時に人は己の拳で戦わなければならない。
自分の愛する者のために、自分の信じるモノのために。
そこには年齢も性別も関係なく、美しさも勇ましさもない。只々泥臭いだけである。
蓮子とメリーは食堂で殴り合っていた。
「それでも行くって言ってるじゃない! そんなに行きたくないなら一人で待てればいいじゃない!」
蓮子は好奇心と無計画の塊のような人だった。周りに反対されようとも興味のあるところへフラフラと行ってしまう、そんな人だった。
「だめよ! そんな無計画に行って帰ってこれる場所じゃないわよ!! ましてや、一人でなんて絶対にダメ!」
メリーは雲と消極的と外人を足して3で割ったような人だった。いつもフワフワしているが、掴みどころがない訳ではなく、麦茶を愛している、そんな人だった。
事の発端は、岡崎教授が可能性空間移動船を貸してくれると言ったことで、聞くところだと、それに乗れば、境界の向こうに行けるのだという。
もちろん蓮子は大喜びですぐに準備をするように相方のメリーに言った。しかし、メリーは乗り気でなかった。メリーは蓮子に「やめましょ? そんないいところじゃないわよ?」と言って蓮子を止めるが、蓮子がそんな言葉に耳を傾けるわけもなかった。
その延長線上に今の惨状がある。
お互いに、親指を他の四本の指でくるみ込むように握り、殴り合う。なんとも弱々しく、いかにも文化系の殴りあいであったが、周りには人だかりが出来ていた。
「なんだなんだ?喧嘩か?」
「二人の女の子同士が喧嘩してるぞ!」
「金髪のねーちゃんがんばれー」
「くそぅ、両方共スカートが長すぎて太ももすら見えない!」
野次馬がどんどん集まってくる、人気度的には半泣きで腕を振り回してるメリーの方が優勢であるが、蓮子の凛とした表情も一部に強い支持を受けていた。
「私はね、メリーが夢の世界に行けるのがいつも羨ましくて仕方なかったの!それなのになんで邪魔をするのよ!」
蓮子は夢を追う少女、そのひたむきな姿に人気は急上昇した。
「蓮子は向こう側の危険性を理解してなさすぎるわ!! 今までのフィールドワークは命の危険は無いものばっかりだったけど、向こう側は命の危険しか無いわ! 岡崎教授も言ってたでしょ? 向こう側には魔法とか神通力を使う奴ばっかりだって。そういう特殊な力が使える人じゃないと生き残れないのよ!!」
メリーは夢をみる少女だった。目や鼻から液体を垂れ流しながら友達を止める姿に一部の層で人気が急上昇した。
「この人気は…!」
二人は悟った。この人気を力に変え、拳に込めることで相手を分からせることが出来ると。
「次の一撃で決まりそうね、メリー」
「なんとしても私は貴女を止めるわ、蓮子」
結論から言うと、勝ったのはメリーであった。蓮子の一撃は無残にもメリーの胸の柔らかいものに包まれ弾かれた。そしてメリーの両腕クルクルパンチが見事にヒットし、この泥臭い争いに終止符を打った。
「これで向こう側へは行けずに、メリーの話を聞いて想像を膨らませるだけの日々がまた始まるのね」
宇佐見蓮子は不満そうであった。彼女は往生際が悪いのでまた何かにつけて向こう側へ行きたいと言うだろう。
「そうね、でもいいじゃない。夢は夢のままの方がいいこともあるのよ」
メリーは満足そうだった。行こうと思えば蓮子は教授に頼んで一人で向こう側へ行けるはずなのに、それをしない。そういう関係であることが誇らしかった。
「夢を共有できる技術とか無いのかしらね」
自分の愛する者のために、自分の信じるモノのために。
そこには年齢も性別も関係なく、美しさも勇ましさもない。只々泥臭いだけである。
蓮子とメリーは食堂で殴り合っていた。
「それでも行くって言ってるじゃない! そんなに行きたくないなら一人で待てればいいじゃない!」
蓮子は好奇心と無計画の塊のような人だった。周りに反対されようとも興味のあるところへフラフラと行ってしまう、そんな人だった。
「だめよ! そんな無計画に行って帰ってこれる場所じゃないわよ!! ましてや、一人でなんて絶対にダメ!」
メリーは雲と消極的と外人を足して3で割ったような人だった。いつもフワフワしているが、掴みどころがない訳ではなく、麦茶を愛している、そんな人だった。
事の発端は、岡崎教授が可能性空間移動船を貸してくれると言ったことで、聞くところだと、それに乗れば、境界の向こうに行けるのだという。
もちろん蓮子は大喜びですぐに準備をするように相方のメリーに言った。しかし、メリーは乗り気でなかった。メリーは蓮子に「やめましょ? そんないいところじゃないわよ?」と言って蓮子を止めるが、蓮子がそんな言葉に耳を傾けるわけもなかった。
その延長線上に今の惨状がある。
お互いに、親指を他の四本の指でくるみ込むように握り、殴り合う。なんとも弱々しく、いかにも文化系の殴りあいであったが、周りには人だかりが出来ていた。
「なんだなんだ?喧嘩か?」
「二人の女の子同士が喧嘩してるぞ!」
「金髪のねーちゃんがんばれー」
「くそぅ、両方共スカートが長すぎて太ももすら見えない!」
野次馬がどんどん集まってくる、人気度的には半泣きで腕を振り回してるメリーの方が優勢であるが、蓮子の凛とした表情も一部に強い支持を受けていた。
「私はね、メリーが夢の世界に行けるのがいつも羨ましくて仕方なかったの!それなのになんで邪魔をするのよ!」
蓮子は夢を追う少女、そのひたむきな姿に人気は急上昇した。
「蓮子は向こう側の危険性を理解してなさすぎるわ!! 今までのフィールドワークは命の危険は無いものばっかりだったけど、向こう側は命の危険しか無いわ! 岡崎教授も言ってたでしょ? 向こう側には魔法とか神通力を使う奴ばっかりだって。そういう特殊な力が使える人じゃないと生き残れないのよ!!」
メリーは夢をみる少女だった。目や鼻から液体を垂れ流しながら友達を止める姿に一部の層で人気が急上昇した。
「この人気は…!」
二人は悟った。この人気を力に変え、拳に込めることで相手を分からせることが出来ると。
「次の一撃で決まりそうね、メリー」
「なんとしても私は貴女を止めるわ、蓮子」
結論から言うと、勝ったのはメリーであった。蓮子の一撃は無残にもメリーの胸の柔らかいものに包まれ弾かれた。そしてメリーの両腕クルクルパンチが見事にヒットし、この泥臭い争いに終止符を打った。
「これで向こう側へは行けずに、メリーの話を聞いて想像を膨らませるだけの日々がまた始まるのね」
宇佐見蓮子は不満そうであった。彼女は往生際が悪いのでまた何かにつけて向こう側へ行きたいと言うだろう。
「そうね、でもいいじゃない。夢は夢のままの方がいいこともあるのよ」
メリーは満足そうだった。行こうと思えば蓮子は教授に頼んで一人で向こう側へ行けるはずなのに、それをしない。そういう関係であることが誇らしかった。
「夢を共有できる技術とか無いのかしらね」
微笑ましいですなあ。
というか人気っていうことは心奇楼ルールか!
すごい破天荒なアプローチだがアリだと思った。というか十分伝わった