宇佐見蓮子はお菓子売り場で難しい顔をしていた。
「ポッキーゲームって片方がチョコのついてない部分から食べ始めるから不公平だと思わない?」
マエリベリー・ハーンは蓮子の隣で玩具付きのお菓子を眺めていた。
「そうねぇ、確かに不公平かもしれないわ。だったら他のものでやればいいんじゃない?」
「と、言うわけでポッキーゲームのポッキーに変わるものを探すのが今日の活動になります」
蓮子とメリーはスーパーで様々な食材を買ってきた。流石にいつもの活動拠点であるカフェでポッキーゲームをするわけにも行かず、台所もあるメリーの家で行う事になった。蓮子の家にも台所はあったが、それは昔の話である。
「じゃあ、最初はこれね」
蓮子が取り出したのはセロリである。居酒屋にある野菜スティックでポッキー(仮)ゲームをしようというのだ。
「蓮子、本当にこれでやるの?」
「なに? メリーは怖気づいちゃったの? それともセロリが嫌いなの?」
「どちらかと言うと後者ね。独特の香りが苦手だわ」
「あらあら、メリーさんはセロリの素晴らしさを知らないようね。セロリには精神安定や便秘解消にいいのよ。これだけでもメリーにピッタリだっていうのに、もっと凄い効果があるのよ」
蓮子は自慢気に話している。決して蓮子の実績ではないのだが、自慢気である。
「ふぅーん。で、そのすごい効果っていうのは?」
蓮子は『よくぞ聞いてくれました』という感じで目を輝かせながら話し始めた。
「なんと、それは! 食べるだけで痩せるのよ! セロリを食べて得られるカロリーよりも消化するカロリーの方が多いってわけ。それによってセロリをお腹いっぱい食べ続けると緩やかに死ねるらしいわ!」
メリーは『食べるだけで痩せるってただの毒じゃないのか』と思ったが熱く語る蓮子に水を差すのは気が引けたので胸の中にしまっておくことにした。
「じゃあ、やりましょうか」
セロリスティックの方端を咥える蓮子。それをみたメリーは変なエロさにドキドキしていたが、あることに気がついてしまった。
「ねぇ、蓮子。これ、セロリの味しかしないわよね?」
「何か問題でも?」
そうしてメリーもセロリスティックの方端を咥え、ポッキー(仮)ゲームが始まった。
「うーん、悪くないわね。何よりも食べた後に爽やかなキスが出来るのがいいわ」
蓮子は満足そうだった。しかし、メリーの方はセロリの味しかせず、更に苦手な香りだったため、不満そうであった。
「よく蓮子は味を付けないで食べられるわね。私には辛いわ」
「だって、味をつけるとカロリーが高くなってダイエット効果得られないでしょ?」
蓮子はセロリダイエット実践済みだった。一週間続けたが、他のものを食べたい衝動に負けて今の体重に至っている。
「まぁ、でも、両方とも気持よくキスできないとポッキーゲームとは言えないわね。ということで、セロリは却下ね。ついでに人参もダメね。私が苦手だわ。」
「ということは、残る野菜スティックはきゅうりだけど…」
メリーは買ってきたきゅうりに目を向ける。
「きゅうりスティックを何も付けずに食べるなんて、河童みたいね」
「蓮子、やっぱり野菜スティックでポッキーゲームはやめない? 不毛だし、第一に野菜スティックはソースを付けて食べるものであって、そのまま何も付けずに食べるものじゃないわ」
次に取り出したのはうまい棒である。うまい棒といえば味のバリエーションが多く、お手頃価格が売りのお菓子である。
「蓮子、これを咥えるのはちょっと太すぎて辛いわよ」
メリーがめんたい味を食べながら言う。
「ふふふ、そういう時のためにこれがあるんですよ!!おかしなうまい棒スティックパーティー!!」
蓮子が懐から取り出したのは何やら前時代的というか、ちゃっちいというか、謎の装置である。
「これにうまい棒を入れるとねー」
蓮子は楽しそうに装置の解説を始める。
「なんとスティック状に8分割されるんです!」
やはり蓮子は自慢気であったが、別に蓮子は何も凄いわけではない。そして、その装置が凄いわけでもない。
「さ、メリー。ポッキー(仮)ゲームをするわよ!」
「うーん、悪くはないんだけど」
蓮子は不満足だった。お互いの服の上にはうまい棒食べカスが散らばり、女の子としてあまりに美しくない。
「そうねぇ… まず第一に短すぎるわ。それに、キスした時に唇がざらついてて良くないわ」
「油っぽいのも女の子としてNGよねー」
それから様々な食べ物でポッキーゲームを試みた。ちょっとエロチックかなと思ったバナナに、細巻き、チョコバット、千歳飴、果てには乾燥パスタでもやってみた。しかし、中々しっくりくるものは無かった。
そこで残ったのがトッポであった。これならお互い公平にチョコとクッキー生地の部分を味わえる。ポッキーよりもポッキーゲームに相応しいと言えるほどの大本命である。
「ねぇ蓮子、なんで最初にこれから試さなかったの?」
「そりゃ、最初から本命でやったら試しキスの回数が減っちゃうじゃない」
ぐうの音も出ない正論だった。
「さ、メリー。ポッキー(仮)ゲームをするわよ」
そう言うと蓮子はトッポを咥えた。メリーも反対側を咥え、ポッキー(仮)ゲームが始まる。
そもそもポッキーゲームとはポッキーを折らずにキスをするのが目的のゲームである。折らないようにゆっくり、ゆっくりと食べて顔と顔、唇と唇が近づき、ドキドキする。これがこのゲームの醍醐味なのではないだろうか。早くキスをしたい欲求と折らないように慎重になる感情のバランスが何よりも大切なのだ。
結論から言うと、蓮子とメリーはトッポでは満足できなかったのである。
「メリー、これどう思う?」
「そうねぇ、キスした時の甘い感じもいいし、サクサク感も悪くないんだけどねぇ」
「そうね、そこはポッキーと同じでいいんだけどね」
「硬すぎるわ。硬すぎてがっついても中々折れないからドキドキ感が足りないわ」
「折れないと躊躇なくキスに行くからダメね」
こうしてトッポは敗れてしまったのだ。
「結局ポッキーに変わるものはないのね」
蓮子は少し寂しそうに言った。
「いいじゃない、完全に要求と一致いるものなんて中々無いのよ」
「そういうものかしらね」
「じゃあ、残ってるポッキーでポッキーゲームする?」
メリーがポッキーの持ち手を咥える。
「さ、どうぞ?」
メリーが誘う。
「んっ……」
「ポッキーゲームって片方がチョコのついてない部分から食べ始めるから不公平だと思わない?」
マエリベリー・ハーンは蓮子の隣で玩具付きのお菓子を眺めていた。
「そうねぇ、確かに不公平かもしれないわ。だったら他のものでやればいいんじゃない?」
「と、言うわけでポッキーゲームのポッキーに変わるものを探すのが今日の活動になります」
蓮子とメリーはスーパーで様々な食材を買ってきた。流石にいつもの活動拠点であるカフェでポッキーゲームをするわけにも行かず、台所もあるメリーの家で行う事になった。蓮子の家にも台所はあったが、それは昔の話である。
「じゃあ、最初はこれね」
蓮子が取り出したのはセロリである。居酒屋にある野菜スティックでポッキー(仮)ゲームをしようというのだ。
「蓮子、本当にこれでやるの?」
「なに? メリーは怖気づいちゃったの? それともセロリが嫌いなの?」
「どちらかと言うと後者ね。独特の香りが苦手だわ」
「あらあら、メリーさんはセロリの素晴らしさを知らないようね。セロリには精神安定や便秘解消にいいのよ。これだけでもメリーにピッタリだっていうのに、もっと凄い効果があるのよ」
蓮子は自慢気に話している。決して蓮子の実績ではないのだが、自慢気である。
「ふぅーん。で、そのすごい効果っていうのは?」
蓮子は『よくぞ聞いてくれました』という感じで目を輝かせながら話し始めた。
「なんと、それは! 食べるだけで痩せるのよ! セロリを食べて得られるカロリーよりも消化するカロリーの方が多いってわけ。それによってセロリをお腹いっぱい食べ続けると緩やかに死ねるらしいわ!」
メリーは『食べるだけで痩せるってただの毒じゃないのか』と思ったが熱く語る蓮子に水を差すのは気が引けたので胸の中にしまっておくことにした。
「じゃあ、やりましょうか」
セロリスティックの方端を咥える蓮子。それをみたメリーは変なエロさにドキドキしていたが、あることに気がついてしまった。
「ねぇ、蓮子。これ、セロリの味しかしないわよね?」
「何か問題でも?」
そうしてメリーもセロリスティックの方端を咥え、ポッキー(仮)ゲームが始まった。
「うーん、悪くないわね。何よりも食べた後に爽やかなキスが出来るのがいいわ」
蓮子は満足そうだった。しかし、メリーの方はセロリの味しかせず、更に苦手な香りだったため、不満そうであった。
「よく蓮子は味を付けないで食べられるわね。私には辛いわ」
「だって、味をつけるとカロリーが高くなってダイエット効果得られないでしょ?」
蓮子はセロリダイエット実践済みだった。一週間続けたが、他のものを食べたい衝動に負けて今の体重に至っている。
「まぁ、でも、両方とも気持よくキスできないとポッキーゲームとは言えないわね。ということで、セロリは却下ね。ついでに人参もダメね。私が苦手だわ。」
「ということは、残る野菜スティックはきゅうりだけど…」
メリーは買ってきたきゅうりに目を向ける。
「きゅうりスティックを何も付けずに食べるなんて、河童みたいね」
「蓮子、やっぱり野菜スティックでポッキーゲームはやめない? 不毛だし、第一に野菜スティックはソースを付けて食べるものであって、そのまま何も付けずに食べるものじゃないわ」
次に取り出したのはうまい棒である。うまい棒といえば味のバリエーションが多く、お手頃価格が売りのお菓子である。
「蓮子、これを咥えるのはちょっと太すぎて辛いわよ」
メリーがめんたい味を食べながら言う。
「ふふふ、そういう時のためにこれがあるんですよ!!おかしなうまい棒スティックパーティー!!」
蓮子が懐から取り出したのは何やら前時代的というか、ちゃっちいというか、謎の装置である。
「これにうまい棒を入れるとねー」
蓮子は楽しそうに装置の解説を始める。
「なんとスティック状に8分割されるんです!」
やはり蓮子は自慢気であったが、別に蓮子は何も凄いわけではない。そして、その装置が凄いわけでもない。
「さ、メリー。ポッキー(仮)ゲームをするわよ!」
「うーん、悪くはないんだけど」
蓮子は不満足だった。お互いの服の上にはうまい棒食べカスが散らばり、女の子としてあまりに美しくない。
「そうねぇ… まず第一に短すぎるわ。それに、キスした時に唇がざらついてて良くないわ」
「油っぽいのも女の子としてNGよねー」
それから様々な食べ物でポッキーゲームを試みた。ちょっとエロチックかなと思ったバナナに、細巻き、チョコバット、千歳飴、果てには乾燥パスタでもやってみた。しかし、中々しっくりくるものは無かった。
そこで残ったのがトッポであった。これならお互い公平にチョコとクッキー生地の部分を味わえる。ポッキーよりもポッキーゲームに相応しいと言えるほどの大本命である。
「ねぇ蓮子、なんで最初にこれから試さなかったの?」
「そりゃ、最初から本命でやったら試しキスの回数が減っちゃうじゃない」
ぐうの音も出ない正論だった。
「さ、メリー。ポッキー(仮)ゲームをするわよ」
そう言うと蓮子はトッポを咥えた。メリーも反対側を咥え、ポッキー(仮)ゲームが始まる。
そもそもポッキーゲームとはポッキーを折らずにキスをするのが目的のゲームである。折らないようにゆっくり、ゆっくりと食べて顔と顔、唇と唇が近づき、ドキドキする。これがこのゲームの醍醐味なのではないだろうか。早くキスをしたい欲求と折らないように慎重になる感情のバランスが何よりも大切なのだ。
結論から言うと、蓮子とメリーはトッポでは満足できなかったのである。
「メリー、これどう思う?」
「そうねぇ、キスした時の甘い感じもいいし、サクサク感も悪くないんだけどねぇ」
「そうね、そこはポッキーと同じでいいんだけどね」
「硬すぎるわ。硬すぎてがっついても中々折れないからドキドキ感が足りないわ」
「折れないと躊躇なくキスに行くからダメね」
こうしてトッポは敗れてしまったのだ。
「結局ポッキーに変わるものはないのね」
蓮子は少し寂しそうに言った。
「いいじゃない、完全に要求と一致いるものなんて中々無いのよ」
「そういうものかしらね」
「じゃあ、残ってるポッキーでポッキーゲームする?」
メリーがポッキーの持ち手を咥える。
「さ、どうぞ?」
メリーが誘う。
「んっ……」
中までチョコたっぷりだし
満足です
だがそれがいい。
その点ポッキーってすげぇよな
仕掛ける側がチョコレートない所を咥えてれば受ける側が多少躊躇っても支障ないんだもん