魂魄妖夢は悩んでいた。
三十年修行すれば、雨が斬れるようになるという。
五十年修行すれば、空気が斬れるようになるという。
そして二百年修行すれば、時間が斬れるようになるという。
─ではその先は?
時間は無限大のエネルギーを持つ。その無限大を斬れる剣は、全てを斬ることができるのだろうか。
時間が斬れるようになれば、全ての敵に打ち勝つことができるのだろうか。
とてもそうは思えない。
幻想郷には千年、万年の歴史を持つ者がいくらでもいるのだ。二百年がそれらを斬れるとは到底思えない。
では、何が斬れるようになったら全てを斬れるのだろうか。
最強の剣とは何に勝てる剣の事を言うのだろうか。
わからないことは人に聞くに限る。
かつて、わからないことを何でもかんでも聞いていたら、少しは自分で考えろと幽々子様に叱られたことがあったが、これはいくら考えてもわかりそうにないから仕方ない。
「─ということを考えていたんですが、幽々子様はどう思われますか?」
幽霊が住む冥界、白玉楼での食事の最中、妖夢は自らの主である幽々子に疑問を投げかけた。
「最強の剣、ねえ…」
いつになく真剣な妖夢の質問に、幽々子は箸を止めて考える。
いくら長生きしているといっても、剣術に関して自分が妖夢より一日の長があるとも思えないが、それでも年長者として出来るアドバイスはいくらか思いついた。
「そうね、何が斬れたら最後の到達点とか、剣術ってそういう単純なものじゃないと思うのよ。私が思うには。」
「と言いますと?」
妖夢は要領を得ない顔をしている。
「例えば、こんな話を知ってるかしら?」
昔、ある木こりが山で木を伐っていた。
ふと気配を感じてあたりを見回すと、奇妙な獣がこちらを伺っている。
何だこの獣はと思っていると、その獣が口をきいた。
「お主、私が何者かと考えているだろう」
木こりは驚いたが、口を利く獣とは珍しい、捕まえて見世物にすれば大儲けできるかもしれないと考えた。すると獣がまた口を開く。
「お主驚いているな。おっと、私を捕えて見世物にしようと企んでいるな?」
どうやらこの獣は人の心を読むらしい。人の心を読み、心を食ってしまうという妖怪サトリだろうか。
気味が悪くなった木こりは、サトリを捕まえることは止め、いっそ手斧で叩き殺してしまおうと考える。
「生け捕りを諦めてその手斧で私を叩き殺そうと考えたな?しかし私はそれを容易くかわすことができる。」
木こりは馬鹿らしくなって、サトリに構うことを止めて木を伐る仕事を再開した。
「お主もうあきらめたのか。そうか、馬鹿らしくなったか。」
サトリは尚も心を読んでくるが、木こりは無視して木を伐り続ける。
それからは木こりがただ無心に仕事を続けたため、サトリは特に言うことが無くなり、ただ作業する木こりを眺めていた。
とその時、不意に木こりの振るっていた手斧が手から滑って飛んでいき、それは偶然にもサトリの方へ飛び、サトリの脳天を叩き割ってしまった。
「これは昔、千葉周作という剣術家が記した剣術指南の本に載ってる話でね、彼はこの話からただ技術を身に着けるだけが全てではない剣術の奥深さを示したのよ。」
長い話を終え、幽々子はそう締めくくった。
「剣術の奥深さ…ですか。」
「そう。人の心を読み、悟りの境地に至ったと思っていたサトリが、木こりの無意識のうちに放たれた一撃に敗れる。この無意識の境地こそが剣術の頂点だと位置づけたの。」
「なるほど、よくわかりました。」
妖夢は納得したように頷いた。その反応に幽々子も満足し、食事を再開する。
が、次に妖夢が口にしたのは幽々子の予想とは少し外れるものだった。
「つまり、サトリ妖怪を斬れる剣が最強の剣というわけですね!」
「うーん…?まあ、そうなのかしら…?」
幽々子は、予想の斜め上の反応に戸惑いつつ、曖昧な返事を返す。
「あとでちょっとサトリ妖怪を斬りに行ってきます!」
「え、ええ。行ってらっしゃい。」
幽々子は、妖夢が自分の言わんとしていることとは違う結論に辿り着いてしまったことに気付いたが、とりあえず妖夢の悩みは解消されたようなので、これはこれでいいかと深く考えることを止めた。
場所は変わって、旧地獄、地霊殿。
妖夢は地霊殿の主であるサトリ妖怪、古明地さとりと対峙していた。
「斬らせてください。」
「……」
さとりは、突然現れた狼藉者に思わず頭を抱えた。
心を読んで既に妖夢の真意は知っているが、現実逃避するように口頭で質問を投げかけてみる。
「…えーと、無意識の剣を身に着ける為に私に斬りかかりたいと。」
「はい。」
「そして、目出度くあなたが無意識の剣を身に着けた暁には、私は真っ二つにされるわけですか。」
「まあ、そうなりますね。」
こいつは本気で言っているのだろうか。さとりがもう一度第三の目で妖夢を見ると、妖夢がその腰の刀でさとりを脳天から真っ二つにするイメージがありありと伝わってきた。
「……」
あまり見ていたいものではないので、さとりは別の質問をする。
「というかどうやってここまで来たのよ。」
「え?どうやってって、普通にですけど。」
そんなことを言う妖夢の心からは、弾幕ごっこでさとりのペット達をぶちのめす映像が伝わってきた。
普通の意味を問いただしたいところだが、とりあえずペット達まで真っ二つにしてきたわけでは無いことにさとりは安堵する。
「…まあ、稽古に付き合うくらいはしてあげますから。だから物騒な真似は止めなさい。」
何を言ったところで妖夢が諦めないことすら、心を読んで知ってしまったさとりは、諦めたようにそう告げた。
「ありがとうございます。じゃあ行きますよ!」
そう言って妖夢は、腰に差した二本の刀をすらりと抜いて構えた。
「待ちなさい。人の話聞いてました?」
「えっ?」
妖夢の心からは相変わらず、さとりを真っ二つにするイメージが消えない。
半分死んでいる奴にとっては、他人を全部死なせる事など『物騒な真似』には当たらないのだろうか。
「物騒な真似は止めろと言ったんです。なに真剣抜いてるんですか。」
「物騒ですか?」
「物騒です。」
真剣を抜くのが物騒でないなら、妖夢にとっての物騒とは何を指すのだろうか。さとりはどうでもいいことが気になったが、そんなことよりさっさと帰ってほしいので質問はしない。
「えー…じゃあこれで。」
そう言って妖夢は剣を置き、代わりにその鞘を構えた。
妖夢の心のイメージも、さとりの脳天を鞘でぶん殴るものに変わった。
「…それで良いわもう。では、どうぞ。」
そのさとりの言葉を皮切りに、妖夢は二本の鞘でさとりに殴り掛かった。
二本同時に大上段から振り下ろす。振り下ろすより先にさとりは後ろに半歩下がっており、当たらない。
短い鞘で顔面への突きを狙いつつ、長い鞘を腰に向かって薙ぎ払う。突きを出した頃にはさとりの頭はそこには無く、薙ぎ払いは軽く腰を引いて躱される。
その後も妖夢は次々に鞘の斬撃を繰り出すが、さとりには掠りもしない。
無意識を意識しようとする妖夢の心がどうなっているかというと─
(無意識無意識無意識…長刀での袈裟斬り!無意識無意識!と見せかけて突きだァー!無意識無意識無無無無無ー!!!)
「…せいっ」
さとりは突きを躱してそのまま肉薄し、妖夢の額に思い切りチョップをかました。
「痛あっ!?」
モロにチョップを食らった妖夢は思わず動きを止め、額を押さえる。
「あなたには無意識はまだ早い。」
「そうそう、無意識は大人になってからだよ?」
「うう…考えないって難しいなあ…って、え?」
妖夢とさとりしかいなかったはずの空間から、どちらのものでもない声が聞こえた。
「…こいし、いたのね。」
「うん。最初からいたよ。」
突如現れた第三者、古明地こいしとさとりは当たり前のように会話を交わす。
「えっ?最初からって…でもさっきまで確かに誰も…」
「この子は私の妹で、無意識を操る能力を持っているのよ。自分からコンタクトを取らない限り誰にも気づかれない。」
混乱する妖夢にさとりが説明する。
「無意識…」
「えへへ、凄いでしょ。」
そう言ってニコニコ笑うこいしを、妖夢はまじまじと見つめる。
「じゃあ、もしあなたがお姉さんに斬りかかったら、お姉さんは防げないってこと?」
「うん。」
「……」
妖夢は尚も腑に落ちない表情をしている。すると、
「えいっ。」
「痛っ。え?」
こいしが妖夢にチョップをかました。
「えいえーい。」
「痛い痛い、ちょっ、待っ、え?」
ただ何となく手刀を振り下ろすだけの攻撃だが、妖夢は防げない。
「意識の外を突くことが出来るというのは、意識を読むよりもずっと強いんだよ。」
「えーっと…」
妖夢が痛む頭を押さえながら無意識について考えていると、こいしと妖夢のやりとりを横で見ていたさとりが口を開いた。
「とにかく、無意識はあなたにはまだ早い。私に殴り掛かっても意味がないことはわかったでしょう。今は帰って修行したらどうですか?」
「はい…そうします。」
妖夢はさとりの言葉に従い、とぼとぼと地霊殿を後にした。
白玉楼への帰途に着きながら、妖夢は考える。
─結局、よくわからなかった。
無意識の境地とは何なのか、なぜ無意識の攻撃は防げないのか。
そもそも意識せずに剣を振るうことなど出来るのだろうか。
よくわからないが、さとりは「無意識はまだ早い」と言った。ならば今はまだ無意識の境地を見る時では無いのかもしれない。
とりあえず、今は目の前の修行に打ち込もう。
無意識の事を考えるのは、時間が斬れるようになってからでもきっと遅くは無い。
三十年修行すれば、雨が斬れるようになるという。
五十年修行すれば、空気が斬れるようになるという。
そして二百年修行すれば、時間が斬れるようになるという。
─ではその先は?
時間は無限大のエネルギーを持つ。その無限大を斬れる剣は、全てを斬ることができるのだろうか。
時間が斬れるようになれば、全ての敵に打ち勝つことができるのだろうか。
とてもそうは思えない。
幻想郷には千年、万年の歴史を持つ者がいくらでもいるのだ。二百年がそれらを斬れるとは到底思えない。
では、何が斬れるようになったら全てを斬れるのだろうか。
最強の剣とは何に勝てる剣の事を言うのだろうか。
わからないことは人に聞くに限る。
かつて、わからないことを何でもかんでも聞いていたら、少しは自分で考えろと幽々子様に叱られたことがあったが、これはいくら考えてもわかりそうにないから仕方ない。
「─ということを考えていたんですが、幽々子様はどう思われますか?」
幽霊が住む冥界、白玉楼での食事の最中、妖夢は自らの主である幽々子に疑問を投げかけた。
「最強の剣、ねえ…」
いつになく真剣な妖夢の質問に、幽々子は箸を止めて考える。
いくら長生きしているといっても、剣術に関して自分が妖夢より一日の長があるとも思えないが、それでも年長者として出来るアドバイスはいくらか思いついた。
「そうね、何が斬れたら最後の到達点とか、剣術ってそういう単純なものじゃないと思うのよ。私が思うには。」
「と言いますと?」
妖夢は要領を得ない顔をしている。
「例えば、こんな話を知ってるかしら?」
昔、ある木こりが山で木を伐っていた。
ふと気配を感じてあたりを見回すと、奇妙な獣がこちらを伺っている。
何だこの獣はと思っていると、その獣が口をきいた。
「お主、私が何者かと考えているだろう」
木こりは驚いたが、口を利く獣とは珍しい、捕まえて見世物にすれば大儲けできるかもしれないと考えた。すると獣がまた口を開く。
「お主驚いているな。おっと、私を捕えて見世物にしようと企んでいるな?」
どうやらこの獣は人の心を読むらしい。人の心を読み、心を食ってしまうという妖怪サトリだろうか。
気味が悪くなった木こりは、サトリを捕まえることは止め、いっそ手斧で叩き殺してしまおうと考える。
「生け捕りを諦めてその手斧で私を叩き殺そうと考えたな?しかし私はそれを容易くかわすことができる。」
木こりは馬鹿らしくなって、サトリに構うことを止めて木を伐る仕事を再開した。
「お主もうあきらめたのか。そうか、馬鹿らしくなったか。」
サトリは尚も心を読んでくるが、木こりは無視して木を伐り続ける。
それからは木こりがただ無心に仕事を続けたため、サトリは特に言うことが無くなり、ただ作業する木こりを眺めていた。
とその時、不意に木こりの振るっていた手斧が手から滑って飛んでいき、それは偶然にもサトリの方へ飛び、サトリの脳天を叩き割ってしまった。
「これは昔、千葉周作という剣術家が記した剣術指南の本に載ってる話でね、彼はこの話からただ技術を身に着けるだけが全てではない剣術の奥深さを示したのよ。」
長い話を終え、幽々子はそう締めくくった。
「剣術の奥深さ…ですか。」
「そう。人の心を読み、悟りの境地に至ったと思っていたサトリが、木こりの無意識のうちに放たれた一撃に敗れる。この無意識の境地こそが剣術の頂点だと位置づけたの。」
「なるほど、よくわかりました。」
妖夢は納得したように頷いた。その反応に幽々子も満足し、食事を再開する。
が、次に妖夢が口にしたのは幽々子の予想とは少し外れるものだった。
「つまり、サトリ妖怪を斬れる剣が最強の剣というわけですね!」
「うーん…?まあ、そうなのかしら…?」
幽々子は、予想の斜め上の反応に戸惑いつつ、曖昧な返事を返す。
「あとでちょっとサトリ妖怪を斬りに行ってきます!」
「え、ええ。行ってらっしゃい。」
幽々子は、妖夢が自分の言わんとしていることとは違う結論に辿り着いてしまったことに気付いたが、とりあえず妖夢の悩みは解消されたようなので、これはこれでいいかと深く考えることを止めた。
場所は変わって、旧地獄、地霊殿。
妖夢は地霊殿の主であるサトリ妖怪、古明地さとりと対峙していた。
「斬らせてください。」
「……」
さとりは、突然現れた狼藉者に思わず頭を抱えた。
心を読んで既に妖夢の真意は知っているが、現実逃避するように口頭で質問を投げかけてみる。
「…えーと、無意識の剣を身に着ける為に私に斬りかかりたいと。」
「はい。」
「そして、目出度くあなたが無意識の剣を身に着けた暁には、私は真っ二つにされるわけですか。」
「まあ、そうなりますね。」
こいつは本気で言っているのだろうか。さとりがもう一度第三の目で妖夢を見ると、妖夢がその腰の刀でさとりを脳天から真っ二つにするイメージがありありと伝わってきた。
「……」
あまり見ていたいものではないので、さとりは別の質問をする。
「というかどうやってここまで来たのよ。」
「え?どうやってって、普通にですけど。」
そんなことを言う妖夢の心からは、弾幕ごっこでさとりのペット達をぶちのめす映像が伝わってきた。
普通の意味を問いただしたいところだが、とりあえずペット達まで真っ二つにしてきたわけでは無いことにさとりは安堵する。
「…まあ、稽古に付き合うくらいはしてあげますから。だから物騒な真似は止めなさい。」
何を言ったところで妖夢が諦めないことすら、心を読んで知ってしまったさとりは、諦めたようにそう告げた。
「ありがとうございます。じゃあ行きますよ!」
そう言って妖夢は、腰に差した二本の刀をすらりと抜いて構えた。
「待ちなさい。人の話聞いてました?」
「えっ?」
妖夢の心からは相変わらず、さとりを真っ二つにするイメージが消えない。
半分死んでいる奴にとっては、他人を全部死なせる事など『物騒な真似』には当たらないのだろうか。
「物騒な真似は止めろと言ったんです。なに真剣抜いてるんですか。」
「物騒ですか?」
「物騒です。」
真剣を抜くのが物騒でないなら、妖夢にとっての物騒とは何を指すのだろうか。さとりはどうでもいいことが気になったが、そんなことよりさっさと帰ってほしいので質問はしない。
「えー…じゃあこれで。」
そう言って妖夢は剣を置き、代わりにその鞘を構えた。
妖夢の心のイメージも、さとりの脳天を鞘でぶん殴るものに変わった。
「…それで良いわもう。では、どうぞ。」
そのさとりの言葉を皮切りに、妖夢は二本の鞘でさとりに殴り掛かった。
二本同時に大上段から振り下ろす。振り下ろすより先にさとりは後ろに半歩下がっており、当たらない。
短い鞘で顔面への突きを狙いつつ、長い鞘を腰に向かって薙ぎ払う。突きを出した頃にはさとりの頭はそこには無く、薙ぎ払いは軽く腰を引いて躱される。
その後も妖夢は次々に鞘の斬撃を繰り出すが、さとりには掠りもしない。
無意識を意識しようとする妖夢の心がどうなっているかというと─
(無意識無意識無意識…長刀での袈裟斬り!無意識無意識!と見せかけて突きだァー!無意識無意識無無無無無ー!!!)
「…せいっ」
さとりは突きを躱してそのまま肉薄し、妖夢の額に思い切りチョップをかました。
「痛あっ!?」
モロにチョップを食らった妖夢は思わず動きを止め、額を押さえる。
「あなたには無意識はまだ早い。」
「そうそう、無意識は大人になってからだよ?」
「うう…考えないって難しいなあ…って、え?」
妖夢とさとりしかいなかったはずの空間から、どちらのものでもない声が聞こえた。
「…こいし、いたのね。」
「うん。最初からいたよ。」
突如現れた第三者、古明地こいしとさとりは当たり前のように会話を交わす。
「えっ?最初からって…でもさっきまで確かに誰も…」
「この子は私の妹で、無意識を操る能力を持っているのよ。自分からコンタクトを取らない限り誰にも気づかれない。」
混乱する妖夢にさとりが説明する。
「無意識…」
「えへへ、凄いでしょ。」
そう言ってニコニコ笑うこいしを、妖夢はまじまじと見つめる。
「じゃあ、もしあなたがお姉さんに斬りかかったら、お姉さんは防げないってこと?」
「うん。」
「……」
妖夢は尚も腑に落ちない表情をしている。すると、
「えいっ。」
「痛っ。え?」
こいしが妖夢にチョップをかました。
「えいえーい。」
「痛い痛い、ちょっ、待っ、え?」
ただ何となく手刀を振り下ろすだけの攻撃だが、妖夢は防げない。
「意識の外を突くことが出来るというのは、意識を読むよりもずっと強いんだよ。」
「えーっと…」
妖夢が痛む頭を押さえながら無意識について考えていると、こいしと妖夢のやりとりを横で見ていたさとりが口を開いた。
「とにかく、無意識はあなたにはまだ早い。私に殴り掛かっても意味がないことはわかったでしょう。今は帰って修行したらどうですか?」
「はい…そうします。」
妖夢はさとりの言葉に従い、とぼとぼと地霊殿を後にした。
白玉楼への帰途に着きながら、妖夢は考える。
─結局、よくわからなかった。
無意識の境地とは何なのか、なぜ無意識の攻撃は防げないのか。
そもそも意識せずに剣を振るうことなど出来るのだろうか。
よくわからないが、さとりは「無意識はまだ早い」と言った。ならば今はまだ無意識の境地を見る時では無いのかもしれない。
とりあえず、今は目の前の修行に打ち込もう。
無意識の事を考えるのは、時間が斬れるようになってからでもきっと遅くは無い。
無意識が最強。つまり、こいしを除けばトラップやセントリーガンみたいな、意識を持たない武器が強いということですね。確かに、妖夢が罠に引っかかる様などありありと思い浮かびます。
ほのぼのとしてて良い雰囲気でした。
良かったです
それはそれとしてきっと最後の修行に打ち込むその姿勢こそが無意識にもっとも近い気がしますね
剣術の極意がさとりすら切れる無我の領域というのならさとりを切ればいいのです
剣術は実践の技なので成果を出せればそれでいいのです
負けましたが剣術の腕を磨くだけなら何回でもさとりに挑めばいいし対策を考え努力すればいいのです
しかし現実問題として少しでも格上ならば相手はこちらの心を本当に読んできます どの分野でもそうですが未熟者の心理を読むことはちょっとした熟練度の人間にとってあまり難しくないです
ならばそのような時どうすればいいのでしょう
サッパリわからないですね
ただサッパリわからないから格上に出会わないよう自分が強くなってその可能性を低くすることは間違いじゃない気がします
もう心を読まれていることを気にせずベストを尽くせという意味にも、努力して実力をあげ相手が格上じゃないことにしてしまうしかないという意味にも
心を読まれていることを気にしてないように見せて予想外のアクシデントを引き起こして隙をつけとも
格上で心を読まれるからといって相手は運命まで読めるわけじゃない
心を読むより運命を読めという意味にも思えます
まあサッパリわかりませんがとりあえず妖夢の成果を上げれるだけの能力を身につけるなら実際に成果をあげればその能力が身についたことになるという直線的な発想は忘れたくないですね