ切れですよ!
「う、うるさい! 慧音先生の頭突きが怖くて、超キノコが狩れるかってんだ!!」
「うわーん! 帰ろうよーーッ!!」
若芽がさらにさらに駄々をこねました。
そこで、勝男がまたブチ切れですよ!!
「うるさいって、言ってんだろうが! もういい! テメェ一人で帰りやがれ! 森に入ってすぐに、米屋からチョロまかしてきた米を少しずつ落としてきたから、それを辿っていけば……、アレ!?」
勝男は、目を見開きました。
だって、振り返って地面を見ると、米がほとんど落ちていなかったんですもの。
そして、見知らぬ少女が地面に落ちている米粒を器用に口でついばんでいたんですもの。
「チュンチュンって、あらやだ。 私ったら、普通の雀の頃を思い出して、つい、地面に落ちてる米なんかついばんじゃった♪」
その少女の背中から鳥のような羽が生えていたので、勝男はすぐさま目の前にいる少女が妖怪だと悟り、腰を抜かしました。
若芽はというと、恐怖のあまり失禁しました。
「「で、出たァーーッ!?」」
妖怪がたくさん徘徊する幻想郷の住人である兄妹です。
親や先生等を始め、大人達から妖怪の怖さをたっぷりと教え込まれていましたから、ビビり方もパネェでした。
ところが、
「ゴチになりました~♪ さあ~♪ 帰って~♪ 八目鰻を~♪ 仕込みましょう~♪」
妖怪は、勝男と若芽にペコリと頭を下げると、綺麗な声で歌いながら飛び去ったのでした。
☆ ☆ ☆
「あのクソ妖怪め! これじゃ、帰れねぇじゃねえか!!」
妖怪が去ってから、勝男は立ち上がり、悪態をつきました。
超キノコを探しながらの上に、鬱蒼と茂る木々は方向感覚を狂わせます。
さらに、落としてきた米を過信する余り、ズンズンと、かなり森の奥まで来てしまったのです。
遭難という最悪のパターンが勝男の脳裏をよぎります。
「あ! お兄ちゃん、あそこに建物があるよ!!」
不幸中の幸いとばかりに、二人は建物に向かって駆け出しました。
勝男と若芽の目の前には、”家”が建っていました。
ところで、コレを読んでいるアナタ。
”コレのタイトル”、”魔法の森”、”兄妹”、そして”消えた道しるべ”とくれば、”お菓子の家”をご想像されたかもしれませんね。
ですが、その家は、と~っても不気味悪い大きな洋館だったのです。
しかも、屋敷全体から、みなぎる程の瘴気がほとばしっていました。
普通であれば、お近づきになりたくないお家でしょう。
しかし、森で野垂れ死ぬのを避ける為には、四の五の言っている場合じゃありません。
「マ…ミ…ヤ…?」
意を決して、屋敷の玄関へと歩み寄った勝男が、目に付いた表札を読み上げました。
「すみませーーん!!」
勝男は、大声を上げ、ドンドンと玄関のドアを叩きます。
「すみませーーん!! ……誰もいないのか? アレ、鍵がかかってないや」
「お兄ちゃん、怖いよ~」
「いいから、来い! 食べ物や使えるモノを探すんだよ!」
勝男は玄関のドアを開け、嫌がる妹の手を引き、家の中へ不法侵入しました。
家の中は、薄暗く、家具には埃が積っており、カビ臭さが鼻につきます。
「お、お兄ちゃん、誰かいるよ!」
若芽が指差す先には、大人の後ろ姿。
「私の赤ちゃんを返せ……」
大人は、壁に直接描かれた大きな絵に向かって、ブツブツと呟いていました。
「(チッ! いるんなら返事くらいしろよな! しっかし、不気味悪そうヤツだなぁ……) あ、あのぉ~、すみません。 僕達、迷ってしまいまして、森の抜け方を教えてもらえませんか?」
すると、大人が振り向きました。
その顔を見て、勝男と若芽のそれぞれの口から同時に飛び出すのは、特大の悲鳴。
「「ギャーーーーッ!?」」
彼らの悲鳴のボリュームは、先程の鳥の妖怪と遭遇した際に出した悲鳴とは比べ物にならない程大きいものでした。
だって、妖怪とはいえ、容姿に可愛らしさもあった鳥の妖怪に対し、振り向いた大人の顔が、すんごいモノだったのですから。
片目が無く、酷く醜く焼けただれた顔。
残された片目が、ギロリと勝男と若芽を睨みつけます。
「ギギ……、ギギギ………。 殺してやる!! みんな……、死んでしまえ!! グガァーーッ!!」
醜悪な顔の持ち主は、”憎悪”で顔をさらに歪ませ、恐ろしい咆哮を上げながら、驚きすくみあがっている勝男と若芽に襲いかかりました。
勝男と若芽の運命は!?
醜悪な顔の持ち主の正体は!?
後編 に続く!!
☆ ☆ ☆
『甘い家 後編』に登場予定のキャラ紹介
「この程度のホコリ、私の箒でサッサ……、っと!」
普通の魔法使い兼ドロボウ、もとい、
(自称)トレジャーハンター、霧雨魔理沙!
「あややや!?
フレスコ壁画の写真を撮ったら、
絵に文字が浮かび上がってきましたよ!!」
他人の不幸は蜜のネタ。
カラス天狗のKYブン屋、射命丸文!
「ドアを蹴破れですって?
やれやれ……、これだから野蛮人は困るのよね~。(笑)」
香霖堂から強奪してきたのは、
なんでも開けちゃうスゴイ鍵。
”最後のカギ”を所持する、ロリ☆ババア吸血鬼、
レミリア・スカーレット!
「この程度の封印されたヒモなんて、
燃やせばいいんだよ!」
最近、寺小屋の教師、上白沢慧音の尻に敷かれ気味?
心優しき放火魔、藤原妹紅!
「クスリ~! ヤク~! ドラッグ~!
ヤゴコロ印の薬は、いかがですか~?
と~っても、イイ感じにキメられますよ~♪」
薬を売る怪しい口上が、さらに不審者レベルを引き上げる。
薬箱を背負った妖怪兎、鈴仙・優曇華院・イナバ!
甘い家
☆ ☆ ☆
ここは、幻想郷の魔法の森。
昼間でも、木々に覆われて薄暗く、じめじめしています。
湿度が高く、人間にとっては不快な環境でしたが、キノコの生育には最適の場所として広く知られていました。
そんな森の中を、イガグリ頭の少年とオカッパ頭の少女が、おっかなびっくりな様子で歩いていました。
「お兄ちゃん、もう帰ろうよ~」
不安な表情を浮かべた少女は、少年の服の端をつかみ、駄々をこねました。
それに対し、少年は乱暴に振り払うと、少女に怒鳴りつけます。
「何言ってんだ! いいから、超キノコを探せよ! 赤く巨大な傘に白い斑点のキノコだぞ!!」
二人は幻想郷の人里に住む兄妹であり、名前は勝男と若芽といいます。
ワンパクで口の悪い勝男に対し、妹の若芽は大人しく優しい性格でした。
実の兄妹なのに正反対ともいえる性格の持ち主同士でしたが、若芽は筋金入りのブラコンの上に、真正のドMなので、邪険に扱われても金魚のフンのごとく勝男についてまわるのでした。
当然、今回の超キノコ狩りにも、誘いもしていないのに、勝手に付いてきたのでした。
「いいか。 鞠男さんと類次さんに超キノコを渡せば、金貨をもらえるんだぜ!」
鞠男と類次は、勝男達の家の隣に住む超キノコと花札を何よりも愛する双子の兄弟です。
また、彼らは金貨をたくさん持っており、近所の人々に超キノコと金貨を交換すると触れ回っていました。
金貨、つまり金(ゴールド)です。
金を嫌いな人間なんていません。
もちろん勝男もそうです。
そして、金貨をゲットするために、寺小屋をサボってまで森にやって来たのです。
それなのに、いつも足手まといな妹である若芽がついてきてしまい、不快指数の高さも相まって、勝男はブチ切れ寸前でした。
「でも、慧音先生が、森は危険だから入るなって言ってたじゃない。 バレたら、お仕置きされちゃうよ~」
若芽がさらに駄々をこねました。
そこで、勝男がブチ切れですよ!
「う、うるさい! 慧音先生の頭突きが怖くて、超キノコが狩れるかってんだ!!」
「うわーん! 帰ろうよーーッ!!」
若芽がさらにさらに駄々をこねました。
そこで、勝男がまたブチ切れですよ!!
「うるさいって、言ってんだろうが! もういい! テメェ一人で帰りやがれ! 森に入ってすぐに、米屋からチョロまかしてきた米を少しずつ落としてきたから、それを辿っていけば……、アレ!?」
勝男は、目を見開きました。
だって、振り返って地面を見ると、米がほとんど落ちていなかったんですもの。
そして、見知らぬ少女が地面に落ちている米粒を器用に口でついばんでいたんですもの。
「チュンチュンって、あらやだ。 私ったら、普通の雀の頃を思い出して、つい、地面に落ちてる米なんかついばんじゃった♪」
その少女の背中から鳥のような羽が生えていたので、勝男はすぐさま目の前にいる少女が妖怪だと悟り、腰を抜かしました。
若芽はというと、恐怖のあまり失禁しました。
「「で、出たァーーッ!?」」
妖怪がたくさん徘徊する幻想郷の住人である兄妹です。
親や先生等を始め、大人達から妖怪の怖さをたっぷりと教え込まれていましたから、ビビり方もパネェでした。
ところが、
「ゴチになりました~♪ さあ~♪ 帰って~♪ 八目鰻を~♪ 仕込みましょう~♪」
妖怪は、勝男と若芽にペコリと頭を下げると、綺麗な声で歌いながら飛び去ったのでした。
☆ ☆ ☆
「あのクソ妖怪め! これじゃ、帰れねぇじゃねえか!!」
妖怪が去ってから、勝男は立ち上がり、悪態をつきました。
超キノコを探しながらの上に、鬱蒼と茂る木々は方向感覚を狂わせます。
さらに、落としてきた米を過信する余り、ズンズンと、かなり森の奥まで来てしまったのです。
遭難という最悪のパターンが勝男の脳裏をよぎります。
「あ! お兄ちゃん、あそこに建物があるよ!!」
不幸中の幸いとばかりに、二人は建物に向かって駆け出しました。
勝男と若芽の目の前には、”家”が建っていました。
ところで、コレを読んでいるアナタ。
”コレのタイトル”、”魔法の森”、”兄妹”、そして”消えた道しるべ”とくれば、”お菓子の家”をご想像されたかもしれませんね。
ですが、その家は、と~っても不気味悪い大きな洋館だったのです。
しかも、屋敷全体から、みなぎる程の瘴気がほとばしっていました。
普通であれば、お近づきになりたくないお家でしょう。
しかし、森で野垂れ死ぬのを避ける為には、四の五の言っている場合じゃありません。
「マ…ミ…ヤ…?」
意を決して、屋敷の玄関へと歩み寄った勝男が、目に付いた表札を読み上げました。
「すみませーーん!!」
勝男は、大声を上げ、ドンドンと玄関のドアを叩きます。
「すみませーーん!! ……誰もいないのか? アレ、鍵がかかってないや」
「お兄ちゃん、怖いよ~」
「いいから、来い! 食べ物や使えるモノを探すんだよ!」
勝男は玄関のドアを開け、嫌がる妹の手を引き、家の中へ不法侵入しました。
家の中は、薄暗く、家具には埃が積っており、カビ臭さが鼻につきます。
「お、お兄ちゃん、誰かいるよ!」
若芽が指差す先には、大人の後ろ姿。
「私の赤ちゃんを返せ……」
大人は、壁に直接描かれた大きな絵に向かって、ブツブツと呟いていました。
「(チッ! いるんなら返事くらいしろよな! しっかし、不気味悪そうヤツだなぁ……) あ、あのぉ~、すみません。 僕達、迷ってしまいまして、森の抜け方を教えてもらえませんか?」
すると、大人が振り向きました。
その顔を見て、勝男と若芽のそれぞれの口から同時に飛び出すのは、特大の悲鳴。
「「ギャーーーーッ!?」」
彼らの悲鳴のボリュームは、先程の鳥の妖怪と遭遇した際に出した悲鳴とは比べ物にならない程大きいものでした。
だって、妖怪とはいえ、容姿に可愛らしさもあった鳥の妖怪に対し、振り向いた大人の顔が、すんごいモノだったのですから。
片目が無く、酷く醜く焼けただれた顔。
残された片目が、ギロリと勝男と若芽を睨みつけます。
「ギギ……、ギギギ………。 殺してやる!! みんな……、死んでしまえ!! グガァーーッ!!」
醜悪な顔の持ち主は、”憎悪”で顔をさらに歪ませ、恐ろしい咆哮を上げながら、驚きすくみあがっている勝男と若芽に襲いかかりました。
勝男と若芽の運命は!?
醜悪な顔の持ち主の正体は!?
後編 に続く!!
☆ ☆ ☆
『甘い家 後編』に登場予定のキャラ紹介
「この程度のホコリ、私の箒でサッサ……、っと!」
普通の魔法使い兼ドロボウ、もとい、
(自称)トレジャーハンター、霧雨魔理沙!
「あややや!?
フレスコ壁画の写真を撮ったら、
絵に文字が浮かび上がってきましたよ!!」
他人の不幸は蜜のネタ。
カラス天狗のKYブン屋、射命丸文!
「ドアを蹴破れですって?
やれやれ……、これだから野蛮人は困るのよね~。(笑)」
香霖堂から強奪してきたのは、
なんでも開けちゃうスゴイ鍵。
”最後のカギ”を所持する、ロリ☆ババア吸血鬼、
レミリア・スカーレット!
「この程度の封印されたヒモなんて、
燃やせばいいんだよ!」
最近、寺小屋の教師、上白沢慧音の尻に敷かれ気味?
心優しき放火魔、藤原妹紅!
「クスリ~! ヤク~! ドラッグ~!
ヤゴコロ印の薬は、いかがですか~?
と~っても、イイ感じにキメられますよ~♪」
薬を売る怪しい口上が、さらに不審者レベルを引き上げる。
薬箱を背負った妖怪兎、鈴仙・優曇華院・イナバ!
あと、子供を悪意をもって解釈する文も見ていて心地よいものじゃないですね
それに殆ど東方関係ないし
あえて後日談的にしか登場させないコンセプトだとしてもまあなんというか数え役満というか
それなら他をもうちょっと丁寧な作りにしてバランスをとるとか
全体をカオスにしてついでにコンセプトを通すにしてもお粗末なら逆に意図がみえてしまいなんだか鼻につくと思いますし
カオスを目指して唯のお粗末になっているという気がしないでもないです
文全体をやわらかく幼稚にして行間をあけたら雰囲気変わってましになるかも
何にしろ色々とよく分からない上に短いから、つまりよく分からない