Coolier - 新生・東方創想話

もしもの話

2013/11/29 21:16:31
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「もしも私が不老不死になるって言ったら、どうする?」
「別に止めはしないわ」
「たまに思ったりしないか? 永遠に生きて、ありとあらゆる事を知りたいとかさ」
「魅魔なんか長生きした果てに、すっかり忘れっぽくなってたわよ」
「いや、あの方は悪霊だから別口だろ」
「同じ事でしょ。ま、適度に長生きして、ぽっくり逝くのがいいんじゃないの」


「もしもこのお屋敷に仕えてなかったら、とか考えた事あります?」
「ないわね。貴方はあるの?」
「門の前に立ちながら、たまに考えたりはしますよ」
「それで、どういう風になってるのかしら」
「そうですね、修行を兼ねて世界を転々として、いずれは幻想郷に流れ着いて、ここに辿り着いて、門番になっていそうです」
「結果は変わらないのね」


「もしも私はお暇を頂きたいと申し上げましたら、お引き留めになられますか?」
「やあねえ、引き留めるわけないじゃない」
「そんなにいい笑顔で仰られると、忸怩たるものがありますね」
「そういう意味ではないわよ。可愛い子には旅をさせろって言うじゃない? それに貴方のお祖父様の時も、私は引き留めなかったわ」
「ちなみに、祖父はどの様に出ていったのか、伺って宜しいでしょうか」
「そうねえ。刀の先に徳利をぶらさげて『それでは、おさらば』なんて、からりと笑って出ていったわ」


「もしもあんただけ外に帰れるって言ったら、どうする?」
「何ですか突然。ひょっとしてお供え物、古かったですか」
「食中たりになる神がいるか。ほら、お前はまだ若いからさ。その、恋愛とか、友達とか、色々やりたい事があったんじゃないかと思って」
「帰らないでしょうね、きっと」
「気を使って言ってるなら、止めとくれよ」
「未練がないって言ったら嘘になりますけど、それでも私はお二人のお側に居たいですから。それにこう見えて私、結構青春してるつもりなんですよ」


「もしも私が禁酒に成功したらどうする?」
「一杯奢ってやるよ」
「何だいそりゃ、それじゃ意味ないじゃないか」
「どうせ禁酒なんぞする気はないんだろう。それにこのやり取りはこれで七十二回目だよ」
「流石にそいつは大袈裟過ぎやしないか」
「いやいや、覚えてるよ。記念すべき第一回は大江山での負け戦の後だった」


「もしも喘息じゃなかったら、貴方は元気に外を飛び回っていたのかしらね」
「多分それでもここで本を読んでいると思うわ」
「他にやりたい事とかないの? 澄んだ夜空を見に散歩するのも結構いいものよ?」
「そう。でもきっと、ここで本を読んでいると思うわ」
「その口振りだと、世界滅亡の日もここで本を読んでいそうね」
「そうするでしょうね」


「もしも私が見えるようになったら、お姉ちゃんはどうする?」
「そうね、まず手始めに、私が持っている中で一番いい服を着せてあげて、貴方の顔が一番綺麗に見えるお化粧をしてあげる」
「うんうん。それでそれで?」
「それでその後、貴方の手を引いて地底から地上まで、二人でお出掛けするわ」
「何か恥ずかしいね、それ」
「私の自慢の妹を、みんなに見せびらかしたいのよ」


「もしも死ねるようになったとしたら、貴方は死ぬ?」
「それはどうでしょうね」
「あら、意外ね。充分長生きしているし、この身体の苦痛から解放されたがっていると思ったのだけれど」
「状況によりますよ」
「どういう事?」
「姫様を残して死ぬ訳にはいきませんからね」


「もしも私が死んだとしたら、お前もいつか、私の事を忘れるのだろうか」
「それはないよ」
「言い切れるか?」
「言い切れる。私はこう見えて、結構物覚えがいいからね」
「歴史は常に忘れ去られていくものだが、お前の中では違う物らしいな」
「歴史は常に語り継がれていくものだよ。見てきた私が言うんだから、間違いないさ」


「もしもサボらず仕事したら、給料あげてくれます?」
「何を馬鹿な事を言っているのですか。真面目に仕事をするのが当然の事なのです」
「冗談で言ってるんですから、そんな顔しないでくださいよ。おっかないなあ、もう」
「面白くもない冗談を言っている暇があるのでしたら、早く持ち場に戻りなさい」
「解りましたよ。ところで、先日の決済書類がガタガタに字が歪んでる上に、涎で張り付いているんですけど」
「……たまには飲みに行きませんか?勿論、私が奢ります」


「もしも異変の時の大きさに戻れたらどうする?」
「そうね、まずはご飯を食べるわ」
「他にやるべき事があるだろう」
「そう? 前みたいに貴方と一緒に卓を囲んでご飯を食べるの。きっと楽しいわよ」
「私と一緒に食事をしてどうするんだ。騙されても懲りない奴なのか、姫は」
「そうね。だからその後、貴方の下克上にもう一回付き合ってあげる」


「もしも幻想郷をお作りになっていなかったら、という事を考えた事はおありでしょうか」
「あるわけないでしょう」
「一度もございませんか?」
「ないわね、ただの一度も」
「その様なものでしょうか。私から見ると、随分と不自由なお暮らしをなされているように感じられまして」
「縛り付けられようと、多少くたびれようと、母親というものはそういう事を考えないものよ」


「もしも私が一人ぼっちだったら、どうなっていたのかしら」
「シャンハーイ」
「そうね、そうよね。そんな事ないわよね」
「シャンハーイ」
「有り難う。私達の友情は一生物ね」
「シャンハーイ」
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コメント



0.2050簡易評価
3.80名前が無い程度の能力削除
酷いオチを見た。これは酷い。
これだけ大勢出しておきながら、セリフだけで全キャラクターわかるのが魅力的です。
5.無評価名前が無い程度の能力削除
アリス・・・!
6.90名前が無い程度の能力削除
最後のやり取りで涙が・・(ホロリ
8.80絶望を司る程度の能力削除
最後に泣いた。そして少名ちゃんがかっこよかった。
9.10名前が無い程度の能力削除
キャラがセリフだけで分かるだけにオチが酷い。
それまでは味があったが最後で一気に白けるね
13.40奇声を発する程度の能力削除
オチが…
14.70名前が無い程度の能力削除
もしも東方に出会っていなかったら、と読者に問いかけるオチかと思ったらそんなことはなかったぜ
面白い作品でした。
16.90名前が無い程度の能力削除
アリスは後書きに持っていくと良かったかも。
古明地姉妹かわいい!
18.90名前が無い程度の能力削除
全員が全員わかるだけに、最後がっ…!
22.60非現実世界に棲む者削除
最後の最後でアリスのこれはちょっと...
なんかむなしい。
あと白蓮と神子が出ないのは何故だ。
24.80名前が無い程度の能力削除
これはむしろ、上海が自律化した後の真の友情不滅ハッピーエンドなのでは……!
あとすくなちゃんイケメン過ぎてマジ鬼殺しの英雄の子孫。
26.80名前が無い程度の能力削除
最後のアリスに笑ったw
28.60名前が無い程度の能力削除
うーん、なんか最後がなあ……。
そこまではよかったと思います
29.90名前が無い程度の能力削除
落ちが不評だろうなとは思いましたが
私はこれはこれで懐かしくていい気がしました
31.100道楽削除
オチに対しては批判があると思うけど、この発想は自分には全然なかった。
二次創作というジャンルの強みをすごくよく活かしていて、勉強になった。
唸らされました。
32.80名前が無い程度の能力削除
面白かったです。落ちは良い悪いではなく、こうでなければ落ちていないのでは
切れ味鋭く終わっていて好きです
33.90名前が無い程度の能力削除
最後はまあ、あれでしたが、面白かったです
映姫様大好きです
37.20名前が無い程度の能力削除
ネタはいいね。
ただ特定のキャラを貶めて話を作ってる感が否めないな。
まあそれまでの作品なんだろうけど
43.90名前が無い程度の能力削除
こう考えるんだ、アリスは既に自律人形の製作に成功していたと…!
46.80名前が無い程度の能力削除
アリスがオチを持って行ったw
まあいや、ぼっち気にするなら誰も来ない魔法の森に住むなよと。
49.80名前が無い程度の能力削除
この台詞だけだったら読者の解釈次第で、ぼっちエンドじゃなくできると思うよ
単に自分自身に言い聞かせるような冗談とかねw
50.100名前が無い程度の能力削除
蓬莱「……」
52.100名前が無い程度の能力削除
oi おい 最後の落ち!
会話のみで誰が誰だか分かってすごいなーと思っていたらやられましたw
53.50月柳削除
オチ関係なしにこれで。
54.80名前が無い程度の能力削除
こういうやり取り、好きです。