Coolier - 新生・東方創想話

隙間無

2014/02/23 23:55:13
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※落語、寿限無の改作です。


 えぇ、このページを開いていただき、ありがたく存じます。どうぞ一席お付き合いください。

 幻想郷といえば、まぁ、いろいろ浮かぶところがございます。
 昔の良き日本の情景があり、吸血鬼やら幽霊やら月人やら神様やら、もうこの先はすぐには思いだせないのですが、そんな魑魅魍魎たちが人間と共に暮らしているわけであります。
 と、なればその中で恋愛感情も芽生えるわけでありまして。掛け算を行ってその結果起こる反応を表現するのが、私たちの仕事の一部でもあったりするわけです。
 霊夢×紫、魔理沙×アリスなど有名な組み合わせもありますが、私としては、霊夢×パチュリーを押して行きたい。
 しかし、どういうわけか流行らず、日々皆様が萌える情景を考えるのに苦労する日々です。
 そんな、百合噺もあるのですが、もう一つ幻想郷を幻想郷たらしめている要素として弾幕というものがあります。
 戦う美少女。いい響きであります。
 その中で、スペルカードを使うわけですが、あれ、冷静になって見たことがございますでしょうか?
 よくよく見てみると、なかなか惨いことが行われているわけです。
 たとえば、ガンキャノンの神の粥とかを見てください。
 詐欺判定に泣かされて、クリアを阻止された方も多いと思いますが、あれ、冷静に見ると霊夢と反対側にも弾を撃ってるわけですよ。
 そんな方向に撃たれた弾の気持ちを考えると、なかなか辛いものがあるわけです。
「お前はいいよなぁ。霊夢たんに向けて飛んで行けるわけだから」
「そっちなんかまだいい方やん。画面斜め下なら、まだ当たる可能性があるわけやし。ワイなんか、画面真上や」
 とか、神の粥の発射前にはこんな会話を、後に米粒弾になるポイフル弾たちがしてるわけです。
 一方で、その次の御射山御狩神事で真っ先に飛んでいくナイフ弾は、
「わっちは霊夢に向かって一直線じゃ!」
 などと意気込んでいるんです。
 ま、現実的に考えると、その周辺にある白い中弾の方に被弾する可能性の方が高いわけですが。
 はぁ……。なんといいますか。
 合コンのときに賑やかに話していた男よりも、その隣にいたイケメンの無口な男がなぜかお持ち帰りするのと同じ原理みたいなものでございます。
 いくら幻想郷とはいえ、世知辛いところは、世知辛いのです。

 まぁ、そんな惨いところはあるスペルカードですが、幻想郷の少女たちは日々、弾幕に勝つためにスペルカードを考えているわけです。
 少しでも避けにくくするために、判定を欺いたり、レーザーがなぜかへにょったり。
 ……………………。
 本っっっ当に勘弁してもらいたい。
 そんなこんなで、完成したスペルカードには、今度は名前をつけなくてはなりません。
 せっかくの我々プレーヤーを苦しめるためのスペルカード。
 大切なスペルカードには、とっておきの名前をつけてあげたいというものでして。

「霊夢!」
「なによ。また来たの?」
「また来たの。じゃなくて! あたい、新しいスペルカード考えたから、名前つけて!」
「どうせ、また正面が安置なスペルカードでしょ? 自分で考えなさいよ」
「違うもん。本当にすごいスペルカードなんだから!」
「そう言われてもねぇ。いい名前なんて浮かばないわよ。だいたいどんな名前がいいのよ?」
「強そうな名前!」
「強そうな名前ねぇ。わたしもたくさんスペル見てきたけどなぁ。いろいろあったけど、やっぱり弾の間隔が狭いのが嫌なのよねぇ。だから『隙間無』なんてどう?」
「『すきまなし?』それ、強そう! 間ぜんぜんなさそうだし。でもあたい、カタカナの名前がいい! パーフェクトフリーズみたいな」
「カタカナなんて、わたしよりも、魔理沙とかに聞いた方がたくさんありそうだけど」
「いいの! 霊夢が見た、強かったスペルとかでないの?」
「無いわけじゃないけど。パチュリーのプリンセスウンディネとか」
「どんなスペル?」
「ただの水の弾幕よ。でも、いろいろ酷くてね。レーザーの隙間に小弾が挟まって詰んだり、見た目そのまんまの中弾に当たったり。本当にノーマルかと思ったわ」
「のーまる?」
「ううん。なんでもない。こっちの話」
「他には?」
「うーん。あとは殺人ドールあたりかな。純粋に弾が多いし。ナイフの柄にも判定があるって酷い話よ」
「プリンセスウンディネとか、殺人ドールって、どういう意味なの?」
「そんなの、わたしに聞かれてもわからないわよ。パチュリーのは、水の精霊とかじゃなかったかしら」
「あとは?」
「そうねぇ。妖夢の獄神剣、人神剣、天神剣っていうのがあったわ」
「強そうだけど、よくわかんない……」
「どれも、十界とか、六道から取ってるから強いわよ? なんか、やたら遅くなるんだけど、その時が思ったよりも遅いのよねぇ」
「ごくしんけん、じんしんけん、てんしんけん……」
「あんたのスペル、剣つかうの?」
「使わない!」
「じゃあ、だめじゃない。剣なんて」
「いいの! 最強のスペルなんだから! 他には?」
「妖夢と一緒にいた幽々子の亡我郷に反魂蝶ね」
「なんか、頭痛くなって来た……」
「あんたが聞いてくるから、答えてるんじゃない! あとは、天文密葬法と、永夜返しも嫌だったし、それから……」
「待って、待って! また漢字ばっかりになってる」
「ここは日本なんだから。 Here is Japan. 漢字が多くて当たり前よ。亡我郷は正面で打ち込めないし、天文密葬法はやたら永琳が硬いし……」
「カタカナのスペルは? なんか、漢字もいい気がしてきたけど」
「なんか、嫌なスペルばっか思い出してるから、あんまりいい気分しないわねぇ。カタカナだと、神奈子のデバイニングクロップとかかなぁ」
「どんなの?」
「ただの詐欺判定よ。詐欺」
「さぎ?」
「あぁ、本当に思い出したくないわ! 何回あれで抱えオチしたか、思い出せないわ。行ける気がするから。それと、空のペタフレアは見たままだし、後ろに青の小弾があるし、水蜜のファントムシップハーバーも……、あ、あれは魔理沙の方が嫌がってたわ」
「魔理沙が嫌だったの?」
「アンカーじゃなくて、青弾に、オプションが被って見にくいって言ってたわ」
「他には?」
「それくらいにしておいたら? もう最初の方覚えてないでしょ?」
「いいの! あたい、最強だから!」
「目新しかったのは、ガゴウジトルネードね。あんな形の弾幕は初めてみたわ。逆に直球だったのは、グセフラッシュ。咲夜みたいだったけど」
「もう、カタカナも覚えられなくなってきた……。あとは?」
「この前行ったばっかりだけど、正邪の鏡の国の弾幕は驚いたはね。最初はボロボロにされたわよ。あと、針妙丸の進撃の巨……じゃなかった。進撃の小人もやっかいだったわねぇ」
「もういっぱいありすぎるから、紙に書いてよ。帰って、大ちゃんと相談して決めるから」
「仕方ないわねぇ。一応漢字には、振り仮名もつけておいたから。こんど、ちゃんと掃除でも手伝いなさいよ?」
「うん!じゃあ、大ちゃんと決めてくるね」

「大ちゃーん! 霊夢からもらってきたよ?」
「もらってきたって、げんこつ?」
「げんこつじゃない! あたいの必殺のスペルカードの名前だよ! こんなにいっぱいもらったんだよ!」
「たくさんあるのねぇ。えっと、隙間無に、殺人ドールに、デバイニングクロップに、進撃の小人に……。チルノちゃん、こんなにあって、どれにするの?」
「えっと、隙間無もいいし、永夜返しもいいし、ガゴウジトルネードもいいし。どうしょう?」
「じゃあ、もうちょっと長いけど、全部つけちゃえば? 『-長符ー』にして」
「あ、それいいかも」
 二人とも所詮は妖精だったので、本当に霊夢に教わった名前を全部つけてしまいます。
 ですが、スペルカードの名前が本当によかったのか、それなりにこのスペルカードは猛威を振るいました。
 命蓮寺の尼僧、聖白蓮には。
「いくよ! あたいのとっておき! 『ー長符ー 隙間無隙間無 プリンセスウンディネ 殺人ドールの 獄神剣人神剣天神剣 亡我郷に反魂蝶 天文密葬法の永夜返し デバイニングクロップデバイニングクロップ デバイニングクロップのペタフレア ペタフレアのファントムシップハーバー ファントムシップハーバーのガコウジトルネードのグセフラッシュの鏡の国の弾幕の進撃の小人!』」
「なんですって!? 『ー長符ー 隙間無隙間無 プリンセスウンディネ 殺人ドールの 獄神剣人神剣天神剣 亡我郷に反魂蝶…… 天文密葬法の永夜返し…… デバイニングクロップデバイニングクロップ………… デバイニングクロップのペタフレア………… ペタフレアのファントムシップハーバー……………… ファントムシップハーバーのガコウジトルネードのグセフラッシュの鏡の国の弾幕の進撃の小人………………』ですって……? なんだか高貴な経典を読んでるような気分に? おや? 目の前に光る氷が……。ああ法の世界に光が満ちる!」

 ピチューン

 などと、血迷った尼僧を被弾させることもありました。

 最強と言われるスキマ妖怪に対しても。
「うわぁ! またいきなり後ろから出てきた!」
「ふふふ。所詮妖精なんてその程度かしら?」
「この! えい! 『ー長符ー 隙間無隙間無 プリンセスウンディネ 殺人ドールの 獄神剣人神剣天神剣 亡我郷に反魂蝶 天文密葬法の永夜返し デバイニングクロップデバイニングクロップ デバイニングクロップのペタフレア ペタフレアのファントムシップハーバー ファントムシップハーバーのガコウジトルネードのグセフラッシュの鏡の国の弾幕の進撃の小人!』」
「なんか、やたら長いスペルカードねぇ。でも、所詮は妖精の弾。こんなの隙間で。え! 隙間が無い! まさか!? 隙間無だから!? 」
 キャーキャーとした、年齢にそぐわない悲鳴を紫にあげさせたりしました。

 でも、さすがに書く度にコピーアンドペーストしなければならないこのスペルは長すぎでありまして。
「これで追い詰めたわよ! さぁ、あたいに従いなさい!」
「やっ、やるわね。でも、まだこっちにだって。スター、ルナ、行くわよ!」
「任せて!」
「ここまで出すことになるなんて」
「「「スリーフェアリーズ!!!」」」
「どう、これがわたしたちのとっておきよ!」
「サニー、甘いよ! そのスペルを破ればあたいの勝ち! それに、あたいにはまだとっておきがあるんだから。『ー長符ー 隙間無隙間無 プリンセスウンディネ 殺人ドールの 獄神剣人神剣天神剣 亡我郷に反魂蝶 天文密葬法の永夜返し デバイニングクロップデバイニングクロップ デバイニングクロップのペタフレア ペタフレアのファントムシップハーバー ファントムシップハーバーのガコウジトルネードのグセフラッシュの鏡の国の弾幕の進撃の小人!』」

「ねぇ、チルノ……。スペル宣言してる間に時間切れだよ?」
前から書きたいと思っていた小噺。
なんだか東方について論文書いてるような気分でした。

ここまで読んでいただきありあがとうございました。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。

※神奈子様の誤字、訂正しました。ご指摘ありがとうございます。諏訪大社まで行かなくては……。
琴森ありす
http://yaplog.jp/vitalsign/
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コメント



0.460簡易評価
1.100名前が無い程度の能力削除
語呂が合ってる!ネタにもなってる。よ~く考えられていることがわかります。
2.90奇声を発する程度の能力削除
面白いですね
3.90名前が無い程度の能力削除
語呂の良さがスゲェ…
7.100非現実世界に棲む者削除
確かに神の粥には頭を抱えた。
東方やり始めたころに見たものだからマジ!!って思った。
取得した回数など数えるほどしかない...
9.70名前が無い程度の能力削除
隙間無?レギュレーション違反は重罪ですな。

>加奈子
神奈子様の名を間違えるとは信仰が足りませんな。
14.100名前が無い程度の能力削除
上手いなぁ…
入りの小咄からして良い感じでした
元の寿限無と東方の混ざり具合も素晴らしかったです!
17.80名前が無い程度の能力削除
隙間が無いだって? そんな弾幕が許されるっていうのか……?
あ、でも文花帖の弾幕って大体そんなもんだしアリかw
あと地味にちゃんとスペル名言い切ってるチルノすげえ。お前がナンバーワンだ!w
18.90名前が無い程度の能力削除
チルノは滑舌良いなあ。
20.100名前が無い程度の能力削除
笑わせてもらいましたww